本項目ではアーケードゲーム『雷電DX』と、そのプレイステーション移植版の紹介をしています。



雷電DX

【らいでんでぃーえっくす】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード
発売・開発元 セイブ開発
稼動開始日 1994年
判定 良作
雷電シリーズリンク

概要

  • 前作『II』のゲームバランスを調整し、新要素を追加したリメイク。
  • 公式からはシリーズ主要作の一つとして扱われており、実質的にナンバリング作品と同格の立ち位置にある。
  • たびたび間違われる事だが、タイトルの「DX」の読みは「デラックス」ではなく「ディーエックス」が正しい。

特徴

コース選択

  • 練習
    • 3面分のステージを攻略し、最後に本作オリジナルボスと戦う。1周エンド。
    • 全体的に敵の強さが抑えられており、クリアだけなら簡単。
    • コンティニュー不可。
    • ノーミスノーボム・敵破壊率99.0%以上・レーダー破壊率100%でクリアすると、上級2周目相当の初級を続けてプレイ可能。
  • 初級
    • 『II』の5面までにあたる。1周エンド。
    • ゲームバランスが調整され、少し簡単になっている。
    • 練習からの引き継ぎプレイで、前述した条件を満たしてクリアすると、3周目相当の上級を続けてプレイ可能。
  • 上級
    • メインモード。全8+1面。ループ制で、難易度上昇は4周目で打ち止め。
    • 『II』を踏襲しているが、敵配置や地形などは大きく変わっている。
    • ノーミス・ノーボムで8面までをクリアすることで隠しステージの9面をプレイ可能。9面のみ戻り復活。
    • このモードのみ、腕前判定が存在しない。

稼ぎシステム

  • 勲章
    • 出現してから時間が経過していくにつれて黒ずんでいき、得点が下がっていく。黄勲章は10~500点、青勲章は100~3000点。
    • 一度黒になりきると、一瞬だけ光って再び黒になる。この光った瞬間に取ることで、黄勲章なら3000点、青勲章なら10000点の高得点となる。
  • ミクラス
    • 通常は10000点。
    • 一定のタイミングで一時停止し、アニメーション再開の瞬間に取ることで50000点の高得点となる。
    • 勲章を回収した際の得点が一定以上*1になると、勲章の代わりに出現する。
      • 例として、勲章を最高得点で3回取ると、次は必ずミクラスが出現するようになる。
        裏を返せば、勲章を回収しなければミクラスも出現しない。
  • 隠しキャラ
    • ソル
      • 名称は『ゼビウス』の同名キャラから。
      • 地面から生えている小さい突起に自機を重ねると出現し、破壊できるようになる。
      • 練習では、各種レーダーの出現条件及びレーダー破壊率と密接な関わりがある。
    • レーダー
      • 花畑のような印の近くで一定時間自機を重ねると出現する菱形の地上キャラ。
      • 練習では赤・銀・金の3種類が存在。何が出るかは、ソルの破壊状況などの複数の条件で決まる。
        レベルが高いほど破壊した際の爆発が大きくなり、最高レベルの金レーダーの爆発は中ボス並みかそれ以上に派手
      • 初級では金のみ。上級は腕前判定が存在しないため、レーダーそのものが出現しない。
  • ボスタイムボーナス
    • ボス戦が始まると0.00秒からカウントが始まり、撃破までかかった時間が計測される。
    • 早いほど多くのボーナスポイントがもらえる。カウント最高値は99.99秒。
  • 自機位置合わせ
    • ステージクリア時のリザルト画面が始まる前に、その画面中に自機がいる位置に予め待機させておくと、距離に応じたボーナスがもらえる。
    • 近い順に10000点、5000点、1000点。

腕前判定

  • ゲームオーバー時およびゲームクリア時に、プレイヤーのプレイ評価が行われる。各評価項目のパーセンテージが高いほど多くのボーナスがもらえる。
  • 評価項目
    • 敵破壊率: ボス、各隠しキャラは含まれない。
    • レーダー破壊率: 練習では、どの種類のレーダーを破壊したかで上昇する値が異なってくる。
    • 生存率: デュアルプレイ時のみ。
    • 気合い: 評価基準不明の項目。どういうわけか、スタートボタンを押している時間が長いほど点数が高くなっていく…らしい。
  • 最後に「あなたの腕前」として、プレイ結果の採点が行われる。最高99点。スコアには影響しない。

その他

  • 1Pと2Pでは移動速度が異なる。1Pは縦移動が、2Pは横移動が優れている。本作では横移動することが多いため、2Pの方が攻略に有利。
  • デュアルプレイでは両機の移動速度が統一される。

評価点

  • 間口を広くしたゲーム設計。
    • 3種類のコースが用意され、どれがどの程度の難易度なのかが明確に表示されるため、初心者にもプレイしやすい環境となった。
    • 練習と初級はプレイ時間が短めで集中力を維持しやすく、上級ほど敵の攻撃は激しくない。ある程度プレイ回数を重ねれば初心者でもノーコンティニュークリアは現実的なゲームバランスとなっている。
    • ショットの威力と敵の配置が調整され、上級を含めて『II』よりプレイしやすくなった。
    • ゲーム開始前にボンバーの種類を選べるようになった。タイトルロゴの稲妻マークの色が一定間隔で変わるので、欲しいものと同じ色の時にコースを決定するとゲームに反映される。ただし、デュアルプレイでは1Pが赤、2Pが黄で固定。
  • スコアアタックが熱い。
    • これまでは単に勲章を集める、ショットやボンバーの段階及び保有数が最大の時にアイテムを取るくらいしか稼ぎ要素がなかった。
    • 本作では、勲章を取るタイミング、隠しキャラの出現と撃破、ボス撃破のタイムアタックなど、稼ぎ要素が多岐に亘っている。
    • 特に勲章システムは常に稼ぎに直結する要素なので、スコアアタック上では非常に重要。如何にして、一瞬光った状態の勲章を取り、ミクラスをどれだけ取れるかが鍵となる。
    • 練習はクリアだけなら難しくないが、稼ぎとなると全く別。
      • レーダー出現条件がかなり複雑に入り組んでいるため、決められた手順を経てレーダーを撃破する必要がある。このパターン作りが練習での稼ぎをより面白くしている。
      • また、練習からプレイして一定条件を満たせば続けて初級、さらには上級までプレイできる。これをできるようになるのが本作の上級者にとってステータスになると言える。
    • 初級は単なる初心者コースで終わっておらず、ソルなどの稼ぎ要素がある。また、上級よりプレイ時間が短い分、スコアアタック目的のプレイがしやすい。
  • BGMが追加された。
    • 『I』のステージBGM4曲の内3曲が、『II』の音源で佐藤豪氏によってアレンジされた。「Gallantry」は再び1面に割り当てられた他、練習に限り新たにイントロが追加されている。
    • 隠しステージのボスBGMのみ、『I』の「Go to Blazes!」になるというファンサービスがある。
    • 『II』のBGMも引き続き登場。結果、『I』『II』両作のほぼ全曲が本作に使用されることとなった。

問題点

  • 上級はその名のとおり上級者向けで、並みのプレイヤーではノーコンティニュークリアは至難の業。
    • 『II』に比べればある程度調整されているが、それでもかなり難しい。
      • 3面ボスや7面ボスなど、『II』よりも強化されているボスも一部存在する。
    • 隠しステージ出現条件は、上級者の中でも一握りしか辿り着けないほど厳しい。
  • 腕前判定項目「気合い」の評価基準が分からない。
    • ゲーム内容だけで狙って高得点を狙うのはまず不可能。
    • スタートボタンに何か重い物を置いたり、ピンなどを挟めたりすることで押しっぱなしの状態でプレイ可能。ただし、稀に得点が上がらない場合もあるらしく、やはり評価基準が曖昧。
  • 根本的なゲームシステムは『II』と同じ。よって、当たり判定の大きさ、ボンバーの管理のしづらさなどの難易度向上に直結する要素はそのまま。
  • BGMについて、複数のコースがあるにもかかわらず、『II』の1面BGM「Repeated Tragedy」が削除された。また、『I』のステージBGMで唯一「Lightning War」がアレンジされなかった。

総評

初期雷電シリーズの集大成と呼ぶに相応しい作品。
その完成度は同年に登場した他社の名作STG『ダライアス外伝』『レイフォース』にも匹敵する。
基にした『II』のグラフィックやBGMが良かったことも、本作が優れた作品になった理由と言える。
複数のコースを用意したことで、初心者から上級者まで楽しめる作品となった。
スコアアタックの面白さや隠しステージの存在は上級者にとってプレイ継続のモチベーションへと繋がっていて、ゲームの寿命の延長にもなっている。
以後本家シリーズは10年以上沈黙するが、その代わり外伝シリーズに当たる『ライデンファイターズ』が始まることとなる。


雷電DX(PS版)

対応機種 プレイステーション
発売元 日本システム
MajorWave1500シリーズ:ハムスター
開発元 セイブ開発
発売日 1997年4月11日
定価 5,800円(税別)
廉価版 MajorWave1500シリーズ
2000年10月26日/1,500円(税別)
判定 良作

概要(PS版)

  • 『雷電DX』の完全移植作。
  • 本編以外に、各種特典が存在する。これらはゲーム進行で増加する。
  • デュアルプレイ対応。
  • データ容量は1ブロック。リプレイデータは8ブロック。
  • 項目選択、決定、キャンセル音は前作『雷電プロジェクト』と同じ。

特徴(PS版)

AC版から変更のあった要素

  • 上級コースで腕前判定がされるようになり、これに伴いレーダーが出現するようになった
  • 難易度ノーマル以下では上級は1周までで、腕前判定後にゲームクリアとなる。
  • 上級で隠しステージまでクリアすると、ネームエントリー後にオリジナルのスタッフロールが流れる。

その他の特典

  • リプレイ
    • ソロプレイのみだが、8ブロック消費して約1時間の記録が可能。
  • 練習モードのお手本リプレイ
  • 小辞典
    • 雷電Mk-IIと全ボスの3Dポリゴンモデルを見られる。
  • スペシャルステージ
    • 隠しボスを含めた全てのボスと戦うボスラッシュモード。
      • 各ボスの撃破時間と、クリアまでの総合時間を競う。

評価点(PS版)

  • 前作からさらに設定可能項目が増えた。インターフェースも全体的に改善されている。
  • 難易度ノーマル以下では上級コースの隠しステージ突入条件が「ノーミスノーボム」から「1クレジットで200万点獲得」に緩和された。
  • 前作の隠しオプションがインターセプションメニューとしてより分かりやすい形で使用できるようになった。また、その表示方法が説明書に記載されている。
  • 難易度設定が豊富。
    • アーケード版相当のアーケードモード、少し易しめのノーマルと、さらに難易度を下げたイージー1~3、ベリーイージーなどから選択可能。
      • 難易度ノーマルが難しいのであれば、イージー1~3までのうち、自分に合ったものを探してプレイできる。
      • 特筆すべきはベリーイージー。敵が全く弾を撃たないので、STG初心者どころかゲームそのものが初めての人でも安心。誰でもプロシューターの気分を味わえる。
      • 難易度アーケードでクリアするとさらに上の難易度が解禁され、最終的には4周目相当まで設定できるようになる(アーケード2~4)。
  • コントローラーの設定が増えた。
    • 前作では使えなかったLRボタンも使用可能。
    • 連射数の設定も可能。30連射であれば、ボスの瞬殺もしやすい。逆にわざと連射数を低めにして、バルカンやレーザーの連射を途切れにくくすることも可能。
  • 追加BGMの存在。
    • PS版書き下ろしの『NEW RELEASE』は、アーケード版にはない新鮮さと同時に雷電らしさを兼ね備えたBGM。疾走感と勇壮感のあるロック調で統一されている。
    • さらに、同じセイブ開発のSTG作品である『パイパーフェイズ1』のBGMに変更することも可能。同作品のファンには嬉しい仕様。*2
  • 上記以外にも、特定の難易度をクリアすることで特殊な設定項目を開放することが可能。
    • 移植にあたりゲームスピードが60fpsに上げられているが、これをアーケード版と同等の54fpsに変更可能。
    • さらに、自機の移動スピードを変更する項目もあり、アーケード版ではできなかったような戦法を取ることも可能になる。
  • PSのSTGとしては非常に画期的な、リプレイモードが搭載された。自分のプレイの反省などに役立つ。
  • 小事典の3Dポリゴンモデルがかなり精巧。自由にカメラアングルを変えられ、光の当たり方の調整も可能。
  • 後述するように不便な要素は多いが、当時の家庭用STGではまだ一般的とまでは言えなかったボスラッシュができる。
+ 隠し要素解放条件
  • 「バイパーフェイズ1」のBGMが選択可能:BGMを「New Release」に設定して1回プレイする
  • リプレイ:1回プレイする
  • 達人プレイヤーのリプレイ:練習コースをクリアする
  • 難易度設定追加:オプション設定にて難易度を設定した後、練習、初級、上級のいずれかで全面クリアする。(初級と上級はコンティニューしても可) 
  • JUDGEMENT(上級腕前判定):難易度「AC4」で全面クリアすると選択可能
  • ゲームスピード調節(54fpsモード):「JUDGEMENT」をOFFにして1回プレイする
  • 自機スピード調節:「JUDGEMENT」をOFFにして上級コースを全面クリアする
  • 雷電DX小事典:上級コースを全面クリア(難易度は問わない)
  • ボスラッシュモード:練習、初級、上級の各コースを全面クリア(難易度は問わない)

賛否両論点(PS版)

  • 前作同様、AC版BGMの音色が原曲と異なっている。AC版と比べると音が若干曇っている代わりに、主旋律以外のパートが聞こえやすくなっている。
  • 上級モードの腕前判定の設定がデフォルトでONになっている点。
    • 加えて、上級の腕前設定は隠し項目となっているためすぐにOFFにすることはできない。

問題点(PS版)

  • 難易度アーケード2~4の解放が面倒。プレイの度に難易度を変更しなければならない。また、難易度アーケード4クリアが関わる項目の解放にも手間がかかる。
  • リプレイにはスキップや早送りがない。また、使用ブロック数が多く、気軽に保存できない。
  • ボスラッシュでは戦う順番を選べない、設定変更が反映されない、コンティニュー不可能など不便な要素が多い。このため、ボスのパターン確認には利用しにくい。
  • 隠しステージのボス曲「Go to Blazes!」がACと大きく異なる。
    • この曲は本来ならイントロが終わった後にテンポが上がるという流れになっているのだが、PS版ではそこでテンポが上がらずにイントロのテンポでそのまま進行してしまっているため、楽曲のテンポがアーケード版と比べ明らかに遅くなってしまっている。

総評(PS版)

PS版のSTG移植作としてはかなり良質な部類に入る作品。
『プロジェクト』からさらに親切な設計となり、より遊びやすくなった。
特に難易度ベリーイージーのような敵が攻撃してこない特殊難易度は、以降のセイブ開発あるいはMOSSの縦STG移植作に標準搭載されるようになった。
現在のSTG移植作であれば当たり前なリプレイとボスラッシュを両方兼ね備えているのも、当時の家庭向けSTGとしては大きな評価点と言える。

余談(PS版)

  • 『NEW RELEASE』のBGMのひとつ「Conflict」の株式会社アイエヌエイチによるアレンジ版が、Xbox360版雷電IVに同梱のサウンドトラックCD*3に収録されている。
    • 「雷電IV for NESiCAxLive」のPERFECTモードおよび「雷電IV OverKill」のOverkillモードでは、STAGE3のBGMにこの曲が割り当てられている。

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最終更新:2023年06月26日 15:45

*1 厳密に言うと、勲章の段階ごとに得点とは異なるカウントが加算されていき、それが最大値を超えた時

*2 但し、後述の隠し要素解放条件を満たす必要がある

*3 アルバム名は「OOPARTS CD 雷電IV -Ultimate of Raiden-」。