SDガンダムウォーズ

【えすでぃーがんだむうぉーず】

ジャンル シミュレーション
対応機種 Pippin atmark/Power Macintosh
Windows 95
メディア CD-ROM
発売元 バンダイ・デジタル・エンタテインメント*1
販売元 JVCアドバンストメディア
開発元 レイアップ
発売日 【Pippin】1997年12月12日
【Win】1998年6月5日
定価 6,800円(税込)
判定 なし
ポイント SDガンダムゲーの中でもマイナー中のマイナー
ガンダムゲーの中でも鬼レベルの難易度
偵察機が最も輝いている(当社比)ガンダムゲー
荒唐無稽なオリジナルガンダム多数
前後で似たようなタイトルが増えすぎて画像もほぼ残らず
SDガンダムシリーズリンク


概要

『機動戦士ガンダム』から『機動戦士Vガンダム』までのガンダムが登場する、PC用シミュレーションゲーム。
厳密にはかつてバンダイが展開していた世界で最も売れなかったゲーム機「Pippin atmark」向けとして作られたが、後にWin95でも展開された。
ゲームとしてはターン制の斜め見下ろし型シミュレーションゲームであり、ユニットを自分のターンに動かして、行動を選択して進めていくもの。
ここまで聞くと、SDガンダムのシミュレーションでお馴染みの『SDガンダムGX』や『Gジェネレーションシリーズ』などが思い浮かぶだろうが、本作はそれとはまるで異なる。
MSは120種類登場し、中には本作特有のオリジナル機体が多数登場する。これらは後発の作品において一切採用されていない幻のMS達である。

特徴

  • 基本システム
    • プレイヤーはMS3機で1小隊を編成し、マップに投入していくが、このゲームには索敵による「視界の概念」がある。
    • つまり、敵の配置は自軍が確保している視点内に収まっていなければ敵の存在は一切わからない。
    • これを解消するため、本作には偵察用の機体が多くおり、敵の存在を察知していかないと奇襲攻撃に備えられない。
  • 独特の機体システム
    • 上記であげた二つのシリーズは、MSを生産することができる。本作でも一応出来ないことはないが、事実上無意味である。
    • 連邦軍で例えると、本作の基本となる機体は「ガンダム」「ガンキャノン」「ガンタンク」「ジム」「コアファイター」と「戦艦」のみ。
      • しかも「ガンダム」は、敵の基地を占領した際に手に入る鹵獲専用機体で、非常に貴重。それ以外は基本ノーコストで自由に生産出来るが、いくら用意しても出せる機体は限られているため無意味。
    • 「たったこれしか作れないのに総MS数は120種とはどういうことか?」という疑問が生まれるが、本作はいわゆるクラスチェンジシステムが「換装」という形で採用されており、レベルをあげた機体を次々と換装させていくことでパワーアップしていく。
    • どういうことかというと、設定上はありえないが、育てた「ガンダム」が「換装」によって「ガンダムアレックス*2」にパワーアップしたり、サーチガンダムと呼ばれる偵察機に様変わりしたりと、本作では機体が千差万別の変化を見せていく。
    • 強いMSを手に入れるには、とにかく機体を育てて強くするしかなく、本作品では敵に倒されることによる自軍ダメージが非常に大きい物となっている。
    • ちなみに破壊された機体の修理は可能だが、僅かにしか手に入らない修理ユニットを使用しなければ復活することが出来ず、つまり数に限りがある。

評価点

  • 非常にやりごたえのある難易度
    • Gジェネレーションのように無双出来ることはほとんどなく、慎重に動いては敵と戦闘し、敵軍陣地に攻め込んでいくという「ミノフスキー粒子」を上手く活かしたゲーム内容になっている。
    • とにかく敵が基本有利なシステムなので、特攻すれば1小隊が集中的に狙われて即全滅というのは普通に起こることである。
  • 戦略幅の広さ
    • MSを編成する際、同じ系統のMS(ジムならジムだけの部隊にするなど)を揃えたり、違う編成にしたり(ガンダム+ガンキャノン+ガンタンク)と、編成一つとっても戦略性が高い。
      • 基本は同じMSで揃えるのが安牌である。攻撃範囲・移動力を合わせやすくなるためである。ただし弱点を補うというメリットもあるので混合編成にも利点がないわけではない。
    • マップでも当然ユニットの動かし方が鍵となるため、闇雲に移動させられないなど緊張感も高い。
  • ドット絵の秀逸さ
    • 本作は3DCGによるオープニング・エンディングを除けばほぼ全てがドット絵で再現されているが、やや独特の絵柄だが非常に秀逸で、どの機体も格好良く描かれている。
  • オリジナルガンダムの独自性
    • 本作のシステムを象徴する偵察用ガンダム「サーチガンダム」、連邦軍製デビルガンダムにしか見えない巨大MA「ストロングガンダム」、別世界から来たとしか思えない「キングオブガンダム」(しかもこちらもMA)さらにはVガンなのにファンネルが使える「V3ガンダム」など、そのバリエーションは豊かなうえ、デザインはそれぞれ秀逸。
    • ちなみにその他のガンキャノン、ガンタンク、ジム系統もオリジナル機体が多数用意されている。Vガンダムの世界観を意識したと思われる「Vタンク」は、ガンタンクとは思えない格好良さである。

賛否両論点

  • 終盤の強力な換装機がほとんどオリジナル機体
    • オリジナル自体は悪くないが、原作で思い入れのある機体よりもオリジナルが強いというのは、いささか原作を食い過ぎているとも言える。

問題点

  • 偵察機の不遇さ
    • 本作において偵察機はかなり重要なカテゴリーの1つであるが、これら全ての偵察カテゴリー機は攻撃が一切出来ない。
    • 当然索敵のためには前線に出せねばならないが、反撃出来ないためなぶり殺しにされやすい。
    • それでも用意しないとすぐに奇襲に合うというのが辛いところで、本作の難易度を格段にあげている。
    • 本作オリジナルの「サーチガンダム」はΖプラス系統の秀逸なデザインなだけに、やや勿体無い仕様と言える。
  • 最終換装形態に要する経験値が高すぎる
    • 先にあげた基本機の中で最終形態まで育てられるのは少なく、基本はガンダム系を最終換装形態「キングオブガンダム」にすることを優先出来るかというくらい。
  • 敵側の部隊が残り少なくなると敵が降伏して強制的にマップクリアになってしまう
    • 敵の基地の占領の機会を失い、貴重なアイテムやガンダム系ユニットを逃してしまう事も。
    • 敵の降伏は確率で発生するのでセーブ&ロードである程度の対策は可能ではある。
    • クリア報酬の条件に敵の降伏が必要なものがあり、その場合は降伏を狙う必要が出てくる。
  • 必要スペックもやや高かったのか、並のPCではフリーズしてしまうこともあった。

総評

対応ハードがマイナーハードだったことで知名度が低いのが勿体無いと言えるくらいの完成度と骨太さを持った作品。
後の作品に登場しないのが惜しいほどデザインやコンセプトに面白みがあり、本作に登場するオリジナルガンダムの存在もあって、デザインに関して言えば今でもしばしば語り草となっている。


余談

  • SDガンダム+○○ウォーズというタイトルが氾濫している現在では、検索しても画像はパッケージくらいしか出てこないうえ、その内容を語るページすら探し出すことが困難である。
    • ファミコンウォーズ関係に詳しいファンサイトで、なぜかこのゲームが詳細に扱われている。
      「おそらく、というか確認するまでもなく 世界中どこを探してもこのゲームの解説・攻略記事に労力を割いたサイトは存在しないだろう
      と豪語するが、まったくもってその通りである。この個人サイトが消えてしまったら完全に絶滅となる可能性は極めて高い。
  • 本作に登場するオリジナルMS「V3ガンダム」を既存のガンプラを使って再現したミキシングビルド作例が有志によって公開された事がある。
  • 対応機種
    • 元々メインとなるPippinの普及率の低さが仇となり、それからしばらくしてWindows版が出る運びとなった。
    • 仕方ないが、現在プレイ出来ない理由の1つとして、まともに動作保証されているOSがWin95くらいしかないということが痛い。
    • 一応Win98ではギリギリ動くのだが、動作保証されていないためやはり動作不良を起こすことが多く、推奨されない。
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最終更新:2023年04月19日 22:02

*1 Win版の後期生産分は、解散に伴いバンダイから発売された。

*2 本来はガンダムNT-1だが、本作ではこの名称。ちなみに陸戦型ガンダムは量産型ガンダムという名称になっている。