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赤さんと吸血鬼。

【あかさんときゅうけつき。】

ジャンル ある朝、赤さんが落ちていたADV
対応機種 Windows XP~8
発売・開発元 ALcotハニカム
発売日 2013年11月29日
定価 9,240円(税5%込)
ディスクレス起動 可能
レーティング アダルトゲーム
配信 FANZA:2015年12月18日/2,800円
判定 なし
ポイント 一本道かつ混沌で脈絡もないストーリー
雑学による水増しボリューム不足
誰得な赤さん
美麗なキャラデザ、快適なUIとシナリオ以外の点は問題なし


ストーリー

主人公、西桐 悠はいくらかはずれた季節に学園へと現れた転校生。
転校よりすでに半月が経過し、そろそろ当人も周囲もがその存在に慣れてきた頃。
クラスメート、生嶋 秋月[いくしま しゅうげつ]。
秋月の幼なじみでもある、小林 神威[こばやし かむい]。
漆黒の長い髪を持つどこか和風の美少女、六覚院 このは[ろっかくいん このは]。
時代の波と少子化問題的なものにのまれ、閉鎖が決定しているその寄宿舎の、彼らは最後のメンバー。
そこに加わり、ほどほどに青春な日々を過ごしていたところへ現れた、新たなる転校&入寮生。
海の向こうよりやってきた金髪の少女、アレクサンドラ・アン=クリスティン・アクセリナ。
そしてその従者、メイドのインゴット。
日本へは気象学を学びに来たというアクセリナ、彼女にはある秘密があった。
そしてさらにある日、事件が。
赤ちゃんが──寮の前に、捨てられていたのである。

(公式サイトより抜粋)


概要

アタリとハズレを交互に出すという法則を持つメーカー、ALcotハニカムが発売した18禁ADV。宮蔵氏プロデュースによる「ハニカム新書」の第2作目。
子育てモノに、吸血鬼モノの要素をプラスした学園ドタバタコメディという感じに宣伝している。
前述の法則に従うなら本作はアタリの部類になると思われた…が、しかし、それは大きく裏切られることになった。


問題点

  • 唐突かつ脈絡のないストーリー展開
    • 本作の問題点の多くがここに集約されている。序盤こそまだマシだが、中盤にさしかかる頃になると唐突な場面転換を繰り返すのがデフォルトになり、プレイヤーは度々置いてけぼりをくらう。
      • しかもそれぞれのシーンが前触れもなく始まり尻切れトンボに終わる、始まりも終わりも微妙なぶつ切り仕様。下手くそに編集されたダイジェスト…という表現すらおこがましい。
      • 日常シーンは短いエピソードの寄せ集めになっているのでこの問題がより顕著で、プレイヤーは頻繁に呆然とするハメになる。
    • この要素がもっとも話題になったシーンが通称「停電くぱぁ」である。
      • このシーンを説明すると、ヒロインのこのはと停電の起きた寮で談笑していた主人公。なんとなくいい雰囲気になる二人。
        ここまでならよくある展開と言える。
        しかし、テキストを進めていくと突然昼間の学園の屋上でこちらに尻を向けた別のヒロインの姿が映り、そのままエロシーンに突入する。
      • しかもここに至るまでこの別のヒロインと仲良くなる描写はほとんどない。下手な抜きゲーでももっと丁寧に段取りを描いていることは言うまでもない。
  • ボリューム不足
    • メインヒロインのアクセリナが海外出身ということで、海外に関する長いうんちくがそこかしこで披露されるのだが、これに意味は特に無い。
      • うんちくの存在自体は良いとしても、これを除くと全コンプリートまで10時間程度で、フルプライスのゲームとしては非常に短い。
    • 他にも普通この手のゲームでは個別シナリオが存在するものだが、本作では途中のちょっとした分岐とエンディングが変化する程度しか違いはなく、上述のボリュームと相まってとにかく薄っぺらい。
  • 学園ドタバタコメディと思いきや、一本道展開で全員と関係を結ぶ。この手のジャンルでは衝撃的な展開。
    • この展開が物語に生かされている…なんてことは全くなく、ただ薄っぺらいだけである(製作側が楽しているだけ)。修羅場やハーレムルートなども存在しない。
  • 魅力に欠ける主人公とヒロイン達
    • 唐突に意味不明な理由でヒロイン達が股を開く(ろくに過程が描かれない)。しかもこれらの関係が他ヒロインにバレても物語的に起伏も何もなく、描写がとことん希薄。
      • 抜きゲーとして見れば…と思う人も居るかもしれないが、余りにもブツ切り・唐突な展開が激しすぎるせいでその観点から見ても微妙。そもそも本作は抜きゲーではないはずなのだが…。
      • 主人公とヒロイン達はやっている時はえらくノリノリなのに、終わった後は何事もなかったかのように振る舞うのでここでもプレイヤーが混乱する。
    • 主人公は主人公で、基本的に受け身な上に妙に反応が薄い。不快なキャラではないが、見るべきところはほとんどない。
    • ただでさえ評価はガタガタなのに、メインヒロインの中でこのはだけ異様に扱いが悪くて浮いている。これも余計に低品質な印象を与えている。
+ このはに関するネタバレ
  • このはは学園の理事長の孫であり、行方不明の理事長に代わって学園を切り盛りしている苦労人である。しかし、まだ学生である彼女には荷が重過ぎて上手くいっていない事が示唆される。
    • この設定にあまり意味は無い。彼女のEDにおいて他のヒロインによってあっさり問題解決していた…で終わってしまう。
  • 終盤唐突に始まるバトル展開(ちなみにバトル展開に至るまでの流れもバトル展開そのものも『微妙』の一言)では一人だけモブ扱いであり、活躍する機会はない。
  • 一見、公式サイトやパッケージではヒロインが五人いるかのように見えるが、このうち二人は途中に18禁シーンがあるものの個別EDは用意されていない。
  • 赤さんの存在
    • ある時期から主人公と普通に会話するようになる*1のだが、中身も口調もほぼおっさん(声優は女性声優である。一応)。このためキモい、ウザいという意見が多い。
    • こんなキャラクターのため、この手の話でよくあるヒロインによる授乳シーンも「ヒロインのおっぱいを嘗め回したいだけのゲス行為」となっており、批判を呼んだ。
    • 子育てモノとして中心になる存在と思いきや、ストーリーに関わる事はほとんどない。最後の最後に活躍するが、正直いなくても問題はない。
      • 終盤にもなると赤さんの設定含めて、後付け描写のオンパレードなので悪い意味でどうでも良くなる。
      • ちなみに未来からやってきたというような話もあるが、ここらも結局最後まで謎のまま終わる。

評価点

  • シナリオ以外の部分は標準以上の質を保っている。
    • グラフィックの評価は高く、絵柄買いしたプレイヤーもいたようである。
    • 女性キャラは全体的に肉感的・扇情的というよりはスリムで清涼感のあるデザインをしている。髪や肌の色合いも艶っぽいというよりは淡く透明感があり、総じて18禁向けというよりも全年齢向けの美少女漫画のような雰囲気を受ける。エロゲーでは余り見られない特徴的な絵柄だが、質そのものは非常に高く、作画も安定している。
    • 本作の原画を務めた桑島黎音氏は現在ライトノベルの表紙・挿絵を数多く手掛けているが、このゲームが出た2013年頃はまんがタイムきらら誌にて4コマ漫画『P.S.リスタート』を連載しており、本作のCGはその初期の絵柄に近い。*2
    • 上記の通りシナリオはアレなのだが、各種設定は悪くない。アクセリナの能力や主人公に関する設定、意外なラスボスなど材料は良質のモノが揃っている。要は調理法を誤っただけ。
    • システム関連なども特に問題はなく快適にプレイ可能。

総評

発売前はそれなりに期待されていたが、いざ蓋を開けてみると肝心のシナリオがダメという事で酷評され、たちまちKOTYeにエントリーされてしまった。
とはいえKOTYeにおいては他が酷かった事もあり、次点になるほどではなかった。
脈絡のない展開やシナリオとボリューム不足などは大きいものの、凡作といった評価をする人もいる。


余談

  • 2017年4月28日にFANZAダウンロード専売で発売された『ハニカムClassic Works』に本作が収録されている。
  • 定額で30日間ゲームを遊び放題の「GAME 遊び放題 プラス」に本作が提供されている。

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最終更新:2020年07月31日 22:56

*1 本人曰く、親子の絆によるテレパシーのようなもの。他の人には普通の赤ん坊にしか見えない。

*2 単行本が全2巻出ているが、1巻~2巻中盤までの絵柄と本作のキャラデザのタッチがとてもよく似ている。因みに2巻後半では造形や色使いがガラリと変わり、現在の氏の画風に近いものとなる。