みんなでまもって騎士 姫のトキメキらぷそでぃ

【みんなでまもってないと ひめのときめきらぷどでぃ】

ジャンル アクションゲーム
対応機種 ニンテンドー3DS
メディア ダウンロード専売
発売・開発元 エインシャント
配信開始日 2014年9月10日
定価 864円(税込)
プレイ人数 1~4人
セーブデータ 1ファイル
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作

概要

Xbox360で配信されているインディースゲーム『まもって騎士』を、3DSで発売するに当たって複数人でプレイすることが出来るように調整したゲーム。
しかし360版からグラフィック、システム等が一新されており、事実上本作は360版とはほぼ別物と考えるべきだろう。

開発は『イース』『アクトレイザー』等の音楽でお馴染みの作曲家・古代祐三が代表取締役を務める会社、エインシャント。
エインシャントはこれまでゲーム音楽を担当する会社としての印象が強かったが、本作はエインシャント独自タイトルとして開発から自社で行った。


ストーリー

8ビットの魔力で満ち溢れる次元の狭間…そこにある王国、マジカルランド。ある日突然お城の空が赤く染まったと思いきや、お城だけが魔物の大群の中へワープしてしまう。軍隊はたまたま遠征中だったため城内に残された戦力は姫の遊び相手として集められていた「まもって騎士(まもってナイト)」の6名のみ。ローラ姫は父王から癒しの力を持つ「しゅごのみはた」を授かり、まもって騎士と共にお城を守る戦いへを身を投じていくこととなる…。


システム

  • 6人のまもって騎士
    • 本作ではマップ毎に6人のまもって騎士のうち一人を選択してゲームに臨むこととなる。6人はそれぞれ攻撃力、防御力等のステータスが異なる他、装備できる武器、スキル等も全く違う。
    • ファイター
      • 攻撃力とHPに優れている。武器は斧。LV3以降使用可能な衝撃波の攻撃力が高く、周囲のザコ敵を一掃することが可能。万能型の初心者向けキャラ。
      • やや口が悪い熱血漢。「オレは アクションゲームで ながい かいわは だいっきらいなんだ!」
    • アマゾン
      • 突出した能力は無いが目立つ弱点も無い。武器は槍。突進力に優れている他、ブーメランをオプションのように使用する。
      • まもって騎士の中では比較的常識人。露出度が高いビキニアーマーを着ているが、これは姫に着させられたもので、本人は着用を嫌がっている。
    • ニンジャ
      • 分身を利用した範囲攻撃とスピードが持ち味。弱点はHPの低さ。武器は刀。爆弾を使用した設置技が独特の操作感を生む。
      • 本作のギャグキャラその1。忍者なのに顔以外はふんどし一丁。「自然と一体化して溶け込む」為だと本人は言っているが…。
    • メイジ
      • MPが非常に高く、圧倒的な殲滅力を発揮する。武器はロッド。その反面スキル技以外は非常に弱い。
      • 可愛らしい見た目と裏腹に肉食主義者。「野菜を食べるのは可哀そう」なんだとか。
    • ジイヤ
      • 高いHPと攻撃力を兼ね備えるが、スピードがとても遅い重戦車タイプ。武器はランス。金が時間と共に増えるスキル「ねんきんぐらし」が強力。
      • 本作のギャグキャラその2。会話シーンでは殆ど寝ている。
    • アーチャー
      • ステータス的には強い長所は無いが、武器が弓ということで射程が長く、障害物の背後から攻撃する戦法が得意。攻撃よりも防御に向いたキャラ。
      • 常識人であり、会話ではツッコミ役。
  • 「姫」と「城」
    • 本作のシステムはオーソドックスなタワーディフェンス。選択式のマップには「城」と「姫」が必ず配置されており、「姫」のHPがゼロになると失敗となる。姫を守りながら敵を殲滅することが出来ればステージクリア。
    • 敵を倒すとその際のコンボ数、敵のレベルに応じて金を落とす。金が一定金額貯まると、まもって騎士は「城」で持っている金を使用してレベルアップを行い、能力を上昇させることが出来る。ステージクリア時に持っていた金額は拠点へと持ち帰ることが出来るので、必要以上にレベルアップさせない為の見極めが重要となる。
    • まもって騎士の戦闘力は「姫」からの距離に応じて決まり、「姫」から離れる程にステータスが下がっていく。この為、敢えて姫を前線に押し出して戦うというプレイングも選択肢に入る。
    • 「城」は攻撃を受けると徐々に崩れていき、完全に崩壊するとレベルアップが出来なくなる他、ステージクリア時のアイテムルーレットの品揃えが悪くなる。
    • 「姫」、「城」ともに拠点にて金を使うことでレベルアップさせることが出来る。レベルに応じて「姫」及び「城」の戦闘力は上昇する。
  • ジェネレーター
    • 多くのマップには敵を生み出すジェネレーターが設置されている。多くのジェネレーターには敵の発生回数に制限が設けられているが、中には無限に敵が発生するジェネレーターもある。
    • この為、姫を防衛するだけでなく、敵に切り込み攻撃に転じる必要もあり、攻防を素早く切り替えるプレイングが重要となる。

評価点

本気の80年代パロディ

  • 本作を一言で表現すると「プロが超本気で作った80年代パロディ」。2014年発売の作品にもかかわらずグラフィックは8ビット、サウンドはファミコン音源という徹底ぶりで、80年代のゲームソフトを再現している。
    • ちなみに本作の音楽をFM音源に変換するDLCが配信されている。
  • ゲームを開始するとまず画面がバグったような演出が入り、ソフトに息を吹きかける演出に合わせて3DSのマイクに息を吹くことで起動することが出来るようになる。この演出はスタートボタンでスキップ出来るが、当時の雰囲気を味わう為にも一度は試して頂きたい。
  • OPは曲に合わせて歌詞が表示されるというカラオケ方式で、往年のスパロボシリーズを想起させる。
  • キャラデザも「80年代っぽい」出来栄え。分かる人に伝えるならば「富士見ファンタジア文庫」系統の絵柄に近い。
  • ステージクリア時に表示されるアイキャッチも当時のパロディになっている。「ビックリ○ンチョコ」「超時空要塞マク○ス」といった分かり易いものから、まさかの「ガン○ム」のパクリプラモである「モビルフォース ガン○ル」のネタまで、実に多彩なネタが用意されている。
    • 開発ブログによると「そのまま過ぎて」ボツになったイラストもあったらしい。
  • 公式サイトには「コミックゴンゴン」掲載の「ファミキッドまもる」というどこかで見たような宣伝漫画が掲載されており、分かり易く本作のシステムを解説している。
    • ちなみにこの漫画は「当時よくあったホビー漫画」の内容を完璧に押さえており、「敵がそのソフトを使って勝負を申し込んでくる」という導入から、「主人公の必殺技があまりにも荒業である」という点まできちんと当時のことを「分かっている」出来栄え。

爽快なアクション

  • 敵はわらわらと湧いて来るが、序盤~中盤のうちはあまり強くはなく、ガンガン倒せるので非常に爽快感がある。
    • 敵がドロップした金やアイテムは自動的に回収されるので、敵を倒すことのみに集中できる。

音楽

  • 本作には古代祐三をはじめ、『スペースハリアー』『アフターバーナー』の川口博史、『ドラゴンスピリット』の細江慎治、『グラディウスII』の古川元亮、『ダライアス』『ニンジャウォーリアーズ』のOGRこと小倉久佳と、錚々たる顔ぶれのサウンドコンポーザーが楽曲提供しており、ハイクオリティな音楽を楽しむことが出来る。
  • 特に古代祐三作曲のオープニングテーマ「ゆけ!まもって騎士」及びエンディングテーマ「恋の8ビットメモリーズ」は良曲とされている。前者は当時のゲームOPっぽさを上手く再現しており、後者は当時の流行歌っぽく乙女の恋を表現している。

魅力的なキャラクター

  • まもって騎士達は皆個性的で分かり易いキャラ付けが為されており、要所要所に挟み込まれる彼らの会話パートは非常に楽しいものとなっている。ストーリーはむしろ絶望的な状況から始まるにもかかわらず、彼らの雰囲気は終始明るくマイペースで、悲壮感を感じさせない。このことがゲーム自体の雰囲気を明るく楽しいものにしている。
    • ちなみにローラ姫の台詞はメタ発言お構いなしのやりたい放題っぷりであり、「4・6・4・5 レビューのスコアは こんなかんじかしら?」*1等と言いだす始末。
  • 加えてまもって騎士以外のキャラクターも非常に個性的。重要なお告げを聞いたのでローラ姫に伝えねばならないのだが、恥ずかしさからローラ姫の前に出られないので延々とローラ姫を影から見守っている「ミコ」、毒のある台詞を吐く妖精たち、どこかとぼけていて憎めない敵幹部など、敵味方問わず非常に印象的。

ゲームボリューム

  • 本作は「イージー」「ノーマル」「ハード」「ヘル」(DLCで「ヘル+」が追加される)の各難易度ごとに全100ステージ用意されており、難易度を変えると敵配置・敵種類ともにガラッと変わる。つまり実質400ステージが用意されているのである。
  • 加えてマップエディタも搭載されており、作ったマップをQRコードとして配布することも可能。他人の作ったマップを遊べることを考えると、プレイアビリティは無限大である。

賛否両論点

ストーリー

  • ストーリーは賛否両論。
    + 以下ストーリーのネタバレ。
  • 本作の戦いは要するにローラ姫とその姉、マリア姫との姉妹喧嘩であったことが最終決戦後に明かされる。しかも理由は「ローラ姫が叫び声でマリア姫を魔界へ吹き飛ばしてしまった*2」というもので全面的にローラ姫が悪く、しかもローラ姫はその後数年に渡って魔界へと吹き飛ばされたマリア姫のことを忘れていたなど、色々と酷い。
    • 一応、ローラ姫に悪気があった訳ではなく、理由を知ってからはすぐに姉と和解して大団円を迎える。だが、そもそもローラ姫自体が露骨な「わがまま姫」であり、反感を買いやすいキャラ造形になっている。
    • 本作はメタ発言の多さなどから見ても分かる通り全体的にギャグ調が非常に強い作品であり、シリアス要素は皆無なので、意図的に排除したものと思われる。またドタバタコメディへの導入として誰かがトラブルメイカーを務めなければならないのも事実。
  • エンディング後の8ビットの精の台詞は、80年代からゲームを愛し続けている人間に向けた感動のメッセージとして、その層からの評価が高い。
    • が、逆に言えば「その層以外のプレイヤー」にとってはいまいち心に響かない。

問題点

マップが変化に乏しい

  • ゲーム自体がスタンダードなタワーディフェンスなので仕方がない面はあるのだが、マップの変化が乏しく、何ステージもプレイしているとやや単調。
  • 特に「ミノタウロスが大量に押し寄せてくる」というマップは5~6ステージ程もあり、面倒臭さ*3も相まって「またこれか…」という印象を抱きやすい。

敵の鬱陶しさ

  • 敵を倒す爽快感を感じられるのは序盤~中盤だけで、後はひたすら強い敵に耐え抜いて反撃、という展開となる。
    • このこと自体はタワーディフェンスなのだから仕方がないと言えるが、問題は反撃が非常に困難な敵がいるという点。例えばレアゴブリンは自身の移動する足跡に砲台を設置するので、いざ反撃、とバリケードから出た瞬間に無数の砲台に狙われてハメ殺される、という展開になりやすい。
  • また高難度になればなる程鬱陶しい敵が増える為、終盤で飽きやすい。例えば一撃でこちらのHPを半分以上削り、はるか先まで吹っ飛ばす威力の溜めパンチを放つレアミノタウロス*4、撃破すると周囲に毒をまき散らすゾンビ系、飛び道具を撃ってくる為大人数になるとハメ殺されるサキュバス系、周囲を吹き飛ばす回転切りを放つダークナイト系、氷結効果を持つ息を吐くデーモン系、バリケードを飛び越えて姫を攫いにくるグリフォン系、ノックバック効果のある爆弾を投げてくるわ~べあ~系など。これらが高レベルで大挙して押し寄せてくるとなると、プレイヤーが辟易するのも無理はない。
  • 敵が設置したり、元からステージに設置してあったりする敵砲台も鬱陶しい。周囲360度カバーする正確な照準と猛烈な速度の連射を兼ね備えており、2門以上の砲台があると砲台から撃ち出される矢のノックバックで移動もままならなくなる。

難易度調節が大雑把

  • このゲームの敵の強さは見た目が4段階、実質的な強さはレベル1~20までのうちいずれかに設定してあるが、レベルが1変わったところで実感できるような変化はない。寧ろ見た目で分かる4段階の変化がかなり大きな差異となっており、敵の強さは実質4段階で変化していると見るべきだろう。100ステージ存在するゲームで敵の強さが4段階で変化すると言えば、どれだけ大雑把か分かるだろうか。
  • ステージ難易度は星の数で表現されているが、星は最大で10個しかない。「イージー」「ノーマル」「ハード」「ヘル」の4段階、各100面構成なので実質このゲームには400ステージ収録されている。400ステージに対して10段階評価は大雑把だろう。実際、☆7のステージより☆8のステージの方が簡単な事例なども多々ある。
  • また、アクションの関係で特定のキャラ以外でクリアするのが実質不可能となっているステージもある。
  • サウンドモードの開放条件にもなっている、実績の条件もかなり適当。全キャラ・全難易度で全てのボスを倒さなければならないのも面倒だが、それ以上に「施設の強化」の実績が莫大な金銭を必要とし、かなりキツい。

素材集めにかなり運が絡む

  • 武器やスキルを作成・強化していく為には敵を倒して素材を集めていく必要があるのだが、素材のドロップはかなり運頼み。特に「眼鏡」「王冠」「ケーキ」「チョコケーキ」「金の角」「赤い牙」あたりは安定して足りなくなる。
  • また各武器分類の最強武器を作成する為に必要な「宝石」は、ノーマル以下ではステージクリア後のルーレットでしか入手できない。一応ルーレットの目押しは可能だが…。

DLC「光と闇のMSSP」

「みんなでまもって騎士」のDLC第一弾だが、これを導入することによりゲーム性が大幅に変化するので項を設けて別記する。

概要(MSSP)

「みんなでまもって騎士」DLC第一弾。価格は800円(税5%込)。
実況プレイヤー「M.S.S.Project」とのコラボ企画であり、本DLCを導入することで通常モードに対して「MSSPモード」が選択可能となる。
「MSSPモード」では彼らを主人公にした本編とは別のシナリオが繰り広げられる他、ゲーム性が大幅に変化する。


特徴(MSSP)

  • クラスチェンジ
    • MSSPモードでは初期職業に関わらず、マップ上の城で職業を自由に変えることが変えることが出来る。
    • 例えば序盤はメイジの範囲攻撃で攻め、ボス登場と同時にジイヤのミサイルで連打する、といった使い方も可能。
  • アルパカ
    • MSSPモードではマップにアルパカが複数配置されている。アルパカは雑魚の攻撃一発で死んでしまうが、うまく城へ誘導出来ればMSSPメンバーと使用したクラスに経験値が入る。
    • MSSP個人、クラス共に経験値が一定値に達するとステータス上昇効果や特殊スキルが取得出来る。
  • ジジイルーレット
    • 画面左下にジイヤをモチーフにしたルーレットが表示されており、攻撃やダメージ、アルパカ取得等の行動に反応してルーレットが回り出す。
    • ルーレットは当たれば様々な恩恵が受けられるが、外れれば敵が城の傍に出現するなどして逆にピンチに陥る。

評価点(MSSP)

専用シナリオ

  • MSSPモードではMSSPを主人公及び敵にしたオリジナルシナリオが展開される。
  • 具体的なストーリーは、MSSPのライブ中にMSSPとそのファンの女の子「まもら」が異世界へと召喚され、MSSPは「まもら騎士」として「まもら」を守るために戦うことになる、というもの。異世界から召喚されたMSSPから取り出した「チュウニの力」から敵幹部が作られているので、敵幹部もMSSPの顔をしている。
  • 低価格帯のDLゲーム、そのDLC一つの為にシナリオが丸々作り直されていることについては一定の評価を得ている。

専用システム

  • マップなどは通常モードの使い回しだが、上記のような専用システムにより新鮮な気持ちでプレイ出来る。
  • また、ボス撃破後にレースやシューティング等のミニゲームが用意されており、こちらは通常モードには無かった完全新規ゲームとなっている。

MSSPネタが多め

  • MSSPが過去の実況動画で繰り広げた持ちネタが散りばめられており、MSSPファンには堪らないだろう。

賛否両論点(MSSP)

ゲーム実況者をアイドル的に起用するという点

  • そもそも「ゲーム実況者」というのはその存在そのものを含めて賛否両論であり、今でこそ業界側が実況プレイを依頼するなど歩み寄りを見せているとは言え、(公式に配信が認可されているソフトを除けば)他者の著作物を無断で配信して人気を得ているという、法的に言えば黒よりな存在である*5。そのような人間を起用するだけでなく、ゲーム内で大きく扱うことに関しては当然プレイヤー内にも反感の声がある。
    • MSSPも現在は公的なゲーム宣伝などを行っているが、過去から許諾されてる作品の実況に一貫しているなら兎も角、過去には配信が許可されていないゲーム実況を行ってきているので尚更である。

MSSPのファンに向けすぎた内輪ネタ

  • 上述した「ゲーム実況者と言うジャンルに対する反発」を抜きにしても、ゲーム実況と言うジャンルは決してメジャーなものではない。どんな人気実況者であっても、その知名度は「ごく限られたコミュニティの中で知る人ぞ知る」程度に過ぎず、無論MSSPも例外ではない。よってほとんどのプレイヤーにとっては、「MSSPって誰?」程度の認識しかない。
  • にもかかわらず、このDLCにはMSSPネタが多数含まれている。MSSPを知らない人がこのDLCを楽しめるかと言われると疑問符が付く。
  • 一応、MSSPの実況によって前身であるインディーズゲーム『まもって騎士』の知名度が上がり、本作の発売にこぎつけた……と言う経過があるため、全く誰得なコラボと言う訳ではない。だが、あまりにターゲットが限られ過ぎている。
    • システム的には魅力的な追加要素が多数盛り込まれているのに、ストーリーの対象層が限られているため、MSSPファン以外のプレイヤーにとっては「MSSPが邪魔」と言わざるを得ないのが実情である。「僅かなオマケ程度のシナリオ」にするか、「MSSP無しのDLCも用意」するか、どちらかであれば、まだ良かったのだが……

問題点(MSSP)

シューティングゲームが異常に難しい

  • MSSPモードではミニゲームとして、レーシングやシューティングを強要される場面がある。問題はそのシューティングが異常に難しいこと。
  • 自機の判定が大きく、敵の弾丸の当たり判定も大き目。しかし最大の問題点は自機「ライトブリンガー」の弾丸が放物線上に飛んでいくという点、そして弾丸を連射すると次第にその放物線の飛距離が短くなっていくという点にある。このSTG界前代未聞の仕様により回避行動に全く集中出来ない他、常に相手との位置取りを考える必要があり自機の位置が定まらない。そんな状態で自機狙いの3WAY弾や5WAY弾を避けろと言う方が無茶である。
  • あまりに難易度が高いという声が多かったのか、「まもって騎士」公式ブログにこのシューティングの攻略法が載る始末。しかしそれも攻略記事の体を成しているかと言われると疑問であり、「ニュータイプにならないとクリアできないと思われます…。」など投げやりな記述も見られる。自分達でクリア出来ないような代物を商品化するのは如何なものか…。
  • 一応ゲームオーバーになると「クリアしたことにして先に進む」という選択肢が出るので、このSTGが出来ないからと言って詰むことはないのが救いか。

総評

昨今のゲーム業界は生産者・消費者共に年齢層が上昇傾向にあり、特に80年代風・ファミコン風ゲームについては枚挙に暇がない程作られている。
本作もその一つではあるが、古代祐三はじめ、実際に80年代に人々を魅了したクリエイター達が本気で80年代のパロディゲームを作ったことで、凡百のそれらとは一線を画す出来となったのである。
徹底的に80年代を再現しながらも、当時のゲーム機ではマシンパワー的に実現不可能な「タワーディフェンス」というゲームジャンルを取った点は、古代祐三による80年代への意趣返しとも見ることが可能だ。
とは言え純粋なタワーディフェンスとしての完成度はやや粗く、DLCも賛否両論な評価となっている。ファミコン世代以外には薦めづらいソフトである。

しかしファミコン世代の人々には是非手に取って頂きたい。本作は古代祐三からファミコン世代への挑戦状であると同時に、少年時代の思い出への誘いでもあるからだ。本作をプレイして、暫しファミコンカセットに息を吹きかけていた頃の気持ちに戻ってみるのはいかがだろうか。


その後の展開

  • 2017年に発売3周年記念として「みんなでまもって騎士 アマゾンのダイエット大作戦」というスピンオフ作品が無料配信された(日本語・英語に対応)。
    • 内容はアマゾンがダイエットのためにケーキを避けながら走り続けるというアクションゲームであり、本作とは完全に別物。
    • 対応機種はなんとファミコン。しかも各種FCエミュレータで起動できるROMデータとして配信されており、エミュレータやROMデータの扱いに詳しくない人にはハードルが高い(公式HPでも起動方法について「お答えできません」と断っている)。
    • 【注意】近年、本作のファミコンカセットと称するものがフリマアプリ・ネットオークションなどに高額で出品されている。本作のオリジナルはROMデータでしか提供されていないので、これらのカセットは無断で製作された違法コピー品である可能性が高い。
  • 2019年10月10日にNintendo Switchで『すすめ!! まもって騎士 姫の突撃セレナーデ』が販売された。

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最終更新:2023年03月30日 22:31

*1 言うまでもなく元ネタはファミ通のクロスレビュー。ちなみに実際の本作のスコアは8・7・8・9。

*2 ローラ姫の叫び声には世界を壊滅させる程の威力がある。ローラ姫が攻撃されるとゲームオーバーになるのは、彼女の叫び声で世界が滅んでしまうから。

*3 ミノタウロスは本ゲームの雑魚敵の中でも随一の体力を持ち、吹き飛ばし効果のあるパンチを連発してくる。しかも高レベルになると更に威力の高い溜めパンチも混ぜてくる。

*4 因みにレア系の敵は全て、撃破すると爆発してダメージを受ける。

*5 著作権侵害は親告制で、基本的に侵害されている側が告発しない限り立件できない。だが、企業側が告訴すれば被告となった侵害者は確実に敗訴し前科が付く。過去にも任天堂法務部がポケモン同人誌の作者に略式起訴を行った判例がある。