Fallout 4

【ふぉーるあうと ふぉー】

ジャンル オープンワールドRPG



対応機種 プレイステーション4
Xbox One
Windows
発売元 ゼニマックス アジア
開発元 Bethesda Game Studio
発売日 通常版 2015年12月17日
GOTY版 2017年9月28日
定価 通常版 8,618円
Pip-Boy版 18,144円
GOTY版 3,024円
備考 GOTY版のDLCはダウンロード
コードでの同梱となっている
レーティング CERO:Z(18才以上のみ対象)
判定 本編 良作
Nuka-World 賛否両論
ポイント シューター要素が大幅強化
ハクスラ要素の導入
クラフト&建築要素の登場
ロールプレイの自由度に陰り
今回は規制での変更なし
相変わらずな誤訳と超訳の数々
ゼニアジの対応悪し
DLC「Nuka-World」は賛否あり
Falloutシリーズ



人は過ちを繰り返す



ストーリー

2077年10月23日
ボストンのサンクチュアリ・ヒルズに住む若い夫婦の元にVault-Tec社からの使者が現れた。
付近に設置された地下シェルターVault 111への入居が一家全員に認められたという通知を告げに来たのであった。
その通知を受け取った直後、アメリカ本土に核が落とされているというニュースが流れ、夫婦は赤子の息子「ショーン」を連れてVaultに避難する。
Vault-Tecのスタッフの誘導で夫婦はそれぞれ冷凍冬眠装置カプセルに入れられ、赤子はパートナーと共にカプセルに入ることに。
すぐに装置が起動し、彼らは意識を失った。

核が落とされどのくらい過ぎたのかがわからないくらいの時間が過ぎたある日、外部からの操作によって一時的に冷凍冬眠が解除される。
目覚めた主人公がカプセル越しに目にしたのは、謎の男と女が主人公のパートナーと共にいる赤子を強引に奪い、パートナーが銃殺される場面であった。
主人公は再び冷凍冬眠に入ってしまい、謎の男は意識を失いかけた主人公に向けて意味深な言葉を呟く——「まだ代わりはある」

核戦争からちょうど210年後の2287年10月23日。主人公は目を醒ましカプセルから出る。
変わり果てたパートナーの遺体の前で仇討ちとショーンを連れ戻すことを誓い、唯一の生存者(Sole Survivor)としてVault 111から脱出したのであった。


概要

The Elder Scrolls』シリーズと双璧を成す、ベセスダ・ソフトワークスの人気オープンワールドRPG。
Vault 111の名が示す通り『Fallout 3』の直接的な続編であり、前作のキーワードやキャラクターが多数登場する。
ただしストーリー上の繋がりはかなり薄く、『Fallout: New Vegas』との関連性もほとんどないため、単品でも問題なく楽しめる。

核戦争で崩壊したレトロフューチャーなアメリカが舞台という独特な世界観は健在。
そしてWin版恒例のMODコミュニティも相変わらず活発。公式の製作キットがまだリリースされていない時期から多数のMODが製作され、現在でもその勢いは衰えていない。
さらに今回からCS版でのMOD対応をも本格的に開始し、より自由に遊べるゲームとしての魅力が強まった。

Oblivion』を改良して作られた『3』『New Vegas』のシステムを『Skyrim』が多数取り入れながら取捨選択していったのと同じように、武具のCNDシステムとレベルキャップの廃止・キルムーブの大幅な増加・ロード画面の演出など、本作のシステム面もまた『Skyrim』の影響を強く受けている。


前作からの変更点

  • レベルシステムの変化
    • 今回はレベルの上限が廃止された。また、スキル値の概念も無くなり、Perk取得条件はSPECIALの数値のみとなっている。
      • これに伴い低スキル時に銃がまともに当たらないといった問題はなくなった。
  • 武器・防具関連
    • 武器は『New Vegas』から減少して『3』と同程度の数になったが、その代わり『New Vegas』の武器改造システムが本格的に導入された。
    • グリップ・レシーバー・サイト・マガジンと豊富なパーツが用意され、これを好きなように組み合わせて好みの武器を制作可能。
    • さらにパーツによって見た目も変わる、同じ武器でも改造によって特性そのものが大幅に変化もする。例えば「パイプピストル」という武器は、ストックの装着で「パイプライフル」に、オートレシーバーの装着で「パイプサブマシンガン」に、スコープ+ストックで「パイプスナイパーライフル」に変化する。武器1つにも多様性があり、実質的に武器種は『3』から大きく増加したと言っていい。
    • 同様に防具も改造で防御力の上昇や隠密性の向上、所持重量増加等、様々な効果を付与できる。
      また、防具は前作までが「全身+頭部+顔」で、『Skyrim』でも「兜+鎧+靴」だったのが、今作は「服+胴+右腕+左腕+右脚+左脚+頭部+顔」と大きく細分化された。
      これによって様々な防具を好きなように装着可能になり、実用面だけでなく外観的もある程度カスタマイズできるように。
    • 「武器・防具の耐久度システムの廃止」という『Skyrim』の仕様が輸入され、これにより「耐久度の関係でレア武器などが気軽に使えない」という従来の不満が解消された。
  • シューター要素のさらなる強化
    • 『New Vegas』の武器MODやアイアンサイトはもちろん、前述の銃撃やCND廃止、敵AIの能力向上によって戦闘はよりFPS/TPSらしい調整が行われている。
    • 『3』ではあまりに強力すぎ、『New Vegas』ではその反動で極端に弱体化されたV.A.T.Sも、程良いバランスに調整されている。
  • クリティカルの仕様変更
    • クリティカルが従来の「Luck依存のランダム発生」から「V.A.T.S使用時限定のアクティブスキル」に変更された。
    • 敵をV.A.T.Sで攻撃した際に上昇するクリティカルゲージを満タンにすることで、任意に一度だけ確実に使用できる。
    • 発動すると壁などで邪魔されない以外は必中になるので、必勝を期す際にはうってつけ。Perkで複数回分メーターを溜めることもできる。
  • ハクスラ要素の追加
    • 時折現れる「伝説(Legendary)」と付いた敵は特殊な効果の付いた武具を持っている。効果は役に立たないものからぶっ壊れまで多種多様。
      • 伝説の敵だけあって通常の個体より手強いため、充分な下準備が必要。他にも、伝説装備の一部はお宝として固定配置されていたり報酬として貰えたり、果ては店売りされていたりもする。
  • RAD(放射能汚染)の強化
    • これまでとは異なり、RAD汚染度がHPと同一のゲージを共有する仕様になった*1
    • HPはゲージ左端が0、右端が最大値であり、RAD汚染度はその逆。つまりRAD汚染が進むにつれて最大HPが低下する仕組みで、旧作より実感しやすい脅威となった。
      • 今回は一部クリーチャーやフェラル・グールの攻撃にRADダメージも追加され、体力の低い序盤はかなりの脅威となる。一部の敵はRADダメージのみの銃で攻撃してくる上にその威力も高く、これまで以上にRADアウェイなどの重要性が増した。
      • 一方でNPCにもRADダメージが有効となったため、汚染区域にRAD耐性の無い敵を誘い込んだり、NPCの謀殺に利用できるようになった。
  • コンパニオン
    • 数は多いが無個性だった『Skyrim』の反省か、本作では『New Vegas』と同じく各コンパニオンに個性と固有/関連クエストが用意されている。
    • コンパニオンには『Skyrim』のDLCで開発されたAI(通称セラーナAI)が組み込まれており、勝手に椅子に座る、何か作り始めるなどの多彩な動きを取り、ただ後ろについて来るだけの従来のものより人間らしい挙動を取るようになった。
    • 各コンパニオンには主人公との友好度が設定されており、同行中の言動によって増減するようになった。
      良識的な行動や親切を高く評価するコンパニオンもいれば、逆に窃盗・戦闘・薬物の使用などを高く評価するコンパニオンもいる。
    • コンパニオンの友好度を最大にすれば、そのコンパニオンから専用のPerkを習得できるようになった。
      同行時のみ有効だった『New Vegas』の仕様とは異なり、今回はPerkが主人公に付与されるため、一度取得したら永続的に効果を発揮する。
    • 今作のコンパニオンはロケーション毎の会話が豊富にあり、共に旅をすることで人物像や背景等を窺い知れる。
    • ごく一部の例外を除き不死属性となったため、死亡の心配がなく安心して連れまわせる。戦闘中の回復も可能。
    • 口説けば恋人関係になれる上、同性同士でもロマンスが可能。
    • コンパニオンたちは大なり小なりストーリー上の派閥に対する考え方をある程度持っており、善人と言って良いコンパニオンでも気に入らない勢力に協力することはそれが善行でも反感を持たれるなど、協力・対立を考える材料の1つであり、キャラクター性にも深みを与えている。
      • 明確に1つの派閥に属しているコンパニオンはその派閥を敵に回してしまうと激怒して攻撃してくることも。「あそこは潰したいがそうすると仲間を殺さないといけない」という苦悩を与えてくれる。
  • カルマ制の廃止
    • 行動によって変動する善悪度のステータス「カルマ」は廃止された。
    • 過去作でカルマに影響していた行動の一部は、コンパニオンの好感度に影響するようになった。盗みや脅迫は良識的なコンパニオンの好感度を下げ、ワル好きなコンパニオンの好感度を上げるといった具合。
    • 『New Vegas』の時点でカルマはほとんど形骸化し、「どの勢力に属するか」のほうが重要な要素であり、勢力にはそれぞれ考え方があり善悪は解釈次第であった。今作はバッサリカルマを削除し、より先鋭化した形となる。
      • 実際今作のメインストーリーは何を持って善悪とするかが重要な点となっており、単純に二元論で割り切ることが難しいシナリオとなっている。
  • 動作の安定化
    • MODなしなら『Skyrim』の時点でかなり安定した動作だったが、今回はスペックさえ満たせばさらにCTD(Crash to Desktop=ゲームの強制終了)の発生率が低下している。
    • CS版もWin版ほどではないにせよ、従来と比較して「プレイ時間に比例して発生頻度が高まるフリーズ」「操作不能になるまでコマ落ちする」「ガクガクなフレームレート」などの問題点は大きく改善されている。絶対に発生しないというわけではないが。
  • 規制無し
    • 今までは規制により日本語版では不可能だった、人体欠損表現の描写が可能になった*2
    • なお、Win版についてはパッケージ/ダウンロード版ともCEROの審査は通さずに発売している*3

評価点

  • 高い移動の自由度と作りこまれた世界観
    • 『New Vegas』でいの一番に指摘された一本道を強いる方向性は無くなり、『Skyrim』のようにスタート地点から遠くなる&レベルが上がる毎に敵が徐々に強くなるという設定になった。
    • グラフィックが格段に進化しており、荒廃しながらも美しい世界を堪能できる。
      • 光の射し込みをシミュレートするゴッドレイ機能が搭載され、太陽の存在感が増した。
      • 『Skyrim』までは雨が屋根を貫通して降っていたが、今作ではレインオクルージョンという機能が追加され、貫通しなくなった*4などリアリティが強化。
    • パワーアーマーに飛行モジュールを取り付けると短時間だが空を飛べる。中に入れない建物の屋根から狙撃といったことができる様になり、普段と異なるプレイスタイルで遊ぶことができる。
  • ロケーションの豊富さ
    • 独立戦争博物館の中でミニッツメンを手助けしたりフリーダムトレイルを歩いてレールロードを探したりと、マサチューセッツの歴史と結びついた場所やクエストがある。
    • 某2199とその原作をリスペクトしたネタとして登場する、ビルの上に座礁した帆船*5など、小ネタも歴史要素が多い。
    • 中盤で訪れるダイアモンドシティ周辺は『3』の議事堂周辺に似た荒れ模様だがロケーションが豊富で、立ち並ぶ高層ビルの屋上から眺めを楽しむことができる他高速道路に陣取る敵集団との戦闘など、『3』からさらに高さを活かしたMAP作りがされ、なんといっても封鎖されておらず迷いにくいため、散策が容易。
    • OPの核の爆心地周辺は作中で「輝きの海」と呼ばれ、本作中盤で訪れる地域となる。常に放射能嵐が発生する非常に危険な環境であるのみならず、高レベルモンスターも数多く生息する難関。
  • 深くなった物語性
    • 「誘拐された我が子を探す」という目的のために多くの人々と手を結ぶことになるが、その目的を達成した後はそれまでの信頼関係をすべて無にする結果にすらなる厳しい選択が待ち受けている。主人公が所属できる4つの派閥は、それぞれに正義と呼びうる信念を掲げており、我が子との再開を果たしたあとは苦渋の決断を迫られる。
      • 派閥は民兵組織である「ミニッツメン*6」をはじめ、テクノロジーの収拾と人造人間やスーパーミュータントなどの「誤ったテクノロジー」の根絶を目的とする「ブラザーフッド・オブ・スティール (B.O.S.)」と、人造人間の自由と解放のために戦う地下組織「レールロード*7」に加え、人造人間の製造者である科学者集団「インスティチュート」の4つ。主人公はその全てかいずれかに所属することになる。
    • また、『3』の一部で登場した「人間と見分けのつかない人造人間」が今作では大きなテーマとなっている。人間の脅威として暗躍する者、人間からの迫害を恐れて懸命に社会に溶け込んでいる者、人間との信頼関係を築くに至った者、果ては自身が人造人間だと知らずに生きてきた者など、様々なタイプの人造人間が描かれ、作品世界に厚みを与える。
  • クラフト
    • 今作から登場したシステム。
    • 素材を集め拠点となる場所でベッドや椅子、建物から水道など建築物のほか冒険に役立つ様々なアイテムも作れる。
      • 今まではただの換金アイテムだったジャンク品が重要素材に一転し、ほとんどがクラフト材料として有用になった。
      • 素材そのものも買うことはできるが、一部の素材はそもそも売ってなかったり直接買うより対応するジャンク品を買って分解する方が安くて早くて楽だったりもするため、ジャンク屋の価値も急上昇。
    • 武器・防具の改造が可能となり、好きな名前を付けることも可能に。
    • パワーアーマーもそれぞれの部品を改造したり、スキンの変更ができるようになった。
  • 街づくり
    • 「荒れ果てた大地の再建」もテーマの1つに据えられており、本作はクラフトの一環として村や街を作ることができる。
      • 必須要素ではないのでほぼスルーすることも可能。しかし実用性も自由度も高すぎて、冒険そっちのけで街づくりに専念する人は多い。屋台が立ち並ぶ歓楽街からコンクリートとタレットで固められた要塞まで自由に建築できる。
    • 『Skyrim』のDLC「Hearthfire」を大きく発展させたような要素。「TES Construction Set/Fallout 3 SDK(通称GECK)」や「Creation Kit」など、公式提供しているMOD制作ツールのノウハウがゲーム内に組み込まれている。
    • 各地には居住地とできる場所が存在しており、そういった土地の問題を解決することで建設が可能となる。
    • 集落に住み着いた入植者に店を任せたり、拠点防衛を任命したりできる。
    • 入植者とは持ち物を自由に交換でき、任意の装備品を身に着けるように命令もできる。奇麗なスーツで身なりを整えたり、レイダーの装備で世紀末感を演出したりも可能。
    • 発展した町は襲撃されることもあるので防備を整えたり、時には自ら防衛に向かわなければならないことも。
  • パワーアーマー
    • 本シリーズの世界観設定において「単独で街1つを破壊できる」と言われていた重要装備。『3』『New Vegas』では正直ちょっと硬い鎧くらいの扱いだったが今回はかなり強化されている。
    • パワーアーマーフレームの各部にパーツを付け、乗り込むことで起動するパワードスーツになった。動力が必要なので序盤はおいそれと使えないが、無改造状態でも極めて頑丈。
    • アーマー着脱のモーションも非常に凝ったものになっている。起動にはフュージョン・コアが必要であり、各地で入手して本体に装着する必要がある。
    • 頭・胴・右腕・左腕・右足・左足の部位に分かれており、それぞれが別個のパーツとして耐久値が設定されている。
    • パワーアーマーステーションにて部位ごとにカスタマイズが可能であり、修理もここで行う。街中やちょっとした小屋にもステーションがあるので、素材さえ所持していればいちいち拠点に帰らなくてもその場で修理できる。
      • たまにレイダー集団が自力で建造した独自のパワーアーマーを装備していることがあり、序盤で出会うとかなりの強敵となる。
  • 演出の強化
    • OPの映画の様な場面変化に加え、序盤のチュートリアルを兼ねたクエストではコンコードに放棄されていたパワーアーマーとミニガンで敵を蹴散らしたりと、様々な場面で記憶に残る演出がなされている。
    • ただしこれらの、特にOPのシーンによりRP要素に一部問題が発生してしまう場合も。
    • 天候が大幅に変わるようになった。晴れや雨、くもりに霧といった普通な物に加え、『Fallout』らしく範囲内を汚染する放射能嵐という恐ろしい物まで。
  • コンパニオン
    • 『3』以上に個性的なコンパニオンが数多く登場する。
      • 正義に燃える女新聞記者パイパー・ライト、特徴的な外見を持つ探偵ニック・バレンタイン、主人に忠実なロボット執事のコズワースなど。
      • 前作とは別キャラだが、ドッグミートも犬種を変えて続投。人間以上に作り込まれており、可愛らしくて飽きない。
    • コンパニオンと親しくなると自身の来歴や思いを語ってくれる。ロケーションに応じた固有のセリフも過去作より増えており、一度のプレイで全員を知り尽くすことが難しいほどに作り込まれている。
  • 成長システム
    • 前作のスキルポイントがIntに依存する仕様は廃止され、それぞれのS.P.E.C.I.A.Lの数値を上げていくことで取得できるPerkも増える仕様に変更された。そのためにInt極振りでキャラメイクする必要がなくなり、取り返しのつかない要素も減った。

賛否両論点

  • 主人公の人物設定がかなり詳細になった。
    • 従来作の主人公には「何らかの理由で地上へ出た外の世界を知らない若者」以上の個性付けはなく、プレイヤーが人物像を定めて遊ぶロールプレイの余地は大きかった。
    • しかし、本作では男性主人公は「退役軍人のエンジニア」と、女性主人公は「元弁護士」と経歴が明確になり、オープニングでは「美しい住宅街で余裕のある生活を営み、幼い我が子を愛する家庭人」といった描写がされる。つまりは中産階級以上で知的水準も高い人物であることが明示されており、自由なロールプレイにはかなりの制約になる。
    • 主人公として選択しなかった配偶者の名は固定で夫は「ネイト」と、妻は「ノーラ」となる。また、子供は必ず「ショーン」となる。
    • 男女の主人公それぞれにボイスが当てられているが、各1パターンのみで変更できない。声の印象もキャラクターの個性をかなりの程度で方向付けるため、やはり自由なロールプレイには妨げとなる。
      • ボイスパターンが1つずつである点については、男女合わせて台詞が3万近くあるため、複数の声優を起用できなかったことは想像に難くない。致し方のないところではあるか。
      • 容姿については従来どおり自由に設定できる。ゲーム中でも整形外科を利用することで変更可能。
    • 前述の通りコンパニオンとは恋仲になれるが、「配偶者を亡くしたばかり」という設定があることで、この仕様を非難する意見もある。
    • 主人公の設定は詳しくなったが、『New Vegas』とは違って「プレイヤーも主人公と同じく真っ白な知識量でゲームが始まる」点については、従来作を踏襲している。
      一例を挙げると、ゲーム序盤に「ドルに代わる通貨CAP*8について何も知らない主人公が不思議がる」という会話イベントが用意されている。
    • 明確な経歴やバックストーリーなどがあることは、自由なロールプレイには妨げとなるものの、感情移入を促すには有効であり、言うまでもなく数多のゲームが主人公に独自の背景と物語を与えている。
    • 本作は従来の「自身で作り上げた人物を演じるRPG」ではなく「子を奪われた親として様々なドラマを体験するRPG」として作られているとも言える。とは言え、シリーズ作品としてもベセスダRPGとしてもかなり異例の方向性であったため、賛否の分かれる点となった。
      • ちなみにDLC「Far Harbor」では、とある人物が主人公に向けて「あなたは自分が人間としての記憶を与えられた人造人間でないと言い切れるか?」と問うシーンがある。ここで「私は人造人間だ」と答えることも可能であり、これに基づいて開始時の人物像を虚像とする見解もある*9
  • ストーリー
    • 一部強引だったりゲームの都合を強く意識させられる展開がある。
      • 特に作中に登場する勢力の1つが、作中内で問題点になっているスーパーミュータント*10を過去生産していたことや、入植者に人造人間を紛れ込ませ居住地襲撃を引き起こした件等について、理由を問いただせないまま協力か敵対(施設ごと破壊)しなければならない。
      • いわゆる話のできない勢力ではなく主人公に対してリーダーが極めて親身に接してくれる上に、後継者に主人公を指名するので余計違和感が強くなる(しかも上記行為を強要していたのはそのリーダー)。
    • 過去作に比べ悪人プレイに徹しにくいストーリーデザインになっている。
      • 悪行を積極的に行うクエストや選択肢が無い。精々悪人を見逃す、脅迫する程度。
      • メインストーリーも4つのルートのいずれも建前上は「正義の味方」であり、過去作にあったような破滅的な未来を招いたり、全てを敵に回すようなルートは存在しない。
      • これらの不満はDLC「Far Harbor」「Nuka-World」によってある程度解消された。後者に至っては悪人ルートが正規ルートである。
    • ハッピーエンドはない。
      • エンディングは最終的にどの派閥に加担したか、または手を借りたかで決まり、『New Vegas』同様、派閥間の対立を調停して大団円を迎えるような結末はない。
      • 『Fallout』らしくはあるのだが、今回はメインシナリオが苦しい決断を強いる作りであり、共存共栄の結末を望む意見も多く見られた。
      • 最も敵に回す勢力が少なく済むミニッツメンルートですら、ある苦悩の決断は避けられない。
  • 成長要素
    • 比較的レベルが上がりやすく、有益なPerkとそうでないPerkの差が激しい。中盤からはどれも似たようなビルドになりがち。そのため人によっては「個性がなくなる」という声も。
      • レベル上限がないため、プレイ時間が長くなるにつれ最終的には全Perkを最大にまで上げられる。もっとも、全てのS.P.E.C.I.A.Lを最大まで上げ全てのPerkを取得するまでには、『Skyrim』のLegendary Skillよろしくとてつもなく長い時間と手間が掛かるのでそう簡単に無個性化する訳ではない。
    • 『3』ではS.P.E.C.I.A.Lを全て10にするにはボブルヘッド*11というアイテムをあえて取得せず進めなければならないなど、予め調べておかなければ取り返しのつかない育成方法をたどる必要があったため、余計なことを気にせず育成できるという点では長所である。
    • また、各クリーチャーの最上級種はプレイヤーのレベルと連動して上限なしにレベルが上がるため(具体的にはHPが上昇する)、レベルを上げれば上げるほど強敵になる。そのため「レベルが上がり過ぎたら敵が雑魚になってしまった」という問題をある程度防いでいる。
  • 会話の選択肢
    • これまでのシリーズと異なり会話の選択肢は上下左右の4方向となった。大雑把に言って、上が質問、右が否定、下が肯定、左が曖昧(報酬の吊り上げ・皮肉など)となっている。
      • 直感的に選べるようになった反面、これから言うセリフが直接表示されないためプレイヤーの意図した内容と違う発言が出ることも多い。とくに曖昧・皮肉の場合。
      • 4つのうちどれを選んでも相手の反応が少し変わるだけでクエストが分岐することもあまりなく、実質的には一択になりがち。これもロールプレイを重視する層からは不評。
    • 説得の成功率がパーセントから色の変化によるざっくりとした表示に変更されたため、やはり具体的な成功率を知ることができない。
    • 選択肢が4つ縛りなので、過去のシリーズにあった自分のスキルやステータスで選択肢が変化・増減する要素も無くなってしまった。
      • 非常に細かい選択肢やクエストの分岐のあった『New Vegas』からはもとより、『Skyrim』や『3』などよりも自由度は後退してしまっている。
  • ルート分岐が分かりづらい
    • 『New Vegas』同様メインストーリーは前半はほぼ一本道、後半から3つの各派閥とほぼ主人公主導で動く特殊ルート*12に分岐していく形を取っているが、ゲーム中で警告があり今どのルートで進行してるか教えてくれた『New Vegas』より明らかに分岐点が判別しづらい。
    • 言われるがまま表示されるがまま進んでいたら善人のつもりだったのに悪の組織インスティチュートに加担したと多くのコンパニオンからボロクソに貶され、他派閥から攻撃されるなどの問題が頻発した。
    • 特に曲者なのがレールロードルート。一定期間内にレールロードに加入し、かつインスティチュートと敵対してはならないため、フラグが折れやすい。
      • レールロードルートは主人公にスパイをやってもらう、という筋書きのためこんなことになっているのだが、事前にちゃんと話を聞いていないとそれも教えてもらえない。
    • BOSルートはストーリー前半部分でBOSに会うような必須行動はないため放置して他派閥を進めていたらいつの間にか敵対してた、なんてことも。
    • ミニッツメンルートはインスティチュートルートの進行フラグが折れることで初めて進むことができるのだが、そのことを事前に知る機会はない。
  • 派閥ごとの特典が強力すぎて八方美人になりがち
    • 派閥クエストを進めることで得られる報酬や、派閥所属のコンパニオンから得られるPerkの中に強力なものがあり、能力重視でプレイするならあちこちで働くことになる。
      • 特によく挙げられるのがレールロード。一点モノの優秀な武器、強力なPerkをくれるコンパニオン、衣服の防御力を異常なまでに高める「バリスティック・ウィーブ」の解禁など。あまりにも影響が大きいため、レールロードが嫌いで後で皆殺しにするつもりでも加入だけはしておくよう大真面目に推奨されるほど。
      • 中でも「バリスティック・ウィーブ」は無ければ困る逆ゲームバランスブレイカーと言っても差し支えなく、解禁し損なうと後半以降プレイスタイルの幅が大幅に狭められてしまう。
    • 気にしなければそれまでなのだが、あちこちにいい顔をして貰うものを貰ったら裏切るというのはロールプレイ的に引っかかる人は多いだろう。
  • 服・防具関連
    • 様々な服や防具が存在するものの、種類や分類ごとに汎用性の面で極端な格差がある。
    • まず防御力をそれなりに確保したい序盤では防具と同時に着用できるインナー系の服しか選択肢に入らない。
      • 他の服は防具がほぼ着用できないため、運搬・戦闘・探索のいずれにも全く向かず、普段からの常用はしづらい。
    • 先述したバリスティック・ウィーブも服の物理/エネルギー耐性以外は強化できないため、お洒落の幅は広がっても性能に融通が利きにくい。
      • 上記のインナー系に含まれる「Vaultスーツ」など一部が強化対象外のため、痒いところに微妙に手が届かない。
      • 合理性を考えると強化できるインナー+帽子&防具5か所という構成になりがちで、それ以外は防具のモジュールや伝説の効果を失ってしまいやすく、いろいろ不便を感じてしまう。
    • バリスティック・ウィーブは改造できるもの、できないものの基準がまったく不明。
      • 緑シャツとジーンズの衣服は改造でき、白シャツとジーンズの衣服はできない。
      • フェドーラ帽のうち、「使い古された」とつくものは改造でき、「しわくちゃ」や「汚れた」だと改造できない。
    • 敵が装備している防具のモジュールがバリエーションに欠ける。
      • 敵のレベルがいくつでも低ランクモジュールしか装備せず、武器と比べてドロップ品漁りの面白みに欠ける。
    • いくつかの衣類の基準が不統一。以下一例。
      • 運動用の服&ガンナー防護服:脚防具が着用不可。にもかかわらずNPCがこれらを着る → 脚防具を読み込み着る → 脚防具に服が弾かれて裸になる、という妙なバグも発生する。
      • Tシャツ&スラックス:肌着&ジーンズとかなり近い外見だが、インナーにはならず、防具が着用できない。
      • きれいなブラックスーツ:キーワード設定にミスがあるため、他の全スーツと異なりバリスティックウィーブ不可。Mk1だけ販売していることがある。
      • Vault-Tecの白衣:きれいなブラックスーツ同様、他の白衣と異なりウィーブ不可。こういう1種だけハブられるパターンは結構多い。
  • やっぱり余りやすいキャップと物資
    • 序盤は厳しいが、ある程度キャラが育って探索ができるようになると、カネ余りでモノ余りになりがちな傾向は従来通り。
    • 建築をやり込むなら大量の資材が必要になり、ある程度キャップの需要は増えるが、ゲームを進めるだけなら金策に苦しむことは基本的にないバランス。
    • ただし、モノの売価も含めたキャップの入手量はかなり低く4ケタ、5ケタの買い物をしたければ意図的な稼ぎが必要になりやすい。
  • CS機へのMOD導入
    • これまでも『Skyrim』においてトッド・ハワード氏が「出来ればCSにも導入したい」と語っていた様に、以前からWin版で親しまれているMODだが、アップデートにより2016年7月1日より、One日本語版もMOD対応化され楽しめるようになった。PS4版は2016年9月9日に無期限延期が発表された*13
      • PS4版のMODが無期限延期が発表された1ヶ月後にユーザーの声に押されてMOD対応されると発表。ただし、One版と比べると制限が強く数が非常に少ない状態である。
      • ただ、業界的にもあまり例の無い物なので手探り感が強い他、制約もWin版に比べて大きめ*14。やろうと思えば自らMODのバグを修正できたWin版と異なり修正不可能、そもそもCS版特有のMODによるバグが発生するため製作者も何が原因か分からない、といった問題が起こり、ソニーが危惧していたとおりの結果となってしまった。
      • 他にも無茶な要求を繰り返すユーザーの増加*15や他者のMODを勝手に登録するユーザー*16などの問題、3Dモデル制作に有償ソフトが必要になるほどのMOD制作環境の高度化*17問題も出てきており、PCユーザーの中には「Modder (MOD製作者)がやる気無くしていなくなるのでは」と危惧する声もある。

問題点

  • バグとフリーズ
    • 細かなものからクエストが進行不能になるものまで、バグはハードを問わず多数報告されている。
    • 現在ベセスダは致命的なバグやセーブデータそのものが壊れるバグを優先して修正しており、「報告が多数ある物を優先して修正していく」と宣言し、報告を呼びかけている。
      • とはいえ、膨大なストーリー・フラグを管理する本シリーズにおいて、バグを完全に取りきるというのは残念ながら不可能であろう。
      • 「バグがあってもよい」と言い切れるものではないが、上記のような致命的なバグを除けば、ある程度目をつぶる必要があるのはやむを得ないことかもしれない。
    • アニメーションも『Skyrim』から改悪している部分が多く、特定の操作や三人称視点時の動作が明らかにおかしい。
      • 三人称の着地モーションが一人称と違って異様に長く行動を制御される、方向転換が鈍くなる、一人称でボルトアクションのコッキング中に三人称視点に変えるとなぜか強制的にリロードされるなど。
      • 作業台のアニメーションも『Skyrim』より中断が遅くなっており、キャンセルしても数秒間待たされる場合がある。
  • 相変わらずの誤訳・珍訳
    • 野球のベース(base)を「基地」と、腕(arm)を「武器」と訳するなど、細かな誤訳が随所に見られる。
    • 中には「大量の砂と砂利」などの思わず脱力しそうな珍訳も。
      • 原語は「Mass Gravel & Sand」であり、ここでのMassは「大量」ではなく「マサチューセッツ」の略であるため、より正しいと思われる翻訳の候補は「マサチューセッツ採石場」「マス・グラベル&サンド」などと言われている。
    • シンス(Synth)という略語を「人造人間」と意訳している*18ため、いくつかの違和感・問題が生じてしまっている。
      • シンスは原語版における「Synthetic Humanoid (人工の人型生命体)」の略語。しかし、原語ではシンスとアンドロイド(人型ロボット)が区別されているのに双方まとめて「人造人間」と訳しているため、原語版とニュアンスが少し異なってしまっている。
      • 問題なのはその派生種の名称であり、「人造人間パトローラー」「人造人間アサルター」とおかしなことになっている。ここは「警備兵」「突撃兵」などと略した方が自然であった。
      • また、普段は「人造人間」だが稀に元単語の「シンス」と訳されているという表記ぶれの方も問題視されている。
    • 字幕とセリフがうまくリンクされないバグも時々起こる。大半は比較的早期に修正されたが、それでもまだ特定の場所で発生している。
    • 一応、『Skyrim』序盤の例のアレのような、会話やストーリーが根本からちんぷんかんぷんになるような誤訳はほとんど無いあたり、一応の改善を見せてはいるようだ。
    • 翻訳チームはネタバレ防止のため具体的なストーリーやその固有名詞が何を意味するものなのかを知らされずに、本国から断片的にテキストだけ送られて翻訳するらしく、ある程度の誤訳が発生するのは避けられないようだ。
      • 逆を言えば、背景事情などの各種情報をきちんと読み込めてさえいれば、誤訳の少ない高レベルの翻訳を提供できるということでもある。
        事実、各S.P.E.C.I.A.L.の紹介ムービーやヌカワールドの日本語トレイラーは、非常に高いレベルで翻訳されている。
      • これについては『3』『New Vegas』『TES』シリーズを通じてプレイヤー側にも認知されており、ある程度の誤訳・珍訳はやむなし…とされている。
  • 練り込み不足の居住地要素
    + かなりの長文なので収納、要クリック
  • 麻薬的な魅力を持つ建築要素だが、それ故に欠点が目につきやすい。
    • 基本建材である木材がたいへん不足する。商人からも購入できるが、高価で序盤は難しい。ある程度の大規模な建築をしようとすると、どうしても資源が揃う中盤以降になる。
      • 木製武器を解体することである程度は供給できるが、焼け石に水。
    • 樹木は解体できるが除草はできず、床パーツを貫通するため地面に直で床を設置すると家の中が草だらけになる。かといって基礎を敷くと後述の容量制限に引っ掛かりやすくなる。
      • その割に平地に置くことが前提の床パーツが多い。
    • 元からある建物はどんなに状態が良くても屋外扱いなうえ解体できない。
      • とはいえ土地は限られているので、壁で囲うか屋根を大雑把に取り付ける大味な対処でどうにか使うしかない。
    • 人間やグールの消えない死体がある居住地が存在。敷地外に出してもご丁寧に新品の死体が再設置される。何の嫌がらせだ。
    • 床や壁は互いに接近させると勝手にスナップ(接合面同士で張り付く)するため、思うようなレイアウトでの建築が極めて困難。スナップの一時的な解除も不可。
      • 逆にスナップしようと思ってもうまくいかなかったり、そもそも一見スナップしそうでしない組み合わせも多い。
    • 少しでも衝突判定が重なると配置できない。途中で斜めになっているような雑多な雰囲気が出せず、直線的に壁と床を繋げていくいわゆる豆腐建築になりがち。
      • 判定そのものが不可解である例も多く、道具箱や木箱の類はオブジェクトの上にしか置けない。つまり棚を作ってもその最上段にしか箱は置けない。逆にテーブルランプはテーブルに設置できず、床にしか置けない。
    • 光源アイテムはほとんどが狭い範囲を照らすものばかりで、実用面を考えると、光の届く範囲が広い裸電球か工業用壁照明の二択になってしまう。蛍光灯やシーリングライトを差し置いて、である。
      • 一部の居住地では裸電球を設置してもほとんど明るくならないバグがあったがVer1.5で修正された。しかし、上記の問題はそのままである。
    • 建築物のパーツのうち、壁には「床パーツの側面」にスナップする「外壁型」と「床パーツの上面」にスナップする「屋内の区切り型」があり、それぞれ高さが違う。
      • どちらのタイプも一緒くたに壁カテゴリに放り込まれている上に、違いについて何の説明もない。
    • ドアのパーツが外壁としか接続できないため、屋内に扉付きの部屋を作れない。
    • 作れるアイテムに偏りがありすぎる。
      • ゲームで散々目にする救急箱、弾薬箱は作れない。
      • テレビやジュークボックスのような精密機械すら作れるのに、ドレッサーやキャビネットは壊れかけ、汚れたものしか作れない。
      • 電球、ランプなどは作れるのに、ランタンやロウソクは作れない。居住地のテーブルに乗っているようなロウソクは土台を解体するとまとめて消滅し、再利用できない。
        • 要望を受けてかこれらのアイテム類はDLCで多く追加された。もちろん最初からあれよこれぐらい、という声は多かった。
    • 居住地の入植者の発言がネガティブで、プレイヤーの気分を損なうものが多い。「敵のスパイじゃないだろうな」「余計なことをしに来たんじゃないだろうな」「君の危険な一面を見た、目的が自分じゃないことを祈る」など。
      • とある仲間を連れて行くと主人公と違って極めて親しげに話しかけるため余計にイラっとする人も。入植者の住んでいる土地・家・寝床・店はすべてこちらが与えた物なのだが…恩知らず過ぎないか?
      • 普通の入植者なら僻地に移動させるなり我慢できなければ殺してしまうこともできるが、とある不死属性持ちのキャラクターが入植者以上に口が悪くプレイヤーが作業中に接近してきてわざわざ悪態をついてくる上に仕事を任せてもサボって家の修理に精を出し、どんなに拠点を発展させてもやっぱり悪態をついてくるなどプレイヤーの神経を逆撫でしてくるので余計にイラッとする*19
      • 一応擁護するならば、「昨日まで人間だった家族や友人が消えて人造人間にすり替えられている」と言う事件が多発している*20という舞台設定を考えれば、ここまで疑心暗鬼にならざるを得ないのも理解はできなくはないが…プレイヤーに言うのは相手が悪かった。
      • 不満が多かったのか、DLC追加分の入植者は比較的明るい言動の人物が多い。
    • 各拠点には設置物の限界容量が設定されており、どの拠点も広さに対して少なすぎる。
      • インフラ、すなわち水や畑、発電機と電線、防衛施設だけでも結構な容量を食う。DLCを導入すれば大容量の浄水機や発電機が作れるのでマシになる。
      • 風景に凝る余裕がない。住人が増えるほどインフラと景観の両立が困難になる。
      • 満足度重視で無駄なく容量を活用すると、街中は畑とタレットまみれ、住人は仕切りも家具も無いタコ部屋ならぬタコ屋敷で寝泊まりという絵的に劣悪な環境になってしまう。
        • 逆に景観に凝ると居住に適さない巨大アートと化す。
    • 防衛設備にはタレットとトラップがあるが、トラップは低威力な上に作動するたび手動で修理が必要と使いにくく、実質タレット一択。
      • 他のインフラがDLCなどで改善されたのに対し、防衛設備には一度もテコ入れがない。それどころか、インフラ改善で激化した襲撃への対応により街中がさらにタレットだらけとなるハメに。
    • 敵の襲撃時、入植者がプレイヤーが収納してある武器や待機状態のパワーアーマーを勝手に持ち出すことがある。
      • 一点物のユニーク武器やレジェンダリ効果がついた武器なども普通に持ちだす。こうなると全員を呼び出して個々の持ち物を調べるしかない。
      • パワーアーマーはフュージョンコアを取り外しておけば勝手に使われないが、今度はいちいちフュージョンコアを取り付ける手間が生じる。
      • 解決策としては最初から入植者を呼ばず自分だけの土地と割り切って使用するか、ゲーム中唯一買える自宅で保管するかのどちらかになる。
    • 居住地襲撃イベントが時を選ばず発生する。もう少しでダンジョンクリアという所で引き返さなければならないという事態がしばしばおこる。
      • 当然拠点が増えるほど頻度が増すので、2周目以降は拠点の開拓を放棄してしまうことも。
      • DLC「Far Harbor」開始以降はさらに悪化。同DLCのマップと本編のマップはもう一方のロケーションに直接ファストトラベルすることができず、船でマップを移動する必要がある。長いロードを挟んでファー・ハーバーに着いた途端に襲撃、2回のロードを挟んでとんぼ返りもザラにある。
      • 防衛力を上げることで頻度を減らせるが決して0にはならない。襲撃防衛を放置した場合、撃退が成功するかどうかはランダム。たとえ失敗しても居住地の設備が壊れるくらいなので、面倒くさがって完全無視するプレイヤーも。
    • 人数やベッドなど各種パラメーターの数値がおかしくなったり、店が機能しなかったり、農作物が壊れたまま撤去できなかったり、襲撃イベントが起きているのに現地に敵がおらず失敗になったり…と細かいバグも多い。
      • 特にパラメーターの数値バグは、表示上の問題ではなく実際にその数値で満足度が計算されるため、人口が何十人も増えていたりベッドが0になっていることに気づかないままゲームを進めていると、気付いた時には満足度が極端に低下していたなんてこともある。
        • しかも、その居住地に行きクラフト画面を開くまで元に戻らないためかなり厄介。
    • 廃屋などに初期配置されてるベッドには満足度(拠点の生産性)が下がる特性があるが、このベッドが削除できないバグがある。これに対して「決定ボタン長押しで強制移動、削除バグ」で対抗できたのが例によって後者のみ修正される始末である。
      • 特にスロッグという拠点では建物の半分がこの満足度が下がるベッドで埋まっている。回避するには新たに設置したベッドに個々人を割り当てる必要があるのだが、面倒な上にデッドスペースが半端無く上記の限界容量に達しやすい。
      • 有志の調査で複数のセル*21をまたぐ拠点を行き来して全てのセル読み込ませずに拠点から離れると発生するバグで、ゲームエンジンに手を加えるレベルの大規模な改修が必要であることが判明した。
      • 店バグは建築を済ませ人を配置して初めて気づく、そのセルでは永久的に店が機能しなくなるせいで、せっかく思い描いた建築プランを捨てなければならない…とひたすら酷く、建築要素全体の魅力を削いでいる。
    • 2016年4月17日配信のDLC第2弾「Wasteland Workshop」により、ランタンやロウソクの制作、物の上におけるテーブルランプなどが実装された。
      • コンクリ製のパーツが追加された上に各地の商人がコンクリを大量に取り扱うようになったため、木材の偏重もある程度は解消されている。
  • 仲間の言動
    • 本作はクラフトや拠点建築用にジャンクを回収する必要があるのだが、何故か拾う度に同行する仲間が否定的な言動を投げかけてくる。
    • 例としては「クズですね*22」「えーと、それをやる理由は?」「ゴミを漁るような人でも、そんなものは持っていかない」など。
    • 普通の現地民や兵士のようなコンパニオンならまだしも、「街を再建していこう!」と応援・協力する側の仲間でも何でそれ拾うんだ?と投げかけてくるのは如何なものか。
    • 批判が多かったせいか、DLCの1と2で追加された仲間はジャンク回収に賛同してくれ、特に前者は定期的にジャンクをくれるようになった。ふり幅が極端ではなかろうか。
  • レベルデザイン
    • 最初期に大きな町が無い。商店はそれなりな品揃えの雑貨屋と行商人しかなく、薬局や医者が不足している。
      • 実はメインクエスト序盤で大きな街に行く方法は分かるが、初見でそれを放置するといつまで経っても物資不足に悩まされる。
        かと言って武具やアイテムを整えずに向かうと、街付近は激戦区なので辿り着く前に死ぬ可能性が高い。
      • 薬局や品揃えの良い店を自分で作る事もできるが、それには最低でもレベル14以上、カリスマ6にまで上げなくてはならない。
        しかし、レベル14だとその大きな町に充分向かえる強さである。それまででも行ける町や集落が欲しかったのだが…。
      • とは言え全く配慮していない訳ではない。開始地点のサンクチュアリを散策すれば多数の物資を入手することができるし、その周辺にも最低限の武器弾薬・スティムパック・きれいな水・RADアウェイ・各食料などの冒険必需品が細かく配置されている*23
      • さらに言えば開始地点に作業台があるため、材料さえ確認して集めておけば、投擲武器や医薬品も自分で作ることができる。
        確かに薬局や医者は不足気味だが、序盤を乗り切るだけの配慮はあるのである。未経験者にとって敷居が高いのは否めないが…。
    • 武器の性能差が極端。本作はダメージ計算式が少々独特なため、基礎値の低い武器はどう改造しても攻撃力が低いまま。
      炎上ダメージの付与や防御力無視効果のある改造パーツもあるが、後者の場合は基礎ダメージが伸び悩むので有効活用はしにくい。
      • 一方でランダムで入手できるレジェンダリー装備には、バランスブレイカーな効果が付いていることがあり、それらを手にしてしまうと適当に弾をばらまくだけで強敵集団や巨大クリーチャーを殲滅できるヌルゲーと化す。
    • レベルの上昇に伴い、一部の敵の耐久力は無尽蔵に上昇するが、プレイヤーの攻撃力は一定値より上がらない。
      そのためあまりの高レベル帯に達すると、敵が固すぎて対処に苦労する。上述のバランスブレイカーでようやくまともに捌けるレベル。
  • 死体問題
    • 従来作や『Oblivion』『Skyrim』でも抱えていた問題だが、屋外では草むらに敵の死体が紛れてしまい位置が分かり辛い。
    • 時間経過で死体は消えるが、落とした武器は残り続けるので、セーブデータの肥大化に拍車がかかってしまう。
      • この落とした武器が残り続ける問題はアプデで解決したのだが、今度は落とした武器が消滅するようになったため、一点物のユニーク品をなくすと目も当てられない。
  • ロード時間
    • 従来作や『TES』シリーズと同じくロード時間が長い。建物の出入りで10~30秒、ファストトラベルで40秒前後かかってしまうことも。
      一応、SSDへの換装に加え、CS版ならProやOne X、Win版ならハイスペPCやMODを使用すれば劇的に改善されるが…。
  • Pip-Boyエディション販売問題
    • 限定版として発売されたPip-Boyエディションは本作に登場するPip-Boy3000を模したスマートフォン専用のスタンドが付いてくる物で、スマートフォンに専用のアプリをDLさせることでゲーム内と連動してステータスが表示される仕組みになっている。
    • これは日本語版でも販売されたのだが、まさかの2バイト文字非対応。しかも、発表したのが発売日当日な上「それが仕様である*24」とする旨で一切謝罪などが無い発表だったので、限定版を購入したユーザーからかなり非難された。
    • 2バイト文字非対応は日本だけではないとするが、そもそも2バイト文字圏はロシア以外全部ゼニマックス・アジアの管轄なので言い訳とするには苦しい。というか問題はそこではなく「当日まで発表しなかったこと」だろう。
      • 元々日本の発売日は諸外国に比べ1ヶ月程遅れており*25その間に何かしらのアナウンスする時間的猶予はあった。このため、一部では売り逃げではないかとも言われている。
  • マルチバイト文字列圏問題
    • 上記のPip-Boyエディション問題に多少関連しているが、日本語版含むマルチバイト文字圏におけるサポートは現状放置されてしまってている。
    • これは原語版で展開された公式有償MODコンテンツ「CreationClub」の追加時からで、これに合わせ変更・修正された原語版ゲームバージョンやベースデータと齟齬が生じており、通常は最新版環境での制作・動作が前提となるMODとの互換性がなく容易にCTDなどの問題を引き起こしてしまう。
    • 2019年11月の現時点での最終アップデートでは並行してアップデートされたCreationKitで出力されるMODのヘッダーバージョン自体が変わっており、それ以前の本体で最新版環境で制作されたMODが使用できなくなったため混乱が生じた*26
    • さらに、2021年春頃から日本語版のゲームメニューからBethesda.Netへの接続そのものが不能になっており、Bethesda本社に問い合わせたユーザーに「ゼニマックス・アジアと協議して対応する」という回答や公式声明も出されたが、2023年時点でも絶賛放置中。
    • つまるところ、MOD導入においては結局『Skyrim』無印版同様に英語版日本語化がほぼ前提となっている。なんのためのマルチバイト対応だったのか…。
    • なお、この問題は『SkyrimSE』でも全く同じ状況。2022年発売の『Anniversary Edition』でも日本語版バイナリの対応はほぼ放棄された状態に近い。
  • Win版ディスク問題
    • 本作はSteamなどでもダウンロード販売されており、昨今のPCゲーム事情から見ても日本語版パッケージをわざわざ購入する必要性は薄い*27ものの、あえて購入したユーザーからゲームがダウンロードできない問題が報告された。
      • 必ずしもではないが正規のダウンロードキーを入力しても弾かれる、いわゆる「おま国」状態になってしまい遊ぶことができない。
  • 高い性能を求められるWin版
    • 高画質になり全体的なグラフィックが向上した半面、満足に動かすには発売当時では結構な額のゲーミングPCが必要になってしまった。
      同じCreation Engineでも、『Skyrim』は対応CS機のスペックに合わせてか、当時のミドル程度の性能でもかなり快適に動かせていた。
      しかし、CS機の世代が進んだ本作ではWin版の要求スペックもあわせて上がっており、グラボだけでもDirectX11の動くグラボが必要となっている*28
      • この流れを汲んでか、後に『Skyrim』も同世代環境に合わせてのリマスター版*29が発売されている。
    • 問題は『Skyrim』からの流用が祟ってソースコードがスパゲティコードになってしまっていることにある。
      先述の通り本作のエンジンは『Skyrim』の流用なのだが、そのCreation Engine自体が『3』をベースに改良したものであると言われており、これはすなわち『Oblivion』以前の『TES』シリーズの流れを汲んでいることになる。
      そのしわ寄せなのか本作はリソースデータ流用も非常に多く、なんと『Skyrim』のドラゴンのデータなどがまるまる入っていることが発見されている。
    • 乱暴に言ってしまえば、流用を重ねて相当なスパゲティコードを持つ『Skyrim』を次世代機向けに改造したものに、本作という実質的なトータルコンバージョンMODでゲームを別物にし、高スぺ機で強引に動かしているだけに過ぎない。
      上記のMODの項目で「製作者も何がバグの原因か分からないという問題が起こっている」と述べられたが、それもあまりに複雑化したゲームデータによって、一体何が不具合の原因か判断・究明できないためである。
      • MODを入れると指数関数的に重くなって行くのだが、MOD製作者の調査により16bit時代(初代『Fallout』の時代)のプログラムの遺物である関数が使われていることが判明し、これにより設定が書いてあるiniファイルを直接読みに行く命令が何十万回も実行される。MODを1個読む毎に使われているか分からないファイルの設定をいちいち何百回もすべて読もうとするのである。
      • 幸いにしてWin版ではこの辺の高速化や開発公式にも見放されたバグに手を入れたユーザー製のバグフィックスMODがリリースされており、バニラ*30でプレイする際でもこの辺の動作改善系MODだけは入れておけと推奨されている。
    • なお、この問題は次回作である『Fallout 76』においてさらに悪化しており、『76』にはドラゴンのデータだけでなく本作のプリドゥエンまでもがそっくりそのまま入っている。
      • あまりにエンジンが古すぎて各ライブラリやHavokなどが非対応になったのも相まって、従来作を遥かに超えるおびただしいバグが発生し、アップデートしてもまた別のバグが発生してしまっている。
      • さらには、以前修正したバグの再発もザラという開発者ですら対処しきれない事態に陥っており、長年に亘りエンジンのソースコードを流用し続けてきたツケが回ってきた状態となっている。

総評

核戦争後の崩壊した世界で生きる人々を描くシリーズの持ち味は健在ながら、これまでになかった「武器の改造やハクスラ要素」「街づくり」という遊びが増えたのが大きい。
月日が経つにつれ増えていくMODもあり、なかなか飽きることのできないゲームであるといえよう。

国内のファンとしては前作のCS版を問題視されていた「規制なし」という情報など確実な進歩を見せた反面、ローカライズの問題や限定版で起きた問題など不信感はまだ拭えたとは言い切れない。
また、ストーリー面には「作りこまれた世界観での自由度の高さ」を重視してきた方向性と衝突している点があるなど、『Fallout』シリーズやベセスダRPGらしからぬ弊害もある。
そのため、追加要素や刷新した要素を楽しめるどうかで本作の評価は大きく変わるだろう。


DLC(小規模・中規模)

「Wasteland Workshop」
「Contraptions Workshop」

  • どちらもクラフトアイテムを追加するだけの小規模DLC。
    • 使いやすい建材や家具から怪物や襲撃者を捕まえる檻などの変わり種、いわゆるピタゴラスイッチ的装置を作るための回路、入植者を動けなくするだけの晒し台などの悪ふざけのようなものまで様々。
    • ただし、どの部位が製造されるかわからない防具鋳造所など、実用面で問題があるものも。

「Automatron」

  • 自由にカスタムできコンパニオンにしたり、入植者にできるロボット「オートマトロン」の製造を可能にする作業台と、『3』からまさかの再登場を果たしたロボット狂「メカニスト*31」をメカニストへの復讐を誓うオートマトロン「エイダ」と共に追うクエストを追加する中規模DLC。
    • オートマトロンの改造の幅はかなり広い。人間に近いものから戦車のようなゴツいもの、おもちゃのようなふざけたものから棘や髑髏をあしらった禍々しいものまで様々。
    • エイダをはじめ、コンパニオン化オートマトロンはカスタムにもよるが非常に強い。
      • 入植者化もできる。水も食料も必要とせず、なによりすぐ文句を垂れる人間たちと違って何をやっても文句も言わない。文句ばかりの連邦の人々に疲れたプレイヤーからは概ね好評であった。
      • 手間をかければ全てのモブ入植者をオートマトロンに置き換えることも可能。これで畑もベッドも必要なければアイテムを盗まれる心配もない。インスティチュートより外道な気がするのは気のせいだろう。
    • 追加されるクエストは本編の長めのサブクエスト程度のボリューム。敵の強さや世界観を掘り下げる文章、個性豊かな登場人物から満足度は決して低くない。
    • このDLCを導入すると敵としてもカスタムされたオートマトロンが出現するため、あまりクラフトを利用する気がない人でも楽しめる。
    • しかしながら本DLC、非常にバグが多い。前回のアップデートから8年経とうという2024年4月にもなって、突如PS4版で本DLCが原因でゲームが起動しない不具合が発生した。
      • しかも、よりによってドラマ版『Fallout』の配信開始により世界でシリーズに注目が集まっているタイミングにである。

「Vault-Tec Workshop」

  • 作りかけのまま核戦争を迎えたVault-Tec社の核シェルターVault 88を発見した主人公。グール化し戦前から生き延びていたバーストウ監督官と共にVault 88でやるはずだった実験を行う、という中規模DLC。さらに家具や家電、そしてVault様式の建築も追加され、自分だけのVaultを建造できる。
  • Vault88は「社会の生産性の向上」を実験する予定だったVaultで、様々なマシンをVault入居者に試すことになる。
    • 「あの」Vaultの実験ということでバーストウの提案する実験内容は倫理観ゼロ*32。バーストウの要望に沿えばかつて自分が味わったVault-Tecの人体実験を自ら行うという業の深いことに。逆にバーストウを無視して快適なVaultになるよう努めることもできる*33
  • ロケーションとしてのVault88は恐ろしく広大。だが建築容量はそれほどでもないうえにVault様式の建築は容量の消費が激しいため思ったようにVaultを建造できないことが多い。
    • Vault88はVault様式建築しか使えないわけではないので広大な敷地を活かそうと思えば諦めて他の建材も使うしかなくなる。
    • G.e.c.k.やウォーターチップといったお馴染みのハイテクインフラこそ無いものの、高性能なウォーターポンプが固定接地されており、大容量なリアクターも作れるようになる。
  • 追加パーツは一部を除き全ての拠点で設置可能。中でも発電機と壁は繋ぎ合わせれば壁自体に送電効果があり、上手く使えば電線の削減が期待できる。しかし建築パーツとしてはクセが強く、使いこなすにはセンスを要する。

大型DLC「Far Harbor」

大規模DLCの第1弾。探偵ニック・バレンタインの元に行方不明者の捜索依頼が舞い込む。
ボストンから遠く離れた霧深い島「ファーハーバー」にある人造人間達の居住地「アカディア」で件の行方不明者カスミ・ナカノはすぐに見つけることができたが、彼女は島の問題が片付くまで家に帰らないつもりだという。
島では地元の漁民たちと連邦にも点在した放射能を崇拝する宗教団体「チャイルド・オブ・アトム」が激しく対立していた。
両者の正面衝突によって島が破綻することを危惧するアカディアの指導者DiMAの手助けで事態解決に乗り出す主人公だったが…。

評価点(Far Harbor)

  • 良質なストーリー
    • 漁民は排他的で短慮だが決して悪人ではない。チャイルド・オブ・アトムはカルト宗教だが信者たちは(信仰はともかく)悪人とは呼べない者たちが大半であり、対立の切掛は漁民側にあることが判明する。両者を取り持とうと苦心するDiMAは一見善性の苦労人に思われるが、とんでもない真実が発覚する。
      • 島を巡っていくうちに主人公とニックが島を訪れた時点ですでに事態は取り返しがつかないほどに悪化していることが分かる。平和的に対立を収める方法は存在しない。
      • 本編と異なり全ての勢力を生き残らせることも、逆に全滅させることも可能であり、進め方の幅は広い。どう進めたにせよ必ず後味の悪い結末になり、全勢力和解ルートも決して大団円とは呼べない後ろ暗いものである。
    • DiMAのある真実など、本編では曖昧に流された設定をうまくストーリーに組み込み、世界観を掘り下げている。
  • 膨大な追加要素
    • 捜索しがいのある広大な島、開発し易い居住区、使いやすいクラフトアイテムなど追加要素も良質なものが多い。追加コンパニオンのロングフェローはゴミを拾っても文句を言わないなど不満点が適切にフィードバックされている。

賛否両論点・問題点(Far Harbor)

  • 砕氷船(アイスブレイカー)
    • クエスト後半でやることになるクラフトシステムを応用したパズルゲームだが、画面が把握し辛いなどいまいち。全5問あるが最終問題は答えを知っていても苦労するほど面倒なもの。幸い本編を進めるためには3問目までのクリアで良い。
  • 敵の強さ
    • ファーハーバーで追加される怪物は素早く攻撃力がある、恐ろしく硬いなどの何かしら厄介なものばかり。
    • レイダーに当たる狂人集団「トラッパー」は結構な頻度でDLCで追加された強力な銃を持っているためかなりの強さ。
      • 本編をある程度進めた状態で島に来ることを想定した故の手強さなのだが、低レベルだろうとクエストでファーハーバーのロケーションに行くよう指示されることも少なくない*34

大型DLC「Nuka-World」

大規模DLCの第2弾。騙されて(あるいは危険を承知で)レイダーの巣窟と化した戦前の遊園地「ヌカワールド」行のモノレールに乗り込んだ主人公。
総支配人コルターが用意した死の迷路「ガントレット」での絶対に勝てないはずの勝負に、コルターの副官ポーター・ゲイジの裏切りで勝利した主人公。
するとゲイジは勝手にコルターを倒した主人公こそ次の総支配人である、とレイダーたちに宣言する。
半ば強制的に主人公は守銭奴のギャング「オペレーターズ」と、動物の仮装と真似事をした異様な群れ「パックス」に加え、快楽殺人鬼の集団「ディサイプルズ」からなる「ヌカワールドレイダーズ」を率いる「総支配人」に任命されてしまう。
このDLCは配信以来多くの論争を巻き起こした非常に賛否両論のものとなっている。先に賛否両論点と問題点から挙げる。

賛否両論点・問題点(Nuka-World)

  • 悪人プレイしかできないストーリー
    • 真っ先に本DLCの短所として挙げられる点。レイダーを率いる総支配人として悪の限りを尽くす、以外のストーリーが存在しない。
    • 3つのレイダーチームによるストーリーの分岐は一番冷遇されたチームが不満を爆発させる、というもののみ。同じ大規模DLCのファーハーバーのように大きな結末の変化はまったくない。
    • ゲイジに強制されて嫌々総支配人をやってる、という体を取ることもできるが、態度だけの話で結局は取り返しのつかない悪事をやらなければNuka-Worldのストーリーをクリアすることはできない。
    • レイダーと決別する「Open Season」というクエストもあるにはあるのだが、単にレイダーを全員殺して終了、というだけのものでありレイダーの奴隷たちから感謝されるだけ。
    • 当然悪人になりたくないとNuka-Worldをクリアする前にこれをやればストーリーは未決終了となる。そしてNuka-Worldをクリアしてからこれをやってももう取り返しのつかない事態になっている。
    • 本編への不満点として「主人公は中流以上の階級の良き夫(妻)、良き親である」と既定され、悪人プレイは無理があるという点が挙げられてはいたが、ヌカワールドに来た途端悪に目覚めるのはまったく本編との整合性が取れない。
    • そもそも主人公がヌカワールドに来た理由も、「妻子を誘拐されたので助けて欲しい」という怪我人の頼みを聞いてのものであり*35、少なくともヌカワールドに乗り込む時点では善人として人助けをする前提である。せめて最初から報酬を目当てにレイダーに協力する話として出発していればもう少し違和感も減ったのではないだろうか。
  • Home Sweet Home
    • 本DLCへの不満点として特に槍玉に挙がるクエスト。
    • 本編の舞台である連邦にレイダーたちを進出させる、という内容。このクエストにより連邦中にヌカワールドレイダーズが出現するようになり、二度と消すことはできない。
    • この悪行はミニッツメンのプレストン・ガービーに察知され、即座に敵対、離縁される。そのため、ヌカワールドレイダーズとガービーとの関係は両立できない。
    • 「ミニッツメン」ではなく「ガービー」個人との決別である。それも個人的な友情の話にとどめ、ミニッツメンの将軍を辞めるように言ってきたりはしない。
      • ミニッツメンルートがメインストーリーの詰み防止の役割があるためと思われるが、レイダーたちは各地で一般人を食い物にし、それを阻止しようとするミニッツメンを次々に殺害する。
      • それでもガービーは個人的な関係の話に留める。ミニッツメンよりはるかに優れた諜報能力を持つ他派閥もレイダーの標的だが、主人公こそレイダーの首魁であると気付き、文句を言ってくるのはガービーのみ。どう考えたって無理がある。
      • プレイヤー間のガービーに対する扱い*36を受けての演出とも考えられる。だがガービーを嫌う人にも文句ばかり言われて結局不死属性は消えないなどさらに火に油を注いだ感が否めない。
      • 本編との整合性の取るためにも完全にミニッツメンと決別し、メインストーリーに新たにレイダールートを追加すべきだったのでは?という声も多かった。
    • 進出したレイダーたちの一部を入植者として管理することになるが、農作業をものすごく嫌がるという特性がある。
      • そのためレイダーの居住地とは別に、一般の居住地を支配下に置き食料を恐喝するように提案される。この仕様のせいでレイダーを養うために居住地を農地として開発してから奪う、というおかしな手順を踏む必要がある*37
  • 追加の居住地
    • ファーハーバーには4つの居住地が追加されたが、ヌカワールドには1つだけ、しかも解放条件がストーリーをクリアするか、「Open Season」で打ち切ることになっており、非常に不便。
      • ストーリーの途中で得たアイテムの置き場所に困る、という問題が頻発する。総支配人の部屋に当たる場所は事前に提供はされるのだが、利便性はあまり良くないし居住地扱いではないので内装の変更もできない。
  • 不評な探索要素
    • 広大な遊園地の中からマップに詳細表示されないモノを複数見つけ出す、というクエストがやけに多い。
      • 要するに宝探しなのだがただ面倒なだけ、2回目以降は飛ばしたいなど散々な評判。
      • 特に不評なのが「スターコア」集め。全部で35個もあるうえに遊園地の外まで探さなければならない。

評価点(Nuka-World)

  • ヌカワールドの雰囲気
    • 某夢と魔法の国を明らかに意識しつつも『Fallout』らしい倫理観のない悪趣味さを醸し出し独特の魅力がある。
      • ヌカコーラ社と旧アメリカ軍との真っ黒な関係はあるサブクエストでとんでもない形で姿を表してくれる。
  • ヌカワールドレイダーズ
    • もちろん極悪人だらけなのだが、活躍する総支配人に敬意を表明したり、どこか抜けたところがあったりと不思議な魅力がある。残虐非道なディサイプルズですら、総支配人が活躍すれば多少は態度を改める。
      • レイダーの居住地は農作業がものすごく嫌がられる以外は通常の居住地の上位互換と言って良い。レイダーの居住地でなければ設置できない元気回復ステーション*38や貢ぎ物箱*39の恩恵は凄まじい。また、レイダーなのに通常の居住地より雑貨商の品揃えが良かったりする*40

余談

  • 本作の日本での発売は12月17日だが、海外では11月10日となっている。その海外の発売日当日に何故かOneのダウンロード版がプレイ可能になるという珍事が起こった。
    • すぐさま対処されプレイできなくなったが、「日本語への翻訳がされていたため、発売日が遅れるのは翻訳にかかる時間のためだというは嘘ではないのか?*41」と噂された。
    • 日本のメディアでは全く触れられていないが、10月初旬にアメリカのべセスダから、全言語版でのゴールド(製品版マスターアップ)のプレスリリースが出されている。
  • 作中で仲間になるプレストン・ガービーが無限にクエストを受注させてしまうバグがあった。このバグは同行中装備を変えようと話しかけたら「ところで将軍」と追加されるほか、クエストの極めて重要な局面でもお構い無しに発生するので世界中のユーザーから空気読めよと様々なネタ画像や動画が生み出された。現在は修正されている。
  • ロシアで本作にハマり過ぎた男性が、Bethesda Softworksを相手取り50万ルーブル(約85万円)の賠償請求を検討するという珍事が発生した。
    • 男性は3週間にわたり本作をプレイして仕事を放棄。さらに睡眠や食事も取らず、友人や家族からのコンタクトにも反応しなかった。結果として仕事をクビになり、妻が出て行ったうえに健康状態も悪化し「精神的苦痛」を受けたと主張している*42
      • どう考えても自己責任としか思えない理由だが、担当する弁護士は「このようなケースがどこまで通用するのか見てみたい」と述べたとのこと。

その後の展開

  • 2018年11月15日に本作の流れを汲んだスピンオフ『Fallout 76』がPS4/One/Winで発売された。ウエストバージニアを舞台としたシリーズ初のオンラインRPGとなっており、時系列はシリーズで最も古い2103年となっている。
    • 発売前は大きな注目を浴びた『76』だが、NPCの不在や問題点の項目で触れた深刻かつ膨大なバグにより大炎上してしまい、シリーズの名を大きく傷つけてしまった。炎上の詳細はこの記事及びこの動画を参照。
      • 2020年4月14日の大型アップデートで追加された拡張コンテンツ「Wastelanders」にてNPCが実装されロールプレイが可能となったが、『76』が抱える問題の根本的な解決には至っていない。
    • 一応、バグに関しては最低限快適に遊べるまでに改善はしているが…。
  • ナンバリング次回作である『Fallout 5』の発売は、同社の『Starfield』と『The Elder Scrolls VI』よりも後となることがBethesda GameStudiosのゲームディレクター兼製作総指揮者であるTodd Howard氏によって明言されている(参照1)。
    • 『Starfield』は2023年9月6日にXSX/Winで発売され、これに続く『The Elder Scrolls VI』の発売がそこから5年以上先と公式に明言されているため、『5』の発売は2030年代以降であることが確実となっている(参照2)。
      • ちなみに、『76』に至るまでソースコードが流用され続けていたゲームエンジンは、前述の『Starfield』で一新されることが確定している。
  • 2024年4月25日にPS5/XSXへ対応する大型アップデートが配信された。
+ タグ編集
  • タグ:
  • ARPG
  • オープンワールド
  • Fallout

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月25日 15:00

*1 前作までは一定値を超える毎に僅かなステータス低下が累積し満タンまで行ったら死亡すると言う「直ちに健康に影響はない」程度の物だったため、ある程度の蓄積は無視して辛くなって来たら適当なタイミングで医者に行って全快してもらうのが定石だった。

*2 ただし完全な規制無しという訳ではなく、歩兵用核バズーカのFat Manが引き続きヌカランチャーになっていたり、人食いPerkのカニバルがミスティックパワーになっていたりと細かい表現は異なっている。

*3 ゼニマックス・アジアの高橋徹氏のリリース前のインタビューによれば「そもそもPCゲームについてはCEROを通す必要がない」とのこと。

*4 鉄板屋根の小さな穴などからはすり抜けてくるほか、計算が甘くて貫通することはたまにある。

*5 「USSコンスティチューション」と言うアメリカ海軍の「名目上」一番古い軍艦。

*6 本来の訳としてはミニットマンが正しい。

*7 元ネタは黒人奴隷を解放する組織。一応、『3』から登場している。

*8 キャップ。日本語で言うなら瓶の王冠…要するにフタである。瓶入りの飲料を使用すると開けて飲んだことになり1つ手に入るなど、考えれば当然なのだがそんなことまで再現されている。

*9 ここでの答えを裏付けるような展開はなく、判断はプレイヤーに委ねる形になっている。データ上では主人公の種族設定は「人間」であるが人造人間も「人間」であるためどちらとも取れる。

*10 人間を特殊なウイルスに感染させることで誕生する危険な生命体。

*11 アメリカ人が大好きな首振り人形。取得するとS.P.E.C.I.A.Lが1上昇したり色々得するのだが、既に対応するS.P.E.C.I.A.Lが10である場合に限り上限を超えて11まで上昇する。

*12 今作ならミニッツメンルート。『New Vegas』ならイエスマンルート。共に全ての勢力を敵に回したときのメインストーリーの詰み防止も兼ねている。

*13 長い間協議してきたがソニーがMODに対し対応が難しく許可できなかったのが主な原因とのこと。併せてPS4版『Skyrim』のMOD対応も見送られた。

*14 これまでベセスダ製ゲームのMODに必要不可欠なツールだったScriptExtenderに、CS版は対応不可能。

*15 海外メディアで、公式フォーラムで度々発生していたハード戦争が大規模化したという報道も行われた。

*16 公式コミュニティのアップデートにより盗作行為については削除要請ができるようになった。

*17 従来はblenderなどのフリーソフトで対応できたが、本作では一部の例外を除きMayaや3DMAXなどの年ライセンスで20万円以上、買い切りライセンスで60万円からと言う、企業ユースレベルのソフトが必要になる。

*18 元が略語で我々日本人には伝わりにくいため、シンス=人造人間としたのであろう。また、シリーズは以前より「アトミック・パルヴァライザー」を「原子破壊光線銃」と訳すなど、シリーズ特有のレトロSF風な世界観を強調する意訳が行われてきたので、人造人間もその一環であると判断されている。

*19 そんな全世界のプレイヤーのイライラが公式に届いたのかは不明だが、2016年8月のアップデートでクエストを一定まで進行させた後は不死属性が解除されるようになった。

*20 実際にとある入植地では最初から居る入植者がすり替えられており、シンスルートで接触すると「すり替えた側の立場として」会話することになる。

*21 地形データのこと。プレイヤーが一定距離まで近づくと読み込まれる。拠点によっては複数のセルで構成される。

*22 元の台詞は「Rubbish.」で、ジャンク品に対する発言。誤解を招くので「ゴミですよ」とかの方がマシか。

*23 一例を挙げると、サンクチュアリの地下室には換金アイテムの「金の延べ棒」がある。そこからすぐ南にある給水塔のような建物には医薬品と「綺麗な水x4」があるなど。

*24 使用の際は言語を英語にしてとアナウンスされた。

*25 事前に全世界同時発売とされていたにもかかわらず。また、翻訳は既にできあがっていたためクリスマス商戦に合わせたのではと噂される。

*26 Win版ではおなじみの拡張スクリプトを導入している原語ユーザーも多く、拡張スクリプトそのものが本体exeに対応しないとそれに関連したMODが使用できなくなるため、その間バージョンアップを見送る者も多かった。また、この仕様変更は一切告知されなかったのも混乱の要因。

*27 ゼネラルマネージャー高橋氏の過去の発言を見るに、ゼニマックス・アジアの利益になるのでコレクター要素の他にお布施目的にはなる。

*28 必須がGTX550で推奨がGTX780なので、当時としてはなかなかのスペックである。

*29 『Special Edition』及び『Anniversary Edition』

*30 MODを何も入れてない状態。アイスクリームのデフォルト味がバニラである事から来ている。

*31 『3』とは中身は別人。『4』で元々は作中のアメコミに出てくる悪役、という設定が追加されている。そのため、プレイヤー側もアメコミのコスプレをしているとメカニストに調子を合わせることもできる。

*32 既定値まで漕がせるよう強制する発電自転車、洗脳機能付き視力回復機など。ゲーム中で明示されないが、これらは使用者が低確率で死亡するとんでもないもの。

*33 どの実験用のマシンも安全な内容に変えることができる。また、そもそもバーストウに協力しないことで実験を中止させることもできる。ただし実験の成果として得られるマシンは二度と解禁できない。

*34 ランダムな敵のいるロケーションへ向かうタイプのクエスト。プレイヤーのレベルを考慮せず無作為に地点を選んでいるのが原因。BOSなどこの手のクエストを一度はクリアしないと進めないルートで低レベルのうちにファーハーバーを指定されると悲惨の一言。

*35 これ自体はカモを呼び込むための嘘なのだが、彼がレイダーに強制されている被害者なのは事実である。

*36 日本国内だとやたら主人公をパシらせてくるネタキャラ止まりだが、北米では本気で嫌う人も少なくない。

*37 開発していない居住地は多くても十人分ほどの食料しか産み出さない。レイダーたちは住める居住地があると必ず上限いっぱいまでやってくるうえにDLCの全ての要素をアンロックする条件にレイダーの居住地を8つ獲得する、という条件がつけられている。未開発の居住地の食料生産力ではまったく追いつかない。

*38 ヤクで元気を回復するとってもアレな設置物。入植者の満足度が大幅上昇するうえに人の割当が必要ない。プレイヤーが調べると定期的に大量のヤクを回収できる。

*39 レジェンダリー装備からガラクタまで雑多な品が定期的に納品される。

*40 通常の雑貨商の品揃えにチームごとの商品をプラスするため。なお、レイダーの雑貨店は「歯車ディーラー」という誤訳丸出しの名前がつけられている。

*41 翻訳以外にも審査等発売までにクリアしなければならない問題は多い。

*42 男性はメディアの取材に対し「もしも『4』の中毒性がここまで高いと分かっていたらもっと注意していた。それならきっと買うこともなかったろうし、買ったとしても休日や新年の休暇までお預けにすることが出来た。」とコメントした。