ダイソー ザ・ゲームシリーズNo.40 ふしぎな森のポコラ

【だいそー ざ・げーむしりずなんばーよんじゅう ふしぎなもりのぽこら】

ジャンル アクション
対応機種 Windows 98/Me/XP
メディア CD-ROM 1枚
発売元 ダイソー(大創産業)
開発元 リズソフト
発売日 2003年
定価 100円(税別)
判定 良作
ダイソー ザ・ゲームシリーズ


概要

株式会社大創産業は、全ての商品に「ザ・○○」と題することで有名な100円ショップ「ダイソー」を日本全国に展開している広島県の企業である。
ダイソーは現在では、さまざまな日用品を取り扱うイメージが強いが、90年代後半はPCゲームシリーズと書籍にも力を入れていた*1
本作も元々は個人が製作・配布していた同人作品だが、「ダイソー ザ・ゲームシリーズ」にも属し、その結果として100円ショップが発売元となったという稀有な商業作品のゲームである*2

特徴

  • 山里に遊びに来た夏美という女の子が、うさぎとたぬきを足して二で割ったような不思議な生き物「ポコラ」*3を追いかけて捕まえるという筋書き。
  • トップビューアクションゲームで、空から見た視点で主人公を操作する。
    • 主人公である夏美を操作して、制限時間内に決められた数のポコラを捕まえるルールだが、レースゲーム的な要素がある。
      • ステージごとにノルマとなるポコラの数は違い、また性格の違う3種類のポコラ(見た目は色違いなだけ)が存在するため、戦略的に捕まえる必要がある。
    • しかも障害物で転んだりするとタイムロスになるので、同じく戦略的によけなければならない。
  • 操作は方向キーで東西南北に歩くほかに、加速とジャンプの2ボタン制。デフォルトでは加速はXキーに、ジャンプはZキーに割り当てられている。
    • 方向キーを押しながら加速キーを押すとかなりの速さで走ることができる。
      • ただし本作は慣性があるため、曲がり角は直角に曲がれない(弧を描いて曲がらなければならない)。ほか、立ち止まっている状態から最高速度になるまでのタイムラグが存在する。さらに急ブレーキをかける場合には逆方向に方向キーを押さなければならない。
      • またジャンプも重要で、ステージには切り株や小川といった障害物が多数配置されているので、ジャンプで飛び越えるべきである。
  • 本作には「コスチューム」という要素もあり、着せ替えることで最高速度や滑りやすさ等の性能が変化する。
    • 着替えを買うにはドングリを抱えたポコラを捕まえて溜めたドングリを使う。
  • ゲームの難易度は最初はもっとも簡単なモードしか遊べないが、ひと通りクリアすると他の難易度も選択できる。

評価点

  • まず第一に、ルールが極めて単純でわかりやすい。
    • ルールは「ポコラを制限時間内に捕まえる」というもの。誰でもすぐに分かるので、始めやすい。
  • それでいて慣性という要素が、よそのトップビューアクションゲームにはない難しさと面白さを生んでいる。
    • 加えて、操作の面でもダッシュとジャンプを組み合わせて様々なアクションを繰り出せるため、臨機応変に対処する楽しさがある。
      • 結果として癖が強いがゲームバランスは繊細なものとなり、プレイヤーは上達を感じやすくなった。
  • コスチュームの着せ替えも楽しい。
    • 戦略的に進めるためにとことん性能重視でいくか、それともおしゃれ重視でいくか。プレイヤーに選択の幅を広げさせた。
  • タイムアタックやノーミスチャレンジ、さらにはコスチューム縛りプレイなどのやりこみ要素も豊富。
  • そして何より本作最大の見所は、その世界観。
    • 本作のタイトルにもなっているポコラはもちろんのこと、主人公の夏美や、おじゃまキャラのウリボー*4まで登場キャラは全てかわいらしい。
    • また舞台もほのぼのとした里山で、100円のゲームにしてはグラフィックが凝っている。ひとたびプレイすると日本人特有の郷愁に駆られることうけあい。
      • 制限時間内に十分な数のポコラを捕まえられないとゲームオーバーになるのだが、その画面は夕焼けをバックに母親に連れられ帰路につくというもの。楽しいイメージの本編とは一転、切ない。
    • BGMも、セミの鳴き声や川のせせらぎを用いてその郷愁をうまく演出しており、高い評価を得ている。

問題点

  • 高速で追いかけるというゲームの性質上、スクロールが高速でありカーブもしにくいため初見では障害物にぶつかりやすく、見た目に反比例して難易度は高い。アクションゲームが苦手なプレイヤーには安易には勧められないという負の側面も持つ。

総評

ルールやステージ構成はいい意味で簡単。そして可愛らしくとっつきやすい世界観だが、操作がいい意味で複雑。
都会の雑踏や喧騒に疲れた時に、本作を遊んでみるのはいかがだろうか。

余談

  • 本作はよく「1988年のアニメ映画『となりのトトロ』に登場する追いかけっこシーンと雰囲気が似ている」と指摘されるが、それもそのはず。
    • ベクターソフトニュースによる本作の同人フリーゲーム版についてのインタビューによると、作者はそのシーンを見て「これをゲームにしたら面白いのではないだろうか」という動機の元本作を生み出したからである。
  • 入手困難。
    • ダイソーゲームシリーズは権利問題や製造コストの関係からか、現在のダイソーでは取り扱っていない。そのため新品を入手するのはほぼ不可能であり、元が安すぎた所為か中古での出回りも少ない(一応、扱っている店もあるらしい)。
      • ただし、本作は元々は個人製作のフリーゲームであり、現在でも変わらず配布されている。パッケージに拘らないならそちらを遊ぶのも手である。
      • と言うか本作の翌年の「テックウィンDVD 2004年7月号」(エンターブレイン)や「フリーゲームマニアックスvol.2」(普遊舎)にフリーゲームの一作品として付属DVDに入っていたため、ダイソーはあくまでもパッケージ化権を得ただけに過ぎないのだろう*5
        更に言うと、件の2誌の存在意義から考えても、本作は(好意的に書けば)「インターネット環境の無い人向け」に発売されたものと言えよう*6

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最終更新:2022年04月09日 01:59

*1 ダイソー ミステリー・シリーズの他、永井豪や里中満智子といった作者の漫画、辞典、ガーデニング本などがメインだった

*2 ただし「No.1 囲碁」からしてフリーソフトの「対戦囲碁 小次郎」だったように、フリーソフトのパッケージ化作品が多いシリーズである。所謂体験版な「No.2 将棋」や、過去の人気商用ゲーム(5500円)だった「No.9 ピンボール」などの例もあり、中には「No.11 ファンタジーロープレ」「No.69 人形の傷跡」のようにツクール作品をそのまま持ってきたケースもあった。ライセンス料は数十万円程度だったと噂されている。

*3 設定だと正式名は「オクヤマノオオイズナ」(奥山の大飯綱?)でありポコラとは夏美がつけた名前。

*4 現実世界でも猪の子供はその見た目から「瓜坊」と呼ばれている。

*5 実際、ダイソーゲームシリーズとなったフリーウェア、シェアウェア作品は、ダイソー版が売られている最中でも作者のサイトやダウンロードサイト等で入手可能だった。

*6 なお、家庭用インターネットが一般化しだしたのが2003年頃と言われている。