よるのないくに

【よるのないくに】

ジャンル 美少女従魔RPG


対応機種 プレイステーション4
プレイステーション3
プレイステーション・ヴィータ
Windows7~10(Steam)
発売元 コーエーテクモゲームス
開発元 ガスト長野開発部
発売日 【PS4/PS3/PSV】2015年10月1日
【Win】2017年2月8日
定価(税別) 【PS4/PS3】
 通常版/ダウンロード版:6,800円
 プレミアムボックス:9,800円
【PSV】
 通常版:5,800円
 ダウンロード版:5,143円
 プレミアムボックス:8,800円
【Win】3,036円
レーティング CERO:C(15才以上対象)
判定 なし
ポイント ガストの完全新作RPG
音楽・グラフィックは良質
シンプルで快適な操作性
シナリオの説明・描写不足
PSV版は大幅な劣化あり
よるのないくにシリーズ
よるのないくに / 2


概要

ガスト長野開発部が制作するアクションRPG。
ガストの完全新規作品としては『大正もののけ異聞録』以来12年半ぶりとなる。
今回は『』シリーズの菊地啓介*1氏がプロデューサーを務めた。


ストーリー

かつて在った、人にあらざる者───
妖魔の長、夜の君と呼ばれたそれとの戦いは
人類の勝利で終りを迎えた。
しかし、夜の君はその散り際に
汚れた血を撒き散らし禍根を残す。
その青き血を浴びたものは姿と性質を変え、
邪妖と呼ばれる存在に転じ、
人々から夜の世界を奪うモノとなる。
以来、この地は光差す時間はヒトが活動し、
闇に染まる時間は邪妖が蠢く、決して眠ることのない
“よるのないくに”となった。
青き血を浴び、“吸血”という呪われた能力を得た少女は、
”よるのないくに”でヒトのために生き、
夜の生贄となる一人の少女のために戦っていく。
地図に存在することのない“よるのないくに”。
これはそこに生き、戦い、その後誰にも語られることなく、
歴史の狭間に散った二人の少女の愛の物語。
その真実の愛にもとづく物語は、何よりも悲しく、月よりも美しい───
(よるのないくに公式HPより引用)


ゲームシステム

ゲームの流れ

  • 半妖の少女アーナスとして、夜中に現れる邪妖を退治するのがゲームの主な目的である。
    • まず拠点であるホテルでイベントの視聴、買い物、クエストの受注を行う。準備ができたら外出し、イベントの進行・クエストの進行・アイテム収集などをする。
      • 外では敵が出現する。状況によっては武器や従魔を利用して倒す必要がある。
    • 道中にある中継地点から帰還するか、一定時間経過すると探索終了となる。道中で手に入れたアイテムや経験値は、このタイミングでまとめて精算される。
    • イベントを終わらせる、ボスを倒すなどするとストーリーが進行し、新しいエリアへ行けるようになる。

ヨルドの祭壇

  • ホテルの施設の1つ。アーナスのレベルアップを行うほか、ストーリーの節目でイベントが発生する。
    • 邪妖退治の際に得た蒼き血「Blood」を対価に力を得る「血の奉納(デスダン)」を行い、新たなスキルを習得したり、パラメータを強化できる。
      • 血の奉納では素肌を覆うものがない方がよいとの理由で、儀式中はアーナスはかなり際どい水着姿になる。

昼間行動

  • 夜中の外出を一定時間以上行うことで予め決めておいた昼間の予定を行うことができる、これをすることでスキルポイントを入手することができる。

アクション

  • 基本操作
    • □ボタン・△ボタンで攻撃、×ボタンで回避、○ボタンで必殺。ジャンプは存在しないが、概ねコーエーテクモではおなじみとなった操作体系。
    • 武器は全部で5種類。バランスのいい剣、手数の多い短剣、サポートに長けた魔銃、打撃力の高い戦槌、強力な血剣。
  • 従魔(セルヴァン)
    • アーナス配下の妖魔で、一緒に戦ってくれる。憑代と呼ばれるアイテムで仲間にすることができ、憑代をハクスラする事で強力な従魔を集めていくことが基本となる。
    • デッキと呼ばれる欄に4種類まで「従魔」をセットできる。デッキは4つまで所持でき、戦闘中に任意に切り替えられる。ただし、デッキを切り替えると召喚済みの従魔は全て帰還する。
    • 従魔は戦闘中にSPを消費して召喚し、召喚時に決まったアクションを行う(召喚アクション)。その後は独自の行動パターンで動き、敵を攻撃したり味方を補助したりする。
    • 既に召喚済みの従魔に対して召喚コマンドを実行すると、各従魔のSPを消費しての特殊能力「従魔バースト」が使える。
    • また従魔の個体ごとに初期スキルが異なるため、欲しいスキルが入手できるまで憑代を厳選することも可能。
  • 変身
    • 敵を攻撃すると変身ゲージが溜まり、最大になれば必殺攻撃として別形態へと変身できる。
      • 従魔には「変身因子」と呼ばれるものが設定されており、その総数が多い形態へと変身できる。因子が多いほど変身時間も長くなる。
    • いずれの形態も攻撃が派手かつ強力で、ビジュアルも美しい。アーナスの性格も変化する。
    • クリアデータが存在する場合、別データで最初から初めても隠し要素のナイトメア因子が登場するようになる。

評価点

闘技場(据置機版限定)

  • ホテルの地下で挑戦できる。特定の条件下で戦闘を行うというもの。クリアすることで特別な報酬がもらえる。
  • クリアまでに取った行動(必殺技を使わない、回避しないなど)や、かかった時間に応じてスコアが決まる。スコアが高いほど良い報酬がもらえる。
  • パズル要素が強く、ただがむしゃらに連打するだけではクリアできない。しかし難しすぎる訳でもなく、何度も繰り返し挑戦することで攻略法が分かるようになっている。
  • クリアするために装備や従魔の組み合わせを考えるのは中々面白い。内容も50チャレンジまであり、やりごたえは十分。

グラフィック(据置機版限定)

  • キャラの3Dモデルは元となった四々九(よしく)氏の絵を良く再現できており、クオリティは高い。敵や従魔のグラフィックもよく作られている。
    • 中でもアーナス変身後の姿の1つである「ラビットフォーム」は、露出度高めのデザインと性格から人気が高い。抱き枕カバーが作られるほど。
  • 建物や背景も高水準とまではいかないが、概ね納得できる出来になっている。
  • 戦闘エフェクトも派手で爽快。ボスが放つ必殺技も派手なのでゲームオーバー覚悟で見る価値はある。

サウンド

  • 捨てる曲がないほどの名曲揃いで、ロック調やオーケストラ、さらにはジャズなど、豊富なバリエーションが存在する。
    • 各ボスにも専用曲がある他、戦闘時のフォームにもそれぞれBGMが用意されており、プレイを盛り上げてくれる。
    • 特に上記の闘技場のBGMは、何とエリーのアトリエ』の人気曲「悲しき吸血鬼」のアレンジであり、ファンを大きく驚かせた。
      • ちなみに、本作のOST盤はプレミアムボックスの特典になっており、残念ながら単品では発売されていない。

終盤のバランス

  • ラスボスとクリア後に戦えるエクストラボスは、多数の状態異常と広範囲攻撃を備えており対策なしでは一方的に倒されてしまうほど強い。
    • ここでは回避のタイミングを覚え、最適な装備の組み合わせを探し、従魔との連携を考えるという、それまでにない歯ごたえのあるバトルを楽しめる。
  • アップデートで追加されたダンジョン「常闇の回廊」は本編よりも強力な敵が出現する高難度マップで、こちらもやりがいのあるコンテンツとなっている。
    • それまでのやり込みは最大ダメージ検証や従魔のステータス強化など限られていた。
    • しかも強い敵がおらず、わざわざやり込む理由がなく趣味の範疇を出なかった。このアップデートでやり込む意義が増したと言える。
  • 逆に上記の時期を除くとゲームバランスはかなり易しめで、工夫のしがいが無く、力押しで何とかなってしまう等問題になっている(後述)。

シンプルな操作性

  • □△で攻撃、×で回避と、操作性はシンプルでライト層でも楽しめる構造になっている。(据置機のみ)動きも60fpsで快適。
  • キャンセルのタイミングが自由で動作の引っかかりも感じにくい。「動かすのが楽しい」というアクションRPGとしての土台はできている。
    • ただ後述する受け身の先行入力の効きづらさや、ジャンプができないなど一部問題もある。
  • 武器の切り替えを十字キーによるワンタッチで行える。いちいちポーズしなくていいのでかなりスムーズ。
  • 攻撃動作中の武器切り替えも可能で、短剣で斬りこんで戦槌でフィニッシュなど、ちょっとしたコンボのようなこともできる。
    • アクションのバリエーションが少ないため、空中でお手玉するような派手なコンボはできないのが残念なところ。
    • また「やり込み」レベルの高等なコンボはほぼ組めない。もう少し作り込まれていれば…。
  • 従魔も単純な操作で命令が出せ、戦闘の指揮官になっている気分が味わえる。その動きも単純な攻撃から、デコイになる、バリアを展開、糸で敵を引き寄せるなど多様。

賛否両論点

アーナスのキャラ付け

  • アーナスは見た目こそ男らしさとは無縁の美少女だが、口調や性格の方はほとんど女性らしさが感じられず、中性的を超えて男性的なものとなっている。
    • どれくらいかと言うと台詞の8割以上が男性キャラの台詞として見ても違和感がないほど。また、モーションの方も中性的ないし男性的なものが多い。
    • 大雑把に言えば、「宝塚の男役を女性の恰好のまま演じている」ようなイメージである。
      • そのため百合を期待していたのにアーナスが男らしすぎて女の子同士という感じがしない、と感じるプレイヤーも多い。
  • 一方でこのキャラだからいい、というプレイヤーも多くいるため好みの問題と言う面も大きい。
    • アーナスが年頃の少女の感性を持っていることが、昼間行動や昼依頼のコメントで掘り下げられていたりはする。

ロイドと有角教授

  • 百合ゲーに混ざる男性キャラクターということで、プレイヤーによっては嫌悪感を抱くかもしれない。
  • 「リュリーティスがいないと、こんなにむさくるしくなるんだな」など、皮肉めいた台詞も。
  • 漫才のような2人のやり取りは面白いが、一方でネタ振りがくどい面もあり、好みが分かれやすいキャラと言える。

問題点

シナリオ

説明・描写不足

  • 本作は一周あたりのボリュームがRPGとしては控えめな上、全体的にツッコミどころが多く、説明・描写が不足している。
  • 主人公のアーナスとヒロインのリュリーティスの2人に関する掘り下げが不十分で、物語に入り込みづらくなっている。
    • 2人は相思相愛だが、学生時代一緒にいたとさらっと語られるのみで、そこでどのように仲良くなったのかその経緯が丸々省かれている。
    • アーナスには半妖であるが故に居場所がなく各地を彷徨っていた時期がある。それがリュリーティスを好きになった理由にも繋がるが、終盤で少し触れられるだけで深く掘り下げられない。
    • リュリーティスは昔の話を何度か引き合いに出すが、その当時の出来事が具体的に語られないのでプレイヤーは話に置いてきぼりである。
    • 同様にアーナスが「リュリーティスと過ごしたひと夏は、かげがえのないものだった」と思い出を語るシーンがあるが、いつの話なのかプレイヤーには分からない。
    • 後にDLCで過去編に該当するシーンが追加されたが、文章が短いうえに情報が断片的であり、結局のところプレイヤーの想像力で補うしかない。
    • エンディングに影響する好感度システムがあるが、正直なところゲーム開始時点でそれ以上上がりきらないぐらい相思相愛で、仲良くなっていく実感が沸かない。
  • アーナスを支援するエージェントとして有角教授、ロイドの2人が登場するが、2人のうちどちらかは偽のエージェントとされる。
    • しかし、この謎がストーリーの手がかりを握ることはなく、意味ありげに中盤まで引っ張られるものの、大したオチも付けられずに終わる。
  • ヨルドの祭壇では、儀式を執り行うヨルドの巫女がアーナスの質問に答える形で、世界観の解説を行う。
    • アーナス以外の騎士は何をやっているのかなど、プレイヤーが持つ疑問に答えてくれる。
    • が、全ての質問を選ぶ前にイベントが強制終了してしまう*2。消化不良のままゲームを進めることになるためプレイヤー的には面白くない。
  • 専門用語の説明などを作中の用語集に任せており、何となく本編をプレイするだけでは分からない場面、台詞がある。
    • 「妖魔」「純血の妖魔」「邪妖」「従魔」etc…敵を表す用語が何通りかあるが、本編ではあまり詳しく描写されない。
    • 事前に用語集を読んでないと訳が分からなくなりやすい。読んでいても台詞がややくどく、難解に感じるところはある。
      • 種族名が「妖魔」で、そのうち外的要因で妖魔になったものが「邪妖」、生まれつきのものが「純血の妖魔」であるらしい。
      • しかし邪妖化した楽器だけ、何故か「魔楽器」と特別扱いされていたりもする。理由は不明。
  • ダンジョン内部には何故か電話が置かれており、トラブルが発生した直後に都合よくかかってくる。
    • キャラもそれに突っ込もうとせず平然と電話を取る*3
    • またアーナスが無視した電話をリュリーティスが取った結果、彼女が聖女に決まる*4という意味不明な展開がある。
    • アーナスも「あのとき自分が電話に出れば~」とズレたことを語り出す、そもそも聖女が決定したという重要な内容を何故電話で報告するのか。
  • 事態を解決するための重要素材が、特に理由付けもなく地下鉄のゴミ箱や遊園地の木箱の裏に落ちているなど、展開がおざなり気味になっているところも。

設定と実際の描写のくい違い

  • 夜は邪妖が沸くため住民はみな屋内に閉じこもっているという設定(のはず)だが、非戦闘員の有角教授やロイドは平気で出歩いている。
    • 雑魚しかいない序盤のエリアならともかく、高レベルの敵が徘徊しているダンジョンにまで現れる。
  • 「聖女の生贄(リュリーティス)」は邪妖に狙われやすいため、特別な護衛(アーナス)がそれを護ることになっている。
    • しかし劇中では、リュリーティスは夜中に護衛なしで何度も外出している。アーナスも夜中に出歩くリュリーティスを見て、咎めるようなことをしない。
    • 冒頭の時点で、夜に護衛を1人もつけず新しいエージェント(アーナス)を迎えに行っている。
    • しかもその後すぐに邪妖にさらわれる始末。一応この時点ではまだ聖女ではないのだが、それにしても不注意の度を超えている。
  • 舞台となる島は「強力な邪妖が潜むとされる黒蝶発生区がいくつも存在する、地図に存在しない島」だが、島民が邪妖に怯えたり*5、島の存在が秘匿されているような描写がない。
    • 「昼間行動」で観光を依頼されるなど島民には危機感がない。有角教授とロイドのやり取りによれば聖女の犠牲で事態が解決することが分かっているためらしいが、それでも避難ぐらいするべきだろう。
      • 一応、(テキスト上のみの存在だが)本土に避難しようとする貴族はいる。
    • ロイドによれば島には外部と行き来する交易商人がおり、物品も外部から入荷しているとのこと。地図に載ってないはずでは…。
  • 公式HPのあらすじでは、この地は(中略)”よるのないくに”となった、地図に存在することのない”よるのないくに”、と一見して世界の一部がよるのないくにと化したかのように解釈できる。
    • 一方でゲームのプロローグにおけるアーナスの独白では、夜の君は世界に禍根を残した、そうして世界は(中略)『よるのないくに』になった、と世界全体が変貌したと明らかにしており説明にぶれがある。
    • ゲーム終盤で「あの日、蒼い雨が世界中に降り注いだ」と事件が世界規模であったかのように振り返るほか、作中の用語集でも世界中に飛び散ったとされているので後者の説明が正しい模様。
  • 夜の君と聖女(人類の代表)の戦いが行われ蒼き血が振りまかれたのが11世紀。それから800年後の19世紀が現在とプロローグで説明される。
    • ところが、終盤になると夜の君が倒されたのが現在から数百年前と、別の情報が出てくる。それを聞いていた周囲の人間達も何も突っ込まない。

その他

  • 「従魔(セルヴァン)」や「血の奉納(デスダン)」などの普通は読めないような用語にほとんどルビが振られていない。
    • 「邪妖(じゃよう)」「純血の妖魔(じゅんけつのようま)」などは普通に読んでいるので紛らわしい。
    • ただ、これらの用語が含まれるセリフにはほとんどボイスが入っているので、さほど気にはならない。
  • 半妖や百合などの要素から、シナリオが『サガ フロンティア』のアセルス編の設定に酷似しているとの指摘がある。ちなみに、シナリオライターはそのアセルス編と同一の生田美和氏である。
    • 「人間の赤い血と人外の青い血が混じった紫の血の半妖」「外的要因で半妖になってから外見が変わってない」「同性に興味あり」「名前はア○○ス」など、アーナスとの類似点が多い。
    • 生田氏はサガフロのアセルス編については「原案・設定資料」担当のみであり、その膨大な資料から取捨選択して最終的なシナリオ構築を行ったのは河津秋敏氏の手によるものだった。
      つまり本作の場合は「もしアセルス編に河津氏の手が加えられなかったら」という形に近い。
  • 問題点を連ねてきたが、悪評を覆すまでには至らないものの評価できる部分も一応ある。
    • 各地を放浪していたアーナスの過去、元聖騎士だったサイモン(支配人)、クリストフォロスの出生の秘密など掘り下げれば面白そうな設定は多い。
    • ストーリーを進めていくと、妖魔が絶対悪でないことや人間側の醜さなど、百合恋愛とは違ったテーマが見えてくる。

ゲームバランス

  • 切り札である従魔バーストを管理するSP周りの作り込みが甘く、そのシステムの穴を突いた戦術がかなり強力になっている。
    • それがデッキを切り替える「ドロー」で、このアクションを実行すると出撃中の従魔が全て手持ちに戻るが、その際従魔のSPが全快する。
      • しかし本来あるべき再出撃のクールタイムが存在しないため、ノーコストでSPを全快させる万能アクションになっている。
      • 召喚時にアーナスのSPを消費するため無限に繰り返すことはできないが、上手く駆使すれば回復でも、一撃必殺級の大技でも関係なく連打できてしまう。
    • 「攻撃命中時にSP回復する」装備品があり、こちらも同様に多段ヒット系の従魔との組み合わせで恐るべき殲滅力を発揮する。
  • 本作のダメージは「威力-DEF(防御力)」という単純な引き算で計算されているが、あまり練られているとは言い難く、こちらも調整の甘さが感じられる。
    • 1つ先のマップでやたらダメージを受けるかと思えば、装備を新調して防御力を強化しただけで被ダメージが激減するなど、難度がブレやすい。
  • SP周りやダメージの仕様さえ理解していれば、ラスボスまでのボス戦はほぼ力押しで突破できる。
    • 頭を捻る必要がないため、従魔の組み合わせを試したり、ガードや回避のタイミングを覚えるといった楽しみも薄い。
  • 評価点にあるように終盤になると改善されるが、それまでは退屈な戦闘を強いられることになる。

システム周り

  • 属性システムがあるが何故か炎属性の一種類しかない。
    • 反映のさせ方も「DEFが異常に高く炎属性以外は1ダメージ」などかなり極端で、特定の従魔を無理やり使わせようとする意図が感じられる。
    • 幸いその手の敵はHPが低く、短剣などの手数武器でゴリ押して倒すこともできるため、これが原因で編成の幅が狭まるような事態にはなっていない。
  • 従魔は全部で21種(+DLC1種)いるが、回復役がラウネー1種しかいないなど配分に難がある。
    • また同種の従魔を同じデッキに2体以上入れられない制限があり、同種オンリーなど変わったデッキを組むことができない。
  • 操作性は良好だが、「受身を取る」動作のみ先行入力が効きづらい性質がある。
    • 吹き飛ばされてから一定時間経過しないと入力を受け付けないようで、高く打ち上げられたときにしか受身を取れなくなっている。
    • 操作の解説文からはそのような事情は読み取れないため、不備と言える。
  • ほかジャンプができず、ちょっとした段差を乗り越えるのにも坂道や階段を上り下りしなければならない点も気になりやすい。
  • 昼間行動は請ければ時間経過で自動的に成功となり、ゲームらしい駆け引きが存在しない*6。進行中は自由に操作できず、全て一枚絵とアーナスの口頭文で終了する。
    • 住民との会話なども皆無。台詞があれば世界観の演出に一役買ったであろうに。
    • 夜以外操作できないため、「よるのないくに」なのにプレイヤー的には夜にしか出歩けない「ひるのないくに」と、皮肉じみた意見も存在する。

その他

カメラ

  • 視点を寄せたり、上下の角度を変えたりすることができない。ローアングルにしたりキャラに寄せたりすることができない。
  • 厳密にはできるが、遠・中・近の3つの固定アングルを切り替えるというものである。
    • しかし近・中はカメラの位置が低すぎて周囲の状況が分かりづらいため、結局遠固定で進めることになる。
  • 公式HPのスクリーンショットでは戦うアーナスや従魔の姿が映されているが、本作のカメラでその場面を再現することは不可能である。
  • PSVはただでさえ酷いグラフィックが、このカメラの影響でより不鮮明になっている。

モーション

  • 良質なグラフィックに対して、特にイベント中のモーションの出来が異常に悪い。種類も数えるほどしかない。
    • また、会話中でモーションを挟むと文字送りできないという仕様があり、会話シーンを飛ばそうとしても止められてしまう。
  • 中盤やラスボス戦直前に挿入されるアーナスと敵の殺陣シーンは、動きがもっさりしていてギャグにしか見えない。
    • 困ったことに本作にはイベントスキップがないためイベントを飛ばすこともできない。

PSV版の問題点

処理落ち

  • 頻繁に処理落ちが発生する。特に酷いのが闘技場で、「動作はゆっくりになるがタイムは通常通り進む」という現象が発生する。この影響で闘技場の難易度が異常に高くなっている。
  • 据置機では特にこうした問題は起こらない。

グラフィック

  • 度を越えたグラフィックの劣化。マルチ展開したことを差し置いても酷い。文字までぼやけているため、非常に見るに堪えない代物になっている。
    • こちらはパッチVer.1.02で改善された…と思いきや、画面全体をぼやけさせてしまい、さらに悪くなる有様。
  • キャラデザの四々九氏もPSV版のグラフィックに対し「VITA版はあんまりお勧めできないわ、画質がアレです。時代はヌルヌルPS4ですわ…」とツイートしていた(2016年2月現在削除済)。
  • マルチプラットフォームで展開しているにもかかわらず違いが公表されず、ユーザー側にはそれを確認する術がなかった*7
    • その後の作品ではマルチプラットフォームの作品は違いを公表するようになり、PSV版の公式動画もアップされるようになった。

総評

長らく完全新作が出ていなかったこと、そして「美少女×従魔×RPG」と銘打ったことで大きな注目を集めた作品であった。
しかし、シナリオの完成度には疑問符のある出来で、発売当時は追加要素もなかったためアクションRPGとしても辛めの評価を下されていた。
PSV版はそれに加えてグラフィックや処理落ちの問題もあるので、PS3/PS4版以上に厳しい評価となってしまった。
ただ、美少女や百合を売りにしたキャラゲーとしては申し分ない出来であり、そう言った要素が好きなプレイヤーならばやる価値は十分にあると言える。


余談

  • 超次元ゲイム ネプテューヌ』初出のガスト擬人化キャラである「がすとちゃん」が初回特典の従魔としてゲスト出演している。
    • しかし、他の従魔と異なり一体しかおらず憑代もない。厳選もできず変身因子を強化できないため、割と早い段階で二軍落ちしてしまう。
    • PVに「様々な壁を乗り越え」と書かれ、IF、コンパイルハートの版権表記があることから、『ネプテューヌ』シリーズ、コーエーテクモゲームス作品両方で極めて扱いが難しい存在となっている模様。ゲーム的に不遇なのはそのせいか。

その後の展開

  • ver1.02(PSVはver1.03)で高難度ダンジョン「常闇の回廊」が追加された。
    • 本作は本編10~15時間程度で、クリア後の展開も半日あれば終わるとボリュームの無さが指摘されていた。このアップデートで多少ながら改善されたと言える。
  • Win(Steam)版が2017年2月8日にSteamで配信開始。
    • WIn版は当初北米版を『Nights of Azure』のタイトルでそのまま移植しておりUIと字幕は英語のみ(日本語ボイスのみ対応)だった。
    • 発売から3年後の2020年3月6日のアップデートにより正式に日本語対応となった。
  • 続編『よるのないくに2 ~新月の花嫁~』が2017年8月31日に発売された。
    • 当初はPS4/PSVのみでの発売予定だったが、後にSwitch版での発売も発表され、3機種同時リリースとなった。
    • プロデューサー以外のスタッフは一新されており、『2』のシナリオライターは『』シリーズや『影牢』シリーズなどを手掛けた柴田誠に交代している。
    • 主人公も新キャラクターのアルーシェへ交代しているが、前作のアーナスとクリストフォロスも登場している。
    • 後にこちらも2017年10月24日よりWin版がSteamにて配信開始。初代と違い配信当初から日本語に対応。
  • 2017年3月30日発売のコーエーテクモオールスターゲーム『無双☆スターズ』にも本作からアーナスとクリストフォロスが参戦している。特にクリストフォロスは1、2共にNPCのため唯一操作が可能なゲームとなっている。

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最終更新:2023年11月23日 15:30

*1 氏の名前は至るところで菊「池」と誤植されているのを見かけるが、菊地が正しい。

*2 質問が3つあれば、うち2つを答えた時点で「もう時間のようです」と会話を切られてしまう。

*3 序盤の一回だけアーナスが突っ込むが以後はスルーである。

*4 正確にはリュリーティスが聖女に決まった事を報告する電話。

*5 そもそも島民が直接出てくるシーンがない。

*6 スキルポイントの配分という点で意味はある。

*7 店頭や公式サイトのPVでもPS4版が流れていた。