運命の洞窟 THE CAVE

【うんめいのどうくつ ざ けいぶ】

ジャンル 洞窟探検パズルアドベンチャー
対応機種 Wii U
プレイステーション3
発売元 セガ
開発元 Double Fine
発売日 2013年8月28日
定価 1,000円(税込)
判定 なし
ポイント 難解なパズルアクション
内容はユーモア溢れる超ブラックストーリー
グラフィックは綺麗だがデザインはバリバリの洋ゲー
ローカライズは名優・銀河万丈の怪演が光る!


概要

かつてルーカスアーツで『Grim Fandango』や『Monkey Island』等のADVを手がけ、独立後は精神世界を題材としたコミカルなアクションアドベンチャー『Psychonauts』等を手がけた、ティム・シェーファー率いるDouble Fineが世に送り出したパズルアクションゲーム。
最初に7人(厳密には8人)の冒険者の中から3人を選び出し、意思を持った洞窟を各々の目標のために探検する。 探検していくうち、3人はそれぞれの「心の闇」を洗い出されていくことになる…というコンセプトがそもそもブラックなゲーム。
アクションゲームだが戦闘は基本的になく、死んでも洞窟曰く「ここでは死ねない」ため、死亡しない(ゲームオーバーが無い。たとえ死んでもすぐに復活する)。
攻略のためにはかなり複雑に絡み合った謎を解いていかねばならず、かなり頭を使うゲームである。 カートゥーン風のキャラデザインに精緻な背景が美しい。

ゲームシステム

  • プレイヤーはまず7人(8人)のキャラから3人を選び出す。1人プレイの時は3人の視点を変えながら、同時プレイの場合はそれぞれ役割分担してプレイする。それぞれ特殊能力があり、それらがステージ攻略に大きく貢献する。
    • 冒険家:フック&ロープ、特定の場所にフックを引っ掛け、向こう岸などに移動することが出来る。
    • 村人:水中でも息切れしない。
    • 科学者:ハッキングして特定の仕掛けを作動させる。
    • 僧侶:念動力でアイテムを引き寄せたり、手の届かない場所の仕掛けを動かす。
    • タイムトラベラー:テレポートして一定距離の壁をすり抜ける。
    • 騎士:能力使用時だけ無敵となり、あらゆるダメージを受けない。
    • 双子:自分の魂を離脱させ、一部の仕掛けを作動させたまま移動出来る。
      • 3人のキャラには、道中でそれぞれ一つだけアイテムを持たせることが可能。いかに持ち替え、役割分担して使っていくかが鍵となる。
  • 序盤にプレイヤーは洞窟内を探検するため、品切れに悩む土産物屋に「土産になりそうなものを持ってきたら洞窟に入れてやろう」と言われ、取引をする。彼等は取引達成のため、貰った鍵で裏口から 洞窟に侵入 する。この時点でこのゲームがブラックユーモアをメインとしていることがわかる。
  • ステージ構成は選んだキャラによって異なる。各々のキャラの心の闇が映し出された個別ステージと、誰を選んでも同じ構成になる共通ステージとが混じって構成されている。
    • 選んでいないキャラの個別ステージに入ることは出来ないようになっている。
    • とはいえ、主ルートは全キャラ共通のため、選んでいないキャラのルートがちらっとみえたりすることもあるのだが、そこはご愛敬といったところか。

評価点

  • やりごたえのある謎解き要素。
    • 序盤(体験版の範疇など)こそジャブ程度の謎解きが多いが、個別ステージや中間の共通ステージなどに差し掛かると結構な難しさになる。
    • たとえ個別ステージでも3人の協力を必要とする部分も多く、効率的なプレイを行う場合、いかに3体のプレイヤーキャラを巧みに配置し、操れるかにかかっている。
    • 収集要素、いわゆるやり込み要素として壁画が存在。各キャラごとに8枚ずつの壁画が存在し、ステージ中に描かれていくものを拾って回収していく形になる。回収した壁画はいつでもメニューから閲覧可能。壁画には各キャラの生い立ちや、個別ステージでは描かれなかった部分が描写されているため、キャラクター性を引き立たせてくれる。そのうち次の壁画を見るのが楽しみになってくるだろう。
      • 各キャラクターごとにバッドエンドとグッドエンドが存在し、それぞれ2枚ずつ壁画が追加される。
  • ブラックユーモア溢れる真っ黒なストーリー内容。
    • このゲームは既にPVの時点で「心の闇を覗きこむ物語」とあるだけあって、かなり容赦なくブラックな内容を前面に出している。ティム・バートンを思わせる(特に双子)不気味なデザインは、それをより盛り上げている。
      • とりあえずこんなデザインながら、PCはおろかNPCも含めて 平気で人が死ぬ 。単なる「操作ミスによる墜落死」から、えげつない死に方の人も多い。
    • そもそも「心に闇を抱えた挑戦者」の時点で 8人ともまともな人間の訳がなく 、程度や直接間接の差こそあれど、みんな他人の命を脅かす存在となる。
      • 人を殺さなくとも、かなりブラックな方法でゲストキャラを陥れることもしばしば。そういった悪事を好むプレイヤーをターゲットにしている部分がある。
    • PS3トロフィーでも「ゲーム内アトラクションで悪魔の数字666を出せ」などというものまである始末。
  • ローカライズが丁寧。
    • ナレーション、もとい本作の舞台となる洞窟役は銀河万丈氏である。洞窟という滅多にない役柄とその作風をよく理解してか、「今夜も人間たちが様々な物を求めて私の中に入ろうとするようだ……もっとも生きて出てくる人間は少ないがね」などと、かなりノリノリかつ不気味に演じているのがわかる。
    • その他、外画を彷彿とさせるキャストを起用しており、まるで映画を観ているかのような小気味良いテンションで物語を楽しむことが可能。
  • グラフィック
    • 光と影がリアルタイムで連動する洞窟内の描写が美しい。とは言っても「なんでこんなものが洞窟に存在できるんだよ!!」なんて代物までがストーリーに伴ってたくさん登場し、単調になりがちな洞窟というゲーム舞台を彩る。これらも違和感無く描かれる。

問題点

  • キャラが7人と、システム上中途半端。
    • 最低3周しないと全てのキャラのシナリオが見られないが、最後の1周で残りの2人の既プレイキャラを選択しなくてはならない。
      • 一応キャラごとにグッドエンドとバッドエンドがあるのでそれらを含めれば多少はマシになる計算ではあるが、それは周回数が倍の6周になるだけであり、解く謎は基本的に全て同じなので楽しめるかどうかは別。
      • 何気に劇中の台詞パターンは膨大なため、聞き逃したかもしれないものを聞き返しにいくという楽しみはある。
  • WiiU版では、リモートプレイが出来ず、しかもパッド画面に表示されているものがまるで役に立たない機能となっている。
    • 画面に自分が選んだキャラが表示されており、タッチするとキャラをチェンジ出来るのだが、ゲームパッドの十字ボタンを使うほうが早いし便利。
  • 一部のキャラの能力の使い勝手が良すぎる反面、もう一方では普段固定ステージ以外ではほとんど役に立たない能力がある。
    • ハッキングや潜水能力は使い所が限られてくる上に共通ステージではそれほど必要とされないため、パズルアクションにおいてやはりというべきか、個別ステージ以外で活用出来る場面は少ない。
    • 逆にタイムトラベラーや僧侶は他キャラの個別ステージですら一部の要素の長い手順を省いて成立させることが出来る部分があり、とても便利である。
    • 騎士の無敵能力は落下死すら防ぐため、騎士のみどんな高いところから落ちても死なない。これによりショートカットできる部分も存在する。

総評

パズルアクションゲームながらブラックユーモアに富んだ内容であり、そういったブラックな内容が好きなプレイヤーにはオススメのゲームである。
ローカライズも洞窟役の銀河万丈氏が非常に雰囲気作りに貢献しており、海外版しか知らないプレイヤーにもなかなか楽しんでもらえるのではないだろうか。
おしむらくはやはり周回プレイするうえで1人余るのが、あんまりな仕様ではないか? と感じることだろうか。
だがどのストーリーも濃いので、一度ハマればそういったストーリーの再視聴も苦ではなくなるだろう。

余談

  • 海外ではXbox360、Windows、Mac、Linux、iOS/AndroidといったプラットフォームでもDL配信されている。
    • 尚、PC版はSteamでのDL配信だがパブリッシャーがSEGAなためか日本からの購入は不可。ただし、海外の販売サイトでSteamキーを購入、認証は可能との報告もある*1
    • 2021年現在WiiU、PS3、iOS版と共に配信が終了しており、日本語版のプレイは事実上不可能となった。但し、他言語版であれば上記の方法でのみ入手可能である。
    • 2023年3月現在、日本国内からApp StoreにてMac用の英語版を購入可能。ただし、サポートされているOSは現行より3つ前のOS10.15"Catalina"までとなっている。現行のOS13"Ventura"ではインストール、プレイはできるものの音が出ない。

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最終更新:2023年03月26日 08:17

*1 購入や認証についてもパブリッシャー側の意向で予告なしで不可にされることが多々あるため注意が必要