ポケモンレンジャー バトナージ

【ぽけもんれんじゃー ばとなーじ】

ジャンル アクションアドベンチャー
対応機種 ニンテンドーDS
メディア DSカード
発売元 ポケモン
販売元 任天堂
開発元 クリーチャーズ
発売日 2008年3月20日
定価 4,800円(税別)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
配信 バーチャルコンソール
【WiiU】2016年7月27日/968円(税10%込)
判定 良作
ポイント システム面は大きく改善された
独特な空気感を持つシナリオ
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概要

ポケモンレンジャー』の続編。前作から開発元は変更されている。今回の舞台は前作とは異なる「アルミア地方」。
やや練り込みが足らない印象だった前作と比べると、各種システムが大きくパワーアップしている。
本作は序章として、主人公はまず「レンジャースクール」に通う事になり、卒業後から本格的な活動を行う事になる。
また、このアルミア地方にはレンジャー達の本拠とも言える「レンジャーユニオン」があり、前作の人物であるシンバラ教授やイマチ*1もここに居る。

特徴・評価点

  • 「キャプチャ」の仕様が大きく変更された。
    • 前作では一筆書きで規定回数囲まないと強制的に囲んだ回数がリセットされる仕様だったが、本作ではポケモンの下部に「きもちゲージ」が表示され、囲むことでこのゲージをいっぱいにしてキャプチャするシステムに変更された。
      • きもちゲージはしばらく囲まないと減少するが、逆に言えばしばらくはそのままなのでキャプチャ中にラインを途切れさせてもOKになり、よりアクション性が増した。前作では「相手の細かい隙に全速力でペンを動かす」という手にもDS本体にも負担のかかる操作が要求されがちだったのでこれは改善と言える。
      • またこの仕様に伴い、スタイラーに「パワー」の概念が追加された。レベルアップによりスタイラーのパワーが向上し、一回の囲みで増加するきもちゲージの量が増える。
    • ポケアシスト「ノーマル」「ドラゴン」が追加され、17種類のポケアシストが使えるようになった。また「じゅうでん」とは別に「でんき」のポケアシストとフィールド技も登場した。
      • 一部のポケアシストは効果が変更された。顕著なのはあくタイプで、前作では「スタイラーのエネルギーと引き替えにラインの長さを伸ばす」というなんとも言えない効果だったが、本作では「囲むことでポケモンがばらまいた障害物を消すことが出来る」という一部の相手のキャプチャを非常にやりやすくする効果になった。
      • 特に変更されなかったポケアシストも、きもちゲージの追加により相手に当てることできもちゲージを増やせるようになったものが多い。前作では状態異常を引き起こす効果ばかりで、明確な差別化が図られていなかったところがあるのでこれも評価点。相性によりゲージの増減に補正がかかるようになった一方で、相性が悪くても「全く効かない」ということはなくなった。
    • ストーリーを進めるとスタイラーを一箇所に留めることでパワーを引き上げる「パワーチャージ」が使用可能になる。相手の攻撃をかわしている間に攻撃力を上げられるので、よりキャプチャにメリハリが出るようになった。
    • キャプチャ成功時の経験値に、キャプチャ中の行動でボーナスが入るようになった。一度もタッチペンを離さずキャプチャする「ヒトフデキャプチャ」、相性のいいポケアシストを使う「ナイスポケアシスト」など。これにより個々のキャプチャにより具体的な目標が出来た。
      • ボーナスを得た量に応じてそれぞれのポケモンにS、A、B、Cのランクが付けられるようになった。特に特典は無いが、より良いランクを取れば更新できるのでやりこみ心をくすぐる。
  • パートナーポケモンを自由に選択可能になった。次作『光の軌跡』では再びウクレレピチュー固定になったので、今のところこの仕様は本作のみ。
    • 全17タイプ全てのバリエーションが用意されており、後述のクエストを進めたりすることで選べる種類は増えていく。「ゲージを溜めることで何度でも選んだタイプのポケアシストを使える」というのは地味に便利。
  • 探索面での改善点など。
    • 一般人から依頼されるサブイベント「クエスト」が追加。内容は「特定のポケモンをキャプチャしてくる」と言った物が大半だが、中には「イーブイの進化形を全て連れてくる」などという頭を捻るクエストもある*2
      • クエストクリアでスタイラーのオプションパーツが手に入る。効果は特定属性のダメージを軽減したり、キャプチャでエネルギーが回復するようになったり非常に便利。
    • パートナーとなるポケモンと一部のボスポケモン以外の全てのポケモンにフィールド技が追加された。前述のようにノーマルのポケアシストも登場したため、「役立たず」と言えるポケモンは皆無になっている。
    • またフィールド技以外に移動などに役立つ「エリア技」を持つポケモンが登場した。特にムクホークの「そらをとぶ」は本編同様非常に便利。
    • ポケモンを連れ歩く範囲の制限が最初から撤廃され、どこまでも連れ歩くことができるようになった。
  • 街やフィールドの種類も増え、全体的なボリュームも増した。前作同様クリア後のやりこみ要素も豊富。
    • 第三世代同様、水中を冒険することもできる。ちなみに「ほのおタイプやいわタイプがなんの制限もなく水中について行っている」として度々突っ込まれる第三世代の秘伝技「ダイビング」だが、本作では「陸上のポケモンは水中に連れて行けない」という制限がキチンと(?)かけられている。
  • 演出も強化された。特にボス戦は最初にボスのカットインが入り、専用のキャプチャ演出が用いられるなど、普通のキャプチャの延長だった前作よりパワーアップしている。

賛否両論点

  • 前作もそうだったが、シナリオが悪く言うと稚拙ともとれる独特な空気感を持つ。
    • 敵組織の名前が「ヤミヤミだん」という時点でどこか脱力物*3。構成員の頭やしゃべり方、行動もどこかコメディタッチ。
      • シナリオの核となる「ポケモンを遠隔操作する装置」だが、試験機は「ドカリモ」、改良機は「モバリモ」とそれっぽい名前なのに*4集大成となる完成品の名前が「ありえないマシン」というなかなかにありえない代物。
      • 敵幹部はほのおタイプ使いの「ケイノ」、でんきタイプ使いの「デゼル」、こおりタイプ使いの「アイス」。しかも全然違うタイプのポケモンを使う事もある。
    • 序盤にヤミヤミ団に加担させられ森でボヤ騒ぎを起こしてしまい、その後改心してレンジャーの味方になる男性がいるが、彼は仲間の一人から「オイルくさいやろう」と呼ばれているところに他の仲間から「せめてオイルにしましょうよ」と説得され、以後「オイル」と呼ばれ続けることになる。本名は最後まで不明
      • 終いにはこのオイル氏、配信用のエクストラミッション(現在は終了)の1つ「はなよめとシェイミのために!」で本名がわからないままなのに結婚式まで挙げた。

問題点

  • シナリオ進行上仕方ないとは言え、「本来のポケモンの世界観を無視した部分」もある。
    • 特にファストトラベルを担当するムクホークは、交通の便のためか本当にどこにでもいる。極寒の地だろうが火山島だろうが。
      • 次回作ではある程度範囲が狭まった。
    • 移動の為に何度も力を借りる必要のあるポケモンは本来の実力に反してやたらキャプチャが簡単になっている。確かにそうでなければ難易度が高くなりすぎるが…。
      • 顕著なのはエンペルト。彼の力を借りないと入る事すらできないエリアがあるためか明らかに進化前のポッタイシよりキャプチャが簡単。ゴウカザル、ドダイトスの同期2匹と比べても異常に簡単。シナリオ上何度かキャプチャする必要があるので、仕方ないところではある。
      • 次回作では「レンジャーサイン」の導入によって、一回チャプチャすれば後に回数制限なしで乗れるようになった。
    • 一方で、本来強くないはずなのにキャプチャが異様に難しいポケモンもいる。
      • 例を挙げるとキレイハナ。見た目もかわいらしく、図鑑では踊ると花びらから心地よい音が鳴り響くなどほのぼのとした説明がされており、対戦環境でもほとんど採用されないポケモンなのだが、本作では周囲に葉っぱを飛ばして攻撃する技と葉っぱで自分の周りを守る技を交互に使う。小柄ゆえの移動速度の速さと非常に短い技の使用間隔がゆえに一度攻撃が始まってしまうと囲う事すら困難である。
  • 序盤に最初のパートナーポケモンをムックル、パチリス、ゴンベの3体から選べるのだが、この3体のポケアシストの性能差がアンバランス。
    • パチリス(でんき)のポケアシストが圧倒的に使いやすく、ゴンベ(ノーマル)のポケアシストの性能は普通なのだが、ムックル(ひこう)のポケアシストは他2体と比べて明らかに使いづらい。
    • また、この時パートナーにしなかったポケモンはゲームクリア後まで仲間に出来ない。
  • そして相変わらずのポケモン商法。もっとも、本作はポケモンを抱き合わせられた方だが。
    • 本作でミッションをこなすことで「マナフィのたまご」、「はどうだんを覚えたリオル」、「ダークライ」を手に入れることができる。このうち「はどうだんを覚えたリオル」以外はほかの入手手段のあるポケモンばかりなのでこのソフトが必須というわけではない。そのリオルもルカリオに進化させればはどうだんを覚えるの気にする場所は限られてしまう。

総評

前作の時点では明らかに練り込み不足だったキャプチャシステムが大幅に改善されたのを始め、アクションゲームとしての完成度は高まっている。RPGとしてもサブイベントが増え、より探索要素が増している。
ただしシナリオ、というよりも登場人物の言動は不快でも出来が悪くともないが独特なものであり、人を選ぶかもしれない。

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最終更新:2022年11月21日 20:38

*1 イマチは本作で広報担当になっている

*2 一部の進化形キャプチャに特定のフィールド技が必須なのでキャプチャの順番を誤るとやり直しになる。

*3 英語版ではTeam Dim Sun(かすんだ太陽)とかっこいい名前になっているがこれはおそらくdim sum(中国料理の点心、つまりは軽食)のもじり。ヤミヤミという語感がyum(おいしいの口語)に似ているためか

*4 英語名がGigaremo(とても大きいなどの使われ方がされるgigaとリモコンのremo?)とMiniremo(とても小さいなどのmini)、つまりはでかいリモコンと小さいリモコンというかなり直球な名前なのでドカリモもドカッと置いてあるリモコン程度なのかもしれないが