本項ではオリジナル版である、ニンテンドー3DS版を基準にしています。


魔神少女 -Chronicle 2D ACT-

【まじんしょうじょ くろにくる つーでぃー あくと】

ジャンル クロニクル2Dアクション
対応機種 ニンテンドー3DS
(ニンテンドー3DSダウンロードソフト)
プレイステーション・ヴィータ
Windows(Steam)
メディア ダウンロード専売ソフト
発売元 フライハイワークス
開発元 INSIDE SYSTEM
発売日 【3DS】2014年8月6日
【PSV】2015年5月27日
【Win】2015年12月2日
定価 【3DS/PSV】400円
【Win】498円
判定 良作
ポイント 400円と思えない作り込み
歯ごたえがある難易度
豊富なやりこみ要素
魔神少女シリーズ


概要

同人サークルである『INSIDE SYSTEM』が制作・開発したゲーム。
同サークルが作成した『東方幻弾章』をオリジナルキャラでリメイクした作品である。
魔を司る神『ジズー』を操作して、魔力の源の鉱石『シェガー』消失の謎を追うという2Dアクションゲーム*1
キャラクターデザインは『ガイストクラッシャー』のHi-GO!氏、音楽は『MELTY BLOOD』の来兎氏が担当している。

基本システム

  • 基本的には『ロックマン』のアクション要素に『グラディウス』の強化システムを足した物となっている。
    • 敵を倒すと『トレース』を入手し、強化したい部分までゲージが溜まったら『インストール』を行い、強化できる。
    • インストール方法のオプションも決められ、完全自動化のオート・自動だが任意でも可能のセミオート・完全任意のマニュアルの3つから決められる。
      • ゲージに溜まった『トレース』は、ダメージを受けると少し失ってしまうが、蓄積した分はそのままとなっている。
    • 蓄積された方のトレースを消費して、キャラクターの強化ができる。ストックやライフを増やす、獲得出来るトレースの数が増えるなどどれも有用性が高い。
  • 各ステージのボスを倒すと、ボスが使用した武器を獲得できる。そのボスの弱点武器だと、与えるダメージが大きくなる。
    • 各ボスの武器もトレースを消費して強化ができる。
  • 各ステージには2つの純色のシェガーが隠されており、隠されている場所を攻撃したり、ジャンプしたりすることで現れる。
    • 獲得すると、それぞれの能力をさらに一段階上に強化させることが可能となる。
    • 一部、特定の条件で獲得できる純色のシェガーも存在する。
  • 難易度はイージー・ノーマルのいずれか。高い難易度でプレイしても、途中で下げることも可能。
    • 一度クリアすると、最高難易度である『ルナティック』が追加される。

評価点

  • 全体的に作りこみが細かい
    • 400円で配信されているが、作りこまれている。「これで400円?」と言われている程である。
    • ドットが丁寧に書き込まれており、よく動く。どの敵も全体的に可愛らしいものばかり。
      • 細かいところでは、水が流れているところに立っていると、頭の上に流れてくる。
    • ゲーム中で使われているBGMも良曲が多い。
    • その他、ダメージを受けた際にトレースが大量にばらける演出はあるが、それによる処理落ちは全く感じられない。
  • 歯ごたえがある難易度
    • 難易度は基本的に、難しめに調節されている。開発者曰く『自分がやって歯ごたえがある感じに調節した』とのこと。
      • イージーにすると敵の体力が少なく、敵の攻撃手段が減り、かなり簡単になる。
    • 前述のとおり、難しい難易度を選んで苦戦しても、途中で難易度を下げることが可能。ただし、一度下げた難易度は二度と元に戻せない。
  • やりこみ要素が豊富
    • 様々な実績が存在し達成すると、キャラクターやステージの設定イラスト・制作者からのコメントを閲覧できる。
      • 実績の内容は、各ボスをノーダメージで倒すなど簡単なものから、ノーミスや規定数のダメージ以下でエンディングに行くなど、上級者向けの内容もある*2
    • ステージクリア時のタイムも記録され、そのステージを短い時間でクリアするタイムアタックとしてもできる。
    • エンディングに到達したり、実績をアンロックすることで『シェガーの欠片』を獲得できる。これらは、シェガーショップで特典や追加要素と交換できる。ポーカーで運試しをして、一気に増やすことも可能。
      • シェーガーショップから買えるものは、ライフの上限を増やす・無敵時間の延長・自機の速度アップなどプレイをサポートするものから、一回でもダメージを食らったらミスする『デンジャラスモード』などのマニアックなものも。もちろん、各種データが見られる図鑑やミュージックボックスなどのおまけ要素も購入できる。
    • 一度エンディングに到達すれば、隠しキャラが追加される。武器性能や各純色のシェガーが隠されている場所もジズーと異なっており、新しい感覚でプレイできる。
      • 通常攻撃の射程が短く、ジズーと同じような感覚で攻略しようとすると苦戦する。

問題点

  • 初見殺しと困難なリカバリー
    • 全体的にキャラが大きめな分やや画面が狭く、また高速で移動する敵も多いため、「画面外から急にやって来た敵に攻撃されてダメージ」「歩いていたら、画面端から現れた敵に急に射撃されてダメージ」と言った事態が頻発する。そのため「覚えゲー」の要素が非常に強い。
    • にもかかわらず、ノーマル以上の難易度では回復アイテムが存在しない・ダメージごとに蓄積ゲージが大幅に減少するなど、非常にリカバリーが難しい仕様になっている。初心者やアクションが苦手なプレイヤーはほぼ確実に「減ったライフや不完全なパワーアップでボスに挑んであっさり撃破され、結局パワーアップの無くなった状態で改めてボスに挑まされる」と言う状況に追い込まれるだろう。
    • イージーなら回復アイテムはあるが、「ボスに1度負けたら、残機が残っていても再挑戦はパワーアップ無し」な事にかわりはない。
      • イージーでもそれなりに難しいため、初見はイージー推奨。
    • 一応、パワーアップや特殊武器無しで、アクションが下手でも、パターンを見切れれば十分ボスを倒せるバランスにはなっている。だが、ある程度の腕がないと本作の魅力は大幅に削がれると言わざるを得ない。
  • 実績の仕様
    • 規定回数以内のダメージでエンディング・ノーミスでエンディングの2つの実績は、途中でステージを抜けても回数にカウントされてしまう。つまり、なかったことにすることができない。
      • そのため、実績を達成できなくなった場合は、もう一度最初からやり直す必要がある。
      • 少々反則気味だが、オートセーブされない内にホームボタンを押してゲームを強制終了させてしまうという抜け道はある。
    • 例外として各ボスをノーダメージでクリアするという実績は、ミスしてリトライ後でもノーダメージなら達成可能。
    • 実績で見られるイラストが見づらい(3DS版のみ)。
      • キャラクターの設定画やステージの構成画が見れるのだが、画像が縮小されすぎて細かく見ることができない。イラストを拡大してみる機能もない。
      • 以降のシリーズ作品でもおまけ要素として設定画を見る事が出来るのだが、3DSでリリースされたいずれの作品でもこの問題点は据え置き。結局3DSにおける最終作『エピソード3』に至るまで改善される事が無かった。
  • ステージのタイムに関する問題点
    • ステージのタイムは、ファイル毎にしか記録されない。難易度や前述の特典のパワーアップのサポートの関係もあるため、仕方ないとも思われる。
    • ステージ内でミスしてもタイムは継続されてしまうため、タイムアタックしたい時は不便である。ミスしたら、ステージを抜けて再度選び直して再開する必要があるので手間がかかる。
    • 武器選択画面が出ていても、お構いなしにタイムが経過する。これに関して制作者は「あえてそういう風(時間経過するよう)にした」とコメントをしている。
  • 最高難易度『ルナティック』の凶悪さ
    • 敵の動きが倍速になったばかりでなく、一発でも攻撃を食らうとそれまで蓄積していたゲージが全て無くなってしまうので『インストール』が非常にやりにくく、終盤のボスラッシュではそれが顕著。
    • ボス毎に対策は存在し、あるボスに至っては密着して戦えばほぼノーダメージに押さえ込める。見方を変えればいかに戦い慣れているか、どのような順序で倒していくかというプレイヤーの腕前が試されているとも言える。
    • ただし、運ゲーとしか言いようのない攻撃*3をしてくるボスもおり、批判されている。
  • バグの存在
    • 現在では更新データで改善されてはいるが、壁にはまって動けなくなってしまうなど様々なバグが存在していた。
    • あるステージに入り途中で抜けた後に、特定のステージを選択するとフリーズしてしまう。こちらは、現在でも発生してしまうので注意。
  • 敵の倒した数が一定数に達すると、それ以上は数が表示されなくなり、どれだけ倒したのかという確認ができない。
    • 多く出現する雑魚キャラはあっさりカンストする。
  • ジズーの初期装備である「ライナーショット」が強すぎる。
    • 特に低難易度ならば、撃ちまくっていれば特殊武器なくてもボスでも簡単に勝てるので、特殊武器の使いどころが薄め。

総評

多少難易度は高いが、幅広い層におすすめできるアクションゲーム。
400円と言う低価格ながらも、その値段以上の内容なので、やってみるのも悪くはないだろう。

3DSなら体験版で1ステージ遊べるので、これで腕試しをすることをお勧めする。


余談

  • 偶然か狙ったのかは不明だが、本作と同時にそれぞれ別のメーカーから「メゾン・ド・魔王」と「奪還指令魔女ダンジョン」というソフトが配信されており、同じ日に魔神・魔王・魔女が揃い踏みすることとなった。
    • うち、前者は後に今作の続編にて実際にコラボレーションが行われる事になった。
  • 2014年9月頃の3DSのダウンロードランキングでは、任天堂の3DS LL本体の購入時に手に入る無料DLキャンペーン等の強豪がひしめく中、ほぼ無名ながらにランキング5位に入るという実績を残している。
  • 公式ではファンが盛り上がるイベントを多数用意していた。
    • 本作配信後にTwitterでのキャンペーンや、イラストコンテストが開催されていた。
    • 設定資料付きサウンドトラックCD、イラスト集が発売。
    • 各キャラクターとステージをデザインした、3DSのテーマが配信。後に、イラストコンテストのイラストを使用した3DSのテーマも配信された。どちらもセットでお得に購入できる。
    • MiiverseやTwitterとの連動で、不定期でタイムアタックコンテストが開催されている。景品が出ていた事もあった。
    • ニンテンドーeショップでの「みんなの声」で1,000人超え記念としてLINEスタンプの発売、配信一周年企画なども行われていた。
  • フライハイワークスの3DSダウンロードソフト『ドランシア・サーガ』に本作のリーバ、ジズーがゲスト出演している。
    • 本作のセーブデータがある3DSで起動することで自機として使用可能となる。『魔神少女2』にも対応している。

移植

  • 日本国内だけではなく、海外でも『The Legend of Dark Witch -Chronicle 2D ACT-』というタイトルで配信されている。
  • 2015年5月27日に、PSVでも移植・配信された。値段もそのまま400円である。
    • 基本的に3DS版そのままであるが、おまけ画像などの解像度アップや、3DS版(Ver.1.1)でも改善されなかった一部のバグが改善されている。
  • 2015年12月2日(日本)に、Steamでも配信。
    • HD化されたうえで、細かい仕様が変更されている。
  • 2019年10月24日にNintendo Switchでも同名タイトルで発売された。
    • ミニゲームなどの追加要素や仕様変更がある。
      • 同時にSteamでも同等のバージョンアップ版である「魔神少女 -Chronicle 2D ACT- Renovation」も2019年11月15日配信予定となっている。ただし上記とは別物なので注意。

続編

  • 続編にあたる『魔神少女エピソード2 -願いへの代価-』制作が2014年12月に発表、それに合わせてザコキャラコンテストを開催していた。
    • 2015年11月4日に800円で配信開始。
    • 本作で問題視された点が改善されており、初心者に優しくなっている。
  • 2016年11月30日には本作に登場する、アルが主人公になったスピンオフ作品『ブレイブダンジョン』が配信された。価格は500円。
    • ただし、この作品のみ発売元は開発元と同じ「INSIDE SYSTEM」名義となっている。
    • ゲームジャンルも2DアクションではなくクロニクルダンジョンRPGとなっている。
  • 2017年12月27日には『魔神少女エピソード3 -勇者と愚者-』が1.000円(ただし同日から「フライハイワークス全タイトル対象! 年末年始お年玉大セール!」が行われたため翌年1月10日までは800円)で配信開始。それに伴いイラストコンテストも開催していた。
+ タグ編集
  • タグ:
  • ACT
  • ダウンロード専売
  • 魔神少女

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最終更新:2022年07月04日 22:58

*1 『INSIDE SYSTEM』公式の表記は「クロニクル2Dアクション」である。

*2 一部実績は、難易度は問わないのでイージーでも出せるものがある。

*3 厳密に言えば、ブロッキングは可能である。