本項目ではアーケードゲーム『雷電IV』と、360移植版の紹介をしています。



雷電IV

【らいでんふぉー】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード(TAITO Type-X)
発売元 PIC
開発元 MOSS
稼動開始日 2007年6月7日
NESiCAxLive版:2012年3月29日
判定 良作
雷電シリーズ

概要

本編シリーズ5作目。基本的なシステム及び仕様は前作『III』とほぼ同じ。2種類のゲームモードが用意されている。


特徴

ゲームモード

  • オリジナル
    • 全5面の2周構成。
    • 2周目5面では、1周目にも登場したボスを倒すと隠しステージが出現し、真ボスと戦える。
  • ライト
    • 全5面の1周構成。
    • 最初からショットとサブウェポンがそれぞれ1段階パワーアップしている。
    • サブウェポン初期装備はニュークリア。
    • 敵弾速度が遅く、難易度が低い。

メインショット

  • ゲーム中に使用できるのは、赤(バルカン)、青(レーザー)、紫の3種類。
  • ゲーム開始前に、紫に割り当てられるショットを以下の2種類から選択する。
    • プラズマレーザー
      • II』『DX』に登場したショット。
      • 本作では最初から鞭状プラズマとして照射される。
    • プロトンレーザー改
      • 前作から仕様が変更となったプロトンレーザー。
      • 前作では1本だったのに対し、本作では三叉状に照射される。
      • しばらく自機を左右に振り続けることで1本に収束させ、威力を高められる。

サブウェポン

  • 前作同様、M(ニュークリアミサイル)、H(ホーミングミサイル)、R(レーダーミサイル)の3種類。
  • 前作のレーダーミサイルのバグは改善されている。
  • 溜め撃ち
    • 一定時間ショットを撃たないでいると自機にエフェクトが発生し、この状態でショットを撃つとミサイルの溜め撃ちが可能。
    • 溜め撃ちすると一度に大量のミサイルが発射される。
      • ニュークリア:前方広範囲に16発のミサイルを拡散させる。
      • ホーミング:全方位に16発のミサイルを発射する。
      • レーダー:前方に12発のミサイルを連射する。
    • 全てのパワーアップ段階で溜め撃ちの性能は同じ。
    • 溜め撃ちした時のミサイルが敵に当たると1発500点獲得できる。

その他

  • フラッシュショットの倍率が最大5.0倍に引き上げられた。
  • 隠しキャラ「レーダー」が復活。特定箇所(突起物または草むら)で自機を一定時間重ねると出現。破壊すると10万点。
  • モード選択でコマンド入力することでダブルプレイ可能。

評価点

グラフィック

  • 前作よりキャラクターモデルが精巧になった他、質感が増した。
  • 敵弾が爆発に紛れにくくなり、見やすくなった。

BGM

  • 前作とは異なり、ゲーム全体を通して統一感を持たせたBGM構成になった。
  • 道中に使用される新BGM3曲は、どれもメロディーが印象に残りやすい。
    • 1面BGM「A stormy front」と5面BGM「Advantageous development」は『I』で多かったハイテンポなBGMで、その場の展開を盛り上げている。
    • 2面BGM「Can't retrace」は物悲しくも力強いBGMで、『II』の雰囲気に近い。
  • 『II』を中心としたアレンジ曲が多数登場する。とりわけ旧作ファンを喜ばせる要素となっている。
    • どのBGMも、全体的な曲調が原曲とさほど変わらない正統派アレンジで癖がない。
    • AC版で登場する道中BGMは「Flap toward the hope*1」「Tragedy flame*2」「Repeated tragedy」の3曲。
      • 特に「Repeated tragedy」に関しては、シリーズ屈指の名曲という立ち位置に加えて重い曲調も相まって、旧1面BGMでありながら真の最終ステージに相応しいものとなっている。
    • ボス戦BGMとしては、『II』の「Metal storm」と『I』の「Go to Blazes!」が交互に使用される。
    • ゲームオーバー時のBGMには『I』の「Name Regist」のアレンジバージョンが使用されている。

システム

  • 前作からさらに、パワーアップアイテム回収が簡単になった。
    • アイテムを囲むリングに沿って時計回りに動く点が1周すると種類が切り替わるので、回収タイミングをより計りやすくなった。
    • ショットを撃たないでいるとアイテム吸着ができる。
      • 吸着中はリング上の点が止まるので、目当ての種類を回収しやすい。
      • 回収したいが前に出られないという時に便利。
  • 前作には登場しなかったプラズマが復活した。
  • プロトンの使い勝手が良くなった。
    • 前作ではレーザーの本数が1本のために広範囲攻撃が難しかったが、3本に増えたことで道中でも使いやすくなった。
    • 振り続けなければ高威力を発揮できない前作とは異なり、しばらく振って収束させれば常に高威力攻撃できるようになった。
    • 総合的な汎用性が向上し、道中・ボス戦両方でも活躍できる。
  • 仕様はやや異なるが、『RFシリーズ』に存在したサブウェポン溜め撃ちが本編にも受け継がれた。
    • 安全な時に溜めて敵が出現した時に使うことで、通常よりも有利に戦闘を進められる。
    • 全弾当てれば高得点になるため、稼ぎプレイにも役立つ。

難易度

  • 1年近くのロケテストが行われただけあって、ゲームバランスはシリーズでも最良クラス。
  • ゲームモード選択が復活してライトモードが用意されたことで、再び初心者にも遊びやすい環境となった。
    • 単に敵弾速度が遅くなっただけでなく、『III』から受け継いだ仕様改善も相俟って、ノーミス・ノーコンティニュークリアしやすい。
    • 1周目に関してはオリジナルモードと同じ内容をプレイできるので、『DX』の練習・初級コースとは異なってボリュームに差はない。
  • オリジナルモードは1周目でも一筋縄では行かないが、ライトモードで構築したパターンを応用すればいくらか攻略は楽になる。

賛否両論点

BGM

  • 主要BGMの大半が過去作アレンジのため、シリーズ経験者は懐かしさを感じやすい一方で目新しさは感じにくい。

ステージ

  • 1周当たりのステージ数は5面のため、過去作と比べるとボリューム不足。
    • 一方、1周攻略のみが目的ならプレイ時間は短めのため集中力を維持しやすい。
  • ステージの展開やギミックは、これまでの本編シリーズの延長であるものがほとんど。5作目ということもあり、ややマンネリ気味。

問題点

  • ゲームモード問わず、1周クリアするのみでは真のエンディングを見られない。
    • 1周目のエンディングは「地球に帰還したら母艦がまさに敵の大群と交戦中で、戦いはまだまだ終わっていなかった」という内容*3。1周クリアのみが目的のプレイヤーにとって、あまり後味は良くない。
    • 連コインしない限り、まともに本来のエンディングを見られるのは極一部の上級者のみということになる。
  • 癖のある左右スクロール
    • 本作で復活した画面の左右スクロールだが、「敵弾が左右スクロールに合わせて微妙に追従する」挙動となってるため、慣れるまでは違和感を感じやすい。

総評

新旧雷電の良いとこ取りで、なおかつゲームバランスも良好な万人向け縦STG。
『DX』と『III』の長所をまとめたような、正統進化と呼べる作品。
シリーズ独特のシンプルなゲームシステム、初心者も対象にしたモード選択、過去作を意識した作風などから、
新参や古参、初心者や上級者を問わない内容になっている。
後に複数の移植版が登場したことや移植版の要素がACに逆輸入されたことが、本作の評価の高さを物語っている。

雷電IV for NESiCAxLive

  • 『III』と同時に配信されたNESiCAxLive版『雷電IV』。
  • 単なる復刻版である『III』とは異なり、こちらには追加要素が存在する。
    • 新ゲームモード「パーフェクト」
      • 移植版の360モードをACでもプレイ可能になった(詳細は後述)。
      • 移植版特典CDに存在するアレンジBGMがゲーム中のBGMとして使用されている。
    • コマンド入力でフェアリーを使用可能。

ゲスト出演

  • 2016年6月にはタイトーのAC音ゲー『GROOVE COASTER 3 LINK FEVER』においてイベント『超シューティングゲーム祭』が開催。今作から「Tragedy Flame」がイベントのポイント報酬として先行配布された*4
    • 今作を意識したステージ背景や、雷電の象徴たるリーマンレーザー・5Wayショットを自アバターがばら撒くシーンも存在して再現性はバッチリ。アバターをシルバーホークや同イベントで登場したデルタソードにしてプレイするのもクロスオーバー気分が楽しめる。

雷電IV(360版)

対応機種 Xbox 360
発売・開発元 MOSS
発売日 2008年10月2日
定価 6,800円(税別)
判定 良作

概要(360)

AC版の完全移植に加えて、新モードを追加した家庭版。

  • デュアルプレイのみならず、ダブルプレイにも対応。
  • XboxLIVEに対応した要素あり。
  • 初回版には、使用されている全BGMとアレンジBGMが収録された特典CD「雷電IV -Ultimate of Raiden-」が同梱された。

特徴(360)

ゲームモード

難易度は8段階から選択可能。4段階目のノーマルが本作標準難易度で、5段階目のオリジナルがAC版準拠。
ゲーム進行状況に合わせて開始ステージを選択可能(2周目も含む)。

  • Xbox360モード
    • 家庭用オリジナルモード。全2周の7面構成。
    • 新ステージを2面追加。既存ステージの敵配置にも調整が加えられている。
  • スコアアタックモード
    • 「Xbox360モード」の内の1ステージのみを選択してプレイ可能。
    • 選択した1ステージのみのスコアを記録する。
  • アーケードモード
    • AC版移植モード。
    • AC版同様、ゲーム開始前に「オリジナルモード」と「ライトモード」の選択を行う。
  • ボスラッシュモード
    • 選択したステージから連続でボスと戦うモード。
    • 2周目のボスとも対戦可能。
  • ワールドランキング
    • 「Xbox360モード」と「アーケードモード」のスコアをXbox LIVEを通じて公開できるモード。
    • 本モードのプレイ内容がランキングに登録される。
    • リプレイデータ公開を任意で選択できる。
    • ランキングルール
      • 1クレジットのみ。コンティニュー不可。
      • 難易度はノーマル。
      • 残機3
      • ボム3個

追加機体

有料DLCで、新たに2機の自機を使用可能になる。
各ゲームモードを開始する前に自機を選択する。

  • 雷電Mk-II
    • 『II』『DX』『RFシリーズ』に登場した旧雷電機。
    • プロトンは『III』仕様。
    • ボンバーはかつての高威力遅延性のもの。
    • 移動速度が遅い、パワーアップに必要なアイテム数が多い、緊急回避できないなど、旧作の不便さをそのまま再現しており、使いこなすのが難しい。
    • その代わり攻撃力は絶大で、特にボンバーを使った複合攻撃によってボスを秒殺することが可能。
    • 数多くの欠点とそれに見合った攻撃力を併せ持った機体で、上級者向け。
  • フェアリー
    • 『RFシリーズ』で自機として登場したフェアリーを本作でも使用可能。
    • 武器は一新されており、紫ショットは1種類のみ。
    • ボンバーは仲間のフェアリーを呼ぶ画面全体攻撃。
    • 移動速度に優れているため、道中攻略やアドリブに強いのが特徴。
    • 攻撃力は低く、ボス戦では長期戦になりやすい。
    • 使いやすいように思えて癖が強いため、中級者向け。

評価点(360)

  • 「Xbox360モード」における新ステージ導入によって、1周当たりのボリュームが増加した。
    • 特に6面では、多数登場する宇宙戦艦を相手にするというシリーズにはなかった要素がある。
    • 既存ステージに関しても手が加えられており、AC版の単なる流用とはなっていない。
    • 新ステージの道中BGMにも『II』のアレンジ曲が割り当てられており、それぞれ「All or Nothing*5」「Depression*6」が採用されている。
      • 既存ステージでの『II』アレンジ曲とは違い、原曲の曲調を残しつつ『I』のハイテンポな雰囲気をも合わせ持った良アレンジであり評価は高い。
  • シリーズで初めて、オンラインに対応したハイスコアランキングが導入された。
    • 2周攻略できないプレイヤーでも「アーケードライトモード」であれば上位を狙いやすい。
    • 上級者のリプレイを閲覧して攻略の参考にすることもできる。
  • 有料ではあるが、本編シリーズで初めて複数の自機を選択可能になった。
    • 雷電Mk-IIに関して、様々な点で旧作の雰囲気が再現されているため、古参ファンにとっては嬉しい仕様。本作に『II』のBGMが多いことも相まって、尚更懐かしさを感じやすい。
    • フェアリーには雷電機にはないユニークな攻撃や特徴があり、本移植版特有の魅力となっている。
  • 「ギャラリーモード」では、各キャラクターのアニメーションを見られるようになった。
    • 特にボスは変形するものが多く、複数のアニメーションパターンがある。
    • 雑魚敵のアニメーションも見ることができる。

問題点(360)

  • アップデート前には以下の不具合が存在した。現在は修正済み。
    • 効果音が片方のスピーカーからしか鳴らない。
    • 一部実績の獲得条件に誤表記がある。
    • 秘密の実績を解除できない。
    • 不具合とはやや異なるが、2P側での1人プレイが出来なかった事も拘りを持つユーザーから批判を受けていた。
  • オートセーブ機能がない。ゲームオーバーになる度にゲームデータ及びリプレイのセーブ確認がある。
    • 一応、実績狙いの為に残機やボム数を弄ったプレイでのスコアを保存したくない時には有効と言える。

総評(360)

新ステージ・新機体を追加したことで、単なる移植だけでなく全く新しい楽しみを増やした家庭版。
オンライン対応ランキング導入に伴い、家庭用作品でスコアアタックを行う意義ができた点も本作の評価点である。
発売当初は無視できない欠点が存在したものの、アップデートによって解消されている。
現在は完全上位互換と言える後述の移植版が登場しているので、これから『IV』をプレイする人はそちらがおすすめ。

雷電IV OverKill

  • プラットフォーム
    • PS3版(2014年5月13日配信、MOSS)
      • ダウンロード専用タイトルとして発売された。
  • Win版(2015年9月3日配信、H2 Interactive)
    • SteamとGOG.comでの配信で言語は英語のみ。
    • 特典としてサウンドトラック*7とアートブックが付いている。
    • H2 Interactiveとのパブリッシング契約終了により、2022年7月26日を以てSteam/GOG.comでの配信が終了*8
    • 配信終了と前後して2022年7月28日に既にSwitch/PS5/PS4で発売されている『雷電IV×MIKADO Remix』*9のWin版を2023年初頭にSteamにて配信することが報じられ、2023年2月1日に配信が開始された。Win版『~Overkill』が配信終了となった理由はこれと差し替わったことによるもの。

概要(OverKill)

360版からさらに新要素を追加した移植版。

  • オーバーキルモード
    • 本作独自の新モード。全体のステージ構成は「Xbox360モード」を基にしている。7面+ミッションステージ2面の2周構成。
    • オーバーキルシステム
      • 他モードと異なり、中型以上の空中敵は耐久力が0になってもしばらく判定が残り続ける。
      • 墜落中に追い撃ちをかけることでその敵にゲージが出現し、完全に爆発するまでに撃ち込んだ量に応じた得点勲章が出現する。
      • 意欲的なモードではあるが、倒した敵の判定がしばらく残るため貫通能力のないバルカンやレーザーでは残骸に邪魔されて他の敵を倒せないという事態も発生しやすい。
    • ミッションステージ
      • 3面クリア後、5面クリア後の計2面が登場。
      • 特別ルール下でゲームが開始され、目的となる行動を達成することで高得点を得られる。
      • ボスは登場しない。
    • 敵を破壊した速度に応じて、2種類の「得点リング」が出現する。
    • スコアアタックの面白さを追求したモードである反面、中型雑魚の判定が邪魔になってゲーム進行に支障が出るため、難易度は上がっている。
  • 360版に登場したモードは全て登場。「Xbox360モード」は「Additionalモード」に改められる形で収録。
  • 雷電Mk-IIとフェアリーは最初から使用可能。

問題点(Overkill)

  • オーバーキルモードのBGMが何故かサントラ版からの垂れ流しである点。
    • 他のモードではきちんと曲がループするのに対し、オーバーキルモードだけBGMがループしないのは問題点の一つと言える。
  • 細かいバグや不具合が存在する。
    • 一部アーケードスティック型コントローラのボタン/スティック操作が正常に認識されない。こちらは現在ではアップデートで修正済み。
    • リプレイモードでリブレイデータを削除した後に、次回プレイ時のリプレイデータ(モードは問わない)を保存した状態でリプレイモードに入るとフリーズしたり画面がブラックアウトする。
      • こちらは最近になって発見された不具合の為、2017年現在もアプデによる修正対応の音沙汰はない。同じような不具合に見舞われた方は早めに公式ユーザーサポートへ報告されたい。
      • 既に発売から2年以上が経過した上次回作の『V』も発売済のため、連絡するなら今のうちである。
+ タグ編集
  • タグ:
  • STG
  • 2007年
  • AC
  • 雷電
  • 縦シューティング

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最終更新:2023年02月28日 13:51

*1 『II』における7面BGM。

*2 『II』における2・8面BGM。

*3 誰が呼んだか「お前んち燃えてんぞエンド」

*4 後にゲーム内マネーで交換可能となった。

*5 『II』における3面BGM。

*6 『II』における5面BGM。

*7 内容は360版の特典CD「雷電IV -Ultimate of Raiden-」と同一

*8 既に購入済みのユーザーは販売終了後も再ダウンロード/プレイ可能。

*9 『~Overkill』の内容にミカドリミックスBGMが追加されたもので、これに伴いパブリッシャーもNIS Americaに変更