いつか降る雪

【いつかふるゆき】

ジャンル 刹那系ADV
対応機種 Windows 98~XP
メディア CD-ROM 2枚組
発売・開発元 でこポン!
発売日 初回版:2004年2月27日
再販版:2004年3月26日
定価 8,800円(税別)
セーブデータ 10箇所
ディスクレス起動 不可能
配信 2006年12月8日/2,880円(税込)
レーティング アダルトゲーム
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント やっぱり神様なんていなかったね
酷すぎるシステム


概要

「ジャム・クリエーション」の抱えるブランド「でこポン!」の処女作。
カオスエンドの1シーン「やっぱり神様なんていなかったね」が有名になり、それだけを知っている人は多い。


特徴

  • 主人公は医者。ヒロインは全員が余命わずか。
    • 診察と会話でヒロインと関わるアドベンチャーゲーム。
  • アルバム(CG閲覧モード)とは別に『おまけ』という項目がある。
    • 『おまけ』はエロシーンを含む全てのイベントを回想できる。

ストーリー

人里離れた辺境の地に建つ、白亜の大理石で彩られた古びたサナトリウム「白亜館」。そこで働くこととなった主人公は、それぞれに重い病気をもつ5人の少女たちと出逢うのだった。一見するとそんな病とは無縁にみえる彼女たちだが、その小さな身体には、治る見込みの少ない病状を抱えこんでいた。彼女たちと接し、少しでも力になろうと尽す主人公。しかし限られた時間は一刻一刻と過ぎていくのだった…。
あなたは彼女たちに安らかな死を送るのか…それとも、運命に抗い生きることに執着させるのか…。
(公式サイトより抜粋)


登場人物

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小野寺 ちさと (おのでら ちさと)
白亜館の主で名医である蘇我博士の愛娘。
脳障害を患い、白亜館で短い時間を送るおしとやかな美少女。
毎日欠かさず庭にある古びた墓石に祈りを捧げている。

羽村 まこと (はむら まこと)
3ヶ月前、不慮の交通事故で両足を怪我して以来、
白亜館でリハビリに励む明るい少女。水泳以外のスポーツと
料理が得意。主人公に淡い思いを抱いている。

小山田 未来 (おやまだ みき)
半年前に悪性腫瘍が見つかり、両親から半ば見捨てられ、
白亜館に引き取られた物静かな薄幸の美少女。
冷静沈着な物腰は、彼女を孤独に追い込み、そして……。

三田村 あゆみ (みたむらあゆみ)
出生不明の双子の姉。
赤ん坊の時、蘇我博士に拾われ、以来白亜館で過ごす。
閉鎖環境で生まれ育ったため、知性が乏しく、幼い。
街から来た主人公に興味を示し、慣れ親しむ。

三田村 まゆみ (みたむらまゆみ)
三田村あゆみと同様、蘇我博士に拾われ、白亜館で育った。
姉のあゆみを慕い過ぎたため、言動がいっそう幼い。
主人公への思いは、次第にまゆみに独占欲を芽生えさせていく。 (公式サイトより抜粋)


システム

  • 4日目~28日目のほぼ毎日、マップからヒロインのいる場所を選択し、ヒロインと診察or会話を行う。
    • ヒロインは同じ日に2箇所にいることが多い。例:4日目の未来は3F階段と屋上にいる。
      • 上記の場合、階段で会うと診察、屋上で会うと会話イベントになる。
  • 基本的に1日に全ヒロインとイベントを起こすことで、1日が終わる。
    • 各キャラごとに診察、会話イベントがあり、診察を3回行った場合は1日が終了する。
    • 診察は名ばかりで、実際はエロシーンである。
  • ノベルゲームのように会話中に選択肢が出ることもある。
  • 最終日にフラグ判定があり、ピュアエンド・カオスエンド、どちらでもないエンドの3つに分かれる。

問題点

面倒なシステム

  • マップのどこにヒロインがいるのか表示されないので、しらみ潰しに探さざるを得ない。
    • ほぼ毎日「23箇所+階段の中から、4人のヒロインを探す」作業を繰り返すため、滅入ってくる。
    • マップ移動中のBGMは1曲しかないため、だんだん不快になってくる。
    • 1周目でメモを取っておけば、2周目である程度のパターンを把握できるがとても面倒。
  • 選択肢と合わせて1周あたり100を超える選択をする必要があるため、とてもテンポが悪い。
    • エロシーンではお触りをするシーンもあるが、周回時にはスキップできないので苦痛。
    • 後述する難易度の高さもあり、コンプするために周回する必要がある。頻繁に選択肢が出るため、ながらプレイなどやれたものではない。

劣悪なコンフィグ

  • 不便なセーブ
    • 日付が変わるタイミングでしかセーブできない。
      • 選択肢でセーブすることは不可。20分程度に1回しかセーブできない。
    • セーブデータは10箇所しかない。
    • オートセーブをオンにすると、必ず一番上のファイルに上書きセーブするため、役に立たない。ない方がマシである。
  • あって当然の機能が揃っていない。
    • バックログはない。
    • オートモードはあるが、画面クリックで止まらない。
      • 小さいオートモードのボタンを押すことで停止する。
    • 既読スキップはない。Ctrlで強制スキップはできる。
    • Enterキーの文字送りはできない。
    • オプションは『ウインドウ/フルスクリーン』『サウンド調整』『文字速度』しかない。
      • セーブの上書き確認や、ボイスの個別設定はできない。

超高難易度・意味不明な分岐

  • エンディング数は各キャラのピュアエンド・カオスエンド+共通の強制バッドエンドで合計9。
    • 個別エンドは8つあるが、あゆみ・まゆみピュアエンド以外を見るのは異常に難しい。
    • システムを把握した上で、念入りにスケジュールを組む必要がある。
    • まずは2周して、全キャラのマップ出現位置と、診察・会話イベントを表にまとめないと話にならない。
  • 選択肢によって個別エンドの判定がされ、診察・会話の回数でピュア・カオスの判定がされる。
    • この仕様、選択肢による好感度の上昇量などは雑誌『BugBug2004年5月号』で解説されている。
    • この雑誌を知らない人は、意味不明な仕様を理解する前に投げ出してしまった。基本的な仕様については説明書に書くべきである。

ストーリー

  • 上記のように無茶苦茶なシステムのため、ストーリーにも不自然な部分が多々ある。以下に例を挙げる。
    • 診察(エッチ)と会話によりエンドが分岐するが、エッチの回数が多いと死期が遠のいたりする。
    • 館からヒロインを救出する場面で、屋敷にヒロインが一人もいないという状況が発生する。

賛否両論点

  • まゆみの性別が男。いわゆる女装ショタ。
    • プロフィールに1人だけ「少女」ということが明記されていないほか、体験版等で把握することは一応可能であった。
    • 人を選ぶ要素ではあるものの、受け入れた人もそれなりに多い。

鬱要素

  • 終盤の重い展開は心に残りやすい。
    • ただ、中盤まではエロシーンばかりのため、取って付けたような印象はぬぐえない。グラフィックや声優ありきで評価されている。
+ エンディングのネタバレ

どのルートでもヒロイン全員が死んでしまう。
ピュアエンドは若干生きながらえるものの、結局は死ぬ。
具体例として有名な、まことピュアエンドとカオスエンドを挙げる。

ピュアエンド
まことが隔離室に閉じ込められたまま、白亜館に火が放たれる。
主人公はまことを助けに行くも、隔離室のガラスに阻まれる。
決死でガラスを殴り続け、ガラスを割りまことと再会できた主人公。
しかし火の手は迫っており、白亜館から脱出することはできず、2人は抱き合いながら死を待つのみであった……

カオスエンド
上記と同じくまことを助けに行くものの、ガラスは割れない。
拳から血を流す主人公を見て、まことはスケッチブックを抱え、 『やっぱり神様なんていなかったね』 とメッセージを伝える。
まことは倒れ、主人公は脱出の意思をなくす。白亜観が火に包まれたところで幕。


評価点

  • エロい
    • どの少女も肉感があり、三次元と二次元のいいとこ取りと言えるCG。
    • 医者×患者という背徳感のあるシチュエーションも良い。
  • 退廃的な雰囲気
    • 全体的に暗い雰囲気が出ており、雰囲気ゲーとしては及第点。
    • 「やっぱり神様なんていなかったね」に代表される、悲愴的なイベントを評価する声もある。
  • おまけ
    • 洗練の余地はあるが、エロ以外の好きなイベントも見返せるのは便利。

総評

大多数のプレイヤーが途中放棄するほど、システムが酷い。
システムが原因で「シナリオ」「エロ」のどちらを求める層からも大きく評価を落とした。

現在では「やっぱり神様なんていなかったね」が有名になり鬱ゲーとしてのイメージが強いが…
実際は鬱エンドにたどり着く前に、システム面で心が折れたプレイヤーが多い。



余談

  • 特典は下敷きとストラップ1つ。
    • ストラップはヒロインをデフォルメした物で5種類からランダム封入。
    • 下敷きの影響で、箱がやや大きめのサイズになっている。
  • 原画家の『桜桃ひな』は『ぽよよんろっく』の別名義だと2013年に本人がツイートした。
    • 発売当時は「ぽよよんろっくのパクリなのに上位互換」などと評されていた。
  • 没データにモザイク漏れのCGがあったため初回版は自主回収が行われた。
    • 問題のCGは通常プレイでは閲覧不可である。
    • 発売から1か月近く経っているので、それなりに出回っている。
    • ちなみに同じ原画家の『グリザイアの迷宮』体験版もモザイク漏れのCG混入により配信停止になった。
  • BugBug2004年5月号
    • 前述したようにこのゲームの重要な仕様や、攻略法が解説されている。
    • しかし全員のピュアエンドの攻略チャートと、一部の選択肢により上がる好感度しか記述されていない。
  • 「やっぱり神様なんていなかったね」のフレーズは現在でも語り継がれており、その影響か中古の相場は高め。
    • DL版は約3,000円なので、メディアを気にしないのならこちらをお勧め。ただしAmazonでのDL販売は終了している。
  • 発売・開発元のでこポンは、約1年後の2005年1月28日に『昼は別の顔』を発売。
    • それを最後に公式ホームページが消滅している。(Internet Archiveでの閲覧は可能)

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最終更新:2023年02月08日 21:44