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依頼内容は「シリーズファンによる不評点の加筆」です。


ラブライブ! School idol paradise Vol.1 Printemps / Vol.2 BiBi / Vol.3 lily white

【らぶらいぶ すくーるあいどるぱらだいす ぷらんたん/びび/りりーほわいと】

ジャンル ライブクリエイトアクション(リズムアクション+ADV)


対応機種 プレイステーション・ヴィータ
発売元 角川ゲームス
開発元 ディンゴ
発売日 2014年8月28日
定価 初回限定版:各9,980円
通常版:各6,480円
DL版:各5,980円(全て税別)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
判定 シリーズファンから不評
ポイント 驚異の9人同時表示を実現
CGやシナリオは不評
電撃G's magazineシリーズ・関連作品リンク


概要

雑誌『電撃G'sマガジン』の雑誌企画としてスタートし、その後のTVアニメの放送を機に爆発的な人気を獲得したコンテンツ『ラブライブ!』。本作はラブライブ!初のコンシューマーゲームである。 設定やキャラクターの外見などはTVアニメ版を元にしている。

公称ゲームジャンルは「ライブクリエイトアクション」。いわゆるリズムアクション(音ゲー)の一種だが、プレイヤーがライブの演出を操作して自分だけのステージを造り上げる感覚を追求している。
開発は、キャラ物リズムアクションの傑作と名高い『初音ミク -Project DIVA-』PSPシリーズ3作を生み出したディンゴが担当している。

『ラブライブ!』は「μ's」という9人組ユニットが主人公だが、彼女らは「Printemps」「BiBi」「lily white」という3人ずつの小ユニットを組んでいる。本作はそれを踏まえて3つのユニットそれぞれにスポットを当てた3バージョンが同時発売された。それぞれ収録楽曲などが異なっている(9人全員で歌う曲も全バージョンに共通収録されている)。
さらに3バージョンそれぞれにつき、ミニフィギュア「ねんどろいど ぷち」3体が付属する初回限定版が存在する。

システム

  • 3DCGモデルによるライブステージ映像を背景にして、画面上の任意の位置に、任意のタイミングで円弧状のレーンが表示される。タイムラグを置いて、その上に複数のアイコンが表示される。そして円弧の中心から円弧上のアイコンに向かって、別のアイコンが放射状に飛んで行く。両者が重なったタイミングでVita本体の対応するボタンを押す。
  • ひとつの円弧は楽曲のひとつのフレーズに対応しており、円弧上のアイコンが終わると別の円弧が描かれる。また円弧上を滑るアイコンもあリ、これに対しては終点までボタンを押し続ける。
  • 以上の説明を読んでもわからないという方は、YouTubeにアップされている公式トレーラーなどをご覧いただきたい。
  • 「アイコンが画面全体を飛び交いプレーヤーの視線がそれを追うため、背景のPV映像が必然的に目に入る」という点は『Project DIVA』に類似しているといえる。しかし本作ではアイコンの配置箇所を円弧状のレーンに限定しているので、レーン上の配置間隔から視覚によりリズムを把握することが常に可能となっている。
  • アナログスティックには、各色のライトや「バルーンボール」「リンガーベル」などの特殊効果が割り当てられており、プレイ中にステージ演出をリアルタイムで任意に発生させることができる。

モード

  • ストーリーモード……以下の3編で構成されている。
    • μ'sメンバーと会話して物語を読み進める「シナリオパート」
    • ライブの各種詳細を決める「ディスカッションパート」
    • プレイヤーがライブ演出を操作して盛り上げる「ライブパート」
  • フリーライブ……各種設定を自由に選んで好きな曲を遊べる。PV鑑賞も可能。
  • ライブミッション……ライブにおいて、特定条件の達成を目指す。
  • 部室……メイン3人のキャラを着替えさせたり、サブシナリオを見たりできる。

評価点

  • 『ラブライブ!』の歌と踊りを堪能できるリズムアクションゲームであること。
    • 多彩な楽曲とハイレベルなダンス、そして魅力ある歌声がウリのコンテンツであり、「リズムアクション」としてゲーム化したことは妥当である。
    • シナリオモードやディスカッションパートという形でμ'sメンバーたちのキャラクター性をアピールするというコンセプトも妥当である。後述するシナリオの内容も良い言い方をすれば「無難」であり、少なくともアニメ以降のファンが憤慨するような物ではない。
  • 携帯機では実現困難なリアルタイム9人ライブ。
    • ライブパートでは、最大9人のメンバーがリアルタイム描画されたステージシーンが表示される。
    • 他の「女の子が歌って踊るゲーム」に目を向けると、例えば同じディンゴが関わった『Project DIVA』シリーズでは同時表示人数は(一部の例外を除いて)3人、コンテンツとしての対抗馬と言われることが多い『アイドルマスターシリーズ』では(プリレンダリングムービー*1を除いて)5人である。それに対して本作は、Vitaという携帯機ハードウェアで9人同時リアルタイム表示を実現しており、これはまさに快挙といえるだろう。
      • 単純に人数だけを見るなら、14人のリアルタイム描画ライブを実現している『ドリームクラブ ホストガールオンステージ』といった作品もあるが、最新世代機かつ据え置き機であるPS4のソフトなので優劣を問うべきではない。むしろ、それと同時期に携帯機でこれだけの人数を描画している努力は十分買うべきであろう。これを可能としたPSVitaのスペックの高さを見せ付けてもいる。
  • ダンス振り付けのクオリティが高い。
    • アニメの1シーンや楽曲PVを振り付け、カメラワークまで含めて再現している。
    • アニメ版では使用されなかった楽曲(ソロ曲や3人ユニット曲など)も収録されており、これらの曲では、現実のライブで声優たちが踊っているダンスを忠実に再現した振り付けを行っている。
      「アニメのダンスを声優が再現する」というこれまでの展開から逆行しており、ライブに参加したり映像を見たことのあるファンなら感慨深いものがあるはず。
  • 新曲「Shangri-La Shower」を生み出したこと。
    • 新曲がたった1曲というのは残念だし、ゲームと言うよりアーティストに対しての評価だが、曲自体はとても評価が高い。

問題点

  • CGのクオリティがさほど高くない。
    • リアルタイムで9人同時に動かしていることは評価すべきだが、肝心のCGモデルの質はさほど高くない。
      ポリゴン数が明らかに少ないせいでCGモデルが不自然であり、特に関節部に違和感が目立つ。ステージ衣装の細部も再現しきれていない。顔の造形や表情も仮面のようにのっぺりしており、彼女たち本来の魅力を再現できているとはいいがたい。髪の毛もひとかたまりのブロックのようであり、動きに合わせて美しくなびくようなことはない。
    • 更に9人曲では光源のレンダリングを行っていない。したがって肌も衣装も陰影のない単色ベタ塗りで、立体感のない質素な見た目となっている
      • 3人曲やソロ曲、およびシナリオモードではちゃんと影も立体感も表現されているが、素材感がおかしく金属製のような印象を受けることも。
    • ダンスの動きもぎこちなく、9人曲ではコマ落ちを起こして動きが粗くなっておりカクカクした不自然な印象を受ける。
    • 上述のように、この手のダンスパートが存在するゲームとしては他に描画クオリティの高い作品シリーズがいくつも存在するため、どうしてもそれらと比較して見劣りする印象を受ける。
  • シナリオが単調。
    • シナリオモードの内容は3バージョンどれも同じ。「部室」で見られるサブシナリオのみ別々の内容という残念な仕様である*2
    • しかも、これといった起伏もなく大きな出来事も起こらず、グラフィック面で大きな見どころがあるわけでもなく、他愛のない会話だけで淡々と進んであっさり終わってしまう。ファンならフルボイスの音声を聞けるだけでも価値はあるだろうが、それでも物足りなさは否めない。
    • とはいえ、キャラクターの改悪などが目立たないだけマシだとも言えるが。
  • 収録楽曲が少ない。
    • 各バージョンにつき16曲ずつが収録されているが(追加で無料DLC2曲有り)、このうち6曲は他の曲のMix違いバージョン。原曲と共通のボーカルトラックを用いており、原曲とかなり似た印象を受ける。これを数に含めないと全10曲ということになるが、これは明らかに少なく、比較的短期間で飽きが来てしまう。
  • タッチパネルの操作に難あり。
    • ライブモード内に、キャラクターの指の動きをタッチパネル上でなぞる「フューチャーモード」という物があるのだが、これの操作感覚がよくない。
    • キャラの指に自分の指を合わせて一緒に動かすという操作では反応しないので、指を待ち構えてアイコンを1つずつこするという操作のほうが確実という、なんとも興ざめな状態になっている。本来想定されていたであろう「キャラと自分が指先を触れ合わせて共同作業で図形を描く」という嬉し恥ずかしいコンセプトが成立していないのは残念である。
  • キャラ名の誤記。
    • キャラクタープロフィール画面で、登場人物の1人「星空凛」の と誤記されている箇所がある。"示"ではなく"禾"になっている漢字が使われてしまっている。
    • ありがちなミスとはいえ、キャラゲーとしては目に付く部分であり、製作現場が事実確認を怠ったという疑念を抱かせる。
  • DLCの特典商法。
    • 本作は楽曲や衣装などのDLCを有料販売ではなく何かの特典として付属させている。これに対して、単なる有料販売よりも面倒だ、搾取っぽくて不愉快だという批判もある。
    • 楽曲「Snow halation」「僕らのLIVE 君とのLIFE」の2曲は無料配信。以前から人気の高い曲であり大いに喜ばれた。
      しかしこれに対応する衣装は、ラブライブ関連の電撃ブランド雑誌「G'sマガジン」「G'sコミック」の特典DLCとなっている。
    • その他、関連CDやアニメ版BD、何故か81ページで2500円+税もする公式ガイドブック(攻略本)などの特典となっているDLCもある。
    • ゲーム系主要7店舗において、ショップ限定購入特典としてそれぞれ異なるコスチュームのDLCが配信された。すべて集めるには相当な出費を強いられた。
      • もっとも店舗別特典というのは流通の風習でよくある話。しかも各店舗の制服・イメージカラーに塗り分けられたオリジナル衣装であり、あくまで物好きの類である。

総評

製作者のやりたかった事とファンの求めていた物が合致していなかった、そんな印象が強い作品である。
リアルタイム9人表示は技術的に高く評価されるべきであるが、そのためにキャラの可愛らしさやダンスの躍動感を犠牲にするのは本末転倒といえる。
これまでの豊富な楽曲に対する収録数の少なさ、アニメ・コミックなど派生作品に比べて存在価値の薄いストーリーなど、多方面においてファンを失望させた。

発売前に公開された見栄えのしないPV映像や画面写真から不安視する声も上がっていたのだが、その不安は残念ながらおおむね的中する結果となってしまった。
発売後、本作に対しては「3バージョンに切り分けたのだから同時表示人数も3人でよかった」「ライブクリエイトというコンセプトにこだわらずプリレンダリングムービーにした方がよかった」「いっそのこと、『スクフェス』(スマホ用音ゲー)のベタ移植でよかった」など、厳しい意見が多数挙がった。

現在(2023年9月時点)もラブライブ!というコンテンツは絶大な人気を保っているが、本作は発売から短期間でファンから顧みられることもなくなり、ほとんど黙殺に近い扱いをされている。


余談

  • 当初は5月29日発売予定だったが、7月24日→8月28日と二度延期した。
  • 人気タイトルへの期待に対する満足度の低さから大幅な値崩れを起こし、限定版でも1本3,000円未満で入手できることも珍しくなかった。
    この値段ならミニフィギュア3体分とオマケのゲームだと思えばお買い得なので、ファンなら十分オススメである。
    • 一度値崩れしても、年月の経過で品薄となり市場価格が高くなるパターンもあるが、2023年現在でも大して変わらない。

その後の展開

  • 2016年12月にアミューズメント施設向けにアーケードゲーム『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ~after school ACTIVITY~』が稼働開始。
    基本システムはスマホ版と同一だが随所にアーケード向けの変更があり、ガチャで得たカードをリアルカードとして印刷可能、そしてこちらも9人同時表示による3DCGモデルのダンスシーンを実現している。
    • 2018年12月6日には新バージョン『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ~after school ACTIVITY~ Next Stage』にアップデート。シリーズ後継作『ラブライブ!サンシャイン!!』のキャラや楽曲が追加された。
      • 2021年10月1日早朝にオンラインサービスが終了した為、現在はプレイ不可。
    • 2021年3月24日にはPS4向けに『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ~after school ACTIVITY~ わいわい!Home Meeting!!』が配信開始。ベースは本作ではなくACからの移植作。
  • 発売から一年経って以降、取り上げられることがなかった本作だが、2020年11月25日発売の関連書籍の表紙イラストに本作のソフトパッケージ(のようなもの)が確認され、少し話題になった。どうやら公式にとっては黒歴史ではなかった模様。
  • 2023年11月16日には『ラブライブ!サンシャイン!!』の派生作『幻日のヨハネ』をゲーム化した、2Dアクションゲーム『幻日のヨハネ -BLAZE in the DEEPBLUE-』が発売。開発元はインティ・クリエイツ。
    • Switch/PS4/PS5/One/Winのマルチプラットフォーム展開となる。
  • さらに上記と同様に『幻日のヨハネ』をゲーム化した、デッキ構築型ローグライト『幻日のヨハネ -NUMAZU in the MIRAGE-』が2024年2月22日に発売。開発元はビサイド。
    • こちらはSwitch/PS5/Winでの展開となる。2024年3月28日にはPS4版も発売。
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最終更新:2024年02月18日 16:20

*1 ゲーム機がリアルタイムで3D映像を生成するのではなく、あらかじめ作られたムービーをそのまま流す方式。本作には一切用いられていない。『アイマス』シリーズなどではハードウェアの性能限界を越えた人数・クオリティのライブシーンを表示するために部分的に用いられているが、ムービーなので衣装変更やカメラ操作はできなくなっている。

*2 公式PVでも「一部のストーリーが異なる3タイトル」と正直に述べられている。