アースシーカー

【あーすしーかー】

ジャンル アクション
対応機種 Wii
発売元 角川ゲームス
開発元 クラフト&マイスター
発売日 2011年6月23日
定価 6,800円(税抜)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 なし
ポイント 諸事情もあってか大ゴケ
世界観は高評価
独特なシステムはとっつきにくい


概要

角川が全霊をこめて押し出した渾身の一作。SF調の変わった世界観と独特なシステムを持つアクションゲーム。
ゲーム自体の出来はそこまで悪くなかったのだが、前評判でのシステムの微妙さや震災の影響もあってか、売り上げは5,000本弱と大きな失敗を喫した。

ストーリー

そう遠くない未来…
ブラックホールの接近により、地球を見捨てざるを得なくなった人類は、地球のあらゆる遺産を巨大宇宙船に積み込み、新天地を目指して旅立った。

時は流れ、ある星系にたどり着いた宇宙船団は「ガンマ線バースト」というアクシデントに遭遇。乗っていた人類は全滅してしまう。
しかし宇宙船のコンピューターは自動で稼働を続けようやく人類が住むことが可能である星を発見する。

だが、着陸しようとする宇宙船の「地球の物質」と「惑星の大気」が反応し宇宙船はエンジントラブルにより不時着、積まれていた遺産は惑星の各地に飛散してしまう。

不時着した宇宙船のコンピューターは地球の環境を再現しようとするが、度重なるトラブルの影響により狂ったコンピューターは奇妙な生物(モンスター)を次々と生み出し、惑星の大気にも毒素をばらまいてしまう。

それから1000年、宇宙船のコンピューターにより生み出された新たな人類「アースノイド」達は自らのルーツを探り本来の地球を取り戻すべく遺産を収集するために立ち上がった…。

システム

  • ディレクターは『モンスターハンターシリーズ』も担当した船水紀孝氏。そのためか基本的なシステムはモンハンに似ている。
    • 「ミッションを受けて敵を倒し、敵の素材を獲得してその素材を用いて新しい装備を作る」という根本的なゲームシステムはモンハン始めいわゆる狩りゲーと呼ばれるジャンルに近い。
      • パンゲアという都市を拠点に、3人(+1)の操作キャラを操って物語を進めていく。
  • 特徴的なのは、狩りゲーの中ではアクション要素がやや薄めでRPG寄りになっていることだろうか。
    • 最大の特徴と言えるのが「タイムストップバトル」という独特な戦闘システム。敵キャラはリアルタイムで行動し攻撃するが、こちら側の攻撃は「アクションカートリッジ(AC)」という時間経過で回復するゲージを用いて行う疑似ターン制バトル。
      • 攻撃方法選択中は時間が停止し、攻撃方法確定後それに沿って攻撃が行われる。こちらが攻撃している間も敵は普通に攻撃してくるのが単なるターン制との違いと思われる。
    • 攻撃方法は武器ごとに何種類か設定されており、より強力な攻撃方法ほど大量のACを消費する(=次回攻撃までに間が空く)。ACは最大8個まで貯められるが貯めるほど回復速度は鈍る。
  • パラメーターには体力の他ACと「ウィルスゲージ」というパーセント式のパラメーターがある。
    • 探索の舞台にはウィルスという毒素が充満しており、探索しているだけで徐々に毒素が蓄積し、100%になると探索失敗になる。フィールドによって充満している毒素の種類は異なり、耐性のあるキャラでは蓄積率が下がる。
      • 回復させる手段はパンゲアへの帰還のみ。少し変則的な制限時間ととらえるべきだろう。
  • プレイヤーキャラは「ガーディアン」という仲間キャラを最大6匹まで連れて行ける。
    • 2頭身のゴブリンのようなキャラクターでしばしばモンハンシリーズのオトモアイルーに似ていると言われる。
      • 彼らは「エナジーボール」という独特の武器を持ち、やはりACを消費して行動を指示できる。使えるエナジーボールは1匹に付き最大2種で、同じ属性の物を同時に使用すると効果は高まる(その分大量のACを消費する)。固有のボール以外は「サラダ」というアイテムを与えて習得させることが出来る。
    • エナジーボールを使い続けると、そのボールのレベルが向上し性能が高まる。ある程度のレベルがあれば違う属性との組み合わせ技も使える。

評価点

  • 独特の世界観とそれを元にしたストーリーは好評。
    • 「アースシーカー(地球の探索者)」というタイトル通り、地球の失われた遺産を求めて冒険をするというシナリオや「なぜアースノイドには女性しかいないのか」「大量の遺産が保管された場所の正体」など様々な謎をちりばめたシナリオは良く出来ている。
    • 世界観も、倒壊した自由の女神像や草木が繁茂したブロードウェイ大通りが印象的な「アングリアの森」や火山の麓の国会議事堂や焼け落ちた天守閣がある「エイジアンの火山帯」など、暴走したコンピューターが再現したカオスな地球モドキのフィールドのインパクトが非常に強い。
  • グラフィックレベルはWiiにしてはかなり高め。キャラクターやモンスターのモーションも良く出来ている。
    • 各フィールドの遠景も手を抜かずにキチンと作り込まれており、前述の世界観を補強している。
      • ただ、なぜかパッケージ裏のゲーム画像は拡大されているためジャギが多めに見えてしまう。逆パッケージ詐欺とでも言えるかも知れない。正直とも言えるが、ゲーム中のグラフィックより質が悪く見えるのは宣伝としてどうなのだろう。
    • 動物と機械が融合したかのような独特なモンスターデザインもセンスがある。
  • 遺産集めが楽しい。
    • 手に入る遺産のバリエーションは非常に豊富で、その入手手段もクリア済みミッションの再クリア、特殊な条件を満たすことで出現する各地に隠された遺産、ガーディアンの派遣など多彩で進めている内に自然と集まってくるのでコレクションを増やす楽しさがある。
      • 手に入った遺産はパンゲアの文化遺産博物館で自由に鑑賞できる。また、音楽系の遺産は実際に聞くこともできる。特定のカテゴリーを全て集めるとご褒美があるので、ゲーム的にも重要。
  • BGMは種類が多く質も高め。

賛否両論点

  • 非常に独特で癖のある戦闘システム。「慣れれば楽しい」という意見もあれば「劣化モンハン」という見方もある。
    • 通常攻撃という攻撃手段がなく、全ての攻撃は必ずACを消費して行うことになる。このため必要数貯まるまではひたすら逃げ続ける必要がありテンポが悪い。
      • 一度攻撃モーションに入ってしまうと、途中キャンセルや方向転換などは一切効かない(自動追尾はある)。このためアクションゲームとして見ると、相手のとっさの攻撃に対処することが非常に難しい。
    • ガーディアンのエナジーボールが強力で、プレイヤー本人が戦わなくても割となんとかなってしまう。ガーディアンは技を使えば使うほど強くなるが、プレイヤーが直接攻撃するメリットが薄いのも問題。
      • エナジーボールを使った攻撃全般に耐性のあるカエル型モンスターもいるため、エナジーボールだけに頼り過ぎるとカエル型モンスターしか出ないクエで詰まることになる。
      • ガーディアンは回避行動や防御を一切行わないのでモンスターのモーションに慣れているなら、プレイヤーが前線で戦いつつガーディアンに後方支援を任せるのが結果的には手早く敵を倒せるので、直接攻撃のメリットが一切ないわけではない。
  • 全体的にヌルめの難易度。クリアしやすいという長所でもあるが…。
    • デスペナルティが「功績ポイント(現金の代替品)を若干減らされる」のみで、回数制限がない。倒れても再びパンゲアに戻って消耗品の補充や装備品の変更が出来る。復活後の続きは、モンスターの体力などもそのままになっているため、諦めなければ捕獲や運搬などを除き基本的にどのミッションも必ずクリアできる構成になっている。
      • 一部の遺産獲得は、断片的な情報から推理して進める必要があるのでやや難易度は高めだが。

問題点

  • 操作キャラの個性が薄い。せっかく可愛らしい女の子キャラなのに。
    • ドラクエ型の一切しゃべらない主人公なのだが、公式サイトの4コマなどではしっかり個性付けがされている。また、最初の一人(フェレス)以外の2人(シャンレンとマティ)はストーリー進行で加入するのだが、それまでペラペラ喋っていた二人が加入した途端一言も喋らなくなるので違和感がすごい。
      • なお4コマとは別に、本編ストーリーを元にしたコミカライズもある。こちらから無料で閲覧可能。
    • ゲーム的にも、キャラクターの性能は大半装備品で決定されるので各属性耐性とちょっとしたパラメーターの差ぐらいしか個性がない(キャラクター限定装備なども皆無)。また「料理が出来る」というシャンレンの特性は非常に地味で(パンゲアのキッチンでも有料だが料理は出来る。ミッション中に料理するには食材を持ち込む必要あり)、「幸運度が高くレアアイテムを引きやすい」フェレスと「移動速度が少し速い」マティにかなり負けている。ウィルス耐性で差別化できるかと思いきやウィルスゲージの上昇速度がかなり遅く、パンゲアに戻るだけでも全回復するのでウィルスゲージがいっぱいになることそのものがまずない。
    • また変更できる装備品が武器だけであり、服装の方は全くいじれないのも地味な印象を強めている。
    • パンゲアの住人も、必要最低限の施設の管理人などばかりで世界観は濃いのに登場人物は非常に薄い。
  • マップ構成がかなり面倒。
    • 一本道かつ敵も出てこない単なる通行路となる場所が非常に多く、しかもマップ切り替えの際はモンハン同様必ずロードが入る。ロード時間は長くは無いが頻度が多すぎるためかなり気になる。大半は宇宙船の一部分という設定なので、機械的でフィールドごとの個性もかなり薄い。
      • 特にエレベーター系のポイントは「エレベーター前通路→ロード→自動でエレベーター移動→ロード→エレベーター前通路」という構成になっていることが多く、何の意味があるのか謎。
      • 一番酷いのがエイジアンの火山帯最上部と思われる。一本道の通路が6連続(含エレベーター)している。そう頻繁に移動する必要のある場所ではないのが救いだが。
    • これだけでなく、宝物庫で遺産を発見する度にスキップ不可の同じムービーを見せられるなどテンポを悪くする要因は多め。
  • ステージやモンスターのバリエーションが少ない。
    • フィールドは全部でたった4つ。しかも前述の通り無個性な通路が半分以上を占めているので、実際そのフィールドの象徴とも言える場所はかなり少ない。
    • モンスターは外側だけ張り替えたコンパチが結構多い。モーションも似通っているので、単調。
      • 名前が「プロトポロス(レールガンを搭載した巨大昆虫型モンスター)」「カフラバーウ(電気を発するクラゲ型モンスター)」「クァンドゥーツ(ひっくり返ったカエルのようなモンスター)」など何を元ネタにしたのかよく分からない名前ばかりで覚えにくい。
      • またモンスターから手に入る素材とそのモンスターの名前に基本的に関係が無いので、欲しい素材があってもどのモンスターを倒して手に入るのかわかりにくい。「プラズマボールもってこい」と言われても困惑するしかない*1
  • 装備品のバリエーションが非常に少ない。モンハンに例えるなら「大剣やランスといった武器のカテゴリごとに一系統しか武器がなく、最終強化も一系統に付き2~3種類程度」ぐらい少ない。
    • また各属性を宿した武器も各属性一種類程度しかない。そもそも相手の弱点属性を推察することがかなり難しい(与ダメージや相手の体力ゲージが表示されるわけでもない上、モンハンと違って防具がなく防具の耐性を見るという手も使えないため)。雷属性を使うプロトポロスの弱点が雷だったり、見た目から推測するのも困難。
  • システムがやや時代遅れ。
    • なんとアイテムの整頓機能がなく、手動で並び替える必要がある。モンハンでも初代から実装されている機能なのだが。
  • 素材は敵を倒した際にしか手に入らない。
    • そのため、捕獲系のミッションは素材は手に入らない上(なぜか)遺産も入手できない仕様のため、2回以上クリアする必要が皆無。
    • ちなみに運搬系ミッションも面倒な割に同様に報酬がポイントしかない。
  • 遺産は拡大表示が出来ず、絵画系遺産は何が書いてあるのかさっぱりわからないこともしばしば。

総評

世界観などは好評なのだが、とっつきづらいゲームシステムや震災の影響もあるのか世間一般での知名度は今一つ。
全く評価できない訳ではないのだが後一歩足りない部分がやたら多く物足りなさが目立つ。
練り込んで作り直せば傑作になりうる可能性もあるのだが、メーカー的にも黒歴史に近いのか現在に至るまで続編などの情報は無い。

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最終更新:2020年06月27日 19:08

*1 答え:プロトポロス。どの辺にプラズマ発生装置が使われているのかよく分からないデザインだが。