Law of the West 西部の掟

【ろう おぶ ざ うぇすと せいぶのおきて】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 1Mbit+64kRAMROMカートリッジ
発売元 ポニーキャニオン
開発元 トーセ
発売日 1987年3月6日
定価 5,500円(税別)
判定 バカゲー
ポイント 全11話のショートADV
俺が掟
世間話しつつガンシューティング


概要

海外で発売された同名タイトルのFC移植版。
プレイヤーはアメリカ西部の町のシェリフ(保安官)となり、11人の住民と会話をしながら犯罪者の情報を聞き出しつつ、西部の治安を守るのが目的となる。

「おまえが このケチくさい まちのシェリフか?」

  • 仕事を始めると、一人の男がやって来て上記のセリフを話しかけてくる。そこで、
    「ああ ここは とても いいまちだぜ。」
    「ああ なにか オレで やくにたつことが あるか?」
    「それが どうした チンピラやろう?」
    「よお ぼうや! うまの のりかたくらい しってるのか?」
    
  • の中から好きな返答を選んで会話を返す。真面目な返答から明らかにケンカを売った返答などが用意されており、選んだ返答に対して相手の返答も変わる、住民との「会話シミュレーション」と呼べるゲームである。
    • 一人につき、4択の会話を3回終えるとステージ終了となる。
  • 話しかけてくる住民は、「よっぱらいのドクター」「学校の先生」「近所の子供」等様々だが、犯罪の情報を持っている事があり、良い会話をする事で聞き出す事が出来る。
  • 犯罪者も黙っているわけでもなく、会話中に殺し屋が住民の背後に出現するので、瞬時に上を押して銃を構え、カーソルを合わせて殺し屋を撃つ。
    • モタモタしていると住民が撃ち殺されてしまい、ステージ終了となる。老若男女容赦無しである。
    • 殺し屋を撃つとボーナス、この他にもステージのどこかに隠れている$マークも撃つと出現し、取る事ができる。住民を撃ってしまうと即終了。
    • 銀行のあるステージでは銀行強盗が逃げ出す事があり、これも撃つと高得点になる。
    • 住民がやってくる際に銃を出していると、「銃をしまってくれよ!」と怒られてしまう。当然だが。
  • 西部の住民は(シェリフ含めて)沸点が低いので、会話の内容次第ではキレて発砲してくることがある。
    2回撃たれてしまうとゲームオーバーになってしまうため*1、不穏な会話になってしまったら…やられる前に殺るしかない。
    • 住民は一癖も二癖もあるので、あまりに下出に出てもダメ。「平和的に」かつ「舐められず」を心がけて会話を成立させる事。時にはハッタリをかます事も必要。大抵の場合撃たれるが
  • ステージには時間制限があり、0になってしまうと唐突に爆弾が降ってきて住民死亡。
  • ステージが終了すると、スコアの加算が行われる。会話の途中で住民が殺されてしまっても、それまで行った会話の回数に応じてスコアが取得できる。
    • ただし、自分が撃ち殺した場合は0点
    • 住民にはスペシャルボーナス会話が存在し、特定の選択肢を選ぶ事でステージ終了時に高得点が得られる。
    • スコア画面での曲は、殺伐とした内容に見合わないほど妙に軽快で明るい。「だっけど だけどだけどだけどだけどだけど エビがすき(妙に軽快な音楽)」と歌われることが多い。
  • 平和的な会話をしつつ、殺し屋や銀行強盗を排除し、ハイスコアを目指すのが良いシェリフだが、実質スコアはハイスコアの更新以外の意味は無い。スコアなどいらないシェリフとなると途端に西部の町は阿鼻叫喚の地獄絵図になる。
    • 住民をかたっぱしから撃つ。上機嫌にしておきながら帰り際を撃つ、わざと挑発して決闘に持ち込む等のダークサイドプレイは一度は通るもの。
    • 住民はいつでも射殺可能なので、スコアとは関係のない面白いプレイを探すプレイスタイルもある。
      • そもそものゲームデザインが「撃たれて残機を減らされるぐらいならば殺ってしまった方がペナルティが少ない」という鬼畜仕様となっているので住民を撃つ事をためらってはならない
    • 完全なタイムアタックでは、喋らせもせず出てきたら即射殺が基本。
      • 効果音「タッタカタッタカタッタカターン」*2で3秒もかからずステージが終わり、その度にやたら明るいBGMが流れるのはなかなか笑える。
      • 攻略法がわかった住民に関してはページスキップの如く即射殺し、目的のステージまで進めるなんてことも…

評価点

  • 会話が面白い
    • キモとなる会話が非常にウィットに富んでおり面白い。主人公のシェリフは唐突にキレたり、ヘタれたり、妙なウソをつくなど、突拍子もない返答で腹筋を崩壊させてくる。
      殺し屋「おまえが ここの シェリフだな?」
      シェリフ「おまえのもっている ピストルは ちょっと すごそうだな。」
      殺し屋「ああ オレだって ちょっと したもんだぜ。」
      シェリフ「おまえは つよそうだな。」
      殺し屋「どれほど つよいか すぐに わかるさ。」
      シェリフ「なぐりあいたいのか?」
      殺し屋「いや うちあいたいんだ。 ぬけ!」(発射音)
      
    • ふざけた返答も多いが、一応、マジメにすると、ちゃんとキャラの背景や世界観が飲み込めるようになっているのも見事。主人公のロクでもない話ばかりだが
    • 住民もシェリフに負けず劣らずのクセモノ揃い、「ああ セニョール こうさんだ。」と言いながら発砲して去っていくヤツもいる。
    • 主人公は「人殺しを厭わない評判の悪いシェリフ」のようで大半の住民から煙たがれている。ダークサイドプレイもこのシェリフなら違和感がない
  • アイデアが斬新
    • 1プレイは数分で終わるほどの短さだが、その中でも住民との会話や、隠しシンボル探し、殺し屋からの護衛とプレイの密度は濃い。
      • ゆったりと会話をしている中で突然、住民や殺し屋の襲撃で反射神経を求められるため、気が抜けない。
      • 選択肢の数も多いので1プレイの短さは短所にはならず、短い時間で次々と試せるので非常にテンポが良い。
      • 何よりも都合が悪くなると会話相手を撃ち殺す会話シミュレーションは中々ない。
    • カーソルが下の方にある時は会話の選択、上の方にある時は銃撃のアクション、とUIが直感的でわかりやすい。何も見なくとも、少し触るだけでルールを理解できる。

問題点

  • アドリブ性が少ない
    • 選択肢の答えは一度わかってしまうとそれまでなので、ハイスコアを目指すとせっかくの会話もワンパターンになってしまい、ボリューム不足を感じる。
      • 殺し屋や銀行強盗のタイミングも毎回同じなのでスリルが薄れてしまう。
  • エンディングがない
    • たった11話しかないが、これといってグッドエンド、バッドエンドと言った要素はなく、スコアを稼ぐ以外の目的がないので、ひと通り遊んで飽きが来てしまったら中々もう一度遊ぼうという気になれない。
  • スペシャルボーナスがわかりづらい
    • 最終的に同じようなセリフを喋るのに選択肢によってはスペシャルボーナスが入らないので基準がわかりづらい。
      • 相手から情報を聞き出す、喜ばせる、というよりも何の脈絡もない会話にボーナスが付いていることが多いため、「なんだか選んでいたらいつの間にか入った」という表現がしっくりくる。
  • 誤字が多い
    • 「そのとり」「じゃ」「きつけろ」「ちっと」といった誤字が至る所にある。

総評

ゲーム自体は異様に短く、一度や二度遊んだだけでは全貌が飲み込めずに淡白な印象を受ける。
また、全体的に乱暴な表現も多いので、その辺りを嫌う人もいる。
しかし、色々とぶっ飛んだ選択肢は『ロマンシング サ・ガ』などのRPGで黒い選択肢を選ぶのが好きな人には向いている。

余談

  • 本作はスコアにランダム要素がなく、最大スコア(満点)は100万点である。

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最終更新:2021年01月28日 22:43

*1 ドクターとの会話次第では猶予が増える。

*2 「タッタカ……」は背景の馬車の効果音。「ターン」が銃声。