本項目ではファミコンソフト『マリオブラザーズ』と、そのアレンジ移植『帰ってきたマリオブラザーズ』について併記します。



マリオブラザーズ

【まりおぶらざーず】

ジャンル アクション


対応機種 アーケード
ファミリーコンピュータ
発売元 任天堂
開発元 任天堂
インテリジェントシステムズ
稼動開始日 AC 1983年7月14日
発売日 FC 1983年9月9日
定価 FC 3,800円
4,500円(値上げ後)
プレイ人数 1~2人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※ファミコンミニシリーズ版より付加
配信 AC アーケードアーカイブス
【Switch】2017年9月14日/823円(税8%込)
FC バーチャルコンソール
【Wii】2006年12月12日/500Wiiポイント(税5%込)
【3DS】2013年5月8日/500円(税5%込)
【WiiU】2013年5月29日/500円(税5%込)
備考 GBA『ファミコンミニシリーズ』第二弾(2004年5月21日発売)
判定 良作
ポイント 協力するか、争うか?
ジャンプ制御が難しい
マリオシリーズ・関連作品リンク

概要

マリオシリーズとしては第1作目の作品。
配管工となったマリオとルイージが、下水に住む大きなカメ・カニ・ハエなどの敵をひっ繰り返し蹴飛ばして退治していく。

同名のアーケードゲームの移植作だが、こちらの方が知名度が高いため、本記事ではファミコン版を中心に解説する。
基本的にファミコン版はアーケード版から忠実に移植されたが、ハード性能からアーケード版より様々な仕様が変更され、一部ギミックも削除されている。


特徴・システム

ゲーム内容

  • マリオとルイージ(1Pの場合はマリオのみ)は、左右のパイプから次々と現れる敵キャラクターをブロックの下からジャンプで叩いてひっくり返し、自機で接触して蹴り飛ばすことで退治していく。
    • ひっくり返った敵は放置すると復活してスピードアップする。突き上げても復活してしまうが、この場合スピードは変わらない。
    • ステージ下部の中央には3度叩けるPOWブロックが存在し、接地しているキャラに全て突き上げの効果を与えることが出来る。2回目以降のボーナスステージごとに復活する。
    • 1体の敵を倒すごとにスコアアイテムのコインが落ちてくる。コインはブロックで突き上げる他、直に接触することでも入手可能。
  • 最下段には小さな配管があり、そこに入ると敵は再度同じ状態で上の配管から出現する。プレイヤーキャラは配管に入ることは出来ない。
    • ステージは1画面ループ構成であり、画面端に行くと反対側から登場する。敵も最下段を除いてループする。全ての敵を退治すると1PHASEクリアとなる。
  • エンディングがない俗にいうループゲームであり、ファミコン版はPHASE17以降はPHASE13から、アーケード版はPHASE23以降ゲーム内容はPHASE16から22までのループとなる。
    • どちらもカウントはゲームオーバーまで継続されるが、画面上の旗による表示は大旗が5ごとの表示であるが25以降はずっと「KO」表示となる。
    • ボーナスステージも存在し、画面内に浮いているコインを時間内に全て収集することでパーフェクトスコアを得られる。
  • 移動操作には慣性があり、移動中にレバーをニュートラルにしてもすぐには止まれない。
    • また、レバーを移動方向の逆に入れると一定距離を滑ってから方向転換する。レバー入れっぱなしで走るが、レバーを一瞬入れることで歩くこともできる。
  • 2Pプレイの際は協力プレイとなるが、自機同士が接触すると勢いの強いほうが押し出され、勢いが同じだと押し合いになる。
    • ジャンプなどの際も同様で、他のプレイヤーを踏むと空中へノックバックしてしまう他、敵キャラと同じように足場下から突き上げられると浮き上がってしまう。
    • このため、近くで行動しているとお互いが邪魔をしあってしまうため、協力プレイの際は分担作業が必要となる。
    • 逆に言えば仕様を逆手にとって、協力すると見せかけて敵にわざと当ててミスを誘うということも可能。
      • アーケード版のインストカードやコイン投入前のスタンバイ画面では「協力し合うか、それとも裏切るか…」という趣旨の英文フレーズ*1が書かれており、予め対戦・協力の2つのプレイスタイルを制作側が意図していたことが窺える。
      • 実際、この仕様を利用した対戦ルールなども開発され、特にアーケード版では白熱した対戦を見ることが出来る。

敵キャラクター

+ 詳細

敵キャラクターは、他の敵やコインと接触すると方向転換を行う。ひっくり返された状態で一定時間放置された後に起き上がると色が変わり、移動スピードが早くなる。
また、全てが転倒していた場合を除き、移動中に最後の1体となったカメとカニは、最大スピードへと一瞬で変化する。
()内の名称は、アーケード版のデモで紹介される名前である。

  • カメさん(シェルクリーパー)
    • 動きが緩慢で叩きやすい。後の作品に登場するノコノコではない*2ので、歩行中に踏んだりしても返り討ちに合う。
    • ノコノコにより「亀は踏めるもの」というイメージが確立したため、後のマリオシリーズにおいてミニゲームとして収録された際には踏めないことを示すためトゲゾーに変えられていることが多い。
      • 下から叩かれるとひっくり返るが、AC版のみ「復帰する際には甲羅を脱ぎ捨てて慌てた様子で甲羅に戻る」という、ユニークな演出が施されている。音楽スタッフの田中宏和氏の思い付きをそのまま採用したとか。
  • カニさん(サイドステッパー)
    • カメより少し移動速度が速い。2回叩かないと転倒させられず、1度叩くと怒り出し、移動スピードが速くなる。
    • 怒っている最中にスピードアップが乗ると自機では到底逃げ切れない凶悪なスピードになる。叩いた時のノックバックも大きい。
    • 後発のリメイク作品でカメやファイターフライ(後述)などがキャラの差し替えを行われたり、名前の変更が加えられたりする中でも、一切変更が加えられない唯一のキャラでもある。
  • ハエさん(ファイターフライ)
    • 飛び跳ねながら移動する敵。最後の1体になってもスピードは変わらないが、転倒から復帰すると他の敵と同じようにスピードアップする。ただし色の変化はなし。
    • 当然ながら飛んでいるときは転倒させられないので、着地した瞬間を狙う必要がある。しかし一度転倒させるとゆっくり落下していくため、蹴り飛ばしやすい。
    • 彼だけは「ファイターフライ」という名前が公式で採用されやすい。また、ファミコン版の説明書では化け物*3呼ばわりされていたりする。
  • スリップアイス(フリーズ/フリーザー)
    • 顔のついた氷の固まり。一定距離移動後にその場に停止し足場一面を凍らせてしまう。撃破しないと凍った足場で滑りやすくなり、ミスが誘われやすくなる。当然、接触してもミス。1度下から叩けばそれだけで破壊出来る。
    • 敵としてはカウントされておらず、他の敵を全て倒せば一緒に消える。
    • 最上段、および最下段は凍らせない。
  • ファイアボール&グリーンボール
    • ファイアボールは時間が経つと上方から画面をバウンドしてくる火の玉。さらに長時間たつと勝手に消滅し、スピードアップして復活してくる。
    • グリーンボールは一定時間同じ場所にいると画面を横断するようにふらふら飛んで来る。
    • 同じく敵としてカウントされていない。難易度設定の影響を受ける要素は実はこれだけである。それだけに殺意が高く、死因となることが多い。
    • 足場ブロックに近い位置を通った際にブロックで突き上げると破壊して得点を得られる。ただし、次に出現した時のスピードが上がる。
      • パワー床を叩くと無条件で消えるが、この時は得点にならずスピードアップもしない。

評価点

  • 単純明快なゲーム性と絶妙な難易度調整
    • 敵を床下から突き上げて、敵を蹴り飛ばすだけというわかりやすいゲーム内容のおかげでとっつきやすく、誰でもプレイが出来る。
      スーパーマリオブラザーズ』以降しかプレイした事がないとシステムの違いに戸惑うかもしれないが、理解の難しい内容ではない。
    • 一方で、プレイしやすいというだけでゲームの難易度は決して甘くはない。敵のパターンは上記しかいないが、それらを巧みに組み合わせた難易度調整は実に絶妙。
  • 自由度の高いゲーム性
    • 本作の2Pプレイは基本的に協力プレイだが、先の通り対戦ゲームとしての側面もあり、他プレイヤーを罠に陥れる策がいくつも存在する。
    • 倒れていた敵を蹴り飛ばそうとしている他プレイヤーに合わせて敵を叩いて起こし、ミスさせるという戦法はもはや定石。
    • 他機と接触すると押し出すという性質を利用し、押し出される直前にスカして敵に当てるというやり方などもありで、かなり熱い読み合いが繰り広げられる。

問題点

  • ジャンプ制御の難しさ
    • ジャンプする前はある程度制御出来るが、ジャンプした後が問題。このゲームは空中で移動制御出来ず*4、本作で操作に癖があると言われる原因である。
      ジャンプの感触が重い上に、自機そのものに強い慣性が働いていることも制御のし難さに繋がっている。後のマリオシリーズと比較しても、本作は特に制御しづらい。
      • パワー床に乗るためには慣性を理解する必要がある(普通に乗ろうとしてもパワー床上では止まれない)。具体的には、歩きながら(≠走りながら)ジャンプするか、(下ではなく)横のフロアからジャンプしないと乗れない。
      • ジャンプ軌道は、「走る(レバー入れっぱなし)」と「歩く(レバーを小刻みに入力する)」で変化する。また、この使い分けは凍った床などでも重要である。
    • 一度他プレイヤーに打ち上げられると、場所によっては延々と垂直にノックバックさせられ続ける状態が起こる。これは対戦モードでは確殺のテクニックとして利用される。
      • ただしこの状態だとノックバックさせている当人も動けなくなる。もっとも、これをかけている方が超有利なことに変わりないが。
  • エクステンド設定の不自由さによるバランス崩壊
    • ノーエクステンド以外はどの設定でも初回以外は3万エブリであるので、結局は「3万エブリorノーエクステンド」であり店舗としては設定によって客層に合わせた調整をしにくい。
      • ある程度のサービスはしたいが長時間プレイはされたくない店などで、「6人設定&ノーエクステンド」という設定もよくみられた。こういった店では2人プレイに2クレジット要求されることも多かった。
      • この反省からか、以後の任天堂作品ではアーケード撤退まで「初回エクステンドとエブリエクステンドを個別に設定可能」と設定の幅が広げられている。
      • ファミコン版ではエクステンドは1回限り。
      • エクステンドに起因するキルスクリーンも存在する。カンスト寸前のいわゆる「無限エクステンド」状態に入るとまず処理落ちし、その後残機255を超えた瞬間にゲームオーバーになる。このキルスクリーンはノーエクステンド設定では発生しない。

総評

単純明快、しかし奥が深いという任天堂のゲームらしさを体感出来る完成度の高いゲーム。
アーケード版と比べると演出の劣化、仕様の変更はややあるものの、ファミコン版でも本作の魅力を十分、再現しており、白熱したプレイが楽しめる。

アーケード版がオリジナルということで、後にマリオが主演して大ブレイクを果たした『スーパーマリオブラザーズ』と比べると知名度は低いが、現在でもリメイク版が登場したりステージモチーフとして利用されるなど、非常に愛されたゲームであるといえよう。


アーケード版とファミコン版の差異

基本的には容量の関係で削除されたものが多い。

  • ドット絵の違い
    • スプライト横並び数の限界によりファミコン版は敵キャラが幅狭になっている(オリジナルの横16ドットに対し8ドットまたは16ドット交互点滅)。火の玉の大きさの違いは特に顕著で、アーケード版はかなり大きいうえに軌道も複雑。
      • 消すと火の玉の移動速度が高速化するが、アーケード版はただでさえ判定が大きいのでかなり脅威である。
    • 色が変わっていくパターンもアーケード版とファミコン版で異なる。例えばカメさんなら「アーケード版・緑→紫→赤、ファミコン版・緑→赤→全身青」など。
    • マリオとルイージの配色が違う。特にルイージはアーケード版のほうが現在に近く、ファミコン版では白のオーバーオールへと変更された。
      また、アーケード版では白目に黒目の入ったデザインで天井を叩く際に目線を上に向けるなどリアクションも細かく作られていたが、ファミコン版では再現されていない。
      • マリオの配色が『ドンキーコング』とも現在とも異なり、アーケード版では「青い帽子とつなぎに赤いシャツ」。青い帽子のマリオはシリーズ通しても珍しく、後には『スマブラDX』のカラーチェンジに採用された程度である。本作ではイメージカラーも赤ではなく青で、筐体やタイトルロゴの配色に反映されていた。ただしファミコン版では色数制限から髪の色が青くなった関係か、赤い帽子である。
  • アーケード版からファミコン版で削除された演出
    • アーケード版では火の玉やつららにやられるとキャラクターが燃える・凍るといったミス演出があったが、ファミコン版は通常敵に触れた際の演出と同じ。また、下水道が舞台ということでやられて画面下に落下した際は水しぶきが上がる演出があるが、これも削除されている。
    • カメさんは転倒からの復活時、甲羅を脱いで再び入り直す演出がアーケード版にあったが、ファミコン版は起き上がるだけである。
      • また、この演出がないためカメさんの復帰速度が事実上、AC版よりも早くなっており、そういう意味ではファミコン版のほうがやや難易度が高まっている。
    • アトラクトデモの削除
      • PHASE 1,5,7,9にステージ開始前に挿入される敵の倒し方を説明するデモが削除されている。
      • タイトル画面で裏返しで降りてきたロゴをマリオとルイージがひっくり返す演出が削除されている。代わりにタイトルBGMが追加された。
  • アーケード版専用ギミック・つらら
    • アーケード版PHASE17から登場する(最上段の床の色が青になる)。最上段からつららが段々と形成され、完成すると下に落下する仕掛け。
    • 下のブロック床での突き上げ判定に重なるまで成長すると、ブロックから叩いて破壊出来る。

移植版

本作品は様々なハードに移植・リメイクが行われている。

  • 帰ってきたマリオブラザーズ
  • Mario Bros. Classic (海外のみ 1993年発売 NES)
    • ヨーロッパ限定で発売されたNES移植版。内容自体は上記のディスクシステム版に準拠(永谷園関連のみは削除されている)しつつAC版のアトラクトデモが再現されており、完全版といえる内容になっている。
  • FC『スーパーマリオブラザーズ3
    • 2Pプレイ時に他方のプレイヤーが居る場所に重なってAボタンを押すと、本作をベースとした対戦ゲームが発生することがある。ルールは若干異なっている。詳細は同項目参照。
      また、本作以降はノコノコと混同して踏めると勘違いされることを避けるためか、カメさんがトゲゾーに差し替えられている。
    • SFC『スーパーマリオコレクション』版
      • 本作では『マリオ3』のタイトル画面から直に開始できる独立した「バトルモード」でも遊べるようになった。
      • 「バトルモード」では『マリオ3』本編と少しシステムが変わり、スーパーマリオの状態から始まる、ノコノコが登場し踏んづけて蹴飛ばせる…と、さらにバトル向きの内容にアレンジ。
      • 回復要素としてスーパーキノコもある。もちろんこれを取ろうとしてきた相手に攻撃をかますという駆け引きも面白い。
    • なお、コインを先に5枚取った方が勝ちというルールも併用されており、敵をひたすら倒してコイン収集に勤しむという戦法もあり。
  • GBA版(『スーパーマリオアドバンス』/『スーパーマリオアドバンス2』『スーパーマリオアドバンス3』/『スーパーマリオアドバンス4』/『マリオ&ルイージRPG』内に収録)
    • コレクション版のリメイク。『アドバンス』シリーズ全タイトルと『マリオ&ルイージRPG』におまけモードとして同時収録されている。
    • 最大4人同時プレイが可能。『USA』同様にしゃがみ大ジャンプができたり、空中での左右移動も可能になったりと、後年のスーパーマリオシリーズに近い操作性にアレンジされている。
      原作同様のステージクリア型の「クラシック」と、プレイヤー同士で戦い合う「バトル」の2つのモードを収録。
    • 「クラシック」は、アーケード版とディスク版に存在したつららが復活しているほか、最上段の配管部分につららが出来たり、凍ることのなかった最上段の床が凍ったりするなど、操作性が向上した分難易度は上げられている。
      • 残機が4以上溜まるようになり、敵を連続で5匹倒した時やボーナスゲームをパーフェクトでクリアした時など、原作より1UPの機会が増えている。
      • タイトル画面では、ファミコン版のタイトルBGMをバックに、アーケード版を再現したオープニングデモが挿入されるという豪華な仕様となっている。
    • 「バトル」は、原作やコレクション版にはなかったアイテムやギミックが追加されている他、クッパが出現してプレイヤー達に攻撃をしてくるステージも存在する。
    • 全てのソフトそれぞれに互換性があり、全員が同じ作品で統一しなくてもこのモードをプレイ可能となっている(例:『マリアド2』VS『マリルイRPG』等)*5
  • WiiU版(『ルイージブラザーズ』として『スーパーマリオ 3Dワールド』内に収録)
    • 特定の条件を満たすと遊べる『ルイージブラザーズ』というアレンジされた隠しゲームとして収録されている。
      • New スーパールイージ U』(パッケージ版/追加コンテンツ版どちらでも可)のセーブデータがあれば最初から遊ぶ事が出来る。
    • ゲーム内容そのものはファミコン版と全く同じだが、マリオは登場せず、1P側・2P側両方共にルイージとなっている。1P側は現在もおなじみのカラー(緑の帽子・シャツに青いつなぎ)のルイージに、2P側は本作同様のカラー(白い帽子・シャツに緑のつなぎ)のルイージである。
    • GamePadからVCメニューが開けるので一応バーチャルコンソールソフトと同等の扱いである。
    • 後にNintendo Switch版『スーパーマリオ 3Dワールド + フューリーワールド』にもそのまま再録されている。
  • Nintendo Switch版 アーケードアーカイブス『マリオブラザーズ』
    • ハムスターの「アーケードアーカイブスシリーズ For Nintendo Switch」の第1弾として、アーケード版が配信*6。34年越しにオリジナル版が手軽に触れられる機会ができた。
    • AC版の移植のため、仕様はもちろん、AC版のみにあったフィーチャーや演出を全て再現している。

余談

  • あまり知られていないが、本作の始祖は、1983年7月14日に稼働開始したアーケード版ではなく、それより先の1983年3月14日に発売されたゲーム&ウオッチ版である。
    • ゲーム&ウオッチ版は舞台がビン詰め工場で、ベルトコンベアによって運ばれてくる荷物を落とさないようにマリオとルイージを同時に操作して運んでいくゲームだった。このゲームこそルイージのデビュー作である。
    • 以後、ゲーム&ウオッチ版だけでもマリオ登場作品が乱発されることとなり、様々な職業を転々とすることともなる。
    • ゲーム&ウオッチ版は『ゲームボーイギャラリー3』『同4*7』に再録され、同作には現代風アレンジモード(ケーキを運ぶ内容に変更)も収録されている。
    • マリオがその後、任天堂作品の顔としてスター街道を驀進するのに対し、ルイージは上記のゲーム&ウオッチで登場と草創期から登場しているにもかからわず不遇な扱いを受ける。
  • 大乱闘スマッシュブラザーズX』に、本作をモチーフとした「マリオブラザーズ」というステージが登場している。
    • 「画面端がつながっており、ふっとばされていなければ左右でループして移動できる」という、『スマブラ』の基本ルールである「画面外に出るとミス」が(限定的かつ横方向のみではあるが)通用しない変わったステージになっている。
      • ただし、ふっとばされている状態で画面外に出てしまえば通常通りミスになる上、土管から出現する敵キャラに接触すると真横に大きくふっとばされてしまうという危険も。
      • 敵キャラは攻撃を当てたり下から突き上げることでひっくり返すことができ、その状態であれば拾って相手に投げつけて攻撃することも可能。
  • 当時任天堂と関係が深かったハドソンから、PC複数機種用に「パンチボールマリオブラザーズ」「マリオブラザーズSpecial」が出ている。基本的な画面構成や登場キャラ以外のシステムがほぼ別物のアレンジ移植である。
    • 源平討魔伝のAC版FC版の関係に近い。

対戦ゲームとしての本作

本作には、システムを考察したうえで定められたローカル対戦ルールが存在する。
特に有名なのは、アーケード版における「3面ルール」である。ファミコン版は3面がボーナスステージなため、これは適用出来ない。
これは、「3面をクリアするまでにどちらが相手の残機を多く減らせるか」というもの。また、クリア時点で残機が同じ場合、獲得スコアが勝敗の判定に利用される。
一見単純なルールだが、「先に敵を倒し、コインを獲得することで判定勝ちにおいて有利をとる」、「とにかく立ち回りで相手を罠に陥れて残機を一気に減らさせる」など戦術の幅が広く、大変盛り上がる。

なお、スコアのシステム上滅多に起きないが、同残機・同スコアだった場合はボーナスステージの次のカニさんが登場するステージで「1戦限りのサドンデスを行う」というルールが基本である。


帰ってきたマリオブラザーズ

【かえってきたまりおぶらざーず】

ジャンル アクション
対応機種 ファミリーコンピュータ ディスクシステム
発売元 任天堂
開発元 任天堂
インテリジェントシステムズ
書換開始日 1988年11月30日
定価 400円(書換専用)
プレイ人数 1~2人
判定 良作
ポイント バッチリ進化したシステム
永谷園とのコラボで歴代最安値を実現
サブちゃんとマリオが夢の共演
マリオシリーズ・関連作品リンク

概要(帰ってきた)

1988年11月30日にディスク書換専用として発売されたバージョン。
ディスクカード書換は本来ならば500円だが、永谷園のスポンサー契約により100円安い400円での書換を実現している。
ディスクファクスイベント』とは違う形で1ヶ月前(10月23日)に発売された『スーパーマリオブラザーズ3』ともコラボしたキャンペーンイベントも行った。

オリジナル版から一部システム面で改良されており、主にその変更点について記述する。


オリジナル版との違い

  • アーケード版を基にした調整が行われており、遊びやすさが向上している。
    • 後半のステージにおけるつららの出現やボーナスステージの足場が消滅する仕様が復活した。
    • AC版及びFC版ではジャンプ中の空中制御が一切できなかったが、本作で可能になったため操作性が向上した。
    • グラフィックがAC版に近くなった。敵キャラもドットデザインがほぼ忠実に再現されている。
      • かめさんが甲羅を脱いで着直すリアクションも再現されている。
  • それぞれマリオ・ルイージに名前が登録できる。
    • 永谷園モードで始めるとゲーム開始前に登録した名前で「○○くん がんばれ!」のようなメッセージが出る。
  • 「オリジナル マリオブラザーズ」と「永谷園ワールド」の2つのモードがあり、どちらも根本的なゲーム内容は同じだが、「永谷園ワールド」のみさらに追加要素がある。
    • ゲームオーバー時、一度だけスロットに挑戦でき、出目によっては復活できる。
      • マリオorルイージが2つ揃う(ハサミ目でも可)→1人
        マリオorルイージが3つ揃う→2人
        「永」「谷」「園」と揃う→4人
        チャレンジできる回数は得点によって1〜3回に変化し、上記いずれも満たさないまま回数を使い切ってしまうとゲームオーバー。
    • 10万点、20万点到達時、画面でパスワードが発行され、そのパスワードを送る(画面写真でも可)と抽選で賞品が貰えた(1989年5月末まで)。
      • 賞品は10万点で『スーパーマリオブラザーズ3』のトランプ、20万点で『スーパーマリオブラザーズ3』のゲームカセット。
  • 上記のモード選択後、ゲーム開始前にCMが入る(下記3種類のうち1つランダム)。もちろん全て実在の商品で、「マリオ3ふりかけ」以外は現存する商品である。
    • お茶漬け海苔
      • ある意味本作の目玉の1つで、当時のTVCMで御馴染みのサブちゃんこと北島三郎氏とマリオたちが共演することで話題となった。
      • BGMは北島氏歌唱のオリジナルCMソングをアレンジしたバージョン。
    • 五目チャーハンの素
      • 暗闇の中でマリオとルイージが足場を持ってくると巨大な五目チャーハンの素の袋が落ちてきて、バックには明るい景色が広がる。
    • スーパーマリオブラザーズ3ふりかけ
      • マリオとルイージが星を叩くと巨大なマリオ3ふりかけの袋が落ちてきて、その横に「マリオカレーもヨロシク」というメッセージが表示される。
      • 当時、フレーバーのラインナップは3種類(+混ぜ込みタイプのおにぎりの素)存在したが、パッケージ的にはさけ味となる。
  • タイトル画面及び永谷園ワールドモードに新規BGMが追加された。

評価点(帰ってきた)

  • ジャンプ中の方向制御が可能になり、遊びやすさが向上した。
  • グラフィックがAC版に近くなった。
  • 復活スロットの導入。
    • 単純に救済的な意味だけでなく、これ自体も地味ながら面白味のあるものだった。
    • 復活に成功するとマリオがピョンピョン喜んで飛び跳ねるのも見ていて微笑ましい。
  • 見ていて面白いCM。
    • マリオとルイージが永谷園商品をいろいろなパフォーマンスで紹介するのだが、ゲームでの特徴などもちゃんと取り入れられ、見ていて面白いものばかり。
      • 中でも80年代当時に永谷園のCMに出演していた北島三郎とのコラボは必見。BGMもCMソングのFC音源アレンジとなっている。

問題点(帰ってきた)

  • 「オリジナル マリオブラザーズ」のモードの存在意義が薄い。
    • 開始前の応援メッセージと復活のスロットゲームがないだけの下位互換でしかない。
      • せめて「グラフィックがかつてのまま」「空中制御がきかない」などカセット版の特徴が引き継がれていたら差別化になっていたのだが。

総評(帰ってきた)

旧来のゲーム性はそのままに、操作性は向上し復活スロットなどのオプションが新たに追加されたことで、より一層良質のゲームとなった。
デモCMはゲームではないが見ていて楽しいものばかりで、中でも演歌の大御所北島三郎氏との夢の共演は非常に見もの。
キャンペーンに絡んだソフトとはいえ、オリジナル版とも差別化ができており、独自の魅力を持っている。


余談(帰ってきた)

  • 他企業とのタイアップという性質上、本作品の移植・リメイクは全く行われておらず、現在の環境で入手・プレイするのはシリーズ中でも最も難しい部類に入る。また、本作オリジナルの追加BGMも一切音源化されていない。
    • また同時期は『スーパーマリオブラザーズ3』の陰に隠れてしまい、そこまで売れ行きは好調ではなかった。
    • 1993年3月頃に店頭からディスクライターが撤去され、以降は任天堂側で書き換え対応していたが*8、2003年9月にサービス終了。回収されたディスクライターはほぼ全て廃棄処分され、現存するのは任天堂本社に保管されている1台のみ。任天堂公式サイトのトピックスにディスクライターの実物が公開されている。
    • ディスクシステム本体は故障しやすく、経年劣化により本体内蔵のゴムベルトが切れてしまうケースがほとんど。メーカーによる修理サポートは現在終了している。ネット上では自力で修理する方法が公開されているが、技術が無い限り自力での修理は困難。
      • そのため、現在ではソフト自身がちょっとしたレアモノとなっており、安価をウリにしていた当時とは逆に少々高額な中古ソフトとなっている。
    • また、キャンペーンの賞品の『スーパーマリオブラザーズ3』のカセットの方は、爆発的な売れ行きだったので現在からみればあまり意味はないと思われがちだが、キャンペーンの期間中である1989年初期は「爆売れ→在庫切れ」を繰り返して、安定した供給ができなかった時期*9で「お金はあるのに売っていない」というケースが多々あったと思われるので、そんな彼らからすれば本作のキャンペーンで念願かなって入手できたという人も少なからずいたことだろう。
  • 後の『スーパーマリオアドバンス』シリーズに付属している『マリオブラザーズ』はジャンプ中の制御が可能であり、どちらかというと本作に近い仕様である。
    • ただし敵のグラフィックが変更されているなどリメイクに近い内容であるため、アーケードへの忠実さという点では本作に軍配が上がるか。
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最終更新:2024年01月07日 16:50

*1 原文は「TWO PLAYERS CAN PLAY AS TEAM OR COMPETE AGAINST EACH OTHER」で、直訳で「協力し合うことも競い合うこともできる」の意。アーケードアーカイブス版の解説ページのキャッチフレーズとしても使われている。

*2 ただし、ノコノコの見た目や後述の設定は明らかにカメさんを引き継いでいる。

*3 説明書では「ハエの化け物ファイターフライ」という表記。

*4 当時としては普通の仕様である

*5 バトルは1カートリッジプレイ対応。クラシックは人数分のカートリッジが必要(マルチカートリッジプレイ専用)となっている。

*6 これまでは「アケアカNEOGEOシリーズ」の配信だけが行われていたが、これと並行してまずは任天堂がACで発売してきた作品を配信するシリーズとして展開することとなった

*7 日本ではWiiUバーチャルコンソールのみ。

*8 かつてはディスクカードと500円分の切手を任天堂に送れば書き換え対応してくれた。

*9 4月以降にようやく出荷と売行きが安定した。