System Shock 2

【しすてむしょっくつー】

ジャンル サバイバルホラーRPG
対応機種 Windows
Linux
OS X
発売元 Electronic Arts
Night Dive Studios(Steam版)
開発元 Irrational Games
Looking Glass Studios
発売日 1999年8月11日
【Steam配信】2013年5月10日
定価 980円
プレイ人数 1人(オンライン時3人)
備考 Steamで配信中
判定 良作
ポイント SFサバイバルホラー
自由なステ振り
ハッキング等の複数の攻略法
System Shockシリーズ
初代 - 2


概要

1994年にMS-DOS/MacOS用ゲームとしてOrigin Systems*1より発売された『System Shock』の続編。
地球外生命体に乗っ取られてしまった光速宇宙船を舞台に、地球外生命体と機械、そして人類の生き残りをかけた戦いが繰り広げられる一人称視点サバイバルホラーRPG。 単純なFPS戦闘そのものより、限られた物資を上手く活用したり、ハッキングなどの搦め手を駆使して難所を切り抜けるサバイバル要素に焦点が当てられている。
アイテムメニューを開いてもゲームが止まらず、敵の再配置が予測不能、物資の入手法が限られるといった難易度の高いシステムと、人類がほぼ壊滅した宇宙船という閉鎖空間内で進行するストーリーが合わさった結果、
直接的な恐怖演出こそ少ないものの最初から最後まで緊張感が持続する良質のサバイバルホラーとなっている。
BioShockシリーズはこのゲームの「精神的続編」という位置づけであり、実際似通ったところも多い。
また、Dead Spaceはこのゲームから影響を受けたという噂もあり、ゲームのシチュエーションや敵キャラの設定などに似通ったところがある。
評論家からの評価は非常に高く、7つのゲーム・オブ・ザ・イヤーを含む数々の賞をとったにもかかわらず、知名度の方はお世辞にも高いとは言えなかったため、売上は芳しくなかったという不遇のゲームでもある。
海外では「最も怖いゲームランキング」が作られると名を連ねることが多い定番のホラーゲームである。


ストーリー

エドワード・ディエゴの策略によって人工知能SHODANが暴走し、シタデル・ステーションを壊滅に導いた事件から42年後...

人類はFTL(光速宇宙航行技術)を開発、史上初の光速宇宙船Von Braun号が建造され、いくつかの懸念を孕みながらも処女航海が開始された。護衛として、軍事宇宙船Rickenbacker号もVon Braun号に接続される形で同行することとなり、多くの兵士が船へ乗り込んだ。

5か月後...

Von Braun号は太陽系外の惑星Tau Ceti Vから謎の信号を受信。乗組員たちは調査を開始し、奇妙な卵を発見した。彼らはそれを船内に持ち帰って調査を始めた。

だが、その卵の正体は、42年前、狂ったSHODANが生み出し、ハッカーの手で研究エリアごと切り離され宇宙ステーションの外に廃棄されたはずの生体兵器だった。

生体兵器に寄生された人間たちは正気を失い、船のAIを乗っ取り、セキュリティシステムや警備ロボットを掌握し、正常な人間たちを追い詰める。

プレイヤーは宇宙船Rickenbackerの兵士。コールドスリープから目覚めた彼は船内が荒廃し、人々が謎の怪物に襲われている光景に遭遇する。

コールドスリープのエラーにより、船内での記憶がはっきりしない。生き残りの科学者から通信を受け、自分がエイリアンに寄生された反乱分子たちに対抗するためにコールドスリープ中にサイバー改造されたのだと説明される。

プレイヤーは生き残りの科学者と合流するため、行動を開始する……


特徴

RPG要素

  • FPS視点だがアクション要素は薄く、もっぱらアイテム管理やスキル配分に焦点がおかれ、RPG要素が強い。
  • プレイヤーの能力は『基礎能力(statistic)』『技術(tech)』『戦闘(combat)』『超能力(psi)』の4つに分かれていてゲーム中の特定の場所で、アイテム『サイバネティック・モデュール』を消費して強化することができる。サイバネティック・モデュールはゲームを進行させると自動的に取得できるほか、船内に落ちているものを拾うことも可能。戦闘で敵が落とすことはないのでいわゆる経験値稼ぎのようなことはできない。
    • 『Statistics』:近接攻撃力と持ち運べるアイテムの量を決めるSTRENGTH、最大HPを決めるENDURANCE、移動速度や攻撃速度を決めるAGILITYなど、プレイヤーの基本的な能力を決定する。
    • 『TECH』:ハッキング、武器の改造・修理、未知の物質の調査などの技術的な能力。
    • 『COMBAT』:物理武器、エネルギー兵器、重火器、宇宙由来兵器などの武器の取り回しの能力を決める。これが低いと新しい武器を見つけても装備できないことがある。
    • 『PSI』:いわゆる超能力。遠距離攻撃や念力などが使える。極めると非常に強いが、それぞれのPSI能力にサイバネティック・モデュールの消費が大きく、他の能力との併用が難しい。別に使わなくてもクリアできるので上級者向けの能力になるだろう。
  • その他、ゲーム中の各地に置かれている装置からひとつずつ、一周で4つまで取れる特殊能力、O/Sアップグレードがある。
    • 移動速度を増したり、回復アイテムの効果を増したり、自動販売機のアイテムの値段を下げたり、近接攻撃力を増したり……プレイスタイルに応じた様々な能力が得られる。
    • 中には、ほとんど無価値な能力があったり、プレイスタイルによっては無意味だったり、ゲームの進行度によっては全く無意味になるものもあるので慎重に選ぼう。
    • 難易度設定や、協力プレイかソロかによって価値が変わるものもある。*2

戦闘

  • いかに『上手く敵を倒すか』というFPS的な要素より、『いかに限られた物資を上手く活用して切り抜けるか』に焦点が当てられている。
    • 戦闘は狙って撃つ、近づいて殴るというだけのシンプルなものだが、銃弾には『通常弾』『装甲貫通弾』『対人弾』などの種類がある。敵に合わせて有効な銃弾を使用したり、あるいは温存したりするのが重要になるだろう。
    • もちろん銃弾の入手法は限られていて持ち運べる物資の量も限界がある。弾丸の温存のためには近接攻撃に頼る必要もある。

ハッキング

  • 貴重な銃弾やHPを温存するためにハッキングを駆使することも重要な戦略になる。
  • 寄生生命体に乗っ取られたセキュリティシステムをハックして監視カメラを止めたり、防衛タレットをハックして自らの戦力にしたり、パスワードのかけられた保管庫をこじ開けるなど、ゲームプレイを有利に進めることができる。
  • ハッキング、改造、修理などの技術系スキルを駆使するときは、基本的にすべて同じミニゲームを行うことになる。
    • 単純に言ってしまえば3目並べ。同じ方向に3つの白いコマを並べることができればハッキングや改造に成功することになる。
    • ただし、指定したマスにコマをおけるかどうかはスキルによる確率で決まる。
    • コマを置くことに失敗した場合、そのマスは暗くなり、二度とコマをおくことはできない。
    • 盤上にはいくつか「危険マス」があり、そこにコマをおくことに失敗した場合、警報が鳴らされたり、武器が壊れるなどの『大失敗』になる。
    • 単純なミニゲームで、無理だと思ったら何回もやり直すことができる。しかし、ミニゲーム中もゲームはリアルタイムで進行するため油断は禁物。

PSI(超能力)

  • PSI用の道具を装備し、PSI能力を持っていれば様々な超能力を使うことができる。
    • 回復、遠距離攻撃、自己強化などRPGの定番能力もあれば、テレポート、通貨を消費して所持している銃弾や消費アイテムを複製などの特殊な能力もある。
    • 上手く使うとチート級の能力を持つものもあり、RTA(早解き)などに利用されることもあるが、基本的に上級者向け。
    • PSIの能力はタメて使うことでより大きな効果を発揮することが出来る。ただタメすぎるとPSIが暴走してダメージを受けてしまうため慎重に使う必要があるだろう。
    • サイバネティック・モデュールも一つのPSI能力ごとに支払う必要があるので、コストが大きく他の能力を上げる妨げになる。PSIを活用したいならば、ゲームに慣れた2周目以降にPSIキャラを作るのが良いだろう。一周目からPSIキャラで進めるのはオススメできない。

通貨(nanite)

  • 船内には未だに自動販売機などの設備が動いている。宇宙船内の通貨、万能物質「nanite」を使って色々なアイテムを購入できる。
    • ただし基本的に割高。ハッキングを駆使して値段を下げても簡単に必要物資を集めることは難しい*3
  • ハッキング、修理、武器改造など技術系のアクションでも必要となる。アイテム購入よりもこちらの用途で多く使うことになるだろう。
  • 船内各所に置かれている手術ユニットでHPを全回復するのにもnaniteが必要になる。
  • また、naniteはプレイヤーが死亡した際、肉体を再生し復活するための材料にもなる。蘇生費用は回復アイテムの値段より安かったりする。

調査

  • エイリアンに寄生された人類や、人体改造されたものたち、エイリアンの未知のテクノロジーなどを調査して、未知の物質を武器にしたり、敵の弱点を見つけだして与えるダメージを大きくすることができる。
  • 調査には調査(research)スキルが必要になり、場合によっては実験の試料としてさまざまな化学物質が必要になる。
    • 十分なスキルと試料さえあれば、あとは自動で調査が完了する。
  • いちいち試料をとりに戻ったりすることや研究結果を待つのが手間だが、敵や未知の物体の情報が得られるので雰囲気作りに貢献している。

オーディオ・ログ

  • 精神的続編のバイオショックシリーズと同様、直接別のキャラクターと接触する機会は少なく、多くは船内に残されたオーディオ・ログ(音声記録)のメッセージから船内で起こった出来事を推測することになる。
    • バイオハザードのFILEのようにホラーの雰囲気作りにマッチしている。一人の登場人物がいくつものオーディオ・ログを残してサブストーリーのようになっているものもある。
      • バイオハザードの「かゆい……うま…」のような王道ホラー展開のものも。
    • 中にはパスワードのヒントを示すなど、ちょっとした謎解き要素もある。

敵の再配置

  • 船内で倒した敵は一定時間で復活するようになっているが、最初の配置で復活するとは限らない。
    • 一度敵を掃討したエリアに再び戻ったとき、最初は敵がいなかった曲がり角で敵とバッタリ遭遇!といったシチュエーションを狙ったもの。
    • ゲームは基本的にリアルタイムで進行し、オプション画面を開いたときくらいしか進行は止まらないので、いつ敵が再び現れるか分からないという緊張感が持続する。

評価点

サバイバルホラー要素

  • 一度に持ち運べる物資を吟味したり、弾丸を温存したり、武器がいつ壊れるか戦々恐々としたり、物資を求めてオーディオログを手掛かりに探索したりとサバイバルホラーのエッセンスが詰まっている。
  • 閉鎖された宇宙船内、地球外生命体に寄生された乗組員、あちこちに残されたオーディオログなど、まるでSFホラー映画をそのままゲームにしたかのような雰囲気作りに成功している。
    • 敵の再配置のランダム性もどこから敵が飛び出してくるか分からない緊張感を生み出している。直接的なホラー演出が少ないにもかかわらず、ホラーゲームランキングに名を連ねることが多いのは、とだえることのないことのない緊張感によるところも多いだろう。

ストーリー

  • オーディオログで語られる生存者たちの戦いや、災厄が始まる前の不穏な雰囲気などの表現が秀逸。
  • 寄生された人間たちと戦う兵士、二人で逃げることを決意した恋人たち、徐々に人外の存在に変異していく様子などサブストーリーが本編のホラーな雰囲気を盛り上げる。

進行の自由度の高さ

  • 敵に真正面から突っ込むだけでなく、ハッキング能力を駆使してセキュリティを無効したり防衛システムを自分の味方につけることが可能な他、超能力を駆使して透明化することで敵を素通り出来たりと自由度が高い。
  • スキルポイントの割り振りも自分で決めることができ、色々なキャラクターが作れる。近接攻撃特化型、重火器使い、超能力者など。一周目であまり使えなかった装備を2周目で重点的に使ってみたり、あえてハッキングを封印したり、PSI特化にしてみたりと色々なプレイスタイルが楽しめる。
    • 武器も豊富で、ピストル、ショットガン、アサルトライフルといった定番武器から、ロケットランチャーなどの重火器、レーザー銃、ビームサーベルなどのSF武器、未知のよくわからない物質やエイリアンの体組織の一部を使ったグロテスクな装備…など。
  • スキルが足りないとできない行動も多いが、PSI能力やアイテムを使って一時的に能力を上げることもできる。
    • 数は限られているが確実にハッキングに成功したり、確実に武器を改造できるなど、スキルの代替となる消費アイテムもある。
    • 慣れてくると、アイテムやPSIを駆使して、無駄のない効率プレイを追求することができる。
  • 基本的に探索とストーリー進行以外で経験値(サイバネティック・モデュール)が手に入ることはない。従って、敵を延々と倒したりする必要がなく、逃走したり、迂回したり、隠れてやり過ごしたりといった戦術を選びやすい。

充実したアイテム

  • 武器はスタンダード(標準)、エネルギー、重火器、エキゾチック(宇宙由来)の4つのジャンルに3つずつの武器+レンチ。ただし銃弾をいくつか選べるものもある。銃火器の場合、2種類のモードを使い分けることができる*4。また、4つのジャンルどの武器をメインで使っていくかによりプレイスタイルが大きく変わる。また、銃火器はスキルやアイテムを使うことで2段階に強化することが可能。同じ種類の武器でも改造度合いや武器の状態によりどれを使っていくか選ぶことになる。
    • スタンダード武器はピストル、ショットガン、アサルトライフルなどの一般的な武器。
      • 銃弾を変えることで人間系、ワーム系、ロボット系全てに対処できるもっともオールラウンドな武器種。
      • 使用にはコンバットスキル以外にこれといって特殊なスキルが必要なく、武器も序盤から手に入るので最も初心者向きと言える。
    • エネルギー武器にはレーザー銃やビームサーベルなどSFチックな武器がある。
      • 使用に必要なのは銃弾ではなく電力。電力は船の設備で何度でも補充できるので銃弾は実質無限。
      • その分レーザー銃の威力は控えめであり、ロボット系以外には弱いという弱点がある。
      • 充電の容量が増えるのでMaintenanceスキルと相性がいい。
    • 重火器武器には作中でも強力かつ扱いやすいグレネードランチャーがある。
      • グレネードランチャーには5種類の弾丸があり、弾丸を変えることでほとんどの敵に対処できる。
      • しかし重火器系はグレネードランチャー以外は「相手の動きを遅くする」「いまいち弱いキャノン」など微妙な武器が多い。
      • グレネード弾薬はゲーム中、豊富に見つかるが、種類が多くインベントリ内のスペースをとるため、Strengthと相性がいい。
    • エキゾチック武器は宇宙由来の鉱物や宇宙生物を利用した生体兵器など。
      • 強力な近接武器があるが、遠距離攻撃武器の入手が遅く、弾丸の入手法も限られる*5ため上級者向け。
      • 生体兵器は人間や宇宙生物には強いが、ロボットには全く効かないという弱点がある。
      • エキゾチック武器はすべて未知の物質なので使用するためにResearchスキルを使った調査が必須。
  • 防具にもいくつか種類があり、誰でも着れる軽い鎧、Strengthが必要になる重い鎧、充電が必須だが非常に強力な鎧、その他放射線や毒などに強いスーツなどがある。
  • インプラントというアクセサリのような装備もある。
    • 充電が必要で着用中は少しずつ電力を消費するが、スキルを一時的に上げることができる。
  • 未知の物質
    • 調査することで敵の弱点を発見し与えられるダメージを増すものや、調査後にアイテムとして使えるようになるものなどがある。
    • 意外なものが回復アイテムだったり、ただの肉片だと思っていたものが装備品だったり、色々と予想外。
  • その他食べ物や飲み物、タバコ、置き物など事件前の船内の日常を想像させるようなアイテムも入手可能。
    • 効果は微妙なものが多いが、使わないアイテムはリサイクルしてnaniteに変換することもできる。

世界観設定

  • 落ちているオーディオ・ログから事件前の船内の日常、事件発生の経緯、戦いの様子などを知ることができる。
  • 船内には何種類ものアイテムが落ちているがそれらすべてに説明テキストがある。ポテトチップやマグカップ、炭酸飲料にさえSF的な説明があり*6、世界観を補完しつつ、ちょっと笑える要素もある。
  • ゲームの舞台は宇宙船内だけなのだが、過去数十年間の地球の状況や登場人物の過去まで細かく設定されており、断片的な情報を集めることで背景となる物語が分かるようになっている。

独創的な敵キャラクター

  • SFの設定を生かした生物的なグロテスクモンスターと無機質な機械的ホラーな敵が混在している。
  • そのキャラクターが作り出される様子が記録されているオーディオ・ログもあり、元となった人間の悲惨な運命を想像させる。
    • ハイブリッド(寄生された人間)
      • 胸から触手が伸び、頭部に接続されているという驚異の外見の雑魚敵。宇宙生命体と人類の混成体(ハイブリッド)
      • わずかながら人間の意識が残っており、鉄パイプで殴りかかってきながら「アイムソォリィ(すまない!)」だの「ラン!(逃げてくれ!)」などと呼びかけてくる。実際かなり不気味。
    • サイボーグ助産婦
      • 宇宙生命体の卵の世話をするためにサイボーグに改造されてしまったナースたち。
      • 機械音声混じりの声でプレイヤーに語りかけてくる。ハイブリッドと対照的な敵キャラ。
    • プロトコル・ドロイド
      • 改造された作業用ロボット。
      • プレイヤーを発見すると接近してきて、自爆し、大ダメージを与えてくる。
      • 穏やかで無感情な機械音声、機械特有のぎこちない速足、扉の反対側からでも聞こえてくるウィーンウィーンという駆動音など、ロボットも十分ホラーの敵キャラ足り得るのだということを実感させるキャラクター。

BGM・サウンド

  • 宇宙船内の閉塞感と緊張感を支えるBGMも評価が高い。チュートリアルで間接的に船の壊滅的状況を見た後、満を持して敵が現れる「科学-医療エリア」のBGMは是非実際のゲームプレイで聞いてもらいたい。
  • SEも秀逸。鳴り響く足音、何らかの機械の駆動音、アイテムや端末にアクセスした時の電子音、水の音など、とにかくリアルで、グラフィックは時代相応なのに、本当に宇宙船の中にいるような閉塞感を味わえる。
  • 半ば寄生生命体に乗っ取られた船員やサイボーグ化した女たち、ロボットやAIの電子ノイズ混じりの声など、音声が効果的に使われており、臨場感のある恐怖演出になっている。

お遊び要素

  • 船内には携帯ゲーム機が落ちていてソフトを集めるとミニゲームをプレイすることができる。
    • 内容はどこかで見たようなゲームばかり*7だがやたらと数が多く一種の収集要素になっている。
    • もちろんゲームに興じている間も敵は待ってくれない。遊んでいる間に背後から襲われないように注意。
    • 十分なハッキングスキルを持っていればゲーム機をハッキングして、ソフトなしで全てのゲームをプレイできるようになる。またOverworld ZeroというRPGミニゲームでスタート時にボーナスが得られる。
      • Overworld Zeroのラスボスを倒すとnaniteがもらえる。
  • 訓練生時代のチュートリアルエリアでバスケットボールを拾い、宇宙船のレクリエーションエリアのゴールにシュートすると特殊なメッセージが受信される。
  • 食べ物・飲み物などの日用品にもアイテムテキストが設定されている。ほとんど無価値なアイテムでもパロディを組み込んでプレイヤーを飽きさせない。

問題点

古いゲームならではの欠点

  • バイオハザードやデッドスペースに見られるようなアイテム保管システムがない。
    • 一度に持ち歩ける物資の量には制限があるので不要なアイテムはその辺に置いておくしかない。
    • 特にStrengthの低いキャラは悩まされることになる。
  • マップに目的地が表示されない。
    • 現在の目的はいつでも確認できるが、マップには表示されないため自力で探す必要がある。
      • 「あるオブジェクトを数個探し出して破壊せよ」のような指示が出されたとき、オブジェクトを見逃したままステージの最後まで進むと逆戻りして探して破壊しなければならない。
  • キャラクターのグラフィックの使い回しが多い。船員の死体、寄生された船員(鉄パイプ)、寄生された船員(銃)、寄生された船員(手榴弾)…誰もが同じような陰気な顔をしている。*8
    • オーディオログに表示されるキャラクターは一応ちゃんとそれぞれの顔グラがある。

ほぼ縛りプレイ同然のステ振り

  • 技術特化、戦闘特化、PSI特化など、最初の選択で様々な兵科の選ぶことができるがバランスが悪い。
    • ゲームシステムを理解していない初回でまともにプレイできるのは、ほぼ「スタンダード武器+ハッキング」のスタイルくらい。
    • 序盤はピストルやショットガンのようなスタンダード武器しか落ちていないため、エネルギー武器や宇宙由来武器特化は中盤までレンチ一本で頑張ることになる。
      • 超基本の遠距離武器であるピストルですら、兵科選択によってはスキルが足りず、序盤で装備できない場合がある。 アレ……主人公って軍人じゃ……
    • PSIも同じく、PSIエネルギー補給アイテムが少ない序盤においてはかなり節約して使う必要があり、PSI自体の扱いにくさも相まって、初心者向けではない。
  • 壊れかけ武器を修理できる代替消費アイテムの存在により、ほぼ産廃となっているスキルもある。

蘇生装置

  • 各ステージにはひとつずつ蘇生装置が存在し、作動させた後に死亡すると、naniteを消費してそこから復活することができる。
  • 一見蘇生装置はチェックポイントのようにも思えるが、実は違う。蘇生装置を作動させていないエリアで死ぬと即ゲームオーバーでタイトル画面に。
    • この仕様を理解していないと「どうせチェックポイントがあるから」とセーブせずに進めて死亡し、長時間のプレイが無駄になることも。
  • あくまで蘇生装置なので、ステージの環境はリセットされない。警報装置が作動して敵が大挙して押し寄せている場合、その状況はそのままで蘇生される。
    • 蘇生されるとHPが満タンになる なんてことはなく、瀕死のHPのまま放り出され、殺されて復活→また殺されるという無限ループでnaniteが枯渇することも。
  • また、naniteがある限りいくらでも復活できてしまうためホラーに水を差すように感じられるかもしれない。

一息つける場所がない

  • バイオハザードのようなセーブ部屋がなく、敵は一定時間で復活するため*9、特に初回プレイ時には緊張が続き、プレイには気力がいる。
  • 装備メニューを開いたり、ハッキングしているときもゲーム内で時間は進んでいくため、常に背後に気を付けなければいけない。
  • HPを満タンにできる機会さえかなり限られているため*10、『一息つける』という場面はほとんどなく、慢性的にHPの残量と弾丸の残りに悩まされるだろう。

その他

  • 後半に「エリアに設置されている絵画の中からパスワードが隠されているものを探してきてパスワードを入力する」という非常に面倒臭いクエストがある。
    • 外れの絵画も多く、数枚の絵画(というか絵画表示ディスプレイ)をいじってパスワードを探しメモる必要がある。
    • パスワードは固定なので攻略サイトを見ればスキップできるイベントなのが救いかもしれない。
  • ロボット系の敵は倒すと自爆するので、自爆覚悟で接近戦で倒してHPを消費してから回復するか、銃弾を消費してトドメを刺すか、どちらにしろ物資を消費する必要が出てくる。

総評

前作『System shock』と合わせて『Dead Space』、『バイオショック』、『メトロイドプライム』に通じるような閉鎖環境下のサバイバルホラーFPSの起源とも言えるような作品。
また、それと同時に「プレイヤーが自由にステータスを振ることができ、キャラクターの個性によってプレイスタイルが大きく変わる」「ハッキング・探索・破壊工作・収集といった、敵との戦闘以外の要素の比重が多い」というRPG的・ADV的要素を取り入れた「イマーシブシム」ジャンルの走りとしても知られている。

SFホラーをそのままゲームにしたような雰囲気、BGM、オーディオログによるストーリーテリングなどは全般的に評価が高い。
一方で古い作品だけあって、古臭い不便さもあり、プレイするときはある程度の面倒臭さを許容する必要があるだろう。
売りである自由なステ振りもやや練り込み不足で、初回プレイ時はハッキング+スタンダード武器の構成でなければ早々にゲームを投げ出してしまう人が多い。
それでも、現代でも通じる良質のサバイバルホラーであることは間違いない。

未知の存在に心もとない物資で挑む恐怖と緊張感が好きなサバイバルホラーゲーマーであれば、「古臭さ」などのいくつかの障害を乗り越えてしまえばとことんハマれるだろう。
現在では復刻されており値段も安いため、気軽に挑戦することができる。


余談

  • 本作はEAとは別に損害保険会社であるMeadowbrook保険グループが知的所有権を持っており、両者の間で権利問題が生じていたことから長らく絶版状態にあった。DL販売が実現したのはNight Dive StudiosがMeadowbrookとの交渉でデジタル版に特化した販売権を獲得したことによるものであり、PCゲーマーの間でも高評価を得たことで、同社がその後多くのクラシックPCゲームの復刻を手がけるきっかけにもなった。
  • 実はWindows版はオンライン協力プレイができる。陰気な顔をした仲間たちと一緒に、貴重な物資を奪い合いながら宇宙船でサバイバルしよう!
  • System Shock2の特徴である、戦闘と探索の両立、オーディオログによる間接的ストーリーテリング、特殊な装備や超能力を駆使した様々な攻略法といった要素は後のゲームにも強い影響を与えた。代表的な作品はBioShock、Dead Space、Preyなど。
  • 今作から影響を受けたと言われるDead Spaceだが実はそもそもSystem Shock 3として開発されていたのではないか? という噂もある。
    • 宇宙生物に乗っ取られた宇宙船というシチュエーション、キャラクターの強化要素、敵エイリアンの設定、アイテムメニューを開いてもゲーム時間が止まらない、船内に散らばったオーディオ・ログ、武器に2種類のモードがあるなど共通点が多数見受けられる。
    • ゲーマーの間ではSystem Shock 3を作ろうとしていたのだが、System Shockシリーズの権利を獲得できなかったため、設定を変更してDead Spaceとして発売されたのではないかと推察されている。
    • ちなみにDead Spaceが発売されたのはSystem Shockシリーズの権利が消滅した翌年である。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2022年10月01日 03:27
添付ファイル

*1 『ウルティマ』シリーズや『ウィングコマンダー』シリーズなどを手がけたゲーム会社。1992年にEAの傘下に入ったが当時はまだ独立企業体としてゲームソフトの自社パブリッシングも行っていた。

*2 例えば、体力が増すO/Sアップグレードは初期体力が低い高難易度では非常に有用である、など。

*3 ちなみにバイオショックと違って自動販売機を破壊してアイテムを入手することはできない。恐らく『nanite』が単なる通貨ではなく、さまざまな物質を作り出せる特殊な素材になっているからだろう。

*4 スタンダード武器なら単発・省エネor多数の弾薬を消費して威力を高める、グレネードランチャーなら接触起爆か時限起爆かなど。

*5 船内各地にいる毒を持ったワームをビーカーに入れて弾丸にする。一見雰囲気アイテムのビーカーを利用するため初回は見落としやすい。

*6 ポテトチップは栄養価を高めるために水素化処理をした油で揚げている、マグカップからはフォースフィールドが出ていて熱を逃がさない、炭酸飲料はかつて二つの会社で物理的な争いがあり、現在ではその会社の名前事自体が禁忌になっているなど

*7 マインスイーパー、ローグライク…など。

*8 ただし、最新のPCでプレイできる環境が整ったことで、グラフィックを向上させるModが開発された。外見に関する問題はある程度払拭できるだろう。

*9 それでもエリアの敵を一掃すれば、エリア全体の探索を戦闘なしで終えることができるくらいの余裕はあるが。

*10 船内各地に置かれている手術ユニットを利用することで全回復できるが、起動キーがなければ利用できず、キーの数自体が少ないため全てのユニットを起動することは不可能。また、一度使ったキーは取り外せない。