レッドアラート

【れっどあらーと】

ジャンル アクションシューティング
対応機種 PCエンジン CD-ROM2
メディア CD-ROM 1枚
発売元 レーザーソフト(日本テレネット)
発売日 1989年12月28日
定価 6,780円
判定 バカゲー
ポイント 非常に熱いストーリー展開
ゲームとしては良くも悪くも大味



ロイドとフォースプロジェクトには借りがある。
借りは返すのが俺の主義だ。


概要

1989年に日本テレネットからリリースされた、アクションシューティングゲーム。
オープニングやステージ前後、エンディングに至るまで豪華声優陣の熱演を交えたビジュアルシーンが搭載されている。
1人プレイ専用で、全6ミッション構成。各ミッションはいくつかのステージに分けられている。

ストーリーは、武力によって世界を制圧しようと企む4人の黒幕によって形成された国際的武装集団「フォースプロジェクト」を壊滅させるため、
CIAから派遣された無敵のアーミー「ガイ・カザマ」が単独で戦地に赴くというもの。
物語は因縁のロイド政府との戦いから始まり、大統領救出、そしてフォースプロジェクトとの対決へと発展していく。


ゲームシステム

  • 基本はトップビュー視点にてガイの移動を行い、通常兵器(弾数無制限、以下ショット)と特殊兵器(使用回数制限あり)を使い分けて任務をこなしながら進む。
    • ガイには「経験値」が設定されており、敵を倒したりミッションをクリアすることで加算されてゆく。経験値が一定量に達するとレベルアップし、ライフの最大値や使用できるショットの種類を増える。
    • 主人公の体力はライフ制。ミス条件はライフが尽きるか、各ステージにて定められた制限時間が0になるかのどちらかである。
      • ミス後はコンティニュー(無制限)にてそのステージの最初からやり直しが可能。
      • ステージ中に電源を切っても、再び起動した時に切ったステージのミッション最初(ステージではない)からの再プレイが可能となっている。
      • なお、双方とも特殊装備はリセットされてしまうが、経験値やレベルは前の時点から引き継がれる。
  • ステージのクリア条件は主に3種類あり、それはステージ開始前のMAP画面にて色分けのポインタで示されている。以下にその条件を示す。
    • 「タイプA(青)」…ほぼ一本道で構成されたステージで、先に進むとボスが待ち構えている。
    • 「タイプB(黄)」…指定場所にいる捕虜をすべて救出する、爆弾を仕掛けるといったドットイートゲーム的な条件があり、これを達成しないとクリアできない。全条件を満たした上でゴールに向かうと、ボスが待ち構えている。
    • 「タイプC(赤)」…原則としてタイプAと全く同じ。ただし、このステージにてピストル以外の武器を使用すると敵の増援が発生してしまい、余計な手間が掛かるペナルティがある。よって、強力な武器任せのごり押しで進むのはお勧めできない。
  • ステージ中にランボタンを押すと、ショットと特殊兵器の切り替えが可能。キー左右操作でショットの、上下操作で特殊兵器の種類を選択できる。
    • ショットは、ボタン押しっぱなしでガイの向きを固定をして攻撃することができ、その状態のまま移動することも可能。
    • 特殊兵器は、特定の敵を倒したり箱を破壊などすると出現するアイテムを回収する事により、そのストックが1つ増える。各兵器はそれぞれ最大9までストックできる。まれにアイテムの中にライフを回復するものが落ちている事がある。
+ 使用できるショット
  • 「ピストル」…初期装備。前方一直線に三連射が可能。この装備以外を使用すると、敵の猛攻が過激になるステージ(下記)も存在する。
  • 「サブマシンガン」…レベル3から装備可能。前方一直線に五連射が可能。
  • 「アーマライト」…レベル7から装備可能。前方三方向に三連射が可能。この辺から使い勝手がかなり良くなる。
  • 「M203」…レベル11から装備可能。前方三方向、その中間方向のショットが爆風を発生させるミサイルとなる。連射回数はその時によって変わる不特定型。
  • 「重マシンガン」…レベル15から装備武可能。全方五方向に二連射が可能。後半の雑魚戦相手にはこの装備じゃないと厳しくなってくる。
  • 「ミサイルランチャー」…レベル19から装備可能の最強武器。ミサイルを全方一方向に4発放つ。火力は凄い反面、連射は単発のみで小回りがききにくいという難点もある。
+ アイテム(特殊兵器or回復)
  • 「ハイパーパイナップル」…前方に手榴弾を投げて攻撃する。攻撃範囲が狭く当てにくいが、その分攻撃力は高い。
  • 「ヘビーミサイル」…前後左右にホーミング性能を持つミサイルを計4つ放つ。
  • 「サテライト」…ガイの前方左右に補助オプションを一定時間つける。このオプションには前方にショットを放ち、敵弾をかき消したり、触れて敵にダメージをあたえる効果を持つ。
  • 「ブラッディフリスピー」…斜め四方向に計4つのフリスピーを放つ。このフリスピーは敵を貫通し、壁に当たると反射する効果がある。
  • 「スーパーナパーム」…ガイ前方に射程のあるバーナーを一定時間放つ。
  • 「救急箱 小/大」…小は少量のライフが回復、大はすべてのライフが全快する。

評価点

ストーリー展開が熱い

  • まずゲームを起動すると、ガイが戦場に赴くまでのプロローグがビジュアルシーンにて語られる。タイトル画面には「PUSH RUN TRIGGER」の文字が。
  • ミッション開始前にも気合いの入ったビジュアルシーンが挿入される。例えば最初のミッションでは、全身を武装したやたらと迫力のあるガイが表示される。
  • 最終ミッションではラスボスのガルシア博士との対決の後に、まさかの宇宙戦に発展。ちょっと超展開すぎる気もするが、気にしてはいけない。

豪華声優陣の熱演

  • 主人公のガイ役があの超大御所声優、神谷明氏。ガイのクールな台詞回しを終始神谷ボイスで聞ける。以下ガイセリフの一例。
    • 火炎放射器デブボス「グヘヘ、お前を俺の炎で焼き殺してやる、レアとミディアム、どっちがお好みだ?」
      ガイ「あいにく俺は、焼き豚が嫌いでな!!!
    • 女ボス「ここから先はあたしに勝ってからよ」
      ガイ「君に悪いが、戦いにレディファーストはないぜ!
    • スティーブ会長「全く君も派手にやってくれたものだ… この武器と積荷の武器だけでも、損害は10億ドルにも達するのだよ」
      ガイ「スティーブ、あんまり金に汚いと人に嫌われるぜ…
    • ガルシア博士「雇われの傭兵風情がここまで危険を冒してまで私を苦しめる… 何故だ?!」
      ガイ「ガルシア、自分の気持ちだけは誰にも雇われちゃいないんだ!!!
    • ちなみに神谷氏の他にも、有名な声優がキャスティングされている。流石はテレネット、声優絡みに関しては妥協していない。

テレネット製ゆえのメリット

  • ゲームクリア後のスタッフロールが終了した後にしばらく放置していると、神谷氏本人の声が流れて裏技(デバッグモード)のコマンドを教えてくれる。デバッグモードでは主要キャラクターの声優陣による、プレイヤーに対するサービスボイスまで収録されている。声優ゲーとしての価値も高いと言える。
  • ビジュアルシーンのグラフィックやBGMは良質。やはりこの点に関しては信頼のテレネット製である。
  • ゲームパートに関しても、(一部除き)適度なステージ構造、絶妙に配置された回復アイテムなど、テレネット製としては悪くないゲームバランス。

賛否両論点

散在する妙なシナリオ展開やセリフ回し

  • バカゲー的要素、もしくは「単なるゲームだから…」と考えれば納得でき無くもないが、このノリを受け入れられるかはプレイヤー次第。
+ ネタバレ注意
  • ミッション4前のイベントにて、フォースプロジェクトの黒幕達が「ガイがミスターリー主催の武道大会に出場するらしいので、雇った3人の刺客で奴を抹殺しよう」と話をするのだが、何故か武道大会のシーンは端折られ、いきなりガイがリーの潜む塔へといつも通り重火器をぶっ放しながらカチコミに入っている。武道大会とは何だったのか?CIAの流した偽情報に踊らされたということなのかもしれない。もっともその後のステージの展開(刺客がガイの侵入した経路に待ち構えている)を垣間見るに 武道大会というネタがボツになった という感じの方が強いが。
  • 最初の刺客である巨漢男ボスの戦闘前のセリフが「グハハハ、ガイ、お前を駄目にしてやる!!!」である。駄目にしてやる…分からなくもない表現だが、いかがなものか。これはシナリオライターの問題と言うしかないのだが。
  • 最終ミッションにてガルシア博士が、世界を崩壊させるミサイル「インドラ」を24時間後に発射するとCIAへ通告するのだが、「一度だけチャンスをやろう、24時間以内にガイが単独で乗り込み、ミサイルを破壊できれば世界は救われる」と宣戦布告してくる。黙ってりゃ勝手に世界が滅亡するのに、ご丁寧にガイ単独を指名してチャンスをくれるあたり、ガルシアの優しさが垣間見られる。
    • ガルシアの元にたどり着くとガルシアはスペースシャトルへ乗り込んで逃走する。しかし、何故かシャトルがもう1台あり、ガイはその1台にてガルシアを追跡することになる。自身を追いかけるためのシャトルを残してくれているあたり、ガルシアの優しさがまたも垣間見られる。
    • この後、わざわざシャトルを残しておきながら「何故私をそこまで追い詰める?」とツンデレなセリフを吐き、サイボーグと化してガイに襲い掛かってくるのだが、どうみても先行者にしか見えずダサい
    • 倒されたガルシアが「私は負けたが…地球はもうお終いだ」と負けを認め、ガイが「止める方法はないのか?!」と問うと、「(目先にある)インドラを破壊するしかない」とご丁寧にも解決法を口走って息絶える。ガルシアの優しさはとどまるところを知らない。悪役の鑑である。ちなみにガルシアの担当声優はPCエンジンのゲームのラスボスとしてお馴染みの銀河万丈氏という隙のない布陣である。

大味なゲームバランス

  • ゲームバランスがはっきりいって大味で、パターン把握やテクニックの類はほとんど必要としない。
    • 多少のダメージ覚悟で敵に突っ込みながらゴールを目指せば、大抵クリア可能である。
    • 通常のショット装備がかなり高性能なので、無理に特殊兵器を使用する必要は薄い。ぶっちゃけいうと、特殊兵器はほとんど空気である
    • むしろ制限時間設定が厳しい事が多いため、嫌でも特攻しないとタイムオーバーとなる危険性が高い。よって、頻繁に立ち止まって敵との間合いを調整する戦法を行うのは自殺行為となる恐れがある。
      • 幸いにもライフゲージが多く、上記の通り適度な回復アイテムが置かれているので、それを考慮した特攻を行うのが攻略法となる。変な言い方だが、本作はこの特攻具合とゲームバランスとの調和が取れており、大味だがバランスは悪くないという不思議な存在となっている。
      • また、ボス戦の多くは接近してショットを撃ち込めば瞬殺可能という場面が多い。これも大味だがバランス調整の一環とも見ることができる。

問題点

ビジュアルシーンと実際のゲームパートの差

  • ビジュアルシーンの熱いイベントを終えてゲームパートに待っている現実。それはキャラが小ぢんまりしていて、やたらとちまちましたグラフィックである。
    • ビジュアルシーンでのガイはとても迫力があるのに、ゲームパートでは小ぢんまりしており、見た目でガイと判別するのはほぼ不可能。
    • 『戦場の狼』をそのまま再現したかのような外見は、テレネットお約束のビジュアル詐欺とも言える。
  • 倒した敵のやられ方が血を噴出してうずくまるか爆発するかのどちらかしかないなど、各キャラクターの動作バリエーションがやたらと少ない。
    • ガイのミス時ですら敵と同じ血噴出しグラフィックを流用している。
    • ただ、グラフィックの色彩自体は格別酷くはないというフォローもしておく。

操作性やゲームシステムの粗

  • ショットボタン押しっぱなしでガイの向きを固定をして攻撃できるのはゲームシステムの項で述べたが、押しっぱなし入力にラグがあるらしく、すぐにはロックされない。よって、あらぬ方向に固定されてしまい苦戦に陥る場面が多々ある。
  • タイプBのミッションにて、捕虜などの存在を示すMAPなどは一切存在しない。よって、時間経過によっては捕虜などを全部回収できずに右往左往してしまい、時間が足りずにそのステージは「詰み」に陥る可能性がある。こうなるとわざとミスしてステージの最初からやり直すしかない。
  • ロードがやや長く、ビジュアルシーンやゲームパートの合間に微小のウエイトがかかる場合がある。
  • BGMの使い回しが目立つ。ある程度その場にあった選曲がなされているため「雰囲気ぶち壊し」となる場面は無いが…。

その他

  • スタッフロール後に神谷ボイスで裏技を教えてくれるのは嬉しいのだが、かなり早く読み上げるのでメモする時間がない
    …にもかかわらず、神谷氏は「紙と鉛筆を用意して」と発言した後に、即行でコマンドを読み上げてくれる。

総評

とにかくストーリーの熱さ、ビジュアルシーンのクールさ、声優陣の熱演っぷりが特筆物。
肝心のゲームパートは完成度が高いとまでは言えないものの、テレネット製のゲームとしては比較的普通に楽しめる部類に入る。


余談

  • ファンアイテムとしても十分な作品と言える割には中古相場が安く、マニアな店でも捨て値近くで売られている事が多い。
  • ステージ中にセレクトボタンにて通常のポーズが可能だが、武器切り替えにもポーズ効果があるので、あまりセレクトの存在意義がない。
  • ガイの容姿は漫画『シティーハンター』の冴羽リョウに酷似している。「これシティーハンターのゲーム化だぜ」と嘘をついても信じてもらえるレベル。おそらくはスタッフも狙っていたと思われるが…。なお出演声優の方々は「シティーハンター」よりも「北斗の拳」や「キン肉マン」に参加されていた人が何故か多い。この辺りも狙っているのだろうか?
    • ちなみに本作では神谷ボイスで喋りまくりなのに、ゲーム版『シティーハンター』はノンボイスなのが泣ける。もっとも、こっちはHuカードなので仕方ないのだが。
  • 2022年、あのゲームセンターCXの挑戦ソフトとして 何故か 本作が採用された。最終決戦に向かうにあたって心も身体も「ガイ・カザマ」になりきる為に、挑戦中にたまに行われるコスプレを披露し、有野課長は 「ガイ・アリノ」 となった。参考にしたのは最終決戦の前に流れるビジュアルシーンのガイだった様である。このシーンのガイなのだが、顔が 鋼鉄の如くギラついている 為、仮装した課長も顔がテカテカ(金色?)に塗られていた。仮装後に「今のお気持ちはどうですか?」とサポートADに聞かれたところ課長は 「最悪ですよ!」 と答えていた。ゲームの方は何度かコンテニューをするなど多少苦戦したところも見られたが、割とスムーズにクリアしていた。

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最終更新:2023年02月21日 12:06