第2次スーパーロボット大戦G

【だいにじすーぱーろぼっとたいせんじー】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 ゲームボーイ
発売元 バンプレスト
開発元 ウィンキーソフト
発売日 1995年6月30日
定価 5,980円
判定 良作
スーパーロボット大戦シリーズ


概要

ファミコンソフト『第2次スーパーロボット大戦』のリメイク作品で、スーパーゲームボーイ対応ソフト。
『機動戦士Vガンダム』『機動武闘伝Gガンダム』の初参戦作品でもある。特に後者は、放送終了からさほど時間が経っていないにもかかわらず、終盤のイベントまで再現されている。

当時の広告には、「第2次大戦の真の姿」と記載されていた。

+ 参戦作品一覧

★マ-クは新規参戦作品。

  • マジンガーZ
  • グレートマジンガー
  • UFOロボ グレンダイザー
  • ゲッターロボ
  • ゲッターロボG
  • 機動戦士ガンダム
  • 機動戦士Ζガンダム
  • 機動戦士ガンダムΖΖ
  • 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
  • 機動戦士ガンダムF91
  • ★機動戦士Vガンダム
  • ★機動武闘伝Gガンダム
  • 魔装機神サイバスター

特徴

  • シナリオが一本道だった本家とは違い、ルート分岐が登場した。但し基本的に、本家のストーリーに沿ったルートと、『Vガンダム』のストーリーに沿った本作オリジナルのルートの2本に分岐するのみ。
    • 総ターン数によって出現する隠し要素は無い。
  • システムは当時の最新作『第4次(SFC版)』に準じたものに変更され、ユニットの改造や乗り換えができるようになったほか、反撃をマニュアルで選択できるようになった。ただし「運動性」のパラメータは存在しない。それ以外の特徴は以下の通り。
    • 武器は最大4種類まで。数だけ見ると少ないが、原作では2個だったため、実質2倍になっている。
    • ゲッターロボ以外の合体ユニットは出ていない。グレンダイザーは、各スペイザーとの合体形態に「変形」する扱いで、パイロットは1人のまま。
    • 強化パーツは存在しない。ユニットフル改造で強化パーツが装備されるが、これは現在で言うフル改造ボーナスのことで着脱が出来るものではない。
      • 特殊能力として追加されるのだが、どの能力が追加されるかは機体ごとに異なる。ステータスが上がったりバリアが付与されるなどの効果がある。
    • ユニットは地形に関係なく、1マス移動するごとにエネルギーを1ずつ消費する。他作品と異なり、地上を移動する場合も該当。

評価点

  • ストーリーの調整
    • 当時のスパロボシリーズのストーリーは、「第2次→第3次EX第4次」という流れになっていたが、『第2次』で敵であったレコアが『第3次』で何食わぬ顔をして味方として出てきたり、ロザミア登場のイベントが『第4次』で何事もなかったかのように繰り返されたりと、おかしな点があった。本作ではその辺りを見直し、以降のシリーズと矛盾する点を極力改変している。
    • 一方、『第3次』で初登場であった剣鉄也やリューネが仲間になるという新たな矛盾も登場したが、これらは一種のファンサービスとも取れる。
      • 特に前者は、『第3次』で甲児に「前作に出なかったから文句を言われた」と愚痴られていたのだが、本作では「すまん、本当は出るつもりはなかったんだが…」と、楽屋ネタ的な発言をしている。
      • 後者はいわゆる隠しユニットで、入手条件はかなり厳しい。また、最終話の前に必ず離脱してしまうため最後まで使う事ができないが、ストーリーの都合上ラスボスとの関係を考えれば当然とも言える。
    • 本作のジン・ジャハナムは、「Vガンダム」本編とは別の人物が名乗っているという設定になっているが、その人物の目的を考えると理にかなったものになっている。
  • ゲームバランスが良く、難易度はかなり抑えめとなっている。
    • リアル偏重へと突き進んでいく据え置き作品と違い、スーパー系でも出番がある。資金不足もメカザウルス・ダイを高額ユニット化し所々で登場させることで回避している。
    • 運動性の概念が無いため、スーパー系でも当てられるし、ある程度避けられる。また、装甲が全体的にかなり低く、スーパー系でも完全に耐えきるのは不可能に近い。スーパー系とリアル系といった特徴付けがあまり顕著ではなく、その分バランスが取れてるといった感じか。
    • 装甲が低いのは敵も同じで、序盤に出てくるザクやゾロといったザコ敵はスーパー系なら一撃、リアル系でもクリティカルが出ればほぼ一撃で倒せる。
    • 追加参戦した「Vガンダム」の後期主役機であるV2ガンダムは、そのままでも十分強いが、フル改造することでV2アサルトバスターガンダムに変化し、本作最強クラスの戦力となる。「Gガンダム」の主役機であるシャイニングガンダム、およびゴッドガンダムも非常に強力で、ファンから喜ばれている。
    • こちらがやられる前にこちらから攻撃に出れば名無し雑魚はほぼ倒せる、待ちプレイで敵が近づいてきてから攻撃する方法ならなお簡単である。
  • これらの理由から、旧シリーズでは『EX』のマサキの章と並んで最も初心者向けとなっている。プレイ環境さえ整っていればまずこの作品で慣れるのもいいだろう。
  • 脇役でも育てれば使える。
    • 原作では、プル(またはプルツー)以外の「敵から寝返る仲間」は途中で離脱していたが、本作では最後まで使用が可能。
    • リメイク前と違って乗換えができるので、非主役級キャラでも活躍可能。また、今作はNT補正などがなく、単純に能力値でしか差が付かないため、一軍パイロットと絶望的な戦闘力の差が付くと言った事はほぼない。
    • 戦闘用の精神として気合・ひらめきが今作では非常に重要なのだが、アムロ・カミーユなどはこれらの精神を覚えず、シュラク隊などの能力的に劣るパイロットなどが覚える事が多く、バランス調整に一役買っている。ジュンコ・オリファー辺りは相性のいいユニットに乗せれば、アムロ・カミーユにすら匹敵するほど役立つ。
  • BGMのアレンジが良い。
    • 初参戦のVガンダムの「don't stop carry on」・Gガンダムの「FLYING IN THE SKY」は特に良い。もっとも、この頃の作品は戦闘アニメが短いので曲の最後まで聴けないという欠点もあるが。
  • 既存参戦作品にもイベントが追加された。
    • 前述した鉄也、リューネの加入のほか、キャプテン・ラドラに関するイベントが新たに追加。仲間にできたりはしないが、リメイク前では何のイベントも会話もなかったのだから、評価点と言えるはず。そもそもゲッター(特に無印)はスパロボにおける扱いが不遇であり、ゲッター系としては決して無視できない点である。
    • 原作には登場しなかったデギン・ソド・ザビに関するイベントも追加された。シャアが意図的にデギンのいる場所に気づくよう自軍を誘導した結果で、そこに駐留していたアドラステア*1を撃沈することで、自軍が知らないまま、搭乗していたデギンも死亡するというもの。
      • デギンが登場するスパロボ自体非常に少なく、彼を自分たちの手で葬れるのは本作が唯一となっている。
  • 何気に高性能な反撃システム
    • マニュアルで反撃設定出来るようになったのは上に書いたとおりだが、実は設定を「マニュアル」にせず、「積極的に」を選択しておいても、戦闘前の武器表示画面でBボタンを押すと「マニュアルでオーバーライド可能」だったりする。
      こうしておくと、初期は積極的になので、「当たると落ちる場合は防御か回避が初期選択」となるので、反撃してもいいのかがわかりやすい。反撃すると決めたらEN節約のために弱い武器、逆にダメージ重視で強い武器と選べるので、最初からマニュアルにしておくより便利である。

問題点

  • 変更による問題点
    • FC版にあった最終盤シナリオ「ラストバタリオンふたたび」が何故か削除されており、敵の最強部隊「ラストバタリオン」と再戦する機会がなくなった。
      • この所為で、カロッゾなどは本当に顔見せで終わってしまう。ただし、顔見せのシナリオ「脱出」でも撃墜することが難しくなくなっており、腕に覚えのあるキャラクターは積極的に挑戦できるようになった。
    • シリーズの名物であったギルギルガンも登場マップが削られているため、本作では不参戦。
    • 精神コマンド「集中」の効果が、オリジナルの「直感」に近い「命中率・回避率+10%」という効果となっている。(同様のシステムの第4次では+30%となっているので、大幅な下方修正)。
      • 結果、ほとんど意味のない微妙な精神コマンドになってしまった。
    • 登場に矛盾が生じるプルツーとロザミア、レコアは存在自体が削られた。これに伴い、原作で使用可能だったサイコガンダムMK-IIとクィン・マンサが使用不可能になっている。
  • 一部フル改造ボーナスのバグ及び、設定ミス(?)
    • フル改造ボーナスの一つ、限界が上がる「バイオセンサー」の意味がない
      • 改造だけで上限値である255まで上昇してしまう。
      • それ抜きにも、普通にやってるとパイロットの能力値は100代後半くらいまでしか上がらないし、MAP兵器で頑張って一気にレベル80~90まで上げても200を上回る程度。
    • ゾロアットだけは敵のデータの流用のためフル改造ボーナス自体が存在しない。
    • ダブルスペイザーとマリンスペイザーのフル改造ボーナスが実際には発揮されない。また地球製スペイザーを手に入れると、本来のスペイザーには変形できなくなる。
  • その他バグ
    • ゲッターロボの精神コマンドにバグがある。利用するとゲッターチームの精神は実質無限に使える。
    • ゲッターとグレンダイザーは、装甲と反応の改造が他形態に反映されない。
      • 該当項目を強化するには機体パワーアップ前に改造しておく必要がある。
  • その他細かい点
    • 特殊能力ビームバリアジェネレーターの説明が、「ビームを反射する」といういかにもビームを跳ね返して相手にダメージを与えると思える説明になっているが、実際はIフィールドと同じビームを無効にするだけですごく紛らわしい。
    • 敵メカのゾロアットを1機だけ入手できるが、条件付きである上にラスト近くに手に入る為、使い道が無い。しかも上記の通りフル改造ボーナスも無い。
      • ウッソは「凄いですよ!貴重な戦力になります。ガンイージよりは強いですし…」と、褒めているのか貶しているのかわからない評価をする。確かにガンイージより強いが、最終面近くでその程度では…。きれいなカテジナさんのおまけとして考えるべきだろう。
      • 恐らく原作に登場した味方版ゾロアット(ホワイトアット)を意識したのだろうが、ゲームボーイソフトでは色は表現できないので…
      • 一応スーパーゲームボーイ対応なのだが、実質専用フレームのみで、カラーの再現には至っていない。
    • 地形効果がおかしい。シリーズ他作品だと山や森では回避率がアップするのに、この作品では下がる。
      • ゲーム内で地形の説明をよーく見るとたしかに下がると取れる表記なので、バグではなく設定ミスだと思われる。
      • ただし防御効果は普通に受けられるし、これを含めても難易度は低め。
  • 本作ではハンゲルグやミューラが登場せず、冒頭でウッソが「ホワイトベースに乗っていれば、両親に会えるような気がするんだ」と発言するが、まったくそんな事はなく終わる
    • 原作におけるウッソの初期の行動原理の再現であり、ホワイトベースに乗る動機付けとしては悪くないが、結局は消化不良な話題になってしまっている。

総評

ウインキー時代のスパロボにしては、ストーリー、ゲームバランス、テンポの良さともに手堅くまとまっており、リメイク前とは比較にならないほど遊びやすくなっている。
現状配信などは行われていないので実機で遊ぶしかないが、『第2次』をプレイしたいなら本作がオススメと言える。


その後

  • 後に発売された『第4次スーパーロボット大戦S』の説明書には、FC版ではなく本作のストーリーについて触れられていた事からも分かるように、本作は第○次シリーズにおける「正史」である。
    • 連邦公式発表の『第2次』(FC版)では語られなかった真実、という位置づけ。しかし『第4次』のリメイク作である『F』が発売された後は、Gガンダム関係に矛盾がある事などもあってか、うやむやにされた感がある*2
      • 一応、両方の作品はそれぞれの元作品のパラレル扱いにされている。
      • 本作のネタバレになってしまうので詳細は避けるが、『第2次G』→『第2次』の段階で削除された一部のキャラの描写や参戦作品は連邦軍にとって「都合が悪い」ものであったため歴史の闇に葬られた、という設定。後に寺田氏が脚本を担当する『α』や『OG』においても本作の設定をベースにしている。
  • 『第2次』に関してはその後、『F』のシステム準拠の『コンプリートボックス』で2度目のリメイクがされたが、評判は良くない。

余談

  • 本作は、多くのスパロボシリーズのプロデューサーとして活躍した寺田貴信氏の初プロデュース作品である。
  • 本作の文字あれこれ
    • シャイニングガンダムの武装「シャイニングフィンガー」の「フィンガー」の部分はそのままだと文字数制限に引っかかる為ひとかたまりの専用の文字フォントが使用されており、Vガンダムのパイロット「マーベット=フィンガーハット」にも流用されている。
    • グランゾンのグランワームソード使用時のシュウの台詞に「グランワームソードに きれものは ない!」という誤植がある。「斬れねぇものはない」という言い回しの可能性もあるが
      • 一時期は「ぬ」のフォントが存在しない為、似たような文字である「ね」で代用したという説が流れていたが、ジェリド撃墜時の台詞に「こんなとこで しものかよ!!」で「ぬ」が使用されており、この説は誤りだとされている。

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最終更新:2024年04月18日 13:07
添付ファイル

*1 Vガンダムに登場する戦艦。本作ではデギンの乗艦も兼ねているが、パイロットは汎用のDC兵士。

*2 『F』発売の際、寺田貴信氏自身が「『2G』は忘れてくれ」と発言している。