ゲームボーイウォーズアドバンス1+2

【げーむぼーいうぉーずあどばんす わんぷらすつー】

ジャンル 戦略シミュレーション
対応機種 ゲームボーイアドバンス
販売元 任天堂
開発元 インテリジェントシステムズ
発売日 2004年11月25日
定価 4,571円(税別)
配信 バーチャルコンソール
【WiiU】2014年4月3日/702円
判定 良作
ファミコンウォーズシリーズ


概要

しばらく展開の止まっていたウォーズシリーズの新作。
海外で2001年に発売され、同年10月12日に日本でも発売予定があったが同時多発テロの影響を受けて未発売になった『Advance Wars(ゲームボーイウォーズアドバンス)』と、2003年に発売された『Advance Wars 2: Black Hole Rising(ゲームボーイウォーズアドバンス2)』のカップリング移植となっている。
本項目では前者を『1』、後者を『2』として解説する。


ゲーム内容

  • 基本的な勝利条件は「相手の首都を制圧する」か「敵ユニットを全滅させる」のどちらか。
    • 1日の始めに収入が入り、それを使って工場・空港・港でユニットを生産できる。
      • 生産されたユニットはHP10を持っている。これは部隊の人数・台数を示しているため体力であると同時に攻撃力も兼ねており、多ければ多いほど強い。これが0になるとマップ上から消滅してしまう。
      • また、燃料の概念も存在。移動すれば移動するほど消費し、0になると地上ユニットは1マスしか動けなくなり、航空・艦船ユニットは即墜落・沈没する。
      • 自軍拠点にユニットを置くことで、次の日には燃料・弾薬が満タンとなり、部隊数も少しずつ回復する。
    • 都市・工場・空港・港は占領することで自軍拠点となり、HPの補充やユニットの生産(都市以外)が可能になるのに加え、収入も増える。いかに自軍の拠点を増やし、敵軍の拠点を増やさないかが大事。
    • 時にはマップの天候も変化し、雨や雪の際にはユニットの移動力が下がってしまう。
+ ユニットの紹介

地上部隊

  • 工場で生産。基本的にどのマップでも使用可能。戦いの主役。
  • 歩兵(1000G)
    • もっとも安いが、攻撃力も耐久力も低い。序盤戦は占領に役立ち、中盤戦以降も肉壁、後半戦では首都占領に役立つ、このゲームの主役。
  • バズーカ兵(3000G)
    • 旧作の戦闘工兵。バズーカを持つため車両・戦車系への攻撃力が高く、占領も出来る。歩兵より移動力が1低いが、どんな地形でも足を取られずに進める。
  • 偵察車(4000G)
    • 索敵範囲が広い。移動力が8もあり、歩兵にも強いので占領の妨害に役立つ。ただし、車両系な為に悪路では思うように進めず、戦車系にも無力。
  • 軽戦車(7000G)
    • そこそこの火力・耐久とそこそこの安さが持ち味。上位クラスの戦車以外には強い。
  • 重戦車(16000G)
    • 高価格に。移動力が落ちた代わりに火力と耐久力が上昇した。『1』での地上戦最強ユニット。
  • 新型戦車(22000G)
    • 『2』限定のタコみたいな戦車。ほとんどの点で重戦車を上回っているが、耐久力はほとんど変わらない。キャンペーンモードではブラックホール軍の研究所で設計図を入手しないと生産できない。
  • 輸送車(5000G)
    • 歩兵系を1部隊搭載して素早く動ける。他のユニットに燃料・弾薬の補給を行うことも可能。
  • 自走砲(6000G)
    • 周囲2~3マスに攻撃できる上に、戦車にも大ダメージを出せる。間接攻撃ユニットの常として隣接した相手には攻撃できず、移動してからの攻撃ができない。
  • ロケット砲(15000G)
    • 自走砲より火力が増し、攻撃範囲も3~5マスになった。しかし、車両系なので耐久力も地形への適応も悪い。
  • 対空戦車(8000G)
    • バルカン砲で空中ユニットに大ダメージを出せる他、歩兵など紙耐久ユニットにもダメージを出せる。戦車には弱い。
  • 対空ミサイル(12000G)
    • 空中ユニットを1撃で葬る間接攻撃ユニット。高級品の割に地上部隊には何もできず、足も遅いのがネック。

航空部隊

  • 空港で生産する。どれも地形を無視しての移動が可能で、対空攻撃でないとダメージが与えにくい。
  • 戦闘機(20000G)
    • 最高の移動力9を持つ。空中にしか攻撃できないが、自分以外の航空ユニットはほとんど一撃。これと爆撃機は対空攻撃と戦闘機以外から攻撃を受け付けない。
  • 爆撃機(22000G)
    • 地上ユニットに圧倒的な破壊力を叩き出せる。終盤戦の主力。
  • 戦闘ヘリ(9000G)
    • 地上部隊にはめっぽう強く、費用対効果が大きい。ただし、対空攻撃への耐久力は皆無なうえ、ヘリ系は対空関係なしに地上部隊からの攻撃も受けてしまう。
  • 輸送ヘリ(5000G)
    • 歩兵を搭載して空中移動ができるため、遠距離の占領に役立つ。補給は不可能。

艦船部隊

  • 港で生産する。もちろん海しか移動できない。間接攻撃ユニット以外の地上部隊では殆どダメージを与えられない。
  • 戦艦(28000G)
    • 地上・艦船部隊への間接攻撃ユニットで、射程が2~6マスと非常に広い。護衛艦に強い。
  • 護衛艦(18000G)
    • 航空部隊に強い機関砲と、潜水艦のみに攻撃できるミサイルを備えている。また、ヘリ系を2部隊搭載する事ができ、搭載したユニットに補給もする。
  • 輸送船(12000G)
    • 地上部隊を2部隊搭載して移動できる。コストは高いが歩兵以外も運べる。補給は不可能。
  • 潜水艦(20000G)
    • 様々な攻撃を受けてしまう浮上状態と、燃料消費が激しくなるが隣接しない限り見つからなくなり、潜水艦・護衛艦以外に攻撃を受けなくなる潜水状態を使い分ける性質を持つユニット。戦艦に強い。
  • 戦闘システムが変更され、「同時攻撃」ではなく「攻撃→被害を受けた後で反撃」になった。
    • ファミコンウォーズではバランスブレイカーだった「バズーカ兵」がかなり脆くなり、先攻か後攻かで強さが激変する。
  • スーパーファミコンウォーズ』より続投した、プレイに彩りを加えるショーグン
    • 本作ではマップをプレイする時に1人のショーグンを選択する。固有の特殊能力と「ショーグンブレイク」で戦況を有利に進められる。
      • ブレイクは戦闘の最中で溜まるゲージを解放して使用する必殺技のようなもの。一発逆転のチャンスがある。
      • 『2』ではゲージが小さな星と大きな星に分かれ、小さな星が全て溜まるとブレイクが使用可能。さらに大きな星まで溜まると使用できる「スペシャルブレイク」が追加された。
        効果はブレイクより強力なもので、使い所を見極めれば戦況をひっくり返せる。
    • ショーグンの所属国は5国に振り分けられている。『スーパーファミコンウォーズ』で登場した4国にオリジナルの1国が追加されている。
+ ショーグンの紹介

レッドスター軍

  • モチーフはおそらくアメリカ。主役というだけあり、基礎的な性能のショーグンが集まっている。
    • 海外版では、諸般の事情からレッドスターではなくオレンジスター軍となっている。
  • リョウ
    • 特殊能力:なし
    • 『1』『2』の主人公的存在。スパナを手にした12歳の少年。尖った性能こそ持たないが、回復系のブレイクを使えるのが特徴。
  • マックス
    • 特殊能力:歩兵以外の直接攻撃ユニットの攻撃力アップ。代わりに間接攻撃ユニットは射程が短くなる。
    • 筋肉ムキムキの大男。『1』では攻撃力が50%もアップするが、『2』では20%しか上昇しなくなる。間接攻撃の弱さが弱点。
  • ドミノ
    • 特殊能力:歩兵部隊の性能をアップさせ、占領速度を速める。輸送部隊の移動力も上がる。直接攻撃ユニットの攻撃力はダウンする。
    • 特殊部隊隊長の少女。真っ向から殴り合うのは苦手だが、占領することは得意な上級者向けショーグン。スペシャルブレイクはどんな拠点も一発で占領できるようになるため、歩兵の立ち回りさえ上手く使えば一撃必殺も可能。
  • キャサリン
    • 特殊能力:ランダムで与えるダメージが増える。
    • 女性司令官。『1』はチュートリアル教官役で、自由に使用するには条件アリ。運次第で数値以上の火力が出る。
  • ハチ(2のみ)
    • 特殊能力:全てのユニットを10%割引で生産できる。
    • 「ウォーズショップ」のおやっさん、元ショーグン。特殊能力もさながら、スペシャルブレイクは都市でも地上部隊が生産できるようになるもので、序盤から終盤まで強い。

ブルームーン軍

  • モチーフはおそらくロシア。『1』での最初の敵国。
  • ホイップ
    • 特殊能力:降雪の影響を受けないが、降雨時には移動力が大きく下がる。
    • ブルームーン軍の司令官。キャサリンの元上司で、『1』では青いサンタの姿(海外版では車掌風)をしている上に単純な悪役だったが、『2』では衣装が変わり、性格も民衆想いになっている。
    • 雪の影響を受けないだけで、ユニットがパワーアップしたりはしない。ブレイクを使えば一時的に雪は降らすことはできるものの、1ターンしか続かなかったり。
  • ビリー
    • 特殊能力:間接攻撃ユニットの射程が増える(2では攻撃力も上がる)。直接攻撃ユニットは弱体化する。
    • ガンマンのような姿の青年。要所要所でシブい活躍を見せてくれる。殴り合いは苦手だが、それを間接攻撃の強さで補える強キャラ。
    • おっさんのような外見だが、同期であるマックスと同じ年齢。
  • イワン(2のみ)
    • 特殊能力:生産コストは20%安くなるが、全ユニットの攻撃力が低い。
    • まだまだ幼い新米ショーグンなお金持ちのお坊ちゃん。ブレイクは資金を1.5倍にするもので発動も早く、攻撃力の低さを数でカバー可能。

グリーンアース軍

  • モチーフはおそらくドイツ。ショーグンの性能が陸海空と分かれている。
  • イーグル
    • 特殊能力:航空部隊のステータスを強化し、燃料消費も減らす。ただし、艦船部隊は弱体化する。
    • リョウのライバル。形見のゴーグルを大切に持っている青年。『1』のブレイクと『2』のスペシャルブレイクは歩兵部隊以外再行動できるもの。発動まで遅いがその分強力。
  • モップ
    • 特殊能力:艦船部隊の防御と移動力を強化。雨が降っても移動コストが増えない。代わりに航空部隊が弱体化する。
    • 『1』の日本版のみ海賊・それ以外や『2』では艦長ルックのふとっちょ。海戦と降雨時の戦いに強い妙な性質をしており、やや使いにくい。ブレイクは津波や台風で敵軍全体に1ダメージ+燃料半減と強烈な全体攻撃。
  • ハンナ(2のみ)
    • 特殊能力:車両部隊と戦車部隊が強化されるが、それ以外は弱体化する。
    • 生真面目な女軍人。実は大して陸戦向きと言うわけではない。ブレイクは全部隊完全補給効果で長期戦に強く、艦船部隊や航空部隊の燃料切れも防げる。
    • 弱体化するとはいえその数値はイーグルやモップよりは少なく、許容範囲内といえる。

イエローコメット軍

  • モチーフはおそらく……ではなく、間違いなく日本。
    使用する兵器の外見がリベット打ちの戦車やレシプロ戦闘機などの旧兵器でありながらブルームーンのジェット戦闘機と互角に渡り合うなど士気の高さがウリ。
  • キクチヨ
    • 特殊能力:全部隊の攻撃・防御が強化されるが、その分コストも増える。
    • イエローコメット国王。『1』の日本版では軍服の上に鎧を着たチョンマゲ男。しかもかなりバカだったが、ホイップと同じく『2』で外見も内面もマトモになった。
    • その特殊能力は日本人ならなんとなくうなずけるもの。序盤は遅いがそれ以降が強くなる。ブレイクは更に全部隊を強化するが、スペシャルブレイクは強化に加えて2倍の威力で反撃できるようになる超性能。
  • アスカ
    • 特殊能力:索敵範囲が増える。敵からHPを把握できなくする。ランダムで与えるダメージが減る。(2では反撃時の攻撃力も上がる)
    • 天才的頭脳を持つキクチヨの一人娘。索敵戦では強くなれるが、ダメージ減少のせいで思うように敵を倒せないのが弱点。
  • ヤマモト(2のみ)
    • 特殊能力:歩兵部隊と戦闘ヘリの攻撃力強化。輸送部隊の移動距離アップ。車両部隊などが弱体化する。
    • 生ける伝説ともされる老兵。強化されるポイントがどれも玄人好みな隠れ強キャラ。ブレイクは自軍都市に歩兵を呼び寄せるもの。

ブラックホール軍

  • 『1』では黒幕、『2』では全編通しての敵軍。使用する兵器の外見がかなり怪しく、ショーグンもいろいろな意味で癖が強い。
  • ヘルボウズ(1)
    • 特殊能力:全部隊の攻撃力と移動力が上がるが、防御力が下がる。
    • ラスボス、ブラックホール軍総統。「タコ番長」とも呼ばれる妙な外見をしている。ブレイクは半径2マスサイズの隕石を落として8ダメージを与える強烈なもの。特殊能力もラスボスにはふさわしいところ。
    • プレイヤーが使用する時は攻撃力がダウンする代わりに防御力アップ、それとブレイクのダメージ低下。さらにトライアルマップでは使用できないと散々だが強い。
  • ヘルボウズ(2)
    • 特殊能力:全部隊の攻撃・防御・移動を強化。
    • 本作でもラスボス。まんべんなく強い能力を持つ。ブレイクは存在せず、前作のものがスペシャルブレイクにそのまま移行している。トライアルマップでもこのまま使える。
  • コング(2のみ)
    • 特殊能力:与えるダメージが表示よりも低下したり上昇したりする。
    • レッドスター軍に攻撃を仕掛ける大男。歩兵から出世した叩き上げの軍人。ダメージの揺れ幅が大きいのが特徴。
  • キャット(2のみ)
    • 特殊能力:地形効果で防御と同時に攻撃も強化される。
    • ブルームーン軍に攻撃を仕掛ける天才少女。幼稚な性格をしており、ホイップの生まれ故郷をめちゃくちゃにしたり、同じ天才少女のアスカに勝負を挑んだりもする。
    • 特殊能力は地形効果に対応したもの。平地・道路中心のマップでは弱いが、森・山中心のマップでは強くなれる。言えば地味だが、効果は確かなもの。
  • スネーク(2のみ)
    • 特殊能力:なし
    • イエローコメット軍に攻撃を仕掛ける目つきの悪い男。リョウと同じ特殊能力がないショーグンだが、こちらはブレイクの発動速度が早い。
      移動力(と全ブレイク共通の防御力)しかアップしないのだが、ゲージ満タンからの2日連続ブレイクは計算を狂わせるには充分。
  • ホーク(2のみ)
    • 特殊能力:全部隊の攻撃力が少しだけアップ。
    • グリーンアース軍に攻撃を仕掛ける冷徹な男。ブレイクは敵全部隊にダメージを与え、その分だけ自軍全部隊が回復する全体吸収攻撃。発動は遅いが使われると厳しい。
  • キャンペーン
    • いわゆるストーリー。使用できるショーグンが決められていたり、特殊ルール下でCPUと戦っていく。『1』と『2』で内容が大幅に異なる。
      • 『1』では、「作戦ルーム」と言うチュートリアルモードを最初にプレイする。プレイヤーは司令候補生としてキャサリンの指導を受けながら、レッドスターに進撃してくるホイップ率いるブルームーン軍を撃退していく。これが終了すると本番に。
        基本的に使えるショーグンはリョウ・マックス・ドミノのみ。ブルームーンとの戦いではリョウかマックスのどちらかでルートが異なり、イエローコメットは早い日数のクリアで隠し面登場、グリーンアース以降は3人のショーグンから選んで戦うなど、それぞれ固有の要素がある。
      • 『2』は復活したブラックホール軍を相手に4国がそれぞれ戦う。そのため別の軍のショーグンも普通に使える。新型戦車を手に入れるための研究所奪取、連合軍でのファクトリー戦、活火山やレーザー砲のあるマップでの戦いなどがある。
    • マップクリア時には評価が下される。マップごとに決まった日数以内でのクリア「スピード」・敵部隊の破壊数で決まる「パワー」・自軍部隊の生存数で決まる「テクニック」の3点評価。
    • クリアすると「ハードキャンペーン」がプレイ可能に。『1』ではかなり難しくなっているが、『2』は比較するとマイルドな難易度。
  • トライアル
    • いわゆるスコアアタック。先述の評価をいかに高く出すかが目的。
    • プレイヤー1人で敵同盟軍を相手にしたり、最初から相手の収入が多いなどの要素もあるが、キャンペーンを完走できる程度の実力ならクリアすること自体は難しくない。
  • ウォーズショップ
    • 両方の作品に存在する。ゲーム内で溜めたコインまたはウォーズポイントで、フリーモードやトライアルで使用できるショーグンの雇用やマップの追加などが可能。
  • マップエディット
    • 多少の制限はあるが、プレイヤーが自由にマップを作れる。3マップ×2作で6マップが保存可能。
    • LRボタンを同時押ししながら起動すると「任天堂」のロゴが書かれたマップが登場する。

評価点

  • 幅広い層に対応したゲーム性
    • 初心者への手厚い配慮。初代『ファミコンウォーズ』にあったわかりやすさやストイックさはそのままに、未経験のプレイヤーでもさらにプレイしやすくなっている。
      • 『1』では作戦ルームによって初歩の初歩から教えてもらえる。『2』でも序盤はチュートリアル的ステージ。
      • キャンペーンで負けてしまった際にはそのマップの攻略ヒントが聞ける。
    • 上級者にもやり込み要素は豊富
      • トライアルやキャンペーンは普通にクリアするだけならそれなりに簡単だが、最高評価を貰うのは相当に厳しい。
  • 「ショーグン」「ブレイク」によって広がった遊びの幅
    • 初心者でも強いショーグンを使えば勝ちやすく、慣れれば弱めのショーグンでも勝つことは充分に可能。
    • ショーグン自体は『スーパーファミコンウォーズ』で追加された要素なのだが、本作では数や能力の幅も増え、キャンペーンでも個性を発揮しているので愛着が湧きやすい。
    • ブレイクも逆転要素として機能している。上級者同士の対戦では相手がブレイクするタイミングを見計らうのもポイント。
  • グラフィック・BGMなどの演出も良い
    • 戦闘アニメに表示される兵士のドット絵は5軍それぞれで細部が異なる手の凝りよう。内容も簡潔でスピーディ。ON/OFF設定も可能。
      • 『1』は相手に大被害を与えるとショーグンの顔アイコンが喜び、受けた方は悲しむアニメーションもついている。
    • ショーグン1人1人ごとに、イメージに沿ったテーマ曲がつけられている。どれも出来は良く、思考の邪魔にもなっていない。
  • 1つのソフトとゲーム機だけで対戦が可能
    • 複数人で対戦すると相手ターンの間は退屈で電池の消費も不安になるが、これを使えばその心配もない。

問題点

  • 強いショーグンは非常に強い一方、弱いショーグンはとことん弱い
    • 『1』では移動力と防御力アップのヘルボウズが最強。それに続くのは常時直接攻撃力150%のマックス、間接攻撃が強化されるビリーに空戦のイーグルなど。
      • 反面、能力が役に立たないホイップ、メリットの少ないモップ、火力に不安を抱え続けるアスカなどはどうにもならないほど弱い。
      • アスカに関しては、相手ターンの途中行動が全く分からない「1台対戦」では能力の本領を発揮して屈指の強さとなる。
    • 『2』にも強キャラが多い。イーグルに加えて、強化倍率が上がったキクチヨ、速攻があまりに強いヤマモト辺りは手が付けられないほど強い。
      • それよりも強いとされるのは、歩兵の弱体化がなくなったビリーに、無尽蔵の軍資金で戦えるイワンに人海戦術のできるハチ、そして最強はやはりラスボスのヘルボウズ。これらはプレイヤーの腕を容易に覆せる。
      • それに対し、前作の弱キャラたちは強化された点が少なく、上記のキャラたちにはまったく対抗できない。最弱は新キャラのコング。キャサリンの下位互換なのを差し引いても弱い。
    • 対戦バランス自体は良好だが、プレイヤーの腕とショーグンの性能が大きく絡むため、プレイヤーの腕を考慮してショーグンを決めないと大方酷いことになる。
    • フリーバトルでは設定をいじってバトルができるため、ホイップは常時雪を降らす設定にしたり、アスカは索敵戦にしたりと、強くないキャラでも設定次第では人並みに戦えるようにはなる。それにしてもコングは例外だが。
  • 時折CPUが賢くない行動を取ることがある。たとえば…
    • CPU敵軍拠点にいる敵ユニットが、半径3マス地点に自軍歩兵がいるとまったく行動しなくなる。
      • その拠点は『1』だと首都・都市・空港で、『2』は首都・研究所・都市。また、間接攻撃ユニットは攻撃しか封じられず、艦船ユニットには効かない。
      • CPUのAIは歩兵に拠点をとられたくないためにこうしているようだが、こちらが敵軍首都を占領中でも発動する時は発動する。
      • ただし、バズーカ兵では発動しなかったり、歩兵が半径3マス地点にいても拠点まで届かないとこれまた発動しないため、余程の戦術がないと狙って発動はできない。
    • AIの潜水艦の扱い方もどこかおかしい。
      • 例えば、燃料切れに上手く対応できずに、そのまま沈没されてしまう。
      • なぜか敵陣のすぐ目の前で潜水艦を浮上させることもある。「叩いてください」と言わんばかりに。
    • 軽戦車がいつまでも港内の艦船を延々と叩きまくったりする。港に入港した艦船は、そもそも戦車系ではダメージがまともに入らないはずだが…
  • やり込み要素だとしても、『1』のハードキャンペーンが非常に難しい
    • 基本的にどのマップも自軍の初期配置減少+敵軍初期配置増加となっている他、索敵戦になったりもする。
      • 運の絡まないストイックなゲーム性上、数の不利を覆すのはとても難しい。中級者程度の実力ではクリア不可能なほど。
      • 隠しのラストマップにいたっては上級者ですら匙を投げだす難易度。プレイによって意図的に出現させないことができるのは救い。
    • マップによっては、クリアが不可能と言うわけではないが、どうあがいてもパーフェクトクリアが不可能になっているものが少々存在する。
      • 原因はスピード評価。マップごとに定められた日数以内にクリアすれば満点なのだが、理論上のクリア可能日数がそこを上回ってしまっているため。
        その一方で、パワー評価とテクニック評価はハードキャンペーン用の計算式の関係で、プレイ内容関係なく満点となってしまう。
      • 上のテクニックを使わなければパーフェクトクリアができないマップも存在する。
    • ちなみに報酬はキャサリンがトライアルなどで使用可能になる権利。『2』は条件がマイルドなのでそれで狙った方が早い。
  • 海軍関連の要素が少し割を食らっている
    • 前述のモップの「海戦に強い妙な性質」という記述から察しのとおり、海軍要素がやや少し冷遇されがちである。
      • ただしこれは本作品特有の問題というわけではなく、陸海空のミリタリー全般を扱う作品ではしばしば見られる現象だが…(海上戦に重点を置いた作品でない限り)
    • 登場する3つの海軍戦闘ユニットには、いずれも使い勝手を微妙に損ねるような欠点を持っている。
+ ユニットごとの具体例
  • 戦艦
    • 「移動してからの攻撃ができない」遠距離ユニットのペナルティが、戦艦にも容赦なく適用されてしまっている点が前作から全く改善されていない。
      • この欠点に加えてロケット砲、爆撃機などに対する防御力が低いせいで、本来なら艦隊戦の花形であるはずの戦艦が、「高価の浮きロケット砲」のようなものになっている。
      • 一応、陸軍の近接ユニットに対しては絶対的な防御力を誇っている。マックスの重戦車に対してでさえ。
      • ようやく遠距離ユニットペナルティが戦艦から取り除かれたのは『ファミコンウォーズDS:失われた光』になってから…
      • …と思ったら『失われた光』の方は攻撃範囲がロケット砲と同じ3~5マスになる、また別のペナルティをかぶってしまった。
  • 護衛艦
    • 続編の『ファミコンウォーズDS』とは違い、対艦・対地攻撃能力がない問題点が地味に痛い。
      • この欠点のせいで、海上の万能ユニットとしての趣が損なっている。
      • 「対艦」攻撃能力は『DS』をもって追加されたものの、「対地」能力が追加されることは続編でも結局無かった。
    • 対空機銃の威力が、陸上の対空戦車よりもやや劣っている。
      • 対潜戦かヘリ補給のためならともかく、純粋な対空ユニットとしては、どうしても対空戦車と戦闘機に軍配が上がってしまう。
  • 潜水艦
    • 潜航すると燃料消費量が増える…のはいいけど、燃料の減り具合があまりにも強烈である。
      • ただでさえ燃料搭載量が少なめ(60)な上に、潜航中は燃料を5も消費している。一切移動せずに潜航だけしても、たった12日で燃料切れになる。
      • 潜水艦の航続距離・活動時間の短さ自体は実物も原子力動力の物が出るまではそうであったので間違ってはいないが、それを補う「潜水母艦」*1が今作には存在してない(というより海上補給ユニット自体が登場しない)ため、余計に海上での長期行動が難しく、その分、港と装甲車に対する依存度が高くなりがち。
  • おまけに対空用遠距離武装を持っている海軍ユニットが存在しないため、例えば内陸から飛んでくる爆撃機に対して、艦船が対応することが少し難しくなっている。
    • 「スーパーファミコンウォーズ」の戦艦が持っていた主砲の対空能力が本作ではカットされたけど、それに対するフォローが何もないのが惜しい。
  • それでも致命的に使えないほどではなく、慣れさえすればそれなりに活躍できるのが本作の海軍ユニットである。
    • 例えば、戦艦を港に入れっぱなしにして沿岸要塞砲のように使ったり、護衛艦をヘリ空母代わりとして使う…などの変則的な活用法がないことはない。
    • ただ、前述で挙がった様々な問題点(特に戦艦の理不尽なペナルティと、対空遠距離武装を持つ艦船の不在)が、どうしても本作の海軍の足を引っ張っている感が否めない。
    • このせいで、少なくとも長期間海上に留まって制海権を及ぼす外洋海軍的なプレイは難しい。(どちらかといえば大陸国家的な、陸軍に従属する沿岸海軍のような挙動になりがち)

総評

日本では展開の止まっていたウォーズシリーズを再始動させた一作。
元より完成していたバランスに加え、さらにショーグンとブレイクの2要素の追加でゲームの幅が広がった。
1本に2作収録されているためボリュームも豊富。初心者から上級者まで納得できる出来の作品である。


余談

  • 海外では非常に評価が高く、大手レビューサイトMetacriticでの評価は『1』『2』ともども90点前後をマークしている。
  • 中古価格は高騰気味だが、WiiUバーチャルコンソールの配信で入手が容易になった。
  • 本作のショーグンにはキャサリンとヤマモトがいるが、前作に当たる『スーパーファミコンウォーズ』にはキャロラインとミスターヤマモトと言う名の司令官がいる。
    • キャロラインは性能も容姿も本作のキャサリンにそっくり。一方でミスターヤマモトは本作のヤマモトにどちらも似ていない。
      『2』海外版だとヤマモトの名前はSenseiとなっているため、『スーパーファミコンウォーズ』経験者に向けた一種のファンサービスだろう。
  • ショーグン解説の項でも書いたが、本シリーズでは日本版と海外版では外見の異なるショーグンが存在。
    • ホイップが車掌風からサンタになったり、モップが船長風から海賊風になったりと、変更された理由が不明なものも多い。『2』では基本的に統一されている。
      • (むしろ、サンタすなわち宗教観や海賊への抵抗感が少ない日本がベースで、海外版がそれに配慮した形、という可能性が高い)
    • 一方で、キャサリンの軍服がノースリーブになったり、アスカがメガネっ娘になっており、女性キャラはやや日本向けになっている。
  • 2001~2002年の別冊コロコロコミックに、『1』のコミカライズと思われる『ゲームボーイウォーズ』という漫画が連載されていた。但し概要にもあるように当時はゲームが発売されなかったため、わずか4回で打ち切られてしまった。
  • 2021年に海外のE3でのみNintendo Switch版『Advance Wars 1+2: Re-Boot Camp』が発表された。(ファミ通
    • 発売予定日は2022年4月8日となっていたが、ロシアによるウクライナへの侵攻の影響を受けて2023年4月21日へ延期となった。つくづく世界情勢に翻弄されることが多いシリーズである。
+ タグ編集
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最終更新:2023年04月21日 03:42

*1 実際の潜水母艦は洋上補給はしないで港などで停泊中に補給するのが普通だが、この辺は「ゲームだから」で許される範囲だろう。