ブランディッシュ~ダークレヴナント~

Brandish:The Dark Revenant
【ぶらんでぃっしゅ だーくれぶなんと】

ジャンル アクションRPG
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売・開発元 日本ファルコム
発売日 2009年3月19日
定価 4,800円(税別)
廉価版 スーパープライス
パッケージ/ダウンロード版:2010年12月16日/2,800円(税別)
UMD Passport版:2012年3月9日/1,000円(税5%込)
判定 良作
ポイント リメイク+ドーラ編追加
ブランディッシュシリーズ
1(ダークレヴナント) - 2 THE PLANET BUSTER - 3 SPIRIT OF BALCAN - VT(4 眠れる神の塔)


概要

PC98など*1でリリースされたトップビューのアクションRPG『ブランディッシュ』(以下原作)のリメイク版。
グラフィックやBGMは現代風にアレンジされ、視点もトップビューからプレイヤーの後ろ斜め上辺りになったが、マップなどは変わっていない。
追加要素としてクリア後に遊べるドーラ編がある(こちらのマップなどは新規)。

  • 主な登場人物
    • アレス・トラーノス
      • 主人公。賞金稼ぎであり賞金首でもある凄腕の剣士。ストーリー冒頭で後述のドーラと出くわし、彼女とのいざこざから謎の地下世界に落ちてしまい、地上への脱出をはかることになる。
      • セリフはほとんど無く(あってもナレーションのような扱い)、容姿も地味めで前髪で目が隠れているなど「プレイヤーの分身」としてデザインされてはいるが、不思議と存在感がある。
    • ドーラ・ドロン
      • アレスを師匠の仇とつけ狙う女魔道士。何故か露出度がかなり高い。アレスに放った攻撃魔法がきっかけで彼ともども地下世界に落ちてしまう。
      • それでも彼を追い回すが、何故か彼を追い詰めるたびに自分の魔法やトラップの誤作動などで自爆する、重い背景とは裏腹なコメディリリーフ的な存在。魔道士としての実力は確からしいのだが。

特徴

  • プレイヤーキャラ
    • 武器・防具を装備できる他、3枠あるショートカットメニューには魔法や回復アイテムなどをセットできる。
      • 武器と魔法アイテムには回数制限がある。
      • 魔法の巻物は回数無制限だがMPを消費する。MPは時間経過で少しずつ回復する。
    • STR(物理攻撃力)・INT(魔法攻撃力)・MGR(魔法防御力)それぞれのパラメータにもレベルがあり、STRは武器攻撃を、INTは魔法や魔法アイテムを使う事でレベルが上がる。MGRは魔法攻撃を受ける事で上がる。
      • INTレベルが高いほど魔法の威力とMP消費が増す他、MPの回復速度も上がる。
      • その気になればアレスを魔法使いに仕立て上げる事もできる。なお、物理防御力は防具に完全に依存する。
    • セレクトボタン一つでアイテムやMPを消費せずHPを回復する「休息」が可能。
      • ただし時間の経過は止まらないので、近くに敵がいるとダメージを受けて休息が中断される事もある。しかも休息中は通常時よりも受けるダメージが増える。
  • ダンジョン
    • ゲームの舞台となる地下世界には町は存在せず、ダンジョンが延々と続く。
    • ダンジョンは幾つかのステージ・エリアに分かれているが、全て一本道で繋がっている。マップだけ見れば半探索型とも言える。
      • アイテムなどを取り残しても、(時間はかかるが)取りに戻る事ができる。また、ワープの魔法を入手できれば、MP消費こそ莫大だが踏破済みのポイントを自由に行き来できるようになる。
      • マッピングは自動で行われるが、マップに任意で色をつける事もできる。これによって開かずの扉の場所などを簡易的にだがメモしておける。
    • ギミック
      • 鍵(購入可能なタイプと不可能なタイプの2種類がある)やスイッチでしか開かない扉、壊せたりすり抜けられたりできる壁、連続ジャンプでないと先に進めないポイントなど多岐にわたる。セーブ不可エリアや休息不可エリアなどもある。
    • トラップ
      • 落ちると一定ダメージを受ける落とし穴、触れると即死する大岩、上に乗るとダメージを受け続ける槍床などがある。落とし穴や槍床などはジャンプで回避可能。
      • ダンジョン各所には店があり、アイテムの売買ができる。特定の店でしか売っていない物もある。
      • 店主の多くはアレスやドーラと同様に地下世界に迷い込み、脱出できず住み着いてしまった者である。そんな彼らと話ができるのもポイント。ゲームのヒントはもとより、地下世界についてなど世界観を掘り下げられる話を聞ける事もある。
    • カジノ
      • ダンジョン内にはカジノも存在する。お金でメダルを買い、そのメダルを使って「ブレード」というカードゲームやスロットをこなすとアイテムを入手できる。ここでしか入手できない物もある。
      • 原作にあった隠しカジノも健在。インターフェースの関係で入り方は原作と異なるが、隠しじゃない方のカジノでヒントを得るまで行かなくても色々試せば十分入れる。
    • 踏破率
      • 各エリアには踏破率が表示され、100%になるとエリアのどこか(多くはエリアの出口付近)にある石碑からボーナスアイテムを入手できる。
      • 序盤のエリアは注意して歩けば100%踏破は容易だが、後半になるにつれて到達時点では100%にできないエリアも出てくる。
      • 石碑にはそこそこのお金や消費アイテムが入っている事が多いが、中には使用回数∞(無限大)の武器という物も。
    • リトライ
      • セーブはどこでも可能なうえ、エリアの出入口はチェックポイントになっており、ゲームオーバーになってもそこから再開できる(リトライポイント)。リトライポイントを自分で作れるリトライパンというアイテムもある。
    • ドーラ
      • 先述の通り勝手に出てきては勝手に退場していくが、原作での捨て台詞の代わりに本作では「ドーラの手紙」を残していく。これらの手紙を取っておくと……?
  • 戦闘
    • 敵の目の前で向かい合うと自動で防御態勢をとり、○ボタンで攻撃(連打で連続攻撃)ができる。敵が目の前にいない時は○ボタンで任意で防御する事も可能。
      • 基本的に防御中は正面からの攻撃を無効化するが、攻撃の種類によってはスリップダメージがある。
      • 遠隔攻撃には自動防御しないので任意防御が必須。また、正面<側面<背面の順で受けるダメージが増える。
    • 攻撃中・魔法使用中・アイテム使用中は若干の硬直時間があり無防備になる点に注意。
    • プレイヤー自身の攻撃ではダメージを与えられない敵もいる。敵の行動や周囲のギミックをよく見ること。
    • 撤退はザコ戦のみならずボス戦でも可能。次に同じ個体に遭った時もこれまで与えたダメージなどはそのままなので、じっくり攻略できる。
  • BGM
    • BGMはオリジナルのFM音源版とアレンジ版の2種類を収録。キャンプメニューからいつでも切り替えができる。
    • オリジナル版は原作オリジナル版準拠*2。編曲者は多数のファルコム作品に関わっている神藤由東大(じんどうゆきひろ)氏で、演奏はファルコムお馴染みのjdkBAND。

評価点

  • 原作同様、ダンジョン攻略はシンプルながら中毒性がある。ボリュームも十分で、難易度も易しすぎず難しすぎずで丁度良い。
    • チュートリアルモードもあるのでゲームに慣れやすい。
    • 武器や回復アイテムは宝箱や店売りで至る所で入手できるため、残りをあまり気にせず進められる。
    • タイムアタック、マップコンプ狙い、各種縛りプレイなど、様々な遊び方ができるバランスは見事。エンディングではプレイ内容によって様々な「称号」が得られるというオマケ要素もある。
  • 「魔物ひしめく地下世界という閉塞空間の中を、一人の男が黙々と進む」というシチュエーションは好きな人にはたまらないだろう。
    • ただ重苦しくストイックなだけではなく、ドーラや店主などのNPCの存在が良い意味で清涼剤になってもいる。
  • BGMアレンジは原曲の雰囲気そのままに音が豪華になったという感じで、良曲が多い。FM音源の原曲を聴けるのも原作ファンやFM音源好きには嬉しい。
  • 原作でもそうだったが、店主はコピペではなく店ごとにイラストがあり(別人同士であり)、みな存在感がある。
    • ドーラの立ち絵のバリエーションも豊富。
  • 原作当時からの人気キャラであるドーラでプレイできるモードが追加されている。

賛否両論点

  • 基本的に同じ事の繰り返しでマップも広いため、人によっては飽きやすい。
    • 複雑なボタン操作が無い事もあって、ハマる人と飽きる人が二分されやすい。特にアクションギミックの無いエリアで顕著。

問題点

  • ストーリーはほとんど無い。そのような要素を求める人には合わない可能性が高い。
    • プレイヤーキャラはアレス(orドーラ)のみ。
    • 原作PCE版にあったボイスも無い。
  • 原作に比べてスピード感が落ちている。原作未経験者でも少々のもっさり感は覚えるかもしれない。恐らく本作最大の問題点。
    • 一つひとつの動きが原作より若干長い。
      • さらに当たり判定や認識判定も原作から若干変わっており、総じて原作よりも防御の重要性が増している(ヒットアンドアウェイが有効な場面が減っている)。
    • 原作リニューアル版ではダッシュや自動移動が(『2』からの逆輸入という形で)追加されていたが、本作には無い。
      • ちなみに、直線の道では徒歩よりジャンプ連打の方が微妙に速い。
    • 真後ろに振り返る操作が1ボタンでできず、2回旋回しなければならないため、少々煩わしいかもしれない。
    • ゲームスピード変更は原作では可能だったが本作では不可能。
  • マッピングの問題
    • 扉は開けないとマッピングされないため、開けられる扉はすぐ開けたり、手動マッピングしたりしないと復帰が大変。
    • 通常は落とし穴などは踏まなくても踏破率100%にできる(側を通ればOK)が、一部そうならないマップがある。
  • 先述の通り、ドーラ編は一度クリアしないと遊べない。
    • ボリュームもアレス編に比べると格段に少ない。
  • 原作から削除された要素はほとんど無いが、新ダンジョン(マップ)や新モードという意味での追加要素はほぼドーラ編のみ。
    • 武闘家モード(武器が装備不可能になる代わりに素手の攻撃力が上がり衣装も変わる裏モード)は削除されている。
    • やり込み要素は無くはないが、少ない。

総評

ファルコムの隠れた名作として人気があった『ブランディッシュ』のリメイク移植としては十分な出来。
原作との挙動の違いから原作ファンには賛否両論かもしれないが、総じて原作経験の有無を問わず遊びやすいシンプルなアクションRPGであることに変わりは無いだろう。


余談

  • 素手の攻撃力が直前に装備していた武器のそれと同じになるバグがある。
    • これが本作における(擬似的な)武闘家モードだと言えなくもないが。
  • カジノのディーラー(エフィーナ)とバニーガール(ユンユン)は『VT(4)』からのゲスト出演。
  • 予約特典として原作(TOWNS版とリニューアル版)のサウンドトラックが、初回特典として本作(アレンジ版)のサウンドトラックと2009年のカレンダーが付属した。
    • 本作に追加BGMは無いが、アレンジサントラにはオープニングBGMのフルバージョンとヘッドレス戦BGMのループなしバージョンも収録されている。
    • 現在はどちらのサントラもiTunesやamazonなどでデータ版を購入できる。
  • パッケージイラストは『ウィザードリィ』シリーズなどで有名な末弥純氏。
    • 氏は原作リニューアル版以降の全作でパッケージイラストを手がけている。
    • ちなみに原作オリジナル版は『天空のエスカフローネ』や『聖剣伝説3』などで有名な結城信輝氏。先述の原作サントラのジャケットイラストも氏による*3
  • アレスの姓(トラーノス)は元は原作の前日譚の小説『ブランディッシュ・アレス 呼び覚ます運命』からの逆輸入で、原作の時点では姓は無かった。
  • ドーラの師匠バルカンの死の真相は『3』で描かれている。
  • 本作のラスボス設定は原作と少々異なる。
  • アレスとドーラは他の作品にゲスト出演した事もある。
    • 『RINNE』*4にはどちらも出演し、ドーラがメインのシナリオもある。『VM JAPAN』にはドーラが薄紫色の髪に褐色肌という趣の異なる姿で出演。曰く、いわゆる2Pカラー。『イースvs.空の軌跡 オルタナティブ・サーガ』にはドーラがサポートキャラとして出演している他、本作のOPムービーも収録されている。
  • 本作のミニゲーム「ブレード」は『英雄伝説 閃の軌跡』にも登場。同『II』ではカードの種類が増えた「ブレードII」がプレイできる。

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最終更新:2020年05月22日 07:55

*1 PC98オリジナル版、PC98リニューアル版、TOWNS版、SFC版、PCE版がある。

*2 一部リニューアル版もある。

*3 当時のイメージイラストの一枚。

*4 往年の名作ARPG『レリクス』の流れを汲んだ作品。ファルコムとボーステックの合作。