決戦

【けっせん】

ジャンル リアルタイムシミュレーション

対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 コーエー
発売日 2000年3月4日
定価 6,800円(税別)
セット 決戦&決戦II スーパーバリューセット
2001年03月29日/12800円(税別)
廉価版 コーエー定番シリーズ
2004年10月14日/1,680円(税別)
レーティング CERO:全年齢対象*1
判定 なし
ポイント 歴史愛溢れるストーリー
高い自由度と高品質のグラフィック
女体化した真田十勇士
内容は非常に薄い
攻略本が説明書がわり
コーエー歴史SLG作品


概要

コーエー製PS2ローンチタイトルであり、豊臣秀吉死後に起こった関ヶ原の戦いから大坂夏の陣までを描いた戦術級のシミュレーション。
コンセプトは「ゲームと映画の融合による、新しいエンタテインメントの実現」となっている。
プレイヤーは東軍もしくは西軍の大将となり、部隊の布陣や策略の設定、そして合戦中の行動を指揮して勝利を目指す。

ローンチタイトルであるがグラフィックは当時としてはかなり高水準であり、PS2のグラフィック性能に対する実験的作品でもある。
制作の陣頭指揮を執ったのはコーエー(旧:光栄)の創業者で『信長の野望』の生みの親でもある襟川陽一氏。襟川氏はこの頃既にコーエーの社長として経営に専念しておりゲーム開発の現場からは離れていたのだが、本作開発を機に社長を辞任(会長に就任)しゲーム開発現場に復帰している*2
シナリオや音楽、時代考証にはNHK大河ドラマにかかわっている人物を採用しており、ゲーム版大河ドラマと言える作品。


特徴

  • ゲームの流れとしては「シナリオオープニングで情勢の紹介 → 政略 →(ムービー)→ 軍議 →(ムービー)→ 合戦 → 次のシナリオ」となる。
    • 合戦には小合戦と大合戦があり、小合戦は政略・軍議がなくいきなり戦闘になる。基本的にはこの2つを交互に行うことになる。
    • 政略では敵の陣容が紹介されたのちに、出陣させる武将とその陣立て、敵軍に対する調略*3の設定を行う。
      • 出陣させる武将は、その合戦でキーパーソンになる人間は外すことができない。また「大坂夏の陣」の西軍のように予備武将が一切いないケースもある。それぞれの武将が率いる兵科や陣形についてはかなり自由にいじることができるが、さすがに率いる兵数を動かすことはできない*4
      • 調略は、合戦中に自軍に寝返らせる「寝返り」と、合戦中に戦わないようにさせる「不戦」の2つ。
    • 軍議では敵軍の布陣が紹介されたのち部隊配置を行う。この際どこに配置するか、合戦開始後どのように進撃するかまで設定できる。
    • 合戦が始ったらプレイヤーは各部隊に指示をだして戦闘を勝利に導く。
  • 兵科は全部で10種。足軽・槍足軽・騎馬・槍騎馬・弓・鉄砲男女・騎馬鉄砲男女・くのいち隊である。
    • 足軽と騎馬について、刀(無印)は防御重視、槍は攻撃重視となっている。足軽は遠距離攻撃には強いが接近戦にはややもろい。騎馬は接近戦に優れ移動力も高いが、鉄砲攻撃など特殊戦術全般に弱い。弓・鉄砲は配備するとそれに対応する特殊戦術が使えるようになるが接近戦では共に最弱。
      • 弓・鉄砲・馬については予備数が設定されており、その数を上回るような陣立ては出来ない*5
    • くのいち隊は最強の兵科。ただし使えるのはゲーム後半で、徳川家康と真田幸村限定。
      • その性能は、歩兵と騎兵の中間の移動力を持ちながら、攻撃力・防御力も騎馬以上で槍や鉄砲にも強いという完全にぶっ飛んだもの。おまけに専用の特殊戦術「くのいち」は数千の大部隊をも一瞬で蒸発させるという、壊れレベルの超強力な戦術である。
  • 陣形は特殊戦術の回数や、防御力、攻撃力に影響する。
    • たとえば方円だと遠距離攻撃に非常に強くなり、騎馬で鉄砲攻撃を食らったとしてもほとんどダメージが入らなくなる。もっとも、合戦進行中は陣形の指示はできずCPUが勝手に組み変えてしまうので特殊戦術の増加以外はあまり気にする意味はない。
  • 部隊は最大1千人の小隊が複数集まる形で構成されている。最大で1000×10で1万人の陣立てになる。
    • 兵科は小隊ごとに決める形となる。騎馬と歩兵の混成部隊も可能だが、移動力は歩兵に合わせる形になる上、使えなくなる特殊戦術が多いためあまり実用的ではない。
    • 合戦での戦闘では、部隊全部が一斉にぶつかるのではなく小隊を繰り出す形で戦闘が行われる。合戦中はAIが適宜戦闘部隊を入れ替えたり、部隊を追加で繰り出したりする。なお、一部隊対一部隊の戦いの場合繰り出せる小隊は最大で3つまで。包囲した(された)場合も同様で、全ての小隊が戦闘中の場合それ以上は戦闘を開始できない。
      • このルールがあるため、少数部隊であっても武勇に優れた人物が率いている場合には大兵力の凡将を打ち破ることも可能。ただし小隊数が3つ以下になると陣形が自動的に最弱の「丸備」に固定されてしまう上、少数部隊は特殊戦術を食らった場合の被害が大きく、下手をすると一撃で壊滅するため限界はある。
  • 合戦中には進軍の指示や特殊戦術を指示することが出来る。
    • 合戦中は武将が自身の判断で特殊戦術を使ったり、敵への進軍を願い出たりしてくることもある。
    • 会敵した場合戦闘にはいり、上述の通り部隊を繰り出して戦闘を行う。敵を包囲すると戦意*6が上昇する。逆に包囲された場合は敵の戦意が上昇するほか、士気の減少速度が早いため大兵力の部隊であっても時間がたつほど不利になっていく。
    • 命令が不服なものである場合、戦意が下がったり、場合によっては拒否して聞いてくれない(その際にも戦意は下がる)。相手と通じている武将に進軍を指示したりすると起こる他、立場が微妙な武将の戦意が低い時に無理やり戦闘させようとしたり、猪武者に撤退を命じたりしても起こる。
      • 従順な武将であっても、敵総大将への追撃*7を禁止したり等あまりに理不尽な命令には不服がでる。
    • 特殊戦術はいわば技のようなもので、合戦中に使用できる回数が武将ごとに決まっている。また強力な戦術ほど多くの戦意を使う。使用する場合にはその特殊戦術に、兵科、陣立て、部隊の状態が合っていなければならない。
  • 合戦の勝敗によってその後が決まるが、小合戦では武将が戦死したり離脱したりするのみでルートには影響しない。大合戦は勝敗によってルートがきまる。
    • 大合戦に敗北してもちゃんと敗北したルートがある。ただし最終決戦で敗北した場合はゲームオーバー(敗北エンディング)となる。
  • 東西両方でプレイすることが出来、大将は東軍では徳川家康で固定。西軍は最初は石田三成だがシナリオ進行によっては黒田如水、真田幸村が総大将になる。
    • 西軍は最初は選べず、東軍クリア後に選択できるようになる。双方とも難易度も最初は設定できず、西軍クリア後から選択できるようになる(5段階)。シナリオの難易度は西軍のほうが若干高め。
    • 東軍はデザイン的にも史実に近いモデリングがなされている。武将の能力は平均的に粒ぞろいで部隊の兵力も多め。接近戦向きの人が多い。
    • 西軍はかなり大胆なアレンジがなされている。武力は突出しているが兵力が極端に少なかったり、大砲を持っているが武力が今一つだったり反抗的だったりと、癖のある武将が多い。兵数は東軍に比べて全体的に少ない。

評価点

シナリオ周りの評価点

  • シナリオは秀逸。史実の雰囲気を残しながら、それを見事にアレンジしている。
    • 東西両軍の人物描写も優れており、特に大合戦前のムービーは「決戦」前の雰囲気をよく出している。
    • 歴史ファンをニヤリとさせる描写にあふれている。黒田如水が西軍の大将になる等史実と大きく異なる部分はあるのだが、多くの要素において「不愉快にならない」アレンジとなっている。以下にいくつか挙げる。
+ ネタバレ
  • 関ヶ原で西軍が敗北後、黒田如水が九州軍を率いて上洛。西軍の総大将として播磨にて決戦を挑む。
    • 関ヶ原~夏の陣へ至る東軍勝利ルート(=史実通りのルート)では数少ない架空の戦闘である。
    • 黒田如水は関ヶ原の戦いの際に九州にあったが、徳川家康と石田三成との対立が本格化するや怒涛の勢いで九州を平らげていった。これを「九州を統一した後、戦いで疲弊した東西の勝者を倒し、天下を獲る」ためにやったという説は歴史ファンには有名であり、思わずニヤリとさせられるシナリオである。直近では2014年の大河ドラマ『軍師官兵衛』でも同様の描かれ方をしている。
      • さらにこのシナリオでは、如水の意を量りかね困惑する中で父と対峙する黒田長政、三成憎しの一心で徳川についたものの豊臣がないがしろにされる状況を悩む福島正則、といった面々も描かれている。
      • ちなみに如水は関ヶ原の西軍勝利ルートにおける「富士の合戦」では、東軍と西軍双方に対して恩賞として「九州6カ国+2カ国」を賜るなら味方をすると打診するが双方から断られている。ただ、ムービーでは打診を拒絶しているものの東軍側では自由枠で出陣させることが出来る。九州軍は兵力こそ大きいもののほとんど言うことを聞かずあまり役に立たないが、如水は息子長政への従軍命令(配下の武将は如水への従軍命令)にだけは素直。西軍でプレイした場合は敵として出てくるが寝返らせることが可能。
  • 大坂夏の陣では東軍武将として伊達政宗(とその家臣である片倉小十郎)が登場する。「イスパニアと組んで天下取りに乗り出すか」などという危険なことを言っているが実際に西軍に寝返ることがある。
    • 政宗がイスパニアと積極的に通じて天下取りを狙っていたという説も歴史ファンでは有名であり、やはりニヤリとさせられる。史実でも伊達政宗は大坂夏の陣に徳川方として参加、後藤又兵衛を自刃に追い込んでいる。
      • ただし前述の如水ほどには反抗的ではなく、東軍でプレイしていても割と普通に戦ってくれる。西軍側では寝返りを仕掛けていれば動きこそしないものの、もともと不利な情勢をひっくり返して圧倒的に優勢な状況にまで持ち込まないと寝返ってはくれない。
      • 配下の片倉小十郎は家康を主君と見なしていないからかやたらと反抗的で、ほぼ全ての命令を不服がる*8。また政宗も西軍に寝返り後は一転、総大将である幸村を自身より格下と見なしているからか、こちらも命令不服が非常に多くなる。
      • 上記のように今ひとつ腹の底が読めない伊達軍であるが、戦力としては後半に登場するだけあり一線級。政宗率いる騎馬鉄砲隊は大兵力かつ精強で、接近戦になる前に敵の騎馬隊を特殊戦術であっという間に壊滅させてしまう。ムービー内での政宗のセリフ「騎馬鉄砲隊がどちらに味方いたすかで、勝敗は決まるな」は、決して伊達ではない。
  • 江戸冬の陣と一部関ケ原決戦の西軍の自由出撃枠に「天下御免の傾奇者」こと前田慶次が登場する。寡兵ながら戦闘力は東西両軍の中でも最高値の「100」を誇る、当に西軍の切り札とも呼べる存在。秀忠のような大軍でも戦闘力の低い部隊であれば単独で壊滅させてしまうほどに強い。
    • 特殊戦術の騎馬突撃を初期状態で11回も使えるなど継戦力にも優れるが、直接戦闘以外の指令はやはり彼の美学に反するのか不服がる。
      • ムービーで出番があるわけではないが、伝説を意識した奇抜な兜や戦闘開始時や一騎打ち時の台詞回しなど、専用の演出がいくつか用意されており、単なるモブ武将の範疇を超えた存在感を放っている。
  • このほか、「父親に事あるごとに情けないと呆れられる秀忠」「上杉景勝と石田三成の友情」など、見どころは満載。
    • なお、島左近など何人かの武将は、司馬遼太郎や大河ドラマのキャラデザインをそのまま流用している節がある*9

ゲームデザインの評価点

  • 前述したように合戦における自由度は高い。デフォルトでは兵種が合わないため使えない特殊戦術も多い。
    • デフォルト以外の特殊戦術や兵種にもちゃんとセリフやグラフィックが用意されており、手抜き感は全くない。
    • ただし、その自由度を生かす機会がほとんど無い。問題点で後述する。
  • 戦術パートも良質。「自分が指揮している」感をよく出している。総大将以外の武将はそれぞれの考えで行動することもあるが、「NPCが好き勝手動き過ぎて面白くない」というような不快感はほぼない。
    • 一応「敵総大将が特殊戦術で一気に壊滅」というような合戦が一瞬で決まってしまうような状況は排除されている*10。高難易度では総大将部隊が何度も敗走して倒しにくい等あきらかにシステム的な補助が感じられる場面はあるものの、シムとして不快になるほどのものでもなく、全体としては丁寧に調整が入っている。
      • ただしそれでも難易度はかなり低い。
  • 音楽も優れている。合戦の雰囲気をよく出しているし、西軍の大坂夏の陣などはその悲壮さが良く伝わってくる。
  • 声優は当時一流の声優をこれでもかというほど使った豪華なもの。当然演技も良い。
    • たださすがにキャラ1人に声優1人とまではいかなかったので準主要キャラであっても声が被っているケースは結構ある。モブキャラについては言わずもがな。
      • 家康(玄田哲章氏)や三成(森功至氏)など主要キャラは被っていない。準主要キャラレベルでも島津義弘は郷里大輔氏の専任であったり、全体としてはかなり贅沢に使っている。
    • 東西両軍の準主要キャラで宿敵同士でもある伊達政宗と上杉景勝は声も(置鮎龍太郎氏)、ゲーム内での登場時期も被っており、また軍議でのセリフも同じ(「見事な作戦にござります」)ときているが、氏の巧みな演技力によって、両名の個性は見事に演じ分けられている。
  • グラフィックはローンチタイトルであることを抜きにしても秀逸。キャラの動きも良い。PS2後期の作品であってもこれより劣っているケースはざらにあり、気合いが入っている。キャラもしっかり動いてくれる。
    • ド派手な立物にはさすがに当たり判定はついておらず、槍が貫通する。
  • キャラデザインもなかなか優れており、史実をもとに大幅な改造を施している。
    • キャラのかき分けもかなり細かく、個々を丁寧に作っている。武将のみならず彼らが率いる兵も細かく書き分けられている。
    • 東軍の武将ついては史実をもとにアレンジをしているケースが多い。黒田長政の「銀箔押一の谷形兜」や福島正則の「黒漆塗桃形大水牛脇立兜」なども元のデザインを保ちつつも良くアレンジしている*11
      • 歴史を知らない人にはあまりにぶっ飛んだデザインであるように思えるが、実際に桃山時代の本物の変わり兜はかなりすごいデザインをしている物が多い。加藤清正の「長烏帽子兜」に至っては実物の方がゲームより大きい。
      • ただし主要キャラのなかでも徳川家康、秀忠親子については西軍同様かなり史実とかけ離れたデザインとなっている。また藤堂高虎のようにネタキャラとしてデザインされているケースもあるにはある。
    • 西軍については、史実とはかなりかけ離れたデザインのものも多い。
      • 敗者であるため鎧自体が残っていないケースも多いのだが、史料として残っている人物に関しても全く別物であるケースが多い。
      • 「コテコテの関西弁をしゃべる小西行長」「マンモスのような牙が付いた木村重成」「頭は太陽の塔のモビルスーツ*12石田三成」「明石ダンス*13」といったあまりにぶっ飛んだキャラデザインや演出は賛否がわかれるものではある。下記の参考動画も参照のこと。
    • さすがにモブ同然のキャラにまで凝ったデザインをする余裕はなかったのか、直江兼継*14の愛兜や加藤嘉明の銀箔押富士山形張懸兜*15は再現されていない。

賛否両論点

  • 前述したようにキャラデザインや演出、特に西軍のものについては、意見が分かれた。
    • 前述したように実物にかなり沿ったデザインのものも多いし、桃山時代の実物自体が本当にぶっ飛んだデザインだらけなのだが、ネット環境も今ほど整っておらず戦国時代の鎧と言えば「黒一色」という印象も強く*16、さらに歴史ゲームと言えば『信長の野望』を筆頭にやはり硬派なゲームが主流だった当時、「こんなデザインはありえない」という批判を受けた。
  • 猿飛佐助・霧隠才蔵・穴山小助が女性化されたうえ、胸の谷間が強調されたセクシーなデザインとなっていることについても批判が大きかった。
    • 一部どころか全員を女性にしているようなゲームさえある現在では考えられないことだが、「戦国武将を女性化する」という行為は当時としてはかなり異例なものであった。3人とも架空の人物であるとはいえ大きな冒険であったことは間違いない。
      • 例を挙げると『戦国ランス』(2006年)や『恋姫†無双』(2007年)(ともにアダルトゲーム)はかなり後の作品である。歴史モノの漫画にまで広げても1999年ごろの『三国志艶義』がほとんど唯一の先例で、2000年初頭連載開始の『一騎当千』についてはほぼ同時期。これらの中で戦国物は『戦国ランス』のみで、他はいずれも三国志がモデルである。
      • ちなみに、本作のほぼ3年後に発売された同社『信長の野望 蒼天録 パワーアップキット』(2003年)では、全員を姫武将にできるモードがあるが、あくまでPK版のみの一発ネタであり、前述した作品や今作のように「作品として武将を女性化」しているとは言い難い。
    • 女鉄砲隊のように女性が兵士として戦国の実戦に参加するというのも当時としてはかなり異例であり、やはり賛否が分かれた。
      • もっとも、女性が鉄砲隊として参戦していたという史料は複数存在していたりするので必ずしも荒唐無稽な話というわけでもない*17
+ 本作の猿飛佐助と霧隠才蔵

問題点

  • とにかくボリュームが薄い。
    • エンディングまでがかなり短く、大合戦3つか4つ、小合戦3つか2つでエンディングになる。ステージ自体も総数は13(大合戦が8、小合戦が5)しかない。しかも大合戦のうち3つは「関ヶ原決戦」という形の最終決戦である。
      • 「播磨決戦」(東軍の関ヶ原勝利ルート)と「富士の合戦」(西軍の関ヶ原勝利ルート)でそれぞれ関ヶ原で勝った側が負けると即「関ヶ原決戦」に行ってしまうのだが、行動で参加武将や戦力は若干変わるがどちらのルートでも同じステージである。
      • 「関ヶ原決戦」のマップは最初の大合戦「関ヶ原の戦い」と同一である。つまり大合戦の内半数は戦力差や参加武将は異なるものの同じ関ヶ原マップで行われる。
  • 多数の武将について、シナリオ上やムービー上の扱いに不自然さが見られる。
    • 一例として、「大坂夏の陣やその後の関ヶ原決戦における、大野兄弟*18さえいない空席だらけの軍議」がある。西軍が勝った場合に進む「関ヶ原決戦」ではさらに過去に西軍に所属していた大名もこぞって参戦してくれるため、余計に不自然さが目立つ形になってしまう。
      • これらは、軍議パートや政略パートはフラグ管理等で登場武将を制御しているのではなく、あくまで一枚絵的なつくりになっているということに起因していると思われる。つまり「フリー枠の武将」や「それ以前の合戦で離脱している可能性のある武将」等、「その場にいない可能性がわずかでもある」武将は登場させられなかったためであろうと推測される。
      • ムービーでも同様で、それまで主軸として活躍していた人物が突然いなくなったりする。そのため「主君である宇喜多秀家が存命にもかかわらず、幸村の参謀のようになっている明石全登」等不自然な場面も出てきてしまっている*19。これは宇喜多秀家が江戸冬の陣手前の小合戦「箱根死守戦」で戦死する可能性があるためで*20、当然宇喜多は「江戸冬の陣」も含めその後のムービーでは一切登場しない。この手の「不自然さ」は後半になるほど増えて行く傾向にある。
  • 黒田如水の扱いは前述したようにニヤリとさせるものではあるのだが、黒田如水が総大将のままエンディングを迎えることはない。つまり如水が総大将を務めるのは「播磨決戦」ただ一つである。「富士の合戦」では第三勢力的に参加してくるが、だからと言って次の戦い(江戸冬の陣or関ヶ原決戦)に絡んでくるわけでもなく*21、「スポット参戦」というのがしっくりくるような状態である*22
  • 武将は64人と数は多いのだが、ステージ数が少ないにもかかわらず一貫して参戦する武将はほとんどいない*23。武将の育成システムといったものは全くないと言ってよい。
    • シナリオ上も時間に開きのある播磨決戦~大阪の陣はともかく、それ以外のルートでも東西問わず主要キャラモブキャラ問わずぼこぼこいなくなる。前述の細川忠興についてもいつのまにか離脱しており、アナウンス等全くない*24
    • 合戦終了時生き残っていた部隊には特殊戦術回数の増加があるのだが、増えたところで後後離脱してしまう武将も多い*25
    • 特に大坂の陣は、関ヶ原から15年経過していることもあって東軍の徳川四天王は全員代替わりしており、西軍も多くは新登場の武将である。東北勢も史実通り進めた場合は伊達勢が夏の陣に出てくるのみで、上杉や最上は夏の陣にも出てこない。加賀100万石の前田家は、前田利長が登場しない都合もあってか夏の陣で利常がモブ武将として出てくるだけである。
      • このほか「出てくるのは2マップだけでしかも援軍のみの結城秀康」「条件を満たすと夏の陣で援軍として出て来てくれるが関ヶ原決戦には参加しない豊臣秀頼」などもったいない使い方をされた武将は結構多い。
      • 一応の続編である決戦2はかなり毛色が違う作品ではあるが、史実よりもゲーム性を重視し、戦死や永久離脱は基本無い方向にシフトしている。史実では早々に死亡する人物も多くは存命のままゲームが進行する形となった。
  • 自由度は高いのだが、その自由度を生かす機会があまりない。
  • いざ自分で動かそうにも「初期設定のままが最適」ということも結構多く、変に動かすと弱体化しかねない。兵科や出陣武将についてはこの傾向が強い*26。好みで如何様にもできる自由度が売りのゲームであるが、「自分でいじった方が間違いなく強くなる」と言えるケースは先述のくのいち隊くらいである。
    • 無論、本多正信や安国寺恵瓊のように戦闘力も兵力も低い武将や「富士の合戦」東軍の黒田如水のように命令に従わない武将を控えに回したり、兵科を統一して特殊戦術を強化させたりする*27など、適切な変更を施せば自軍の強化につながる。
    • 布陣についてはある程度動かす価値はある。関ヶ原の戦いの西軍を例に挙げると、どう頑張っても動かない毛利勢や小早川秀秋*28を敵の進軍ルート上に放り込むことで、無理やり戦わせることが出来る。もっともそうなると史実の雰囲気はかなり壊れてしまう。
    • いずれにしてもステージの少なさがこの問題に拍車をかけている。ただ、最高難易度となるとある程度自分で最適化しないと厳しくはなる。最大の問題は「最適化するための基礎知識」がゲーム内にも説明書にも全く載って無いということである(後述)。
  • 難易度はヌルゲーレベルで低い。特に大合戦の難易度が低い。
    • 低難易度(1周目はこれで固定)では大合戦は出陣部隊、兵科、布陣などは何も考える必要はなく、合戦が始まったら特殊戦術を適当に使っていくだけで勝手に勝てる。小合戦もよっぽどおかしなミスをしない限り普通に勝利できるというレベル。むしろ負ける方が難しい*29
      • 東軍よりも一応難しいとされる西軍も似たようなものだが、こちらは「全く頭を使わなかったら運が悪いと負けるかも」レベルではある。
      • 最高難易度にすればそれなりの歯ごたえはある。特に小合戦の1つ「瀬田攻防戦」の東軍はかなり難易度が高い*30。ただし大合戦はCPUの癖を把握して、陣立てをある程度工夫し、悪手を打たないようにすれば楽に圧勝できるレベルであり、やはりヌルい。
  • マスクデータが非常に多く、また各種仕様についての説明が著しく不足している。
    • 武将のデータは細かく内部数値が決まっているものの、ゲーム内で確認できるのは四角形のレーダーチャートのみでかなり大雑把にしかわからない。一応高い数値(80以上)は赤字になっているものの「90」と「95」の見分けは全くつかない状態である*31。小さい数字の場合も同様。
  • 兵科の差も攻略本無しには全くわからない。「足軽は近接に弱く、騎馬は遠距離に弱い」程度の説明しかない。ゲーム内ヘルプも説明書も同様。くのいち隊の説明も当然ない。
    • 足軽、騎馬についてデフォルトでは全て槍足軽、槍騎馬であり、刀は敵も含めて一切出てこない。そのため刀足軽、刀騎馬を最後まで使わなかった人も相当数いると思われる。特に刀足軽は足軽にとって貴重な攻撃戦術である「槍衾」を使えない点でも使う価値が薄い。
      • くのいち隊については中盤で真田幸村が率いてくるため使う機会が無いということはないのだが、家康隊については自分で編成し直す必要がある*32。大坂の陣や関ヶ原決戦の幸村も同様で、くのいち隊の強さを知っているのと知らないのとではかなりの差になってしまう。
    • 同社のゲームでシリーズとしても発売日としても近い『信長の野望 烈風伝』では足軽は刀、槍、弓と換装できたのだが、刀が攻撃重視、槍が防御重視となっており、本作とは逆。この点でもわかりにくい。また、『信長の野望』シリーズでは騎馬鉄砲は「騎馬の近接能力+鉄砲の遠距離攻撃」という位置づけだが、本作ではゲームバランス上仕方がないとはいえ近接能力は足軽程度となっており、この点でもやはりずれがある。
    • 陣形についてもやはり説明は十分とは言えない。もっとも上記のように合戦になれば勝手に組み替えてしまうので、あまり気にする必要は無いのが救いと思われる。
  • 特殊戦術もやはりほとんど説明されていない。こちらについては出陣武将を選択して備えをいじる際に説明が出るが、説明自体が無い兵科よりはマシというレベルでほとんど説明になっていない。特に問題なのが「騎射突撃」と「豪腕」である。
    • 「騎射突撃」はゲーム内では「移動しながら攻撃できる」という説明がされているのだが、実際には「移動状態でないと使用できない」(=戦闘状態では使用不可)が正しい。「騎馬鉄砲」との差も全く説明されていないのだが、「騎馬鉄砲」は威力は低いが予備部隊さえいれば戦闘中でも使用可能で備えの縛りが無い、「騎射突撃」は騎馬鉄砲や鉄砲攻撃より威力は高いが、騎馬で統一した上で移動中のみ使用できる、という具合になっている。敵陣に突撃する特殊戦術「騎馬突撃」と名前も似ていることもなお紛らわしい。
    • 「豪腕」に至っては「武将が陣中に斬り込んで大暴れする」とだけ。見ればわかる。
      • 実際のところ「豪腕」は「敵の戦意を30下げる」特殊戦術である(つまり相手の特殊戦術を封じるための戦術)。これを知らずに使って「戦意30も使ったのに全然敵が減らない」と嘆いた人は多いだろうと思われる*33
    • 上記2つに限らず「この特殊戦術はどの程度の攻撃力をもっているのか。どういった性質の特殊戦術なのか。」は攻略本を見ないとほとんどわからない。
  • 武将が東西どちらに近いかを表わすパラメーターがあるのだが、全く当てにならない。説明では青が多ければ東軍寄り、赤が多ければ西軍寄りとなっているのだが…。
    • 反抗的な武将はこのパラメーターやそれまでの合戦お構いなしに反抗的。寝返りについても同様で、いくら西軍に近くても「三成が嫌いだから」という理由で絶対に寝返ってくれないキャラも多い。つまり寝返るかどうかや反抗的かどうかは最初から決まっている。このほか「大坂夏の陣の難易度1でのみ寝返る前田利常」「播磨決戦ではフリーモードでのみ西軍に寝返る藤堂高虎*34」や、「(バーは真っ赤なのに)関ヶ原で全く動いてくれない島津義弘*35」といった例もあり、このパラメーターに意味があるのかは甚だ疑問である。
      • 攻略本どおりならば合戦勝利でこちらの陣営に近くなると寝返りが効きやすくなるようなのだが実感できない。高難易度ではかなり優勢程度では寝返ってくれず、低難易度ではある程度の差になればあっさり寝返ってくれる。
      • ゲーム内ヘルプで「合戦に出さないと寝返りやすくなる」というようなことを書いてあるが、別にそんなことはない。反抗的な武将は出そうが出すまいが反抗的である(それ以前にいつの間にかいなくなっている武将の方がかなり多い)。
    • 東軍有利ルートでの塙団右衛門*36は播磨決戦から西軍に鞍替えしてしまうが、低難易度であれば当合戦中に「東軍」へ寝返らすことが可能である。しかし小合戦の登場武将とその陣営は寝返り状況の影響を受けないため、そこで寝返らせても彼は次の瀬田攻防戦には「西軍」として登場し、寝返り状況の反映される次の大合戦には「東軍」として登場するという、どのツラ下げて参陣しているのかよく分からなくなるような状況になることがある。
  • 調略の寝返りと不戦についても練り込み不足。
    • 不戦は「成功するとその部隊が一切動かなくなる」のだが、自軍が圧倒的有利になるまでは普通に戦ってくるため、成功する前に他の敵もろとも壊滅してしまう。
      • そのため難易度にかかわらず成功することはまずない。関ヶ原の吉川や毛利については成功するのだが、実は彼らは調略を仕掛けようが仕掛けまいが動かないのである。
    • 寝返りを仕掛けた場合、西軍プレイ時なら最終的に寝返る可能性が無い武将であっても確実に合戦開始時から不戦状態になる*37。こちらは非常に強力で、とりあえず仕掛けておけばその部隊を無力化できてしまう。驚くべきことに関ヶ原の福島正則のように「三成を叩き殺す」と息巻いている武将でさえ動かなくなる。

総評

モーションキャプチャーを活用することによって実現した優れたモデリングに加え、当時としてはトップクラスのグラフィックを誇り「ゲームと映画の融合による、新しいエンタテインメントの実現」というコンセプトは一応果たされたと言える。
同年8月に発売された『真・三國無双』とあわせて「ある程度史実をもとにしながらド派手にぶっ飛んだデザイン」という路線は批判もあったもののそれなりに受け入れられたことから、これ以降のコーエー作品はこの路線に沿ったものが多く、その路線を確立したゲームの1つとしてもその意義は大きい*38

しかしながらローンチタイトルであることを抜きにしてもゲームとしての内容は薄く、難易度のあまりのヌルさも相まってせっかくの自由度の高さも生かされずじまいとなった。加えて全編マスクデータだらけであり、自由度を生かすための基礎情報さえ攻略本を買わないとほぼわからないのはさすがに問題である。
こなれていない仕様や謎仕様も多く、良くも悪くもPS2時代の「映像偏重」路線にはまってしまった感は否めないゲームではあるのだが、その映像は秀逸であり、キャラの魅力や歴史愛にあふれる演出、ストーリーに加えて、基礎知識さえあればかなり自由にいじれるという楽しさから、今でも「傑作」と呼ぶファンは多い。


余談

  • 大阪の陣ルートの小合戦「瀬田攻防戦」で西軍が勝利すると、宇喜多秀家が夏の陣にフリー枠で登場する。八丈島より泳いで参った!!!
  • PS2ローンチタイトルとして発売された本作だが、実は当初ローンチで出す予定ではなかった。
    • 元々コーエーがローンチとして出す予定だったのは『三國無双』の続編である『三國無双2』だったが、『三國無双2』は開発中に『真・三國無双』としてジャンルも含めた大幅な路線変更が行われたために発売延期が決定。代わりにローンチで出すことになったのが本作である。
    • もっとも、本作もリードプログラマーが決まらないなどといった事態に陥っており、開発が順調だったとはとても言えない状態だった。ようやくリードプログラマーが決まった時には残された開発期間はわずか半年程だったのではないかと言われている。
      • 本作の問題点として挙げられているボリュームの薄さはこの発売前倒しと開発の遅延および開発期間の短さが原因と思われる。
    • ちなみに、本作のリードプログラマーを担当したのは後に無双シリーズのクロスオーバー系作品を手掛け、さらに後にはコーエーテクモゲームスの社長にも就任した鯉沼久史氏である。
  • 2009年10月に本作が西陣からパチンコ化され『CR決戦~戦国制覇の道~』として全国のパチンコホールで稼働開始した。

続編・派生作品

  • 『決戦II』(PS2 2001年3月29日発売)
    • ナンバリング第2作。舞台は三国志となっているが、「ある程度史実を元にしながらぶっ飛んだゲームデザイン*39」という点では本作と共通している。
    • なお、シリーズで『II』のみ市川染五郎*40氏と宮川大助・花子師匠がゲスト出演している。芸能人の声優への起用はコーエー作品では異例。
  • 『決戦III』(PS2 2004年12月22日発売)
    • ナンバリング第3作。舞台は再び戦国時代だが、信長生存時代を題材にしている*41。前2作と異なりプレイする勢力は選べず、主人公は織田信長及びプレイアブル勢力も織田軍で固定。
    • 信長の生き様を描きより大河ドラマチックになったストーリーだが、初代の本作に続く訳ではなく彼が本能寺の変を生き延びて明智光秀を打倒し、最後は天下統一を成し遂げるIFストーリーとなっている。
    • さらに、フィクションでは「魔王」としての側面が強調され易くどちらかと言えば悪役にされることが多い信長だが、この『III』では「英雄」の面が強調されており「悲しみに満ちた乱世を打ち砕き、天下に泰平を齎すべく戦う」という、特にカプコン作品*42では到底考えられない正真正銘の英雄として描かれている。
      • なお、この『III』を最後に『決戦』シリーズ作品は発売されておらず、現在はシリーズが途絶えている状態である。
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最終更新:2023年11月15日 10:00

*1 廉価版で付与されたレーティングを記載。

*2 後にコーエーテクモホールディングス設立を機に社長職に復帰している。

*3 ゲーム内では政略と呼んでいるが、パート名と紛らわしいので便宜的に調略としておく。

*4 当時の軍はそれぞれの武将がそれぞれの領地から兵を集めて参戦しているので当然と言えば当然である。なお、徳川家康とその家臣団、宇喜多秀家とその家臣の明石全登というように、主君と家臣が兵を分け合っているケースはあるが、このケースでも兵数は変えることが出来ない。

*5 もっとも、出陣しない武将ともこれらは共有で、兵科を変更することで出陣しない武将の部隊から持ってくることも出来る。現実的には極端な編成をしなければ足りなくなることは序盤を除きまず無い。

*6 特殊戦術を使うのに必要なパラメーターで使用すると減少する。時間経過や敵部隊を壊滅させる・一騎打ちで勝利することでも上昇するほか、総大将のみ使用可能な特殊戦術「激励」で任意の部隊の戦意を回復させることができる。

*7 各部隊は兵数が壊滅寸前になると敗走することがある。その場合には追撃するかどうかを選択でき、追い打ちが成功すると敵部隊に打撃を与えて高確率で壊滅させられる。ただし失敗することもあるほか追い打ち後一定時間は命令が出せず、さらに疲労が激増する。

*8 似たような境遇、言動を示す武将に、福島正則の家臣である可児才蔵が居る。

*9 コーエーは結構この手法をやっており、PS3の『ブレイドストーム 百年戦争』でもウィリアム・シェークスピアの作品からキャラデザインを流用している。

*10 敵総大将が特殊戦術で壊滅することは基本的にない。

*11 2014年になって黒田如水が大河ドラマの主役になったこともあって、その息子黒田長政の兜として「黒漆塗桃形大水牛脇立兜」が紹介されることが多いが、このゲームが間違っているわけではなく、朝鮮の役の後に両者がお互いの兜を交換したためである。実際に黒田長政は関ヶ原~大坂の陣にかけて「一の谷兜」をつけて合戦に臨んだとされる。つまりこのゲームの扱いは正しい。

*12 この文句はコーエー公式サイトにそのまま載っているものであり、公式がネタにしている。実際の三成は天衝脇立乱髪形兜であったとされる。このゲームの井伊直政のような角に、信玄のような毛がついた兜である。

*13 何人かの武将は戦闘開始時に槍を披露したりするのだが、明石全登は戦闘開始時に踊る。踊り自体もぶっ飛んでいるが、隅の1人がずれていたりとプレイヤーを驚愕させた。完全にネタである。

*14 本作では上杉景勝がほとんど出てこないこともあってフリー枠で数回登場するのみである。

*15 通称:イカ兜。富士山をモデルにしているのだが見た目はそのままイカのえんぺらである。

*16 このあたりは時代劇の影響も大きい。コストの問題もあって武田信玄や上杉謙信のような「江戸時代以来の紋切り型がある人物」以外の鎧が再現されるケースは、潤沢な予算を持つ大河ドラマでさえかなり稀である。

*17 このほか、より史料や証言が正確になる近代に目を向けると、会津戦争では実際に女性兵が銃兵や薙刀兵として多数参加している。

*18 淀殿の乳母兄弟で、兄の大野治長は大阪の陣における重要人物。ゲームでも史実通り西軍として参戦してくる。実は史実の関ヶ原では東軍所属なのだが、今作では西軍の予備武将として出てくる。明らかに史実と異なっているケースはこのゲームでは珍しい。

*19 江戸冬の陣で敗戦した場合三成が戦死するのだが、その際に毛利はともかく宇喜多を差し置いて真田幸村が大将になるのも、不自然と言えば不自然ではある。

*20 「箱根死守戦」では東軍が勝利した場合には西軍の宇喜多秀家が戦死、西軍が勝利した場合は東軍の細川忠興が離脱するという具合。よって細川もこれ以降登場しない。「関ヶ原の戦い」ではムービーにも結構出ていた人物であり、こちらもやはり違和感がある。

*21 ムービーで出番があるわけではないが、配下の九州軍で加藤清正だけは、東軍劣勢ルートでのみ最後まで家康に力を貸してくれる。

*22 このあたりもやはり前述の「離脱する可能性がわずかでもある武将はムービーに出せない」ことに起因していると思われる。

*23 全ステージに参戦するのは全武将で徳川家康のみ。

*24 逆のケースとして、島津豊久は「関ヶ原の戦い」以降ずっと出てこないのだが「江戸冬の陣」ルートの「関ヶ原決戦」でのみ突如復活参戦する。

*25 さすがに回数増加した次の大合戦でいきなり出てこないということはないが…。

*26 特に西軍の場合、控え武将の中には高難易度になるとほとんど言うことを聞かない武将が混じっている。後述するように立場バーが機能していないためゲーム内で使ってみるまでわからず、地雷である。

*27 ただし、接近戦に弱くなる・使える特殊戦術が減るといったデメリットがあるため、運用方法を間違えると逆効果になりかねない。

*28 両者とも低難易度で圧倒的有利になるとある程度動いてくれる。最高難易度ではまず無理。

*29 一応、撤退してしまうことでどんな状況であろうとも無理やり負けることはできる。これを利用して相手を寝返らせながら負けていくことも可能。

*30 本来「部隊数で圧倒的不利な東軍が多数の西軍の攻撃を耐えながら援軍を待って巻き返しを図る」というシナリオなのだが、高難易度の場合味方の援軍は一向に到着しないかわりに西軍の援軍がどんどんやってくる…という状況になる。

*31 レーダーチャートの頂点がわかりにくいことも大きい。さすがに80と100くらい差があるとかろうじてわかるが。

*32 しかも、終盤になっていつの間にか使えるようになっているという具合のため、知らないとまず見逃す。

*33 一応、使用後に敵の戦意の数値が下がったことが表示されるが初見では分かりにくい。

*34 「播磨決戦」で東軍が勝利すると次の合戦は「瀬田攻防戦」になるが、これは「家康と高虎2部隊のみで援軍を待つ」というシナリオのため、もしここで西軍に寝返ってしまうとシナリオが破綻してしまう。

*35 本作のムービーでは完全に西軍側の武将として動いている島津なのだが、西軍編を高難易度でプレイした場合、関ヶ原の戦いではほとんど動いてくれなくなる(関ヶ原以外では非常に従順)。史実での島津は東軍に合流できなかった結果仕方なく西軍についたという経緯があり、関ヶ原では石田から要請があっても全く動かなかったためであるが、軍議で「この布陣でごわしたら、敵を打ち破れもそう」と言っておきながら動かないので若干違和感はある。なお、命令拒否のセリフ「馬上のまま伝令とは無礼!帰れ!」もちゃんと伝説由来。以下やや余談ではあるが、史実における関ヶ原の際の島津の兵力は「1000から1500程度」という説と「3000程度でしかも東軍と交戦した」との2説がある。このゲームの関ヶ原では固定枠の島津義弘が1500を率いており、自由参加枠の島津豊久が1000を率いているという具合。そして島津豊久は高難易度でもそれなり戦ってくれる。芸が細かい。

*36 加藤嘉明配下の鉄砲大将。史実では関ケ原での命令違反を機に離反した後、大阪夏の陣に西軍として参陣し戦死している。鉄砲大将らしく遠距離戦が得意で戦闘力もなかなか高いが、史実を反映する形で立場パラメータはどっちつかずで、知謀もかなり低い。

*37 東軍は中盤以降は不戦状態にすらならない場合が多い。

*38 なお、デザイン的な系譜で言えば1997年『三国無双』ですでにその傾向があったのだが、PSであるにしてもグラフィックはしょぼく地味であったうえ、ゲームとして全く注目されずに終わったことから、これをもってこの路線が確立されたとは言い難い。

*39 開戦前にダンスしたり、登場人物が女性化していたり、変な性格だったり等。

*40 2018年に10代目の松本幸四郎を襲名したため、現在は同氏の息子が8代目の市川染五郎を名乗っている。

*41 今作登場した武将やオリジナルキャラ、幻影で登場した信長も同キャストで登場している。

*42 『鬼武者』の場合は「幻魔と契約する以前は人間らしい一面もあった」とされているが、『戦国BASARA』に関しては正真正銘の極悪非道な暴君として描かれている。