アンチャーテッド 地図なき冒険の始まり

【あんちゃーてっど ちずなきぼうけんのはじまり】

ジャンル アクションアドベンチャー
対応機種 プレイステーション・ヴィータ
発売元 Sony Computer Entertainment
開発元 SCE Bend Studio
Naughty Dog
発売日 2011年12月17日
定価 5,800円(税別)
廉価版 PlayStation Vita the Best
2013年10月10日/3,400円(税別)
判定 良作
アンチャーテッドシリーズ
SIEワールドワイド・スタジオ作品



さあ、新しい冒険へ!



プロローグ

駆け出しのトレジャーハンターであるネイサン・ドレイク。
ある時、かつて多くのネイティブアメリカンとスペイン人が戦争を繰り広げた土地に莫大な遺産が眠ると聞く。
彼は中央アメリカへと足を運び、その傍らにはハスラー上がりの友人ジェイソン・ダンテの姿もあった。
目的地へ到着したネイトたちは、姿を消した考古学者の祖父を捜しているという謎の女性マリサ・チェイスと出会う。
彼女と協力をしつつ、遺跡に隠された謎を解き明かしていくうちに、黄金の都市へのカギを発見する。
果たして彼らは、数々の障害を乗り越えて黄金の都市にたどり着くことができるのか?
そして、そこで彼らを待ち受ける運命とは?
(公式サイトより引用)


概要

シリーズ初の携帯機作品であり、時系列は『エル・ドラドの秘宝』以前の物語となるスピンオフ。海外名は『Uncharted: Golden Abyss』となっている。
開発はポータブルゲームの制作に特化したゲーム開発会社「SCE Bend Studio」が担当しており、Naughty Dogは監修という形で携わっている。

「プレイする映画」「テンポの良さ」「ロードレス」等のシリーズ固有の魅力を、新ハードで最大限に引き出した意欲作である。
海外では不調なPSVでの発売ながら、GamesComで「Best Mobile Game Award」を受賞し、売上がミリオンを超える等高い評価を得た。

(以後、PS3の各作品を『1』『2』『3』と表記)


特徴及び評価点

  • PSV最高レベルのグラフィック
    • 毎度の事ながらグラフィックは圧巻の一言。流石にPS3作品には劣るが、それでも携帯機としては最上位に位置する。
    • ハード性能の関係でMLAA(モルフォロジカルアンチエイリアシング)が使用されておらず、ポリゴンに若干のジャギが存在する。
      • しかしテクスチャ自体は大きく向上しており、ジャギを除けば『1』以上。勿論物理演算も駆使されている。
    • 中央アメリカが舞台で、ロケーションは『2』ほど多くはないが、それでもジャングル・地下墓地・廃墟・遺跡等が見事に描写されている。
  • キャラクター
    • ネイト(ネイサン・ドレイク)
      • 毎度お馴染みの主人公。グラフィックが綺麗になったせいで『1』より老けて見える。
      • 『1』以前の物語なので当然と言えば当然だが、その不死身とも言える異常な身体能力は健在。
      • 本作では駆け出しトレジャーハンターであるため、ゲーム中盤で凡ミスを犯し笑いを誘う。
    • サリー(ビクター・サリバン)
      • 毎度お馴染みの主人公、のパートナー。ゲーム中盤より登場する。『1』以前の物語なので白髪が少なくやや若い。
      • 彼もまた凡ミスを犯し、ネイトさんと二人で互いの傷をえぐり合って笑いを誘う。
      • 今回は二人の掛け合いを存分に堪能でき、また一時的にだがシリーズで初めて彼を操作できる。
      • ネイトさん曰く「喉が渇くと哲学的になる」とのこと。
    • チェイス(マリサ・チェイス)
      • 新キャラであり本作のヒロイン。高い運動神経を持ち、タフで古代文明への知識が豊富、そして握力が強い。物語のキーパーソン。
      • 最終的にはネイトさんとのフラグが成立するがサリーがへし折った
    • もちろん音声は日本語・英語双方に対応。吹き替えも丁寧で面白く、シリーズの魅力を損なってはいない。
  • ゲーム性・システム
    • PSVに右スティックが追加された事により、PS3作品とほぼ同等の操作性を実現しており、快適にプレイできる。
      • Lボタンで構えてRボタンで発砲、両スティックで移動、×ボタンでジャンプ、□ボタンで格闘と、ここらへんはPS3版と変わりない。
      • グレネードの投擲はタッチパネルの画面右下に宛がわれ、射線の左右変更は△ボタンに宛がわれている。
    • ゲーム性は『2』がベースであり、登場武器は『1』と『2』両方がベース(イベント専用武器はその限りではない)。
      • 例えばハンドガンは『1』のマカロフPMと『2』のM1911両方が登場する。勿論上位版であるベレッタM92FSも使用可能。
      • システムや操作感は『2』がベースであり、同作の特徴であり評価点でもある、ステルスキルもゲーム性に組み込まれている。
      • もちろんジャンプ・泳ぐ・掴む・登る・飛び越える・ロープを使う等のアクションは全て盛り込まれており、上記のステルスキルの導入も合わせて、PS3版とほぼ変わらないアクションとその楽しさを味わう事ができる。
    • また、本作は『3』と同時開発された作品だが、同作の改善点である「△ボタンを押さずに傍を通るだけで弾薬を拾う」が組み込まれている。
  • ハードの機能を活かした操作性
    • ジャイロセンサー・タッチパネル・背面タッチパネルを使った、キャラとプレイヤーをシンクロさせるような操作性が組み込まれている。
    • エイムはジャイロセンサーでも行える。使いこなすには慣れが必要だが、慣れればスティックよりも素早く操作できる。オプションによるオフも可。
    • PS3版では崖は×ボタンによるジャンプで渡っていたが、本作では対岸の崖をタッチする事により、ネイトさんが自動でジャンプしてくれる。もう落下に悩ませられる心配は無い。勿論従来通り普通にジャンプして渡っても可。
    • PS3版では×ボタンと○ボタンでクライミングを行っていたが、本作では壁を指でなぞる事により、ボタンを連打せずにスムーズに登れるようになっている。こちらも従来通りボタン操作も可能。
    • 謎解きにもこれは活かされており、その中でも地味に秀逸なのが「こする」というアクション。
      • 例えば、壁の模様に紙を宛がい、木炭で模様を模写する…この時に画面をこするのである。単純なアクションだがこれが地味に面白い。
      • なお、本作のみの特徴として、一度解いた謎解きは2周目以降はカットできる。従来は2周目以降の謎解きが若干の煩わしさに繋がっていたが、本作ではカットできるのでスムーズに周回プレイを行える。
  • ストーリーとやり込み要素
    • 携帯機なので流石に『2』程の規模ではないが、それでも『1』と同規模のスケールを実現している。
      • 今回は『1』をかなり意識して作っているらしく、登場武器やロケーションに共通点が見られる他、同作に使われたBGMも多数採用されている。武器やロケーションの件も合わせて、懐かしく思う人も多いのではないだろうか。
      • シリーズの魅力であるB級映画的演出もきっちり入っており、上質のストーリーを堪能できる。
    • そしてスケールがやや縮小した半面、大きくクローズアップされたのが「トレジャーハンティング要素」。
      • 本作ではトレジャーが従来作の数倍以上に膨れ上がっており、その1つ1つに解説文がある他、約半数にはネイトさんの一言ボイスが存在する。
      • また、カメラで写真を撮影したり、遺品や宝物を集めたり、資料を収集する等して謎を解く「ミステリー要素」も存在する。
      • 従来では物語上の目的でしかなかった宝探しをシステムに盛り込み、同時に世界観への没入感を深める事にも成功している大きな評価点である。
      • 数が増えた分、「銃を使ってトレジャーを撃ち落とす」というアクションが無くなり、隠し方も分かりやすくする等の配慮がされている。
  • その他
    • やはり今回もロードフリー。最初の長いロード時間を除けば以降ロードレスでゲームを進行できる。
      • 正確に言えば完全なロードフリーではなく、特定チャプターで若干長めのロードが入る事がある。全編を通じて合計で2~3回程。
      • それでも携帯機でありながら、開始からクリアまでに数回しかロードがないというのは確かな評価点である。

問題点

  • タッチやジャイロを使った操作性は慣れるまでに少々時間が掛かるが、慣れてしまえばどうという事はない。
    • 問題なのは、格闘にタッチ操作が採用されており、且つ慣れても面倒極まりない事である。
    • 従来の格闘は「数回攻撃し、敵の反撃を回避し、その後カウンターを当てて倒す」を2つのボタンを使って行うのだが、本作の格闘は「~敵の反撃を回避し、その後カウンターを当てて倒す」の部分にタッチ操作が採用されているのである。オプションによるオン/オフも不可。
    • 格闘中にその都度片手を離し、画面をタッチし、倒した後はまた両手で持ち直す、という面倒な動作をしなければならない。格闘中はスローモーションになるという配慮があるので、こちらが一方的に不利になる事はないが、それもまた逆にテンポの良さを阻害している。
    • クライミングやジャンプはスムーズ且つ直観的な操作となっているが、こればかりは改悪だと言える。
  • 相変わらず面白くないボス戦
    • 今回のボス戦は今まで以上に面白くない。というもの銃撃戦等がないただのQTEであり、しかも2度もある。
    • 入力回数も約10回と多く、途中でチェックポイントも挟まれない。謎解きとは違って2周目以降のカットも不可能。
    • 一応、某サバイバルホラーとは違って一発即死にはならず、数回は失敗しても大丈夫なよう配慮はされているが…。

総評

癖の強い体感操作やつまらないボス戦等、問題点もなくはないが、それを補って余りある完成度を誇る作品である。
PSVの性能を限界まで引き出し、その機能を最大限に活用し、PS3版に勝るとも劣らないゲーム性を実現してみせている。
携帯機でありながら、シリーズの特徴であるトレジャーハンターを大きく追求してみせた点も、決して小さくはない評価点と言えよう。
『アンチャーテッド』のファンなら是非プレイしておきたい作品である。


余談

+ タグ編集
  • タグ:
  • AADV
  • ソニー・コンピュータエンタテインメント
  • アンチャーテッド

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2022年08月10日 14:03