ゴールデンアイ 007

【ごーるでんあい だぶるおーせぶん】

ジャンル FPS
対応機種 Wii
発売元 任天堂
開発元 Eurocom
発売日 2011年6月30日
定価 5,800円(税別)
レーティング CERO:C(15才以上対象)
判定 良作
007シリーズ


概要

Wiiで任天堂から発売された同名作品。
オリジナルである海外版の発売元はアクティビジョン。
開発は『007 ナイトファイア』『007 慰めの報酬 (PS2)』を手掛けたイギリスのデベロッパー、Eurocom。

ストーリーの大筋は原作を踏襲しながらも、時代設定や登場するガジェットなどが現代風に大幅アレンジされている。
ボンド役を当時現役だったダニエル・クレイグ氏に置き換え、それ以外のキャストも、M役のジュディ・デンチ氏以外は全員交代している。
さすがにオリジナルキャストを揃えるのは予算や権利上無理があったのだろう。

ゲーム上の演出面も含め、N64版のリメイクと言うより「映画『ゴールデンアイ』とN64版『ゴールデンアイ007』を掛け合わせた現代風リメイク」となっている。

クラブニンテンドーでゴールデンクラシックコントローラPROの必要ポイントが減る優待キャンペーンも行われていたが、現在はキャンペーンは終了している。


特徴・評価点

  • N64のコントローラーは使用できないが、Wiiリモコンのヌンチャク・スタイルはもちろん、GCコントローラ、クラシックコントローラ、Wiiザッパーまで、多彩な操作方法に対応。
    • N64版の操作は、現在からみるとFPSとしては幾分特殊だが、今作は現在の家庭用FPSとほぼ同様のものになっており、初めてゴールデンアイに触れる人でも混乱することはない。
  • ハードのパワーアップに合わせ、スクリプトを用いた演出が増えており、N64版では実現できなかった派手なアクション演出を楽しめる。
    • 冒頭の滑走路での飛行機とのダイブや、クライマックスの崩壊するアンテナでの戦いは必見。
    • ゼニアがヘリの墜落によって死ぬなど、より映画の再現を意識した演出が増えている。ただし映画やN64版そのままのものは少なく、今作オリジナルのものが多い。また、原典の映画とN64版の両方へのオマージュが見て取れる箇所も。
    • 映画では本来紐ありバンジーだった冒頭のジャンプが、N64版では紐が描画されてなかったことを受け、今作でも敢えて、紐なしで決死のダイブをする場面として描かれている。
  • テーマソング『ゴールデンアイ』を用いた今作オリジナルの映画さながらなタイトルシークエンスもあるなど、より『007』映画らしい作品に仕上がっている(ただし歌手は別人)。
    • ミッションの冒頭には、衛星画像などを用いてステージマップを開設するブリーフィングムービーが挿入される。
  • 小杉十郎太氏など、映画でも吹き替えを担当している声優を起用し、上質な日本語吹き替えが実現されている。
    • N64版で省かれていたある重要な台詞*1がちゃんとある点なども評価できる。
  • アステカやエジプトなど、ゲームオリジナルだったステージはなくなっている。
  • N64版で大人気だった対戦プレイも健在。
    • オンライン対戦にも対応しており、ラグも少なく快適に対戦できる。
    • ただし、『Call of Duty』シリーズなどを意識してか、N64版のように武器を拾って装備するのではなく、予め選択した装備で戦闘するシステムが導入されている。
    • 試合を重ねるごとに自分の装備を強化していける。開始当初で使える武器は非常に少なく、どれも弱いが、試合を重ねて経験値を溜めてレベルアップすると武器が開放される仕組みとなっている。
      • しかし、この成長システムの塩梅にかなりの問題がある。(下記問題点参照)

問題点

主にオンラインプレイにおいて問題が多い。

  • プレイ時間ごとにプレイヤー間に格差が生まれてしまうのだが、そこを考慮したマッチングがなされない
    • ランダムマッチをやるとランダムで対戦相手が決まる。高レベルの相手は当然性能のいい武器やオプションを持っているので、始めたばかりの初心者は実力の差というよりも武器性能の差でなぶり殺しにされる。
    • 特に熱探知型で薄い壁に隠れている相手も見つける事ができる「サーマルスコープ」と、N64版でも猛威を振るったモーションセンサー爆弾と同じ様な性能の「近接地雷」に加え、移動速度が速くなる「ライトフット」等はどれもこれも高レベルで解禁されるオプションであり、レベルの低い初心者はキャラクターの基本性能的な部分で一方的な試合を強いられてしまう。
    • 他にも防御力上がるリアクティブアーマーや体力の上がるバイオブースター等もある。これを装備した相手だと初心者は同時に同じ武器やチョップを同じだけ当てても一方的に負けてしまう*2
    • もちろん初期の銃でもヘッドショットしてやればどんなレベルの相手もほぼ死ぬので、FPS経験者なら高レベルの相手でも手も足も出ないという事は無いかもしれないが…。
  • レベルアップが非常に遅い
    • 上記した通りレベルが存在する(最高レベルは56)。
      • 強い武器を使うためにとっととレベルを上げたい所だが、それがとてつもなく大変なのである。
    • 普通にプレイしてると1試合で手に入る経験値は200ほど手に入れば良い方なのに対して、レベルアップに求められる経験値は最大レベル折り返し地点のレベル28までで合計169200必要。最高レベルにするには合計1403800というとてつもない経験値が必要なのである*3
      • 試合中にミッションをクリアすると経験値がボーナスで貰えるのだが、「30連続キル」という難しい条件を満たしても500しか増えない。強武器のひしめき合う戦場に突然送り込まれる初心者はそんな条件を満たせるはずも無く、ますます経験値が稼ぎにくくなっており、1試合で経験値が100も手に入らないこともザラである。
  • ちなみに経験値の世界ランキングを見るとレベル最大のプレーヤーがひしめいているが、その多くがチートで1度に貰える経験値を増やしてレベル上げを行っている*4
    • 上記の通りこのゲームの場合レベルが高いと良い武器が使え、その上経験値が全然溜まらないので、「不正をしてでも経験値を手に入れたい」という欲望に捕らわれやすいのもチートが蔓延する一因だろう。
    • 真面目にやっているプレーヤーは相手より劣る武器で戦うしかなく、とばっちりを受けてしまっている。
    • そのような上位プレーヤーに対して何もお咎め無しなのも、チートが蔓延するのに拍車をかけている。
  • なお、チートを使った対戦になるかはホストがチートを使っているかどうかで決まるので、不正を嫌うプレイヤーがランダム対戦で試合前にチートを判断し回避する手段は無い。

ストーリーモードの問題点は以下。

  • 中途半端にストーリーを原作から変えたことの弊害で、いくつか矛盾が生まれている。
    • 現代に合わせて、ボンドもスマートフォンを使用するようになっているが、最初のミッションはソ連の時代の話のまま。明らかに時代設定が矛盾している。
      • 一応、このスマートフォンは「MI-6が当時最先端の技術で独自開発したもので、一般に出回っているものではない」という無理やり解釈することもできる。
    • ヴァレンティン・ズコフスキーが、序盤でゼニア・オナトップに殺害されている。
      • ゴールデンアイよりも後の映画作品「ワールド・イズ・ノット・イナフ」でも彼は登場するので、ここで死んでしまうと明らかな矛盾が生じてしまう。
    • 原作では「地下基地から脱出→ヤヌスのボスと対面→ロシア軍に捕まり、攫われたナターリアを追いかける」という順番だったのが、今作では「地下基地から脱出→ロシア軍に捕まり、攫われたナターリアを追いかける→ヤヌスのボスと対面」という順番になっている。
      • そのため、ボンドやウルモフによってロシアの街を荒らされた後なのに、ボンドもヤヌスメンバーも平気でロシア国内で活動しているという、少々おかしなことになっている。
  • 難易度が少々いびつ。
    • 敵はこちらを認識してもしつこく追ってくることはなく、特定のポジションを守るように動くだけである。そのため、相手がこちらに気づいて撃ってくる前に素早く通り抜けてしまえば、一切ダメージを受けずに突破できてしまう。
    • 最終ミッションでは、コンピューターシステムをハッキングするナターリアを防衛することになる。この時、敵の出現パターンはボンドの位置によって変わり、場所によっては非常に倒しやすい位置に敵が出てくるので非常に楽になる。その一方で、 ナターリアの近くにいると全方向から敵が押し寄せてくる という初見殺しがある。
    • 最後にラスボスとの対決があるが、相手は「ボンドが近づいてきたら別の場所へ移動する」という思考になっている。しかしこの移動の処理はプレイヤーの妨害を一切考慮しておらず、特定の位置に立ってしまえばハマって動けなくなり、撃ち放題になってしまう。

総評

位置づけとしてはリメイク作品にあたるがゲーム性はかなりの別物で、N64版の忠実なリメイクを期待したプレイヤーは当初戸惑いを見せた。
ただし単体の作品としては高評価で、凡ゲー~クソゲー評価が並ぶアクティビジョンの『007』ゲームの中で、数少ない成功作として評価されている。


余談

  • 北米版は2010年11月2日に、欧州版は2010年11月5日に発売されている。
  • 海外でのみ同日にn-Spaceが開発を担当した本作のDS版がリリースされている。
    • その後はPS3/360において『GoldenEye 007: Reloaded』とタイトルを改めて発売されている。
  • 2014年にほぼすべて終了してしまった青マーク付きWi-Fiコネクション対応タイトルの中で、唯一接続が可能であった。
    • ソフトの中で使われている接続先が汎用サーバ(GameSpy)でなく、海外版発売元のアクティビジョン独自のサーバに接続するようになっているためらしい(参照)。
    • しかし、本作も2018年3月30日にネットワークサービス終了した(参照)。

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最終更新:2023年04月16日 12:20

*1 化学工場に侵入する際のアレック・トレヴェルヤンの「祖国のためか?」という問い。これに対するボンドの返答は最終決戦で生きてくる。

*2 幸いバイオブースターの開放レベルは低いが。

*3 もちろん、最高レベルでも武器は開放され、最高品質のアサルトライフルが解禁される。

*4 真面目にやった場合、よほどやりこまない限り最高レベルに届かない。