忍たま乱太郎GB

【にんたまらんたろうじーびー】

ジャンル アクションRPG
対応機種 ゲームボーイ
発売元 カルチャーブレーン
発売日 1995年12月27日
定価 4,800円(税別)
判定 クソゲー
ポイント 何もかもが羊頭狗肉
戦闘シーンだらけの癖にそこが壊滅的にダメ
笛吹けど踊らず
BGMは流用だらけ
説明書まで間違ってる
シナリオや音楽は悪くはない
忍たま乱太郎シリーズリンク


概要

1993年から現在までNHKで放送され続けている長寿TVアニメ『忍たま乱太郎』をゲーム化した作品。
学園長から「七色の巻物」を捜すように命じられたいつもの三馬鹿だったが、馬に乗れないにもかかわらずしんべヱが馬に乗ろうとした途端に、その馬が走り出してしんべヱが馬ごとどこかへ行ってしまう。仕方なしに乱太郎ときり丸はしんべヱを探し出す冒険に出る…というストーリー。


特徴

本作は「戦闘をアクションでおこなうRPG」で、普段は2Dフィールドマップを東西南北に歩き回って探索する。
…しかし、戦闘となると一転、サイドビュー視点で奥行きのあるベルトアクションとして、乱太郎またはきり丸を操作して一度に数人もの敵と戦うことになる*1
一回ごとの戦闘はノルマ制であり、指定されたクリア人数分だけ撃破すれば画面内に敵がいても戦闘勝利となる。

なお、本作のゲームシステムは同社が発売している『スーパーチャイニーズランド2』及び『スーパーチャイニーズランド3』がベースとなっている。


問題点

  • 本作は「戦闘」に重点を置いたためそちらがプレイの3分の2程を占め、その大切なパートをベルトアクションで行うのだが、その肝心要の戦闘パートに問題が多く、プレイが苦痛になってくる。
    • まず、やたらエンカウント率が高い。ダンジョンでは3~7歩程度で即座にエンカウントするほど。
      • しかもエンカウントの際にプレイヤーは、遭遇した敵と戦うか逃げるか聞かれるが、逃げるを選択しても高確率で逃げられない。なぜ聞く。
    • 操作性も悪く、プレイヤーがまず気付くこと主人公は斜めに歩けない。
      • そのくせ、敵は平気で何人も斜め歩きで移動したり、主人公に迫ってくる。
      • こういったベルト風アクションでこちらだけ斜めに歩けないのはうまく立ち回ることができず、プレイヤーにとってストレスになる事をスタッフは失念していたのだろうか?
      • のちに本作はバージョンアップ版が発売されたらしく、この「斜めに歩けない」問題は若干改善された。しかし、「十字ボタンを押していない(つまり歩いていない)状態でキーを斜めに直接押すと、斜めに移動できる」という仕様で、斜めに歩くためには一度立ち止まらないといけないため、根本的には改善されていない。
    • 操作は十字ボタンで上下左右に移動、Bでジャンプ、Aで攻撃。だが説明書には「AとB同時押しでジャンプ」と間違った記述。
  • とにかく悪い操作性。これなら全ての敵をコマンド式戦闘にした方が良かったのでは。
    • 戦闘パートでは木箱等を破壊してアイテムを出せるが、主人公やアイテムの影の位置がデタラメでアイテムが取れないこともしばしば。
    • 入力遅延がひどく、敵が目の前に来てAを押しても技が発動しないため、返り討ちにされるなどザラ。
    • 戦闘パートはコマ数が少なく常に30FPS程にカクカクしている。
      • 加えて敵が3、4体位現れると処理落ちやチラつきが酷く操作不可能に近い状態で、敵にフルボッコにされる事請け合い。
    • 無駄に挙動が強すぎる雑魚が存在しており「常に飛行していて急降下時を狙うか足場をよじ登って高さを合わせないとまともに攻撃できない」「完全無敵状態で突撃してくる」といったものもある。
      • 基本的に雑魚キャラはLVや能力の高低で差をつけた使い回しが多い*2ので、こういう雑魚は序盤から普通に出現する。
    • 前述したとおりノルマとして指定された数の敵を撃破すると敵が逃げ出して勝利できるのだが、敵が逃げ出さなかったり壁を通過して逃げていく事がある。バグか?
    • 結論として無理にアクションにするよりはコマンド戦闘の方が良かったと思われる。
  • RPG部分に関してもスーパーチャイニーズシリーズの使い回しが多く、基本的にストーリーとキャラだけを差し替えた感が否めない。
    • 店の曲、宿で泊まった際のSE、施設の役割は(スーチャイ経験者なら)確実に流用と解るものである。

評価点

  • RPGの探索パートは比較的まともな出来で、ベルトアクションの戦闘パートと違って目立ったバグや不具合はない。
    • とはいえRPGの探索部分は本作では3分の1以下で、プレイすると否が応でも戦闘に苦しめられるのだが。
  • スーパーチャイニーズシリーズのシステム流用の恩恵として、本体とソフトが2セットあれば乱太郎ときり丸の二人協力プレイを通信ケーブルで行える。
  • 携帯機では地味に少ない忍たまゲーである。
    • ストーリーやシナリオはまともで、仲間や敵含めて多くのキャラクターが登場する。
      • 他の携帯機作品はパズルやミニゲーム集であり、しっかりと原作の雰囲気を再現している携帯版のRPGという面では貴重な作品である。
    • 自分の倍近い身長の巨漢を持ち上げてぶん投げる乱太郎などといった原作ではまず見られそうもないアクションが見れる。
    • 音楽はアニメ初期のものが使われている。とくに忍たまファンならエンディングで流れるBGMは必聴もの。
  • 白黒にしてはグラフィックが細かい。
    • ただし、あまりに細かすぎてキャラクターと背景の区別がつかないため戦闘パートではそれが仇となる。
    • スーパーゲームボーイ対応。環境を整えれば専用フレームが用意されてグラフィックがきれいになるほか、通信ケーブルなしで乱太郎ときり丸の二人協力プレイが可能になる。
  • パスワード制なので、今でもデータ消滅の心配なく実機でプレイできる。

総評

「戦闘をアクションでおこなう」というアイディア自体は評価できる。
実際、問題点のほとんどは戦闘パートに由来するものであり、探索パートや音楽、シナリオなどはよくできていたりする。
もう少し作り込みがされていれば探索要素のある和風ベルトアクションとして確固たる地位を築いていただろう。
また、きちんとあらすじをたどっているRPGと言うのは忍たまの作品の中では貴重な存在である。
そういう意味でも戦闘をアクションにしようと固執して問題点だらけになってしまったのは非常に残念でならない。



余談

本作は乱太郎ときり丸の2人協力プレイができるファミコンで発売される予定であったが、そちらは発売中止となっている。
またGB(及びGBC)版で後に2作品登場したが、そちらはパズルやミニゲーム集となっている。

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最終更新:2021年10月13日 21:33

*1 ただし一部ボス戦ではコマンド戦になる。

*2 初期のGBの都合上色もほぼ同じ