ARMORED CORE 2

【あーまーど・こあ つー】

ジャンル 3D戦闘メカアクション
裏を見る
対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 フロム・ソフトウェア
発売日 2000年8月3日
定価 7,140円
判定 なし
ポイント 一人プレイは良好、ACニューカマー向け
対戦バランスは崩壊、理不尽なテクニックも横行
後続作『AA』の同時購入を推奨
アーマード・コアシリーズ


概要

3Dアクションシューティングというジャンルの中でも評価の高い『アーマード・コア』シリーズのPS2初進出作品。
PS1の『PS三部作』とは世界観を一新し、パーツデザインなども新たに作り起こされた。

ゲームの根幹となるシステムそのものは今までの作品と変わりなく、プレイヤーは人型機動兵器「アーマードコア(AC)」を操る傭兵「レイヴン」となって企業などの依頼を受け、資金を稼ぎ、機体を強化して次なるミッションへと挑んでいく。


ストーリー

「火星テラフォーミング計画」によって、人類は火星へとその行動範囲を広げる。
しかし、同時に火星には地球と変わらぬ企業間抗争の構図が持ち込まれ、統治組織LCCはあまりに非力だった。
かつての地球と同じく、火星では再びレイヴン達が飛び回る状況が現出。LCCは事態打開のため、地球から特殊部隊フライトナーズを招聘。
だがそれは、新たな時代の訪れを告げる戦いの幕開けを意味していた……


戦いの舞台を火星に移して展開される遠未来的なSF調ストーリーは、抑圧された地下世界が舞台だった過去作とはまったく異なる雰囲気を持つ。
一般的な「ロボット物」に近いストーリー展開は、PS三部作のファンからの賛否は分かれている。だが、その分流れが掴みやすいこともあり、初心者にも勧めやすい内容となっている。


PS三部作からの進化点

  • 新たなパーツカテゴリ
    • 今までのパーツカテゴリに加え、「ラジエータ」、「インサイド(機体内蔵型補助兵装)」、「エクステンション(補助兵装)」の三つが追加。
    • 既存武装に関してもカテゴリーが分けられ、エネルギーシールド、オービット兵器などが新規に追加された。 脚部パーツにも新脚部「フロート」が追加。
      • フロートは浮いているため水面を走り回ることができる。(他の脚は水面近くでホバリングして足先が少しでも触れるとエリアオーバー扱いで操作不能になり水没する。フロートでも静止していると水面に触れてエリアオーバーになってしまう。)
  • 熱量システム
    • 今回からACには「熱量」という概念が追加された。被弾により機体に熱が蓄積し、オーバーヒートを起こすと一定時間ダメージを受ける。
    • 本作ではまだ重要性は薄く、プレイヤーからはあまり重要視されていなかった。
  • 新機能「オーバードブースト」(OB)
    • 全コアパーツに搭載された新たな機能。大量のエネルギー消費と引き換えに、大型ブースタで機体を高速推進させる。ゲームスタイルをより高速戦闘寄りにシフトさせた要因である。
  • この作品から、ミッションブリーフィングが音声付きになった。

変更点

  • 「2次ロック」の導入
    • ACシリーズ特有のシステムで相手の移動ベクトルを加味して弾を発射する「予測射撃」というものがあるが、旧作と違い本作からは一定時間相手をロックオンし続けないと予測射撃を行わなくなった。これを通称「2次ロック(セカンドロックとも)」と呼ぶ。
      • PSシリーズでは目標をロックオンしていても相手の動きに合わせないと中々射撃が命中しなかったが、本作からは2次ロックをして撃てば基本的に目標に命中するようになった。
    • PS三部作に比べ、ACの挙動が遅めになった。

その他の要素

  • 『2』シリーズのみの特徴として「リミッター解除」が存在する。
    • 一時的にエネルギーゲージ関連の制約が消失、ブーストとエネルギー兵器の全てが使い放題となる。ただし一定時間が過ぎると長いエネルギーチャージを待たねばならない。
  • グラフィックはPS2のスペックをフル活用、PS2初期の作品ながら、既に中期~後期レベルのクオリティを実現している。
    • フロムのお家芸、「ハイクオリティなOPムービー」は更に洗練され、多くのレイヴンを魅了した。

評価点

  • プラットフォームがPS2に移行した事でグラフィックが美麗になり、特にフレームレートが上昇したため滑らかさが飛躍的に向上した。また、カメラの追従もクセが多少緩和され、画面はかなり見やすくなっている。
  • ストーリーは所々CGムービーが再生されたりして、ACシリーズでも理解しやすい部類に入る。
  • 詳しくは後述するが、対戦で猛威を振るったテクニックはあくまで対戦やアリーナに限った話であり、様々な状況に対応しなければならないミッションの攻略には向かない。三大武器と呼ばれる対戦ご用達の武器も、弾数やサイト周りの関係で殆どのミッションに対応できないのである。
    • 次回作『AA』ですら死にカテゴリとされるマシンガン系も、本作では弾薬費が安いという特徴を持っており、長丁場のミッションでも勿論、機動性の低い敵が多い事やサイトが広いなどから非常に扱いやすい。
    • 敵ACのロジックが進歩していないとはいえ、アリーナの面々は決して初心者にとって生易しい相手ではない。敵の側面を突く重要性、各武装の相性、一見強力なACでも距離を見極めると…といった知識を学ぶには過不足無いレベルにまとめられている。
  • 初心者救済処置の強化人間モードは今作も存在。
    • ただし一周目でしかなれないのも注意。後の『AA』で強化人間で遊ぶには、今作で強化人間になっているデータを引き継がないといけない。
  • 上記の点により一人プレイに関しての評価は高い。
    • これらにより、これからACを始めたいという人には『2』と『3』が最も推奨されている
  • 『2』系はなぜか言語設定を英語に変更できる。敵のセリフやミッションブリーフィングも英語になる(ラスボスの英語版セリフが一部でネタ扱いされた)。
  • ガレージ画面が格段に使いやすくなり、パーツを変更する際に装備中のパーツからのパラメータの上昇、下降比較が表示されるようになった*1。また、PSシリーズではショップ画面でしか確認できなかったパーツ説明文もガレージで確認できるようになった。
    • ガレージではACを3機まで構築できるようになり、「ミッション用」「アリーナ用」といった用途に合わせた機体を準備しておけるようになった。

問題点

意欲的な本作ではあるが、PS2初進出作品ということもあって粗も多かった。

  • アクション面
    • アリーナの敵ランカーは強力な武器(KARASAWA-MK2など)や強化人間・基準違反機体(シリーズ恒例の公式チート要素)に頼ったものが多く、ロジックがあまり進歩していない。こちらをろくにロックオンしないランカーや、オーバードブーストでエリア限界を振り切って飛んでいってしまうランカー、壁にはまったまま動かなくなるランカーなどがいる。
    • 処理落ちが酷い。複数機がマシンガンやミサイル、爆発武器を撃ちまくればスローがかかる。
  • システム面
    • パラメータの複雑さは相変わらずで、重要パラメータが極めてわかりにくい点が修正されていない(更に表示方法にも難がある)。ダミーパラメータ・隠しパラメータも健在。
      • 隠しパラメータはPSシリーズと比べて大幅に減っているものの、脚部の内蔵ブースタ性能などは相変わらず表示されない。タンクや新カテゴリのフロートは実際に使用してみて挙動を確認するしかない。
    • メニュー画面でのコマンド移動が妙に遅い。
  • 難易度選択の不備
    • ノーマルとハードの2つから難易度が選択できるのだが、ハードモードはなんと自機のロックオンサイトのサイズが約1/2に縮むだけ。ロックオンの難易度が約2倍に上がるというのは結構恐ろしいものである。
    • 対戦モードではノーマル・ハードのどちらで行うかにより、ゲームバランスが全く変わってくる。これが問題視された。
    • この仕様は『3』シリーズまで継続し、NXで廃止された。
      • 後の『AA』にて緑ロックオン(障害物の識別機能)が実装されるが、ハードでは働かなくなる。
  • 対戦バランス
  • 対戦ツールとしては問題が多過ぎる。
    • 左右に動きながらエクステンションの「バックブースタ」を切り返しながら連発する「デンプシーロール」という回避テクニックが存在する。あまりにも回避力が高すぎる事、機体の重量に関係なく非常に高い回避力が得られる事、エネルギー効率が良すぎる事などが問題。
    • OBが非常に強力な上、何のリスクもない。
    • 以上2つの仕様に加え、通常ブースト速度に厳しい上限が設定されたため、軽量機はほぼ役に立たない。
    • 各パーツの性能バランスに関してもかなり劣悪。
      • 頭部:レーダーを搭載していないパーツは伝統的に産廃。防御係数のことも考えると選択肢はわずか。
      • コア:中量コア「ROOK」一択であろう。
      • 脚部:選択肢に入るのは重量二脚と重量逆関節ぐらい。デンプシーロールができない四脚・タンク・フロートは産廃。四脚とフロートはそれ以外の性能も悪い。
      • FCS:予測照準(PRECISION)が8のもの以外は産廃。近距離戦主体で辛うじて6のものが使える程度である。
      • ラジエーター:被弾時しか熱が発生しないので、重量と消費ENの軽さだけで選べば十分。
      • 武器:反則的な強さの「KARASAWA-MK2」をはじめ、111ハンドガン・Eスナ・ハングレの「三大武器」が猛威を振るう。一方で、マシンガンやショットガンは火力の低さから非常に使い勝手が悪い。
    • 長すぎるリミッター解除時間も問題。対戦終了時間直前に発動、OBでの勝ち逃げを狙う展開が頻発。
    • この作品でシリーズ初の全国大会が開かれたが、上記のバランスを忠実に反映した機体構成・戦法が多かった。
  • 細かな部分の仕様変更
    • 上記で挙げた「2次ロック」。一定時間ロックを維持することが必須となってしまったため、サイトNDのFCSが軒並み使いづらくなった。
      • 重要なシステムなのにゲーム中で一切説明がない。
    • PSACシリーズに存在した様々な隠し仕様が撤廃。わかりやすさという点でこそ評価できるが、仕様に合わせた調整をしていないためアセンの幅を大きく狭める結果となった。これらの問題は後のシリーズ作品にも影を落としている。
      • エネルギーゲージ回復速度の上限撤廃。これによりジェネレーターの選定基準は出力の高さだけになってしまった。
      • ジェネレーターの重量も機体速度に影響するように。にもかかわらず超重量ジェネレーターなどの焼き直しパーツは据え置きというお粗末さ。
      • フレームパーツ以外の消費ENもエネルギーゲージ回復速度に影響するように。
    • 本作『2』のみだが、「エネルギーゲージ回復速度の上限=ブースター使用時のゲージ消費速度」という謎のシステムになっている。よって低消費タイプのブースターを使っても燃費があまり良くならず、高出力なもの以外使う価値はない。

総評

アーマード・コアシリーズ最初の転換期である作品。
新ハードへの移行に伴うシステム大幅変更により、ユーザーにも結構な入れ替わりが生じた。
以降、『ラストレイヴン』まで、PS2のアーマード・コアはおおむねこの『2』の方向性を引き継いでいる。
その1発目だけに、本作には試行錯誤の形跡が多く見られ問題点も散見される。

とはいえ、シリーズの中ではミッション難易度も低めでストーリーもわかりやすく、AC初心者には『3』と並んでお薦めな作品である。

本作のセーブデータは次回作『2 アナザーエイジ』に引き継げるので、本作が気に入ったなら購入してみるといいだろう。

余談

  • 本作のBGMには『リッジレーサ-V』にも楽曲を提供したドイツのテクノミュージシャン/DJであるMijk Van dijk(マイク・ヴァン・ダイク)氏が「Robo.Com.bat」と「Theme From Armored Core 2」の2曲を手掛けている*2

+ タグ編集
  • タグ:
  • PS2
  • 2000年
  • ACT
  • フロム・ソフトウェア
  • アーマード・コア

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年01月30日 16:05

*1 ただし、あくまでパラメータの上下を表しているだけなので、重量やEN消費の優劣がパッと見でわかりにくい難点がある。

*2 サントラでは1曲目と25曲目に収録されている。