スーパーチャイニーズ3

【すーぱーちゃいにーずすりー】

ジャンル アクションRPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 2MbitROMカートリッジ
発売・開発元 カルチャーブレーン
発売日 1991年3月1日
定価 6,300円(税別)
プレイ人数 1~2人
判定 なし
ポイント カンフーから忍者へのシフトチェンジ
アクション面の大幅な変更
スーパーチャイニーズシリーズ


あらすじ

チャイニーズランドの空から怪しい物体が近づいてきた。
その正体は銀河軍団。シュババン将軍率いるエイリアン部隊だった。
首都ヨウカンは瞬く間に占領されてしまい、珍の始皇帝の皇子
ボク珍殿下がジャックとリュウに助けを求めてきた。
ジャックとリュウは再びチャイニーズランドを救うため旅立つのだった。

概要

チャイニーズヒーロー(スーパーチャイニーズ)から続く三作目。
前作『スーパーチャイニーズ2 ドラゴンキッド』と同じく『ドラゴンクエストシリーズ』の様なフィールド、街の概要があり、レベル制を採っている。
また、2Pプレイも可能。
前作と変わった点を挙げると、「カンフーから忍者への変更」「戦闘アクションの変化」「忍術の概念」などが挙げられる。
お助け十二支ん匠の代わりに星座をモチーフにした「お助け12星座」が登場する。術やアイテムを与えてくれたりとサポートする立場は前作同様である。

特徴

戦闘バトルの変更

  • 今までは上下左右にキャラが向きそれぞれの方向に向けて攻撃できるようになっていたが、今作では左右にしか向かなくなった(上下に移動は可能)。
  • その代わりアクションは増えており、「しゃがんでかわす」「敵を持ち上げる」「持ち上げた敵を投げる」「敵の落とした武器を奪う」「壁をよじ登る」といったアクションが増加し『くにおくんシリーズ』の様なアクション性になった。
  • 更に忍術が加えられたことで気合弾に代わる「手裏剣」が投げられるほか、画面中の敵を吹き飛ばす術、敵をスローにする術、見えない敵を見破る術など様々な忍術がゲームの進行と共に覚えていく。
    • パワーボールの要素は継続しており、溜める事で任意のタイミングで使用する事が可能。
  • ボス戦ではサイドビュー方式のRPGのコマンドバトルが採用され、アクション要素は一切ない。
    • 使える忍術もすべてRPGの魔法のような効果に変わる為、アクションステージと全く重要度が異なる忍術も出てくる。
    • 「ボク珍殿下」も第三の戦士として戦闘に参加するが、操作できない上に敵にハナクソをつけて帰ってくるなどほぼ役に立たないが、極稀に強力な攻撃をしてくれる事も。ちなみにボスの攻撃は100%回避するため攻撃を受けることは皆無。
      • なお、「ボク珍殿下」以外がやられると全滅扱いとなる。上記のことから戦闘中はボク珍殿下はやられることは絶対に無い。あくまでお供的存在である。
      • 別の見方をすれば彼は無敵なのだが、ある箇所のイベントで手違いにアホになるお饅頭を食べてしまいアホになってしまう。とはいっても彼は元々アホなのだが…

フィールドの変化

  • フィールドは地上だけを移動していた前作とは違い、『ファイナルファンタジーシリーズ』の様に浅瀬、海、そして空中を移動できるようになった。乗り物は徐々にランクアップしていく方式を採っている。
  • 乗り物は所有するものだけに留まらずフィールドに移動している大亀に乗って移動したり、機関車に乗って移動することもできる。
  • また、ダンジョンは存在するが地下深くであり、殆どは乗り物で地中を自由に掘り進むだけなので実質廃止に近く、代わりにアクションステージが多く配置された。
  • 前作の街も登場するが少なく、多くは新規の街が追加された。

キャラクターの変更

  • 『2』までカンフー調だったが今作から忍者へと変更された。

評価点

  • 世界観のスケールアップ
    • 前作は純粋にカンフーアクションだっただけに世界観は現代風を取り入れつつも割と中国風に仕上がっていたが、今作は中国風にとらわれない様々な街が登場する。近未来な街の「サイエン」や動物たちの街「アニマルタウン」、ラスベガスの様な煌びやかな街の「アソベシティ」、おもちゃの街の「ガチャトピア」などがある。登場するキャラクターもそれに因んでおりバリエーション豊かになった。
    • 乗り物を手に入れることで行けない場所へ行くことが可能となり、フィールド上に隠れているお店でレアアイテムや装備を買えるといった寄り道要素が増えた。
  • アクション面
    • 敵との戦闘やアクションステージは高低差のあるベルトスクロール式であるが、前作同様にフィールド依存のバリエーションが多い。今作では船上での戦闘や機関車での戦闘、ジャングルでの戦闘場面などが増加している。
    • アスレチックステージはギミックもある。前作よりアクション性が増しており楽しさが増えた。
      • 普通に通れない小さい穴を忍術「チューミクロン」でネズミに変身してくぐったり、「ミエールライト」で見えない敵を暴くといった忍術を生かしたギミックも存在する。
      • 穴や谷、川に落ちてしまってもパタパタウィングで復帰&無敵時間が存在し、その間だけ敵や障害物をすり抜けて移動が可能。アスレチックが苦手な人に対しての救済もなされている。
      • 敵からボヨヨンシューズを奪うこともできる。等間隔に渡って大きなジャンプを繰り返しすることが可能で踏みつけ攻撃も可能。しかし使える箇所は限られている。
      • ただし、画面外や川、池に落下すると体力が一度に半分になるのでかなりのペナルティになる。こちらは前作と同様である。
  • 便利な忍術、アイテムの増加
    • 通常より割高ではあるが基本的なアイテムをどこでも買うことが出来る「おつかいくん」や死んでしまった仲間を生き返すことがその場で出来る「こぼうずくん」。HPを回復させる忍術「パワーデルン」などが登場し、進行が楽になった。
    • また、宿屋やコンビニによる復活などは無料になった。

問題点

  • カンフーから忍者への概念の変化。
    • 「スーパーチャイニーズ」であるのに関わらず何故かカンフーから忍者へとキャラクターシフトされてしまい、前作や前々作のファンからは違和感を感じさせた。
    • 背景には北米での販売展開が絡んでおり、更に発売当時のアメリカでは忍者ブーム真っ只中だった為忍者が親しみやすかったことも踏まえてシフトチェンジをせざるを得なかった背景があると思われる。
    • 忍者へとシフトチェンジした為に忍術というバリエーションやアクション要素が増えた…というメリットが考えられなくもないが、後述するアクション面での問題点も含めるとやはり違和感は否めない。
    • 本作を前後して北米版のGB版『Ninja Boy 2』(スーパーチャイニーズランド2)とSFC版『Super Ninja Boy』(スーパーチャイニーズワールド)が発売しているものの、本作だけは日本のみの発売である。
      • しかし、本作発売から2年後に発売されたスーパーファミコン用ゲームソフト『スーパーチャイニーズワールド2 宇宙一武闘大会』から忍者からカンフーに回帰しており、本作から『スーパーチャイニーズワールド』まででファンに感じさせた違和感は解消された。
      • 一方の忍者要素は同社が製作を手掛ける漫画・アニメ『忍たま乱太郎』(原題は『落第忍者乱太郎』)のゲームシリーズに引き継がれることとなった。
  • アクション面での大幅な変化。前作と比べると劣化面が目立つ。一言でまとめるともっさり気味。
    • 前作は上下左右に向いて攻撃できたり、ジャンプ、キック移動が可能だったが今作は真横だけになってしまったダンジョンでは旧来の戦闘方式。高低差の付いたステージにアクション要素が増えたのは長所ではあるが実際は『くにおくんシリーズ』のアクション性をパクって真似ているだけであり、受け付けない人もいた。
      • かといって『くにおくん』の様なアクション性を期待していると肩透かしを食らう。以下がその要因である。
    • キックはもっさり気味であり、ミラクルキックを出しても挙動は一緒。パンチも特殊効果があるものの殆どが攻撃速度や連射性能アップといった具合である。攻撃力はレベルが上がっても変化せず進行と共にアイテムを買わないと強化できないので必然的に戦闘時間は長くなってしまい、前作以上にダレてしまいがち。
    • 剣やヌンチャクを使って攻撃が出来るがこちらももっさりしている。
    • 前作ではキックによる移動が容易でありミラクルキックに至っては大きな幅を取って移動できることができたのだが、今作ではそれが無い。
    • ダッシュは出来るが2回左右キーを押すだけで直ぐにダッシュしてしまう為、暴発気味になってしまう上に止まるのに時間がかかる。下手をすると川や池、谷に真っ逆さまという事態に至ることもある。ダッシュジャンプもできるのだが直ぐに着地してしまう為幅をとって移動することが難しい。正直使えない。バタつかせてジャンプする姿も何処と無くマヌケに見えてしまう。
    • パタパタウィングを使うことによってアスレチック面は殆ど無双状態で突き抜けてしまう。自重すれば解決できる問題ではあるが…。
    • 前作の「むてきだま」に代わる「パワーボール」があるが、使用しても自身の周りにバリアが展開して敵を吹き飛ばすだけで、前作の「合体ドラゴン拳」のような強化アイテムもないのでインパクトある見た目がなくなってしまった。爽快感皆無。
  • フィールドの移動の問題。
    • 所有できる乗り物が追加された代わりに、『ドラクエ』でいう「ルーラ」にあたるアイテム「トンデモコプター」が廃止されてしまった為移動が面倒になったという指摘が多い。
    • 最終段階になれば飛行船で世界中を飛び回ることが可能になるが、『FF』の飛空艇の様に移動が特別速くなる訳でもなく、陸地の多かった前作に比べると海が大部分を占めているフィールドの為、マップが無いと迷いやすい上にスケールアップもしているので特定の場所への移動にはやや時間がかかってしまうことも。
    • エンカウントも総じて高く、特に2Pでプレイしている場合、それぞれのプレイヤーが独立して動ける仕様も相まって*1、エンカウント率がさらに上がり、非常にストレスのたまる仕様となっている。
      • 加えて逃げるもほぼ失敗するという仕様が追い打ちをかけている。
    • 敵と遭遇するとレベルを教えてくれるのは前作同様なのだが、お店で売られている「レベルカウンター」が無いと判明できないため不便に。更に4段階に分かれてレベルカウンターが存在し、ある程度レベルが上がってしまうと古いレベルカウンターは「測定不可」となってしまうため、出費に足を引っ張ることも。
  • 前作からの使い回し&手抜き感
    • BGMや一部のグラフィックは前作とほぼ同一であり、使い回し感が否めない。更にグラフィック面では劣化し、キャラの口元が動かなくなった。
    • ファミコン後期の発売にもかかわらず、相変わらずパスワード式になっておりセーブ不可であることも欠点に挙がる。
      • これらの問題点は、GB版、SFC版のスーパーチャイニーズシリーズでも解消されていない。

総評

シリーズ三作目となったものの、良作となった前作とはまったく異なるアクション性を取り入れた結果、アクション性の爽快感が無くなってしまった。
サウンド・グラフィック面の問題も加えても凡作止まりであり、決してクソゲーレベルではない、それなりに楽しんで遊べる作品ではある。

余談

  • 今作はお供として「ボク珍殿下」が登場するが前作までは「ク珍殿下」だった。今作以降は「ク珍殿下」で統一された。誤植だったのか変更になったのかは不明。
  • 海外版の前作で『2』にあたる『Little NINJA BROTHERS』では今作と同様のタイトル画面が使われている。
  • デバッグ用のパスワードが多数存在し、問答無用で即死させる「ごくらくパンチ」を持つ最強の「かきく」やレベル最大からはじめられる「たちつ」といったパスワードや、没イベントらしきイベントのテストも行える「ぱぴぷ」等、
  • バトルに時間をかけすぎると画面が暗転し、巨大な敵キャラが出てくるのはシリーズのお約束だが、本作の場合は当時の人気漫画『ダイの大冒険』に登場するク○コダインにソックリという危ない外見をしている。
    • 同様に鎧の魔剣を鎧化したヒュ○ケルにソックリなキャラが登場するシーンもある。

移植

  • 現在では何故か『Retro-bit Generations 3』の本体に内蔵(収録)されている。
    • SDカードにセーブも可能だが、9400円もするほど高価である。中古販売品もプレミアが付いてより高くなっている。
    • 前々作『スーパーチャイニーズ』と前作『スーパーチャイニーズ2 ドラゴンキッド』とスーパーファミコンで発売された『スーパーチャイニーズワールド』と『スーパーチャイニーズワールド2 宇宙一武闘大会』と『スーパーチャイニーズファイター』も内蔵されている。

その後の展開

  • 本作発売から8ヶ月後にゲームボーイ用ゲームソフト『スーパーチャイニーズランド2 宇宙大冒険』、9ヶ月後にスーパーファミコン用ゲームソフト『スーパーチャイニーズワールド』が発売された。
    • これらのゲームシステムは本作と同様のものだが、『スーパーチャイニーズワールド』のみ、スーパーファミコンで発売され、ボタンの数も増えたため、本作での操作性は向上された。
      • 『スーパーチャイニーズワールド2 宇宙一武闘大会』からアクション面が対戦格闘風にアレンジされており、本作でのもっさり感は解消されている。

+ タグ編集
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  • スーパーチャイニーズ

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最終更新:2022年08月23日 23:28

*1 片方のプレイヤーにスクロールが合わさるため、バラバラに動けることにメリットがほぼない