エクストルーパーズ

【えくすとるーぱーず】

ジャンル マンガチック爽快アクション

対応機種 プレイステーション3
ニンテンドー3DS
メディア 【PS3】BD-ROM
【3DS】3DSカード
発売元 カプコン
開発元 カプコン(3DS版)
ヘキサドライブ(PS3版)
発売日 2012年11月22日
定価 パッケージ / ダウンロード
【PS3】6,658円 / 5,143円
【3DS】5,705円 / 4,752円(全て税別)
備考 【PS3】オンラインマルチプレイ対応
【3DS】3D立体視対応
判定 なし
ポイント アニメ風ロストプラネット
TPSの入門編
忙しなく動くマンガ
ギンギラ一番星
ロスト プラネットシリーズ
エクストリーム コンディション(コロニーズ) / 2 / 3 / エクストルーパーズ


概要

3DS/PS3の変則マルチでリリースされたカプコンのアクションSTG。
ロスト プラネット』シリーズと世界観を共有しているが作品の雰囲気は180度異なるロボットアニメ調のものになっている。

『ロスト プラネット』シリーズでお馴染みの極寒の星「EDN-3rd」を舞台に、「アカデミー」の訓練生としてミッションに赴く内容である。


ストーリー

NEVECの教育機関・アカデミーに入隊した主人公、ブレン・ターナー。
故郷を離れ、アカデミーのある入植実験候補第三番惑星EDN-3rdへいよいよ降り立とうとしたその時、突如現れた謎のVS(バイタルスーツ)の集団が、ブレンたちを乗せた連絡艇に攻撃を仕掛けてくる。
ブレンと教官・ウォルターは、新型VS《ギンギラ》のオペレーションに導かれ、謎のVS集団と戦闘することに。
激闘の末、VS集団を撃退することには成功するも、ブレンたちはEDN-3rdへの単独大気圏突入を余儀なくされてしまう。
迫る大気圏。ブレンとウォルターを乗せた脱出ポッドは、EDN-3rdへと落ちていくのだった…。


特徴

  • マンガを意識した演出。
    • ジャンル名が「マンガチック爽快アクション」である通り、イベントシーンが漫画仕立てになっている。キャラはトゥーンレンダリングで描写され、コマ割りのシーンや吹き出しのセリフでテンポ良く進行する。
    • イベントムービーは正に動くマンガと言える代物。会話のみのイベントは四コママンガのように一コマずつ映す形になる。
    • ミッション中も書き文字や集中線が表示される。ペルソナシリーズのマンガ風演出を更に強めたようなもの。
  • 基本は『ロスト プラネット』同様、ミッションクリア式の進行方法。『ロスト プラネット』に登場したVSやAKも敵として多数登場する。
    • ミッションには「〇分以内にクリア」「〇〇のダメージを一定値以下に抑える」などチャレンジ項目が設定されており、達成するとコスチューム解禁に使えるメダルが貰える。
    • ストーリーミッションの合間にはベースでNPCと会話したりVRミッションに挑戦したり武器を改造したりできる。
  • 『ロスト プラネット』と違ってVSに自由に乗降はできず、特定のミッションのみの搭乗となる。
    • 今回はVSは主人公専用機が用意されている。主人公機「ギンギラ(CV:子安武人)」はスマートなデザイン、高い機動性、AI搭載と、ロボットアニメの主人公機らしいものとなっている。
  • TPSの入門編と位置付けられおり、システム回りもシンプルにまとめられている。
    • マシンガンやアサルトライフルと言ったメイン武器、グレネードランチャーやライフルと言ったサブ武器(属性付き)を一つずつ同時に所持できる。メインとサブにそれぞれボタンが割り当てられている為、武器チェンジの必要が無い。
    • 武器は全て弾数が無限であり、ガンガン撃ちまくる事が出来る。但し、弾倉が空になるとリロード時間が発生するので無敵とまではいかない。
    • 主人公達はジェットパックを装備しており、高速移動が可能。
      • 一気に敵に近付いて素早く格闘攻撃を繰り出す事もでき、殴り飛ばしてから射撃で追撃すると言った戦法もある。
    • T-ENGを集めると「EX-T(エクスサーマル)ブラスト」と言う強力且つ派手な必殺技も放てる。
  • ミッション時のコスチュームが変更可能で、主人公のブレン以外の仲間キャラの着せ替えも可能。
    • 通常は戦闘用スーツで出撃するのだが、これが制服やジャージ、水着が選択できる。普段着が制服(もしくはジャージ)だけと言ったキャラにもしっかり差分が用意されている。但し、衣装固定のミッションもあるので、その場合は変更できない。
    • ブレンのみ、ベース内の普段着も変更可能。また、VRミッションでは別人をアバターとして設定することもできる。
      • ブレン専用コラボ衣装も多く、『モンスターハンター』のレウス装備や「JOYSOUND」のロゴの入ったジャケット、メガネブランドの「Zoff」のメガネなどがシークレットコードを入力することで入手できる。
      • シークレットコードは公式サイトで公開されていたが、現在では簡易的な紹介ページだけになってしまっているので掲載されていない。しかしアーカイブで参照可能なのでご安心を。
      • また、衣装ではないが「餃子の王将」の餃子*1オロナミンC*2ともコラボしており、実際にカフェで注文できる(こちらもシークレットコードは必要)。

評価点

  • 小気味良く、見るだけでも楽しめるマンガデモ。
    • マンガ風のイベントシーンは『HOSPITAL. 6人の医師』や『GRAVITY DAZE』など他にも例はあるが、本作は実際に3Dキャラやメカがコマの中で動き周り、時にはコマ枠をブチ破って飛び出したりなど、忙しなく動く躍動感溢れる演出になっており、そこに更に集中線や擬声音、漫符と言ったマンガ演出を加える事で、ムービーの迫力と臨場感、マンガの軽快さを併せ持った目まぐるしいイベントシーンとなっている。
    • ゲーム開始時はマンガ演出ではない普通のムービーから始まり、ある場面からマンガムービーに移行する。そしてエンディングでまたマンガムービーから元に戻る。この際もなかなか粋に演出されている。
    • ちなみにPVは2Dのフルアニメで描かれており、こちらもゲーム中に閲覧可能。
  • 簡単操作で爽快感が味わえる戦闘。
    • 弾切れを気にせず撃ちまくれる&武器の切り替えが不要というシンプルなシステムながらバトルは爽快感のあるものになっており、「ガッガッガッガッガッ」「ドォォォォン」と言った大袈裟な書き文字や集中線が戦闘を盛り上げる。
    • ジェットパックによる高速移動やEX-Tブラストも、『ロスト プラネット』には無い、本作ならではのスピード感や派手さがある。
    • 難易度も抑えめで、TPS初心者やアクションが苦手な人でも楽しめる。
      • 無論、ヌルゲーということはなく、後半のミッションや高難易度のVRミッションは歯ごたえのあるものも少なくない。また、メダル獲得を目指すとなると難易度も上がる。
      • カフェで食事をすると次のミッションでバフの恩恵を受けられるので、上手く活用すれば有利に進められる。しかも食事の度に主人公が毎回「う、美味ぁーーーい!」などと叫ぶので非常に印象に残る。
  • ストーリーは熱血ロボット物の王道ノリで、仲間達との友情、強敵との戦いなど、陽性のキャラ達による熱い展開の数々をギャグ、シリアスを交えながら描く。そしてそれらを越えた最終決戦はアニメの最終回の如く白熱の盛り上がりを見せる。
    • シナリオ担当は『カウボーイビバップ』や『交響詩篇エウレカセブン』などに携わり、『エースコンバット3 エレクトロスフィア』のシナリオも手掛けたアニメ脚本家の佐藤大氏。カプコン作品としては同年発売の『バイオハザード リベレーションズ』に続いての起用となる。
    • 熱苦しい主人公や「ギンギラギン」「エクスサーマルスーパーパワー」と言ったダサダサなネーミングなど、激しく人を選ぶ点はあるもののノリは良く、マンガチックなムービーのテンポの良さも相まって、ストーリーの流れは軽快。
  • 登場人物も、クールでエリート志向のライバルや神秘的なヒロインと言った王道キャラから、メカオタクの女、頼りない先輩、曲者揃いの教官などと、実にアニメチックで多彩。
    • メインキャラは本格的に登場した際に「情熱爆風ギンギラギン!轟音ファイヤースターター!」「舞い散るキラキラ!わくわくマックス!運命のトキメキ美少女!」など、無駄に大袈裟なキャッチコピーを引っ提げて紹介されるのもノリの良さを強調する。
    • 主人公機のギンギラも子安氏のイケメンボイス且つ紳士的な口調で話すという強い印象を放っており異彩を感じさせるが、ただジェントルメンなだけではなくしっかり熱い所も見せてくれる、頼りになる相棒である。
    • メインストーリーに関わるキャラのみならず、サブキャラ達もひたすら濃い。しかも仲間になるサブキャラにはいずれも専用サブミッションが用意されており、中には眼鏡を外す、ダイエットするなどで外見が大きく変わるキャラもいる。
      • モブNPCですら多くにも名前と個性付けがされている。ミッションが一つ終わる度にほぼ毎回台詞が変わるので、話しかけて回るだけでも楽しめる。
  • BGMはテクノ、トランスやEDM系の曲が揃っており、ボーカル曲も導入されてストーリーを更にノリ良く仕立てている。
    • OP主題歌『Mr.Super Future Star』も非常に爽快でゲーム開始前からプレイヤーのテンションを高めてくれる。
    • 挿入歌『Starry Conversation』は雰囲気の異なる2バージョンが随所で流れ、ミッションやイベントシーンを盛り上げている。
      • 特にその片方の「Triangle mix」は要所要所で効果的に使われており、ラスボス戦でもBGMに使用されている。正に本作のメインテーマ、イメージソングと言っても良い。
    • ディスクを手に入れればベース内で好きな曲を掛けっぱなしにすることも可能。
  • 豪華な声優陣
    • メインキャラには上記の子安氏の他にも人気と実力を兼ね備えた声優を揃えている。
    • サブキャラも新人から大御所まで幅広い起用となっており、教官等の大人キャラにはベテランを、学生キャラには若手・新人と言ったようにキャラの年齢にある程度沿った声優を起用しているケースが多いのも特徴。

賛否両論点

  • システム関連
    • その性質上、TPSとしては良くも悪くも敷居の低さと爽快感重視。TPS熟練者がやるには物足りない面も。
    • VRミッションや協力プレイではブレン以外のキャラも使える*3が、性能差はあまり無い。
    • VSに搭乗するミッションが少ないのも残念。中盤の競技大会とその練習以外では(ラスボスを含む)ごく一部のボス戦程度である。VRミッションでもVSに乗るものは無い。
  • キャラクター関連
    • キャラ描写こそしっかりされてはいるものの、それぞれのキャラの過去や背景については殆ど語られない為、掘り下げという点では不十分。
    • 主人公であるブレンの性格は上述した通りかなり好き嫌いがわかれる。「ギンギラ一番星を、俺は目指す!」などと常日頃から叫ぶような熱血バカで、この熱いノリを受け入れられる人にはとことん人気だが受け入れられない人にはただのイタい奴にしか思えないだろう。
      • その分ウジウジした所や嫌味な点などのネガティブさは一切無い徹底した陽気キャラなので、そう言ったマイナス的な部分でプレイヤーを不快にさせる事はない。また、後半のヒロインが加入する頃からはシリアスな顔も多く見せるようになる。
    • ヒロインであるティキは登場が遅く、加入もストーリーの半分以上が終わってから。ストーリー的にはしっかりヒロインを務めているのだが、全体で見ると寧ろ序盤から登場しているジュリィの方がヒロインらしく感じるかも。
      • 本作は全6エピソードだが、エピソード5はラストバトル三連戦のみ。エピソード6はエンディング後なので、本編は実質的に4エピソードとなる。その中でヒロインの正式な登場はエピソード2のラスト。加入はエピソード3の後半に差し掛かった頃である。

問題点

  • ストーリー関連。
    • 軽快なのは良いが、テンポが良過ぎて終盤は駆け足気味であり、いくつかの伏線も未消化で終わってしまっている。
    • 全てを捨てて主人公に挑んできたライバルとの決闘シーンがあるのだが、横槍が入って決着が付かず終いだったにもかかわらず、ライバルは以降はそれまでの確執など無かったかのように主人公に協力的になる。
      • バトル自体は熱く、全力でやりあって吹っ切れたという事はなんとなく読み取れるのだが、直前までの様子との差が激しく唐突な印象も否めない。一応、決闘中に何かを感じ取ったという事は語られるが、もう少し描写があっても良かったのではないだろうか。
      • また、ライバルの上官であり、黒幕に忠実だった教官は最終的に黒幕に捨てられるのだが、次のミッションではいきなり改心して主人公に協力するようになる。黒幕に捨てられた際の嘆き様が嘘のような復活ぶりであり、こちらも一応別の教官の説得を受けた事は窺えるのだが、やはりもう少し描写が欲しかったところ。
    • 普通にプレイするなら10~15時間程度でクリア出来る為、アクションゲームとは言えボリューム不足感がある。
      • 紹介ページには「18時間以上」と書いてあるが、VRミッションや武器強化をじっくりやり込まなければそこまでは掛からないだろう。
  • ミッション中にジャンプができない。
    • また、『ロスト プラネット』と違ってロープアンカーは特定の状況下でしか使えない。
    • あちらとはゲーム性が異なり、どちらも必要な場面自体がその都度しか無いのだが、本家プレイヤーには気になるところではある*4
  • ラスボスが非常に弱い。
    • 盛り上がった割にはただの避けゲー+連打で終わってしまっている上、こちらのHPもどんどん回復するので負けようが無いと言っていいほど。前哨戦のボスの方がよっぽど強い*5
    • 他のゲームでは、主人公側が圧倒的に有利な条件で戦うイベントバトルのようなラスボス戦も存在するが、本作のラスボスは大仰な演出でいかにも最大最強の敵のように現れる為、肩透かし感が大きい。
      • ラスボス戦前にブレンの「みんなついてる!楽勝だ!」と言う台詞があるのだが、「本当に楽勝でも拍子抜けで困る」というものである。

総評

『ロスト プラネット』本編に比べ、作風は勿論、TPSとしてもライトな方向に転換した一作。
ノリのいい軽快なムービーとストーリー、システムや難易度も取っ付き易く、一般的なTPSを硬派な作風や難易度で敬遠している人にお勧めしたい作品である。
それ故にTPS熟練者や硬派な作風を求める人にはあまり向かない。その辺りも正に「TPSの入門編」と言ったところだろう。


余談

  • 当初は3DS専用で開発していたものを途中でマルチ化された経緯を持つ。
    • 3DSのグラフィックを無理にHDに起こしたためかPS3版はグラフィックがかなり粗い。そのため販売店によっては3DS版とPS3版で価格が大きく異なる。
  • 後半はとある現象や事件が起こり、モブ数名がベースから姿を消す。明るい作風なだけあり「実は無事でした!」という展開で安心……と思いきや、1人だけ行方不明のまま物語が終わる。
    • クリア後はしれっとベースにいるが、他のモブが戻ってきた時と異なりフォローがなく、そもそも時間軸が本編よりも後とは限らないため不気味。
  • 真偽は定かではないが、本作は「開発中止になった『ロックマンDASH3』のノウハウで作られた」と言われている。
    • 本作がTPSなのに対して『DASH』シリーズはアクションRPGだが、確かに3D空間での楽しいバトル、多様なサブウェポンと言ったゲーム性、NPCを含めた個性的なキャラ、明るめの世界観など似通った要素は多い。
    • また、奇しくも1作目のオリジナル版では本作同様にオロナミンCとコラボしていた。
  • 本作のキャラクターデザインを担当した実田千聖氏は、その後TVアニメ『マクロスΔ』のキャラクター原案を担当している。河森正治氏が本ゲームを気に入り、キャラデザに難航していたところ白羽の矢を立てたとの事。
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最終更新:2022年10月24日 14:05

*1 ちゃんと箸で食べる。

*2 飲んだ後の叫びは勿論「元気ハツラツ!」。

*3 ブレンが他人のアバターを使っているという設定。

*4 『ロスト プラネット 3』も同じ仕様になったがあちらは本家でやってしまったため、批判の的になってしまった。

*5 その敵はロボットアニメでは定番とも言える黒い主人公機で、こちらもこちらでクライマックスの雰囲気が強く盛り上がる戦いになっている。