ランナバウト2

【らんなばうと つー】

ジャンル ドライブアクション
対応機種 プレイステーション
発売元 クライマックス
普及版:メディアリング
開発元 グラフィックリサーチ
発売日 1999年11月18日
定価 5,800円(税別)
廉価版 普及版:2000年11月9日/1,500円(税別)
判定 なし
ポイント お行儀の良くなったランナバウト
ストーリー性の付与により乱暴な雰囲気が減少
サウンド面はシックでハードボイルドな感じで雰囲気にミスマッチ
ステージと車種は大増量、車種のカオスぶりは前作以上
カオス不足と全般的な練り込み不足でやや評価は低め
ランナバウトシリーズ
1 / 2 / スーパー / 3 ネオエイジ/ドライブ:インポッシブル


概要

前作の好評と様々な要望を受けて制作された『ランナバウト』の続編。
企画制作・発売はクライマックス、メイン開発はグラフィックリサーチがそれぞれ担当。この組み合わせは後の『ランナバウト3』にも見られる。
特にユーザの要望が多かった、ステージ数やマシン数の増量が公式サイトで大きく宣伝されている。
また、アイテム収集やカスタマイズなど、やり込み要素も大幅に増えた。*1,*2

プレイヤーは何でもありの「運び屋」となり、様々なクルマ(マシン)に乗って依頼をこなす。
ステージは箱庭のように作られた市街地や遺跡で、レースゲームのように一本道のコースではなく、どこでも自由に走ることが出来る。
アザーカーや再現された街に設置されているオブジェクト等は全てマシンをぶつけると破壊可能で、被害総額も計算される。オブジェクトの種類、奇想天外さ、破壊表現などもパワーアップした。
他のレースゲームに見られないシリーズ共通の特徴として、ほとんどのステージで制限時間が無くなっても走り続けることが可能。作り込まれた箱庭の街を気ままにドライブしたり、逃げる歩行者を追い回したり、オブジェクトを何でもかんでも破壊しまくって天文学的な損害金額を叩き出したりと、遊びの自由度が高い。

前作では「運び屋が車を使って街で暴れている」という漠然とした背景しかなかったが、本作ではメールで依頼が入り、依頼を遂行(ステージクリア)後にも依頼人からのメール、新たな依頼人からのメールなどが届き、ストーリーが描写される。最終的には、世界の危機を救う筋書きになっている。
メールでのやりとりによって、前作よりもストーリー性が強化されたのもまた大きな変更点であろう。

また、前作の主人公がパッケージでお馴染みのピックアップトラックに乗りライバルキャラとして登場。前作とのつながりを匂わせている。

評価点

  • ボリューム増量。
    • マシンは前作の22種から31種になり、また前作では3つ(4つ)しかなかったステージ数も本作において13に増加した。
    • 渋谷やラスベガスなど実在の町をモデルにしたコースが登場し、面白いステージも増えた。
    • ステージによっては、途中で車を乗り換えたり写真を撮って帰還したりと、幅が増えた。やりごたえも十分。
    • 制限時間内にゴールした時、制限時間を過ぎてゴールした時、それぞれに特殊な演出が挿入される。
    • 一部のミッションで失敗すると新たなミッションが発生したり、バッドエンドムービーが始まるなど、ストーリー分岐が加わった。
  • カスタマイズ要素などのコレクション要素の付与。
    • 車を開放するだけにとどまらないやりこみ要素を付け加えたことで、前作よりも長く遊べるようになった。
    • 新しくアイテム収集要素が加わった。特定の障害物にアイテムが隠されており、これを壊すと「!」マークが飛び出る。!を出してステージをクリアすると、アイテムが手に入り、マシンに1つ装備できる。
    • アイテムがバリエーション豊か。車内で揺れる マスコット人形 、声優の演じる カーナビ *3 毛皮シート といった特にメリットの無いものから、クルマの耐久を上げる 強化コーティング剤 、一度だけ超加速できる ニトロ 、破壊活動に役立つ ロケットパンチ 、果ては 自爆装置 (耐久力をほとんど失うが、空高くジャンプできる)なんていうシロモノも。
  • レースゲームとしての完成度の高さ
    • さまざまなマシンがあるが、それぞれサスペンションの硬さ、タイヤの柔らかさ、AT/MTなどを細かくセッティングできる。
      • マシン毎にFF、MR、4WDなど駆動方式が設定されており、セッティングが挙動にちゃんと影響する。
    • ステージをクリアしようと思うと難易度は高く、しっかりレースゲーであり、最適なコースを決めて覚えた上できっちり速度を維持したままのコーナリングを決めていかなければならない時間設定になっている。
      事前にどのようなコースか確認できる「ルートチェック」も追加されており下調べも出来る念の入りよう。
    • 上手くタイムを縮められるようになったら、前述のアイテム集めが始まる。アイテムの入った障害物を壊してから制限時間内にゴールしないと入手できないため、新たなコース研究が必要になる。
    • アイテムボックスの配置が意地悪に見えて絶妙で、しかるべきマシンでしかるべきコース取りをすればギリギリクリアできるよう練られている。
    • 同様に、マシンの開放条件である「損害額が一定以上でクリア」「損害額0$でクリア」も熱い。マシンの耐久力があるので(そして速いマシンほど耐久が低い傾向にある)下調べで高額なオブジェクトの位置を把握して効率的に回ったり、0$チャレンジでは扉やバリケードを突っ切るショートカットが使えないうえに安全運転が求められる。そして、何度もやりこめば達成が不可能ではない調整となっている。
    • アイテムの数や車種が増えるにつれて、ランナバウト2を制覇していることが実感できる。
  • マシンの種類とカオス度合いが大幅に増した。
    • 車種はなんと31種類。裏技で出るバリエーションも含めると40種類に届く。
    • 開発者お気に入り・NSXを始め、ラリーカー、フェラーリ、ランボルギーニ、シボレー、ロードスターなどスポーツ車が勢ぞろい。
    • 他にも消防車、カブ、パトカー、軽トラ改装のラーメン屋台、ヤンマーのトラクター。まだ驚いてはいけない。
    • 公式ライセンスは無いがハーレーそっくりなバイク、時速300kmが出せるが全く曲がらないドラッグ*4、『ルパン三世・カリオストロの城』でお馴染みのフィアット500*5などの濃いマシンが登場する。
    • ネタマシンとしては、慣性によってリアルに提灯が揺れるラーメン屋台遊園地のパンダなど。
    • シリーズ恒例の戦車枠は、著作権的に大丈夫なのかと言いたくなる ガンヘッド *6にしか見えない戦車「G・TANK」。マシンセッティング画面で3種類に 武装変更 ができ、チェーンガン、フォトンキャノン、グラウンド・ゼロから選べる(しかも御丁寧に、条件を満たしてから車名を「ブルックリン*7」や「カイロン5」*8に変更すると武装強化される裏技あり)。
    • 戦車より危険なのが、 ミサイル運搬車 。見た目がソ連のスカッドミサイル自走発射台(TEL)で、これもマシンセッティング画面で3種類に武装変更ができ、6連装ロケットランチャー、大型ミサイル2発、そして 弾道ミサイル のどれかを装備できる。もちろん発射可能。3つ目の武装(その名もアーマゲドン)を発射すると、車体に乗った巨大なミサイルがゆっくり垂直に立ち上がり、盛大な煙とともに発射、そして画面中央に現れる 残り時間30秒のカウントダウン ・・・ これがゼロになったら何が起こるのか、ぜひ自分で見届けて欲しい。
    • 遊園地のパンダの乗り物は、最高時速100kmで疾走する。裏技で目からビーム掃射が出来るようになり、周囲を焼き尽くす恐ろしいパンダと化す。
      • これ以後のランナバウトシリーズでも車種選びにカオスさが増していくが、本作でも勢いは十二分である。
    • レースゲームではあまり見られないもののマトモなクルマも多い。サイドカー付バイク、大衆車やワゴン車など。
    • 二輪車もご丁寧に世界一頑丈な二輪車である「カブ」が通常仕様に加えて蕎麦屋の出前仕様まで用意されている(しかも主人公の服装もそれっぽくなる)*9

賛否両論点

  • ストーリー性を付与したことによる、ゲーム雰囲気の無秩序さの減少。
    • 本作はメールによるやりとりがあり、ストーリーが分かりやすくなった。反面、前作にあった「細かいことは抜きに暴走!」という無秩序感が薄れてしまった。
    • ストーリーは王道ながらもシリアスな空気を作っており、真面目に依頼をこなすプレイが要求される雰囲気となっている。
      • このシリーズで暴走行為は推奨されているはずなのだが、本作ではシリアスな洋画の空気が漂っている。
      • あくまでハードボイルドに任務をこなしている感が強く、前作のような暴走行為は、いまいち雰囲気に合わない。
  • BGM担当の変更。
    • シリーズ中で本作のみ、楽曲担当がザ・サーフコースターズではない。予算の関係だろうか。前作のように暴走意欲を掻き立てるBGMではなく、ジャズテイストなど大人しい雰囲気の曲が多い。
    • 特にストーリー後半は完全にシリアスな楽曲となっており、ストーリー性重視の内容に不満の声が多い。楽曲そのものは悪いものではなく、ランナバウトにマッチしないと感じるユーザーが多いだけである。
    • エンディングテーマは声優の高橋直純*10と内藤寛がデュエットした唄「RUNABOUTな夜だから」。この曲自体は良曲。ただしEDではなぜか歌が終わる前にスタッフロールが終わるという謎仕様*11。この曲はスタッフロール中に流れる条件を満たしてクリアした場合、ステージのBGMセレクトに追加される。
  • 音響関係の賛否
    • 本作では日本を舞台にしたところもあるため、「助けて!」と日本語で叫ぶ人間がいるステージがあり、洋画っぽさが薄れる部分も。
    • システム音は透明感あるものとなっており、特に決定音は普通のレースゲームっぽい。

問題点

  • グラフィックのディティールが落ちた。
    • 前作のようなグラフィックの凝りようがマシン・背景ともにあまり感じられず、妙に安っぽく見えてしまう部分が多い。ボリュームが増えた分、容量が限界に達したのだろうか。
    • 特に残念と言われるのは、前作の売りの一つでもあった車体破損描写がやや大雑把になってしまったことである。
      • 前作同様破損場所は衝突位置に準ずるが、同じ一箇所にぶつけ続けると凹みが悪化していく前作に比べて、壊れ具合が控えめになっている。
    • ガンヘッド G・TANKなどが放つ砲弾の爆風も、同時期のプレイステーションの3Dゲームと比べると見劣りがする。
      • PS2でテクスチャー補間機能をONにしてからプレイするとグラフィックが大幅に向上する*12
  • 解放条件の不親切さ
    • 今回も「損害額0」「クリアまでの時間」「一定の損害額」となっているが、中には「特定のオブジェクトを全て破壊する」というややこしいものもある。
    • それらの条件やアイテムの隠し場所もノーヒントであるため、自力コンプリートが難しい。

総評

ボリューム不足だった1作目に寄せられた要望を汲んで大幅にパワーアップした後継作。しかし不満の声も多く、作風の転換が裏目に出た作品と言える。
前作の味だった暴走推奨な空気がやや薄れ、ストーリー性重視のシリアスな内容となった点が賛否ある。
しかし順当な「ランナバウト」の発展強化版であり、依頼内容も何もかも無視して街を破壊して回る爽快感や、自分の走りに合わせたセッティングを施したマシンでクールな走りを決める達成感は、他のレースゲームでは味わえない。今ではネット上で攻略情報が見られるので、膨大なコレクション要素を埋めていく楽しみもある。

BGMも賛否両論が分かれ、ザ・サーフコースターズの復帰を求める声は相当多かった。
しかし後半のシリアスさを重視したBGMは、本作のBGMを評価するファンですら首を傾げる部分がある。
本作以外のシリーズは全てザ・サーフコースターズが担当しているため、ランナバウトファンに受け入れがたい内容であったことだけは事実のようである。

後の『スーパーランナバウト』は本作の空気をやや引きずったものの、続編の『ランナバウト3 ネオエイジ』は初代に似た得体の知れないカオスさが復活しており、人気を博した。
本作はランナバウトの方向性が定まる過渡期の作品だったと言えよう。

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最終更新:2022年07月08日 00:31

*1 音楽プレイヤーに入れるとおっさんが警告してくるという、誰も想定していなかった要素も増えた。

*2 当時、一部のPSゲームでゲーム中のBGMをCDプレイヤーで聞ける裏技が流行っていたため、その対策として入れられたのかもしれない。

*3 一見有用そうに見えるが、建物等にぶつかったときに女性ボイス(例外有り)で注意されるという効果なので、攻略には全く役に立たない。

*4 ブレーキボタンでドラッグシュートが開くギミックがある。ブレーキボタンを離すと自動で収納される。

*5 ちなみに劇中と同じ位置にスーパーチャージャーが付いている。

*6 1989年に公開された特撮ロボット映画。残念ながら当時はコケたが、その反面熱狂的なファンも多い

*7 同作の主人公。演じたのは「高嶋兄」こと高嶋政宏氏。

*8 同じく『ガンヘッド』に登場する、よくある「人類に反旗を翻したマザーコンピューター」。

*9 本作の最終ミッションはバイクとそれに準ずる小型マシンのみ使用可能で、特定の条件を満たしてクリアするとヒロインと相乗りするデモが流れる。その時の選択マシンが蕎麦屋の出前用カブだった場合、ヒロインは蕎麦を乗せる運搬機に腰かけてくれる

*10 本作の逃げ惑う人の声を担当。

*11 スタッフロールを戻す事が出来るので一応最後まで聞ける。恐らくどうしてもスタッフロールと曲の尺を合わせることができなかったのでスタッフロールの巻き戻し機能を付けたものと思われる

*12 同様の条件でプレイした場合の前作よりも向上の度合いが大きい