雷電プロジェクト
【らいでんぷろじぇくと】
ジャンル
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シューティング
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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日本システム
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開発元
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セイブ開発
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発売日
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1995年1月27日
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定価
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6,800円(税別)
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判定
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良作
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雷電シリーズリンク
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概要
『雷電』『雷電II』のカップリング移植作。デュアルプレイ対応。
メモリーカードに設定状態とハイスコアを記録可能。容量は1ブロック。
特徴
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オプション設定項目
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画面状態
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ノーマルモード:通常画面。
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パノラマモード:ノーマルモードを画面全体に表示させる。
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アーケードモード:画面を90度回転させて画面全体に表示させる横画面モード。モニターを縦置きにすることで、AC版に近いプレイ環境にできる。
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BGM
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オリジナル:AC版と同じ。ただし、音色が若干違っていたり、ステレオ化されているなどの変更点がある。詳しくは後述。
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アレンジ:PS内蔵音源を利用したアレンジ版。メニュー画面で流れるオリジナルBGMも同様。
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難易度:ベリーイージー、イージー、ノーマル、ハードの4段階。
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操作
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○・×・△・□に、ショット、連射ショット、ボンバーのいずれかを割り当てる。
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通常画面の操作と回転画面の操作のどちらかを選ぶ。
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隠しオプション:ゲーム中にL1・L2・R1・R2を同時押しすることで開く。
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メニュー画面移行
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ゲームリセット
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ゲーム変更
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画面調整
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画面位置変更
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画面比率変更:計4段階。前述のノーマルモード、パノラマモードもこれに含まれる。
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ゲーム情報:現在のプレイ情報を表示。
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難易度
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BGM
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1Pと2Pそれぞれのコンティニュー回数及びボンバー使用数。ゲームオーバーになるとリセット。
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ボンバー変更(『II』のみ):現在装備中のボンバーの種類を変更できる。
評価点
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高い移植度
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シリーズのこれまでの移植作はFM TOWNS版を除いて、ゲーム性に何らかの大きな変更点が存在したり、グラフィックの再現度が完璧ではなかったりした。本作は後述する若干の変更点はあるものの、全てにおいてほぼAC版に忠実なものとなっている。強いて言うなら、劣化部分は『II』のOPが削除されたことぐらい。
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『I』と比べて移植作が少ない『II』をプレイできる。また、本作はメジャーなPSソフトとして発売されたことで、中古でも入手は容易。
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クレジット投入は任意に行えるため、これもAC版の仕様に忠実。
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家庭用ならではのオプション設定
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画面比率を4段階から変更できるため、自分に合った画面サイズを選びやすい。
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アーケードモード
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本作の隠れた評価点。縦STG移植作としては時代を先取りした要素。
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モニターを縦置きにすることで画面比率をほとんど変えることなく、大きな画面でプレイ可能。AC版の雰囲気をより強く味わえる。
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ただし、通常のテレビモニターでは故障の原因になるために縦置きは禁止。それに関する注意が説明書の最終ページに記載されており、また、アーケードモード変更時の画面に表示される。
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縦置き可能モニターがなければ、横画面にしたままで操作は通常のままプレイすることもできる。
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BGMを2種類選択可能。オリジナルに飽きたらアレンジを聴いて、また違った雰囲気を楽しめる。
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隠しオプションでコンティニュー回数とボンバー使用数が分かる。これらの状態を把握することで、自分の腕がどれほどかを判断しやすい。
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初心者にも安心なゲーム環境
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難易度設定
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高難度な両AC版を自分に合った難易度でプレイできる。
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特に『II』は難易度をイージー以下にすることで、AC版よりもゲームバランスが良い状態でプレイ可能。加えて、元からソロプレイでもその場復活である分、『I』よりもプレイしやすい作品になる。
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どうしてもクリアが難しければベリーイージーでプレイするのも手。STG未経験者でも短期間でノーミスクリアできるほど簡単。
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連射ショットを割り当てられる。両作共に連射装置前提のようなゲームバランスのため、特に初心者にはありがたい仕様。
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『II』では、隠しオプションを知っていればいつでもボンバーの種類を変更できる。誤って欲しいものと違う種類を取っても問題はない。
賛否両論点
本作は完璧に近い移植度を誇るが、厳密には完全移植ではない。それは、家庭向けに調整された箇所がいくつか存在するため。
移植度にこだわるAC版経験者にとっては欠点にもなりかねない要素となる。
とは言え、家庭向けSTG作品としての質を落とすものはほぼない。未経験者やAC版経験者の内のライトユーザーであれば気にならない程度で済んでいる。
なお、次作以降では難易度ノーマルとは別に、AC版の難易度を再現したARCADEが設けられることになった。
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ゲームバランス
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『I』
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敵の耐久力が引き下げられた。
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一部の敵の行動パターンに若干の変更が加えられている。
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『II』
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プラズマの威力が向上。これによって実用性が増し、道中、ボス戦、復活時のどれでも役に立つ、より初心者に向いたショットとなった。一方で、収束まで必要な連射量は増えている。
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赤ボンバーの着弾時間が半減された。無防備な時間が少なくなっている一方で、経験者は発射タイミングを調整する必要がある。
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総じて、難易度ノーマルでも少しだけAC版より簡単になっている。本作で構築した攻略パターンの極一部はAC版に通用しないので注意。
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オリジナルBGM
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音色がAC版で実際に流れるものとやや異なる他、ステレオ化されている。ただし、雰囲気を壊すほどの大きな改変ではない。再現度を別にしてどちらがいいかは、AC版と本作のどちらを先にプレイしたかの域を出ない範囲で収まっている。
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『I』BGMは全体的に、テンポがやや遅くなっている。
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『II』の3面BGM「All or Nothing」のサビでは、主旋律よりも副旋律の方が強い。そのため、ここだけ曲の雰囲気が変わっている。AC版または本作のアレンジ版と聴き比べてみるのもまた一興。
問題点
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メニュー画面で流れる3Dポリゴンムービーの出来が良くない。
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当時はゲームに3Dポリゴンが使われているだけでも革新的であった。しかし、それを考慮してもクオリティが高いとは言えない。
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むしろモデルの出来の悪さ、ムービー再生速度の遅さ、フレームレートの低さばかりが目立つ。
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また、メニュー画面の背景として流れることで読み込みが遅くなり、項目選択と決定に遅延が起きるという実害がある。
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海外版だと大幅に改善され、フレームレートの改善、母艦からの発進、1面ボスの弾幕、プラズマ装備の2Pのデモなどが追加されている
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隠しオプション
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これ自体は便利だが、隠し要素であるために説明書には記載されていない。
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隠しオプションを知らないと、メニュー画面移行、リセット、別ゲーム選択ができない。一度ゲーム選択するとやり直しができないゲームと勘違いされ兼ねない。
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Best版(廉価版)の説明書では隠しオプションの解説が追加されている。
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セーブ処理しない状態でメニュー画面に戻ると、全ての設定が初期状態に戻るために不便。
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モニターによっては画面端の表示が切れてしまい、スコアやボンバーの表示が見づらい、もしくは全く見えない場合があった。
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隠しオプションで表示位置の調整ができるが、これは画面全体の調整の為、どちらか片側はどうしても見えなくなってしまう。
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次回作『DX』の移植では、これらの表示を個別に調節できるようになった。
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AC版『II』に存在した、雷電Mk-IIが森林から垂直離陸して飛び立つOPがカットされている。
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海外版のみに存在するオプション項目「その場復活/戻り復活(I・II共通)」が日本版にない
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ちなみに、海外版だと隠しメニューはselectボタンで開くことができる(PS版雷電DXと同じ)
総評
PSが発売されて間もない時期の作品でありながら、再現度が高いだけでなく親切な設計がなされた良移植。
オプション設定が豊富であり、難易度が4段階用意されたことで初心者から上級者まで楽しめる。
アーケードモードによる縦画面化は、後発の縦STG移植作に大きな影響を与えた。
セイブ開発(後のMOSS)は本作以降でも、ACの縦STG作で出来の良い移植をいくつも発売していくことになる。
最終更新:2022年03月22日 12:00