ドッジボーイ

【どっじぼーい】

ジャンル アクション/スポーツ(ドッジボール)
対応機種 ゲームボーイ
メディア 1MbitROMカートリッジ
発売元 トンキンハウス
開発元 トーセ
発売日 1991年12月6日
定価 3,399円(税別)
プレイ人数 1~2人(対戦時のみ2人)
周辺機器 通信ケーブル
備考 パスワードコンティニュー(5文字)
判定 なし
ポイント あのくにおくんゲーの亜流作だが、オリジナリティに乏しい


概要

トンキンハウスより発売された、ドッジボールを元にしたスポーツアクションゲーム。
基本的にはドッジボールのルールになぞらえているが、必殺シュートや内野選手の体力制を採用するなどのアレンジがされている。
ゲームモードは任意のチームを使って世界最強を目指す「ワールドカップ」と任意の参加チーム同士での対COM戦が楽しめる「テストマッチ」、そして通信ケーブルを用いた対戦モードが用意されている。
ワールドカップモードはパスワード制が採用されており、試合に勝利するごとに表示されるパスワードを使用することで途中からのプレイも可能となっている。

…と、ここまで書いたが、早い話がパスワードコンティニュー機能が追加された『熱血高校ドッジボール部』と思って貰えれば解りやすい。
ただし、所謂「メチャぶつけ(クラブ活動)」はこちらには存在していない。

ちなみに、ほぼ同時期に『熱血高校ドッジボール部』のGB版がリリースされている。


ゲーム内容紹介

+ 少々長くなるのでクリックで参照

操作方法

ボタン ボール所持時 ボール非所持時
十字キー 移動(8方向)
十字キー
同じ方向に2回
ダッシュ移動(4方向)
Aボタン パス ドッジ(避け)
Bボタン シュート キャッチ
A+Bボタン ジャンプ

ゲームモード

  • ワールドカップ
    • 本作参加の6チームから1チームを選んで選択しなかった残りの5チーム全てと対戦し、勝利して世界最強を目指すモード。
  • テストマッチ
    • 本作参加の6チームからプレイヤー・コンピューターそれぞれに任意のチームを選択してのエキシビションマッチを楽しめるモードで、対戦ルールや対戦するコートの選択も可能。
  • 対戦モード
    • 通信ケーブルを用いて、プレイヤー2人で対戦するモードで、基本的な所はテストマッチに準拠する。

対戦コート

  • フロア(体育館)
    • 至って普通のコート。
  • クレイ(砂地)
    • 砂で敷き詰められたコートで、移動速度が低下する上にコートの所々にある石に触れると躓いて転んでしまう。
      転んでもダメージを受けることはないが、隙が生まれてしまう上に、ボールを持っていた場合はボールを落としてしまう。
  • ビーチ(海辺)
    • 海辺に作られたコートで、クレイコートよりも更に移動速度が低下してしまう上に、所々に石があり、やはり触れると躓いて転んでしまう。

参加チーム
日本・ドイツ・ソ連・アメリカ・中国・オーストラリアの6カ国が参加しており、左に名前を挙げたチームほど強い設定となっている。
そのため、ワールドカップでは右から左に向けてのチーム(つまり、オーストラリア→中国…といったように)と、プレイヤーが選択したチームを抜かして順番に対戦していくことになる。

対戦ルール

  • 試合回数
    • 1セットマッチ(1本勝負)
    • 3セットマッチ(2本先取)
  • 試合ルール
    • デスマッチ(敵チーム内野を全滅させた方の勝利)
    • 時間制(試合時間内により多く敵にダメージを与えた方の勝利。ただし、時間内に内野が全滅した場合はそこで試合終了)
      • 試合時間3分
      • 試合時間5分
      • 試合時間8分

上記の中から試合回数と試合ルールを選択する事が出来る。
ワールドカップもコートの選択は出来ないが、基本となる試合ルールの設定は可能となっている。

必殺シュート
本作には必殺シュートが用意されている。
ダッシュしている最中にボールを投げることでスピードボール*1を投げることが出来、ダッシュして更にジャンプしている最中に投げることで選手ごとに設定された必殺シュートを投げることが出来る。
スピードボールは当たれば大体10前後、必殺シュートは20前後のダメージを与えることが出来る。
なお、スピードボールも必殺シュートもあくまでその状態であることが条件であるため、「ダッシュ何歩目」といった条件や、「ジャンプ頂点で投げる」といった細かな条件はない。
ただし、一部の選手はダッシュ中に分身して投げるスピードボール*2を必殺シュートとしており、その選手はジャンプ中に投げる必殺シュートが無いため、ダッシュジャンプ中のシュートもスピードボールになる*3


評価点

  • 必殺シュートの条件の簡素化
    • 他作品との比較になってしまうが、『熱血高校ドッジボール部*4』では必殺シュートは地上だとダッシュ7歩目で、空中だとダッシュジャンプ上昇中の頂点付近でなければ出せないため、一部の特殊シュートを持っているキャラクター以外は必殺シュートを使うか使わないかといった案配で選択肢が狭いが、本作では分身して投げるスピードボール*5以外はダッシュ中(またはダッシュジャンプ中)であればタイミングは問わないので必殺シュート1つ取っても投げるタイミングをずらしたり等の駆け引きも生まれる。
  • それなりに選択肢のある試合ルール設定
    • 後述するが、ゲームバランスがかなり壊滅的なので制限時間制のルールがあるのはある意味で有り難い(むしろデスマッチのみだとかなり悲惨なことになる)。
  • 同チーム対戦可能
    • ワールドカップでは省かれるが、テストマッチや対戦モードでは同じ国同士の対戦も可能となっている。

問題点

壊滅的なゲームバランス

  • 無駄に高すぎる体力
    • 必殺シュートは大体20程度、スピードボールが10程度、通常シュートが大体その半分の5程度のダメージになる。
      • だが、最強チームの日本だと1人の選手の体力が大体90程度、中程に位置するアメリカで50~70、最弱のオーストラリアでも最高で40近い選手がおり、それ以外の選手でも大体30程度。
        これを3人倒さなければデスマッチだと勝利出来ないため、最初の内はともかく終盤はいたずらにプレイ時間が延びる結果になってしまっている。
  • チーム格差
    • これまた『熱血高校ドッジボール部』では最弱とされるチームの全選手に必殺シュートがあり、更にはそのチームにも光る所はあるため、プレイヤーの腕次第で最強チームを食うことも可能なバランスとなっているのだが…。
      • 本作の弱いチームは体力が低いだけでなく、球速も遅く、酷いと必殺シュートやスピードボールも投げられない選手もいたりするなど、どこかに光る所があるわけでもない弱いチームで強いチームに勝利を収めることなど、もはや夢のまた夢となってしまっている。
      • そのため、何かの罰ゲームでもない限りはわざわざ弱いチームを使う理由がないのだが、そうすると前述の無駄に高すぎる体力のせいでデスマッチでは無駄に長期戦になってしまうという板挟みになってしまっている。
  • これら要因により、余程のことがなければ制限時間制での対戦が必須のバランスになっている。

遅すぎる画面スクロール

  • コートが広いため、縦スクロールする機会が多い*6のだが、これが問題のあるものとなっている。
    • シュートを打つとボールを投げた相手の陣地にスクロールするが、そのスピードがかなり遅いため、ある程度のスピードのシュートを投げられる上位チーム相手でこちらが守りの状態では、ターゲットにされている選手の状況も把握できないままにボールをキャッチすることを要求されることになる。
      • そのため、スクロールして画面に表示される頃にはボール直撃でダウンしている選手の姿を見せられることもザラである。
  • また、スクロール速度からは少し逸れるがこちらが攻撃を仕掛ける時は敵のメンバーは揃いも揃ってコート後方に下がってしまうため、敵の陣地の様子がほとんど見られないのでシュートを打つにも運頼みで撃つことになる。
    • 多少は敵のいる方に向けて球に変化がかかる*7のだが、変化がかからずに直線で球が飛んでいくことも多々あるため、信頼の置けるものではないのが余計に拍車を掛けている。
      • こちらがボールを持って移動する時は対象キャラクターを中心にカメラが移動するが、それ自体は問題がないものの、相手チームの動きのせいでコートの中央ラインギリギリまで行ってもほとんど敵の位置が見えないために問題になっている。

妙なバグが多い

  • どういった要件でそうなってしまうのかが解らないが、特にCOM戦において時折エリア判定が妙なことになる。
    • そのため、いきなり敵チームの内野がこちらの外野にパスをくれたり、逆にこちらの外野が内野にパスをしようとするとなぜか敵内野にボールが行ってしまうといったこともある。
      • その他にもその場に静止しているボールにキャッチせずに触れるとダメージを受けたり*8コンピューターが突然延々とパス回しをし始めてそのままオーバータイムになってしまう*9等の明らかに理解に苦しむ妙な挙動を見せることも少なからずあり、まさしく妙なバグが多いとしか言い様がないのである。
  • それでもゲームがフリーズしたりするといったレベルのバグがないのは評価すべき…なのだろうか。

メンバーが倒されてしまうと立て直しが難しくなる

  • 内野メンバーが倒されると、ホイッスルと共に該当のフラフラになっている内野選手に対して退場を宣告しているアニメーションが挿入される。
    • その後試合再開するのだが、「内野選手を倒した側」にボールの支配権が移って再開するため、体勢の立て直しが困難になってしまい、最悪の場合はそのまま連続でやられてしまうこともある。

オリジナリティの欠如

  • ある意味一番大きな欠点である。
    • 全体的に明らかに『熱血高校ドッジボール部』の影響を受けているのが丸解りで、それを劣化させているかそのまま丸コピペといっても差し障りのない内容になってしまっているため、オリジナリティがまるでない。
      • 普通に「これってくにおドッジじゃね?」といったような意見も飛び出してしまう有様である。

総評

正直、かなりクソゲーすれすれの出来であると言わざるを得ないゲームではあるが、それでもゲームとしての体は成しているし、ある程度勝手が解ってくればそれなりには楽しめるゲームでもある。
ただ、そこまでするほどのゲームかと言われると正直反応に困る所ではあり、むしろそれならば明らかに元にしているであろう、『熱血高校ドッジボール部』の方が余程楽しめるというのが現実である。


余談

フジテレビのCS放送「フジテレビONE」および「フジテレビNEXT」で放送されている『ゲームセンターCX』第12シーズンの第7回目放送(2010年1月19日放送分)の1コーナーである「もったいないカラー」のコーナーで本作が取り上げられている。


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  • ドッジボール
  • 1991年

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最終更新:2019年04月03日 18:29

*1 正式名称ではないが、ダッシュ中に投げることの出来る通常よりもボールスピードの速いシュートを本項内ではこう表記する。

*2 ラインクロス(コートの周辺のラインをダッシュで踏み抜けてしまう反則で、その場でボールの支配権を失い、相手ボールになる)の危険無く確実にスピードボールを投げることが出来るが、威力・性能は普通のスピードボールと変わらない。

*3 外野に回された選手もダッシュジャンプ中の必殺シュートは出せなくなり、スピードボールになる。

*4 この項で比較に出す際は全てファミコン版とする。

*5 このシュートは分身しながらダッシュして投げるまでの一連の動作がセットになっているため、こちらが任意で投げるタイミングを決められない。

*6 COM戦の場合は手前側がプレイヤー、奥がコンピューターとなっている。

*7 基本的に十字キーの入れた方向に投げるが、ニュートラル状態で投げた場合にのみ、この変化がかかる。

*8 敵のパスなどをキャッチせずに触れてもダメージを受ける。こちらは緩やかでもボールに勢いがあるのでまだ解らなくもないが…。

*9 このゲーム中においてはシュートしないでおよそ15秒以上チームでボールを保持し続けると反則として相手ボールになってしまうルールがあり、これをオーバータイムという。通常、コンピューターは数回パス回しをしてもオーバータイムになる前にはシュートをしてくるのだが、この状態になるとオーバータイム直前の警告の意味での曲の変調に対してもお構いなしに延々とパスを回し続ける。