風雲 新撰組

【ふううん しんせんぐみ】

ジャンル 歴史アクション
対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 元気
発売日 2004年1月22日
定価 7,140円(税5%込)
レーティング CERO:15歳以上対象
廉価版 PlayStation2 the Best
2004年7月8日/2,800円(税別)
配信 ゲームアーカイブス
2014年6月18日/1,200円(税別)
判定 良作
ポイント 新撰組を味わえる本格時代劇アクション
風雲シリーズ
風雲 新撰組 / 風雲 幕末伝 / 風雲 新撰組‐幕末伝‐Portable


概要

幕末に活躍した新撰組を題材にしたアクションゲーム。プレイヤーは幕末の京都の治安維持を行っていた「新撰組」の新人隊士となり不逞浪士と闘い抜いていく。
歴史物アクションゲーム物と聞けば『戦国BASARAシリーズ』や『無双シリーズ』などのバカゲーやバライティ色溢れるゲームを思い浮かべるが、今作は一線を画してシリアス一本である。

幕末の激動な歴史に翻弄される登場人物や血なまぐさい雰囲気など全編に渡り悲劇的な演出が多く、そしてどこか切ない印象を受けるゲームである。
新撰組の仲間、敵である不逞浪士は十分すぎるほど多く、良く調べてある。


内容

  • 時は江戸。300年の平和を謳歌してきた日本は、突如来航したアメリカなどの諸外国から開国を迫られた。欧米からの圧力に屈する弱腰の幕府に業を煮やした人々は、天皇を中心とし異国を追い払う「尊皇攘夷」という思想が生まれた。
  • その勢力は次第に勢力を増し、一部過激な浪士が異人や幕府要人など襲撃、暗殺する「天誅」が横行。天皇のお膝元の「京都」も例外では無かった。
  • 時同じく江戸では京都へ向かう将軍を警護する護衛部隊が結成された。「浪士組」と名付けられたこの組の発案者清河八郎は京に着くなり、幕府に反旗を翻した。この行動に異を唱えた20数名が組から離反。江戸に戻る清河と、幕府のために京に残るべきと対立する。
  • 折しも京都守護職を拝命した会津藩主「松平容保」は壬生村に、駐屯していたこれらの浪人を預かり、京の治安維持役に任命される。
  • 文久三年、後に「新撰組」とよばれる「壬生浪士組」が結成される。
  • その浪士組に一人の若者が門を叩く…。

特徴

  • アドベンチャー
    • 基本は任務をして、能力値を育てて、技を磨く流れである。
      • また任務終了後に【名声値】というポイントが貰える。任務で倒した浪士の数などが影響するこの名声値は、同行隊士を連れて行く際に、選択した隊士の【格】と引き換えに消費する。任務によっては強制的に隊士が同行するが、その場合は名声値を消費しない。もちろん近藤、土方など著名な剣士は能力も高く、消費ポイントは高い。
      • ただし法度(町人を斬ること)を行った任務では名声値は獲得できない。ちなみに一度の任務で2人まで町人が斬ることが許され、3人斬るとゲームオーバーになる。
      • 同行隊士や敵浪士が町人を斬っても、法度にはカウントされない。
  • 任務
    • 新撰組の隊士となり様々な任務に付く事が出来る。任務には通常(消滅しない)、通常(消滅する)、特殊、勅命の4種類がある。任務をこなしていく事でストーリーが進んだり、プレイヤーのステータスが上がったりする。特殊、勅命任務はメイン、その他はサブシナリオと考えても良い。
    • 特殊・勅命任務
      • 条件を満たすことで発生する重要な任務で、通常アクションアドベンチャーのメインシナリオに当たる。勅命任務を達成すると、物語の章が終了し、次の章へ移る。
      • 特殊・勅命任務は任務を途中で中断することが出来ない。余談だがこれらの任務には失敗したら「除名」の警告を受けるため気合が入りやすい
    • 討伐
      • 有名な標的(以下 ボス)を倒すことが目的の任務。本作のメインになる。
      • 特定数の浪士を倒さないといけなかったり、◯分以内や経過後と言った時間の制限があったり、または任務開始時からボスが出現していたりと、ボスの出現条件は様々。同行者を連れて行けなかったり、後述の「潜入」にあたる条件もあったり多種多様。
    • 捕縛
      • 後の「風雲 幕末伝」では捕縛というアクションが存在し、討伐とは差別化されているが、本作では通常の討伐同様、相手のライフをゼロにし勝利するだけで良い。シナリオや任務によって自動的に捕縛したという形に変わる。
    • 囮・追跡
      • 敵にわざと後をつけさせたり、気づかれないように後を追うステルス要素の強い任務。だが、こちらの要素も後の「風雲 幕末伝」にしか存在しない。
    • 潜入
      • 屋敷や藩邸に忍び込み、敵の見回りをかい潜りながら、ボスの出現地点まで進むステルス任務。
      • 雑魚キャラと戦闘になったり、走って音を立てたりすると任務失敗になる。
  • 道場
    • 新撰組内の隊士と木刀による真剣勝負が行える、ただし日によっては対戦できない隊士がいる。
    • また信頼の上昇に伴い幹部と戦うこともできる。
      • しかし負ければゲームオーバーにはならないが、体力が大幅に減る。
  • 休養
    • 一日休み体力を回復することができる。
    • 時折美人な遊女から情報を仕入れることができる。
  • アクション
    • 刀での攻撃以外に、受け・仕掛・崩しという3種類のアクションがあり、駆け引きはここで生まれる。
    • 受けは相手の攻撃に合わせ発動する防御技、仕掛は相手の防御を破ることができ、崩しは相手を「死に体」という無防備な状態にする。これらは、そのまま自らの攻撃に繋げる事が出来る(タイミング良く攻撃に繋げる)。すると通常の攻撃よりも大ダメージを与えられ、爽快感がある。
    • このゲームの最大の特徴は多数対多数の剣術アクションであり、アクションが苦手な人も「同行者に目標と戦ってもらい、自分は後ろで斬る」など卑怯な戦術も取ることができる。
    • 刀の威力はかなり強めであり、弱い敵なら一度や二度の攻撃で死亡することもある。
  • ステータス
    • 体力がなくなるとキャラクターは死亡しゲームオーバーとなる。
    • 任務中で怪我した場合、翌日に全快するのでは無く一定の量しか回復することができない。また本作は回復アイテム等は無く休養のみが唯一の回復手段なので、強敵や難易度が高い任務の前は無理せず休養し、体力を万全にする方が良い。
      • もちろんペナルティ等は一切無い。
    • 腕力 腕力の数値が高いほど、攻撃力が上がる。また、鍔迫り合いの強さにも影響を与える。
    • 俊敏 俊敏の数値が高いほど、移動や起き上がるまでのスピードが速くなる。
  • 同行者
    • 同行者を連れて行ける任務では、同行者を選択する際に、それぞれ相手の持っている【格】の数値分だけ、自分の持っている【名声値】が必要となる。
      • 同行者は最大3人同行させることが可能。ちなみに仲間と行う連続技などがある。
    • 仲間を同行するのに必要な【格】は、「前日に同行した」「任務中に撤退した」場合に増加する。
    • 同行者連れて行くと陣形が選べて、その任務時々によって変えてゲームを有利に進める事が出来る。陣形には一対多数を得意とした新撰組を再現した「山攻陣形」や新撰組の独自の決まり「死番*1」など新撰組を良く再現できている。
  • 剣術編集
    • キャラクターや仲間隊士との手合わせや、不逞浪士を倒すことで様々な技が身につく。
    • 抜刀術と「壱」「弐」と2つの剣術が設定でき、好きな方を戦闘中に変えることもできる。
      • 沖田の有名な「三段突き*2」を覚え、使う事も可能である。が、こちらはシナリオの2周目以降、沖田総司を主人公(プレイヤー)にし再度クリアすることが条件である。
  • 不逞浪士討伐帳
    • 不逞浪士の情報を見ることができる。
  • 対戦
    • ゲームをクリアすると2人対戦できるようになる。

評価点

  • 本格幕末時代劇のシナリオ
    • 新撰組の隊士のひとりとなり、有名な隊士と共に任務が行えて自分が幕末の登場人物になったような錯覚を受け、感情移入しやすいと評価されている。また、音楽やグラフィックの「和」のテイストがなにかとツボを押さえている。
    • ドラマや歴史本で紹介される「池田屋事件」「芹沢暗殺」なども自分の手で行えるというファンには堪ら無い内容である。
    • またシナリオも新撰組の運命に加えて、BGMや演出などどこか悲劇的で情景に残りやすい。
    • 総じて大河ドラマのような雰囲気を醸し出す硬派は作りとなっている。
  • 優れた時代考証
    • 幕末の時代考証は非常に優れており、歴史好きを満足できる出来になっている。
  • キャラクター
    • キャラデザは非常に硬派であり、幕末日本として金髪や茶髪などのありえない髪色したキャラなどおらずあくまでも平均的な日本人のキャラデザである。
  • アクション
    • 刀の威力が強力でバッタバッタと人が切れる為、爽快感が良いと評価されている。それでいて相手の威力も強く、生きるか死ぬかの斬り合いをよく表現できていると評価されている。
    • また一体多数という独自のアクションもアクション初心者にも簡単にクリアできる。
    • また剣術も「天然理心流」「北辰一刀流」など実在の剣術が使えてアクション飽きが来ない
      • ゲームをクリアするとできる「対戦」は、剣スタイルの格ゲーでそれ単体でも発売できるほど優れており、また複数人数VS複数人数で戦える。
  • やり込み要素が豊富
    • 一度クリアすると、近藤勇・土方歳三・沖田総司・斎藤一・永倉新八・原田左之助等の有名隊士での再プレイが出来る。
    • それぞれエンディングも異なり有名隊士での再プレイの際、クリアデータを使用する為、自作隊士も同行できる様になるなど繰り返して遊べる。
      • またそれぞれの主人公で会話が違う徹底した作り込みである。

賛否両論点

  • 声優の声は、ほとんど入っていない。
    • 近藤、沖田などの声すら入ってないなど物足りなさを感じるユーザーもいる。
    • しかし今まで新撰組を題材としたゲームが少なく、時代劇、新撰組好きな人間には、すんなり受け入れられたらしい。
    • 声をあまり入れなかったのは、スタッフの意図だったらしい。
      • なお続編ではフルボイスになっている。
  • フィールド
    • フィールドの質は良く、ゲームの雰囲気や幕末の設定に適してある
    • しかし使い回しが多く終盤に行くに連れ、フィールドに飽きてしまう。
  • 若干史実との相違がある。
    • ゲーム性としては自分の手で「芹沢暗殺」などを行えて良いのだが、気になる人は気になる(特にラスト)。
  • 視界が悪い
    • 固定な上に場所ごとに勝手に回転して、見づらい。特に室内だとさらにやりづらくなっている。
    • だが、実際の新撰組の巡察も狭い京の町の路地裏などで、非常に狭い視界の中で行われていたので、リアルという声もある(だから「死番制度」ができた)。

問題点

  • ふすまを開けるというアクションがない為、ふすまを刀で壊しその先にいる町人を斬ってしまうというプレイヤーが多い。
    • この点はふすまを開けるというアクションが次作『風雲 幕末伝』に追加された。
  • 任務が不親切
    • 任務においては首魁を倒すことで任務成功になるのだが、首魁を出すまで面倒。
    • 例えば首魁を出すには何人倒す、2分待つなどが必要なのだがそう言った事を教えてくれず、ただただマップを移動→雑魚を処理で飽きやすい。
    • また重要任務の出現も「不逞浪士を5人討伐」「章開始後、敵浪士を20人以上討伐」などが必要なのだが、そういったヒントは一切無い。
    • ゴールの見えないマラソンのような感覚を受けるユーザーがいた。
      • 周回用に作られているゲームのため、飽きやすい。
  • 油小路事件で終了してしまうシナリオ
    • 新撰組の歴史的事件は油小路事件で終了してしまう。
    • 鳥羽伏見の戦いや戊辰戦争なども新撰組が関わってくるので、がっかりに思うユーザーもいる。
      • 続編ではどちらも追加されている。
  • キャラクター化された歴史上の人物
    • 登場人物を際立たせる為に派手な服装や性格にしている。例えば近藤勇、藤堂平助はダンダラの隊服を着ていない。また沖田総司は美男子*3にされている。
    • もちろん沖田を美青年に描かれるゲーム含めた映像作品など沢山あるが、本作が『戦国BASARA』などの歴史上の人物をキャラクターした物ではない。また他のキャラクターなどは概ね歴史に忠実なモデリングである*4。なのでこのゲームに本格的な歴史シミュレーションも求めているプレイヤーには一部のそういった改変が気になる人は気になる。

裏ワザ

7章遊郭2階にて、1階に落下するバグ技を起こすことができる。 この現象の概要としては、敵6人に角 (かど)で囲まれ、防御や受け身などで自キャラの位置が変わり、敵の誰かの位置と重なることではじかれて成功する「ことがある」バグ技である。 成功すると1階に落ち、普段は行動できない1階の中庭を行動できる。 落ちた後右手前の部屋(女中が最初いる部屋)へ向かうと、敵を部屋の壁越しに攻撃したりするプレイが可能。 壁に自キャラをめり込ませたまま移動したりすることもできる。 中庭で、元気株式会社の作成外のエリアに移動すると、さらに落ちてしまって移動ができなくなり、電源を切るしかなくなる。(剣の振り、納刀・抜刀操作は可能)

敵6人を同時に相手にできるステージはおそらくこの7章遊郭のみ。 裏ワザをやろうとせずとも、7章遊郭は6人相手にするシーンを数回再現できる唯一のステージであり、抜刀術「不知火」や槍などで大量斬りプレイを楽しめる。

  • 推薦ステータス:体力300(Max)
  • 場所:7章で遊郭2階に上がり、右の大部屋のふすまを開ける手前の左のあんどんの左手前の角
  • 敵:6人推薦 (5人では2時間挑戦しても再現できず。)
  • 成功率:1時間 (約20回挑戦)で3回再現できれば御の字。
  • 装備技:死化粧 (北辰一刀流下段)
  • 刀受け:
    • 切下:誘い打ち (11)
    • 切上:引手送り (12)
    • 横払:螺旋返突 (13)
    • 突き:受け流し (11)
  • 槍受け:
    • 切下:槍面受け (14)
    • 切上:なし
    • 横払:槍受け落とし (14)
    • 突き:なし
  • 手順
    • 1.角で陣取り、敵6人の攻撃を防御で耐える
    • 2.自キャラと、敵3・4人との間に人が入る隙間がない瞬間を見計らって、敵の誰かの攻撃で「受け」を実行。
    • 3.「受け」をしたことで自キャラと敵の位置が重なり、はじかれ、1階に落ちることができることがある

切上は3種類あるが、自分が移動せず敵を移動させたりモーションが長い理由で、 切上の時に裏ワザが成功したことはない。 敵を押し出す効果のある刀受けが裏ワザ成功に一役買っているのは間違いない。

L2でターゲットをうまく変更し、なるべく攻撃されないようにする工夫も必要である。 もちろん囲まれて斬られまくるから失敗は多い。


総評

本格時代劇アクションとしてリリースされた今作は、決して時代劇・新撰組ファンを裏切ること無く、新撰組の歴史そのままを体験できる。
ゲームの雰囲気当もきちんと幕末を再現できている。
またアクション面としてもできが良く、剣アクションを楽しみたいという人にもオススメ。


余談

  • 2009年11月より豊丸産業より本作をモチーフにした『パチンコCR風雲 新撰組』が発表された。
  • 本作の続編である『幕末伝』はPSP版も出ている。

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最終更新:2024年03月23日 13:17

*1 新撰組は、京都巡回時や、浪士捕縛の活動の際4人一組で活動しており、一番最初に飛び込むものを決めていた。次の活動のさいには前回、二番目のものが繰り上がり、一番最初に飛び込むなど、ローテーションを組んでいた。狭く、入り組んだ京都の街では、最初に飛び込んだものが殺傷されやすく、前日から覚悟を決めさせるための制度だったらしい。

*2 このゲームでは「沖田滅多突き」という技名になっている。

*3 一説にはヒラメ顔だったと言われている。

*4 今作に登場してくる近藤と土方は実在の写真そっくりである。