エキサイトバイク64

【えきさいとばいくろくじゅうよん*1

ジャンル レースゲーム
対応機種 ニンテンドウ64
発売元 任天堂
開発元 レフトフィールドプロダクションズ
発売日 2000年6月23日
定価 6,800円(税別)
配信 バーチャルコンソール
【WiiU】2017年6月21日/1,028円
判定 良作
エキサイトバイクシリーズ
エキサイトバイク / VS. / マリオバトル / 64 / ワールドレース


概要

ファミコンの名作バイクレースゲーム、『エキサイトバイク』の流れを汲んだ作品。
FC版の起伏ある直線コースをただ単に3D化したものではなく、ライダー視点の周回制バイクレースになっている。

本作を開発したレフトフィールドプロダクションズは米国カリフォルニア州が拠点のデベロッパー。1998年にNBAのスタープレイヤーであったコービー・ブライアントをフィーチャーした、『Kobe Bryant in NBA Courtside』をNOAからN64用ソフトとしてリリースの際、任天堂の出資を受け、2002年までセカンドパーティとしてNOAと提携していた。

特徴

本作には主に次のモードがある。

  • エキシビション
    • 自由にコースを選択してレースを楽しむことができる。
      • ただし後述のチャンピオンシップでまだ選択できないラウンドのコースは遊べない。
  • チャンピオンシップ
    • 各ラウンドごとに5つのコースがあり、合計獲得ポイントで優勝すればそのラウンドはクリアとなる。
    • 前のシーズンのラウンドを全てクリアしないと次のシーズンに進めない。
      シーズン\ラウンド ブロンズ シルバー ゴールド プラチナ マッチ
      ビギナー -
      アマチュア -
      プロフェッショナル
    • 番号は攻略順。△はエキシビションでのみ選択可能。
    • 最後のマッチレースはCOMライダー1人ずつと1対1で対決し、5連勝すればラウンドクリアとなり、実質オールクリアとなる。
  • コースエディター
    • 直線・曲線パーツやジャンプパーツを組み合わせてオリジナルコースを作成できる。
    • 「カスタムパーツ」は直線のみだが起伏を自由に設定することができ、長さもある程度変えることができる。
      • 作成したコースはCOMとや複数プレイヤーで対戦することが可能。
  • スペシャルコース
    • 「砂漠」
      • 1人用。起伏のある砂漠に点在している10箇所の焚き火に順番に触れていき、その速さを競うゲーム。
    • 「スタントコンテスト」
      • スタントとはバイクから手や足を一定時間離したりなど、ライダーがジャンプ中に繰り出す技のことである。
      • 多様なジャンプ台が存在するステージでスタントを次々と決めていき、獲得ポイントを競うゲーム。
      • 同じスタントを何回も繰り出すと獲得ポイントが半減していく。そのため多くの種類のスタントを決めるか、それでもポイントの高いスタントを連続で出すかという戦略性が生まれる。
    • 「ヒルクライム」
      • 勾配の激しい坂を駆け上ってゴールを目指すゲーム。
      • 左側に崖がある。また勾配がありすぎる箇所では勝手にこけるため、見た目以上に難易度が高い。比較的勾配が緩やかな走行ラインを見極めつつ、慎重かつ大胆に攻めていく必要がある。
      • そのうえ制限時間が結構きついため、本作で最も難しいコースとも言われている。
    • 「元祖エキサイトバイク」
      • FC版をそのまま収録したもの。一部SEが削除されているがほぼそのまま移植している。
    • 「エキサイトバイク3D」
      • FC版エキサイトバイクをほぼそのまま3D化したもの。ライダー視点とFC版のような横からの視点を任意に切り替えることができる。
    • サッカー
      • 2人か4人専用。巨大なサッカーボールをバイクで押してサッカーを行うゲーム。 64時代のRocket League
  • ライダーは男女6人いる。能力がそれぞれ違い、プレイヤーが操作するライダー以外を全員COMが操作する。
    • 各ライダーにはテーマとなる色があるが、設定でスーツやバイクの色を変更することができる。
    • またそれぞれのライダーに固有のスタント技がある。スタントコンテストでは一般スタント技よりも多いポイントが入る。
      • 特に”トリッキー”リッキー・スターンの「コービー」はコマンドが複雑かつ所要時間が長く、その分全スタントの中で最も多くのポイントが入る。

評価点

  • バラエティ豊かなコースの数々。全20コースで、屋内のコースもあれば屋外でやるコースもあり、両方を行き来するコースもある。
    • 屋内のコースは比較的スタンダードな造りで、基本的に1周が短く、3周勝負。
    • 屋外のコースはかなり自由度が高いコースになっており、1周が長く2周勝負のコースが多い。
      • 氷道を駆け巡る、川を渡る、踏切を電車ごと飛び越える、側面に崖がある、数十メートルの崖を跳び越える…などいろいろとカオスな造りになっている。この世界のバイクレースは命がけなのである。まあ事故ったところでライダーは何度でも復活するのだが…。
      • また主に屋外コースにはショートカットがあり、見つける楽しみもある。そのショートカットを華麗に使いこなしたタイムアタック動画も多数投稿されている。
  • FC版のエキサイトバイクの要素が多く引き継がれている。
    • 「TEMPメーター」の概念があり、ターボを使用しすぎるとオーバーヒートしてスピードが出なくなる。
    • 後ろのバイクの前輪が前のバイクの後輪に触れると後ろのライダーが転倒する(というより前に吹き飛ぶ)。
      • ただこけた後のライダーがバイクに駆け戻る仕様はなく、点滅しながら普通に再スタートする。この点は本作のテンポや爽快さを阻害しない妥当な設定だろう。
      • 転倒させた側のバイクはTEMPメーターがリセットされるため、わざと相手の前輪をひっかけてターボを多く使用するという高等テクニックもある。
    • ジャンプした際、着地点の地形に合わせてバイクの傾きを変える必要がある。
      • FC版ほどシビアではないが、上手く着地しないと減速して次のジャンプに影響が出る。またあまりにも着地がおかしいとさすがに転倒する。
    • ウィリーもできる。
      • ただ本編では使用する場面はあまりない。一部のコースで川を渡るときくらい。
  • レースを盛り上げる演出。
    • レース中は常時実況のような声が流れ、英語ではあるがプレイヤーの意欲をかき立てる。
      • 屋内コースはもちろん、なぜか屋外でも実況が聞こえる。ヘリでも使っているのだろうか…。
    • 崖のあるコースやヒルクライムで崖から転落すると、「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ…」とギャグのような断末魔を上げる。そしてわざわざ横アングルになり、崖から落ちていくさまをじっくりと鑑賞することができる
      • ただし断末魔を上げるのは男性ライダーのみで、どのライダーでも声は同じ。
      • そして何事も無かったかのようにコースに復帰する。不死身かあんたら。
    • スタントコンテストだけでなく、通常のレース中でもスタントを繰り出すことができる。
      • 実況からスタント名が叫ばれ、別アングルから映した映像がワイプとして表示されるなど演出が凝っている。
      • ただしコンテスト以外は特にメリットも無いうえ、スタント中はバイクの方向転換や着地調整ができないので、無闇に使用するのは控えよう。スタントを決めても観客席に突っ込むのはかっこ悪い。
    • チャンピオンシップでラウンドをクリアすると表彰式が映され、FC版のBGMが流れる。
      • レース中は他のライダーを転倒させるとガッツポーズまでするのに、表彰式でヘルメットを脱ぐと皆温厚そうな顔をしている。ライダーの性なのか?
  • 豊富なゲームモード。
    • 上記のとおりチャンピオンシップの他、コースエディターやスペシャルコースなどいろいろなモードでエキサイトバイクを楽しむことができる。
    • FC版のエキサイトバイクも収録されているので、本作を持っていれば無理に入手しなくてもいい。
    • FC版のようなコースをそのまま3D化した「エキサイトバイク3D」もあり、押さえるべきところはしっかりと押さえられている。
  • 良好なゲームバランス。
    • チャンピオンシップの難易度は「ビギナー」「アマチュア」「プロフェッショナル」に分かれており、妥当な難易度設定になっている。
      • 「ビギナー」は初心者でもある程度慣れれば1位になれる一方、「プロフェッショナル」は順当にCOMライダーが速くなり、コースに慣れても簡単に勝つことはできない。
  • リプレイのグラフィック・画質が良い。
    • 下手なPS2のゲームよりも綺麗。このグラフィックでプレイ時にもできたらいいのに…と思いたくなるくらい。
      • ちなみにプレイ時のグラフィックも、後期のソフトとはいえN64中では高いレベルの部類に入る。
    • ただしリプレイのフレームレートは約20fpsと、プレイ時よりも低くカクカクなのは少々残念なところではある。
  • パスワードを入力することで出現する隠し要素。
    • 背景が深夜になる他、ライダーの頭がデカくなったり逆に小さくなったり、挙句の果てにはライダーが透明化しバイクだけになったりするなどのネタ要素も満載。
    • パスワードはチャンピオンシップをクリアするごとに順次公開される。
      • パスワードは公開される該当ラウンドをクリアしていないと無効なので、ネットなどで調べて入力することはできないようになっている。頑張って攻略すべし。

問題点

  • 「スペシャルコース」の種類は確かに多いのだが、一つ一つのボリュームが少ない。
    • 「砂漠」の焚き火の数は10箇所固定で変更できない、「ヒルクライム」のステージは1種類、「エキサイトバイク3D」はコースエディットができない…などなど痒いところにもうひとつ手が届かないような内容である。
      • もっとも「スペシャルコース」は先に発売された米国版では隠し要素扱いであった。それを見た開発は「日本版では最初から遊べるようにし、代わりにパスワードシステムを導入した」と明言している。
  • コースエディットの自由度は低め。
    • 会場は屋内のみで屋外のステージは作れない。またステージ自体も若干狭く立体交差・平面交差ともに不可。そしてスタートとゴールを繋げなければいけない。
      • そのためステージいっぱいにコースを作ろうとすると、自然とカーブが多くなり複雑化しやすく、爽快感が失われやすい。
    • 既存コースのカオスさを目の当たりにすると、余計にこの自由度の低さにガッカリしてしまう。

賛否両論点

  • コースの難易度が高い。
    • ブロンズラウンドの2レース目からすでに難しい。基本的にどのコースも起伏やジャンプ台が大量に待ち構えており、急なカーブや障害物など全く気が抜けない。
      • 後半コースになると難易度が上がり、また屋内よりも屋外コースの方が爽快感の高い反面難しい。
    • 慣れないうちはCOMライダーよりも難関なコースとの戦いになるのは必至である。
      • しかし腕が上達してくると、大ジャンプができるようになったり上手くジャンプが繋がるようになったりと、爽快感は倍増する。要するに上達すればするほどこのゲームの魅力を味わうことができる、スルメゲー的側面もあるのだ。

総評

ファミコンの人気作である『エキサイトバイク』を、らしさを失うことなくN64の性能も生かし上手く昇華させた一作。
また豊富なモードや準バカゲー的演出の数々も、フルポリゴンで生まれ変わったエキサイトバイクをより一層楽しませるのに一役買うこととなった。
最初は本作のコースレイアウトの難しさに辟易するかもしれないが、上達してくるとジャンプの爽快感や達成感を得ることができるなど、味のある作品となっている。


余談

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最終更新:2024年01月22日 22:29

*1 CMでの読み。ゲーム内タイトルコールでは「エキサイトバイクシックスティーフォー」と読まれる。