三國志VI

【さんごくししっくす】

ジャンル 歴史シミュレーションゲーム


対応機種 Windows 95~XP
Macintosh
プレイステーション
ドリームキャスト
プレイステーション・ポータブル
発売・開発元 光栄
発売日 【Win】1998年3月13日
【Mac】1998年9月25日
【PS】1998年10月8日
【DC】1999年3月25日
【PSP】2005年10月6日
定価 【Win】14,800円
【Mac】14,800円
【PS】9,800円
【DC】9,800円
【PSP】4,800円(各税別)
廉価版 【PS】PlayStation the Best:2001年7月26日/3,800円
【Win】コーエー定番シリーズ:2003年5月16日/1,980円
【PSP】KOEI The Best:2006年11月9日/2,800円
【PSP】コーエー定番シリーズ:2007年12月27日/1,500円
判定 なし
ポイント あまりにもリアル過ぎて疲れる人材の扱い
それでも後のシリーズに多大な影響を与えた一作
三國志シリーズ


概要

光栄の歴史シミュレーションゲーム『三國志』シリーズの6作目。
PC版では、OSがこれまでのPC-9801からWindowsに本格的に移行し、メディアもそれまで主に用いられていたFDからCD-ROMのみになった。
データ容量の増加に伴い、様々な試みが行われ、多くの要素が以降のシリーズにも取り入れられた。

新シナリオや一騎討ちモード、編集機能や事典機能などを追加した「パワーアップキット」(以下「PK」と略)が1998年8月28日にWindowsで発売された。
PSやDCにもwithPK版として移植された。2017年6月28日から「シブサワ・コウ アーカイブス」の第6弾として、Windows(7~10対応)のwithPK版がSteamで発売されている。


特徴

  • 武将の夢
    • 本作に登場する全ての武将は自らの理想である「夢」を持ち、それに従い好きな分野と嫌いな分野が存在する。
      嫌いな分野に属する命令に従事させられるとマスクデータの「不満」が溜まっていき、忠誠度が下がりやすくなったり、戦場で勝手な行動を取る他、最悪の場合下野・憤死してしまうことすらある。
    • 主に以下3つの主義に大別される。「義侠」「隠遁」といった特殊な夢の持ち主もいる。
      • 「礼教主義」…「王佐」「大義」「才幹」の3種類。後漢皇帝を自分の勢力で擁立することを目的とする。劉備(王佐)・孫堅(王佐)らが該当。
      • 「中庸主義」…「割拠」「維持」「安全」の3種類。領土拡大よりも自領の安定を目的とする。孫権(割拠)・劉表(割拠)らが該当。
      • 「覇権主義」…「覇権」「征服」「出世」の3種類。自分の勢力による全土統一を目的とする。曹操(覇権)・袁紹(覇権)らが該当。
      • 「義侠」の夢を持つ武将は何をやらせても不満に思わないワイルドカードのような存在なので使い勝手が良い。関羽・張飛・高順といった忠臣が該当*1
      • 「義侠」は親分(関羽にとっての劉備)と認識した群雄(これまでのシリーズにおける君主)を絶対に裏切らないので、その点でも頼りになる。ただし、ゲーム開始時の群雄を親分と認識していない場合(曹操に仕えている時の関羽など)、次に仕えた群雄を親分と認識するため、引き抜かれると二度と帰ってこなくなる。
      • この特性上、群雄は「義侠」の夢を持つことはない。「義侠」の夢を持つ武将が群雄になると、新たに「維持」「大義」「征服」のいずれかの夢を持つ。
      • 「隠遁」はその真逆であり、何をやらせても不満度が上がることになる*2。「義侠」の夢を持つ武将同様に群雄になると、新たに「王佐」「割拠」「覇権」のいずれかの夢になる*3
    • 不満が溜まると、軍師から警告を受けたり、勢力内の同じ夢を持つ者同士で派閥を結成し、対立する派閥と抗争することもあり、そうなると群雄は「会見」を行って配下の不満を抑えたり、評定を開いてそれぞれの派閥の長たちを和解させる必要が出てくる。
    • 逆に不満がないと忠誠度は自然と上がっていく。同じ夢を持つ者同士で組ませると、コマンドの効果は上がる。
  • 内政
    • 前々作『IV』に近い形になり、「開発」「商業」「治安」の各部門に担当武将と内政資金を設定することで毎月、自動的に行われる。
      それまでのシリーズにおける「民忠誠度」は「治安」に変更され、武力が高い武将なら効率的に上げられるため、張飛などの武将も内政の分野で活躍できるようになっている。
  • 能力の変化
    • 年齢によって武将の能力が変化するようになった。
      • 成人当初はどんな武将でも低能力だが、加齢と経験を積むことによりピークを迎えることで本来設定されている能力を発揮することができ、やがて老化することで能力も下降していく。
    • 能力の成長タイプとして、「早熟*4」や、能力が維持しやすい「神童*5」「麒麟児*6」等が存在する。後のシリーズにも取り入れられた。
    • 黄忠のように老将として有名な武将のために、50代でピークを迎える、老いてからの方が能力が高くなる「晩成」もしっかり存在する。劉備・曹操・趙雲らの成長タイプも「晩成」である。
  • ショートシナリオ
    • 手軽にプレイできるモードとして、特定の群雄でいくつかの条件を期日までに達成することを目標としたショートシナリオが登場。
      • ショートプレイモード自体は『信長の野望』の17ヶ国モードや『蒼き狼と白き牝鹿 ジンギスカン』のモンゴル編などが存在していたが、今作のショートシナリオは開始年月や勢力配置、勝利条件が通常シナリオとは異なる専用の物が用意され、曹操による「呂布討伐戦」「復讐の馬超」といったものから袁紹による「河北統一」「皇帝袁術」といった一風変わったものまで存在する。
    • 達成した条件によってエンディングも変わるため、何度もプレイする楽しみができた。
      • 通常シナリオの勝利条件を満たした場合は通常と同じエンディングになる。
  • 異民族
    • 『IV』でも異民族は登場していたが外交で他勢力への侵攻を要請できる程度であり影が薄かった。しかし、本作では烏丸・匈奴といった異民族がシリーズ初めてマップの端に配置された。
    • 異民族の都市に隣接した都市を支配していると、時折攻めてくることがある。異民族は蛮族兵や鉄騎兵といった通常の兵科よりも強い兵を率いており、非常に手強い。
      • 異民族は他の都市を攻め落としても占領すること無く、撤退後は空白都市になる。また、捕らえた武将は登用せず、必ず斬首するか解放する。斬るかどうかはランダムなので、どんな名将でも斬られる危険性がある。
      • また、1都市しか持っていない群雄は原則として攻められない。
        ただし、複数都市を同時に攻められた結果、1ヶ月で群雄が滅亡してしまう状況ではこの限りではない。たとえば南海と交趾を領有する群雄が、同じ月に南海を山越に、交趾を南蛮にそれぞれ攻められて滅亡することはあり得る。従って士燮、馬騰など、序盤から複数の異民族と隣接する群雄の難易度は高い。
    • 異民族の本拠を攻め落とすことで、異民族の兵科を徴兵することができるようになる。
      本作では訓練度が存在せず、兵の強弱は兵科に依存するため、他勢力に比べて非常に有利になれる。
      • また、シナリオ開始時には実在の異民族武将を配下にしている異民族がいる。異民族は捜索も登用も全く行わないので配下が増えることはない*7が、武力の高い武将が不足している群雄にとっては人材確保も異民族攻略の目的になり得る。
      • 異民族の架空武将(武将名が「○○王」「○○武将」になっている武将)は決して登用できないし、そもそも捕らえることができない。統率・武力が80、他の能力は50固定なので、戦場ではかなり手強い。
      • 通常版では、情報力を最大の20にして兵1で攻めると即籠城戦に持ち込めることと、籠城戦では守備側は基本的に打って出ないことを利用して、一部の異民族はターン経過による士気低下で戦わずして勝てる抜け道があった。
        PK版ではアルゴリズムが改良され、守備側が打って出てくるようになったので通用しない。しかし今度は、大軍で攻めても守備側が強攻してくるようになった。
    • ただ、拠点を手薄にすると反乱によって再度独立されることもある。
      • 反乱の頻度も成功率も高く、せっかく制圧してもその翌月には独立されてしまうことも珍しくない。
        PK版では確率が調整され、ある程度の兵士を異民族都市に置けば反乱を高確率で防げるようになった。
  • 一騎討ち
    • 本作で初めてプレイヤーが一騎討ちに介入できるようになった。
    • 武将が所持する作戦の中から五番勝負の各方針をあらかじめ選択しておき、後はオートで見守る形になる。
      • 相手の「一撃必殺」を警戒して「先制弓矢」を放つ、武力差のある武将を「生捕り」にする、「交替」で弱い武将で一騎討ちを受けておいてさっさと強い武将に交えるという駆け引きが行えるようになった。
    • 一部の有名武将は「必殺技」を持っており、武将によっては固有のカットインが表示される。
      • 必殺技は体力が一定以下の状態で使用すると威力が上昇する。追い込まれた場合の一発逆転の手段として後半に組み込む戦術もあるが、開始直後に繰り出して相手の出鼻をくじく*8手段としても使える。
  • 戦闘
    • セミリアルタイム形式となった。3日分の行動をあらかじめ指定し、進行させることで敵味方が同時に動き出してリアルタイムに戦況が変化する。
      • 後のシリーズで言うと『IX』の形式に似ている。
    • 一度進行すると3日経過するまで行動を変更することができないため、兵糧庫をがら空きにして強襲してきた敵に兵糧を奪われる、といったことも発生する。
    • 不満を持つ武将や派閥がある状態で出陣すると、勝手な行動を取られて足をすくわれることもある。
    • また、戦略画面でそれなりの武将を諜報官に任命しておかなければ、敵の侵攻に気付けずに一気に籠城戦に持ち込まれるようになった。
  • 皇帝と官爵
    • それまでのシリーズでは、後漢皇帝*9はイベントのみで登場していたが、本作では勅使を遣わしたりしてゲームに本格的に介入してくるようになった。
      • 時折、かなり厳しい要求*10をしてくることがあり、要求を飲むことで、官爵を得ることができる。
    • 官爵を得ることで人徳*11が上昇する他、武将に将軍位を与えることができる。
      • 最低位の偏将軍や裨将軍でも無官に比べると率いることができる兵士数が2倍近くまで増加するため、官爵は非常に重要である。「州牧」の官爵までなら州を統一すれば自称することはできるが、それ以上を求めるなら後漢皇帝の力が欠かせない。
    • また、後漢皇帝がいる都市を支配することで擁立したこととなり、「謁見」することで上記の要求をいつでも起こせるようになる上、「官爵」コマンドで他の群雄に勅使を遣わして官爵と引き換えに別の勢力を攻めさせることができる。
      • 史実の曹操さながらに漢室の威光を利用することができるようになった。
      • 大勢力でも官爵が低ければ大軍を動員できないため、皇帝を擁立することのアドバンテージは非常に大きい。
    • 逆に皇帝からの要求をはねつけることで後漢皇帝の人徳が下がり、0まで落とすと威光が完全に失墜したということになり、方法次第では曹丕のように帝位を簒奪して自分が皇帝になることも可能。
      • ただしこれをやっていると自分の人徳も同時に下がる他、後漢皇帝を支持する礼教主義の夢を持つ武将の不満が溜まるため、性急な帝位の簒奪はハイリスク・ハイリターン。
    • 人徳の影響は大きい。はっきり影響が判るのが、人材登用の成否や忠誠度の上下。また、人徳が大きく下がると、 直接利害関係の無い遠方の群雄まで、目の敵にして謀略を仕掛けてくる。 一度この状態になると非常に厄介なので、暴君プレイを志向しない限り、人徳は高く保っておいたほうがいいだろう。
  • 三国志私史(Win版のみ)
    • 「群雄年表」
      • プレイで起こった出来事を記録した年表を、史実の年表と見比べることができるようになった。年表を取り入れた以降のシリーズ作品では本作の仕様に従うことが多い。
    • 「傑士回顧録」
      • 個々の武将に対応するゲーム内年表が記録されるようになった。
      • はじめは全員の没年が???となっており、ゲーム内で死亡することで没年が記録されていく。他にも勢力に仕えた、官位を得られた、戦争で捕虜になった等の出来事が随時記録される。
        これによって、志半ばで死んでしまった忠臣や苦杯を嘗めさせられた敵など、プレイの記録がかなり詳細に残るようになった。
        処刑してばかりだと多くの武将に「戦いに敗れ(プレイヤー群雄)に処刑される」という記録が残る。
      • 埋伏武将(敵勢力のスパイ)も「傑士回顧録」を見てしまえば…という面白みを損なう部分も持っているが。
  • その他
    • 陳到、賀斉といった正史のみに登場する武将が初めて本格的に登場した。
      • 過去にも『演義』に出てこない武将として呂覇(『II』)、陳寿(『V』)の登場例があるが、本格的に多数登場したのは本作が初めて。
      • 正史のみの異民族武将も多数登場。羌の蛾遮塞、氐の千万、山越の尤突など、シリーズでも本作のみ登場の武将は多い。
    • 『II』以来となる戦略画面上の使者アニメが復活。同盟している群雄の使者を捕えても書状を見ずに通行を許すことで人徳が1上がる点も同じ。
    • 特定の都市を支配下に置いている際の定期収入といった形だが、シルクロード交易や南海交易といった珍しい要素も存在する。
    • モンタージュ顔の武将がいなくなり、全ての武将に固有の顔グラフィックが用意された。
      • ただし、孫権などの有名武将でも『V』からの構図の使い回しが目立つ。もちろん、これまでの16色から256色になり、解像度も1.5倍になったために、構図が使い回しでも全て描き直されている。
    • 幻術や天変といった現実離れした能力は無くなり、黄巾党が大幅に弱体化。良くも悪くも史実要素が強くなった。
      • 黄巾党は反乱軍の悲しさで官爵もないため、折角の大軍をろくに活かせないという有様。
    • 王や皇帝になった際に、本拠をどこに構えているかで国号が決まるようになった。皇帝になった群雄の一人称も「朕」に変わる。
  • BGMはアニメ『悪魔くん』や特撮『鳥人戦隊ジェットマン』のOPの作曲者で知られる「つのごうじ」氏が担当。本作では一つの曲のフレーズをベースに様々なアレンジを加えて、多数の曲を作っているのが特徴的。
    • 『III』や『IV』同様、勢力を拡大していくごとに戦略画面のBGMが変化していく。

評価点

  • 歴史イベントが多数増加
    • 前作で大幅に追加された歴史イベントが本作ではさらに増加。100種類に渡る歴史イベントが存在する。
      • 「美女連環の計」「三顧の礼」といったシリーズおなじみのイベントから、領土譲渡(陶謙、劉備に徐州を譲る)や人材推挙イベント(「程昱推挙」から始まる推挙イベントの連鎖)などのイベントが用意され、史実に沿った展開が起こりやすくなった。
    • 赤壁前夜での諸葛亮の大論陣(呉の論客10人を舌戦で論破する)も存在するが、劉備でプレイしていると、諸葛亮ではなく関羽張飛を向かわせることもできる。特に張飛の場合は彼らしいやり方で呉の面々を沈黙させる様は見もの。
    • 後のシリーズのように簡単に発生せず、条件が厳しい物も多い。そのために露骨に版図が変わることは少ない。
    • また、シナリオ開始時に全ての勢力に対応したオープニングイベントが入るようになった。
      • 一見シナリオの大勢に関係なさそうな群雄(董太師誅殺時の馬騰など)でもその時の中央の時勢を案じているイベントが用意されている。
  • 後のシリーズへの影響
    • 本作を境に「正史」の要素がシリーズに加えられるようになり、オープニング・エンディングといったイベントでの演出面も基本的には本作のものを発展させた形になっていく。
      • 本作ではプレイの内容によってエンディングの内容が変化するマルチエンディング方式が採用されており、後のシリーズでも定番化している。
    • 上記の歴史イベントの数々を始め、異民族や後漢皇帝もゲーム中に深く関わってくるようになり、これらをうまく制することで三國志らしい大勢力を持った曹操のようなプレイが可能となった。
      • 本作では派閥抗争の結果、武将が憤死することがあるなど、呉の二宮事件のような展開が起こることも。
  • ショートシナリオの実装
    • ショートシナリオのおかげで短い時間でも充実したプレイが可能になり、敷居が低くなった。
    • PK版では3(+1)人の群雄の戦争パートのみを題材とした戦術シミュレーションモードも追加された。
      • 「赤壁の戦い」等の有名な戦いが初めてシミュレーションされるようになったのもこのモードから。限定的ではあるが、三国統一までのストーリーイベントがシリーズで初めて実装された。
        また、「夏口の戦い」では、「親の敵である甘寧と一緒にされた凌統が途中で命令を無視するようになる」といったゲームシステムを生かした演出もある。

問題点

  • 武将の個性を表現しすぎた結果、テンポが悪い
    • どのコマンドを実行すればどの夢の武将が不満に思うかといった情報はゲーム中には説明が無く*12、知らないうちに多くの武将が不満を抱くことになることが多い。また、命令を与えないで放置することでも不満が溜まる武将も多いため、扱いづらい。
      • 勢力が大きくなり、多くの武将を抱える頃になると、群雄はひたすら会見を行い、配下武将の愚痴*13を聞いて不満を和らげるカウンセラーに徹することになる。
    • 全ての命令を嫌がる「隠遁」は論外として*14、次に扱いづらいのが礼教主義の武将。彼らが好むのは人事・外交・埋伏だが、それらのコマンドは本拠でしか実行できない。覇権主義は軍事(徴兵や罠設置でもいい)・計略、中庸主義は内政・外交を好むため、比較的扱いやすい。
  • 武将が集まりづらい
    • 人徳による補正が強いせいか、ゲーム開始時は武将がなかなか登用に応じない。そのため、勢力を拡大していっても、武将が足りないことが多々ある。
      • 今作では従来作と違い、武将に与えられる恩賞はアイテム以外に存在しない(≒金を与えて忠誠を上げられない)ため、忠誠度が自然上昇する前に他の群雄に引き抜かれてしまうことも多い。
    • 戦争時の捕虜の登用に失敗すると「嫌悪武将」にされることもあり、こうなってしまうと登用に応じなくなる。
      • 投獄することもできるが、一年以内に処理を決めなければならない他、脱走されることもある。そのため、登用に失敗した武将は斬らざるをえないことが多い。
      • 嫌悪武将は年が変わるとフラグが解除されることがある。武将の義理が低いほど解除されやすい。また、群雄が代替わりすると当然フラグは消えるので、途端に仕官を願い出てくるようになる。
      • また戦後処理で登用を試みずに捕虜を解放すると、人徳が1上がる。登用できそうにない武将は、最初から逃がすのも作戦のうちである。
  • COMの思考ルーチン
    • 兵士の輸送をあまり行わない。そのため、最前線で徴兵を繰り返して最前線の人口が5万(徴兵できる下限)になっていることがしばしばある。
    • 戦場では、兵糧庫に陣取っていた部隊も日数が経つと攻撃に動くため、パターンを掴んでしまえば敵の兵糧を奪うことは容易。
    • COMは嫌悪武将を必ず斬首するほか、能力の低い武将も斬首する。前者は設定的に当然として、後者は「現時点の能力」で判断しているのが問題。10代の武将は、「早熟」「神童」タイプでもまだ能力が育っていないので、COMは現時点の能力だけを見て、将来の名将でも惜しげも無く斬首してしまう。この点はシミュレーションとしては問題点とは言い切れないが、武将コレクターにとって頭の痛い設定になっている。
  • 要素の簡略化
    • 前作『V』の戦争は様々な特技や陣形により高い戦略性があったが、本作の戦争はリアルタイムのプロット以外では大半が簡略化され、そういった要素は存在しない。
      • 負傷兵の概念も無くなったため、戦争での消耗がダイレクトに反映される形に戻った。
    • 以前のシリーズには存在していた内政特技や戦闘特技といった武将に個性をつけていた要素も一騎討ち作戦・マスクデータの特殊能力以外は軒並み無くなってしまったため、夢以外での個性が薄くなった。
  • UIデザインがショボい(Win版のみ)
    • OSの本格的な移行でWindowsライクを意識しすぎたせいか、ウィンドウは当時のWindows標準のアプリケーションやポップアップウィンドウのような飾り気のないデザインとなっている*15ため、マップとの乖離感を覚える。
      • XP以降のOSでプレイする場合は、個人設定のウィンドウの色やデザインを変更してみると少しはマシになるかもしれない。

総評

Windowsにプラットフォームを移したと同時に新たな方向性を見出した『三國志』シリーズ。
次作『VII』でも全武将プレイといった新たな方向性を打ち出すことになる。
だが、その根底には本作における武将の性格付けを中心とした様々な要素が洗練されて取り入れられている。


余談

  • 一騎討ちで見られる必殺技の名前は、前年に同社から発売された格闘ゲーム『三國無双』の設定から取られている。
    • 汎用必殺技名の「刺武叉把攻」の読みはおそらくプロデューサーのシブサワ・コウであると推測される。
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最終更新:2023年03月28日 14:51

*1 ただし、役職を解任したりアイテムの没収などあまりに理不尽な行為に対しては若干とは言え流石に不満を抱える。

*2 禰衡や劉備の元を離れた後の徐庶などが該当。また勢力滅亡後の元群雄がこれに変化する場合もある。

*3 世を拗ねて引きこもっていた分夢も大きくなる。

*4 20代でピークを迎えるがその後急速に能力が下がる。孫策や周瑜など、史実で夭逝した武将が該当。

*5 20代でピークを迎えピークを維持する期間も長い。諸葛亮や姜維が該当。

*6 30代でピークを迎え、神童ほどではないがピークの期間も長い。関羽・龐統らが該当。

*7 プレイヤーが新武将を異民族武将の子として登録した場合は別。

*8 ダメージと同時に負傷させることができれば、相手の武力も一時的に低下させる。

*9 シナリオによって変化する。

*10 金銭の要求、特定勢力との同盟、覇権主義の部下の追放。

*11 『II』の信用度に相当。様々な行動の成否に影響。

*12 プレイングマニュアルやヘルプには記載されている。

*13 性格にもよるが、不満が溜まり過ぎると主君や対立する派閥の者に対して遠慮なく暴言を吐く武将も出てくる。

*14 ただし、何もさせずに放っておけば不満は増えない。

*15 アイコンやコマンドボタンのグラフィックだけが描き込まれている。