パワード ギア

【ぱわーどぎあ】

ジャンル ベルトアクション
対応機種 アーケード(CPシステムII)
販売・開発元 カプコン
稼動開始日 1994年10月24日
プレイ人数 1人~3人
判定 なし
ポイント 重厚感のあるロボットアクション
敵味方互いに火力がインフレした恐怖の世界
完成度自体は極めて高く自由度&爽快感も高い
サイバーボッツ』の前身



宇宙を砕くか、鋼の拳!



概要

近未来における人型機動兵器「ヴァリアントアーマー」(VA)同士の戦争をテーマにしたベルトスクロールアクション。
副題は「STRATEGIC VARIANT ARMOR EQUIPMENT」。VARIANT=変形とある通り、一部特殊攻撃や多人数プレイ時の合体などで機体が大きく変形する。
海外では『Armored Warriors』のタイトルでリリースされている。


特徴・ゲームシステム

  • 基本的なシステムは他のベルトスクロールアクションと同じだが、本作最大の特徴は登場するキャラのほぼ全てがロボット(人型機動兵器)という点であろう。
  • 移動は演出時以外は歩くのではなく、基本的にはローラーダッシュ的に滑るように素早く移動し、パイルバンカーを放つ時に腕部から排出される薬莢、荒廃した町、ジャングルや遺跡、宇宙での戦いなどと、アニメ「装甲騎兵ボトムズ」へのリスペクトが感じられる作品である。
  • 常時使用可能で弾数も多い射撃武器、パーツ換装システムなど、本作にしかないロボならではと言える要素は数多い。敵ボスもライバル機のワーロックをはじめ、タコのアグミス、ヘリに変形するヘリオンなど個性豊か。
  • 機体はブロディア(バランス型)、レプトス(スピード寄り)、ガルディン(重装型)、フォーディー(軽量型)の4機から選択できる。
  • VA用のパーツ(アーム、レッグ、サブウェポンの3系統)を拾うことにより、自機の装備を換装できる。
    • アームパーツ(腕部):Aボタンによる攻撃が変化する。パワーナックル(初期装備)、デスドリル、フォースクロー、チェーンスパーク、レーザーブレード、シールドキャノンの6種類。ノーマルのパワーナックルも充分に高性能。なお、シールドキャノンだけはステージ開始時の隠しコマンド入手が出来ない。
    • レッグパーツ(脚部):自機の移動速度やジャンプ力が変化し、またダッシュ中やジャンプ中の攻撃が変化する。無装備状態(機体によって異なる)に加え、トレッズ(戦車のキャタピラ)、ターボジェット(フロート)、パワーバグ(四脚)の3種類がある。
    • サブウェポン(肩装備の補助武器):Cボタンによる攻撃が変化する。弾数制限があり、武器によって弾数は異なる。バルカン(初期装備)、ミサイル、ガイド、ボム、ナパーム、フレイム、レーザーの7種類。機体により弾数が違い、ガルディンが一番多い。
    • パーツは道中に落ちている他、敵VAにダメージを与えて装備品を外すことでも入手可。なお換装の際、それまで装備していたパーツは代わりに地面に落ち、予備パーツを持ち歩くことは出来ない。なお、後述のようにレッグパーツは取ってしまうと、基本的にはノーマルのレッグには戻れない。
  • レッグパーツは一度何かを装備してしまうと、1機やられるか、敵からの攻撃でダウンした時にまれに外れない限りノーマルのレッグには戻れない。各機体のノーマルのレッグは実はかなり強いため、うっかり何か取ってしまうと攻略に支障が出る場面があったり、機体の性能差があまり変わり映えしないなと感じてしまう。そのため本作の真の敵はレッグパーツと言っても良いだろう。
  • フォースクローはコマンド投げとボタン連射で敵のアームパーツを引きちぎる能力があり、両腕ともノーマルのゲイツの片腕を奪い取れば、ノーマルのパワーナックルに戻れる性能を持つ。
  • 体力を少し消耗するボタンAB同時押しのメガクラッシュに加え、ボタンBC同時押しで体力が大きく減る代わりに画面全体を攻撃する超メガクラッシュが使える。
    • なお、本作のメガクラッシュは専用のモーションを取らず、周囲にバリアを発するものとなっている。本作は敵の一発の攻撃力が非常に高いため、危ないと少しでも感じたら遠慮せず使うのが重要である。
  • ボーナスステージは「強制スクロールでサブウェポン撃ち放題」というシューティングゲーム的なステージ。ダッシュも攻撃になるので射撃だけに頼らないのも上達のポイント。
  • 複数人での協力プレイの場合、無線機アイテムを取ることで、ボス戦でプレイヤーのVA達が合体し巨大兵器となる。一定時間で解除されるが、合体中は無敵。

評価点

  • ロボット特有の重量感を持った気持ち良い操作性。
    • 自機は非常に高性能。
      • ダッシュしただけで攻撃判定が発生し、耐久の低い雑魚はダッシュで体当たりするだけで一掃できる。機体によってはジャンプ上昇中にも攻撃判定がある。
      • ダウン中の敵にも攻撃が出来る。むしろダウン中への畳みかけこそが重要である。
      • 飛び道具は弾数制限はあるが常時使用可能で様々な種類のものが存在する。更に強力な飛び道具が無制限に撃てる腕パーツも存在する。
      • 通常のメガクラッシュは攻撃、ジャンプ中だろうと使用でき、使用中の移動も可能。
      • 通常攻撃も基本的に判定、火力に優れていて、適当に動かしてもそれなりに戦える。
    • ロマン武器の筆頭・ドリルで敵を貫く爽快感や、フォースクローで敵を掴み上げボタンを連打して連続で叩き付ける暴力性は他にはないこのゲームの醍醐味。これだけのために本作をプレイする価値は十分にあり、是非味わって頂きたい。
  • 当時のカプコン作品は極めて細密に描き込まれたドットグラフィックにより好評を博していたが、この作品も例に漏れないクオリティを誇っている。
    • 本作のメインであるVAは全般的に大きめに描かれている。それでいて緻密さはそのまま。
  • BGMはロック・メタル系で統一されているが、世界観に合わせた熱く燃える選曲ということもあってか評判が良い。

問題点

  • ベルトスクロールアクションのお決まりというべきか、1コインクリアの難易度は非常に高い。
  • 特にラスボスはアドリブで何とかなるようなものとは言い難く、パターンと安全地帯を知らなければまず勝ち目は無い。とくにシールドキャノン装備以外でのラスボス攻略は研究と熟練が必要。(本作のプレイ動画はシールドキャノンでのクリアがほとんど。)
    • 本作では自機も強いが敵も強い。敵の攻撃力が全体的に高く、雑魚に1発殴られただけでも体力の3割近くが減り、(メガクラッシュはあるものの)アームパーツを換装している雑魚の攻撃がフルヒットすると5~8割は消し飛ぶ。
      • その代わり本作では「体力が0以上の時には攻撃を受けても体力0で生存する」という根性補正を搭載している。ただし敵のごく一部の攻撃にはこれが適用されない。
    • 雑魚敵の動きも嫌らしく、ダッシュ、突進攻撃、ジャンプでの回り込みはほぼ標準装備。
    • プレイヤーの残機設定も、基板出荷時の設定では残1+エクステンド無しと恒例通り少なめ。
    • 困ったときのターボジェット垂直ジャンプからX字砲撃で殆どの難所を切り抜けられる。垂直ジャンプ後はジャンプボタンを押しっぱなしで滞空時間を伸ばせるので一方的に砲撃しつつ体制を立て直せるが敵もしっかり着地を狙ってくるので状況判断をしっかりしよう。
  • ちなみにターボジェットパーツ自体が4面まで進めないと出ない上に出現が4面のみというレアパーツなので換装したら何が何でも死守すべし。なお、ターボジェットがあるからと言っても決してヌルゲーにはならないし、ラスボス戦には必ずしも必要ではないので、過信は禁物である。
  • キャラ(VA)が大きいことは評価点で述べた通りだが、ゲーム中はそれらが画面上を所狭しと動き回るため、状況を把握しにくくなる事がある。特に乱戦時には顕著。

総評

パーツ交換のシステムや重厚なメカデザインは好評だったが、一方で従来のベルトスクロールの定石が通用しない作品である。同時期に稼動していた『エイリアンVSプレデター』や『ダンジョンズ&ドラゴンズ タワーオブドゥーム』の人気にもおされ、本作はあまりパッとしないまま消えていった。
しかし、ドットやBGMを含めプレイした人の評価は基本的に高く、まさに「知る人ぞ知る」と言える作品。ロボらしい型破りなアクションやパーツ換装に自由度・爽快感は他作では味わえない楽しさがある。


その後の展開

  • 後に本作での凄まじい描き込みぶりのグラフィックを大半流用した対戦格闘ゲーム『サイバーボッツ フルメタルマッドネス』が製作された。
    • ラッドやスカルドなど一部の機体は登場できなかったが、ザコキャラのゲイツが強力に改造された仕様で敵として登場。初心者キラーとして恐れられていた2面ボス・アグミスが「スーパー8」と改名してパイロットのデビロット姫と併せてコミカルさを前面に押し出した人気機体となり、ヘリオンは中ボス的存在に。ワーロック3は設定上の正式名称である「ν(ニュー)ワーロック」名義でラスボスとして君臨するなど、充分すぎるほど本作を有効活用できている。本作と併せてプレイしたいところだろう。
    • 「続編」的な位置づけにあたるものの、両作の直接的なストーリー上のつながりは無く、時系列上の年代も過去の話となっている(『PG』が2281年、『CB』が2099年)。また、機体の型式番号が全て異なっていたりサイズなどのスペックが変更されている(例として、ブロディアは『PG』では型式番号AEX-10Mで全高4675mmだが、『サイバーボッツ』では型式番号BX-02で全高14.5m、など)。
    • 本作のVRのブロディアは『MARVEL VS. CAPCOM』でジン・サオトメが出演した際の技演出での登場以降はジンの愛機として、アグミスはデビロット姫の愛機「スーパー8」として、クロスオーバー作品では『サイバーボッツ』側のキャラクターとして扱われることが多く、初登場作品である本作を知らないという人も多いであろう。
  • 本作は稼働から長らく家庭用ハードへの移植が行われなかったが、2018年9月14日にSwitch/PS4/One/PCにて『カプコン ベルトアクション コレクション』が発売され、待望の家庭用移植となった。
    • ただ、本作が家庭用ハードに移植されるまでの間は上述の通り続編である『サイバーボッツ』が家庭用ハードに移植されキャラクター関連も知名度を十分に得ているため、初代作にあたる本作は続編に水をあけられてしまった感は否めない。
    • とはいえ、登場から長らくの間は幻のゲームとされていた本作が再び日の目を見たのは事実である。『マブカプ』等でプロディアやスーパー8を知ったプレイヤーは本作に触れて彼らのルーツについて知ってみたらどうだろうか?
  • 2021年にSwitch/PS4/One/Winで配信された『カプコンアーケードスタジアム』には『サイバーボッツ』と一緒に収録されている。
  • 本作の知名度が今一つだったため「格ゲーじゃないほうのサイバーボッツ」などと、長年に渡り悪意無く言われていた事も。立体物の商品もサイバーボッツのモノとして扱われている。

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最終更新:2024年02月21日 22:51