超人学園ゴウカイザー

【ちょうじんがくえんごうかいざー】

ジャンル 対戦格闘アクション

※画像はネオジオCD移植版
対応機種 アーケード(MVS)
ネオジオ、ネオジオCD
発売・開発元 テクノスジャパン
稼働開始日 1995年9月
発売日 【NG】1995年10月20日
【NCD】1995年11月24日
プレイ人数 1~2人
備考 ※PS移植版に関しては独立ページあり、こちらを参照
判定 なし
ポイント 大張氏のキャラデザイン
トレースシステムの戦略性


概要

餓狼伝説シリーズ』のアニメ版『バトルファイターズ餓狼伝説』や勇者シリーズ等のロボットアニメでお馴染みのアニメーター・大張正己氏がキャラクターをデザインし、更にトレースシステム(後述)を採用した意欲作。
タイトルに超人学園とついているだけあって、登場キャラは殆ど変身して戦うのも、大きな特徴。

ドラマCD化、OVA化、更にはコミカライズもされる等、幅広いメディアミックスもなされた。

ストーリー

ベルナール学園の学長・王崎冰。
彼は世界征服を企むと共に、己と渡り合える強き者達を求めていた。
彼の野望を阻止するため、学園の生徒達(並びに秘密兵器、教師、因縁の相手)が立ち向かう!

特徴・システム

登場キャラ

+ 一覧
  • ゴウカイザー
    • 本作の主人公で、本名は凱座勇人。
    • カイザーストーンで熱血ヒーロー・ゴウカイザーに変身する。
  • ヘルスティンガー
    • 本名:カッシュ・ギュースタン。
    • クラシックの名門の家系に生まれたが、本人はバリバリのロックアーティストに。王崎からカイザーストーンを授けられ、ダークヒーロー的な容姿に変身して戦う。
    • ゴウカイザーとはライバル関係にある。
  • キャプテン・アトランティス
    • 本名:ランディ・リッグス
    • 考古学班に所属しており、野外活動中に不思議な仮面を発見。
    • その仮面こそが変身装置で、それを着けるとあら不思議、陽気でガチムチなアメリカンヒーローに変身。ただし変身中の記憶は無い。
  • マリオン
    • ベルナール学園の秘密兵器。
    • 学園内の平和と秩序を保つ為、特殊風紀機構が開発したロボット。空を飛ぶことも出来る。
  • 紫紅京介
    • 霊気の木刀を武器に戦う、物静かな青年。ぶっちゃけ『魔界都市シリーズ』の十六夜京也
    • 王崎に姉を殺害されており、その仇を討つ為に戦いへと身を投じる。犬型のバサラ、猿型のクビラ、そして鳥型のマコラといった三匹の式神を召喚して戦う。
    • 尚、彼は作中で一番王崎と因縁がある為か、OVA版では色々優遇されている。
  • 不動丸
    • 本名:不動鸞峰。
    • ベルナール学園に古典教師として潜入した忍者。因みに普段は伊達眼鏡をかけているらしく、変身の時に外す。
  • かりん
    • 本名:孫華鈴。
    • 孫悟空の末裔で、変身後に着ている際どい衣装が特徴のお転婆娘。
    • ゴウカイザーに惚れているが、彼が勇人だという事に気付いていない。
  • シャイア
    • 地球名:菱崎シャイア
    • 学園のアイドルだがそれは表向きで、実は王崎を逮捕する為、銀河からやって来た婦警さん。彼女もまた、非常に際どい衣裳を身につけているが、エンディングに登場する同僚も着ているので宇宙警察の制服な可能性も。
    • オプションのボールボーイとの連携が得意…と言うか攻撃の9割はボールボーイ任せで自分は指示するだけ。また、カメラを意識してか常にプレイヤー側を向いている(流石に視線は対戦相手に向いているが)。
  • バトルマスター神龍
    • 本名:凱座轟一郎。
    • 勇人の父親で、表の顔はベルナール学園の用務員。王崎とは若い頃に死闘を演じた間柄で、今も機会を狙っている。変身こそしないが、拳ひとつで超人達と互角に戦う。
    • 主人公の父親でありラスボスでもないのに性格は残虐であり、勝利台詞では相手に止めを刺していることを示唆する発言もしている。
  • プラトニック・ツインズ
    • 本名:朝比奈亮(兄)、朝比奈鈴(妹)。
    • ベルナール学園の生徒会長と副会長。幼少時代に病気で死にかけていた鈴が王崎のカイザーストーンにより助かり、以降、忠誠を誓っている。カイザーストーン、並びに愛の力で合体し、一体の超人*2となって立ち塞がる中ボス。
    • シスコン&ブラコンだが、実は亮はシャイア、鈴はカッシュのファン。
  • 王牙
    • 本名:王崎冰。通称:絶対神王牙。なお王牙は戒名らしい(一時期仏門に帰依していた)。
    • 表向きはベルナール学園の学長だが、地球滅亡を企んでいる超人。実はカイザーストーンは王牙の力から生み出された物。
    • 勇人とカッシュにカイザ-ストーンを与えたのも、京介の姉を殺し自分を憎むように仕向けたのも、自分を満足させる敵を作るための戯れに過ぎない。
      • 一応、朝比奈兄妹にカイザーストーンを与えたころはまだ人としての心が残っていた。そもそも地球滅亡は王牙の力の源である「宇宙意思・オムニイグジスト」による物であり、王牙自身は心の奥底で自分を止められる者を待ち望んでいたと言う裏設定がある*3
      • ただしブライダーは完全に戯れであって一切期待していない。また、カイザーストーン系と京介、ブライダーを除く対戦相手を如何思っていたのかは不明。

トレースシステム

本作では、倒したキャラから特定の必殺技を一つ伝授して貰える。
好きな必殺技があったら、迷わずトレースしてみるのも良い。
尚、キャラクターによっては性能が異なったりするので、戦略性が大事。

+ トレース技一覧

( )内は、伝授してくれるキャラ。

  • トリックスターキック(ゴウカイザー)
    • 残像を残しながらジャンプで飛び込み、キックをお見舞いする。
    • 同キャラトレス時『ハイパートリックスターキック』
  • ボルテージクラック(ヘルスティンガー)
    • 自身を青白い炎のオーラで包み込み、相手を焼き尽くす。
    • 同キャラトレス時『ボルテージクラックエクスプローション』
  • キャプテンスマッシャー(キャプテンアトランティス)
    • バックジャンプをした後、垂直に飛びながら相手を攻撃。
    • 同キャラトレス時『キャプテンニトロスマッシャー』
  • アンブッシュリフター(マリオン)
    • 斜め上に回転しながら相手を攻撃する。
    • 同キャラトレス時『アンブッシュスカイネット』
  • 影走り(紫紅京介)
    • 足下に闇のオーラを発生し、相手を燃やす。
    • 同キャラトレス時『火影走り』
  • 炎舞筒(不動丸)
    • 炎の筒を投げる。
    • 同キャラトレス時『爆炎筒』
  • ダブルブライダーキック(ブライダー)
    • ブライダー2号を呼び出し、同時に跳び蹴りをかます。
    • 同キャラトレス時『ダブルブライダー卍キック』
  • 化身転髪(かりん)
    • チビ分身を一体出す。
    • 同キャラトレス時『化身操法』
  • スリーウェイビーマー(シャイア)
    • ボールボーイがビームを三連発。
    • 同キャラトレス時『マッドネスボールボーイ』*4
  • 百歩神撃(バトルマスター神龍)
    • 拳のオーラを発射し、ヒットした相手をロックして地面に叩きつける。
    • 同キャラトレス時『百歩破砕撃』
  • グラビトンサンダー(プラトニックツインズ)
    • 細い稲妻を落とす。

評価点

  • 豪華声優陣
    • 95年当時の人気声優を多数起用しており、ざっと列挙しただけでも檜山修之氏や置鮎龍太郎氏、緑川光氏や冬馬由美氏等、当時のアニメ界では高確率で目にした事のあるであろう豪華な顔ぶれが参加している*5
  • ストーリー自体のコンセプト
    • 本作は後の時代で言う所の「僕のヒーローアカデミア」や「仮面ライダーフォーゼ」といった様な学園物と変身ヒーローを掛け合わせた作風なのだが、1995年当時の創作界隈ではそういった作品は見当たらず斬新な発想だった事が窺える。
  • トレースシステム
    • 格闘ゲームの中でもかなり珍しい新鮮な要素。好きな必殺技を自由に選択できることで、キャラクターを少しカスタマイズできる。
    • しかし、色々と問題も存在する。詳しくは後述。
  • 大張氏デザインのキャラ達
  • ネオジオCD版のBGM
    • マリオン、プラトニックツインズ、王牙以外のキャラクターのステージ曲が、あの『豪血寺一族』シリーズの如く、歌になっている。
      • 例えばゴウカイザーのテーマは熱血ヒーロー然とした歌、ブライダーのテーマは特撮ヒーローのパロディ、キャプテン・アトランティスのテーマは陽気なヒーロー物、ヘルスティンガーのテーマはややアダルティーなロック、かりんのテーマは萌え系電波ソング、バトルマスター神龍のテーマは夜の都会の雰囲気に合いそうなミステリアス系、等々。

問題点

  • 今作の大きな特徴であるトレースシステムだが、全体的にトレース技は使い勝手が悪いものが多く、折角のシステムを今一つ活かしきれていない感がある。
    • トレースできる技はキャラによって、性能が異なったりする。例えばキャプテンスマッシャーは大抵の場合、相手にしゃがまれると当たらなくなるが、不動丸、マリオン、シャイアがトレースした場合、しゃがんでる相手にも当たるようになる等、明らかに持ち主が使うよりも使いやすくなると、皮肉めいた性能になる。
    • トリックスターキックはバトルマスター神龍がトレースした場合、キックの距離が短くなる。「息子の技なんか使えるかぁ!」という意思表示にもとれなくもない。
    • ダブルブライダーキックは、ブライダー2号が来るまで硬直してしまううえ、決めた後にポーズを取るため、隙が甚大。はっきり言って、縛りプレイ以外、対CPU・対戦共に使いどころはない死に技。
    • スリーウェイビーマーはかりんがトレースした場合、最後に挑発を決める為、死に技と化してしまう。
    • 結局、トレース技で使い勝手が良いのは、バーチカルローリングで奇襲を掛けられるアンブッシュリフター、他の格ゲーにもよく見られるテンプレ型の飛び道具の百歩神撃、チビ分身がサポートしてくれる化身転髪、バリアーの役目も果たしてくれるグラビトンサンダー位で、他はクセがあって扱いづらいと考えて良い。
  • CPU戦の難易度が高い。
    • この当時は対戦格闘ゲームのCPU戦が高難度という風潮がまだ根強く、今作も例にもれずお約束の超反応で攻撃してくる。特に神龍は後半に持って来ると苦戦してしまうため、必ず神龍は一人目か二人目辺りに持って来るのが定石だとされている。
    • それでも通常キャラはまだなんとかなるレベルではあるが、中ボスであるプラトニックツインズと、ラスボスの王牙はエンディングまでの高すぎる壁。特定のパターンにハメなければ、まず勝てないと言っても良い。
      • 特に王牙には、二発喰らうとあっという間にKOされてしまう必殺技が実装されており、喰らってしまったら体力をごっそり持っていかれてしまう。この技を出されたら泣くしかない。
  • 格闘ゲームとして見ると調整不足・出来の悪い点が多数
    • キャラクターのレスポンスが余り良くなく、モーションも滑らかとは言えない。
    • ズームイン・ズームアウトが取り入れられているのだが、キャラクターがジャンプすると「ジャンプしたキャラクターを中心として画面が動くようになっている」ため、画面がガクガクと揺れる感じがし、かなり見栄えが悪い。
    • ガード硬直時間が短めで、殆どのキャラの強攻撃は、ガードされるとキャンセルしない限り、確定で反撃されてしまうほど隙が大きい。このため、対戦では弱攻撃を中心にしたチマチマとした技の振りあいになりやすく、爽快感に欠ける。
  • ボス二体の出し方
    • ネオジオCD版では対戦でのみボスが二体、裏技で使用できるが、三秒以内にコマンドを入れなければならないため、かなり難しい。
  • キャラの格差も激しい。
    • 小技から連続技に繋げ易い必殺技が豊富なブライダー、如意棒のおかげでリーチに恵まれていてどんな間合いでも戦っていけるかりん、波動昇竜型で通常技の性能が良い神龍、刀のお陰でリーチが長く、動きが素早い不動丸が最強だとされている。
      • 特にブライダーはトレース技の殆どが霞んでしまう位、高性能な技が揃っている。
    • 逆に弱キャラとされているキャラは、マリオン、シャイア、キャプテン、京介。
      • マリオンは攻撃力と防御力が高い反面、通常の歩きが非常に遅く、更に飛び道具は設置型なうえ、地上版、空中版共に扱いづらく、硬直も長くて隙だらけ。
      • シャイアは通常技でボールボーイが相手に向かって突進してくれるのでリーチが長いが、殆どの必殺技の硬直時間が長くて隙だらけなうえ、接近戦が極端に苦手で防御力、気絶耐久値共に低くて泣けるレベル。とはいえ、プラトニックツインズ戦では間合いを置いてCボタンを適当に連打していればほぼ勝てるため、ツインズ戦ではほぼ安定して勝ち易いキャラになる。
      • キャプテンはパワーに特化した性能だが、その分スピードが全キャラ中一番低く、殆どの技が溜め系の為、扱いづらい。また無駄に背が高いため、的が大きいのはもちろん、トレースシステムでもネタにされているように同キャラ対戦でもなければ攻撃を空振りしやすい。
      • 京介は式神を召喚しないと必殺技が影走り一つしかないうえ、仮に式神を召喚しても殆どの必殺技で硬直してしまううえ、隙だらけ。
    • 一方でゴウカイザーとヘルスティンガーは可もなく不可もなくと言った所。

総評

トレースシステムやそれに伴う戦略性等、新鮮な要素が当時のゲーマー達に衝撃を与えた作品。
もし、本作が予想以上にヒットしていたら、他社からもトレースシステムを採用した格闘ゲームが出ていたかも知れないと言われている。

移植版

  • ネオジオ版
    • 1995年10月20日発売。
    • アーケード版を完全に再現している。
  • ネオジオCD版
    • 1995年11月24日発売。
    • マリオン、プラトニックツインズ、王牙以外のキャラクター達の各ステージのBGMが歌詞付きになっている。
    • その為、歌に耐性がなければオススメしかねるが…。
  • プレイステーション版
    • こちらを参照に。
    • 超がつくほどの劣化移植である。

余談

  • 本作で「新システム」とされ話題ともなったトレースシステムだが、実は「相手の技を貰って使える」というシステムを初めて実装した格ゲーは本作ではなく、その1年前に北米で稼働した『Blood Storm』(日本未発売)である。
    • 腕や首がポンポン飛ぶいわゆる残虐ゲーであるが、倒した相手の技や能力を奪って使う事ができ、またパスワードによる保存も出来た模様。
    • 実際、海外版のデモでは「新機能 トレースシステム」と表示される部分が、登場キャラのバストアップのCGに差し替えられている。
  • 当時、 既に「誤植が通常運転」と化したゲーメスト に掲載されたゴウカイザーの必殺技紹介記事で、ブライダーの超必殺技である「ブライダーブレイク」の技名とコマンドを2号連続に渡って誤植するという大チョンボをしでかしている。
    + 内容
  • ブライダーブレイクの正しいコマンドはテンキー表記で 「2362147+BC同時押し」 (右向き時)なのだが、ゲーメストが誌上でしでかした誤植は以下の通り。

    1回目・・・ブライダープラズマボルト 4123691+BC

    2回目・・・ブライダーオーバードライブ 236321419+BC

  • なお、本作品発売後の1995年11月にテクノスジャパンは倒産。2017年現在、テクノス作品の権利はアークシステムワークスが保有している。
  • ネオジオCD版のおまけモードのデータバンクで、シャイアのアニメーションで変身シーンを再生するとち〇びがはみ出る。
  • 今作のプロモーションの際にイメージガールとして選ばれた2人組の女性は後に「プリティキャスト」名義でアニメや特撮関連の主題歌を担当するユニットとしてデビューした。
    • ちなみに同じくネオジオでリリースされた『KOF'97』では麻宮アテナの声を特撮作品の『ビーファイターカブト』に出演していた栗須ゆきな氏が担当していたのだが、プリティキャストも同作の第16話「救え学園祭アイドル」にて本人役として出演していた経緯がある。やたらネオジオと縁のある特撮である。
  • 後に大張氏が製作に携わった作品の一つ『エンジェルブレイド』(R-18指定)にはシャイアとかりんと同姓同名のキャラクター達が出てくる。後者は敵役だが
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最終更新:2023年11月14日 22:41

*1 元ネタの人は「知能指数600の天才」と言う設定。

*2 兄の胴体が無くなり、そこに妹が嵌め込まれた様な姿であり、ぶっちゃけ怪人寄りのデザイン。

*3 ただしオムニイグジスト自体は、力を求める王牙が「英明強靱な者」千人を殺し、その血肉を使い入手したもの。

*4 何故かボールボーイによる乱舞技になっている。

*5 尚、キャラクターデザインの大張氏自身もブライダーの声優として参加している

*6 実は大張氏がキャラデザしている作品は意外と少ない(代表作『超重神グラヴィオン』でさえキャラデザは別の人)。まぁ監督や原画家として参加してキャラデザを自分流にアレンジしてしまう事は少なくなかったが…。