ペーパーマン

【ぺーぱーまん】

ジャンル FPS(サバイバル)

対応機種 Windows
メディア ダウンロードソフト/CD-ROM
発売・運営・開発元 ゲームポット
発売元(パッケージ版) サイバーフロントほか
正式運用開始日 2009年2月12日
課金形態 基本無料
備考 2016年12月26日サービス終了
判定 良作
ポイント カジュアル系FPSの奔り
ミリィ可愛いよミリィ


概要

FPS。世界中で人気のあるゲームジャンル、ファーストパーソンシューティングの略称である。
FPSにおいては、主人公の視点となって立体空間を探索し敵を狙撃するという特性上、リアリティ追求に付した猟奇・残虐表現が大抵つきものであった。
そのため、FPS作品=残虐という偏見を持たれることが多く、FPSというだけで無条件に発売を禁止する自治体や行政も存在してしまっている。
しかし世の中は広いもので、残虐表現の存在しない奇抜な発想のFPSが、大勢で楽しめるオンラインのサバイバルゲームとしてなんと我が国日本に存在していた。
そんな稀有な商業作品が、本稿で取り上げる『ペーパーマン』である。

このページの記述について

本作はオンラインゲームという性格上、よくアップデートが施される。
また、多人数オンライン対戦というスポーツ的な要素を備えたFPSでもあるため、試合ごとのルールに多くのパターンが存在し、複雑である。
そのため、本作のシステムを本稿1ページに収まる範囲で全て語りつくすことは到底不可能であり、記事の煩雑化にも繋がる。
したがって本稿では、煩雑化を防ぐという意味合いもこめて、ストーリーや特徴、あるいは評価点や問題点などといった本作独自の要素についておおまかに記述するものとする。

ストーリー

誰もが魔法を使える国「パピルス王国」。
やさしい王様ときれいな王妃様のもと、人々は平和に暮らしていました。
ただひとつ、王様の頭を悩ませているのはおてんばなお姫さま。
毎日のように、お供を連れてサバイバルゲーム「ペーパーマン」で遊んでいます。
そんなある日、お姫さまが「『ペーパーマン』を国技にする」と言いだしたから大騒ぎ。
国中で「ペーパーマン」がブームになる中、さまざまな使命や想いを抱える人たちが集まってきたのです。

特徴

  • 本作はプレイヤーが他のプレイヤーとオンラインで最大16人まで同時に対戦できるFPSゲームである。
    • キーボードとマウスで操作を行うオーソドックスなサバイバル方式のFPSだが、主人公は紙でできた人間、ペーパーマンとなっている。このため、真横から見ると薄い姿になり攻撃はまず喰らわないという点が一般的なFPSと異なる。
  • ゲームの流れとしては、プレイヤーは主人公となるキャラクターと服装、そして主な武器を選ぶ。最後にゲームモードとステージを選択して試合開始となり、試合ごとに設定された制限時間が来るとゲームは強制的に終わる。
    • プレイヤーが選べるキャラクターは多数存在し、そのうちゲーム開始時に選択可能なものは以下の表のうち太字で示した。
+ キャラクター・武器一覧
  • ハヤテ
  • ティナ
  • ガイ
  • テリシア
  • ミリィ
  • サイラス
  • ドッドン
  • アルル
  • フッド
  • ヴァン
  • イーリカ・パレッド
  • レム
  • エリス
  • ルコット
  • ルーシー
  • メリッサ
  • (スルル)
  • 武器の種類は以下の4パターンに分かれており、それぞれのパターンにつき3つまで装備可能。戦う際はその中から一つずつを選ぶ。
    • メイン武器
    • サブ武器
    • 近接武器(ナイフ系)
    • 近接武器(ボム系)
  • ゲームモードは以下の種類が存在しており、種類によって制限時間やルールが変化する。
    • 個人サバイバル
    • チームサバイバル
    • チーム戦術モード
    • チームスチール
    • 爆破ミッション
    • パルプ&ロール
    • 占領モード
    • サッカーモード
    • また、これらとは別に、一人で操作を好きなだけ練習できる練習モードと、チャットしかできないチャットルームも存在する。
  • マップは新宿や銭湯のような現実的なものから、海賊船やきのこ工場などファンタジーな雰囲気のものまで様々。
  • 戦績に応じてゲーム内の通貨であるPGが得られ、それを使って新しいキャラクターや服装、武器を買うことができる。また、課金して第二のゲーム通貨となるCASHを手に入れてそれを使うことも可能。

評価点

  • まず第一に、やられ方がコミカルで流血といった残虐表現が存在しない。
    • 登場人物が全て紙という独特なコンセプトなので、撃たれると体に衣類の虫食いのような穴が開いたり、水に触れると濡れ、炎に触れるとすぐ燃える。
      • インパクトは絶大なもののそれはコミカルなやられ方に由来するイロモノなインパクトなので、初見でも引くことはほとんどない。
      • そのため本作はFPS初心者にも安心してすすめられる。
  • また、ビジュアルもライト層にとっつきやすいものとなっている。
    • これまでのFPSは、主人公がミリタリー色の強いマッチョな兵士やテロリストだったり、もしくはSF色の強いロボットやサイボーグというものが大半で、ライト層の興味を引くには弱かった。
      • だが本作のキャラクターデザインは、男女問わずいずれも日本のアニメや漫画、あるいはラノベから抜け出したようなお洒落なビジュアル。特にティナとミリィは可愛らしく萌えるため、人気が凄まじい。
      • ただキャラクターをウリにしているのみならず、キャラクターについてのバックグラウンドストーリーや相関図の設定が細かく、キャラクター同士の関係を想像させる作りになっているのも評価が高い。
      • ファンタジー要素を前面に押し出しているので、他のFPSに見られないようなキャラクターで遊ぶことが出来る。獣人(ケモノ)を操作できる数少ないFPSである。
  • 純粋にFPSのサバイバルゲームとして評価しても、本作は出来がよい。
    • 操作性は確かなもので、カメラワークも比較的酔いにくい。
    • 動作は軽い上に目立ったバグは少なく、そしてバグはアップデートのたびに除去される場合が多い。

問題点

  • アップデートでキャラクターや武器など何らかの要素を新たに実装すると、それが凄まじい威力を有する場合が多く、しかも修正まで一週間程度の時間がかかったりする。
    • キャラクターであるドッドンがかつてそうであった顕著な一例。
  • 一部の銃はなぜか薬莢が左側から出る。
    • 現実では薬莢の威力も半端ではなく、これが左手に当たったらものすごく痛い。現実ではありえないシチュエーション。
  • キャラクターバランスが劣悪。
    • キャラクターごとに体型が異なり、大きく分けて細身、太身、普通、小柄の4種類に分けられる。
    • 体型が違う分被弾面積が異なるため、細身のリサやサイラスが圧倒的に有利。反面太身のガイやテリシアは不利となっている。
    • 開発もこれを危惧して防御力なる要素を取り入れ、被弾面積の少ないキャラは同じ攻撃を受けても体力が減り易く、太いキャラは減りにくくなっている。
      しかしいくら死ににくいとは言っても、被弾することでレティクルはガバガバになるのでロクに反撃も出来ず、ノックバックで移動速度も低下するので結局撃ち負けてしまう。
  • スキル機能でバランス崩壊
    • 評価点に挙げられていないが、本ゲームにはモンスターハンターのようなスキル要素がある。
      • 販売されている衣装にはスキル値が備わっており、一定値に達することで移動速度やリロード速度を上げることが出来るが、何かの能力を上げると他の能力が下がってしまう。
      • 衣装はゲーム内マネー(PG)でも購入できるので、初心者でも良スキルを手に入れれば強くなれる。
      • 運営の発言によると初心者救済システムとして考えられたものであり、初心者でも最強スキルで挑めばベテランとも対等に戦えるだろうというもの。
    • しかしアクセサリーという機能があり、能力の低下を打ち消すことが出来る。このためプラス補正スキルだけを使うことが出来る。
    • 無スキルユーザーと最強スキルユーザーでは、同じプレイヤースキルでも天地ほどに戦力に差が出ることは想像に難くなく、上手いプレイヤーが最強スキルを扱えば鬼に金棒となる。
    • 本作の売りであるはずの衣装が戦力に繋がっていることが長く不満要素とされていたが、サービス開始からおよそ2年後の2010年に衣装とスキルは分離された。
    • しかしスキル機能がなくなったわけではないため、キャラ性能に加えスキル能力という、純粋なプレイヤー同士の駆け引きを著しく阻害する要素として嫌悪されることに変わりはなかった。
    • 運営はユーザーの声を受けてかクラン鯖でのみスキルOFF機能を備えたが、一般サーバーにもスキルOFF機能が備えられるのはそれから数年待たなければならなかった。
  • アイテム要素
    • 実はスキル・キャラ性能のほかに、アイテム戦というものがあった。
    • 相手プレイヤーを倒すとランダムでアイテムをドロップし、これをとることで戦況を有利に進められるというもの。
    • しかし無敵や火力アップなどは白けてしまうらしく、あまり使われることはなかった。
    • 例えばCT側に無敵を取られるとT側は爆弾解体を阻止することが出来ず、負けが確定してしまう。
    • この機能はサービス開始当初からオンオフ切り替えが可能であった。

晩年のペーパーマン

  • いつの頃からか迷走が始まりネタ武器が多く作られるようになり、徐々に過疎化していった。
    • 2015年4月1日で、開発会社が従来のVoidPointerから変更になった。変更先の詳細は長らく不明だったが、翌年の新年のあいさつにてGMO RUNSYSTEMであることが判明した。
    • 以降は新規要素の追加は行われず、既存の武器やマップや衣装の焼き直し、ボイスの再販などがメインとなる。
    • 2016年3月16日に約2年ぶりの新キャラ「ルーシー」が追加実装されたが、キャラクター固有ボイスがなく、ラジオチャットはもちろんジャンプ時も無声となっている。にもかかわらずCASH販売のみでPGでの購入は不可能。
      • 後にボイスが実装されたが別途課金(ガチャ要素)が必要になった
    • また新規のPG衣装の追加はもとより、PGガチャの更新も2015年3月18日から滞っている。
    • ユーザーからのGMへの抜擢やスキルOFF機能の実装なども行われていたが、上記のような新規要素の不足がユーザーの飽きを助長させ、過疎の原因になっていると言える。
    • 2016年9月21日に新キャラのメリッサ、スルルが追加された。
      • 厳密にはスルルは新規モデルではなく、既存のミリィの別衣装・別ボイスバージョンとなっている。
      • スルルはサイカン時代のGM専用アバターだった。
    • 2016年9月26日にサービス終了を発表。同年12月26日をもってサービス終了となった。
      • 結局開発移行後に新キャラとその服以外には、あたらしい武器モデルや、PG・CASH衣装、新規マップが追加されることはなかった。

総評

これまで、シューティングゲームの『SONIC WINGS』や格闘ゲームの『アルカナハート』など、その作品のジャンルにライト層を惹き付けるため、ビジュアルに最大限こだわったゲームは多数登場してきた。
本作は、そんなライト層向けのビジュアルに最大限こだわった史上初のFPSである。
また、対戦ゲームブームの火付け役『ストリートファイターII』をきっかけに、前述の『SONIC WINGS』や『アルカナハート』だけでなく、パズルゲームの『ぷよぷよ』等様々なジャンルのゲームで「気軽な対戦によるプレイヤー同士の交流」がゲームセンターで活発となった。
本作はあえて対戦式のオンラインゲームにしたことにより、そのプレイヤー同士の交流を活発化させる流れを汲んでいると言える。

本作は武器も服装もステージもべらぼうに多く試合ごとのルールも変わり、奥の深いやりこみ要素が生まれており、キャラクターが紙という奇抜ながたもコミカルなアイデアとおしゃれなキャラクターデザインでとっつき易さも兼ね備えている。

余談

  • 同社は後にアニメ系3Dアバターを使いつつも本作より本格的なFPSである『メビウスオンライン』もはじめたが、ゲームバランスの悪さ、及び見た目に反してカジュアルさが足りなかったからか*1、3年目で終了している*2
    • なお本作とコラボしており、メビウスには本作のアバター(当然立体デザインになっている)、本作にはメビウスの武器が実装された。更にはメビウス終了から1年後に2度目のコラボをしている(メビウスのNPCの服が実装された)。

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最終更新:2021年05月27日 18:40

*1 ペーパーマンはキルデス戦(何人殺したか)が基本だが、メビウスはコンクエスト戦(占領戦)が基本。しかしコンクエストを理解出来ない(理解しようともしない)プレイヤーが多かった。

*2 一方で、この手の打ち切りネットゲームとしては珍しく、シナリオは完結させている。まぁ駆け足だったり超展開だったり(一応伏せ線らしき物はあった)はしたが。