DEAD RISING 3

【でっどらいじんぐすりー】

ジャンル ゾンビパラダイスアクション

対応機種 Xbox One
Windows 7~8(64bit)
発売元 日本マイクロソフト
開発元 カプコンバンクーバー
発売日 【One】2014年9月4日
【Win】2014年9月3日
定価 【One】
 パッケージ版:6,900円
 ダウンロード版:6,400円
【Win】
 ダウンロード版:6,900円
プレイ人数 1~2人
レーティング CERO:Z(18才以上のみ対象)
判定 良作
ポイント オープンワールドの『DEAD RISING』
薙ぎ倒す爽快感はシリーズ随一
キャラは敵も味方もしっかり描写
今までと違うシリアスなストーリー
雑な作り込みは問題あり
DEAD RISINGシリーズ


後の祭りにようこそ。



概要

Oneのローンチタイトルとして発売された『DEAD RISING』シリーズのナンバリング作品。
オープンワールドで描かれた「Los Perdidos」の街を舞台に主人公ニックは仲間と共に脱出することを目指す。

前作の開発に携わったカプコンバンクーバー(旧:Blue Castle Games)が本作の開発を一手に担っている。
洋ゲー風に作られた前々作・国内外共同開発の前作とは違って純然たる洋ゲーとなっており、シリーズ生みの親の稲船敬二氏も関わっていない
また、マイクロソフトが開発に協力且つ、パブリッシャーとなったことでOne/Winでの独占供給となった。


特徴や変更点

  • オープンワールドに圧倒的な数のゾンビ
    • シリーズ初のオープンワールドになり、これまで悩まされていたエリア間ロードは無くなった。Los Perdidosは4つの街区に分かれており、それぞれを高速道路や連絡通路などが結んでいる。
    • ハードの性能が上昇したことで描写できるゾンビの数も圧倒的に増えた。時間と共にゾンビも増え、最終的には横断すら一苦労になる場面も。
  • コンボ武器とコンボ車両
    • 『2』で初登場した、複数のアイテムを組み合わせて作るコンボ武器のシステムは、既定の場所で作るものではなくなり、アイテムさえあればどんな時でも作り出せるように。今まで以上に、道中で拾ったアイテムをやりくりして進めやすくなっている。
      • コンボ武器をさらに強化するスーパーコンボ武器も登場。スーパーコンボ武器をさらに何度も強化するコンボも存在し、一振りで100体近くのゾンビを葬ることができる代物もある。
    • 自動車整備士である主人公のニックは、なんと車同士を組み合わせてコンボ車両を作り出す。どのコンボ車両も非常に強力で、広い街を移動するにはありがたい戦力になる。
  • セーフルーム
    • 街の各地にはセーフルームが存在する。初めはゾンビに占領されているが、一掃すると機能が利用できるようになる。
    • セーフルームでは、セーブの他にも今まで一度でも使用したことのある(着替えたことのある)武器アイテムや着替えを自由に取り出すことが出来る(武器には制限があるが)。
    • これにより多少難易度は下がっているが、あるアイテム、着替えたい服のために街の端から端に移動する手間は省けている。
    • また、ミッションで助けた生存者を呼び出して連れ歩ける。一定の距離離れると自動で帰還するので「知らないところで死んでいた」といった事故は減った。
  • Xbox SmartGlassとの連動
    • Windows 8搭載PCやスマートフォンにインストールしたスマートグラスを利用する事で、おまけの機能を利用できる。
      • スマートグラス専用の簡単なミッションがあったり、そのクリア時にもらえるポイントを消費して各地におかれたアイテムの入った箱や部屋を開放、同じくポイント消費で援護爆撃などを要請することも。
    • 他にも地図やミッションの情報など、ゲームをボタンで中断させる事なく見られるのもポイントである。
    • なお、DLC第4話のプレイヤーはこのスマートグラスミッションに登場するキャラクターである。
  • その他にも多くの修正、追加がされている。

評価点

  • シリーズの正統進化
    • 後述の通り、シリーズの中でもかなりシリアス寄りでその点は批判されがちではあるが、落ちているものを何でも武器にしたり、シリアスな空気のムービーをとんでもない服装でぶち壊したりなど、『1』から続くコンセプトに関してはブレがない。
    • また、道路を埋め尽くすほどのゾンビに対し、初めは囲まれたらアウト、成長するにつれ蹴散らせるようになる様は、非常に爽快感に溢れている。
    • これまではマップの出入りごとにロードが入り、特に『2』はそれに関する批判が多かった。だが本作はオープンワールドになり、プレイ中のロードはほぼ0に。車に乗って移動してもゾンビの配置が間に合わないといった事はない。
  • ストーリーやキャラクター
    • 基本的にはベタなゾンビ物といえるが、破綻や矛盾なども無く良く出来ている。終盤の展開にはきっと驚くことになるだろう。
    • 七つの大罪をモチーフにした各サイコパスは皆特徴的で、特にメインストーリーで絡む一人は、このゲームで一番ホラーしているという声も聞かれる。
  • 大幅に増した利便性
    • 特徴にあるように、コンボ武器やセーフルームの仕様によって街を行ったり来たりというストレスは無くなっている。
    • 他にも、通常のモードでは制限時間がこれまでに比べはっきり分かる程に延びており、色々と手をつけても時間に追われにくくなっていたり等、改善されている部分は多い。

賛否両論点

  • シリアスすぎるストーリー・雰囲気
    • そもそも、プレイヤーが大量のゾンビに襲われるという絶望的シチュエーションであれば、物語の雰囲気が暗くなるのは当然であり、『1』と『2』もメインストーリー自体はシリアスなものであった。
    • しかし、『1』『2』はそんな暗さを吹き飛ばすような、コミカルでぶっ飛んだ雰囲気も併せ持っている事が魅力な作品であった。
      • 本作はメインストーリーだけでなく、全体的な雰囲気が1作目や2作目よりも暗めであり、作品自体がシリアス寄りになっている点に関して賛否が分かれている。
  • 一部キャラクターの扱いにも批判がある。
    • 特にディックはCO-OPの際に2Pが操作するキャラだが、1人プレイ時はあまりにも影が薄いために、もっと活躍の場があってもいいという声も(一応ムービーシーンに登場したりはする)。
      • またクリア後明かされる真実が、とあるキャラクターの評価を大幅に下げることとなった。これに関しては批判する人も多い。
  • 『デッドライジング』『デッドライジング2』で登場した「フランク・ウェスト」が未登場。
    • 『デッドライジング』の顔と言われるほど人気だったキャラクターなだけあって、彼が登場しないなら買わないといった声も。
    • 一方で、前作、前々作(DLC)で主人公を務めた彼が登場すると、存在感が大きくなりすぎるため、物語に緊張感が無くなる可能性がある。
  • コンボ武器
    • 『2』でも登場したコンボ武器だが、今作ではその仕様が大幅に変わっている。
      • 大きな変更点として、先述の通り特定のエリアに資材を持ち込む必要が無く、その場での作成が可能になったため、材料で荷物を圧迫されることが少なくなった。
      • その応用で、耐久の減った武器を材料に回すことで擬似的に武器を長持ちさせられるようにもなった(例:弾切れ寸前のハンドガン+懐中電灯でコンボ武器化(弾数回復)、壊れる寸前の日本刀+斧でコンボ武器化(耐久回復)etc.)。
      • これにより、強力な武器をすぐに作れてしまうため、サバイバル感が薄れてしまう。
    • Lvアップ時に手に入るポイントでコンボカテゴリーを取得すると、そのカテゴリ内のコンボの条件が緩和される。
      • 具体例を挙げると、アサルトライフル+ショットガンで「Z.A.R」という前者に後者を括り付けた銃器が作れるのだが、銃器カテゴリを取得すると銃器2つなら何でもOKとなり、ハンドガン2つでもこれが作れてしまうという突っ込み所満載の事態となる。
      • 製作が容易になるのはシステムとしてはありがたいが、なんでもあり感が強く出てしまう。
    • コンボ武器の性能自体も概ね強くなっており、前作のように作る意味が薄い物はかなり減っている。
      • だが今度は強くなりすぎた物も出てきており、それらを入手するとゲーム性は崩壊気味になる。ソロプレイならまだいいが、COOPモードで使おうものなら…*1
      • 今まで使用したアイテムを取り出せる武器ロッカーと、強力な上に疑似的に何度か修理できるスーパーコンボ武器を組み合わせるともう止まらない。
      • とはいえ、今作はマップ上に出現するゾンビの数が圧倒的に増えているため、これらを駆使した際の爽快感はシリーズ随一となっている。
    • 地味ながら影響の大きい変更点として、前作では設計図を未収得のコンボ武器は「性能が劣化」する程度だったのが、本作では「作ることすら出来ない」ようになってしまった。
      • Lvが低く設計図もほとんど無い序盤は、さらに辛いことに…。

問題点

  • 大雑把なローカライズによる誤訳、誤字
    • 今作ではアイテム名が日本語表記になるなど、英語表記だらけだった前作よりは分かり易くなったのだが、一方でローカライズの過程で生じた別の問題が多数存在する。
    • 有名なのは「原)マザーファッカー → 訳)お母さん」や「なんでその人殺したん?(最後の"だ"が抜けている)」など。
    • とあるサイドミッションで「プロパンガスを持ってきてくれ」と頼まれるのだが、実際のアイテム名はガスボンベである*2
    • その他にも多く見られ、ローカライズの雑さが見て取れてしまう。
  • セーブデータが1個だけしかない。
    • つまり、また初期状態から始めたい場合はセーブデータを消すしかない(Win版は隔離可能)。
    • 旧作は3つまでセーブすることができたのに何故か劣化している。
  • 相変わらずCO-OPでのコミュニケーション手段が全くない。
    • 『OTR』では喜びモーションをすることができ、それを相方の近くで同時にやるとハイタッチするという唯一の交流手段があったが、今作で何故か削除されている。
  • 実績「マスター」
    • この実績は、PPトライアルと呼ばれるゲーム内実績を全てクリアすると入手できるのだが、一部非常に面倒くさいものが存在しており、これに関しては批判が多い。
    • 「あんた最高だよ」
      • 200000体のゾンビを倒すというものでこの時点で面倒である上、別に用意されている100004体のゾンビを倒す実績は完全に通過地点となっている。
+ 本当の地獄
  • 実は「あんた最高だよ」の前にそれぞれ5000、10000、53594、72000体倒すトライアルをクリアしなければならない。これは毎回カウントが0から始まるため、全てクリアするためにはなんと340594体のゾンビを倒す計算に。多くのプレイヤーは効率の良い場所で無心にゾンビを倒す羽目になった。
  • コンボ武器を50回作成系、特定の武器でゾンビを○体倒す系
    • 完全に水増しであり、使いづらい武器もあったりで意識して行わない限り作業的なプレイを強いられる事になる。

総評

本作は『1』『2』を監修してきた稲船氏がおらず、また完全に海外での制作となったため、発売前には不安の声もあった。
しかし、発売後は自動車系や本作から登場した新しいコンボ武器の登場で前作以上にゾンビを薙ぎ倒すシリーズ随一の爽快感を味わえる。
登場するキャラクターも全て明確に描かれ、七つの大罪をモチーフにしたサイコパスも意味に合ったキャラクター性を掴んでおり、Oneのローンチにふさわしいハードの性能を十分に生かした素晴らしいゲームであるとの評価を受けている。
バカゲーらしさがウリだったストーリーはシリアス寄りな描写はやや賛否気味で誤訳や雑な作り込みも不満が残った。
Oneは国内では厳しい状況ではあるが、本作は間違いなく360における『1』のようにおすすめできる作品になっているといえるだろう。


余談

  • 国内はOneの発売が海外に比べ大幅に遅れた。おそらくその補填なのか、本作の新品にはサイドストーリーや追加武器などを含むシーズンパスのダウンロードコードが封入されている。

その後の展開

  • 2016年12月8日に『DEAD RISING 4』がOne/Winで発売。1年後には完全版がPS4でも発売された。
    • お馴染みのフランク・ウェストが主人公として久方ぶりに戻ってきたが、久々の晴れ舞台はシリーズの終焉をもたらす悲惨なクオリティによって台無しとなってしまった。

+ そしてE3にてプレイヤーを待ち受けていたのはあまりにもブッ飛んだDLCだった…。

SUPER ULTRA DEAD RISING 3' ARCADE REMIX HYPER EDITION EX PLUS ALPHA

【すーぱーうるとらでっどらいじんぐすりーあーけーどりみっくすはいぱーえでぃしょんいーえっくすぷらすあるふぁ】

ジャンル アクション
プレイ人数 1~4人
ポイント バカゲー

概要

2014年6月に開催されたE3の場において、突如発表され即日配信開始となったDLC。内容としては本編関係なしのタイトル通りのバカゲー、そしてカプコン製ゲームのパロディゲーとなっている。
この長いタイトルは全て、過去の『ストリートファイター』シリーズで使用された単語から成っている。
「SUPER」「ULTRA」はシリーズ全般から、「ダッシュ」「HYPER」は『ストII』から、「ARCADE」は『スパIV』から、「REMIX」は『スパIIX』から、「EDITION」は該当多数、「EX PLUS」は『ストEX』から、「ALPHA」は『ストZERO (の海外版タイトル)』から取られている。
つまり、ストリートファイターシリーズが伝統的に、シリーズ更新毎にどんどん単語が付け足されていく為、最終的にゲーム名が異常に長くなるという点をいじったギャグ。 存分に「長えよ!」と突っ込んでいただきたい。なお、以下でタイトルを出す場合は『スーパーウルトラデッドライジング3』とする。これでも長いのだが。


特徴

  • 一言で言えば『デッドライジング』無双である。
    • プレイヤーはニック、アニー、『2』の主人公チャック、『1』の主人公フランクの4人から1人、さらに各キャラのコスチューム(性能や技などが異なる)を選択して、各ステージでお題をクリアしていく。
    • 選択できるコスチュームは各キャラ初めの2つこそ、シリーズの中で出てきたものばかりであるが、3つ目以降はどのキャラもぶっ飛んでいる。
      • 一例を挙げると、『ヴァンパイア』シリーズのフェリシアに扮するニックや、バレッタに扮するフランク(もちろん声は彼らが当てている)、『ブレス オブ ファイア』のニーナや、『ジャスティス学園』の沢村将馬など、そのチョイスには笑いと驚きを隠せないだろう。
  • 体力回復アイテムが骨付き肉、必殺ゲージ回復がE缶(ならぬS缶)、得点アイテムが弥七であるなど、他にもネタは尽きない。

評価点

  • 本編とはうってかわって明るい雰囲気
    • シリアスのシの字もないといっても過言ではない。ゾンビは本当にただのやられ役である。
  • キャラの再現などといったよくできたパロディ
    • 技のバリエーションは少ないとはいえ、どのコスチュームも元となったキャラを特徴的に表せている。
  • 触れるだけでアイテムを取得したり、車に乗ることができたりなど操作性自体も悪くない。

問題点

  • ゲームとしては大味
    • 例えば攻撃に関しては、無双のようにボタンを押す順番でコンボといったことはなく、弱攻撃、強攻撃、特殊技、必殺技とボタンが分かれているだけであるため、プレイは単調になりやすい。
    • コスチューム開放や実績の解除など長くはないが作業が必要で、ステージに分岐などもないため、ワンパターンになる。
    • ステージクリアから次のステージへ向かうまでのリザルト画面も非常に長くテンポが悪い上、ボタンでスキップは不可。
  • つまり、ただ笑ってプレイできるのは序盤だけである。フレンドを集めてプレイすれば多少はましになるが、野良や1人でのプレイには苦痛を伴う可能性がある。

総評

コンセプトは悪くないバカゲーなのだが、そのダルさなどから1人よりもフレンドとのパーティプレイ向けなDLCといえるだろう。このDLCをプレイする事で本編の息抜きついでに、カプコンが一応自社作品の事を忘れていないということが確認できる。


備考

  • タイトルロゴには「'(ダッシュ)」も入っているが、タイトルコールでは呼ばれないため、この項の読み方の部分もそれに準拠している。
  • シーズンパスには本DLCは含まれていない。
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  • マイクロソフト
  • カプコン
  • DEADRISING

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最終更新:2023年10月24日 16:16

*1 最序盤でも入手可能なグリムリーパー一式・少し先で手に入るパワーシャウト一式やエレクトリックスタッフ一式など使うとゾンビがただの歩く経験値と化す。

*2 英語版では「PropaneTank」となっている。