ナイツ ~星降る夜の物語~

【ないつ ほしふるよるのものがたり】

ジャンル フライングアクション
対応機種 Wii
メディア Wii用12cm光ディスク 1枚
発売元 セガ
開発元 ソニックチームUSA
発売日 2007年12月13日
定価 7,140円(税込)
プレイ人数 1人~2人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
周辺機器 ヌンチャク、クラシックコントローラ
ゲームキューブコントローラ対応
判定 良作
ポイント ムービーゲー化したナイツ
空を飛ぶ楽しさは健在
ナイツシリーズ
ナイツ NiGHTS into Dreams... / ナイツ ~星降る夜の物語~


概要

1996年に発売されたセガサターンの名作アクションゲーム『ナイツ NiGHTS into Dreams...』の11年ぶりの続編。


ストーリー(プロローグ)

誰もが夜、眠りにつくと訪れる、もっとも身近で
もっとも不思議なもうひとつの世界……”夢”。

”夢”とは、眠りについた私たちの意識が旅立つ「ナイトディメンション」という名の異次元空間。
私たちは、希望・勇気・純粋・知性・成長という5つの意識の光「イデア」を携え、
この空間に楽しい夢の世界「ナイトピア」を生み出しています。
そして、自らの意識が生み出したこの美しいナイトピアで、ひとときの安らぎを得ているのです。

しかし、”夢”は楽しい世界ばかりではありません。
ナイトディメンションには、暗く恐ろしい悪夢の世界「ナイトメア」という、もうひとつの世界も存在するのです。
そこでは、ナイトメアを創り出した「ワイズマン」という強大な支配者が君臨し、
彼の生みだす魔物たち(ナイトメアン)によって、ナイトピアへの侵攻が繰り返されていました。

夢の世界を訪れた者たち……”ビジター”にもその魔の手は迫り、
ナイトピアの源である5つのイデアを奪われた彼らは、夢の世界を”悪夢”に染められていきました。

ベルブリッジという街に住む12歳の少年ウィルと少女ヘレンも、毎晩”悪夢”にうなされる日々を過ごしていました。

イデアを奪われ、”悪夢”へと変わったナイトディメンションをさまよい歩く二人は、

空を舞う不思議な夢の住人・ナイツと、フクロウの姿をした長老・オウルに出会います。

二人はオウルから、ナイトピアが消されようとしていることを聞かされます。

そして、二人の心の奥には、まだ”勇気”のイデアが残っていることをも……。

戸惑いながらも、自分たちの”夢”を守る決意をするウィルとヘレン。

こうして、少年少女とナイツによる”夢”と”勇気”の物語が始まったのでした。


特徴

ストーリー

  • 「現実世界で悩みを抱えている二人の主人公が夢の世界での冒険を通じて成長し、問題を解決する」という大筋の展開は前作を踏襲している。
    • 主人公の少年少女やストーリーは前作から一新されている。
    • 今作では両主人公ともに「親子」がテーマになっており、ウィルは父と、ヘレンは母との絆が描かれる。
  • ナイツ、リアラ、ワイズマンといった主要キャラは前作から引き続き登場。今作では案内役として、オウルというフクロウのキャラクターが新たに登場。
  • ムービーによるストーリー進行。キャラが英語で台詞を喋る。
    • 前作では、ムービーの類はゲーム開始前のループムービーやエンディング以外には無かった。また作中でキャラが台詞を喋ったり文字でストーリーが語られることも(説明書内の記述やクリスマスナイツを除いて)ほとんど無く、喋るにしてもナイツ達夢の世界の住人は独自の言語で喋っていた。
    • それに対し本作では度々イベントムービーが入り、ムービー内で全てのキャラは英語で会話し、英語の台詞によってストーリーが展開していく。

ゲームシステム

  • 二人の主人公、独特の飛行アクションなどの基本システムは前作と同様。
  • ゲームの流れ
    • 二人の主人公のストーリーを自由な順番で進めていく。どちらか一方の主人公だけでもエンディングを見ることはできる。
    • 「夢の入り口」という場所を拠点として、そこから「夢の扉」を通じて各ナイトピア(ステージ)を順番に攻略していく。各ナイトピアは5つのミッションに分かれており、各ミッションを順番に攻略していく。
      • 夢の入口では基本的にナイツではなく主人公を操作する。夢の入口にも少々の探索要素がある。
      • 主人公によって舞台となるナイトピアは全く異なる。ナイトピアの数は前作と同じで、主人公ごとに3つずつ+α。
    • 前作と同様、両主人公の全ミッションで好成績を収めると真のエンディングを見ることができる。
  • ミッションの種類
    • チェイスミッション
      • 前作のルールに近い内容であり、各ナイトピアで最初に攻略する、長大なミッション。最初は主人公操作でスタートし、「ナイツキャプチャー」という檻に進入して、中に囚われたナイツと同化(デュアライズ)することで、ナイツを操作して本格的にミッションスタートとなる。
      • ミッションの目的は、鍵を持った看守「グードル」を追いかけて鍵を奪い、コースを周回して再びナイツキャプチャーに戻ること。これを全3コース分連続でクリアしていくと、ボス戦に突入。ボスを倒せばミッションクリアとなる。
      • 1コースあたり180秒の制限時間があり、時間切れになるとゲームオーバー。
      • 前作と違って、アイテムのブルーチップはクリアに必要なものではなく純粋な得点アイテムとなっている(前作のスターチップに相当する位置付けであり、その代わり今作ではスターチップは存在しない)。またコースを周回してもブルーチップは復活しない(リングは復活する)。
      • ナイツキャプチャーは前作のイデアパレスと違って上下に鎖(壁判定)が伸びているので、上空を通過してコースを何周もしてスコアを稼ぐといったことはできない。鍵を奪わなければ周回可能だが、早くクリアすることによるタイムボーナスでもスコアが増えるので、必ずしも周回した方がスコアが伸びるとは限らない。
      • 前作のボスは初回のみステージごとに固定で、クリア後はランダムでボスが決定されたが、今作ではステージごとに完全固定となっている。
      • 前作に比べて基本的にカメラが真横ではなく右斜め前方を向いており、横スクロールではなく画面右奥に向かって進んでいく感覚になっている。またカメラは前作に比べるとやや遠く引いた視点になっており、周囲の状況を確認しやすくなっている。
      • 最初の主人公操作パートでは、スタート地点に一応「夢の扉」もあり、そこから直接「夢の入口」まで戻ることもできる(ポーズメニューから戻ることもできる)。
    • リンクチャレンジ
      • クリスマスナイツの「リンクアタック」というミニゲームと似たような内容のミッション。オクトポーという空飛ぶタコを追いかけ、オクトポーが出すリングを連続でくぐったりブルーチップを集めてリンク(コンボ数)を稼いでいくという、スコアアタック的なルール。
    • 特殊ルールのナイツ飛行ミッション
      • ナイツを操作して「水球同士をくっつけて大きくする」「上空から降ってくる宝石を集める」「全ての敵を倒す」といった特殊なルールに挑戦するミッション。ナイトピアごとに内容は全く異なる。
    • 主人公を操作するミッション
      • ナイツではなく主人公を操作して制限時間内にゴール地点を目指すという、探索・謎解き要素の強いミッション。ウィル側のナイトピアには少なく、ヘレン側のナイトピアに多い。
      • 主人公は道中で取得したブルーチップを投げることができる。敵にブルーチップを投げてぶつければ動きを止めたり倒すことができる。遠くのスイッチにブルーチップを投げて作動させるといった使い道もある。
    • 乗り物を操作するミッション
      • ナイツが変身した乗り物を操作してナイトピアンを助けたりゴールを目指すという、前作のナイツ変身パートを一つのミニゲームにしたようなミッション。ウィル側のナイトピアにのみ存在し、ヘレン側のナイトピアにはこの系統のミッションは無い。
    • ボスとの対決ミッション
      • チェイスミッションで戦ったボスと再戦して決着をつけるという、各ナイトピアの最終ミッション。
      • ボスはチェイスミッションで戦った時よりも何かしら強化されている。
  • ペルソナ
    • 飛行中にいつでもナイツの姿を変えられる新システム。各ナイトピアをクリアする度に、「ペルソナ」というナイツの仮面を入手できる。ペルソナ入手後は、ナイツ飛行時に十字キーを押すと、そのボタンのペルソナに対応した姿に変身して自由に操作できる。
    • ペルソナは以下の3種類。
      • ドルフィンペルソナ:イルカの姿をしたドルフィンナイツに変身し、水中を泳げるようになる(飛行も可能)。
      • ロケットペルソナ:ロケットの姿をしたロケットナイツに変身し、小回りは利かないが超高速のダッシュが可能になる。
      • ドラゴンペルソナ:長い体を持ったドラゴンナイツに変身し、強風の影響を受けずに飛行できたり、燃費の良いダッシュが可能になる。
  • ランキング
    • ニンテンドーWi-Fiコネクションを利用して、世界中のユーザーと、各ミッションのスコアランキングを共有できた( 2014年5月20日にサービス終了 )。
  • A-LIFE
    • ゲームクリアには関係ないステージ中でのお遊び要素。前作にも同名のシステムが存在したが、今作では大きく異なるシステムに一新されている。
    • 各ナイトピアにはナイトピアン(以下ピアン)という友好的なキャラクター達が生活しており、勝手に繁殖したりしている。
      ピアンを襲っている敵キャラのナイトメアン(以下メアン)を倒したり、ブルーチップを投げつけて体力を回復したり、卵を孵化させたりしてナイトピアンの生活を助けることができる。
    • 本作ではピアンやメアンをナイツのパラループというアクションで吸い込むと、夢の入り口から行ける「マイドリーム」という場所に集められるようになった。このマイドリームにてキャラクター達の世話をすることもできる。
      • これにより、前作と違ってパラループでピアンを巻き込んでしまうことも許容されるようになった。
      • また、ピアンとメアンの合成生物であるメピアンを誕生させたりもできる。
    • ニンテンドーWi-Fiコネクションを利用して、ユーザー間でマイドリームを行き来したり、ピアンを交換したりできた( 2014年5月20日にサービス終了 )。
    • 前作と違い、A-LIFEの状態はステージのBGMには影響せず、BGMは各ミッションごとに完全固定となっている。
  • 夢のしずく
    • 様々な場所に存在する隠しアイテム。沢山集めると、閲覧できる設定資料画像や視聴できる曲の数が増えていく。全60個の夢のしずくを全て集めると、主人公の姿を前作の主人公であるエリオットやクラリスの姿に変更できるようになる。
  • 2P対戦
    • 2Pレース対戦と2Pバトル対戦の2つのモードがある。
    • ニンテンドーWi-Fiコネクションを利用して、世界中のユーザーと対戦できた( 2014年5月20日にサービス終了 )。
  • その他
    • 前作のアクロリングは存在しないが、アクロバット飛行中にアイテムを取るとボーナス点が得られるようになった(ただしこのことは説明書やゲーム中では説明されない)。
    • 前作に比べてダッシュゲージの減りが早くなっている。ダッシュを多用しすぎたりリングをくぐり損ねると、すぐにダッシュゲージが尽きるようになった。
    • 前作ではマップ(コースのルート)はメニュー画面でしか確認できなかったが、今作ではミッション中はマップが画面右下に常時表示されるようになった。
    • 操作方法は「Wiiリモコンのみ」「リモコン+ヌンチャク」「その他各種コントローラー」からいつでも切り替えられる。
      • リモコンのみ操作では、ナイツの周囲に表示されるポインタ(マインドサイト)の方向に向かってナイツが飛んでいく。

評価点

音楽

  • 本作において特に評価できる点として挙げられやすいのが音楽である。前作と同じく、音楽は佐々木朋子(ササキトモコ)氏や幡谷尚史氏が主に手がけており、前作に劣らず聴き応えのある良曲揃いである。
  • 前作と違いBGMがA-LIFEの状態で変化するといったことはなくなったが、同じナイトピアのBGMでもミッションごとに異なるアレンジがされていたり、同じボスでも2戦目用の曲(Hard Ver)があったりと、バリエーションの幅は変わらず広い。
  • シリーズを代表する名曲「DREAMS DREAMS」も、新たに収録された曲がエンディングで流れる。
    • 一定条件を満たすと、前作の同曲でクラリスパートを歌っていたジャスミン茉莉花(ジャスミン・アレン)が歌うバラードバージョンがエンディングで流れる。
    • 「スカイコンサート」というミッションがあり、これはナイツを操作して空中の音符に次々に触れていくことで音を鳴らし、DREAMS DREAMSのメロディを奏でるという内容になっている。何気に本作屈指の高難度ミッションだが、上手く奏でられた時の感動は大きい。

ビジュアル、雰囲気

  • グラフィックは今の時代に合わせて、前作から格段に美しくなっている。
  • 各ナイトピアは個性的で色彩豊かな世界観であり、ナイツらしい夢の世界が見事に表現されている。
    • チェイスミッションの主人公操作パートでは、絶景ポイントと言えるような壮観を楽しめる場所も用意されている。
  • ボス戦はまさに「悪夢」といった感じの禍々しい雰囲気がある。
    • いくつかのボス戦は前作のボスを踏襲しており、特に前作のパフィーにあたるドンバロン戦や前作のギルウィングにあたるギラニア戦などは、ゲームの表現の進化を感じさせる。

その他

  • 特徴的な各種効果音は前作そのままであり、ナイツの操作性なども含めて基本的なプレイ感覚はしっかり踏襲されている。
  • チェイスミッションは前作同様、ナイツの醍醐味である飛行アクションの楽しさを味わえる。コースごとに様々な特色やギミックがあり飽きさせない。
    • 特に最終ステージは空を飛ぶ楽しさを存分に味わえる。
  • 二人の主人公で一緒に攻略する場面も前作よりも増えており、新鮮なシチュエーションを楽しめる。
  • 各ミッションで高ランク(高スコア)を目指そうとすると難しく、なかなかやり込み甲斐がある。

賛否両論点

  • チェイスミッションは前作に比べてルールが分かりやすくなったが、その代わり前作のように制限時間ギリギリまで周回してスコアを稼ぐという楽しみ方はあまりできなくなってしまった。
    • 一応そのような遊び方はリンクチャレンジミッションとして、チェイスミッションとは分けて用意されている。しかしリンクチャレンジはミニゲーム感が強いので、前作の「複数のコースを連続で攻略しつつコースを周回してスコアを稼ぎまくり、最後にボス戦」というフルコース的なプレイ感覚とはだいぶ異なる。
    • とはいえ時間ギリギリまでコースをひたすら周回するスコア稼ぎは、プレイ時間が長引くという難点もあり、一概に周回できない(しにくい)ことが悪いとも言い切れない。
    • 一応どのチェイスミッションも、1番目のコースは最低2周はした方がスコアが伸びるので、その点で前作に近い作りにはなっている。
  • 前作に比べてカメラが引き気味なので、周囲の状況を把握しやすくなった代わりに、スピード感はやや落ちている。

問題点

ストーリー面

  • 台詞付きムービーによるストーリー進行が拙い
    • 前作のナイツはマリオやソニックのように純粋なステージクリア型アクションゲームという性格が強く、ゲームの途中でストーリーを長々と語るようなことはなかった。
      またエンディングのムービーは、言葉は要らずシンプルながら万人に伝わる物語性があり、そのシンプルさと「DREAMS DREAMS」が合わさって、心に残るものとなっていた。
      • それに対して今作では、ゲームの途中で度々ムービーが挿入されてキャラ同士の会話でストーリーが進行するのだが、ムービーを見ているだけの時間が長いので純粋なアクションゲームとしては楽しみにくくなってしまった。そこまでしてストーリー性を重視した割には、肝心のストーリーも中身が薄く、特に面白味はない。
    • ストーリーのテーマである「親子」についても、主人公の口から親子関係の設定が語られるだけという感じで、それまでの親子の絆がいまいち伝わってこず、主人公に感情移入しにくい。
  • 新しいナイトピアに到着する度に、ナイツが敵に捕まってナイツキャプチャーに囚われ、主人公がそれをあっさり助けるというツッコミどころ満載の展開がある。
    • ライバルであるリアラに直接捕らえられるケースはまだ分かるのだが、雑魚敵である看守が飛んできて、なぜかあっさり拘束されるという間抜けな展開もある。そしてナイツキャプチャー付近にはなぜか警備の敵などはおらず、ナイツが捕まった直後に主人公があっさり救出できるというザルっぷりである。
      • 一応、前作でも各ステージ開始毎に「ナイツがなぜか毎度のようにイデアパレスに幽閉され、主人公が動いた途端に敵にイデアを奪われる」という演出が挿入されるもののやはり周囲に敵がいないためあっさりナイツと同化できているが、具体的な状況説明や明確なストーリー描写が存在しない作風だったため、あくまでステージ開始演出の一環といった程度に収まっている(前作では「ビジターとデュアライズしても自由になれるのはごく短い間だけ」という設定なので違和感も少ない)。
        一方の本作ではこのような一連の流れをわざわざムービーでじっくり見せているため、展開のおかしさが目につきやすくなってしまっている。
  • ストーリーの途中、ナイツがワイズマンによって作られたナイトメアンであることが発覚し、主人公が大きく落ち込んで葛藤するという展開がある。
    が、この葛藤がストーリーの面白さに繋がっているかと言えば全くそんなことはない。
    • そもそもナイツがリアラと同じファーストレベルナイトメアンであることは、前作・今作ともに説明書にも書かれている基本的な設定*1である。プレイヤー側がナイツがナイトメアンであることを知った状態でプレイしているため、主人公が無駄にウジウジしているだけのように見えてしまう。
      • 主人公とナイツの絆の強さを描きたかったのかもしれないが、こんなことで主人公の気持ちが大きく揺れる時点で、逆に今までその程度の絆の弱さだったのかと思わされてしまうだろう。
  • 敵側の描写
    • 敵であるリアラやワイズマンもよく喋り、敵側だけの会話シーンも度々挿入されるのだが、両者とも前作では口数が少なかった分、今作では印象が大きく異なっており、前作ファンからこの点を否定的に受け取られ易い。
      • リアラは前作では冷酷かつ無情な印象が強かったが、今作ではナイツに対して「やあナイツ」などと(わざとらしくだが)話しかけるなど、やたらと饒舌なキャラになっている。
      • ワイズマンは前作では得体の知れない神(魔神)のような存在だったが、今作ではナイツを倒し損ねて許しを請うリアラを叱咤するなど、よくある悪の親玉的なポジションが強調されており、前作ほどの大物感は無い。
      • 両者とも前作に比べると出番は格段に増えているのだが、出番や言葉が増えたために却ってこれまでのキャラのイメージを損ねてしまっている。
    • ワイズマンの策によりセカンドレベルナイトメアン(通常ボス)のケルベロスの封印が解かれ、ケルベロスが強敵であることがリアラやワイズマンの口から散々強調されるのだが、実際は言うほど強くはない。トリッキーなボスが多い今作の中では比較的シンプルな方なので、むしろ全てのボスの中でも下から数えた方が早いほど弱い。そのため敵側の作戦もお粗末に思えてしまう。
      + 一応ネタバレ注意
    • 通常エンディングルートだと、ストーリーの終盤でリアラの出番が急に無くなり、そのまま決着をつけることもなくエンディングになってしまう。
    • 真エンディングルートだと終盤でリアラとの決戦があるのだが、このリアラが勿体つけた割にはかなり弱い。ラスボス戦前の前座なのであまり強くても困りものだが、それにしても弱すぎる。
      • リアラにとどめのダメージを与えた後は、リアラが倒れる描写すらなくそのまま不自然に出番が終了する。リアラが最後に何か台詞を喋ったり断末魔をあげたりはせず、とどめの一撃の時にも汎用ダメージボイスのうめき声を言うだけなので物足りない。この汎用ボイスがリアラの最後の声である。
    • ラスボスのワイズマンも、相変わらずあまり強くない。戦い方は前作とほぼ同じ。耐久力は前作が4回ダメージを与えないと倒せなかったのに対し、今作では3回ダメージで倒せる…と弱体化している
      • またワイズマンは本作で唯一、2戦目(強化版)が存在せず1戦目しかないボスでもある。せめて真エンディングルートでくらい、もう少し強くても…。

システム面

  • ステージが5つのミッションに分けられている。
    • 前作に比べてボリュームが増えたとも言えるが、ナイツとしては別ゲー感のあるミッションも少なくない。純粋に空を飛ぶアクションを楽しみたい人にとっては、ゲームを進めるために、別にやりたくもない人間操作やミニゲームなどをやらされることになる。
  • ミッションを一つクリアする度に夢の入口に戻されて、その度にナイトピアに続く扉まで歩かされるので、ゲーム進行のテンポが悪い。
  • チェイスミッションでのマップは、肝心のナイツキャプチャーの位置が表示されないのでいまいち役に立たない。
  • ボス戦の内容
    • 各ボスを倒した後の20秒前後の間はランク表示の演出があり、その間も自由に飛行できるのだが、ランクの表示が画面中央のナイツに重なって表示されるせいでナイツの姿が見えず、アクロバット飛行などをいまいち楽しめない。
    • キャメランというボスは非常にトリッキーであり、このボス戦では攻略の楽しさや爽快感よりも、姿が非常に見えにくいボスが隠れながら攻撃してくる卑怯さにストレスを感じやすい。
    • ボマンバというボス戦では、昔懐かしのビー玉転がし玩具のようなことをやらされる。個性的ではあるのだが、プレイヤーが空を飛ぶ意味があまりなく、ナイツというゲームでこれをやる必要があるのかは疑問である。
  • ドラゴンペルソナが空気。
    • 最後に入手できるペルソナだが、入手後に寄り道などをせずにストーリーを進めた場合はなんとラスボス戦になるまでは使用機会が無い
      + ネタバレ注意
    • にもかかわらず、ラスボス戦ではドラゴンナイツが攻略上必須である。
      • 最終ステージの展開もあって、プレイヤーによってはドラゴンペルソナのことなど忘れてしまっているだろう。大して強くないこのラスボス戦で負けることがあるとすれば、この心理的な罠のような仕様が一番の原因かと思われる。
    • 水中移動に必須のドルフィンナイツ、上級者向けの超高速ダッシュが可能なロケットナイツに比べると、ドラゴンナイツは使いどころというほどの使いどころがほとんど無い。
      • 主な使い道といえば、強風地帯を抜けて隠しアイテムである夢のしずくを入手するため、くらいである。
  • 各ミッション開始前のムービーは、そのミッションを一度クリアするまではスキップできない。一旦ミッションを中断して夢の入り口に戻った場合でも、再開時にはまた一からムービーを見させられることになる。
  • 夢のしずくを入手しても、そのミッションをちゃんとクリアしなければ入手したとはみなされない。これはチェイスミッションの最初の主人公操作パートにて、「夢のしずくを入手した後に『夢の扉』に入ってステージを出た場合」でも同様であり、夢のしずくの入手はなかったことにされてしまう。
    • 前者の条件だけならまだ分かるのだが、後者のケースは完全に罠である。主人公操作パートで時間を掛けて探索しないと入手できない夢のしずくを入手した後、入手したことを一旦確定させようと思って「夢の扉」に入っても、入手したことにはならない。コースによっては夢のしずくを入手した後、ナイツキャプチャーよりも先に扉の付近に辿り着くので、一旦扉に入れと言わんばかりなのだが。このような仕様なので、夢の扉はゲームシステム的には何の存在意義も無いことになる。
    • 夢のしずくを探して入手しようとすると、探索に時間を取られるあまり、そのミッションでの高スコア達成は諦めなければならなくなることも。どうせ低スコア確定なのにそれでもクリアしなければならないというのは、モチベーションを保ちにくいものである。
  • ソフト自体の問題というわけではないが、操作性に難がある。
    • Wiiの各種コントローラーの8角形スティックは、綺麗な円を描くようにスティックを回したり微妙な角度にスティックを倒すことが困難であり、そういった精密な操作が要求されるナイツのゲームシステムとは相性が悪い。
    • 本作の操作性を追求するなら、コントローラーの角の部分を削って丸くするか、それでなければ比較的操作しやすいGCコントローラで遊ぶことが推奨される。
    • リモコンのみ操作でも精密な角度に飛ぶことは可能だが、非常に独特な操作方法で、相当な慣れが必要である。
    • 一応どの操作方法でも、頑張れば全ミッションAランクを達成したり、真のエンディングを見ることは可能。

総評

主にグラフィック面では前作より良くなったが、ストーリーやシステムは前作に劣る部分も多い。
前作が「少ないボリュームの中に面白さが凝縮されたゲーム」だとするなら、今作はその面白い部分を水で薄めつつ、色々な要素を付け足してボリューム感を出してみせたゲームと言える。

とはいえ空を飛ぶ基本的な楽しさは健在であり、そこだけを見れば十分に面白い。特にチェイスミッションだけなら前作を超えている面もある。

色々と足を引っ張る仕様が目に付き手放しでは誉められないが、良作といえる範疇に収まっている作品言ったところ。
前作ファンにとってはやや難があるものの、前作を未プレイの新規プレイヤーであれば先入観なく楽しめるだろう。


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最終更新:2024年03月13日 21:28

*1 今作の公式サイトでも明記されている。