ドアラでWii

【どあらでうぃー】

ジャンル マスコットエンターテインメント
対応機種 Wii
発売元 TeraBox.
開発元 ノイズファクトリー
発売日 2009年4月2日
定価 4,800円
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 クソゲー
怪作
ポイント ドアラと戯れるミニゲーム集
ボリューム薄すぎ、ゲームも微妙
ドアラファンには受けた…?


概要

セ・リーグ所属のプロ野球球団「中日ドラゴンズ」のマスコットキャラクターであり、その独特なフォルムで人気を博した「ドアラ」をテーマにした家庭用唯一のゲーム作品(他にスマホアプリが複数存在した)。
内容としてはミニゲームを通してドアラと戯れる…というような内容。多分。
有り体に言えば『どこでもいっしょ』のドアラ版である。
おもしろいかどうかはあなた次第!」という挑発的なパケ裏のメッセージが目に付くが、その売り文句に違わぬ内容になっている。

登場人物

  • ドアラ
    • おなじみドラゴンズのマスコット(?)こと荒ぶる有袋類。ゲームによって守る対象だったり敵キャラだったり立ち位置が安定しない。常に笑顔を崩さないクールガイ。
  • シャオロン
    • おなじみドラゴンズのマスコット。ドアラの立場を危うくした張本人。味方のはずだが、攻撃を当てるとマイナスポイントになるので実質お邪魔キャラ。全てのミニゲームの画面下でたたずんでおり、うっかりポインタを当ててAボタンを押すと解説が強制的に始まるという二重のお邪魔キャラでもある。
  • パオロン
    • おなじみドラゴンズのマスコット。シャオロンの妹。シャオロン同様お邪魔キャラとして出てくることがある。解説役ではないのでやや影は薄い(シャオロンもまともな台詞はないが…)。
    • 唯一のオリジナルキャラ。顔には般若の面を被った謎の侍。ドラゴンズとの関係は不明。手に持っている黄色の棒の正体も不明。ゲームによってドアラを付け狙ったり、ドアラと共にプレイヤーに襲いかかったりする。何にせよ敵キャラである。
      • 無理矢理解釈するなら、「侍→侍ジャイアンツ→読売ジャイアンツ」ということで巨人軍のパロディである可能性もなくはない。でもいまどきの子供は侍ジャイアンツなんて知らない…というか侍ジャパンの方が有名だけど
      • テレビ愛知(テレビ東京系列局)のローカル野球中継が一時期「侍スタジアム」と名乗っていた。時期的には日本代表が侍を名乗る以前と思われる。何処にもドラゴンズと入っていなかったのでおそらく題名の意図は「ドラゴンズ=侍」であり(愛知県においてプロ野球中継でドラゴンズ以外は考えられないし)、このゲームにおける侍もそのイメージか?
      • ドラゴンズの身辺において、黄色といえば阪神タイガースのイメージ色である。
  • プレイヤー
    • 黒い影だけで表示される正体不明の人物。地味にこの人もドラゴンズとの関係が謎。後述の「ドアラと。」ではナゴヤドームに雇われた新人バイトという設定だが、これ以外に個人情報はほぼ明らかになっていない上、この設定が「ドアラと。」だけのものなのか、ゲーム全体に言えるものなのかも謎である。

ゲーム内容

ドアラのへや

  • ゲームを始めるとまずここに飛ばされる。ドアラをイジメ…もとい可愛がって仲良くなろう。部屋の中を探ってみると色々見つかるかも知れない。

ドアラちゃんねる

  • 9+1種類のミニゲームで遊べる。本作のメインモードで、クリアすると成績に応じてひみつのアルバムが埋まっていく。
    • アクロバット…華麗なる空中演舞を堪能!
      • 本作のミニゲームでは割とまともな部類に入る。リモコンを振ってドアラを応援した後、リモコンを回してバク転、最後は着地をAボタンで決めて華麗なアクロバットを成功させる。ドアラのテンションによってはとんでもない技が決まる。
    • Do and Range…スタジアムを縦横無尽に走り抜ける死闘!
      • リモコンを振って速度を上げて、逃げ回るドアラに追いつく。ドアラの投げる障害物はリモコンを振ってかわす。追いついたらゲージを溜めて全力でケツバットドアラの尻尾をホームランする。
    • ドーリング…「投げる」のではなく「乗る」のがドアラ流!
      • ドアラ版カーリング。カーリングのストーンに乗って障害物をかわしつつターゲットを目指す。途中で食パンを拾うとブレーキ性能が上がる。
      • リモコンでドアラの傾きを操作するので、リモコンを振り回すとすさまじい勢いでブルブルするドアラを見れる。
    • 接待ピッチング…大人になるための第一歩、接待の基本を学ぶ
      • ドアラを相手にするピッチングゲー。「打たせない」ではなく「気持ちよく打ってもらう」が目標。ターゲットの枠内を十字の線が移動しており、ターゲットに被った瞬間にリモコンを振るとジャストのピッチングが出来る。ドアラは時々よそ見をするので注意が必要。
    • 武士道魂…何を斬り、何を斬らないか、それが重要
      • リモコンを振り下ろして次々現れる侍をたたき切る。ドアラも出てくるのでついでにたたき切る。シャオロンとパオロンは斬ってはいけない。
    • Dash and Rush…地球の裏側まで突っ走れ!
      • ドアラの進路をリモコンで切り替えて、追撃してくる侍から逃げ切る。
    • Secret Action…ドアラ版 神経衰弱
      • ドアラで神経衰弱。お手つきの回数に制限はなく、制限時間切れまでのクリアステージ数がスコアになる。絵柄がドアラしかなく、ポーズの違いだけで判別する必要があるので難易度は無駄に高い。
    • Secret Action ~one more stage~…どこか懐かしい、癖になる快感
      • ドアラでモグラ叩き。窓から顔を出すドアラをボールを当てて倒していく。シャオロンとパオロンには当ててはいけない。
    • 敬礼…日ごろの感謝をこめて…
      • 旗上げゲーム。シャオロン&パオロンの指示に従いリモコンで赤、ヌンチャクで白の旗を上げ下げする。ドアラも一緒にやってくれるがたまにだましてくる
    • ドアラと。…隠しミニゲーム
      • 球場でバイトする間に、ドアラとコミュニケーションを取って仲良くなるゲーム。ドアラ版ときメモ?

ひみつのアルバム

  • 集めた露骨な合成のムービー(プレミアム・ムービー)や写真(プレミアム・フォト)、ドアラのアクションを確認できる。
    • ドアラのアクションは順番を入れ替えたり背景を変えたりして色々いじれる。

問題点

  • 異常なまでのボリュームの薄さ
    • わずか9種+1のミニゲームでフルプライス。遊べる要素はこれだけである。実質1,000円の『はじめてのWii』の方がよほど中身が詰まっている。
      • 写真やムービーの収集もあるとはいえ、ミニゲーム自体が単調(後述)なので集める作業が苦行に近い。
  • 各ミニゲームの出来の悪さ。
    • Wiiのクソゲーにありがちな「必然性も快適性もないのにリモコン操作」がふんだんに詰め込まれている。特にDash and RushやDo and Rangeはわざわざリモコンを使っているせいで明らかに難易度が上昇している。
      • Do and Rangeは始めのドアラ追跡パートがスコアに一切影響しない。後のバッティングパートだけでスコアが決定されるので、追跡パートは面倒なだけの存在になっている。
    • リモコンの感度自体も今一つで、アクロバットはリモコン回転操作がなかなか反応しない。
    • Secret Actionはとにかく絵柄の判別が非常に困難。ゲーム内を見るとコスプレ版ドアラの写真も多いのだが、コスプレドアラは一切登場せず、判別要素がポーズしかない。
    • ドアラと。は選択肢を選んでドアラと仲良くなるのだが、どれが正解なのか全然わからない。ドラゴンズファンでも無理…というか野球に関係した設問がほぼ皆無。
  • 据え置きのミニゲーム集でありながら完全一人プレイ専用。複数人で遊べる要素は一切ない。

評価点

  • ドアラのリアクションはそこそこ可愛い…かもしれない。
    • 収録されている写真やムービーのバリエーションは豊富で、アクションも多彩。グラフィックの質も当時としては高い。キャラゲーとしては完全に破綻しているわけではない。
    • 無言で様々なリアクションを返すドアラの様子が何とも言えずシュールで、独特の魅力を持っている点もある。
  • ホームランしたボールが火星まで飛んでいったりどこかバカゲーくさい側面も。
    • ただ、全体に漂う雰囲気を言うなら、ストーンの上に正座するドアラや終始笑顔のまま斬られたりボールを当てられたりするドアラが発するシュールな空気の方が強い。
      • マスコットを平然とチャンバラの的にしてしまったり、明らかにドラゴンズと無関係な上キャラデザも異質な侍を敵キャラにするなど、マスコットを売りにしたゲームとしてはどう考えても方向性がおかしい。
        しかしそもそもドアラというキャラクター自体がその異質な人物像で日本のマスコット業界に一石を投じ、著書が10万部売り上げるほどの人気を得たことを考えると、ある意味この路線はドアラのことを「わかっている」人でないと作れないのかもしれない*1
        そう考えると本作は「ドアラのキャラゲー」としてもっとも完成された形と言えるかもしれない。
        ゲームとしての面白さは別にして
  • これといったバグが無く、ゲームとしては安定している。
  • テーマ曲『わたくしドアラです』の質が結構よい。
+ 詳細
  • PV第一弾
  • まさかのレッツゴー!陰陽師とコラボ。なお、ファンが勝手に作った訳ではなく公式MADである。
  • ゲーム中では、2番も含めて好きなだけ視聴できる。
  • なお、ドアラには元々『ドアラのテーマ』という2008年に発表された公式テーマがあったのだが黒歴史化評価があまり良くなかったためか、公式のドアラのテーマ曲もいつの間にかこちらの楽曲にすり替わっているという怪しい事情があったりする。

総評

マーケティングの時点で異質な作品とされていたことを考慮しても、ゲームとして評価できる点はほとんどない。ボリュームが非常に薄く、ミニゲームも難易度の高く微妙なものばかりで、かなり出来が悪い。
しかしドアラというキモカワイい奇怪なキャラクターと組み合わさった結果、ゲーム全体に漂う独特な雰囲気も合わせて出来の悪い部分までひっくるめて本作の味と強弁できるほど特異な魅力を発する作品と化してしまった。
普通のゲーマーにとっては間違いなくクソゲー以下の代物なのだが、ドアラが可愛いと思えるなら楽しめなくもないかもしれない。(普通の)クソゲーだと思ってやると後悔するという意見も出ている。

余談

  • 予約特典は「あっと驚き!ドアラ耳」。要は「耳が…でっかくなっちゃた!」のアレのドアラ版である。
  • ファミ通でのクロスレビューは6/4/5/4の19点と低評価で、2009年KOTYでは(クソゲー的に)期待されていた作品であった。
    • 実際話題作にされるもファンからの評価は高めで、選外扱いになった。Amazonでは意外と高評価の意見が多い。
      • 純粋にゲームとして見るとファミ通の意見もそう的外れとは言えない。このような評価の分離は単なるゲームとしての見るか、ドアラという一種異様なキャラクターのファンアイテムとして見るかの違いだろう。
  • 2010年11月19日にはGREEからソーシャルゲーム『ドアラのはこ』がリリースされている。

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最終更新:2023年01月11日 21:14

*1 実際、ドアラのfigmaは「よく動く、キモい」という異質なキャッチコピーだった。可愛さよりもアクションよりも「キモい」「なんかイラッとする」という部分こそがドアラの魅力なのである