藤堂龍之介探偵日記 亜鉛の匣舟 ~相馬邸連続殺人事件~

【とうどうりゅうのすけたんていにっき あえんのはこぶね そうまていれんぞくさつじんじけん】

ジャンル 推理ADV
対応機種 ニンテンドーDS
発売 fonfun
開発元 アルティ
発売日 2009年3月26日
定価 3,800円(税別)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
判定 なし
リバーヒルソフト推理アドベンチャーシリーズリンク


概要

  • 藤堂龍之介探偵日記シリーズ4作目
    • 藤堂龍之介探偵日記シリーズとは、リバーヒルソフトが『1920シリーズ』と銘打って開発・販売していた大正時代を舞台とした推理ADVのシリーズ。
      • 『1920シリーズ』としてリバーヒルソフトからは藤堂龍之介探偵日記『琥珀色の遺言』と藤堂龍之介探偵日記『黄金の羅針盤』がリリースされた。
      • ところがリバーヒルソフトは2004年に解散し、1920シリーズの版権は同社と関連の深いアルティへ移った。
      • 携帯向けソフト開発専門だったアルティは藤堂龍之介探偵日記の実質2作しか無かった『1920シリーズ』を『藤堂龍之介探偵日記シリーズ』と改名し携帯アプリに移植。また、携帯アプリ向けに同シリーズの新作をリリースした。
      • その後アルティは『琥珀色の遺言』のDS移植版をfonfunから発売。しかし『黄金の羅針盤』はDSへ移植されなかった。
    • 本作『亜鉛の匣舟』はリバーヒルソフトが開発したものではなく、アルティのオリジナル作品である。
      • 同じくアルティが作成したシリーズ3作目『瑠璃色の睡蓮』は現在のところコンシューマー機へは未移植。
      • 『琥珀色の遺言』のDS移植版に併せて収録された『虚妄の報い~琥珀色の遺言 追補篇~』もアルティのオリジナル作品である。
    • 『琥珀色の遺言』で登場する「影谷商事のモルヒネ」が本作内にも登場する。
      • しかし、ゲーム内の時系列では本作のほうが『琥珀色の遺言』よりも前である。

ストーリー

 1921年6月、精神療養施設を営む名家である相馬邸にて相馬家の長男で軍医の相馬慶一郎が自分の軍刀を胸に刺した状態で死体となって発見された。
 相馬慶一郎の死体が発見された部屋はかなり前から部屋の鍵が失われ、開かずの間となっていた。部屋は施錠され、室内からは部屋の鍵は発見されなかった。
 しかも相馬慶一郎は数ヶ月にわたって家を離れており、相馬邸の誰もが相馬慶一郎が帰宅していたことすら知らなかった。
 相馬邸住み込みの研究員で相馬慶一郎の幼なじみである木村哲太からの依頼を受け、探偵藤堂龍之介は断崖に建つ相馬邸を訪れたのだった。

システム

  • コマンド選択式ADVである
  • 難易度選択がある(DS版『琥珀色の遺言』にも同様の設定がある)
    • 「難」
      • 何も通知されない。難というより不親切。
    • 「普」
      • 捜査の進展により登場人物から聞ける選択肢が増えた時に、増えた選択肢の概要が通知される。刑事J.B.ハロルドシリーズにも標準で同等の通知がある。
    • 「易」
      • 「普」の機能に加え、既読の選択肢に色がつく。
  • 捜査の進展具合が独特
    • リバーヒルソフト推理アドベンチャーシリーズにおいてほぼ共通の仕様なのだが、普通の推理ADVだと登場人物から重要な証言が得られると進展することが多いが、リバーヒルソフト推理アドベンチャーシリーズにおいては、ある事柄に関して、その時点で登場している人達の「私は何も知りません」を含む全ての返答をコンプリートしないと捜査が進展しない。
    • 要するに、コマンド総当り前提のシステムなのである。
  • 2通りのエンディング分岐
    • リバーヒルソフト推理アドベンチャーシリーズの大半の作品はバッドエンディングもない一本道の構成が多いが、本作は珍しくエンディング分岐がある。
    • 迎えたエンディングによって、別々の追補小説(後日談)がオープンされる。
      • オープンされる追補小説は、携帯アプリでリリースされている『藤堂龍之介の有閑な日常 ~亜鉛の匣舟 事端篇~』もしくは『佐伯真孝の優雅な逃亡生活 ~亜鉛の匣舟 事端篇~』
      • どちらもこの事件の後日談ではあるのだが「事端篇」となっている通り、別の作品の前日譚を兼ねている。
    • 分岐の評価は後に販売されたiOS版とは微妙に異なっている。
      • 難易度「易」の場合、エンディングの評価がグッドエンディングへ変わった直後に「エンディングが分岐しました」と通知される*1

評価点

  • 大正時代という時代設定を単なる背景に留めず、人々の行動様式や動機に絡めた点。
  • 唖然とするような大胆なトリック。
    • 佐伯真孝「俺に言わせれば芸術ではなく奇術だな」
  • CGはDS専用に書き下ろしたもの
    • のちに発売されたiOS版はなぜか若干アニメ調になってしまっているが、こちらは大正ロマンな画風である。

問題点

  • コマンド総当たり前提の捜査進展システム
    • ただし、難易度選択にて「易」を選択すると既読の選択肢に色がつくため、過去作に比べて救いがある。
  • 邸宅内の移動のUIが使いにくい
    • DS版『琥珀色の遺言』では2Dマップだったが、本作ではクォータービュー気味になっており、壁に挟まれた通路や部屋の出入りの移動操作で壁に引っかかっることがあり操作が厄介である。
    • DS版『琥珀色の遺言』では移動可能な範囲が表示されていたが、本作ではそのようなガイドがなく、鍵が掛かって入れない部屋に移動出来るように見える。気付かずに鍵が掛かっている部屋を移動先に選択すると、手前の通路に移動することになる。

総評

 現在とは価値観や風習が異なる大正時代を背景に、精神療養施設や地下の研究室というオドロオドロしい舞台で繰り広げられる惨劇。粗野な人物や元犯罪者、マッドサイエンティストと超能力者、古い価値観に縛られた者などの危ない登場人物たち。その世界観を崩さないグラフィックとBGMが怪奇の世界を彩る。
 旧来のリバーヒルソフト推理アドベンチャーシリーズのシステムを受け継いでおり、折角の奇術のようなトリックにもかかわらず、プレイヤーが謎を解明しているという実感は薄い。
 推理アドベンチャーという観点では周囲の人物(特に依頼人)が謎を解き過ぎで物足りないが、雰囲気ゲーとしては良作だと思われる。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2018年12月29日 10:56

*1 全滅エンドではエンディングの評価が変わらないため、この通知はない。