マリオカート8

【まりおかーとえいと】

ジャンル レースゲーム

対応機種 Wii U
発売元 任天堂
開発元 任天堂
バンダイナムコスタジオ
発売日 2014年5月29日
定価 5,700円(税別)
備考 Wii U本体同梱版(シロ/クロ)
2014年11月13日/各32,800円(税別)
判定 なし
ポイント 初のHD画質による美麗なグラフィック
新要素「反重力」に加え『Wii』と『7』の良いとこどり
シリーズ初のDLCは無料・有料ともに豊富
距離制のアイテムシステムに賛否
バトルゲームはレースコース使い回しで不評
重量級ゲーな点は変わらず
マリオシリーズ・関連作品リンク


概要

Wii Uで展開された新しいマリオカート。初のHD化作品であり、映像の美しさはシリーズ随一である。
マリオカート7(以下“7”)』に続くナンバリング作品であり、『7』でのノウハウも大きく引き継がれているが、どちらかというと『マリオカートWii(以下“Wii”)』の続編という傾向が強い。
本作の新要素はなんと言っても 反重力 であり、反重力ゾーン内では他のカートとの激突や特定の障害物にぶつかることでスピンターボという効果が得られる。そのため通常とは違う戦術を要求される。
また『Wii』でバランス崩壊の原因となった「バイク」の復活が発表されて物議を醸したが、性能は『Wii』と全く別物になっている。

なお、コンシューマー機のマリオカートとしては初めてバンダイナムコスタジオとの共同開発となっている(アーケード版は1作目からバンダイナムコスタジオと共同開発)。


特徴

アイテムを使って争いながら上位を目指す、というバトルカートレースの特徴はそのままに、シリーズの要素を贅沢に取り込んだ内容となっている。

  • 反重力とは、タイヤを横に倒して重力制御ユニットに変形させることで、天井や壁を走行できるという要素である。ゲーム的にはプレイヤーは何も操作を行う必要は無く、(多くの場合は青いパネルで区切られた)特定の区間内で自動的に反重力モードになる。3D酔い対策のためプレイヤー視点も変わらない。
    • こういった仕様のため、走行中は普段と変わらないように思えるが、リプレイを見るとF-ZERO GXさながらに大胆な形状をとったコースをプレイヤーたちが駆け抜けていく場面が見られる。
    • 新しいコースは反重力区間の絡む分岐を持つ場合があり、天井や壁を這って走るルートを取ることができる。
  • 水中、グライダーなどの要素はそのまま継続。
    • 『7』などで追加された水中走行、グライダーボードなどの要素は全て残されており、HD画質で楽しめる。
  • 『Wii』で大ブーイングを受け『7』で一旦廃止されたバイクが復活。
    • 曲がり方が違う2種類(ドリフトバイク・ハングオンバイク)が存在すること以外は仕様が一新されており、ウィリーが廃止されカーブに強いという特性に変更された。
    • 『Wii』における批判は開発者の耳に痛いほど入っていたらしく、発売直前の『Nintendo Direct』ではそのことにちゃんと触れたうえで本作のバイクの特徴がしっかり披露された。
  • カートとバイクの中間的性能の「バギー」が新登場。
  • ゲームパッドのタッチ画面を活かしたポイント
    • 他のゲームと同じくゲームパッド単体でのプレイが可能。そうでない場合はゲームパッド画面にクラクションか、コースマップ&順位・所持アイテム表が出せる。
    • ちなみにゲームパッドをメイン画面にしてジャイロ(ハンドルモード)操作を行うとかなり酔えるので注意が必要。
  • 車種のタイプは公式サイトで大まかに従来通りの感覚で分けられているが、キャラクターの性能は「軽量級、準軽量級、中軽量級、中重量級、準重量級、重量級、最重量級」の7つの細かなタイプに分けられている。
    • これまでのようにキャラクターごとの隠しパラメータはなく、ドライバーステータスは以上の7タイプから選ぶことになる。
    • ちなみに能力は、軽ければ軽いほど加速とハンドル操作に優れるが、最高速が低く吹っ飛ばされやすい。逆に重ければ重いほどぶつかり合いや最高速の高さに優れるが、加速とハンドリングに難が生まれる。よって前者が初心者向け、後者が上級者向けとされる。
    • 『7』ではMiiは体格にかかわらず中量級だったが、本作では『Wii』準拠となったため、再びMiiの体重が体格によって左右されるようになった。
      • DLCキャラには「準軽量級と中軽量級の中間」(ネコピーチ・むらびと(女))と「中軽量級と中重量級の中間」(タヌキマリオ・むらびと(男))の2種類が存在するため、全部で9タイプになる。
    • 参戦キャラクターは『7』でリストラされたワルイージが復活した一方、『Wii』の新キャラクターは軒並み消えている。また後述の有料DLCによって『ゼルダの伝説』や『どうぶつの森』からキャラクターが参戦している。
  • 発売後に公開された有料DLCによる追加コンテンツが存在する。
    • 2014年11月の第1弾、2015年4月の第2弾に分けられて公開され、追加される内容は第1弾・第2弾ともに追加ドライバー3体、追加カート4台、追加コース8ヶ所(カップは2個)。値段は両弾ともに税込800円だが、合わせて買うと税込1,200円とお得。
      • 両方を予約・購入することでヨッシーとヘイホーのカラーが9色に増加し、キャラ選択時に任意の色を選べるようになる。
    • また、2014年11月のアップデートではamiiboへの対応が、2015年4月のアップデートではレースのクラスにシリーズ初の200ccが追加されている。
      • 大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』のamiiboを使うとMiiドライバーのレーシングスーツが対応したキャラをモチーフにしたものに変化する。ただし全てのキャラには対応していない。
      • 200ccはその名に違わぬスピード感を楽しめるモードだが、おまけ要素のためかタイムアタックには未対応な他、CPUが正しくコースを走らないなど調整不足な点も見受けられる。

評価点

  • 反重力要素による戦術幅の拡大
    • これまではカート同士の衝突は完全に敵対行為であったが、本作では必ずしもそうではなくなった。
    • 悪意を持って意図的にぶつかられたとしてもこちらにも恩恵が渡るため、この間だけはドライバー同士が協力しあうことになる。
    • カートの性能も通常時の性能と反重力時の性能、さらに水中性能が別になり、マンネリになりがちだった性能差に一石を投じている。
  • HD画質になり、しっかりこだわり抜かれたゲームグラフィック
    • コースの路面やオブジェクトの質感はもちろん、これまで簡略化されていた光源処理や水の透明感も本作ではWii Uのスペックを活かして美麗に再現されている。
    • それでいて常時60fpsでぬるぬる動く。なんと2P同時プレイでも60fpsのままプレイできる。
      • 『SFC』『64』『ダブルダッシュ!!』『Wii』では2P同時プレイの際には上下に画面が分かれていたが、テレビのワイド表示が当たり前になったからか今作の2P同時プレイでは左右に分割されるようになった。
    • 3人以上でプレイすると30fpsに落ちてしまうが、それでも固定30fpsで動くため努力している点は十分見られる。
    • コース背景もかなり美しく、グライダーによる空中飛行もより壮大・爽快に感じられるようになっている。
    • 今回のレトロカップは『64』を中心に再録され*1、前作はSFC版が再録されたのに倣って今回は「N64 レインボーロード」が再録されている。
      そのレインボーロードは『ダブルダッシュ!!』のように下が大都会になっており、HD画質で表現されているためかなり美しい。なお1周が長すぎるためセクション制(1周を3区切りにしたもの)に変更されている。
    • キャラクターのリアクションも大きく増え、アイテムを手に持つようになったりと演出面でようやく『ダブルダッシュ』の水準に戻っている。
  • 自分や世界中のプレイヤーのハイライトリプレイを閲覧できる「マリオカートTV」
    • 自動で見どころを編集してくれるが、プレイヤー自身が編集してハイライトを構築することも可能である。
      • ただし編集といっても「主に表示するプレイヤー」「ハイライトのメインとなる要素(アイテム使用、被弾など)」「ハイライトの長さ」などを指定できる程度で、特定の部分だけを抜き出すといった細かい編集はできない。またタイムアタックを除き通常視点での表示はできない。
    • もちろん他のプレイヤーのテクニックを学習する目的にも使える。
  • 操作パターンが豊富
    • Wiiハンドル(Wiiリモコン)、ヌンチャク、クラシックコントローラーは『Wii』と同様に使用可能。Wii Uの仕様上GCコントローラは使えなくなってしまったが、Wii Uゲームパッドが代わりに使用可能になった。
    • ゲームパッドはスティック操作の他にジャイロ操作も使用可能、ハンドルに近い感覚で使うことが出来る。一々Wiiリモコンを取り出す・起動させる手間がなくなり、慣れれば意外と便利。
    • さりげなく十字ボタンでのハンドル操作にも対応。コントローラーにスティックがあるにもかかわらず十字ボタンで操作できるというのはこの作品が初である*2
  • BGMの大部分は著名な音楽家による生演奏曲
    • どの曲もコースに合わせた素晴らしい楽曲に仕上がっている。曲によっては『マリオカート』以外のマリオシリーズで使われた曲のフレーズが入っているという遊びも。
    • 『7』に引き続き、1位で走っている間はイケイケトラックが流れ、雰囲気を盛り上げてくれる。
    • 一部打ち込み曲もあるが、ゲーム全体として見ると3/5以上は生演奏曲である。
    • またメインテーマには初代『スーパーマリオカート』のタイトル曲のアレンジパートが含まれており、大変印象深い内容となっている。
  • 新アイテムは軒並み個性的
    • 投げた後自分に返ってくるブーメランフラワー。ぶつかった相手を軽くスピンさせる。
      • 外しても戻りで当たることもある他、上手くいけば行きと帰りで2回ダメージを与えられることもある。(ただ流石にこれは稀な事例)
      • サンダーを使われた時に投げている状態かつまだ使用回数が残っている場合、消えずに手元に戻って来る。こちらも稀な状況ではあるが。
    • 相手にかぶりつきクラッシュさせるパックンフラワー。
      • 手近な相手を見つけるとかぶりつく他、コインを食べて入手してくれる。さらにコース上のバナナも食べてくれ、他のプレイヤーが使ったゲッソーも(スミを吐かれる前に食べてしまい)無効化するなど攻防ともに堅実な性能。
      • なおかぶりつく対象の有無にかかわらず、かぶりついた際自分にミニターボがかかるため無駄になりにくい。
    • 周囲を騒音で攻撃するスーパークラクション。
      • 音波に当たった敵をクラッシュさせるのみならず、防御性能も優秀。何とこの音波はトゲゾーこうらを破壊できるため、1位で取得すると安心できるアイテムである。もちろんミドリこうらやアカこうら、コース上のバナナも破壊することが可能。
    • 新アイテムではないが、ルーレットアイテムとしてコインが初代以来の復活を果たした。
      • 使うとミニターボが発生し、10枚までは最高速も上昇するが、使ってもコインはたった2枚しか手に入らないため、基本的には初代同様にハズレアイテム。前述の個性的なアイテムの中にこれが含まれていると考えるとどうしても見劣りしてしまう。
      • ちなみに前作のラッキー7とほぼ同等の効果を持ったミラクル8も登場するが、これに新たに追加されたアイテムもコインである。
  • ウィリーを廃止したうえでバイクを復活させたことによるマシン選び幅の拡大
    • カーブにとことん強いため、特定のコースではカートよりも有利に運ぶことが出来るようになった。グランプリによってはバイクのほうが走破しやすい場合も。
    • 本作ではミニターボはカート・バイク共に差はなく、どちらも二段階のブーストが存在する。
  • 豪華な内容の追加コンテンツ
    • 無料DLCでは実車であるメルセデス・ベンツの車両とコラボ。シリーズ初の実車カートとしてデフォルメした3台のクルマが無料DLCとして配信されている。
      • これに合わせてベンツ側もマリオをキャラとして使ったCMを公開。迫力満点の実写マリオが登場したりベンツのドット絵が描かれるなど面白いものとなっている。
    • 有料DLCは第1弾はゼルダの伝説シリーズ、第2弾はどうぶつの森シリーズとのコラボとなっており、両シリーズのキャラがドライバーとして追加。追加コースの中にはハイラル城や村人達が住む街がそのままサーキットになった物もあり、さらには『F-ZERO』や『エキサイトバイク』のマシンやコースも登場。コースの作り込みの高さからプレイヤーからの評価は概ね好評で、ファンを大いに喜ばせた。
  • アップデートによる不満点の改善
    • 追加コンテンツの導入に伴うアップデートではプレイヤーから累積した不満点の改善も行われており、その対応の良さは評価されている。
      • テレビ側へのマップ表示機能。ネット対戦でのレートのカウンターストップ上限の緩和。グランプリ終了時のコマンドが「ハイライトを見る」が一番上であったのが「次のレース」に変更。キャラ・マシンカスタマイズの最終記憶。ネットワークの安定化。戦績記録スコアの追加。他人のハイライトを自分用に編集可能になるなど。

賛否両論点

  • アイテム基準が順位制から1位との距離差制へ変更
    • これや下記の仕様により、1位への苛烈な攻撃が起こる場面は大幅に減少、また、最初にわざとロースタートを切って強力なアイテムを得るという戦法はできなくなった。開幕時のカオスな展開もなくなり、理不尽な序盤の攻防はなくなっている。
    • こうらやバナナといった一般アイテムはダメージ効果があがり、判定も広くなっている。
    • アイテムの2個持ち(アイテムをカート後部につけることで使用扱いにするテクニック)は不可能となった。
      • これまでの作品は、アイテムをカート後部に垂らしている間はアイテムを使用した扱いになり、新しいアイテムを手に入れられる仕様がほとんど。初回作のSFC版や特殊なシステムの『ダブルダッシュ!!』以外では標準的に実装されていた。
      • しかし本作では、仮にカート後部に出していても、トリプルこうらを回していても、それがカートに残っている間は新しいアイテムは入手出来ず、アイテムによるガード戦法が以前よりやや効きづらくなった。
      • ブーメランフラワーだけは発射時にアイテムボックスをとれば新たにアイテムを習得出来るようになる。ただしブーメランも返ってこなくなる。
    • アイテムボックスの再出現間隔が狭まり、先にアイテムをとった前走者がとにかく有利になるという展開はやや薄まった。
    • これらの仕様は後述のように明らかな問題点も多く見られ、プレイヤーによっては「前作の仕様が良かった」、あるいは「もう一手間加えて欲しかった」という声も聞かれる。
  • アイテム要素そのものの弱体化
    • アイテムボックスの数はこれまでに比べて明らかに最低限程度にまで減少、アイテムによるカオスな展開はかなり落ち着いている。
    • 逆に言えば、一度アイテムを逃した時の痛手がより大きくなったということでもある。アイテム再出現間隔は短くなったものの、ギリギリの順位争いをしている際はどうしても先行車にアイテムを取られて不利になりやすい。
    • 要するにテクニックを重視するゲームとなった。レース要素を重視するコアゲーマーには受け入れられている部分もあるが、マリオカートのアイデンティティを目に見えて薄めてしまったため、ライトユーザーにはやや不評。
      • シリーズの愛好家の一部からの「こういった変化はマリオカートの特徴そのものを否定している」という声もある。
  • 新キャラクターの選出についての賛否
    • 本作ではシリーズで初めてクッパ7人衆(旧名:コクッパ)が参戦した。しかしクッパJr.がリストラされてしまい、マリオカートでの共演は叶わなかった。
      • 近年ピックアップされているコクッパ軍団の参戦を喜ぶ人もいるが、人数が7人もいるだけにキャラクターが偏ったことに関しては、疑問を抱くユーザーもいる。
      • ちなみにクッパJr.はその代わり、『8』発売の一年前に稼働を開始した『アーケードグランプリDX』では継続参戦している。
    • 『Wii』から登場していたディディーコングやファンキーコングといったドンキーコングチームは『7』でドンキー以外全員リストラされ、今回も復活しなかった。厳密にはマリオキャラではないので仕方ない点ではある。
      • 補足しておくが、『Wii』はファンキーコングの性能によってバランスが崩壊していたことが問題だったのであり、キャラの登場自体はサプライズとして喜ばれていた。よって、このリストラ劇は必ずしも快く受け入れられているわけではない。
    • 一方で本作における新キャラクターであるピンクゴールドピーチやベビィロゼッタなど、同一キャラクターのバリエーションキャラが多い。『7』からの続投となるメタルマリオや、DLCで追加となるタヌキマリオやネコピーチ、Wiiの新キャラだったほねクッパなども元が同じキャラクターでその多くが占められている。
      • 好みの問題が強いものの、同一キャラクターのバリエーションに関しては「いろんなキャラクターを出して欲しい」という要望には応えられていない感がある。
      • 特にピンクゴールドピーチに関しては同一キャラクターのバリエーションキャラである上、他の作品に一切登場していない本作オリジナルのキャラクターであるため批判が多い。 ベビィロゼッタも本作初登場なのだが、批判が見られないのは見た目の問題故か。
    • 逆にワルイージが復活したことに関しては賞賛…というより安堵の声がよく聞かれた。コアなファンが多いだけあってか、この点はよく話題にあがっていた。
      • 反面、キャサリンやカロンといった『ダブルダッシュ!!』や『DS』でようやく参戦したキャラはその多くがリストラされた。コース上の看板や障害物としては登場するも、悲愁さが漂う。
    • 有料DLCで追加されたドライバーを含めれば、当時シリーズ最多だった参戦ドライバー数はさらに増えたことになる。
      • DLCでは他にリンクやむらびとと言ったコラボキャラも追加されるため、上記の問題点はこれを入手することで少し解決出来るものの、このDLCにも既存キャラのバリエーションで半数が埋まっており、ニーズを満たせているとは言い切れない。
  • 軽量級が相変わらず不遇で、重量級との速度格差が激しい
    • 今までと同じような欠点がそのままになっており、ガチでプレイするなら重量級以外は選ぶ必要性がない。
      • 今回は特に最高速の面で大きく差が出ているうえ、当然ながら軽量型はぶつかり合いにも弱く、コース外に弾き飛ばされやすい。ダイヤグラムは概ね重量に比例した水準となっている。
      • 今作はコインの導入により素の最高速度で劣る軽量級が重量級に先行されコインを獲得できず、重量級と軽量級の速度差がより大きくなり結果中位~下位帯に取り残されて潰し合いに巻き込まれる状況が多い。
      • 例えば『マリオカートWii』ではコインが導入されておらず、良くも悪くもアイテムが強力であったため、軽量級でもある程度は対抗できる。
      • ただし今回ジュゲムダッシュ*3・その場ドリフトが不可能なため、カスタマイズ次第ではダウンから復帰までの早さをかなりのものに出来る。最高速は犠牲になるが激しいアイテムの応酬が気になるのであれば、従来作に比べると一考の余地はある。
    • 初心者には使いやすいことは確かだが、結局それを使い続けることが出来ないというのは問題で、結果、最高速に特化したモートン・クッパ・ワリオ・重量Mii辺りにキャラが絞られてしまう。
      • その中でも体格がやや小柄で視界を確保しやすいモートンに人気が集中する事態になってしまった。
  • コースアウトペナルティの緩和
    • 本作ではジュゲムダッシュが廃止され、ジュゲムによる救出がスムーズ化した。
    • コインを3つ奪われる、完全制止状態から再スタートという点を除けば、ペナルティはない。今回はパワフルダッシュキノコやスーパースターの使用中に突っ込んでも、効果を残したまま救出される。
    • これにより初心者やライトゲーマーがコースアウトするリスクが抑えられた反面、上級者をコースアウトさせた場合のメリットがやや薄れた。
      • しかしコインの減少や、スピード0からの再スタートというペナルティありきのため、これまでのシリーズに近い足かせはあり、必ずしも単純にヌルくなったわけでもない。何度も落下すれば当然順位転落は確実だし、巻き返しもかなり困難になる。
  • 敵のAI
    • 150ccやミラーになると顕著だがこちらへのアイテム攻撃の精度が更に良くなり、また前作ではキノコ必須のショートカットどまりであったのが細い通路を使ったショートカットもよく使うようになり、『7』以上に敵のAIが賢くなっている。
    • その代わり、従来の作品ではお約束でもあったCOMへの速度補正はかなり弱くなっているため、一度独走状態に持ち込んでしまえばトゲゾーこうらや赤こうらを二連続で喰らおうが1位をキープできる。
    • 前作では「終盤でCOMにトゲゾーこうらを入手されると1位が絶望的」と言われていたため、この変更は決して悪いことではないが、ミスをすることの緊張感がなくなってしまったという声もある。
  • 反重力エリアの存在意義の薄さ
    • せっかく売りに出された新システムだが、コース上で強制的に反重力のところを走らされるため、スピンターボが出来る以外は通常のコースを走っているのと視覚的に差がない。
      • カメラワークの良さはこの作品の良いポイントでもあるので、下手に通常コース部分から弄らなかったことはむしろ評価できるとも言える。
    • 「N64 キノピオハイウェイ」など、コースのアウト側に設置されている場合は任意で通れるのだが、当然アウト側を走る分だけロスになるためグランプリですらわざわざ通る価値はほとんどない。
  • オンラインのコース選択の仕様変更
    • 本作ではランダムで特定の候補が4つ選出され、その中からプレイヤーが選ぶという仕様になった。これにより同じコースが二度三度続くといった事例は減少。
    • 候補の4つが気に入らなければ「おまかせ」を選べばそれ以外のコースも出るが、あくまでランダム。好きなコースを選べなくなったことには批判もある。
    • しかしこれまでのように簡単なコースと難関コースに投票が偏るといった事例はなくなったため、より多くのコースが遊べるようになったのは、より酷い前例のことを考えると良い点であると言える。
      • また、コース決定さえしなければ部屋から退出はできるので、コースの厳選も一応は可能。
  • レトロコース
    • 『DS』以降に導入されている要素だが、特に本作は古いコースほど元の面影がなくなっている。
    • ハード性能が上がり、旧作コースのリメイクにあたって本作の追加要素を盛り込むことが可能になったためだが、結果的に賛否両論となってしまっている。
    • ただし前作である『7』のレトロコースについては、本作がほぼ傾向を引き継いでいるためか好評よりの意見が多い。
    • また、本作だけでなく『Wii』と『7』にも言えるのだが、レトロコースの選定には偏りがあり、SFC版とGBA版のコースが露骨に少ない。
      • DLCのコースも含めると、『DS』以降にリメイクされたコースの数は、SFC版からは10/20、64版からは15/16、GBA版からは10/20、GC版からは12/16、DS版からは11/16、Wii版からは7/16、3DS版からは4/16である。
        『DS』より古い作品のコースは『DS』以降の新作が出る度にリメイクされるチャンスがあったはずだが、SFC版とGBA版はリメイク済みコースが未だに半数と非常に冷遇されている。
      • 初登場以来一度もリメイクされていないコースがある一方、『DS』以降で二度目のリメイクがされたコース(SFC・レインボーロード、GC・ベビィパーク、GC・ヨッシーサーキット)もある。
  • 一部のコース
    • 数多くのコースの中には上級者から見るとサンダーが脅威すぎるコースや運ゲー色の強いコース、打開*4が強力なコースが存在する。アイテムの使い方や駆け引きが重要になり、ある意味マリオカートらしいともいえる要素だが、賛否が分かれている。特に極端に短いコースを7周する「ベビィパーク」は打開が強い上、周回遅れが多発しアイテムが飛び交う荒れた展開になりやすく、上級者でも嫌う人もいるコースである。 コースによっては「存在する価値がない」「削除した方がいい」とまで否定するプレイヤーもいる。他にも動く障害物があるコースも賛否が分かれる。
  • BGM
    • 評価点でも書かれているが、本作では生演奏を含む壮大なコースBGMが使用されており、レトロコースも含めて使いまわしがないのが特徴。
      • ただしレトロコースでも大胆なアレンジをしすぎたためか、元曲のイメージを損ねているという評価もチラホラ聞かれる(例として、「N64 レインボーロード」はミステリアスな雰囲気を持つ落ち着いた曲だったが、本作ではラッパとエレキギター主体の華やかなものに一変した)。
      • 同じく有料DLCで配信されたコラボコースに使用されているアレンジ曲も賛否両論。
    • ただし新曲については基本的に好評。
  • 2画面ハードのお約束であった、プレイヤーの周辺のマップを表示する機能がない
    • ゲームパッドには全体のマップを表示させる機能が存在するが、『DS』と『7』の下画面側には備わっていた「周辺のトラップや後ろから来る甲羅等を確認出来る」「次はどこへ進めばいいのか分かりやすいように向いている方向に応じてマップが回転してくれる」という機能が存在しない。
    • ただし、「今までの据置機のマリオカートシリーズになかったのだから『8』にはなくて当然」と考えるユーザーも当然存在する。

問題点

アイテムバランスの問題

本作も独特なアイテムが多いものの、従来のシリーズに比べてこの要素に関しては批判点が出ていることが多い。

  • アイテム距離制度の弊害
    • 距離によってアイテムが出る制度になったことで1位に対する苛烈な攻撃は収まったが、今度は逆に「いかに最初に差をつけて、下位同士を潰し合わせる状況を作り出すか」が独走勝利の鍵となってしまっている。
      • アイテムの撃ち合いも、前のカートに当てるよりも後ろの相手からの突き上げを阻止することを考えないと、そもそも順位が維持出来ない。結果、1位が低リスクでトップを維持出来てしまう悪循環に陥る。
      • 仮に2位とのトップ争いが起こっても、1位も2位も手札が1つしかなく、攻撃しやすいアイテムは滅多に出ないし、1つの赤こうらでは到底1位の足を止めるのは不可能である。
    • 1位との距離次第では最下位でもダッシュキノコやコインばかりしか出ない。序盤に差が付いてしまう理由はここにある。運悪く最下位になってしまったりして上位を狙うのが絶望的になることもしばしば。
    • アイテムの2個持ちが出来なくなったのもそれに拍車をかけている。1位が身を守りにくくなったということは同時に下位プレイヤーがアイテムで巻き返ししづらくなったということでもある。
      • 1人の防御力低下に対し、残り11人の攻撃力低下を行えば、どう考えても攻撃力低下のほうが影響著しいのは明白である。「2個持ち不可は1位のみにすれば良かったのでは?」という意見も。
    • また致命的な問題として、自分より上位のプレイヤーが強力なアイテムを引くこともしばしばあり、これは距離制を採用していたとしても明らかに軽視出来ない問題である。
      • 下位の方が中位よりも明らかに1位との距離があるにもかかわらず、今作では中位でサンダーやキラーといった強力なアイテムが出る。距離制とは一体何なのか。
    • 「距離を主軸に、ある程度順位も考慮すれば良かったのに」という意見もしばしば起こる。
  • アイテムのカオスさの減少
    • アイテムゲーになりすぎるのはそれはそれで問題と言われてきたが、本作は場を荒らすアイテムが控えめになっている。
    • 肝心の荒らしアイテムであるトゲゾーやサンダーも出現率がやや抑えめ。1位を追走している時ならいざ知らず、一度独走が始まるとこれまで以上に妨害や巻き返しが困難となった。
    • 離れていても1位に攻撃出来るのはトゲゾーとサンダーの2つのみ、前述の2個持ち廃止により、アカこうらを使うにしても2位が1位を追うにしてもアイテムが足りず、後ろにガードアイテムを付けられてしまえば追い上げようがなくなってしまった。
      • トゲゾーこうらは空中を走るのではなく、今回も地上を走るため、巻き込まれた下位のプレイヤーが追い上げるチャンスを失うことになったことも、それに拍車をかけている。
      • また肝心の最上位者への攻撃の面でも、終盤のゴールイン者が出てくる状況では、ターゲット決定から衝突のタイムラグの間にゴールしてしまいゴール後にやっと衝突する無意味な場面が頻繁に見られる。
      • スーパースターによる無敵状態で他のアイテムを所持していても、サンダーを受けるとアイテムをドロップしてしまう。トゲゾーこうらやパワフルダッシュキノコを更に装備して、一気に追い上げようとしてサンダーを食らうと悲惨な状態になりやすい。コースアウトならともかく、これでは何のための無敵なのか。
    • 設置系アイテム(主にバナナ)は本作で非常に消失しやすい。アイテムボックスの減少に反してこれまで以上にアイテムをとりまくると上書きされて消えてしまいやすくなり、パックンの登場で除外されやすくなったりと、これまでよりも罠戦法は通じづらくなっている。
      • 本作では先の通り周回の存在しないコースもあり、そういったコースではバナナは防御として以外使いようがないハズレアイテムになってしまっている。
    • キノコは接触した相手をダッシュさせ、さらに自分もブースト効果が使えるという「お裾分け」要素だが、ミラクル8で出てくるスターは接触されると相手にそのまま奪われてしまう。
      • ミラクル8にはボム兵もついてくるため、連打して早めに使いきらないと自分の首を絞めることになるという、あまり嬉しくないアイテムとなっている。これは『7』のラッキー7も同様。
  • アイテム性能がやや不安定
    • 下位のブーストアイテムが全般的に弱体化し、7で消えた巨大キノコなど自分を強化する無敵系アイテムも減少。これにより爆発的な追い上げは難しくなっている。
    • こうらなどの投げるアイテムは判定が強くなり当たりやすくなったのだが、緑やファイアボールといった誘導しないアイテムは接近警告がないため非常に奇襲性が高く、理不尽さを感じることもしばしば。
      • 特に緑こうらは今作からの仕様変更により壁との衝突時にプレイヤーに向かって跳ね返るようになり、前述のこうら系アイテムの判定拡大と接近警告無しも相まってこれまで以上に当たりやすくなっている。投げた緑こうらが壁で跳ね返りそのまま投げたプレイヤー本人に当たることもしばしば。
      • ボム兵は余波でスリップが期待でき、なおかつ上手く投げれば数人を吹っ飛ばすことが出来る。とはいえ、クリーンヒット時の硬直はこうらやバナナとそんなに変わらず、むしろ自分が巻き込まれたり防御に使えない点を考えるとハズレアイテム気味。
      • トリプルバナナはカートの周りを回転する仕様になった。これにより異常な防御力は弱体化されて独走させづらくした反面、使う前に他アイテムと接触して破壊されやすくなり、防御としても設置アイテムとしても活躍がさせづらい。
      • あかこうらはさらに凶悪化し、ワープゾーンに入ってもギリギリドライバーの尻にくっついていれば一緒に突入してダメージを与えてくる。当然ワープ中に落ちると落下判定になるので、膨大なタイムロスとコイン6枚没収とかなりの大ダメージ。
    • 攻撃アイテムが強い反面、スピード強化のアイテムなどはそこまで爆発的なブーストを生み出すわけではなく、引いても逆転力が低い。
      • 一方で下記のスターを始め、当てると相手をふっ飛ばす系のアイテムは、これまでより慣性が働いて吹き飛ばされるようになったため、当てても慣性でゴールしてしまったりする。ダウン復帰においても投擲系アイテムよりやや早く、全般的にかなり弱くなっている。
      • ハズレとまでは言わないものの、本作では後述のスター中のブースト弱体化もあり、パワフルダッシュキノコに比べると逆転の面ではかなり見劣りしてしまう。
  • アイテムの出現率の問題
    • 今回はハズレアイテムとして名高い「カミナリぐも」こそなくなったものの、引いてもたいしてレースでは活かせないアイテムがよく出るようになった。コインもそうだが1個だけのダッシュキノコなどは恩恵が少なく、2ラップ目から出てくるともはやハズレ同然。
      • 本作の新要素であるブーメランフラワーやパックンフラワーなどのレアめなアイテムは、距離制度の影響もあって『Wii』や『7』などの同等アイテムと比較すると出現率が低くなっている。
      • 特にスターは『7』と同じ、あるいはそれ以上にブースト効果がなくなっており、ダッシュキノコよりもブースト力が低く、もはや救済アイテムとしての体をなしていない。スターで相手を弾き飛ばすのも本作では狙う必要性が薄い。
    • 一部のアイテムがやたら偏って出てくることがある。ただでさえアイテムボックスポイントが少ないのにもかかわらずトリプルキノコしか出ないこともザラで、コースによってはこれだと追い上げが難しくなることも。
      • ハズレアイテムとされるコインは1位によく出現するアイテムだが、トップ争いしているライバルレーサーに対しても高確率で振られる。これを引いてしまうと身を守ることも追い上げることも出来ない。トップ争いに参加出来るというプレイヤーは大抵既にコインを大量に持っているため、尚更ハズレ感が高い。
      • また、設定でアイテムの種類を固定してもコインが出てくることもある。こうら限定のルールで出てきてしまうと無防備となる。
      • せっかく登場したスーパークラクションも、ほとんど出てこない。上位などは特にそうなのでトゲゾーこうらを破壊出来るというメリットを体感しづらい。あまりに出過ぎても1位の独走を助長しすぎてしまうが…。
  • アイテムダメージ後の無敵時間が他シリーズに比べてやや短い
    • バナナの皮を始め、今回はアイテムによるダメージ効果が大きく、完全に減速するようになっている。このうえで無敵時間が短いため、ダメージ演出が終わるのとほぼ同時にダメージを食らうようになる。
    • この点は『Wii』の雷・トゲゾー・POWなどのコンボに似ている理不尽さがある。本作は当てやすい投擲アイテムが増えたためこのような現象が起きやすい。
      • トリプルこうらなどは当然この戦法を取りやすくなっている。受ければ確実に最下位層へ真っ逆さまである。
    • サンダーは喰らえばこれまで以上にドリフトやジャンプアクションがしづらくなり、前作までのように元に戻る際に体制を立て直すのが難しくなっている。
      • こういった状態変化時に追撃が起これば攻撃されたプレイヤーは大きくロスするというシリーズ従来の問題点に加えて、『7』以上に次々とコインをこぼすことになり、逆転がさらに難しくなってしまう。
    • 前作では1位に対する過度なダメージが問題視されたが、この仕様のため本作では1位より少し下のプレイヤーや中間順位のプレイヤーに対して集中的にダメージが行きやすくなり、理不尽に中間順位のドライバーが最下位に転落する事例がより増えてしまった。
      • 特に1位に独走されていると、距離制度の適応によって、2位に対する攻撃がやや苛烈になる。2位の距離ではコインやバナナといった1位を攻撃出来ないアイテムばかりが出ることも相まって、1位が独走しやすい環境になるのも無理からぬといったところだろう。
  • アイテムを命中させた時のキャラクターアクションが他シリーズに比べて出づらくなっている。
    • 近年の作品ではアイテムでダメージを与えた際、キャラがガッツポーズをとるようになったが、今作はその判定がやや厳しいようで、目の前にいる相手に甲羅を当ててもアクションしない時がある。
    • 一見どうでもいい様な差だが、引っかかりやすい場所に置いたバナナが誰かに当たったか(=自分が次の周で通っても大丈夫か)、後ろに投げた甲羅が後続に当たって妨害できたかなど熾烈な争いでは死活問題にもなりうる。
    • トゲゾーこうらなどを投げてもたまにアクションが出ないことがあるため、当たったかどうかがよくわからなくなってしまっている。今回はトゲゾーこうらを防御する手段が増えたために尚更不便。

システム周りの問題

  • Wii Uゲームパッドに情報が集中してしまい、テレビ画面にマップが表示出来なかった。
    • 本作で一番槍玉にあがる問題点だったが、後のアップデートによってこの点は改善され、マップは任意でテレビ画面横に表示出来るようになった。ちなみにマップはキラーやトゲゾーこうらの動向も分かるようになっている。
    • この点は「特に必要ない」「ゲームパッドをチラ見するのもテクニックの一つ」という意見も見られる。これはもっともな話と言えるが、重要なのはゲームパッド単体プレイの時でさえもマップが見られないということ。
      • 「パッドをチラ見する」という意見も、両画面の近い『DS』や『7』はともかく、据え置き型であるWii Uではパッド操作しながらではレース画面を見えづらいという意見がある。見やすくするならばWiiリモコン等でプレイし、ゲームパッドを充電スタンド等を用いてテレビの隣に立て、ゲームパッドはコントローラとして使うのを諦めなければならない。
      • もっともカーナビのような扱いに出来るとも言えるため、そこまで見る余裕がないほど常時レースが苛烈するわけでもない。
    • 中には「順位・アイテム所持表もテレビに写してほしい」という要望があるが、テレビ画面に情報が集中しすぎることを軽減することが一定の目的として考えられているのがゲームパッドであるため、それありきの内容には噛み合わない要望である。
      • ちなみに初代でゴール順を表示したり、『64』~『ダブルダッシュ!!』でトップ4のアイコンを表示したりと「順位情報のテレビ表示」には前例があるものの、それ以降は『DS』と『7』の下画面でしか採用されていない。つまりゲーム画面がうるさくなりすぎるという懸念が否めない。
    • ゲームパッドにしか表示されない情報が存在するため、 テレビを使わずゲームパッドの画面だけでプレイする他、多人数プレイ時で誰かにゲームパッドをコントローラとして使用されると参照できなくなる という問題があり、マップはもちろん順位やアイテムの情報でも適切とは言い難い。
      • 余談だが、多人数プレイ時でゲームパッドをコントローラとして使用するとゲームパッド上には2~4Pの画面が同時に表示されるため、「一人だけ『GBA』『DS』『7』のような携帯機感覚でプレイする」なんてことは出来ない。
  • ネット対戦やグランプリ中にマシン・キャラの変更が相変わらず出来ない
    • しかも本作ではカート・バイクでまるで性能が違うだけあって、どちらかに勝負をかける結果となる。カートが安定してしまう理由の一つでもある。
    • せっかくNintendo Directでカートとバイクの違いをしっかり見せたのにもかかわらず勿体無い点である。
  • タイムアタックのゴースト数減少
    • 前作に当たる『7』では、いつの間に通信を行えば全世界のゴーストを取り入れて自分を含めた8台同時の疑似グランプリにも設定出来た(もちろんゴースト1台でのタイマン型にも設定出来る)が、今作ではゴースト1台でのタイマン型のみになってしまった。
  • 「どうぶつの森」のタイムアタックの仕様
    • DLCで追加されたコース「どうぶつの森」はコース選択時にランダムで季節が変化し、コースの障害物なども季節ごとに異なるという個性的なコースだが、タイムアタックでは夏のコースしか走れない。
    • 夏以外のコースを練習したい場合はVSレースで選ぶしかない。オフラインではL(春)/R(夏)/ZL(秋)/ZR(冬)を押しながらコースを選択することで季節を指定できるが、裏技扱いで公表はされていない。
  • チーム戦の同士討ち
    • 今までチーム戦では仲間の攻撃を食らっても怯まずにアイテムが消滅するだけで済んだが、今作ではしっかりとサンダー以外のダメージを受け、チームメイト間による協力プレイがほぼできなくなった。もはやチーム戦モードを作る意味があったのか疑問。
  • バイクの存在意義がやや薄い
    • 元々マリオカートなのだから当然だが、最高速度が速いカートのほうがタイムアタック・対戦ともに安定してしまう。
      • ラストは直線が多いレースゲームにおいて、最後の攻防で不利になるという点はやはり大きく、メリット以上の効果が得られているとは言い難い。
    • ただし薄いだけで『Wii』の時のような一方的なものではなく、やはりカーブメインの複雑なコースとそれが多いグランプリでは公言通りの性能を発揮する。
    • せっかく2種類あるなら、使用マシンを2台決められるようにして、コースごとに扱うマシンを変えられるようにしても良かったかもしれない。
  • ステータスの一つ、加速や重さはメーターの最大値が小数点位置の部分は切り捨てられる。
    • 例えば「マリオ+スタンダードカート+ノーマルタイヤ+スーパーカイト」の組み合わせの加速性能は2.5だが、実際は2.0で0.5の部分は影響されず無駄になってしまう。
      • 厳密に言えば切り捨てではないのだが、体感できるほどの差がないため影響はまずない。
    • 重さも加速ほどではないが、小数点位置より整数点位置の方が明らかにパラメーターに影響する。
  • カート・ドライバーにおける、ステータスの個性付けが少なすぎる。
    • これまでは密かに細かく各キャラクターの微妙な性能の違いを考えられていたが、本作でのキャラクター性能は大きく7種類に分けられており、細かい性能の上下が個別に存在しない。
      • さらに、コクッパ7人衆はせっかく7人居るにもかかわらず、この7種類に7人がそれぞれ分散しているわけではなく性能が被っているキャラクターが何名か居る。
      • 前述通り重量級有利なバランスのため、結果的に重量級というだけでキャラが選ばれてしまうことに。
    • ドライバーだけに飽きたらず、せっかくカスタマイズ出来るカートやバイクにおいてもそれは同様。グライダーに関しては2種類しか能力個性がない。せっかくたくさんのキャラクターやマシンパーツを出したのにもかかわらず登場意義が薄くなってしまった感がある。
      • 単に車のボディやパーツの外見が違うだけで、結局安定する組み合わせのドライバーとパーツが選ばれるだけなので、こういった仕様の変化が効果をあげているかと言えば疑わしいものがある。
      • 特に上級者が多い部屋だと「モートンを初めとする最重量級+ブルーファルコン+スリック系タイヤ」といったカスタムが大半を占めがち。
  • バグに近い加速テクニックの存在
    • 通常速度より加速した状態で左右交互にミニジャンプを繰り返すと、速度が更に微増する裏技的テクニック。雷マークのようなジグザグを描くので"サンダードリフト"と呼ばれる(略称サンドリ)*5。真っ直ぐ直線に走るより速くなるとは如何なものか。なお何故かハングオンバイクでは行えない(ドリフトバイクだと可能)。
    • 着地ドリフト(ミニジャンプ後着地寸前でドリフトを開始すること)を短時間で連続で繰り返すねじれドリフト。こちらはサンドリより難易度は高いが、一応ハングオンバイクでも可能。
    • DS等の過去作に存在していた"直ドリ"(直線上でミニターボを連発するテクニック)程ゲームバランスを崩壊させている訳ではないが、これらの小技を可能か否かで速さに大きく差が出てしまい、中級者以上が集まった試合で差をつけるには事実上これを強制される。また指やコントローラーに大きな負担を掛けるだけでなく、素早い左右交互入力が難しいハンドル操作のハンデを大きくしている。
      • 素の最高速が高いほどこのバグによって得られる加速効果も大きい。そのため、重量級がさらに有利になってしまっている。
      • 明らかに原理不明な加速方法なためバグの類だと思われるが、アップデートによる修正は一切なされなかった。
  • ハングオンバイクだけ不利になりやすい
    • 「レインボーロード」や「3DS ミュージックパーク」、DLCで追加された「3DS ネオクッパシティ」や「ドラゴンロード」など急カーブが多めのコースが結構な数存在している。ハングオンバイクは減速しないと急カーブをまともに曲がり切れないので、前を走っていてもほかの車種にたやすく抜かされてしまう。
      • 「ウォーターパーク」や「N64 キノピオハイウェイ」などはハングオンバイクが有利とされているが、それでも上記のコースでの不利を帳消しにするほどではない。
    • 前述したバグテクニックの「サンダードリフト」はガチ対戦だとまず必須であり、それが実行できないという点でもハングオンバイクの立場を悪くしてしまっている。
    • 『Wii』では「ハングオンバイクが強すぎた」という問題点はあったものの、それを考慮してもさすがに冷遇しすぎではないだろうか……
  • バトル専用コースの廃止
    • 本作の最大の問題点の一つとも言えるポイント。今回のバトルコースは全てレース用コースからのほぼ完全な使い回し。試合中は長いコースをぐるぐる回る羽目になる。
    • 逆走や極端にプレイヤー同士が離れた際の処置も特になく、単純に従来のルールをレース用コースで再現しただけ。バトルならではの反重力を利用した戦法なども編み出されず、アイテム2個持ちが出来ないため攻防も少ない。
    • 結果、試合が膠着しやすく非常にやりづらい仕様となっており、盛り上がりに欠ける。オンラインでもバトル部屋は過疎がはっきりと目立っていることからも、誰にも評価されていないのがわかる。
    • また、風船が全部割れると前作や『Wii』のようにポイント半分の状態で再開ではなく、そのままリタイアとなりゴースト化して敵を攻撃するという『64』や『アドバンス』に近い仕様となっている。コースの仕様もあって、この仕様によってリタイア者もその後楽しめるとは言い難い。
      • Wiiではさほどバトルレースでの不満がなかっただけに、何故今更こんな仕様にしたのか疑問が募る。「DLCなどに合わせてコースを追加配信するのでは?」という希望的な憶測もあったが、そんなことはなかった。
  • オプション回りの劣化
    • ゲームパッドのハンドルスタイルでプレイする場合、毎回の起動時に必ず1回1回自分で設定しないといけない。しかもレース開始直後の短い時間にである。
      • 起動時1回だけイジれば良いだけとはいえ、せっかく新しいスタイルであるゲームパッドプレイをより億劫にし、敬遠され気味なゲームパッドの印象をさらに悪くしかねない仕様。
    • アップデート前はゲームパッドに情報が依存していたことに不満が集中していただけに、尚更ゲームパッドという要素に振り回されている感は否めない。
    • 当初はオプション画面すらなかったが、アップデートで総合スコアなどは見られるようになった。
  • Miiのヘルメット強制
    • ゲームの仕様上どうしても後ろを向いてしまい表情のパーツが確認出来ないため、Miiでプレイしているという感覚に浸るためには、後ろから髪型を見る位しかなかった。しかし、今作ではヘルメットの着用を強制されて髪型さえも見られなくなり、Miiの個性が大幅に殺されてしまった。
      • ゲームでもヘルメットの着用を義務付けることで、現実でノーヘルメットでバイク等を運転しないよう呼びかけたかった…という推測もあるが、他のキャラがノーヘルメットである時点で説得力皆無。

総評

マリオカートの集大成として作られたため、過去作の要素がほぼ全部載せに近い内容となっている。
反重力や仕様を変更したバイクなど、新しい要素もしっかり存在している。

しかしアイテム周りの仕様に問題が多く、従来の「アイテムを使ったパーティー要素」が薄れてしまっている。
大いに手が抜かれたバトルゲームも含めてシリーズ経験者には不満の声も見られる。

一方でシリーズとして劣化した部分はあれど十分遊べる出来ではあり、新規層には好意的な意見も多い。
「綺麗な画質で賑やかなレースを楽しみたい」という点で見れば及第点と言えるレベルだろう。


余談

  • ゲーム上でアップロードしたハイライト動画を閲覧したり、フレンドのレートやタイムアタック等の戦績を確認できる「Mario Kart TV」というサイトが存在したが、2016年4月5日にサービスを終了している。
  • このゲームの発売日(2014年5月29日)から9日前(正確には2014年5月20日(火)の23時)、「ニンテンドーWi-Fiコネクション(WiiとDSのWi-Fi環境)」のサービスが終了した。詳しくはこちら
    • Wi-Fiコネクション終了→本作発売とあまりにもタイミングがよすぎたため「『8』を過去作と比較されたくないためにわざとWiiとDSのWi-Fiのサービスを終了させた」という邪推もあるが、Wi-Fiのサービス終了自体は前々から計画されていたものなので、この件に関して本作に罪は無いだろう。
  • 本作のグラフィック処理にはシリーズ初の「グローバルイルミネーション(GI)処理」が採用されている。
    • GI処理とは太陽などの直接的な光だけでなく、壁などで反射する光も考慮する、グラフィック表現における光の処理の考え方。採用の経緯などはこちらのスタッフインタビューを参照。
  • 「クラブニンテンドー」のポイント交換サービスにおいて、2015年に本作のサウンドトラックが景品として追加された。有料DLCコースのBGMも収録されている。
    • 一般販売はされておらず、クラブニンテンドー自体サービスを終了したため、現在は入手困難。
    • なお『8デラックス』ではアップデートによりサウンドテスト機能が追加されたため、そちらで代用可能。ちなみに、サントラのパッケージイラストがタイトルメニューに使用されている。
  • オンラインプレイに関する致命的な脆弱性が発見されたことにより、2023年3月3日から長期に渡るメンテナンスが行われた。2023年8月2日にメンテナンスが終了しており、その後はオンラインプレイ可能となるが、「今後サービスの継続が困難となるような事象が発生した場合は、直ちにオンラインプレイのサービスを終了させていただく可能性がある」という告知がされている。『スプラトゥーン』も同様。(任天堂公式サポート情報より
    • なお本件とは別に、2023年10月4日にニンテンドー3DSとWii Uのすべてのオンラインプレイ(『ポケモンバンク/ポケムーバー』は除く)が2024年4月9日で終了する告知が出された(即時終了する場合があるのは同様)。

続編

  • 2017年4月28日に、ニンテンドースイッチ用ソフト『マリオカート8 デラックス』が発売された。
    • 本作『8』の要素をほぼ全て引き継いだ上でバランス調整や新たな要素等も追加された、実質的な完全版となっている。
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  • マリオカート

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最終更新:2024年03月21日 02:12

*1 そのため、現在再録されていないのは「N64 ワリオスタジアム」だけとなっている。

*2 Wii/Wii UでSFC版のVC、3DSでDS版を起動するなどの特殊な例は除く。

*3 コースアウトの後、ジュゲムに釣られて着地する寸前にアクセルを押して加速するテクニック。上手く行けば着地後の膠着をある程度軽減できる。

*4 わざと低い順位になってパワフルダッシュキノコやスター、キラーといったアイテムを手に入れ、そのアイテムで終盤に一気に順位を上げる戦術。上級者同士の対戦ではコースによってレース開始直後からほぼ全プレイヤーが停止・逆走する光景も見られる。

*5 ミニ四駆マンガ「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」の走行テクニックが由来だが、中身は全くの別物。