STEINS;GATE 0

【しゅたいんず・げーと ぜろ】

ジャンル 想定科学アドベンチャー



対応機種 プレイステーション4
プレイステーション3
プレイステーション・ヴィータ
Windows7/8.1/10
Xbox One(ダウンロード専売)
開発元 5pb.(MAGES.)
発売元 【PS4/PS3/PSV/One】5pb.(MAGES.)
【Win】ホビボックス
【Win DL】DMM.com
【Steam】Spike Chunsoft
発売日 【PS4/PS3/PSV】2015年12月10日
【Win 通常版】2016年8月26日
【Win 普及版】2018年4月27日
【One】2017年2月23日
【Steam】2018年5月9日
定価 【PS4/PS3】7,800円
【PSV】6,800円
【Win 普及版】7,800円
【Win 限定版】15,000円
【Win 普及版】3,800円
【Steam】3,480円(全て税別)
レーティング Win以外 CERO:C(15才以上対象)
Win版 15歳以上推奨
配信 【PS4/PS3】7,000円
【PSV】6,000円
【Win】DMM.com/6,800円
【One】7,000円(全て税別)
※One以外はパッケージ版と同日発売
判定 なし
ポイント 外伝小説シリーズのゲーム化
ファンディスク寄りな作り
硬派なSFドラマは健在
一方で岡部の中二病は控え目に
科学アドベンチャーシリーズ


―これは、救えなかった「未来」の物語。




概要

STEINS;GATE』の続編。
ただし、トゥルーエンドから直接続いた続編ではなく、トゥルーエンドルートからの分岐で本作へと至った形であり、『科学アドベンチャー』シリーズとしてみるとむしろスピンオフに近い。
無印の最終盤で現れた存在・通称「執念オカリン」の軌跡と、無印のトゥルーエンドへの礎となった物語を描く。
各PS系列ハードのパッケージ版では、初回特典として無印のPS4版のプロダクトコードが同梱されていた。


ストーリー

「彼女」を救う事が出来なかった岡部倫太郎は失意の底にあり、いつしか「鳳凰院凶真」も封印されていった。
ある日、大学の人工知能に関するセミナーに参加した倫太郎は「彼女」を知る人物「比屋定真帆」たちと出会い思いがけない形で再会する事となる…。


特徴・評価点

基本的に無印の特徴点はそのまま受け継いでいるが変更・追加点も多い。

  • 無印のβ世界線を舞台としたドラマCD『無限遠点のアークライト』や小説作品(通称:β外伝小説シリーズ)が原型となっており、差異はありながらもこれら全てのストーリーを内包している。
    • そのため、キーパーソンとなる比屋定真帆を始めとする小説初出のキャラクターたちが登場。さらにダルの未来の嫁やまゆりの友人たちも立ち絵付きで登場する。
    • ストーリーも基本的に一本道だった無印と異なり、分岐点でストーリーが大きく変動するようになり周回する楽しみが増えた。
    • 前半は明るめな雰囲気で後半から緊迫した展開が続いた無印と異なり、『0』では明るいシーン自体は多いものの全体的にシリアスかつ重めなトーンで進行していく。無印では良くも悪くも周囲を騒がせていた鳳凰院凶真が封印されているため、岡部が大人しい常識人になっている影響も大きい。
      • 特に第三次世界大戦は無印では台詞の中で語られただけで現実味も薄かった*1が、本作では絶望的な地獄絵図として明確に描写されており、岡部が33歳までかじりついてタイムマシンの開発をしたと説得力のある展開となっている。また、クライマックスには無印さながらな熱い展開も多い。
    • 無印は「岡部の孤独な戦い」という流れで、中盤以降は基本的に主人公である岡部とパートナーの紅莉栖へと絞って焦点を当てていたが、今作では全編に渡って新規キャラ、既存キャラ共にしっかり見せ場が与えられている。
      • まゆり、萌郁、天王寺などは勿論、フェイリスとルカ子は無印では当人のシナリオ以外ではどうにも本筋に携わりにくかったが、今作では出番も多くしっかりストーリーの根幹まで食い込んで来る。
      • 物語上、ダルとβ世界線の鈴羽は準主人公級の扱いとなっており、特にダルは主人公である岡部がヘタレている分見せ場が多く、もう一人のヒーローとすら言っても過言ではない程の活躍ぶりとなっている。
      • 秋葉家執事の黒木も『線形拘束のフェノグラム』で与えられた立ち絵で登場する。
  • 岡部の携帯電話がガラケーからスマートフォンへと変更。これに伴い「フォーントリガー」が「RINEトリガー」へと名称変更された。おかげでアプリがかなり少なくホーム画面が寂しい事に。
    • 無印でのメールの返信はメッセンジャーアプリ「RINE*2」によるやり取りとなり、リアルタイムでメッセージが送受信される様になった。
      • スタンプも存在しており雰囲気は十分。種類はシュタゲ関連という一見メタ的な雰囲気はあるが、これも「ダルが個人的に開発したアプリで、まだ仲間内で使っているだけ」という設定でクリアしている。
    • 対話AIアプリ「Amadeus(アマデウス)」の登場や電源のオンオフなど、選択の幅が広がった。
    • 従来通り通話の他、壁紙や着メロの変更も出来る。
  • 電話や「RINE」の通知が来るたびにオートセーブされるようになった。コンフィグでオフにする事も出来る。
    • 問題点で後述するが、今作は分岐が分かりにくいため後で検証する際にやり直しがしやすい。それに関しては有難い事である。
  • 岡部以外の人物の視点が挿入されるようになった。
    • これにより彼以外の心情も事細かに描写され、物語を多角的に体験する事でより感情移入が促進されるようになった。無印と比較すると群像劇に近い。
      • 特に個別ルートのクライマックス~エンディングは岡部ではなくそのルートの中心人物の視点で展開されるケースも幾つかある。
    • メッセージウィンドウではなく画面全体で文章が表示される三人称視点も存在する。
  • 立ち絵に後ろ姿が追加され、表現の幅が広がった。

賛否両論点

  • スタート時の状況からして仕方がないのだが、岡部の中二病言動がほとんど見られなくなった。
    • 鳳凰院凶真としての言動に慣れ親しんでいると寂しさを感じる事も。それも過去を振り払うように封印するばかりか、岡部自身が黒歴史として恥じる描写が多いため、一層寂しく感じてしまう。
      • 言ってしまえば、一緒にふざけて楽しんでいた相手が急に大人になって「そういう事はもう卒業したから」とそっけなくなってしまったような感覚か。
    • それを別としても(これも状況的に仕方ないが)とにかく後ろ向きで卑屈且つ逃げ腰な態度が目立ち、無印とは別の意味の痛々しさを放つ。無論、常時そうという訳ではないが、ちょっとした切っ掛けでそう言った面を出しやすく、作中の鈴羽並に苛立たせられる事も。
    • 但し、本作はそんな姿になった岡部の再起と鳳凰院凶真の復活を描く物語であるため、その分終盤に再び「彼」が現れた時の盛り上がりとカタルシスもひとしおである。
  • 「RINE(前作でのメール返信)」によるフラグ構築が無くなった。
    • 「RINE」はストーリーの随所で受信するが、強制的に開くもの以外は返そうが返すまいが本編に影響は無い。スタンプを選択する事もあるが、これもどれを選んでもやり取りが変わるだけ。
    • 要するに「RINEトリガー」と言っておきながら「RINE」ではなく別の機能が分岐のトリガーとなっているのである。一応、公式サイトやシステム紹介の動画ではフォーントリガーとは違いストーリー分岐に関わっているなどの文面は書かれていないが…。
    • 複雑な手順を踏む必要が無くなったとも取れるが「実質的に形骸化してしまっている」という意見も多い。
  • 一周ごとのプレイ時間が約7~13時間程と無印と比較して短めになった。
    • 無印が分岐が少ない長大なストーリーであるのに対し、本作は分岐によって全体の流れが大きく変わるストーリーである事から短くなったと思われる。
    • もっともルート自体は無印と同じ数があり、分散した分それぞれルートは無印の分岐ルートよりも遥かに長くなっているため、ボリュームは十分にある。
  • 小説作品がベースのルートでの一部キャラの扱い
    • 原作と言えるβ外伝小説と展開が改変されている部分がいくつかあり、その面で不満を覚えた小説既読者もいる。

問題点

  • 無印未プレイのユーザーにはオススメしづらいストーリー。
    • 概要の通り、無印のクライマックスから分岐した世界の物語であるためオープニングからいきなり無印のネタバレが描かれるなどネタバレ要素が満載であり、無印トゥルーエンドまでをクリア、もしくはTVアニメ版を全話視聴していないと間違い無く混乱を招く。
    • 当然、公式サイトも無印のネタバレが満載。
      • 初回特典としてHDリマスターしたPS4版が付いてきたので、PS4所持者であればそちらを先にプレイするのが無難。
    • ちなみにニコニコ生放送の番組や公式資料集では「無印未プレイもしくはアニメ未視聴の完全新規のプレイヤーが本作をプレイすることは想定していない」と明言されており、発売前のアニメ再放送及び23話の分岐、特典のPS4版の無印はそのための仕込みであったとのこと。これはアニメ版放送および普及版・Steam版発売の際にも無印アニメ版を再度再放送するほど徹底している。
  • 続編かつ手直しした箇所が多いとはいえ、立ち絵や背景素材の流用が多い。
    • 『シュタゲ』自体に派生作品が多いため、特に気になりやすい。
    • 無印と比較して絵柄と塗りが多少変わっており、新規立ち絵と並ぶと違和感を感じる事も。
    • また、(『CHAOS;HEAD』時代からそうだが)TIPSの文章も同じ単語は旧作の文章を流用し続けている。
  • 任意で個別削除できないセーブなど、システムの問題点は今作でもあまり改善されていない。
    • 「特定のセリフが表示されている間に、携帯を操作すると分岐」と言うシーンで、どの台詞までが分岐可能かが分からないのも無印と同じ。
  • ルート分岐はより分かりにくくなっている。
    • 無印もトゥルーエンド付近はかなり複雑で難解だったが、途中の本筋から逸れる分岐は「ここが運命の分かれ道だ」という事が察せられる作りだった。
    • 対して本作のルートは何故それで分岐するのか分からないような選択や、今のが分岐だったのか気付きにくいようなものが多い。上述した通りオートセーブ機能があるとは言え、ノーヒントで全ルート網羅となるとかなりの手間となる。
      • ルート毎のボリュームがあるのは良いが、一つだけ存在するバッドエンドルートもやはり長い。しかも正解のルートと共通のシーンが非常に多く*3、バッドエンドのためにここまで引っ張る必要があったのかと言いたくなるほど長くプレイする事になる。
    • 条件を満たしてトゥルールートをクリアすると無印へと繋がるエピローグを見る事が出来るが、これもやはり分かりにくい。
      + ネタバレ
      • あるEDを迎えてフラグを立てると、前半のとあるシーンに演出と変化が起こる。条件とはRINEトリガーを開いてそれを確認する事なのだが、テキストは変わらないからなのか既読スキップだとすっ飛ばしてしまう。スキップせず普通に読めば演出の変化もあって気付きやすいのだが、そのシーン自体は特に重要でもないため、知らず既読スキップを行って気付けないという事も。
      • また、確認しても岡部自身は何の反応も示さず、そこからエンディングまで進んでやっと何の意味があったのか分かるため、プレイヤーは「それ」の重要性自体は知っていてもゲーム的な意味は分かりにくい。
  • 今回も回収されない伏線や誤字が多い。
    • 特に椎名かがりについては今作でついた新たな設定もあり謎が多い。一部設定に関してはムックにて詳細が補完された。
      • イラストを見て分かるとおり、かがりは牧瀬紅莉栖と容姿が酷似しており、彼女とどのような関係なのかと推測するユーザーが多く、楽しみにしていたが、蓋を開けてみると…。
        + ネタバレ注意
      • 椎名かがりの牧瀬紅莉栖と似た容貌に対して何も回収されない(つまり本当にただ似ていただけ)のはミスリードを通り越して拍子抜けする。
      • 実は椎名かがりが牧瀬紅莉栖に似ているという設定は原作であるβ外伝小説の時点ではなく、その小説を読んだ読者の「椎名かがりが牧瀬紅莉栖の幼いころの容姿のようだ」という反響を逆輸入し、大人かがりのデザインとゼロオリジナルルートの物語のために再設定したものなのである。制作サイドとしては似ているという状態のみが重要であり(各種描写は全て、かがりが紅莉栖に似ているという新設定から構築されている)、なぜ似ているのかという理由の面ではゼロで扱うつもりは元からなかったのである。
    • また舞台となるβ世界線の事情が無印の舞台だったα世界線と違いすぎるため*4、「世界線が変わり分岐する理由は(作中でも説明があるので)わからなくはないが、どういう経緯で分岐したのかがわかりにくい」という感想もある。
      • 前作では主人公自身が過去改変に携わっている事と、世界線変動の理由が作中で説明されている事、何よりその改変を修正するのが主な流れだった為に解り易かったが、今作での世界線変動の大半は主人公の与り知らぬ所で行われた改変によるものなので、それについての「何が、どうして?」という疑問に解が示される事は殆ど無い。

総評

無印クリア前提の作りという大きなハードルはあるものの、『シュタゲ』ならではの硬派なSFドラマは健在。
無印と密接に絡んだストーリーは初心者には到底勧められるものではないが、逆に言えばシリーズファンは押さえておいて損は無く、正にシリーズファンに向けた一品と言える。
無印を未クリアの人はいきなり本作に手を出さずゲームなりアニメなり無印と共にプレイし、両方併せて楽しむ事を勧める。


余談

  • 初回特典について
    • 前述の通り、初回特典としてPS4版の無印が付いてきたのだが、どのハードのソフトにもPS4版を付属させた為、PS3版やPSV版を買った(PS4本体を持っていない)ユーザーにとっては全く意味のない代物になってしまっている。
      • きちんと表記はしてあったので公式のミスではないのだが、発売当時には特典の勘違い(買ったハードと同じ等)による悪評が聞かれることもあった。
      • ニコニコ生放送の番組「電人 ゲッチャ!」では松原プロデューサーから上記の初回特典の内容についての注意がなされている。
  • 2018年4月より本作のTVアニメ版が放送された。
    • 上述したように無印と違った物語構成だったこともあり、インタビューでは再構成されることが明言されており、実際ゲームの各ルートを万遍なく混ぜ合わせた構成となっている。
      • 一方で、アニメでは拾え切れなかったり描かれなかった要素も多数存在する。
      • またアニメ向けの描写変更以外にもアニメオリジナル要素が確認できる(物語開始時の日付等)。
  • 2019年9月でリアルタイムオンライン対戦ゲーム『#コンパス 戦闘摂理解析システム』で岡部倫太郎が衝撃参戦。
    • MAGES(Nitroplus)からの参戦となった*5。コラボ作品では珍しく新録ボイスで実装。
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最終更新:2022年10月08日 17:17

*1 この「現実味の薄さ」はプレイヤーだけではなく作中人物も同様で、岡部に諦めを付けさせる一因ともなっている。

*2 現実における「LINE」に相当。ちなみに、こちらも作中とほぼ同じ年代となる2011年からサービス開始している。本作の時系列ではあくまで橋田至の関係者のみのアプリだが、2015年が舞台の『CHAOS;CHILD』では一般に普及している様子。

*3 内容が同じでもルートは違うため、当然もう一方のルートで既読スキップは使えない。

*4 α世界線はタイムマシンを一勢力が独占していたが、β世界線はその組織以外の勢力がタイムマシンを所有できるため、各勢力による過去改変・未来改変が活発に行われている。

*5 初のアダルトゲームメーカー事務所からの参戦でもある。