七魂 NANATAMA クロニクルオブダンジョンメーカー

【ななたま くろにくるおぶだんじょんめーかー】

ジャンル ダンジョンアクションRPG
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売・開発元 GAE
発売日 2009年4月23日
定価 4,800円(税別)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
配信 2009年8月10日/3,000円(税5%込)
判定 良作
ポイント 戦闘はリアルタイム3Dアクション
自分で掘ったダンジョンを、自分で攻略するゲーム
ダンジョンメーカーシリーズ
I / II / 七魂 / 魔法のシャベルと小さな勇者 / ダテにガメついわけじゃねェ!


概要

『ダンジョンメーカーシリーズ』の4作目。『クロニクル オブ ダンジョンメーカー』からはゲーム性に大きな変更はない。
ストーリー的には遺跡研究所の所長が前作までの博物館の館長と同一人物である他は、何もつながりはない。

ストーリー

都の北にあるクレタの街の外れにある遺跡の研究所は、遺跡にモンスターが住み着いてしまい、手を焼いていた。
研究所は遺跡の調査を一旦諦め、逆にモンスターの研究を行うこととし、都の博物館の館長が所長として派遣された。
そんな研究所へ、モンスターを集めるというダンジョンマスターが調査員に志願してきた。


システム

1日について

ゲーム内では以下の様なサイクルで1日が経過する。

    • 街の中の施設で買い物や会話ができる。施設の詳細は後述する。
    • 遺跡(もしくはダンジョン)に入ると強制的に昼になる
    • ダンジョン内に居着いたモンスターを倒す
      • リアルタイム3Dアクションであり、遠方から弓や魔法で攻撃したり、剣などで接近戦も挑める。敵が多いと当然囲まれる。
      • 後述のオーブキャラを呼び出して共闘できる。
    • ダンジョンを作成する(詳細は後述する)
    • ダンジョンから出ると強制的に夕になる
      • このため、アイテム(回復アイテムや建築資材)は事前に余裕を持って用意しておく必要がある。
    • 朝と同様に、街の中の施設で買い物や会話ができる。
    • 我が家に帰ると食事寝るが出来る。
      • 食事
        食事は1日1回しか出来ない。
        食事をするには前もって食材とレシピを手に入れておかなければならない。
        食べたものに応じて主人公の各種ステータスが食事毎に上昇する。
        メニューを選択するときにLまたはRボタンを押すと"大盛り"になり、消費される食材は多くなるがステータスが多めに得られる。
        ご丁寧に、星表示による料理の豪華さランクがあり、ランクの低い食事を摂ると「少し寂しいサラダサンドを食べた」などと揶揄される。
      • 寝る
        その日の日記が作成される。日記には、その日に受けたクエスト、完了したクエスト、初めて倒したモンスターなどの情報が記される。
        次の日に進む。HP・MPが全回復する。

街の施設

  • 研究所
    • 調査報告を行える。新種のモンスターを報告すると報酬がもらえる。
    • ライセンスの交付、国からの称号の申請も勝手にやってくれる。
  • 建材屋
    • ダンジョン構築に必要な建築資材を売買できる。
    • 初めて手に入れた食材を持っていると、料理のレシピを教えてくれる。
  • 武具屋
    • 武器、防具を売買できる。
    • ダンジョンで手に入れた素材を使って、新しい武器や防具の作成を依頼できる。
  • 薬屋
    • 初期は回復アイテムしか置いていないがクエストをこなすと品揃えが増えていく。
  • 市場
    • ほとんどのアイテムを売れる。
    • 食材、装飾品、アイテム強化材を買える。
      • 初期からある商品以外はプレイヤーが売ったものしか買えない。
  • 占い
    • ヒントを教えてくれる。その情報が調査ファイルのメモに載る。研究所よりもあてになる。
    • 前作までは1日1回無料で占えたが、今回は1回につき100Gil掛かるが1日に何件でも占える。

ダンジョン構築

  • 建築資材を消費してダンジョンを建築する。
    • 装飾キットを消費して、通路や部屋を改装できる。
      • 特定の装飾キットを使うことで部屋に特定の属性や守護(後述)を付けることが出来る。この属性や守護は周囲に波及する。
      • ボス専用建築資材を使って作った部屋にはボスが出現する。ただ設置すれば良いわけではなく、フロアの評価(後述)や他の部屋との位置的な組み合わせがボス出現の条件となっている場合がある。
        序盤のライセンス交付条件となっている"Aランク"モンスターは、出現させる条件が合っていても暦とのかねあいで8日間ぐらい出ないこともあるが、建築資材が複数入手可能なので、出る日には2匹以上出すことも出来る*1
    • 逆に、部屋を作ったまま改装しないでいた場合、まれにモンスターに占拠され本拠地に改装されることがある。モンスターの本拠地は各種族1箇所で計3箇所しか作られない。
      • 本拠地のみに出現する「(ヘッド)」を倒すクエストがある。
    • 階段からの距離と分岐や曲がり角の数を加味した深度というパラメーターがある。プレーヤーにはそのフロアの最大深度が通知される。
    • 装飾キットよる内装の質の向上などによる部屋自体の評価と、部屋ごとの深度を加味した、評価というパラメーターがある。
      • 評価が規定値を越えると「生息地レベル」が上がり、グレードの高いモンスターが出現するようになる。評価がクエストの出現条件になっている場合もある。
  • ライセンスが交付されている場合、下の階に降りる階段を設置することが出来る。
    • ライセンスが足りない場合は階段の建築資材が購入できない。
    • 前作まではフロアごとのボスキャラを倒さなければ下のフロアに行けなかったが、本作ではフロアごとにボスキャラが居るわけでもなく、特に序盤のライセンスの交付条件はゆるい。しかも1フロアごとではなく数フロア分の許可が降りる場合がある。
  • 地上や地下の"遺跡"部分は掘れないし、改装できない。主人公が入れない「謎の迷宮」も同様。
  • 既に掘ったところを埋め戻すことが出来る。その部分を作るために使った建築資材が回収できる。
    • 『II』ではエレベータを撤去して街で売ることで序盤の資金やりくりに役立ったが、本作ではエレベーターは撤去出来なくなっている。

オーブキャラ

  • オーブキャラとは
    • 主人公が遺跡内(主人公が掘ったダンジョンではない)で発見した封印のオーブのうち、主人公の召喚能力でオーブゲージを消費して呼び出せるキャラクター。
      • MPを使って呼び出すエンジェル、フェアリーなどのキャラとは異なる。
      • 主人公のオーブゲージおよび、呼び出したいオーブキャラのオーブゲージが共にMAXでないと呼び出せない。
      • 街中および、プレーヤーが魔法詠唱中などには呼び出せない。
      • 悪気はないと思うが主人公に攻撃を当てることがあり、前作の幻獣と同様にある意味主人公の最大の敵である。全周囲攻撃に巻き込まれないように注意が必要。
    • オーブキャラはそれぞれにレベルがある。レベルが上がるとスキルを身につけることがある。
      • 後述する「謎の迷宮」攻略のためにレベル上げが必要。
      • 前作の「幻獣」と似たキャラとして「ファントム」というオーブキャラが居る。
        公式からはその存在をアナウンスされていない「ファントム」だが、前作の「幻獣」同様にモンスターに変身することが出来る。
        「幻獣」がモンスターに変身するためにはモンスターがドロップする「キオク」が必要だったが、本作では「ファントム」が規定のレベルに達すると特定のモンスターに変身できるスキル「~のキオク」を身につける。
        ただし、スキル「~のキオク」を身に付けるには、その対象のモンスターが調査ファイルに既にあることが必要で、主人公らが倒したことのないモンスターにはなれない。
    • オーブキャラ専用の武器や防具もある。
      • 専用の武器や防具、オーブそのものは普通のアイテムとは別の「貴重品」に分類されて保管される。
        「貴重品」に入れられたアイテムは売れない。ストーリー進行上重要な他のアイテムも「貴重品」に分類される。
    • プレーヤーの操作対象を、主人公からオーブキャラに変更することが出来る。
      • オーブキャラ操作中には主人公はNPC化して自動で戦闘したりする。
  • オーブキャラだけが入れる「謎の迷宮」がある。
    • B2Fの遺跡部分から昇降機で地上に上がったところにある「守護宝玉の扉」にオーブを使用することで、オーブキャラを「謎の迷宮」へ送り込める。
      • 前作の「幻ダンジョン」のようなものだが、「幻ダンジョン」はMAPや出現条件が不定だったのに対し、本作はMAPが固定で、1度行った場所はマッピングされている。
    • 「謎の迷宮」に挑めるのはゲーム内の1日で1回だけ。
    • 「守護宝玉の扉」にオーブを使う際に「謎の迷宮」のどのレベルに転送するかが選べる。
      • ただし、転送可能な最大のレベルはもちろん、攻略済みのレベルの次のレベルまでで、かつ、主人公が作っているダンジョンの「生息地レベル」の最大値を越えることは出来ない。
    • 「謎の迷宮」では転送されたオーブキャラのみでダンジョンを攻略しなければならない。
      • 「謎の迷宮」内ではプレーヤーはオーブキャラを操作する。
      • 転送後のスタート地点は転送ポイントを兼ねているが、スタート地点から戻るとダンジョンを攻略したことにはならない。スタート地点以外の転送ポイントから転送されれば攻略済みとなる。

主人公のステータスについて

  • HPなど
    • 主人公のHPやMP、強さや素早さなどのステータスは食事でしか上げられない。
  • 武器レベル
    • 主人公はいろんな武器を装備できるが、武器の系統ごとにレベルがあり、攻撃が成功した場合に使用した武器の系統の経験値が貯まる。オーブキャラを攻撃してもよい。
    • 武器レベルのレベルアップに伴って、新しい「技」を覚えることがある。
      • 高度な技の中にはAPを消費するものがある。APは通常攻撃を成功させることで溜まる。APが足りない時はその技は出せない。
      • 攻撃力の高い技は、その後の硬直時間も長めになる。

属性と守護

  • 属性
    • 「水」「炎」「風」「地」の4種がある。
      • 「水」と「炎」、「風」と「地」で相反する。
    • ダンジョン内に「冷蔵室」「鍛冶場」などを設置することで周囲のマスに属性を波及させることが出来る。
      例えば「鍛冶場」がある場合、属性が「火」のモンスターが湧きやすく、属性が「水」のモンスターは湧きにくい。
  • 守護
    • 「太陽」「闇」「月」の3すくみになっている。
    • ダンジョン内に「太陽の祭壇」「闇の祭壇」などを設置することで周囲2マスに守護を波及させることが出来る。
      例えば「果樹園」がある場合、守護が「太陽」のモンスターが湧きやすく、守護が「月」のモンスターは湧きにくい。
  • 魔穴
    • あるフロアの属性が1つの属性に一方的に偏ると、遺跡の地上部分にその属性の魔穴が開き、異世界に移動できるようになる。
    • 魔穴が開くレベルまで属性を高めなければ出現しないモンスターが居る。
    • 毎日、守護と属性が異なる。
      1日目は「闇」と「風」で、2日目は「月」と「水」、3日目は「太陽」と「地」、4日目は「闇」と「炎」、5日目は「月」と「風」で、
      守護は3日間で、属性は4日間で一巡する。
      このため、13日目に1日目と同じ組み合わせになる。
    • その日の属性によって、その属性を持つモンスターが多く湧き、かつコンディションが良い。
    • 同様に、その日の守護によって、その守護を持つモンスターが多く湧き、かつコンディションが良い。
    • また、その日の守護によって、相反する守護を持つモンスターの中には、全く湧かないものもある。
      • モンスター調査ファイルには、そのモンスターを見かけた日の「守護」と「属性」が記録されるため、それらから出現条件を推測する。

クエスト

  • 町の人々から依頼されるクエストがある
    • クエストを遂行すると、お礼があったり、店で売られる商品が増えたり、主人公が持てるアイテム数が増えたりする。
      • 「クエスト」ではなく、特にストーリー的にも変化のない「噂のモンスター(基本的にBランクのモンスター)」というものもある。
    • クエストについて「占い」でヒントが貰える。
      • クエストではない「噂のモンスター」も「占い」が可能。
      • クエストが終わるまでに「占い」を行わないとクエスト終了後はそのクエストについて占えず、メモを埋められなくなる。

評価点

  • ストーリー構成がまともになった
    • 前作までは序盤に主人公がどうしてダンジョンを作るのかという部分が説明されず、プレーヤーは目的もないまま下へと向かったのだが、今作では遺跡の調査というそもそもの目的や、封印のオーブの謎を解くという目的が序盤に動機づけされるため、下へ向かおうというモチベーションが与えられる。
  • ダンジョン作成の制約の増加
    • ダンジョン内の属性または守護を持つ部屋の効果が周囲に波及するようになった。
      • 例えば守護「太陽」と属性「風」の両方の影響があるエリアでは植物系のモンスターが出やすい。
    • レアモンスターが出現する条件を満たすようにダンジョンを組まなければならなくなった。
  • 鍛冶素材の追加
    • 前作までは主人公らの装備品などは、ほぼモンスターのドロップからしか入手できなかったが、本作ではモンスターがドロップする鍛冶素材を必要個数集めて武器屋で鍛冶依頼をすると新作の装備が手に入るようになった。
    • もちろんこのシステムでも鍛冶素材のドロップは運ではあるが、例えば、靴ばっかり増えてグローブが手に入らないというようなイライラからは開放された。鍛冶素材さえ集まれば好きな部位の鍛冶依頼が出来る。
  • モンスター調査ファイルなどが、博物館に行かずともダンジョン内で参照できるようになった。
  • 根付のリセットが簡単になった。
    • 武器に装飾するアクセサリーで、根付強化材によってその能力を強化できる根付というアイテムがあり、前作までは市場で根付を売った後に買い戻すと根付の強化がリセットされるというまどろっこしい手順が必要だったが、今作では根付強化画面から簡単にリセットできるようになった。
  • クエストが増えた
    • 各フロアごと(というより各「生息レベル」ごと)に「噂のモンスター」があり、ライセンスごとに「賞金首クエスト」があるなど、節目節目にかならずクエストがあるため、前作よりもダレにくい。

賛否両論点

  • コンディションについて
    • ダンジョン内に入ると、主人公とオーブキャラにコンディションゲージが表示される。味方キャラのさまざまな行動がこの値に左右される。
      • 主人公は、ダンジョンに入った当初は中程度で、徐々に上昇した後、徐々に下降する。下降に転じた後は下記の場合を除き、再び上昇することは無い。
      • コンディションを回復する唯一の方法は"高揚"の効果の付いた武器で攻撃を命中させること。
    • このため、ダンジョン内に長くいると、どんどんコンディションが落ちることとなり、ダンジョン攻略の事実上の制限時間のような働きをする。
      • ボスキャラと戦うときにコンディションが最高になるように調整するという戦術もある。
    • このゲージは戦闘中だけでなく、ダンジョン作成中も容赦なく変化するため、ダンジョンを大幅に模様替えしたい時に大きな足かせとなってしまう。
  • ダンジョン内のモンスターの再湧きが前作に比べ抑制された。セーブ&ロードでも再湧きしにくい。
    • コンディションのシステムと合わせて、ダンジョン内に長く居る意味が薄れた。
  • 弟子がいなくなった
    • 『II』で採用されたシステムである弟子が本作にはない。
    • 弟子の'強化が面倒だったため、難易度的にも問題があり、ストーリーの足踏みの原因ともなっていた。
      • 弟子にはレベルの概念はなく経験値を得る必要もないため、結局1日1回の食事で地道に強化するしかなく、それなりに強くなるまではダンジョンに入れる意味は薄い。
      • しかし弟子でこなさなければならないクエストがあり、弟子を強化中に主人公がいくらダンジョンに行ってもストーリーは進まなかった。
        主人公でダンジョンに入ることが全く意味がなかったわけではなく、弟子専用の装備をダンジョンで集める必要はあったが。
    • 弟子は『II』では主要なキャラクターだった。
      • 主人公が家に帰ると「おかえりなさい」と出迎えてくれた。本作ではそれがなくて寂しい。

問題点

  • 相変わらずダンジョン内の表示範囲が狭い。
    • せめて小部屋ぐらいはスミまで見渡せて欲しい。
    • 操作対象をオーブキャラに切替えられるようになり、その際視点も切替わるようになったので、状況によっては活用できないこともないが。
  • ダンジョンの評価の表示値がリアルタイムの値ではなくなった。
    • ダンジョンを改変して「建築」>「フロア確認」を行った際、深度は現状の値が表示されるが、評価はダンジョンに入った時点の値が保持される。このため、ゲーム内の翌日にならないと評価がどうなっているのか判らない。
  • 街の人々同士の絡みが薄れた。
    • 『I』は本当にストーリーもなく、クエストを依頼された時しか街の人々との交流はなかったが、逆に『II』では田舎町という設定だったので街の人々の絡み合いが濃い目に描かれていた。しかし、本作は再びお互いに距離があるように感じられ、『I』程ではないものの物足りなさがある。
    • 交流はないけれども、街の人々にはちゃんとキャラクターが描かれている。研究所の所長は、助手におだてられているためか、前作までより更にわがままになっている。
    • ただし、オーブキャラには癖が強い面々が居るので、ストーリーがつまらなくなったわけではない。

総評

単順なアクションではなく、ダンジョン全てを自分で構築できる『クロニクルオブダンジョンメーカーシリーズ』の3作目。
オーブキャラの追加などシステム的には正統進化で、とくに今作はストーリーがちゃんとしていて、前作までの序盤は投げっぱなしという展開ではない。
前作から更に大幅に追加要素があり、システムとしてはほぼ完成したと言っても過言ではないだろう。しかし、そもそもが異質なゲームなので『II』あたりからプレーしていれば違和感がさほどないが、本作から入った場合はシステムに戸惑いを受ける人も多いであろう。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2018年05月20日 12:54

*1 Aランクモンスターはそのフロアにおけるボス代わりなので、初回に複数出すと厄介ではあるが、更に下の階まで進んだ後ならば経験値稼ぎに使える。