レイジレーサー

【れいじれーさー】

ジャンル 3Dレーシングゲーム
対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 1枚
発売・開発元 ナムコ
発売日 1996年12月3日
定価 6,090円(税込)
プレイ人数 1人
セーブデータ 1ブロック使用
周辺機器 ネジコン対応
判定 スルメゲー
ゲームバランスが不安定
ポイント 永瀬麗子初登場
外伝ながら本流に組み込まれる異色作
坂を中心としたコースなど、シフトチェンジ(MT)に重きを置いたデザイン
しかし内容故にATでのクリアは実質不可能
本作であり唯一の要素も満載の意欲作
一方でバグを含めたおざなりな判定や内部処理に粗い挙動も目立つ
リッジレーサーシリーズ


概要

『リッジレーサーシリーズ』の家庭用(CS)オリジナル3作目に当たる作品。
タイトルに「リッジ」が入っていない事が示す通り、クルマの購入や、走りに影響する極端な坂の存在などから、本流であったアーケード(AC)の作品と異なる方向へ移行して深化した作品。

以前のリッジレーサーシリーズと比べて雰囲気が暗くなり、ダークな世界観。
これはストーリーが暗いとかではなく、全体の雰囲気そのものに変化がある。時間経過やスタート時点から夜間を走るシチュエーションが従来作品に比べて非常に多く、それが結果としてこの渋いダークな雰囲気を作り上げていると言える。

シリーズの中でもとりわけシフト(ギア)チェンジに主眼が置かれているのが特徴。コースには通常では考えられないほど傾斜の大きい坂が登場し、プレイヤーの走りとは別に激しく車速が上下する。
当然、登坂中はアクセル全開でも速度は下がり続け、それによってパワーバンドから外れれば、更に激しい減速に悩まされる事になる。
加えて、シリーズの中でも飛びぬけてドリフト不遇と言っていいシステムであり、カーブでの減速幅も従来作の比ではない。必然的に、シフトチェンジが必要な場面は非常に多い。


モード

  • GRAND PRIX(グランプリ):メインとなるモード。レースを勝ち抜いて賞金を集め、その賞金を使って「カーショップ」で車を購入したり、現在所有している車を「エンジニアショップ」にてチューンナップ(グレードアップ)できる。
    • グランプリ(以下、GP)には「クラス」なる段階・区分けが存在しており、1つのクラスにつき4(最初のクラス1、2のみ3)コースが用意されている。
    • 3位以内に入るとコースクリアとなり、賞金が与えられる。
      逆に3位以内に入れなかったり、タイムアップ(制限時間切れ)になったり、途中でスタートボタンによるポーズ画面経由でリタイアすると、「失格」になり、リトライ制限回数を一つ失う。リトライ制限回数が0の状態で失格になるとゲームオーバーとなり、クリアしたコースも帳消し、そのクラスの最初からやり直しとなる。
      • ただしゲームオーバーになってもペナルティはクラスのクリアコースの帳消しのみで、「貯めてあった賞金や所持車両及びそれらのチューンナップしたグレードはそのまま残る」親切設計なのでご安心を。
    • 各クラスの全コースを3位以内で入賞するとクラスクリアとなり、次の段階のクラスが出現。クラスが上がってもコースは変わらないが、上がるごとに敵車が新しくorチューンナップされて登場し、それに伴って速くなっていく。それに合わせてプレイヤーも新車購入やチューンナップで対応していくことになる。
      • ちなみに、クラスが上がると、「クラスアップボーナス」として入賞賞金とは別にボーナス賞金も与えられる*1
      • さらに、各クラスを全コースで1位入賞しかつクラス段階と同じ数のグレード(以下も含む)だけを使ってクリアすると、ゴールドトロフィーも授与される。一種のやり込み、コレクション要素。
    • 一度制覇したクラスはコース選択画面の「class」で再度挑戦することも可能な為、練習や賞金稼ぎ、クラス数以下のグレード帯の車をまだ所持しているならそれを用いて獲得し損ねたゴールドトロフィーに再挑戦したりすることも可能。
    • 全部で5段階のクラスが用意されており、最後のクラス5をクリアするとエンディングを迎える。そして次の新たなモードが出現する。
  • EXTRA GP(エクストラ・グランプリ):前述のGPの全クラスをクリアすると出現するモード。簡単に説明すると「走るコースが逆走になったGP」*2
    • コースが逆走になっただけで基本的な流れは通常のGPと同様だが、賞金も所有車(及びグレード)も最初からやり直しとなる*3。また、通常のGPよりも敵車が少し速くなっており、難易度も上昇しているので気が抜けない。
    • そしてクラス5をクリアすると、真の最終クラスであるクラス6が出現、敵車がたった4台だけだが、その全てがデビルカーといったクラスに挑戦することになる*4(と同時にショップにプレイヤー用のデビルカーも入荷される)。
    • クラス6をクリアすれば通常のGPと同様にエンディングを迎える。
+ 各クラス名

グランプリ(順走)

  • クラス1:CALME(カルム)GP
  • クラス2:BRISE(ブリズ)GP
  • クラス3:RAFALE(ラファール)GP
  • クラス4:MISTRAL(ミストラル)GP
  • クラス5:TEMPETE(タンペート)GP

エクストラ・グランプリ(クラス6以外は逆走)

  • クラス1:AISANCE(エザンス)GP
  • クラス2:AGITATION(アジタシオン)GP
  • クラス3:IRRITATION(イリタシオン)GP
  • クラス4:COLERE(コレール)GP
  • クラス5:RAGE(ラージュ)GP
  • クラス6:DIABLE(ディアーブル)GP
  • TIME ATTACK(タイムアタック):レースゲームお馴染みのプレイヤーのみで独走して最速タイムを目指すモード。同シリーズの過去作にあったタイムトライアルに相当*5
    • GPと異なり、エクストラを含めたGPで入手した車をそのまま使えるが、このモードではGPクリア後であっても車やグレードがリセットされず、最後に入手したグレードの車種を全て使用することができる(ただしグレードを下げたりすることは不可能)。
    • エクストラGP出現後は逆走コースをこのモードでも選べるようになる(「REVERSE」のマークが表示される)。

登場車種

本作はシリーズで初めて、完全な家庭版のゲームとして作られている*6。これに合わせ、ゲームシステムも前作までのACライクのものから一転して、レースで獲得した賞金で車の購入やアップグレードを行っていくスタイルを採用している。
そこに付随する形で、マシンの個性付けとして車両のメーカーの概念も登場。それぞれのマシンにメーカーの特色として、より大きな挙動の差別化が行われるようになったのもこの作品から。本作で登場するのは「グナーデ」「リザード」「アージュ」「アッソルート」の4社。

+ 車両一覧

以下、「#カーナンバー 車名:開始グレード(1〜5、デビルカー*7)」の順に記す。またMT only車は開始グレードに続いて「MT only」も追記する。

【GNADE(グナーデ)】

  • ドイツのメーカー。全ての性能が平均的なバランスタイプ。登場車種はゲーム開始時から所有してるエスペランザのみ。
    • #61 ESPERANZA(エスペランザ):1*8

【Lizard(リザード)】

  • アメリカのメーカー。ダイナミックなフォルムと大排気量のエンジンの大トルクを活かした加速力と登坂性能が特徴。ただし加速性能を相殺しかねないレベルで車体が重く(特にハイジャックとテンペスト)、ハンドリング(旋回性能)に難有り。そのため、コーナー突破はドリフトと加速力を活かした立ち上がりで補うことになる。
    • #46 INSTINCT(インスティンクト):2
    • #05 BAYONET(ベイオネット):3
    • #95 HIJACK(ハイジャック):4・MT only
    • #?? TEMPEST(テンペスト):デビルカー・MT only

【age(アージュ)】

  • フランスのメーカー。小排気量ながら軽量コンパクトでキビキビとした走りが身上でハンドリング重視。その反面、加速力がなく坂に弱い。
    • #01 ALOUETTE(アルエット):2
    • #20 ABEILLE(アベイユ):3
    • #06 PEGASE(ぺガース):4・MT only
    • #?? VICTOIRE(ヴィクトアール):デビルカー*9

【ASSOLUTO(アッソルート)】

  • イタリアのメーカー。直線的なフォルムが目を引く。最高速重視でハンドリングは最低レベルの為オーバル専用の傾向が強いメーカーだが、慣れれば他のコースでもタイムだけなら出せなくもない。ただしコーナーが多いレイクサイドゲートだけはやはり厳しい。
    • #76 FATALITA(ファタリタ):3
    • #88 ISTANTE(イスタンテ):4・MT only
    • #56 GHEPARDO(ゲパルド):5・MT only*10
    • #?? DRAGONE(ドラゴーネ):デビルカー・MT only
  • クラスが上がると、そのクラス数に1を足した開始グレードの車がショップに新たに入荷される仕組みとなっている。
    • チューンナップも同様に、現在選べる最高クラス数に1を足したグレードまで可能となっている。
    • デビルカーのみ例外で、エクストラGPの最終クラスであるクラス6にて初めて入荷される。
  • 家庭用作品の名物であるデビルカーは本作でも健在。冒頭で記したようにマシンの差別化が進んだことを受け、3台のデビルカーはいずれも強い個性を持つ。
    前作まではあくまでタイムアタック用のおまけ要素だったが、本作ではラストのラストに「敵車が全てデビルカー」のレースが登場する為、本作を完全クリアする上では必ず操る事になる。

コース

4種類あるコースは全て共有するルートが存在*11。そしてコース毎に異なる特徴が際立っており、それに合わせて各メーカーの車種を使い分けることで対応のしやすさがかなり変わってくる。勿論敢えて不得意メーカーで挑むのも一つの手(ただしオーバルだけは例外*12)。

+ コース一覧

以下、「コース名:一周あたりの全長」の順に記す。オーバル以外は計3周走行する。

  • Mythical Coast(ミシカルコースト):4641m
    • 通称「ミシカル」。登り坂や急なコーナーがバランスよく配置、メインストリート以外にもそこそこ長い距離のストリートが配置されているのが特徴。主にグナーデ車が向いているとされるが、他のメーカーでも十分勝機があるコース。
    • 逆走時は基本的に総合的な難易度は変わらないが、ヘアピン突入地点が死角になっていたり、急コーナー突破直後に登り坂になっている箇所への対応が勝負の分かれ目となる。
  • Over Pass City(オーバーパスシティ):6640m
    • 通称「オーバーパス」。高低差が激しいコースで、長い登り坂もその分目立つ為、加速性能が求められる。よってリザード車が向いている。ただし下り坂やストレートもそこそこあるので、テクニックがそこそこあればアッソルート車でも割と健闘できる。登り坂以外では、急コーナーが連続する「サイドワインダー」地帯に見通しが悪いスプーンカーブなどが勝負の分かれ目になる難所。
    • 逆走時は登り坂が下り坂になり、その逆も然りなコースとなるのは走る前から解る構成なのだが、サイドワインダーが順走時よりさらに難易度が上昇しており、各坂への対応を順走とは逆にするだけでは攻略ができず一筋縄ではいかない。
  • Lakeside Gate(レイクサイドゲート):6237m
    • 通称「レイクサイド」。細かいシケインからヘアピンなどの急なコーナーがとにかく連続するワインディングロードで構成されたコース。加えて道幅も終始狭く、かなりのコーナリングテクニックが要求される。ハンドリング性能が高く車体も小さいアージュ車が最適。逆にハンドリングが最悪でストレートも殆どない為に最高速も活かせないアッソルート車はかなりの苦戦を強いられる。
    • 逆走時は元からコーナーが多いのに加えて、逆から走るだけでいくつかのコーナーが死角になってしまっており結果、先の見通しも全体的に悪くなってしまい暗記はやはり必須。また、グレードが高い状態でスピードに乗っていると、コーナーを曲がる最中にジャンプしてしまう難所まで追加されている。
  • The Extreme Oval(ジ・エクストリームオーバル):3074m
    • 通称「オーバル」。このコースのみ、クラス3以降で登場(エクストラも同様)。また他のコースと異なり、一周あたりの距離が短い代わりに計6周走ることになる。
      リッジシリーズ初となるオーバルコース。ロングストレートと緩やかなバンクコーナーで構成されたコースで、その構成故に最高速が求められる。そして仕様上、向いているどころか勝つにはクラスと同一グレードのアッソルート車が必須。
    • 逆走時はそのコース構成故に順走とは殆ど変わらない。ただし最初のバンク入口が死角になっているので暗記必須。逆に言えばそこさえ覚えれば順走時と同じ感覚でクリアできる。

評価点

シリーズの中でも一線を画すシステム

  • 上り坂の失速が激しくシフトチェンジが非常に重要視されるゲーム内容。
    • 概要欄記述の通り、本作はシフトチェンジひとつでタイムに差が出る。タコメータとにらめっこしながら走る楽しみはレイジならでは。
  • チューンナップ・新車購入についても同様に、文字面以上の楽しみがある。
    • 初期マシンであるエスペランザにしても、最初はまるでリミッターでも掛かっているかのように140km/hで頭打ちだったのが、次の段階で170km/hを普通にオーバーし、更に次では5速が追加され……と、しっかり手応えを感じて行けるようになっている。
    • 車及びメーカーによってコースに対する得意不得意がはっきりした事で、最低でも2タイプの車は使い分ける必要がある*13。額面通りに性能を受け取れば、1つのコースに1タイプともなる。
      これにより、車の乗り換えが有利になる事を認識しやすく、それが結果的に「他の車はどんな性能なんだろう?」と、プレイヤーの興味を煽る。

進化するグラフィック

  • これも本作初の要素として、車種毎にメーターのデザインや排気音が全て異なるという特徴がある。排気音の違いはまだ大きくはないが、タコメーターは重要な役割を担う本作ならでは。『V』以降の作品でも、この部分の差別化は徹底されている。
  • 更に、各車種はチューンナップすると見た目が変わるという拘りも。特に購入時には市販車同然だった低グレード車も、チューンナップを経て、本格的なレーシングカーへと変貌していく。中にはエンジン音まで変わる車も。
    その他、細かい所では車の色を変えたりエンブレムを自作することができる。現在のレースゲームでは然程珍しくない機能だが当時としては画期的。
  • クラス数以下のグレードで各クラスを全コース1位でクリア」というそこそこ厳しい条件があるとはいえ、条件達成で入手できるゴールドトロフィーも各クラス毎に異なるデザインが用意されており(全11クラス分存在)、集めて鑑賞するのもまた楽しみの一つ。
    • ゴールドトロフィーを5クラス分集めると、BGMが一曲*14追加されるオマケも。

BGMのクオリティ

  • 全体的に曲のテイストは旧来のリッジと比べ様変わりしているが、シリーズで見ても特徴のある曲が揃っており本作の雰囲気にハマっている。
  • ちなみに、オープニングムービーが挿入されるのもリッジシリーズとしてはこの作品が初。
    • クオリティは高いものの、オリジナルサントラが存在しない。その辺りの経緯については後述する。

永瀬麗子初登場

  • 実はシリーズお馴染みのレースクイーン、永瀬麗子の初登場作でもある。当時はCGで生み出された彼女にビックリしたプレイヤーも多い。
    本作以降、『V』を除き、レースクイーンとしてシリーズのマスコットキャラ的な扱いとなる。

賛否両論点

MT only車の存在

  • その名の通り、MTしか選べない車がある。寧ろ、グレード3以降に追加される高性能車両の殆どはこれに該当する。
    • 但し、このゲームのデザイン自体、シフトチェンジに重きを置いている作風の為、ボタン二つで解決するこの部分を一概に批判する事はできないという意見も多々ある。
      本作の坂道だらけのコースに加え、ATの仕様も出来が良いとは言えない上に、ATを使用すると難易度が逆に上昇する場面も多々ある。
      逆にMTは本作における基本操作の一つであり、AT自体がオマケだと断じるプレイヤーもチラホラ。
      クラス6のオーバルはMTが操作出来ないとクリア出来ないが、その他3コースも結局ATでの攻略は上級者向けの縛りプレイみたいなものであり実質MT必須である。
      • 勿論、苦手な人は苦手な要素ではある為、それが難易度に良くない影響を与えているのは間違いない。結局「MT only車」は本作のみの要素となり、以降の作品はどの車種もATとMTを選べる従来通りの方式に戻った。

問題点

操作性

  • 本作はまだPS1初期の作品であり、現在では当たり前となっているスティックによるアナログ入力には非対応であり、PS純正コンでは適切なハンドルやアクセル操作が難しい。
    • この操作性の悪さが災いし、全台デビルカーで争う事になるエクストラグランプリのクラス6については超高難易度となっている。
      また、壁や敵車に接触した場合の減速(ペナルティ)が大きすぎる為、操作性の悪さとATの出来の悪さも相まって速度の上がるクラス5辺りもそれなりに難しい。
    • ただし、ナムコ純正の、PS1、2で発売されたリッジシリーズ全作共通で対応している*15アナログコントローラー・ネジコンを使うとコーナリング性能が大幅に向上する
      「マシンのグリップ力自体が上がっている」と評されるほどの変化がある。更にコーナーリング中の減速も標準コンより抑えられる仕様である。
    • 特に顕著なのがオーバルコースであるジ・エクストリームオーバル。常にインベタを維持し、安定して最高速を出し切れる為、余程限界まで突き詰めない限りは完全に有利になる。

敵車及び壁追突時の厳し過ぎるペナルティ

  • 今作は操作性が非常に悪い上、コースに道幅の狭い部分が多い為、壁や敵車に接触しやすい。 その上、壁や敵車に接触衝突した場合のペナルティ(大幅な減速と加速力低下)が非常に大きい。
  • 道幅の狭い区間で敵車を綺麗にパスする事自体、使用するマシンによってはかなり困難である。
  • 一応MTのシフトアップダウンを利用しペナルティをチャラにする裏技も有るが、タイミングがシビアであり簡単に出来るものではない。
  • この仕様が後述されているクラス6の極悪難易度化に拍車をかけている。

クラス6の難易度

  • エクストラGPのクラス5と6の差は余りにも激しく、普通のプレイヤーでは3位になるのすら大変なレベル。
    • 何よりデビルカー且つMT onlyのドラゴーネ以外ではクリア不可能なオーバルは勿論、それ以外のコースではATを選択出来るヴィクトアールで勝負出来るものの、今作のATは出来が悪い上に壁打ちとロケットスタートが使えない為大幅に不利になる。更にそのヴィクトアールを含めてデビルカー全車の操作がかなり難しく、慣れるまでは車の暴力的な性能に振り回されて満足に運転もままならないことも珍しくない。それでいて敵車は全台デビルカーである。
    • 他作品で例えるならリッジレーサー5を難易度ノーマル且つグリップ車でプレイしていたら最終戦だけマキシマムグランプリをドリフト車でクリアしろと言ってる様なものである。
      しかもリトライ制限は他のクラス同様3回しか無い為、攻略は困難を極める。
    • オーバル以外はデビルカーより1段階下のグレード5でもクリア可能である。しかし敵車が全台デビルカーである為、通常のプレイヤーでは4位になる事すら不可能。
      そもそもクラス6に限らず、元々通常のGPよりも敵車が速いエクストラにおいて、クラス数未満のグレードでクリアすること自体が縛りプレイの一種のようなものである。

車の性能差に関する問題

  • 初期車両エスペランザはバランス型のはずが、同一グレードで比較したとしても非常に遅い。
    • ハンドリング性能がアージュの各車に次いで良い為、それなりに扱いやすい程度のメリットしか無い。
    • このマシンのATオンリープレイ自体が縛り・やりこみプレイみたいなものである。
  • アッソルートの各車は設定スペック上速い筈だが、ハンドリング性能が低くドリフトの制御が難しい為、一般のプレイヤーが操作するレベルではオーバル以外では役に立たない。
    • 上級者が様々なテクニックを駆使した場合はその限りではないが…
  • 各車種はチューンしてクラスを上げる事が出来るが、仮にチューンしてクラスを一つ上げても最初からそのクラスの車よりスペックが劣る。
    • アッソルートで具体的に例えると、ファタリタをチューンしてグレードを4に上げても最初からグレード4のイスタンテにスペックで劣り、イスタンテをチューンしてグレード5にしたとしても、最初からグレード5のゲパルドにスペックで勝つ事は無い。

タイムアタック関連

  • タイムアタックではクリア前後問わず最後に入手した最新のグレードの車が選べるようになるが、その車はこのモードでも一度上げたグレードはそのままで変更が一切不可。なのでグレードを一旦下げて低グレードで、あるいは各車各グレード毎にタイムを計測するということができない。タイムアタックは最速タイムを狙うだけでなく練習にも最適なモードである為、これはやや不便だし残念な点。

ドリフトが難しい

  • 本作はドリフト復帰時の車速減速率がかなり高いため、ほかのリッジ作品に比べて爽快感が薄い。
    カウンターを当てるタイミングも随分とシビアになり、失敗のリスクが増加、純粋に脱出速度でも大きな差がつかない為、グリップに対してドリフトはかなり不利と言っていいくらいになった。
    従来作に慣れていると、たとえドリフトに成功しても「本当に上手く行ったのか?」と疑問に思う程の脱出速度になる。
    さりとてグリップも速いとはいえず、ヘアピン級のRを持つコーナーだと、脱出速度が100km/hを切る場合も少なくない。

バグを含む内部処理の問題

  • コースの当たり判定の設定がかなりアバウト。
    • リプレイで見ると怪しい表示がはっきりと分かるレベル。何もない空間にマシンがぶつかっていたり、逆に壁や縁石にマシンの一部がめり込んでいるシーンが見て取れる。
      特に、ライン的に順走時には通らないような箇所を走行する逆走時にこうした現象が起こりやすい。

シフト関連

  • シフトチェンジ時に純粋に加速が止まるのではなく、マシンの「加減速」が両方止まっている。 ここの仕様を突き素早くギアを上げ下げすると本来速度がガタ落ちするはずの坂道でギア一速落ち分の速度を保ったまま駆け上る事が可能。当然、リザード車の立場が無くなる*16上、MT操作さえできれば誰でもできるのにゲームバランスもぶっ壊してしまうレベルのバグ技である。
  • レースのスタート時にブレーキとアクセルを同時に踏んでおき、GOの合図と共にシフトアップしつつブレーキを離す事でロケットスタートが出来る(マシンによってスタート可能なギア数が違う)。成功すれば不使用時とは比べ物にならないスタートを切れる。更にトップギアでロケットスタートが出来るマシンは通常走行では到達不可能な速度まで加速する為、1周目のタイムが一番速いという現象も起こる。
  • 更に、坂道でのシフト技を応用し、敵車や壁に衝突する直前にシフトダウンする事で、衝突時の減速判定をクラッチの溜めで上書きし、衝突時の減速ペナルティを無かった事に出来る壁打ちという技も存在する。
    こちらはタイミングを取るのが難しく、コンスタントに出来るものではない。この三つの技を活用出来なければ本作を完全クリアするのは実質不可能である。

総評

家庭版リッジレーサーシリーズとしては3作目、「リッジ」の名を冠していない為、外伝的な扱いをされる事の多い本作。
実際問題、初代やレボリューションに比べると、あらゆる面で本作独自の要素があり、CS機向けのシリーズの新たな方向性を見据えて開発されたであろうことは想像に難くない。

ただ、蓋を開けてみると、本作で追加された要素はいずれも出来が良く、その多くは次回作から早速取り入れられる事に。本作で一気に形作られたシステムは今後も形を変えながら、本シリーズの最後まで続いていく。
そうした意味では『真の意味での家庭版リッジレーサー』の始まりと見る事もできる、歴然とした本流作品の一つ。それを踏まえてか、次回作は「3」ではなく、『R4 リッジレーサータイプ4』となっている*17

一方で壁への当たり判定や、イマイチ甘い調整が原因のバランス崩壊のバグが目立つなど、欠点も見られ、純然たる良作と呼ぶには粗い作りがなんとも惜しまれる。
基幹部分に当たるところの問題であり、手放しに良作と扱う事はできないが、十分佳作と呼べる作品だった。
シリーズとしても、いい意味で今後の展望を開いた作品であり、実験作としては大成功だったと言っていいかもしれない。


サウンドトラックに関するいざこざ

  • 歴代シリーズの中で本作のみサントラが出ていない上、その「真相」が明るみに出たのも随分と時間が経ってからになってしまった。
    • 次回作や機種が変わった新作でも早々にサントラが発売されたにもかかわらず、本作は音沙汰なし。別段出来が悪い訳でもないだけに、ファンの間では様々な憶測や疑問を呈す声をも少なくなかった。
  • 時は経って『リッジレーサーズ』のサントラにて、「Silver Stream」がかろうじて収録されたが、相変わらずこの一曲だけ。
    リッジ20周年記念リミックスCDのライナーノーツで、歴代シリーズ全曲の作曲者が発表されるまでは、スタッフロールに記載されていた2人のどちらが担当していたのかも分かっていなかったほど。
    同じくサントラ発売が遅れに遅れた『R:Racing Evolution』や、『リッジレーサー6』と違い、作曲者が2人とも当時の社員だった*18故に版権については問題ないという事で、後はマスター音源が残っているか否に絞られていく事に。
  • 2017年になって『レイジ』名義で初のサウンドトラックが発売されたが、こちらもオリジナル楽曲は収録されず。これによって、いよいよマスター音源紛失の可能性が高まっていたが…
    • 同年6月11日に行われたリッジレーサーフェス2017にて、サウンドディレクターで本作の曲を手掛けた1人でもある大久保氏より「ゲームディスクが再生出来るのでサントラを出す必要性を(当時)感じていなかった*19」「20年前という事もあり、マスター音源は全てのデータが発掘されなかったので、レイジリミックスのDisc2は『原曲に沿ったリミックス』という形で依頼した」と発言があり、大方の予想通り音源が無い事が発表された。
  • 流石に音源なしではどうにもならない為、今後もオリジナルサントラの発売は絶望的。ただ、大久保氏の言葉通り、本作までのシリーズ作品は本編ディスクをプレーヤーで再生する事でサントラ代わりに使える。
    それらの面で見ても、本作の中古価格は変に高騰していたりしない為、サントラとして購入するのもアリだろう。

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最終更新:2024年03月27日 11:30

*1 得られるのはそのGPモードの挑戦中一回のみで、クラスを落として制覇済みのクラスを再度制覇しても、クラスアップボーナスまで再度貰えない(あくまでも「新しい上のクラスを出現させた」ことを評価して与えられるボーナスである為)。

*2 一回でもクリアしエンディングを迎えると逆走コースを走れるようになる仕様はこの頃の家庭用リッジシリーズの慣例となっていた。

*3 これは通常のGPでも、クリア後に同じデータを使いながらも、またやり直す場合も同様。

*4 このクラス6のみエクストラGPで唯一の順走。

*5 ただしあちらと異なり計1〜2台の並走車やデビルカーがいない為、独走できるタイムアタックとしては本作が初となる(一応タイムは記録されないが、前作『リッジレボ』でも独走できるモードは「フリーラン」モードとして存在していた)。

*6 正確には『リッジレーサーレボリューション』が初めてではあるが、そちらは初代リッジレーサーの続編或いはAC版『リッジレーサー2』のアレンジ移植として、AC版リッジの影響を強く受けたゲームデザインとなっている。

*7 ゲーム中のグレード欄においては「GRADE ?」と表記されている。

*8 唯一全てのグレードが揃う車種。

*9 デビルカー及び開始グレード4以上の車で唯一ATも選択可能。

*10 登場時から既にグレードが最高の5であるため、デビルカー以外では唯一のチューンナップ非対応車。

*11 メインストリートや最初のトンネル、最終コーナーへの合流地点(オーバルはメインストリートのみ)。

*12 オーバルでは、アッソルート以外の車で同クラス(グレード)帯を勝ち抜く事は不可能。

*13 オーバルでは、アッソルート製以外のクラス数と同一グレードの車では勝てない為。

*14 10曲目の「DEEP DRIVE」。

*15 ナムコ製以外のPS1、2用レースゲームでも、ネジコン対応ソフトは多く発売された。代表例は『グランツーリスモ』シリーズ(ソニー)、『チョロQ』シリーズ(タカラ)など。

*16 一応、デビルカーを除き、リザード最上位クラスのマシンであれば坂道ではほぼ減速しなくなる。ただ、元々最高速の伸びもあまり良くないメーカーなので、ここを埋められると坂なのに却って速度で後れを取る事すらある。

*17 ただし、これについては「PS版初代はあくまでAC版初代『リッジレーサー』の移植作→AC版限定の『2』を挟み→2作目の家庭版が『リッジレーサーレボリューション』=RRR=R3」だった事を受けてのR4という見方もある。もしくはリッジレボが『2』のアレンジ移植でもあった為、単純に、「初代リッジ、『2』=本編1、2作目→『2』同様AC版限定作の『[[レイブレーサー]]』=シリーズ本編3作目→リッジレボ=シリーズ本編2作目である『2』のアレンジ移植作→本作『レイジレーサー』=外伝→次回作『R4』=本編に戻り4作目」みたいな見方もあるなど、ファンの間でも解釈が分かれている。

*18 曲を手掛けたうちの1人である大久保博氏は現在バンダイナムコグル-プの傘下であるバンダイナムコ研究所に所属している

*19 PCMで収録されてるのはオプション画面等3曲だったので、そのために予算組んでサントラ出す必要があるのか疑問だった、という事。