Sid Meier's Civilization IV

【しど・まいやーず しう゛ぃらいぜーしょん ふぉー】

ジャンル シミュレーション
対応機種 Windows 2000/XP以上
発売元 2K Games
サイバーフロント(日本語版販売)
開発元 Firaxis Games
発売日 2005年10月24日
完全日本語版:2006年6月17日
定価 $49.95
完全日本語版:オープン価格
備考 Amazonのボッタクリ業者に注意
判定 良作

概要

『信長の野望』『三國志』等のウォーシミュレーションと、『シムシティ』等の箱庭シミュレーションを足して2で割るのを忘れたようなゲーム『Sid Meier's Civilization』シリーズの第4作。略称は『Civ4』。
プレイヤーは一国(文明)の指導者となって、都市を作り、技術を発展させ、他国と時には手を取り合い時には争いながら、この世に二つとない独自の歴史を刻んでいく。
と、言葉にしてしまえば単純だが、実際のゲーム内容はどこまでも濃厚で中毒性があり、発売当初から非常に多くのプレイヤーをPCモニターの前に釘付けにした。
そして評判が評判を呼び、やがてゲームをプレイしたことがない人にも「内容は知らないが、その危険性は知っている」とまで言わしめる様になった、いわくつきのゲームである。


システム

後述するが、この作品は非常に多くの構成要素から成り立っており、個々を詳細に述べることは難しい。
よって本作の特徴的な要素だけを簡潔に取り上げる形である事、それでもかなりの文章量になってしまうことをご容赦いただきたい。

  • 勝利条件
    • ゲームの勝利条件は複数あり、その条件のいずれかを最初に満たした指導者が勝利となる。
      それぞれ軍事力を必要とする物、研究力を必要とする物、他国との親密な関係を必要とする物など、バラエティに富んでおり、どの勝利を目指すかという判断がゲームの重要な位置を占める。
      + 勝利条件の一覧
    • 征服勝利
      • 自分以外の全ての文明を滅亡させることで達成。
      • 制覇勝利
        • 自文明の領土と人口が世界の一定の割合を占めることで達成。ゲーム設定により、要求される割合が若干変動する。
      • 外交勝利
        • 世界遺産(後述)の国際連合が設立され、その議長になった指導者が提案することで実施される「世界の代表者選挙」に勝利することによって達成。
      • 文化勝利
        • 自文明の3つの都市の文化(後述)が"全盛"を迎えることによって達成。制覇勝利同様、ゲーム設定によって要求される文化の量が若干変動する。
      • 宇宙勝利
        • 特定のテクノロジーで解禁される宇宙船のパーツを全て生産し、宇宙船を打ち上げ、その後一定ターン数まで首都を失わなければ達成。
      • 時間勝利
        • 規定ターン数に達した時点でのスコア*1が最も高い文明が勝利。
  • 都市運営
    • 各指導者は自文明が持つ様々なリソースを元手に上記のいずれかの勝利条件達成を目指す、というのがゲームの基本的な流れとなるが、
      そのリソース産出を担当するのが「都市」である。
      自文明の各都市から戦闘などに使うユニットや金銭の生産、テクノロジーの開発などが行われ、都市は文明の発展の根幹となる。都市の数を増やしたり、人口を増やしたり建造物を作ったりと都市の規模を大きくするごとに文明の発展速度は高まっていく。
      このゲームはマップの全てのマスにその地形や、資源に基づいた出力が設定されている*2
      プレイヤーは「開拓者」というユニットを用いて任意の場所に都市を作り、その周辺のマスに人口分の市民を配置して出力を有効化する。
      一つの都市が有効化できるマスの範囲には限界があり*3、開拓者作成も都市の維持もタダではないので、どういう配置が合理的か、出力を特化させるのか総合力でいくのか、幾つ建てるか、隣の都市との兼ね合いや隣国との国境をどうするか等々、色々な面での判断が要求される。
      + 都市の構成要素を簡単に紹介。長いので注意。
    • 食料
      • 都市の人口の維持と、増加速度を司る。パンのアイコン。
      • 生産力
        • ユニット、建築物の生産に必要。ハンマーのアイコン。
      • 商業力
        • 文明の科学力や、経済力を司る。コインのアイコン。この数値が以下の研究力、金銭、文化に割り振られる。
          その分配比率はプレイヤーで調節可能だが、都市単位で比率を調節することは出来ない。
      • 研究力
        • テクノロジーの開発に必要。フラスコのアイコン…なのだが何故かCivプレイヤーの間ではビーカーと呼ばれるのが一般的。
      • 金銭
        • ユニットや都市の維持、他国との交渉の材料、生産物の購入等に充てられる。金塊のアイコン。
      • 文化
        • 各文明の領土の広さや、都市の防御力、勝利条件に影響。音符のアイコン。文化は都市を中心とした周囲のマスに蓄積され、他国との影響範囲がかち合った場合はその蓄積度合がより大きい方がそのマスを占有する。
      • 幸福/不幸、衛生/不衛生
        • 都市の成長限界を司る。表情と赤十字のアイコン。不幸が幸福を上回ると配置できる市民の数に、不衛生が衛生を上回ると獲得できる食料に、それぞれペナルティがつく。
          各数値は、人口、社会制度、建築物、資源、戦争などなど、様々な要因で上下する。
      • 地形改善
        • 「労働者」というユニットを用いてマスの出力を上げる行為のこと。地形や資源により施せる改善がある程度決まっている。
      • 資源
        • マスにランダムで配置される有益物。特定の地形改善を施すことでマスの出力を上げ、その状態のマスと道路や河川などで接続されている自文明の全ての都市に資源固有の恩恵を与える。
      • 専門家
        • 都市が出力を得る為のもう一つの手段。マスへの配置と異なる点は、食料を生み出さないことと、後述する偉人を輩出するポイントを獲得できること。
      • 建築物
        • ユニットの解禁、都市への出力の発生及び補正、専門家枠の増加など、都市の強化を司る。
          一都市に一つずつ作れる一般建築物、非常に強力だが一文明に一つしか作れない国家遺産、強力且つオンリーワンな性能を持ち、世界に1つだけ存在できる(つまり早い者勝ち)世界遺産の3種類に分類される。
          遺産はもとより、一般建築物も全てを建設するのは現実的ではないので、都市の建設同様プレイヤーの取捨選択が肝要な部門である。
  • テクノロジー
    • ユニットや建築物、社会制度*4、資源、宗教等ゲーム内のあらゆる要素を解禁する物。
      都市で得られる商業力を研究力に変換し蓄積するか、テクノロジー自体を他の文明と取引することで獲得することが出来る。
      各テクノロジーはツリー状に繋がっており、大抵あるテクノロジーはあるテクノロジーの前提条件となっている。よっていきなり高度な物を取得するような真似は出来ない。
      これの有無で文明が出来る事、出来ないことが決定されるため、ツリーのどこのルートを進むか、長期的な得を取るか短期的な得を取るか、他国との取引に使える物であるか等、ここでもプレイヤーの判断が試される事となる。
      ちなみにテクノロジーを獲得した際には、それぞれに関係する「格言」が音声付でポップアップされるというフレーバー要素があり、中々芸が細かい。
      時には厳格な、時にはエスプリのきいた格言を拝聴しながら、テクノロジーと文明の歩みに思いを馳せる…という楽しみ方も出来るかもしれない。
      • 例:"People can have the Model T in any color - so long as it's black." -Henry Ford- "Assembly Line"
        「T型フォードを買う人はどの色でも好きに選べる。それが黒色である限りは」 ~ヘンリー・フォード~ 「大量生産」
  • 宗教
    • 特定のテクノロジーを最初に獲得した文明の都市で創始される。道路などで接続されている都市に確率で自然に、もしくは「伝道師」というユニットを派遣することで作為的に伝播する。
      主に文化、幸福、そして何より外交面で大きな影響を及ぼし、同じ宗教同士の文明は良好な関係を築きやすく、そうでなければ自然と関係は悪化する。史実でもそうである様に、信仰の有無もしくは選択が文明の運命を大きく左右し得る、ゲーム的にも非常にデリケートな構成要素である。
  • 偉人
    • 都市に専門家を配置する事で得られるポイントが蓄積する事で獲得できる特殊なユニット。その名の通り、一個人で文明の発展に大きく影響するほどの力を持っており、これの輩出とその運用もこのゲームの醍醐味の一つとなっている。
      偉人には「特定のテクノロジーの研究力を大量に獲得する」「一定期間文明内のマスの出力を上げる黄金期を発動する*5」「種類毎の特殊能力を発動する」「都市に定住して固定の出力となる」という四つの能力があり、どの種の偉人が輩出されるかは、配置した専門家の種類毎のポイント蓄積量に基づいた確率によって決定される。
      偉人もテクノロジー同様、実際に存在した偉人の名前がランダムでつけられる、というフレーバー要素がある。尊敬する偉人が輩出されてニヤリとしたり、時代を無視した偉人が現れて思わず笑ってしまったり、ということもあるかもしれない。
      + 偉人の種類とその特殊能力
    • 大科学者
      • 都市にアカデミー(研究力+50%)を建設する。
      • 大預言者
        • 宗教が創設された都市(聖都と呼ばれる)に、聖廟(その宗教が布教された都市の数に応じて金銭収入を得る効果がある)を建設する。
      • 大芸術家
        • 対象の都市に莫大な文化値を与える。
      • 大商人
        • 他国の都市に派遣することで大量の金銭を獲得する。
      • 大技術者
        • 対象の都市が建造中の「建築物」に莫大な生産力を注ぎ込む。
  • 指導者
    • ゲーム開始前にプレイヤーは操作する文明、およびその指導者を選択する。
      文明は最初から所持しているテクノロジーと文明独自のユニットであるUnique Unit(通称UU)*6に、指導者はその能力を司る「志向」によってそれぞれの差別化が図られている。
      ちなみにこの作品には指導者の継承、という概念は無い。文明の勃興から百年経とうが、千年経とうが、文明が滅亡しない限りその指導者は君臨し続けるのである。
+ 志向の種類の一覧。建築物の具体的な説明は冗長になるので割愛。
  • 攻撃志向
    • 一部のユニットに戦闘力+10%の昇進*7を付与。一部建築物の生産加速。
  • 金融志向
    • 2以上の商業力を持つマスにさらに商業力+1。
  • 創造志向
    • 文明の全都市に毎ターン文化+2を与える。一部建築物の生産加速。
  • 組織志向
    • 社会制度の維持費半額。一部建築物の生産加速。
  • 拡張志向
    • 全ての都市に衛生+2。一部建築物の生産加速。
  • 宗教志向
    • 無政府状態*8無し。一部建築物の生産加速。
  • 哲学志向
    • 獲得できる偉人ポイント+100%。一部建築物の生産加速。
  • 勤労志向
    • 一部建築物に加えて、国家遺産、世界遺産の生産も加速。
  • 戦闘
    • 戦闘の特徴は以下の四つ
      「敵ユニットのいるマスに進入する形で開始される事」「一対一である事」「勝敗は、相性などの各種補正込みでの戦闘力に基づく"確率"で決定する事」「攻撃側の退却という例外を除き、原則一度の戦闘でどちらかのユニットが消滅する事*9
      ここまででピンときた方もいらっしゃるだろう。そう、本作の戦闘システムは『ボコスカウォーズ』のシステムに似ている。
      『ボコスカウォーズ』と異なる点は「体力の概念がある*10点」と「一つのマスに複数のユニットを重ねる事(スタックと呼ばれる)ができる点」である。
      特筆すべきは後者で、攻撃側はスタック内のユニットの中から、常に「自らの勝率が最も低くなる相手」と戦わなくてはいけない。
      故に攻撃側は防御と比べて、常に非効率な戦闘を強いられる…というほど単純でもない。
      同マスの複数の敵に戦闘の結果に関わらずダメージを与える「副次損害」や、ユニットのいないマスの地形改善を破壊して内政にダメージを与える「略奪」という概念もある。
      よって基本的には沢山のユニットを同じマスに集め防御に徹した方が強いのだが、足の早いユニットだけを切り離し敵の資源供給を断ったり、逆にそうしたスタックを各個撃破したり、副次損害や昇進による損害を防ぐため、敢えて都市防御を捨てて討ってでたりといった駆け引きも存在する。

評価点

  • 何度プレイしても飽きないゲームデザイン
    • システムの項で飽きるほどこの言葉を使用したように、ゲーム内でプレイヤーはマクロ的にも、ミクロ的にも非常に多くの「判断」を迫られる。
      大抵、シミュレーションゲームというのは(ゲームデザイナーの意図しない形であるにしろ)これに対して最適解というものが存在し、プレイを重ねれば重ねるほど、最終的に同じようなアプローチにたどり着いてしまうもの。
      しかし、本作はある程度の定石こそあるものの、絶対的な正解というものは存在しない。
      プレイヤーは、財政ギリギリまで都市を拡張しても、少数で無理なく運営してもよい。拡張などせずに首都だけで勝利を目指すことさえできる*11
      ユニットを沢山作って戦争を楽しむのも、ひたすら建築物にリソースを費やし文明が豊かになることに愉悦を感じるのも勿論可。
      「中世にもなろうというのに、未だ馬や牛を知らない文明」も、「周辺諸国の都市が積極的に転向するほどの洗練された文化を持ちながら、腰ミノに棍棒という兵装が未だ現役な文明」だって立派に成立する。指導者や文明を変えればゲームの勝手もまた変わってくるだろう。
      そんな色々なプレイのそれぞれが達成できる勝利を、このゲームはきちんと用意してくれているのである。
      加えてプレイ毎にマップの造成やライバル指導者の顔ぶれ、その配置もランダムで決定されるため、全く同じ展開というものがなく、同じ戦術、戦略が通用する保証もまたない。
      よってプレイヤーはプレイを重ねれば重ねた分だけ、新しい成功、新しい挫折、新しい楽しみ、新しい発見を味わえる。
      この多様な遊び方を受け止めるゲームの柔軟性こそが、『Civilization』という作品の醍醐味であり、これを名作たらしめている要因なのである。
      • シリーズ1作目から前作『Civlization III』までは、初期のうちから多くの都市を建設して、広い領土を最速で獲得する「都市スパム」戦法が絶対的に有効であり、それ以外の戦法は都市スパムに付け加える補足のようなものであった。しかし本作では都市維持費の概念が導入されて都市スパムの有効性が大幅に減少している。そのため、より幅広い戦法を模索する余地がある。
      • この柔軟性をさらに高めてくれるのが充実したオプションの数々。
        開始年代設定、マップ造成の傾向及び大きさ、登場指導者の数、各勝利条件の有無等、非常に細かい設定が出来るほか、通常のプレイにはないルールを追加することも可能。
        文明同士を一つのチームにしたり、戦争の出来ない世界にしたり、逆に全ての文明と永遠に戦争状態にしたりと、自分の好みに合わせて色々なコンセプトの舞台を用意出来る。
  • 非常に個性的な指導者達
    • 登場する各指導者は「志向」によって差別化されていることは既に述べたが、指導者間の違いが最も顕著に現れるのは実はプレイヤーでなく、AIが操作したときなのである。
      各指導者のAIには「ユニットを生産する割合」や、「同宗教、異宗教に対する態度補正」「"理由なく"戦争を仕掛ける頻度」など、数多くの項目による性格付けがなされている。
      鎖国政策を取り、テクノロジーをとことん秘匿する徳川家康。彼とは対照的に秘匿という概念を知らず、無節操にテクノロジーをばら撒くマンサ・ムサ。暇さえあればどんな奴とも戦争を始める狂犬アレクサンドロス等々、どいつもこいつも癖のある奴ばかり。
      またAIの性格の違いは外交にも直接影響する。指導者間の外交感情は常に数値で可視化されており、「どんな行動でどれだけ好かれるか、または嫌われるか」「どれだけ仲良くなれば何を要求できるか」といった閾もそれぞれ異なる。
      よって付き合いを重ね、彼らの「人となり」を深く理解すれば、世界を思うように転がしていくことも不可能ではない。指導者の性格の違いが単なるフレーバーでなく、実際の攻略にも繋がるという点は実にシミュレーションらしい美点と言えるだろう。
      そして外交感情の値が見えているからこそ、やっとの思いで同教の徒になった矢先に相手が新興宗教を打ち立てて異教徒扱いされたり、テクノロジーや金の無心を断り切れなかったり、此方にとっての友好国同士が戦争を始めて板ばさみの立場になってしまったり、ご機嫌取りのために形だけの共闘だったつもりが、向こうがさっさと停戦したおかげで戦火が此方に飛んできてしまったりと、プレイヤーがAIに翻弄されることもある。
      このようにプレイヤーの思惑と、AIの行動ルーチンと、そして少々の気まぐれが折り重なって、ゲームでは様々なドラマが生まれていくのである。
  • 権謀術数が渦巻き、神算鬼謀が飛び交う魔の巣窟「マルチプレイ」
    • プレイヤーが相手をするのは何もAIだけではない。恐ろしいことに本作はオンライン対戦プレイに対応しており、人間の指導者と同じ星で鎬を削ることも出来る。
      これが何故恐ろしいかというと、AIと違い相手のスタンスは数値で測ることなどできない。そしてそれぞれが、自らの勝利の為にその見えない腹の中に様々な、おぞましい物を溜め込んでいるからである。
      「約束を反故にされた」
      「共闘時に激戦地だけを体よく押し付けられた」
      というありがちな物から、
      「内政に忙しくてチャットをサボっていたら、間もなく隣国に侵略予定だということにされていた
      「スコアが低いので弱小国だと思っていたら人口をすり潰してスコアを偽装していた」
      といういかにも「人間ならでは」な物まで、正に虚虚実実という言葉にふさわしい駆け引きが繰り広げられる。
      そして当然ながら、人間は感情の生き物で、計算だけで動く物ではない。
      「チャットのちょっとした言葉遣いやうっかり漏らした情報がきっかけで誰かにとっての不倶戴天の敵になってしまった」
      「気まぐれでおこした親切が最後の最後で自分の助けとなって返ってきた」
      「勝負度外視で"担当指導者らしい"ロールプレイに徹する輩に終始振り回されるゲームになった」
      という具合に、指導者間ではAIを相手にする時以上に様々なドラマが展開される。
      素早いキーボード捌きや、ボキャブラリーの豊富さ、人情の機微に触れる力といった、ゲームとはあまり関係なさそうな能力もここではプレイヤーの大きな助けになるだろう。
      シミュレーションゲームで最も大切な数字を管理する能力、それだけでは決して勝つことの出来ない世界。それがマルチプレイなのである。
  • 知識の源泉「Civilopedia」
    • 名前から察せるように、これは『Civilization』の百科事典である。ゲーム中いつでもキー一つで呼び出せる。
      各構成要素のゲーム内での役割、性能やその項目に関する概要、歴史的背景などが詳細に綴られており、Wikipediaのように関連項目に対するリンクも貼られている。
      ユニットや社会制度の効果の確認といった辞典そのものの機能は勿論のこと、純粋に読み物としても楽しめる。
      例えば剣士の項目を開けば貴方は何故「青銅器」のテクノロジーで"斧兵"が、「鉄器」のテクノロジーで"剣士"が解禁されるのかということに納得がいくことだろう。
      プレイヤーの知的好奇心を程よく刺激してくれるので、「ちょっとした調べ物のつもりがついつい色々と眺めてしまい、ふとわれに返ると肝心のゲームが一向に進んでない」ということもあるかもしれない。
  • シリーズで初めてグラフィックが完全3D化された
    • 2Dとプリレンダのみだった前作までと比べ、大幅にグラフィックの質が上がっている。指導者の動作も多彩になり、残りHPに応じてユニットを構成する人数が減るなど視覚的にも分かりやすくなっている。
    • 世界遺産の建造時やゲームをクリアした際には専用のムービーが用意されたのも特徴。特に遺産建造時のムービーは何もない場所に部品が集まって遺産を構成していく過程が描かれ、なかなか見ごたえのあるものとなっている。
  • 音楽面でも良曲が揃っている
    • 特にタイトル画面で流れるメインテーマ「Baba Yetu」はゲーム楽曲としては初のグラミー賞を獲得しており、海外では合唱曲としても愛されているシリーズを代表する名曲である。
+ 参考動画


問題点

  • 覚えることが多すぎる
    • ゲームを購入し、パッケージを開いたプレイヤーがまず度肝を抜かれるのは、その説明書の分厚さ。
      中に入っている冊子は実に200ページを超えるボリュームであり、説明書というよりは教科書といった方があるいは正確かもしれない。
      『信長の野望』や『三國志』のような複雑な戦闘システムを持たず、都市づくりもシムシティーよりよほど簡単であるように、システム面で難しいことは何一つない。しかしその構成要素が膨大な為、ゲームを楽しむまでにある程度の苦労を必要とすることは否めない。
      本作の攻略情報が網羅されている「Stack-Style」というサイトには初心者に対してこのような言葉が用意されている。
      「初心者にとって最も大事なのは以下の二つである。一つ、マニュアルをよく読め。二つ、マニュアルをもう二、三度読め。」
  • 驚異的な中毒性
    • そのマニュアルに掲載されているゲームデザイナーSoren Johnson氏のデザイナーズノートには、「このゲームのターンベースシステムと小さな目標、達成の重なりこそが、人を毎日のように夜更かしさせてしまう張本人だ」と綴られている。
      「よし、今日はこのテクノロジーを開発したらやめにしよう」「テクノロジーを獲得したら新しい資源が現れた。忘れるといけないから労働者を向かわせるところまではやっておこうか」「そうこうしているうちに隣国が攻めてきてしまった」「そういえば資源を有効化したおかげで新しいユニットが作れるようになっているぞ。ではちょっとだけ試してみようか…」
      と、いった具合にすぐ目の前にある成果と1ターンという非常に短い区切り、そしてまたすぐ目の前に現れる新しい成果がプレイヤーにゲームのやめ時を忘れさせてしまう。
      また、上記の構成要素の多さも裏を返せばそれだけ物事に応用を利かせる余地があるということなので、ゲームを知れば知るほど「いろんなことを試してみたい」「もっとプレイしていたい」という欲求は加速していくのである。
      指導者の勝利が確定した後に現れる選択肢「まって!!あと1ターンだけ」という言葉はまさに本作を体現した一言であるといえるだろう。
      では何故これが問題点になるのかというと、この中毒性が実際にプレイヤーの身体や、生活のリズムに悪影響を及ぼしかねないほどの強烈さを持つからである。
      文章で実感してもらうのは難しいが、例えば
      「世界一危険な街といわれるヨハネスブルグのガイドラインに喩えられる」
      「中毒者を更生させる"Civanon"という団体が実在する、という 開発側のジョークが時折本当だと誤解される
      と述べれば少しはわかっていただけるかもしれない。
      何事も「過ぎる」事は良い事ではない、という言葉はどうやら真実であるらしい。
  • 難易度関係
    • 先に述べたとおり、AIの行動ルーチンは指導者によって固定されているので、難易度調整は専らAIの出力関係の補正という形で行われる。
      よって難易度が上がれば上がるほど、「手強い」「難しい」というよりは「理不尽だ」という印象が強くなってくる。
      特に最高難易度の「天帝」はプレイヤーがどうあがいても、出力ではまともに張り合うことの出来ないレベルまで補正がかかってしまうため、首都の立地から、初手*12、偉人の誕生スケジュール、テクノロジーの獲得順序など、ゲームの定石を確実に抑えなくては勝てなくなってしまう。
      結果詰め将棋のようなプレイを強いられることになり、評価点に挙げたゲームの柔軟性がかなり揺らいでしまうのである。
  • 作業量の爆発的な増加
    • ゲームの操作はユニット単位、都市単位で行われるため、時代が下れば下るほど1ターンに費やす作業量は膨れ上がる。
      最初のうちは数十秒から精々一分くらいだった1ターンが、最終的には良くて数分、長ければ十分以上の長さになってしまい、上記の中毒性と併せて、プレイヤーは非常に長い時間、ゲームに拘束される事になる。
      作業量を軽減するために、労働者や都市の市民配置の自動化機能がついているが、前者はマスに農場ばかりを貼ってしまう、後者は配置可能数が変わる度に余計な専門家を雇ってしまう可能性がある、とお世辞にも使い勝手がよいとはいえない。
      またこの作業量の増加は「マシンにとっての」という意味も含んでいる*13
      昔のゲームであるが故にマルチコアに対応していない点も痛い所。普通にプレイする分には大抵問題が無いが、設定でマップの規模や指導者の数を極端に大きくしてしまったり、Modを追加したりすると問題が表面化しやすい。
      ターンエンドを押した後、フリーズしてしまったかと思われるほど長く待たされる事もあるその様は、さながら『ファミコンウォーズ』である*14
  • 海を越えた戦争が下手すぎるAI
    • 陸上ユニットは海上を移動できない。そのため海の向こうに進軍するには輸送船を活用した渡航作戦を決行する必要がある。
      ところが本作のAIは渡航作戦が大の苦手である。輸送船1ユニットに載せられるだけの少数の陸上ユニットを上陸させて各個撃破されたり、護衛艦もつけずに輸送船を単独行動させて沈められたりする。
      すべての文明が陸続きであるマップではかなりの強さを見せるAI文明も、海の多いマップではとたんにグダグダになってしまう。これを興醒めだとして、陸続きマップ以外ではプレイしなくなってしまったユーザーも多い。
    • 余談になるが、制作者側でも「渡航が苦手」というAIの欠点はどうしても改善できなかったようで、次回作『Civlization V』では「すべての陸上ユニットが船に変形できる」というかなり強引な手法でこれを解決している。
  • マルチプレイゲームとしては未洗練な部分が目立つ
    • 先述のように、多人数によるマルチプレイにも対応しているが、こちらにはいくつかの問題点がある。
      • まず「ロビー」という物がなく対戦者をマッチングする機能もない。別の手段で参加者を集めて、互いにIPを伝えあって接続する。
      • 全員が思考・ターン終了するまで待つため、プレイテンポが遅くなる。
      • マップ上の初期配置により有利不利が強く出過ぎる。
      • 初期ラッシュで隣国をさっさと滅ぼし、2国分の国土を獲得する戦法が有効すぎる*15
      • 裏切り行為に対する制裁の手段がほぼなく、各プレイヤーのモラルに頼るしかない。
      • 原始から現代までぶっ通しでプレイするには時間がかかりすぎるため、どこかの時点で打ち切り、判定で勝敗を決めるのが一般的。
    • それでもリリース当時は、以上の欠点を承知でマルチプレイに挑むプレイヤーも多かったが、
      現在では正統後継作である『V』『VI』か、手軽さとマルチプレイ向きであることを重視して作られた『Civilization Revolution』『Revolution 2』の方が、マルチプレイに向いていると言われている。

完全日本語版における問題点

  • 海外ゲームのため仕方ないことだが、誤訳が多い
    • 特に致命的な誤訳として有名なのが、「文明全体の総合的な軍事力」を意味する訳語「エネルギー」である。普通「エネルギー」と聞いて軍事力を想像することは不可能であろう。かなり重要な項目でもこれである。
  • 海外版との互換性がないため海外プレイヤーとのマルチやMODに対応していない
    • このため、辞書を片手にオリジナル版に手を出すプレイヤーも多い。もっとも、前述のように非常に要素の多いゲームなので初心者がいきなり海外版に手を出すのも難しいとは思うが。
  • 完全日本語版の発売元であるサイバーフロントは2013年12月に解散している。そのため2014年現在、完全日本語版は新品ではほぼ入手不可能。中古品の価格も非常に高騰している。
  • 現在では日本語化パッチが無償で公開されているため、そちらを使用する方が現実的。

総評

人類が電子ゲームというテクノロジーを獲得して久しく、「つまらなくてオススメできない」という評価のゲームはまさに星の数ほど生まれてきたなかで、「面白すぎてオススメできない」という評価が下された世にも珍しい作品。それが『Sid Meier's Civilization IV』である。
ただ、発売から時間が経ち多くのプレイヤーが本作を離れてしまったせいか、現在は「とにかく危ないゲーム」とその危険性だけが伝説の様に一人歩きしてしまっているきらいがある。
確かにこの作品の中毒性は凄まじいが、どんな良い酒も人を酔わす力があるように、娯楽とはそもそもそういうものだ。
そして正しい付き合い方さえすれば我々に無上の喜びを与えてくれる所もまた同じである。
前述したヨハネスブルグのパロディや、Civanon経由でしか本作を知らない方々が本項を読んで「『Civlization』は危険である以前に"良い"もの」という認識を持って頂けたらうれしい限りである。
そんな思いを込めつつ、最後は本作のフレーバーを真似て、一つの格言を添えることで締めとさせていただきたい。
願わくは、このゲームに挑む全ての指導者がいつまでも変わらず健やかでありますように。

"Alle Ding' sind Gift und nichts ohn' Gift; allein die Dosis macht, das ein Ding kein Gift ist." -Paracelsus-
「あらゆるものは毒であり、毒無きものなど存在しない。あるものを無毒とするのは、その量のみによってなのだ。」~パラケルスス~


余談

  • 問題点でも少し触れたように良作ではあるが、決して間口の広いゲームではないので、自分でも楽しめるかどうか判断に困っている方はまずWikiで紹介されているプレイレポや『シムシティ4』と同じようにニコニコ動画に投稿されている初心者講座、プレイ動画等に目を通してみる事をオススメする。
    いずれも力作ぞろいでゲームを知らなくても十分に楽しめるばかりでなく、何の因果か見るのを止める事のできない中毒性をも持ち合わせている。
    実際にゲームを前にして自制心がきちんと働くかどうかを測る物差しとしても有用…かもしれない。
  • 2~3時間程度プレイできる体験版が存在するので、趣味に合うか購入前に試してみても良いかもしれない。
  • お国柄、登場する世界遺産の一部(特に後半に登場するもの)がややアメリカびいきになっているのはご愛嬌。
    • 特にツッコミを入れられるのが「ペンタゴン」「ブロードウェイ」「ハリウッド」……それが“世界遺産”だって?
  • シリーズを通して日本に対する誤解も多い。が、それでも改善された方である。
    • 日本の歴史を代表する偉大な指導者が徳川家康というのは良いとしても、その顔つきはどう見ても家康のイメージではない*16。服装や背景も微妙に間違っており、なんだか変。
      • だが本作はまだマシな方。前作『III』では徳川家康がどう見てもモンゴル人になっていたりと、無茶苦茶で笑いを誘っていた。
        次回作『V』では家康に代わって織田信長が起用されたが、両腰に太刀を佩き、背中にも刀を背負っているという三刀流の出で立ちだったりする。おまけに初期段階では「Oba Nobunaga」としての登場であった。叔母…?
      • 後述する『Warlords』での日本のUnique Buildingは「シェール油精製所」という、日本人には馴染みのない施設である。
      • 次々回作『VI』で日本文明の指導者に抜擢されたのは、なんと北条時宗という意外な人選。
        元寇(モンゴル)から日本を守り抜いた対外的功績が評価されたものと思われるが、服に記された北条氏の紋が、とある神聖な紋章と同じ形であるため「Zelda Fanboy」などというあだ名が付けられた。
  • 本作のゲームエンジンを使ったタイトルとして『Sid Meier's Civilization IV Colonization』が存在する。
    • 昔発売された『Sid Meier's Colonization』のリメイク版にあたり、新大陸に入植して本国との輸出入や原住民、他の入植者との交流・戦争を行い、最終的に独立戦争に勝利することを目的とする。『4』とはまた大きく異なるゲームである。
  • 現在はSteamでゲーム単体と全拡張パックが同梱された「The Complete Edition」が配信されている。おそらく現在もっとも容易かつ安価で本作を遊べる手段であろう。
    しかしこのSteam版は日本語に対応しておらず、プログラムの構造上、日本語Modを作成することも不可能である。
    …と長い間思われていたのだが、とある有志の研究により、本作のSteam版(後述の「Beyond the Sword」適用状態)を日本語化することに成功。
    多くの日本人が、今からでも本作を手軽にプレイできるようになった。
    • 「1人の偉大な技術者によって技術が大きく進歩して、多くの人々の幸福度が増加する」という、本作ゲーム内でたびたび起こるイベントが、奇しくも現実の世界でも起こったのである。
    • 詳細は「civ4 Steam 日本語化」などのワードで各自検索のこと。
    • またこれにより、かつては数万円に高騰していたパッケージ版の中古相場も、今では定価程度に落ち着いた。

Sid Meier's Civilization IV Warlords

【しど・まいやーず しう゛ぃらいぜーしょん ふぉー うぉーろーど】

発売日 2006年7月24日
完全日本語版:2006年12月22日
定価 $29.98
完全日本語版:オープン価格

概要

『4』の拡張パック其の一。具体的に拡張された点は以下の通り。
・新しい文明、指導者の追加
・新しい志向の追加
・シナリオの追加
・文明特有の建築物"Unique Building(通称UB)"の実装
・ユニット、建築物、遺産の追加
・一部指導者の志向変更
・「従属国」の実装
・新たな偉人「大将軍」の追加
例によって、全てを詳細に語るのは野暮なので此処では「従属国」と「大将軍」について述べる。

  • 従属国
    • ある文明が、他の文明(宗主国)の庇護下について従属国になるという新ルール。
    • 文明間の主従関係が成立する過程は二通りある。戦争の降伏条件として選択される場合と、大国の庇護を求めて文明が自発的に従属する場合である。
      宗主国のメリットは主に
      ・従属国の資源を召し上げることが出来る
      ・従属国が開発するテクノロジーを指定出来る*17
      ・戦争の際に従属国と共闘できる。また、攻撃目標の指定も出来る。
      ・制覇勝利、外交勝利において従属国の領土及び人口が宗主側の物とカウントされる。
      デメリットは
      ・従属側を保護する義務が発生する。
      ・第三者の宗主側への外交感情と従属側への外交感情の平均が、宗主側への「実際の」外交感情となる。
      ・上記とは別に、従属国を抱えること自体に外交感情へのペナルティ(他文明に嫌われる)がある。
      となる。従属国は概ね宗主側の逆だという認識で間違いないが、特筆すべきは「従属国も幾つかの勝利条件は達成できる」ということ。
      大国の庇護を受け軍事を放棄しつつ内政に傾倒し、見事文化勝利を達成、なんてパターンも実際にあるから侮れない。
      降伏に拠る従属が破棄されるにいたる過程は2つ。従属国の領土及び人口が一定の水準を「上回る」場合と「下回る」場合である。
      前者は自立できるまでに従属国が力を持った、後者は宗主国がその義務を放棄した、という事なのだろう。対して自発的従属は従属側の意思でいつでも関係を破棄できる。
    • 直接条件に影響するため、勝利への手間を省けるほか、「文化」のせいで時代が下れば下るほど扱いが難しくなる元他国の領土を効率的に運用する手段としても有効な新要素。
      しかし主に外交面にペナルティがあるため、大局的な見地が要求されることになるだろう。
  • 大将軍
    • ユニットが戦闘に勝利することで蓄積される「大将軍ポイント」が一定値に達すると生まれる偉人。他の種類の偉人とは全く異なる能力を持つ。具体的な使い道は以下の通り。
      ・任意のユニットと合体して「大将軍ユニット」となる。これは非常に強力である上に、誕生時に「20/ユニット数」の経験値を同マスのユニットに与えるので、単純に自軍戦力が大きく強化される。
      ・「軍事教官」として都市に定住し、その都市が生産するユニットが永久的に+2の経験値を得るようにする。効果は重複するので一都市への集中運用も可能。また、これは専門家に対する各種補正の対象になる。
      ・都市に、ユニット生産時に生産力にボーナスを与える(=ユニットの生産ターン数が早くなる)「士官学校」を建設する。
    • この大将軍の実装により、都市のやり取りでもない限り数値上の意味を持たなかった、戦闘という行為それ自体が財産の一つとしてみなされるようになった。

Sid Meier's Civilization IV Beyond the Sword

【しど・まいやーず しう゛ぃらいぜーしょん ふぉー びよんど ざ そーど】

発売日 2007年7月23日
完全日本語版:2007年12月7日
定価 $29.99
完全日本語版:オープン価格

概要

拡張パック其の二。これが実質最終版となっているので現在『4』という言葉は概ねこのBeyond the Sword(以下BTS)のことを指し、『4』の方は「vanilla(バニラ)」と呼ばれる事が多い。Warlordsの要素を踏襲した上で更なる要素が追加された。
ゲームバランスに直接影響するシステムにも大きく手が加えられており、そのお陰で最高難易度の「天帝」においてもある程度余裕を持ったプレイが可能になった。
しかしあまりに強力すぎる戦術も生まれてしまった為、BTSの追加要素を「蛇足」と批判する声も少なからず存在する。 此処ではそのゲームバランスに影響する「スパイ機能の拡張」「企業の実装」「教皇庁(バチカン宮殿)の実装」と、PCゲームの醍醐味であり現在多くの数が存在している「MOD」について述べる。

  • スパイ機能の拡張
    • Warlords以前では「共産主義」というテクノロジーで解禁されていた「スパイ」というユニットを、ずっと早い「アルファベット」で解禁されるようにして、その運用に際して"Espionage Point(以下EP)"という概念が追加された。
      EPは商業力を割り振る、それを産出する建築物を建設する、「専門家の」スパイを都市に配置する*18といった手段で蓄積される。諜報機能は、諜報対象との蓄積EPの差で得られる受動的恩恵と、対象の都市にスパイを潜入させ、EPを消費することで様々な妨害工作を行う諜報任務の二種類に分けられる。
    • 内政、外交、戦争と、どの分野においても有効な効果を発揮する任務が揃っており万能性があるので、使いこなせれば強力。
      反面、(主にコスト面で)強力だとみなせる水準に達するまでにクリアすべき条件が沢山あり、非常に緻密で、煩雑な運用が要求される、上級者向けの新要素である。
+ 具体的な諜報機能の紹介
  • 受動的恩恵
    ・情報画面において対象国のグラフを見ることが出来る。
    ・対象国の研究中のテクノロジーが確認できる。
    ・対象国の都市周辺の視界を獲得する。
    ・対象国の都市の情報が確認できる。
    ・諜報任務でのコスト削減及び、成功率の上昇。
  • 諜報任務
    ・都市の建築物を破壊する。
    ・都市の不幸または不衛生を増加させる。
    ・マスの地形改善を破壊する。
    ・蓄積中の生産力をクリアする。
    ・金銭を盗む。
    ・自国の文化の影響を受けている都市に対して、さらに自国文化を浸透させる。
    ・都市を叛乱状態(出力が停滞し、都市の防御力が0になる)にする。
    ・対象国が所持しているテクノロジーを盗む。
    ・対象国の社会制度及び宗教を、強制的に自国と同じにする。
    ・宇宙勝利の条件である宇宙船のパーツを破壊する。
  • ちなみに諜報任務が成功した場合はスパイユニットは自国へ送還される。失敗した場合はユニットは失われ、対象国からの外交感情が悪化する。また、対象の領地に潜入した時点から、スパイユニットは毎ターン捕縛によって失われる可能性がある。
  • 任務にかかるEPコストは、自国首都から対象への距離、宗教の関係、ユニットが待機したターン数、交易路*19の有無、都市の文化などで増減する。
  • 企業
    • 一言で言えば、大量の金銭を各リソースへ効率的に変換するためのシステム。「起業」するには各企業に対応したテクノロジーの獲得と偉人の消費が要求される。
      起業した都市が本社になり、此処から「重役」というユニットを生産・派遣し、対象の都市で金銭を支払う事で展開していく。
      企業が展開された都市にはその企業が扱う資源の保有数に対応したボーナスと維持費が発生する。
      例:「シド寿司社」 条件:企業及び医術のテクノロジーと大商人 効果:海産資源及び米一つにつき「食料+0.5」「文化+2」「維持費増加」
      宗教と同様に他文明にも展開でき、本社はその展開数に応じて金銭収入を得るが、大抵の場合は出展費用のほうが収入を上回るので、これ自体で金儲けできるようなものではない。また、自然伝播もしない。
    • この要素の目玉はなんと言っても得られるボーナスでこれを自文明に展開すれば難易度天帝AIの出力すら軽く上回るほどのパワーを得る事ができる。
      しかしその展開、維持、資源の調達などに莫大な、本当に莫大な金銭が必要になるのでそのリソースが本当に自分に必要な物かを熟慮しなくてはいけない。
      また、企業には一都市に同時に存在出来る「共存」と存在できない「競合」の関係があり、折角展開した企業が他企業に塗りつぶされてしまったり、それをさらに上書きするために余計な出費が出たり、また下手に共存した事で維持費がさらに嵩んでしまったりと、思い通りにいかない事も多い。
      スパイ同様使いこなせば強力で、スパイとはまた違った面での悩ましさを持つ新要素だと言えるだろう。
  • 教皇庁
    • 世界遺産である「バチカン宮殿」が建設され、その後行われる教皇選挙で教皇が選ばれる事によって機能する。
      宮殿が建設された時点でその文明が信仰している宗教がバチカン宗教になり、その宗教の名の下に、議案と投票による様々な外交的干渉が行われる。
      バチカンのメンバーはその宗教を国教としている「正規メンバー」と国教とはしていないが、その宗教が布教されている都市を所持する「投票メンバー」とに分かれる。
      正規メンバーは教皇立候補権や、議案に対する一票の価値*20などで優遇され、投票メンバーは一部の外交的干渉の対象となり得る。
+ 具体的な議案の紹介
  • 宗教勝利
    • 外交勝利と概要は同じ。ただし、存在する全指導者がバチカンのメンバーである必要がある。
  • 宣戦布告
    • 正規メンバー以外が対象。可決すればメンバー全員が一斉に対象に宣戦布告する。
  • 戦争停止
    • メンバー間で起こっている戦争を強制的に停止させる。
  • 交易停止及び国境開放
    • メンバー全員が対象国との交易を打ち切る。または全メンバー同士が国境を開放する。
  • 防衛協定
    • 全メンバー間で防衛協定(協定を締結した文明が宣戦布告された場合、締結国の全てが自動的に宣戦国に宣戦布告)を結ぶ。
  • 都市移譲
    • 都市の所有権をその都市への文化の蓄積が最も多い文明に移譲する。投票メンバーから正規メンバーへの一方向のみで成立する議案。
  • 拒否権
    • 宗教勝利以外の議案で発動可能な権利。その議案を無条件で否決できるが、文明の全都市に大きな不幸ペナルティが課せられ、また正規メンバーの権利も失う。
  • 全世界を対象とした非常に拘束力の強い新要素。1ターン後には世界の敵となっていたり、折角優位に進めていた戦争を停止され、挙句の果てに都市の返還を強制されたりするので、今まで以上に信仰の有無とその選択が文明の運命を左右するようになった。
    上記二つのとは異なり、どちらかと言えば主にプレイヤーにとってはマイナスになる事が多い。
  • MOD
    • BTSだけが、というわけではないが、最終版である関係上、現在流通しているMODのほとんどがBTSが対象の物である。
      世界中にプレイヤーがいるためか、とても個人では遊びつくせないほどの量のMODが存在する。
      インターフェースやグラフィックを大幅に強化する物、文明・指導者・遺産等を大量に追加した物、神と悪魔が跋扈するファンタジーが舞台になった物、果てはそれらのMODがさらに改造された"Modmod"なる物まで作られている。
      質は当然玉石混淆ではあるが、力の入った物になるとゲームのフレーバーである格言やシヴィロペディア、指導者の台詞などの膨大なテキストまでもが一から作り直されていたり、それをまた別の言語で出したりしているのだから恐れ入る。
      日本でもこれを手がけているユーザーは多く、軽く探してみれば日本のゲーム・漫画・アニメのキャラクターが指導者やユニットになった、あるいは世界観が反映されていたMODなどもすぐに出てくる。
      挙句の果てには上記の『4』初心者講座で使われたAAキャラクターがゲームに逆輸入された、ということもあるから面白い。
      バニラからBTSまでこれでもかというくらい遊びつくしていたとしても、それは『Civilization』という世界のほんの一部を味わっただけに過ぎないのである。
      MODという扉を開けば、更なる無上の喜びと、夜の無い人類の夜明けがプレイヤーを迎えてくれるはず。
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最終更新:2022年08月04日 16:20

*1 その文明の大まかな発展具合を表す数値のこと。都市の人口や獲得したテクノロジーなどには点数が設けられており、その総和が文明ごとに常に表示されている。

*2 例えばそのマスが平地であれば食料に+1、草原であればさらに+1、そこに「とうもろこし」という資源があればさらに+1、河川に隣接していれば商業力に+1、といった具合。

*3 中心を除いて最大20マス。太い十字型に展開するので"Fat Cross"と呼ばれている。

*4 都市ではなく文明全体の性格を決定づける構成要素。「政治」「法」「労働」「経済」「宗教」の5つのカテゴリがあり、各種出力の補正や専門家枠の増加、特殊なコマンドの解禁など、様々な効果がある。

*5 これのみ発動毎に必要な偉人の数と種類が増加する。

*6 例えば日本文明なら「鎚鉾兵」という中世ユニットが「侍」というユニットに置き換わる。「鎚鉾兵」の能力に加えて「先制攻撃2回」の能力を備えるが、「鉄」という資源がないと生産できないという欠点も持つ。

*7 ユニットが経験を積んで取得できる能力のこと。テクノロジーと同様ツリー状に構成されており、ユニットの成長の方向性をある程度プレイヤーが決めることが出来る。

*8 社会制度や宗教を変更した際に発生するペナルティ期間の事。期間内はユニットの操作以外文明の全ての活動が停滞する。

*9 厳密にはどちらかが消滅するまで戦闘行為を繰り返す処理が行われる。

*10 本来の戦闘力に「現在体力/100」をかけた数値が実際の戦闘力となる。

*11 通称OCC(One City Challenge)。ゲームのオプションで設定も出来る立派なプレイスタイルの1つ。

*12 最初に生産する物及び、開発するテクノロジーを意味する言葉として使われている。

*13 描画や、AIの行動も同じくユニット単位、都市単位のため。

*14 待ち時間が長すぎると言われたのは本作発売時点である2000年代後半の評。現在はPC性能の向上によりほとんど気にならない。

*15 これを防ぐため、開始後一定ターンは戦争不可能と取り決めるのが一般的。

*16 織田信長だと言われたほうがまだ納得できそうな顔である。

*17 但し、其のテクノロジーを召し上げることは出来ない。手に入れるのであれば交換という形を取る必要がある。

*18 専門家スパイの実装に伴い、「大スパイ」という偉人も追加された。能力は、大科学者のEP版といったところ。

*19 都市の中心同士が道路や河川、海洋で繋がっている状態だと(異国間なら国境の開放も必要)、両都市に距離や人口に応じた商業力がもたらされる。この状態を「交易路がある」と呼ぶが、一都市が持てる本数には制限がある為、ただ接続しただけでは交易路とはみなされない場合もある。

*20 文明の保持する投票数は文明の総人口に等しいが、正規メンバーの一票は投票メンバーの倍の価値がある。