ディフェンダー

【でぃふぇんだー】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード
発売・開発元 ウィリアムズエレクトロニクス
国内発売元 タイトー
稼動開始日 1980年
判定 なし


概要

世界初のスクロールするシューティングゲーム。
タイトーが輸入代理店として日本でも販売していた。


システム

  • 即死制、横方向任意スクロール。ステージは左右にスクロールするが、端でループしている。
    • 画面上部に全体マップを表示。地形や自機・敵味方全キャラクターの現在位置が表示されており、高速スクロールでも見失わないよう工夫されている。
  • 1レバー5ボタン式。
    • レバーは2方向レバーで上下移動に対応。上部にボタンがあり、方向転換を行なう。
    • レバー上部以外のボタンはワープ・加速・ショット・スマートボム。
  • ステージ中に存在する敵エイリアンを全て全滅させるとステージクリアになる。
    • 下記の人間をさらう敵(ランダー)のほか、機雷を散布していくボンバー、破壊すると子機(スワーマー)の集団をばら撒くポッドも出現する。
    • また永久防止キャラ・バイターも存在。ステージ攻略に時間をかけすぎると出現し、自機以上の高速で迫ってくる。なおバイター自体は倒さなくてもクリア可能。
  • 敵は時折地上の人間をさらっていく。さらわれた人間が画面上部に到達すると敵によってミュータントにされ、速度を上げて襲ってくる。こうなると敵として撃破するしかない。
    • 人間を助けるためには、さらわれている最中に敵を撃破しなければならない。敵に捕らわれている最中、もしくは敵を撃破した後に落下している所を誤射すると死んでしまう。また一定以上の高さから落下しても死んでしまうため空中でキャッチして陸上に送り届け無ければならない。
    • ステージ上の人間が全員死亡するとペナルティステージに飛ばされてしまい、強化された敵が全方位から大量に襲い掛かってくる。
  • ワープボタンを押す事で、ステージのどこかに一瞬でワープする。使用に制限は無いが、ワープ後は一定時間動く事ができず出現位置も指定できないので、運悪く敵の近くにワープするとやられてしまう。
  • 画面全体攻撃のスマートボム。現在のシューティングゲームにおけるボンバーに相当し、敵と敵弾を同時に消滅させる。
  • 加速ボタンを押す事で前進する。機首の向きは方向転換ボタンで切り替えられるが、後退はできない。加速速度は非常に速く、繊細な位置調整は難しい。
    • ただし高速前進している状態で加速をやめて方向転換(機首転換)すると慣性が働き、短時間ではあるが疑似的に後ろ向きに飛行する事が可能で、上記の高速で自機を追跡してくるミュータントを迎撃するというテクニックも使える。
  • ショットは連射性能に優れ、レーザーのように一直線に発射される。

評価点

  • スクロール速度が非常に速く、黒を基調としながらも赤や青のラインで描かれた敵・自機は、時代を考慮するとなかなかに出来が良い。
    • 更に、自機から放たれる直線的なショットはとても美しい。
  • ワープとボムによる緊急回避能力を駆使し、人間を守りながら戦い、マップで戦況を把握しつつ攻略していく様は、高いゲーム性を生み出している。
    • ワープ自体は『スペースウォー』の時点で存在していたが、高速スクロールとの相性が大変よろしく、1981年にゲームオブザイヤーを受賞している。
  • 従来のシューティングと異なり直線的なショットは高い攻撃力と殲滅力を持ち、爽快感に満ち溢れている。

問題点

  • なんと言ってもその独特の操作方法。レバーはフライトシミュレーションとほぼ同形状の物を採用しており、横移動できる方がおかしいのだが。
    • 複雑な操縦に加えて慣性まで働く自機を操るのは容易ではない。人によっては新鮮で斬新だが、やはり思い通りに動かない事にストレスを感じる人は少なくない。
  • 自機の放つショットは手動で連射が可能ではあるものの、非常に細い上に先端部分にしか攻撃判定がないため精密な射撃を要求される。にもかかわらず先述の通り自機の位置調整は容易ではなく、縦横無尽に動き回る敵に対して闇雲に乱射してもなかなか当たらない上に、さらわれた人間を誤射する可能性も高い。
    • よって見事に制圧出来た際のカタルシスはかなり高いのだが、それを感じられるまでには決して低くないハードルが存在する。

総評

後に多くのシューティングゲームに影響を与えたシューティングゲーム界の重鎮。その独特な操作性は人を選ぶものの、爽快感・ゲーム性も相まって他では味わえない中毒性を秘めている。
左右への任意スクロール、自機と敵の位置関係を示すマップ表示、ミスしたときの自機の爆発は『ファンタジーゾーン』でもオマージュされ、山なりな地形や鋭角な自機や一直線に伸びるショットは『グラディウス』に面影を見ることが出来る。中には『バルトロン』のようにワープ・スマートボム・左右任意スクロールを取り入れたものもある。残念ながら、オリジナル筐体の現存数の少なさから来るハードルの高さで、その利点も霞み「操作性が悪い」ゲームに落ち着いてしまっている。 後に移植されたバージョンでは移動を8方向レバーに変更、加速ボタンを廃し現在のシューティングに非常に近い感覚で遊べるように改変されたものもある。


余談

  • 古いゲームなのでプレイ方法が希薄で、現存数も少ない。しかし、当時から人気作でもあったことから海外では移植も多く、恵まれていた。
  • 本作を手掛けたユージン・ジャーヴィスはその後も『ロボトロン2084』、『Smash T.V.』と言った名作を手がけている。
    • 他にもMidway時代にはACとN64でリリースされたレースゲーム『Cruis'n USA』、『Cruis'n World』も担当している。
  • 漫画『ゲームセンターあらし』の「天国を救え!の巻」にて本作が登場している。
    • この回はなんと、初っ端からあらし達は死んでしまう。よってこんなタイトルである。
    • ドラキュラハンター』程ではないが、あらしで登場したのに「ゲームセンターで見かけないゲーム」として遊びたい子供達を彷徨わせた罪深いゲームでもある。『ドラキュラハンター』と『ミサイルコマンド』と合わせて「見つけにくいあらしのゲーム」と言われた。
  • 大型ゲームの一つであるが、日本で普及したのはテーブル筐体に収めた汎用タイプで、見かけたというのは後者の方が多い。汎用筐体で数少ない「上下二方向操作レバー」ゲームでもある。

移植

  • 単体での移植はATARI2600、5200、コレコビジョン、IBM-PC、AppleII、コモドール64などといった当時の主要ゲーム機やパソコンに移植されているが、時代が時代な故にこちらも現存品を探すのが難しい。
  • オムニバス形式での移植は以下に列挙したものに収録されている。残念なのはこれらが日本未発売であることか。
    • 『Williams Arcade's Greatest Hits』(SNES/GENESIS/PS/SS/Windows/DC/DOS 1996年 Williams)
      • 続編の『Defender II』(下記)や『JOUST』『Robotron2084』などを含んだ5作品の1つとして収録*1
      • 更にペットロボットの「ファービー」で有名なアメリカの玩具メーカーTiger Electronics製のゲーム機「Game.com(読みは「ゲームコム」)」版も、Tiger Electronics自身から発売された。
    • 『Midway's Greatest Arcade Hits Vol.1』(DC/N64/GBA 2000~2001年 Midway)
      • 共通収録作品は本作と『Sinistar』『JOUST』『Robotron2084』の4作品だが、機種ごとに追加収録作品が異なり、N64版は『SpyHunter』と『Root Beer Tapper』*2、DC版は『Defender II』(下記)と『Bubbles』が追加収録されている。尚、最後発だったGBA版は「追加収録作品無し」というなんとも寂しい内容である。
      • タイトルが『Midway~』となっているのは本作が出る約2年前に、Williamsブランドで出したビデオゲーム全作品の権利をMidwayに移管した後、MidwayがWMSグループから離脱したことによるものである。*3
    • 『Midway Arcade Treasures 1』(PS2/Xbox/GC/Windows 2003~2004年 Midway)
      • ここからアタリゲームズ、MidwayのAC作品*4も多数収録され、作品数も増加したことにより最も多くシリーズ化されたのがこれである*5
      • 尚、日本ではこのシリーズが元となった『ゲーセンUSA・ミッドウェイアーケードトレジャーズ』(PS2)が2005年にサクセスから発売されたが、 本作が未収録 というのが非常に残念と言わざるを得ない*6
    • 『Midway Arcade Origins』(PS3/Xbox360 2012年 Warner Bros. Interactive Entertainment)
      • 『Midway Arcade Treasures』シリーズの後継に当たるオムニバス作品集。ただし、全体的な収録数は「過去のシリーズから選抜したというべき内容」にとどまっている。
      • 尚、360版は2017年の1月にXboxOneの後方互換対応となった。*7

続編

  • 続編として、1981年にAC版『Stargate』がWilliamsからリリースされている。実際の開発は当時Williamsを退職したユージン・ジャーヴィスが立ち上げたデベロッパー、VID Kidsが担当。
    • ちなみに上記のオムニバス作品では、商標上の問題でタイトルが『Defender II』に改題されている。
    • 日本では1987年9月24日にHAL研究所からFC版『スター・ゲイト(Star Gate)』として発売された。おそらく日本では唯一の移植作品であろう。

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最終更新:2022年05月20日 13:52

*1 PS/SS/Windows/DC版には1982年のAC作品『Bubbles』が追加収録されている

*2 1983年に当時のBally MidwayがACで出した『Tapper』の姉妹作。日本ではセガが代理店として両作品を輸入していた

*3 尚、N64版で追加収録された2作品はどちらもBally Midway時代の作品

*4 Bally Midway時代の作品も含まれている

*5 以降『~2』、『~3』、Windowsのみの『~Deluxe Edition』、PSP版の『~Extended Play』が出ている

*6 実際、収録作品リストを見ると「Mortal Kombatシリーズは1作も入っていない」「同じ作者の『ロボトロン2084』は普通に入っている」「アタリゲームズ作品が多め」といったところ

*7 Midwayは2009年の2月に米国連邦倒産法第11章により倒産後、ワーナーグループに買収されたことからMidwayが保有していた作品の権利もそのままワーナーが取得し、現在はワーナーグループのビデオゲーム部門子会社が権利を保有している