戦国無双KATANA

【せんごくむそう かたな】

ジャンル 戦国アクション
対応機種 Wii
発売元 コーエー
開発元 コーエー(オメガフォース)
発売日 2007年9月20日
定価 6,279円(税込)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
判定 なし
ポイント 無双シリーズ初の一人称視点操作
Wiiリモコンを活用した新感覚無双アクション
システムを一新した故にボリューム不足が際立つ
無双シリーズリンク


概要

無双シリーズ第7世代ハード一番乗りを飾った作品。Wiiの独特な操作性を最大限活かしたシステムになっている。
大変な難産だった作品でもあり、当初はWiiローンチとして発売予定だったのが1年近く延期されている。
タイトルもE3での仮称からカウントすると『Sengoku Action』→『斬・戦国無双』→『戦国無双Wave』→『戦国無双SLASH』→『戦国無双KATANA』と5度も変更されている。

システム

  • 無双シリーズ唯一の一人称視点での操作となる作品。いわゆるFPSと呼ばれるジャンルに近い。
    • 基本的に移動は自動で行われるので、あえて分けるならFPSの中でもさらに細分化されたレールシューティングに分類されると思われる。
  • リモコンを画面に向けてポインタを動かすのが基本操作。この状態でAボタンを押すと通常攻撃。
    • さらにリモコンを素早く動かすとおなじみチャージ攻撃。通常攻撃からのコンボで繋げられるのはいつもと同じ。
    • ポインタを合わせてBボタンを押すと遠隔攻撃になる。
    • ゲージがいっぱいの時にヌンチャクを振ると無双奥義。効果時間中に各武器ごとに設定されたアクションを繰り返すことで威力と射程が高まる。
  • 今回はキャラクター選択制ではなく、操作できる人物は一人しかいないが武器を持ち替えて戦う形式になっている。武器は近接武器と遠隔武器を一つずつ持てる。武器の種類は以下の通り。
  • 近接武器
      • もっとも豊富なチャージ攻撃を持ち、複数の敵をなぎ払う横チャージ、相手を気絶させる振り下ろし攻撃、相手を打ち上げられる振り上げ攻撃とバリエーション豊富。あらゆる状況に適応できる反面、目立った長所もない。
      • 一点突破の火力重視型武器。チャージ攻撃は通常攻撃の単純な強化版になっている。相手の弱点を突くことで確実な大ダメージを狙える。
    • 巨槌
      • 大ぶりなハンマー。モーションは遅いが攻撃範囲が広く、チャージ攻撃は複数の敵をまとめてたたきつぶせる。また装備するだけで怯みにくくなる効果もある。
    • 旋刃
      • 紐付きの特殊な手裏剣。ヨーヨーのような武器。Aボタンを押している間、リモコンを振り回すことで攻撃できる特異な操作スタイルの武器。攻撃範囲は極めて広いが、ガードできる範囲が極端に狭く的確に攻撃を当てないと火力も出ないなど癖のある武器。
  • 遠隔武器
      • 連射可能な遠距離武器。さらに溜めることで威力を向上できる。ただし、一度に持てる矢の数に限りがあり、矢が切れたら画面外を射ることで補給する必要がある。
    • 鉄砲
      • 弾速が速く威力の高い遠距離武器。弾は自動装填されるが、連射が効かないのが難点。
    • 大筒
      • 爆弾を放つ遠距離武器。放物線を描くので着弾まで時間がかかりリロードも遅いが、絶大な威力と広い攻撃範囲を持つ。性質上武将戦より雑兵戦に強い。
    • 飛去来
      • いわゆるブーメラン。Bボタンを押しながらリモコンを振ることで投擲できる。振る速度で攻撃範囲が変わるなど癖はあるが、攻撃できる時間が長く振る方向で様々な攻撃が出来る個性のある武器。
  • 今回はガードの重要性が過去作と比べても高くなっている。
    • 基本的に回避という概念がなく、敵の攻撃は当たる前に止めるかガードするかしかない。画面内の攻撃は全てガードできるが、ガード中に攻撃を受けるとガードゲージを消費し、ゼロになると隙ができる。ゲージは時間経過で回復。
      • 旋刃は特殊で、ガードは相手にポインタを合わせる必要がある代わりにガードゲージを消費しない。ガードゲージは通常攻撃で消費する(0になると手元に戻る)。
    • 相手の攻撃に合わせてちょうどのタイミングでガードするとパワーガードになり、ゲージを消費しない上相手の体勢を崩せる。
  • アイテムは出陣前によろず屋で購入して十字ボタンの各方向にセットして使う。戦闘中に拾えることはない。
  • 状況によってはヌンチャクのスティックで自由移動できたり、リモコンを振って全力疾走したりと特殊な操作が要求される。
  • 合戦の流れ。
    • 基本シナリオとなる無双演舞は主人公を操り、指示に従って各ステージをクリアしていく。全5章で各章5つの合戦場がある。
      • 一つの合戦場はいくつかのパートに分けられており、それぞれのパートに定められた目標を達成するとパートクリア。次のパートに進むことになる。
    • 各パートにはミッションが定められており、「敵を制限時間内に全滅させる」「目標地点まで制限時間内にたどり着く」「味方を一定数逃がす」と言ったものがある。なお、「必勝」と指示されたミッションに失敗すると無条件で敗北。
      • これらのミッションのクリア状況や、被ダメージ、敵に攻撃することで得られる基本スコアの合計で各パートごとにD~A、Sの評価が与えられる。スコアは資金に換算される。
    • ちなみに一部のミッションでは無双シリーズには珍しく民間人が登場する。攻撃するとミッション失敗になったり減点されたりする。
  • 成長は基本的にお金を払って行う。
    • よろず屋で成長させたい能力に資金を払うことで、各パラメーターを強化出来る。成長させればさせるほど必要な小判は増える。
    • 武器や技能アイテムは敵武将撃破時に手に入る。武器にはランダムで属性や技(特定の攻撃を強化させる能力)、パラメーター上昇が付与されている。武器はよろず屋で一回だけ好きな能力を強化出来る。
    • 資金が足りない場合は腕試しモードで稼げる。これはランダムに指示される試練(簡易版のミッション)を達成したり敵兵を倒すことで資金が稼げるモード。いくつかの部屋が用意されており無双演舞モードを進めると選べる部屋が増える。難易度の高い部屋は挑戦するだけでお金が必要だがそれに見合った高額の資金が稼げる。
  • 二人プレイは可能だが、お馴染みの協力プレイはできず、専用の対戦モードのみ。

評価点

  • 「一人称視点でWiiリモコンを振り回して敵をなぎ倒す」という単純なゲームシステムが楽しい。
    • 群がる雑兵を刀でズバズバ切り払ったり、巨槌でまとめて叩きつぶすゲーム性は、他のゲームではなかなか味わえない楽しさである。
    • 武将戦も「弱点を狙う」という独自の要素があり単純に強力な技をぶつけていくだけでは勝てない。また相手武将との戦い方も様々で本多忠勝は左右に移動して相手の隙を探す、佐々木小次郎や明智光秀のような技タイプの武将は相手の攻撃をパワーガードして見切るなど多彩な戦い方になる。
    • 各武器の個性が非常に強く、同じステージでも武器を変えればまた違った攻略法が要求される。
      • リモコンの感度はまずまず良く、慣れればかなり思い通りに武器を操れる。通常攻撃はAボタンでいいので、常にリモコン振りが強要されるわけではないのもポイント。
    • 武器を構えたままでもBボタンを押すだけでワンボタンで飛び道具が使えるのもありがたい。おそらく無双シリーズ全てを通しても最も飛び道具が活躍する作品である。
    • 新しい武器が使えるようになる度に実戦形式のチュートリアルが入るので、不慣れなままに本番に挑むことがない親切な仕様もある。
  • 今回はミニゲーム的なステージも多く、様々なバリエーションのミッションが楽しめる。
    • 「移動する中で敵兵を武器で射貫く」「指定された敵だけを倒す」など。ステージクリア後に高評価が得られればそれが記録されるのでハイスコア目指すのも一興。
  • 難易度バランスはそこそこ。難易度「普通」だと初心者にはやや厳しいか、と言ったところ。
    • 「易しい」なら問題なくサクサク進める程度の難易度にはなっている。何にせよ、極端に難しかったり簡単だったりする場面はない。ミニゲームのようなミッションの場合、失敗しても先に進める救済措置もある。
  • 一つ一つのパートが短く、再挑戦したいパートを好きに選んで始められる。
  • BGMは本作オリジナル曲・過去作アレンジ曲等10曲以上が収録されている*1

問題点

  • 演出が大幅に劣化。
    • グラフィックレベルはPS2版無双と同等程度。Wiiなのである程度は仕方がないが。
    • キャラクターボイスは細切れにしか収録されていない。PS2版は基本フルボイスなので、完全劣化。
    • ナレーションが女性(疋田由香里)になっている。別に下手というわけではないが、重厚感が薄くなり教育番組か何かのようにも聞こえる。この辺はイメージの問題でもあるが。
  • 使える武器の種類が少ない。近接・遠隔の組み合わせを別カウントで見ても合計16通りしかない。
    • 無双シリーズらしい独自性の高い武器(徳川家康の筒槍など)も用意されておらず、わりとありがちな武器しかないのもバリエーションに欠けるところ。後述のようにヌンチャクが使えないので、片手で操れる武器限定になってしまっているのも原因だろうが。
  • テンポが非常に悪い。
    • なぜか戦況解説や武将同士のかけあいのシーンがスキップできない上、この間は何も操作できない。旧作ではリアルタイムに解説されていたのに、別パートに切り分けられた弊害。ちなみになぜか敵武将の名乗りはスキップ可(数秒しかないが)。
      • ボイスがほとんどなく、字幕でのみの会話なのも味気ない。何度も見せられると嫌になる。
    • なぜかメニュー画面からの撤退コマンドなどがなく、失敗が確定したり武器を間違えて再挑戦したい場合でも自殺するかリセットする必要があり、非常に面倒。
      • また、チュートリアルのあるステージでうっかり「チュートリアルを受ける」を選んでしまうと、この間は自殺も出来ないので最後までチュートリアルを受けるかリセットするしかなくなってしまう。
      • なおこのチュートリアル、羽柴秀吉や風魔小太郎が「ガード」だの「チャージ攻撃」だの「ポインター」だの戦国時代にあるわけがない単語を連発するので非常に違和感がある。「チュートリアルだから仕方がない」も言えるがなぜか織田信長による槍のチュートリアルではカタカナ語が一切使われない配慮がされており、信長だけ優遇(?)されている。
  • アイテムはよろず屋での完全入れ替え制。4つのアイテム欄が全て埋まっている状態で持ち替えようとすると、どれかのアイテムを破棄する必要がある。
    • おなじみ黒漆太刀や当世具足などの能力強化アイテムもアイテム欄に配置しての使い切り型になっているが、攻撃力強化の黒漆太刀はともかく防御力強化の当世具足は使いどころが非常に難しい。ちなみに移動が基本自動なので移動速度強化アイテムはない。
  • ストーリーは割と適当。というか主人公のキャラが非常に薄い。
    • 「プレイヤーの分身」のような立ち位置だからか台詞が一切ない上、名前すらない。ストーリー上でも基本的に他の武将の指示を受けて動き回るだけで自分の判断というものがほとんどない(暗躍編終盤など皆無というわけではないが)。
    • ちなみにシナリオごとに別人らしい。立身の章では織田軍の若き士官、剣豪の章では武蔵と共に修行する剣士、暗躍の章では風魔党の忍び…と言った具合。
    • なお、無双武将は一切使用不可。一応前例はあるが、無双を名乗りながらそれはどうなのだろう。
  • ストーリー進行は完全一本道。分岐がない上一つの章を全て終わらせないと次の章を選べないようになっている。
    • 一応パート内で多少分岐はあるが、パート後の進行には一切関係しない。
  • 無双奥義が暴発しやすい。
    • ヌンチャクを振るという簡単な操作で発動してしまう。基本的に振る必要はないとはいえ、チャージ攻撃の際に勢い余って発動したりする。
      • 本作では1、2ボタンを使用する操作が一切ない。やや押しにくいボタンではあるが無双奥義はそう頻繁に使う物でもないのだから1か2ボタンで発動でも良かったのでは?
    • 単純に敵の少ない状況で暴発する程度ならまだしも、倒してはいけない味方キャラが画面内にいる状態で発動してしまったりするとミッションの評価にも関わってくる。

総評

旧来の無双シリーズとは異なり、多分にアーケード的な要素を含む作品。細切れの各パートごとに評価が下される仕様などがそれに近い。
一個のゲームとして見た場合評価できる点は多いのだが、無双シリーズの一つとして見るとテンポが悪くキャラクター性も弱いなど問題点が目立つ。
「無双のシリーズ作品」ではなく、あくまで外伝作品と考えれば独特な操作性も含めて十分楽しめるだろう。

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最終更新:2021年05月06日 10:11

*1 本作のオリジナルサウンドトラックは未発売。その故、一部楽曲はゲーム内でしか聴くことができない。