魔女と百騎兵

【まじょとひゃっきへい】

ジャンル ダークファンタジー・アクションRPG
対応機種 プレイステーション3
メディア BD-ROM 1枚
発売元 日本一ソフトウェア
開発元 ノラ
発売日 2013年7月25日
定価 6,800円(通常版)
9,800円(初回限定版)
レーティング CERO:C(15歳以上対象)
判定 なし
ポイント 独特な世界観とキャラクターの魅力
意外な展開を迎えて盛り上がる終盤
一方でゲームとしては欠点多数
魔女シリーズ
百騎兵シリーズ:1 / Rivival / 2
魔女ノ旅団シリーズ:ルフラン / ガレリア


概要

日本一ソフトウェアにとって初となるフルポリゴン3Dアクションゲーム。
ジャンル欄に記載の通りダークな雰囲気を持つアクションRPGだが、ゲーム中はバトルが主体となるためハックアンドスラッシュの風味が強い。

初回限定版として、主人公のメタリカを模したねんどろいどぷち、設定資料集、サウンドトラック付きのセット版が同時発売された。

あらすじ

どこかにある、少し幻想的な世界でのお話。大国に隣接した小さな森には、醜く悪しき「森の魔女」と、容姿端麗天才的な才能を持った「沼の魔女」がいました。
二人は互いの魔力を競うように100年ものあいだ争っていましたが沼の魔女が伝説の兵士を、深遠の闇の中で見つけたことでその均衡は崩れます。
…キヒヒ。
(公式サイトより引用)

プレイヤーはわがままで自由奔放な「沼の魔女・メタリカ」に召喚された伝説の魔法生物「百騎兵」を操作する。
「世界を沼で支配したい」と願うメタリカのために、各地に存在する沼の力を溜め込んだ花「ピラー・オブ・テンペランス」を探し、その守護者を片っ端から倒していく、というのがおおまかな筋となる。


システム

メタリカの指示を受けて地図上からステージを選択、俯瞰視点の3Dステージ内で目的地への到着やボスの撃破など固有の条件を満たすとクリアとなり、イベントを経て次のステージが開放されるというのが基本的な進行。

  • 百騎兵について
    • 「百」と言いつつ、見た目は1匹の小さな魔物でしかない。
    • 探索中は「ギガカロリー」(ローグ系でいうお腹・満腹度のようなもの)を消費する。これはスタミナ・HPの自動回復やオートマッピングといった百騎兵の行動に応じて減少し、0になると大幅にステータスがダウンする。
    • 探索中に得たアイテムは、基本的に「ストックストマック」という百騎兵の胃袋に収められ、ステージクリア時に初めて入手扱いとなる。
    • HPが0になると「ダウン」となり、スタート地点かチェックポイントに戻される。
      • この時ストックストマック内のアイテムの一割がランダムに失われ、かつギガカロリーも大きく減少するペナルティを受ける。
      • もし既にギガカロリーも0だった場合は、ストックストマック内の全アイテムと、探索中に得た経験値の半分を失った上で拠点(メタリカの家)に強制送還となる。
    • ステージ内ではレベルアップは発生せず、ステージクリア時に経験値が清算されて初めてレベルに反映される。
  • ピラーについて
    • 道中各所には「ピラー・オブ・フール」と呼ばれるピラーの一種が設置されており、攻撃によって開花する。
    • ピラーには前述したチェックポイントのほか、ピラー間のファストトラベル、ステージの途中離脱、百騎兵の一時強化といった機能がある。
      • 途中離脱も名目上ステージクリア扱いであり、ストックストマックと経験値の清算が行われる。但し当然、イベントは条件を満たすまで進行しない。
    • 一時強化は「フィジカルリバレーション」と呼ばれ、敵の撃破で得られる「グレードポイント」を消費してパラメータをアップする。
      • 但しここでの強化内容は、ステージクリアかギブアップで消滅する。
  • 装備について
    • 武器は同時に5つまで装備でき、攻撃ボタンを押すごとに装備スロット内の順番で攻撃を行う。
    • 武器には「斬撃」「打撃」「魔撃」のいずれかの属性が付与され、敵の耐性・弱点に対応している。
    • また、各武器には1~5までの数字がランダムに割り振られている。これは「賽の魔紋」と呼ばれ、昇順となるようスロット内に並べると攻撃力にボーナスが付く。
    • 防具は、防御力を上げるための「骸布」と、デバフや属性への耐性を付与する「護符」があり、それぞれ2つまで装備できる。
  • ファセットとトーチカについて
    • 「ファセット」はいわゆるジョブ(職業)。メイン1種サブ2種を選択でき、基本パラメータに関与するほか、ガード時軽減率アップなど固有の特性が付加される。
    • 「トーチカ」は探索や戦闘に役立つ兵隊で、探索中に呼び出すことで自爆攻撃をしたり身代わりでターゲットとなったりする。他のRPGにおける召喚獣的なものと捉えて良い。
  • バトル関連の要素について
    • 敵の攻撃を直前で避けると百騎兵以外の全ての動きが3秒程度スローになる。これを「ミスティカル・ダッジ」と呼び、発動には敵を攻撃すると得られるポイント「AP」を用いる。
    • 任意のタイミングで「カオスリバレーション」という機能を発動できる。これを行うと百騎兵のステータスが大幅にアップするが、ギガカロリーの消費が高速になるうえ、0になるまで止められない。
    • HPが一定割合未満になった敵は「捕食」でき、敵の種類に応じてギガカロリーが回復する。但し同時に「ガーベッジ」というゴミアイテムがストックストマック枠を埋めてしまうデメリットもある。
    • 敵をロックオンすると画面右上に「ビヘイビアパネル」と呼ばれる三角形の図表が表示される。
      • これはその敵が「憎悪」「友好」「恐怖」のどの感情を百騎兵に持っているかを示しており、敵の行動の指針となっている。
  • 探索中の要素について
    • ステージ内には町や家が点在しており、扉の前で「制圧」コマンドを選択すると家主との戦いが開始される。
      • これに勝利すると「魔女制圧(ウィッチ・ドミネーション)」したことになり、アイテムの強奪やHPの回復、制圧先が商店であれば割引といった恩恵を受けることができる。
      • 戦いは自動で行われ、概ね装備武器の平均攻撃力で勝敗が判定される。
    • ただし制圧を試みると、勝敗に拘らず悪行の度合いを示す「カルマ」値が上がり、あまりに高くなると住人が攻撃してきたり商品が高くなったりといったデメリットが生じる。
  • 拠点での行動について
    • メタリカの家ではファセットの付け替えのほか、「魔女の嘆願書」という機能を使用できる。
    • 魔女の嘆願書では敵が時折ドロップする「アニマ」を消費し、カルマを下げたり装備品のレベルを強制的に上げたりなど、ゲームプレイに直結する様々な注文を行える。
  • イベント中の行動について
    • イベントは基本的に登場キャラクター同士のセリフの掛け合いによって進行するが、特定の場面では百騎兵も感情表現を求められることがある。
    • この機能をゲーム中では「セルフアサーション」と呼び、言葉を発することのできない代わりに、肯定・否定・疑問・無視のいずれかの感情を選択するとイベントが進行するというもの。
    • 多くの場合ただの台詞差分でありストーリーには関与しないが、ごく一部、マルチエンディングや実績に関わるシーンもある。

評価点

  • 個性豊かなキャラクター
    • 悪逆無道だが憎めないダークヒーロー・メタリカやプレイヤーの分身でありマスコットキャラ・百騎兵をはじめ、言動の節々からメタリカへの軽視が見て取れる執事・アルレッキーノや、半犬化の呪いをかけられた異端審問官・ビスコなど、さまざまなキャラクターが物語を盛り上げる。
    • それぞれのキャラクターは良いも悪いも含めてブレが少なく、アルレッキーノが「リカ」と呼び掛けては「メタリカだ!」といちいち訂正したり、メタリカに「犬コロ」と罵倒されてはビスコが生真面目に抗議したりといった定番の掛け合いも多くある。
      • そのため会話劇込みでキャラクターの安定性が非常に高いし、それゆえ逆に、意外な一面や期待を裏切る行動のインパクトも強く感じられやすい。
    • 原田たけひと氏のデザインによるひとクセある可愛さも高評価。
  • 先の気になるストーリー
    • ストーリーは章仕立てになっており、各章の引きがうまく機能している。
      • 多くの章が「執事のアルレッキーノが故意にメタリカの殺害を試みる」「他の魔女から嫌われているメタリカに魔女の夜会の招待状が届く」などいかにも波乱を思わせる展開を迎えて終わるため、つい中断せずにプレイを続けてしまいやすい。
    • ダークファンタジーらしく、明らかに絶望的な幕切れがトロフィーではトゥルーエンディング扱いになっているのも個性的なポイント。
    • 終盤の展開はよくできており、伏線が回収された上で、黒幕の望む恐ろしい未来を前にひねくれた魔女と小さな百騎兵がどう対応していくか、という面でオリジナリティを確保しつつ燃える展開となっている。
      • その中で見られるキャラクターの人間的な成長も見所で、こうした点からコアなファンを獲得したといっても差し支えない。
      • そして最終的な大団円エンドが「バッドエンディング」扱いというのも、「果たしてこの世界にとっての真実はどちらだったのか?」という点で含みを持たせているといえる。
  • 世界観にマッチした質の高いBGM
    • 日本一ソフトウェアでは常連となる佐藤天平氏が担当。
      • 高山マップでは笛系を主体にした北欧系BGM、王国内では金管楽器が前面に出る勇壮な雰囲気、魔女の夜会会場ではフリージャズのような騒がしい曲調と、世界観に合った楽曲が多い。
      • 特に拠点となるメタリカの家のBGMはマレットとアコーディオンによるとぼけた風合いに「ランララランラン…」という楽し気な女性コーラスが合わさった愉快な曲であり、耳に残りやすい。
  • さまざまな仕様が絡み合う戦闘システム
    • 序盤は出来ることが少なく、相手に直接攻撃することぐらいしか出来ない百騎兵だが、短期決戦に持ち込む「カオスリバレーション」や、各所で集められる「トーチカ」が揃っていくことで戦略に幅が生まれる。
    • 敵に応じて兵隊型トーチカや自動砲台型トーチカ、能力強化型のトーチカなどを駆使することで、戦闘のバリエーションを楽しめる。
    • カオスリバレーションはシステム項に記載の通り奥の手と呼べるもので、残りギガカロリーの値と、ボスのHPを身ながらあとどのくらいで倒せるかを考えたうえでの使いどころがキモになっている。
      • もちろん初心者向けの救済措置としても機能しているが、ある程度はカオスリバレーションを前提にゲームバランスが組まれている面もある。
  • 村人などモブキャラを攻撃対象に出来る
    • 百騎兵は正義の味方ではなく、傍若無人の魔女の手先であるため、村人のHPをゼロにして殺すことが可能
    • 本作はダークファンタジーを自称しているだけのことはあり、ブラックな展開が多い。ストーリー展開としても一般人が罪の無い者を迫害するといったシーンが度々あり、直接百騎兵が手を下せることでストレスを発散できる。

賛否両論点

  • 一部ストーリーやキャラクターの発言
    • 「ダーク」ファンタジーではあるが、それを加味しても不快感を示す人がいてもおかしくないレベルの表現が多々ある。
    • 不快の方向性は主に下ネタ。特に本作に登場するキャラの中でも魔女たちは揃いも揃って性格が下品であり、伏字発言も多い。
    • 序盤は百騎兵の主人たるメタリカの言動がかなり宜しくなく、敵対していた魔女をネズミに変えて盛ったオスネズミに追いかけ回させるという、人権の蹂躙どころではない所業を行う。
    • 逆に生粋の日本一ユーザーからはそれらの要素が無いと物足りないとまで言われるほどの長所でもある。
    • また、メタリカのみならず敵もそうした性格であるため、だからこそ完膚無きまでに倒した際の爽快感が抜群ともいえる。

問題点

  • ストーリーが盛り上がるまでが遅い
    • キャラクターとストーリーは評価点に記載した通りだが、終盤の手前まではコメディ的な雰囲気がかなり強く、引き以外での求心力は弱い。
    • 会話劇も毎度名前を間違えては訂正するくだりや、生真面目なビスコや物言わぬ百騎兵がメタリカに馬鹿にされる場面、他にもいちいち窓を突き破ってコント的に入場してくる妖精のマーニィなど、総じて幼稚であり、人によっては到底見ていられるものではない。
    • またメタリカの周りで発生する多くのトラブルは「思慮が浅い」ことと「説明不足」によるものがほとんど。
      • ひとつの問答においても、「違うんだ、話を聞いてくれ!」→「○○と言いたいのか?」→「いや、そういうわけではないが…」→「じゃあ○○のつもりか?」→「いや…」→「では邪魔するな」→「違うんだ、話を聞いてくれ!」といった具合で、「誰もまともにしゃべれない」せいで事件が発生するため、これで指示通りに動けと言われてもモチベーションが上がりにくい。
    • 序盤から伏線が散在しており最後に全ての謎が解ける様は気持ちよいし、シリアスな展開への落差のためにあえてコミカルパートから始まる作品は当然他にもあるが(ひぐらしのなく頃になど)、そうした気持ち良さや落差に至るまでにおよそ20時間ほど要するため、全体の構成で見ると途中離脱するプレイヤーが発生してもおかしくない出来となっている。
  • 1章に1回挿入されるスタッフロール
    • これは日本一ソフトウェアの伝統芸である為、一概に問題点と言うことは出来ない。また、スタッフロールもそれ程長いものではない。問題はスキップも早送りも不可であること。
    • 本作は全12章+α構成のため、本作クリアまでにそれなりのスタッフロールを繰り返し見ることになり煩わしい。
    • ちなみに通常会話やイベント会話はスキップも早送りも出来る。
  • イベントのテンポが悪い
    • 会話劇はテキストアドベンチャーのように立ち絵で展開するものと、3Dポリゴンのキャラがステージ内で動き回って行われるものがあるが、後者のテンポがかなり悪い。
    • 逐一話者を中央にするようカメラが動いてからしゃべったり、部屋の奥でイベントが発生したのにイベント内容は入室前の階段を歩くシーンからであったり、百騎兵に台詞が無い代わりにいちいち5秒近いアニメーションを取ったりと、要らない間が多い。
  • 戦闘がストレスを感じやすい
    • 敵から攻撃を受けて再行動するまでの間に「無敵時間」が存在しない
      • 本作の戦闘が大味なのはほとんどこれに起因し、敵の攻撃を食らって倒れるとそのまま袋叩きに直結しやすい。
      • ボスがよく行う突進系の攻撃などは1度巻き込まれると、当たる→倒れる→そのまま多重ヒットしてダウンというパターンに陥りやすい。
      • 雑魚敵においても2、3匹に囲まれると死を覚悟する場面が多い。倒れて起き上がるまでの間に別の敵の攻撃が発動し、殴られた先で殴られ操作不能なまま強制送還、というシーンは度々発生する。
    • 前述の当たり判定の微妙さも相まって、回避や防御よりも高速・高攻撃力の武器による先手必勝なゲームバランスとなっている。
    • 状態異常も過剰に強力。「スタン」と「眠り」は完全に相手を停止させることが出来る。「毒」「猛毒」もHP最大値を基準にダメージを与える為、特にボス戦で猛威を振るう。
      • 無論、逆にこちらが状態異常を食らうと一気にダウンさせられることも多い。
    • 追尾性能があるうえに10秒ほど居座る敵弾や、それを百騎兵の攻撃が当たらない位置から撃ってくる敵もおり、理不尽さを感じられるステージも見られる。
    • 総じて、ハック&スラッシュとして見た場合、あまり面白さのあるゲームではない。
  • ポリゴンの出来が粗く、当たり判定と見た目にも齟齬がある
    • はじめてのフルポリゴンなので技術的には仕方ない面はあるが、この影響で当たり判定が見た目と合わない例が度々あり、プレイヤーが避けたと思っても当たっている、ということがままある。
    • 特に「砂食み」という口を左右二股に大きく開いて突進してくる爬虫類系の敵は、明らかに百騎兵1キャラ分前に当たり判定がずれており、ただでさえコツがいるミスティカルダッジの難易度を更に上げている。
  • デスペナルティにゲーム的な意味がない
    • ダウンするとスタート地点かピラーに戻されたうえギガカロリーを大幅減少させられるペナルティがあるが、性質上ある程度の値まで下がったらどうせ撤退するほかなく、自前で途中離脱を選ぶ手間の分だけ無駄がある。
    • 特にボス前のピラーから開始してボスへの挑戦だけ行う場合、大体1回やられただけで再戦には心もとない量まで減らされるため、単にリトライの手順を難解にしているだけであり、攻略上何のリスクにもなっていないのに時間浪費だけ強いられるシステムとなっている。
  • 終盤のゲームバランスが明らかにおかしい
    • 12章では突然全ての敵のレベルが1.5倍以上になり、こちらからの攻撃はほぼ通らず、何をされても一発死する状況になる。
    • このバランス崩壊は意図的なものであり、ゲーム中の会話においても触れられている点ではあるが、それにしたって嫌がらせのレベル。
      • 戦いを避けるのが目的ならまだしも、この状態で普通にバトルを求められる。どうにかボスにたどり着いても、そのボスが徒歩でぶつかってきただけで百騎兵が爆散するのはさすがに圧巻。
      • 攻略上、雑魚敵相手にどうにか地道にレベル上げ&武器収集するしかなく、しかも大して経験値が高いわけでも良い武器がドロップしやすいわけでもない。世界観とインパクトありきの調整であり、ゲーム性としては失敗レベルである。
  • そもそも12章のクリア条件が無茶
    • 12章での目的は「悪逆非道の限りを尽くしカルマ値を一定以上にすること」「これまで出会った複数の重要キャラに会いに行きイベントを起こすこと」だが、ゲーム中で明示される条件は前者のみであり、しかも幾つにすれば良いかも教えてくれない。
    • 十分なカルマ値を溜めても何もアナウンスはなく、章を通して目的地マーカーも表示されず、しかもキャラの居場所も11章までに心当たりのある場所でもないため、目的のないままさまよって偶然イベントに行き当たるしかない。
  • ラストダンジョンを攻略する必然性がない
    • ラストダンジョンは幾つもの道に枝分かれしたただの平野であり、それぞれの枝分かれの先端に到達すると会話イベントが発生、すべてこなすと道が開ける構図になっている。
    • しかし会話イベントといっても百騎兵やメタリカのものではなく、これまで出会ったキャラ達が、こちらの状況とは無関係に伏線を回収している内容。
    • つまり、迷路を探索しなくてはいけない理由も、枝分かれの先にいかないとその会話が発生しない理由も無い。
  • マップ都合で百騎兵や道が見づらい
    • あらゆる壁に透過処理がされていないため、カメラアングルによっては百騎兵や敵の姿が隠れて全く見えなくなる。
      • 特に屋敷や町並みといった建物系ステージは死角が生まれやすいし、森系ステージでは木の葉が入り組み過ぎてマップを開かないと道の有無すら判断が付かない。
    • また、輪郭がジャギジャギした箇所もある。
  • ハクスラ要素がいまいち
    • 冒頭の通り、本作はRPGであるものの大量に武器を入手・厳選していくハクスラ的要素が存在するが、この武器の厳選に意味がない。
    • 武器のレア度は下からコモン、レア、エピック、レジェンダリーで当然エピックやレジェンダリーは滅多に出ない。しかし本作はストーリーが1章進むごとに出現武器も1ランクアップするため、わざわざ希少武器を厳選するよりさっさと進めた方が強い武器が入手できる。
      • 逆に言えばせっかくエピックやレジェンダリーの武器を入手しても、ストーリーを進めればすぐにゴミになる。これでは有難味がない。
  • 不便なユーザーインターフェース
    • 武器と敵の耐性が重要なため頻繁に装備を切り替えたくなるところだが、いちいち装備メニューを開いて手作業で武器を交換するのが非常に手間。
      • このゲームでは「特定の武器種以外ほぼ無効」という耐性を持つ敵も多く、しかもそうした敵が撃破必須だったりするため、面倒さが際立つ。
    • 敵を倒しても数秒は空のHPゲージが残り続けるため、慣れないうちは敵を倒せたかどうかが分かりにくい。
      • 一応画面左下のログエリアに撃破情報が出るので見分けはつくが、今度はそのログがメニュー画面でアイテムリストと被って邪魔という別の問題が出てくる。
    • 他にも、ピラーのリスタートポイント設定を「あり」にすることは出来るが「なし」に戻すことは出来ないなど、痒い所に手が届かない。
  • チュートリアルのバランスが異常に悪い
    • 本ゲームのチュートリアルはやたら懇切丁寧で、操作可能となってからも数歩進んでは止め、数歩進んでは止め、その度に「×ボタンでダッシュができる」程度の大したことのない情報を教え込んでくる。
    • 専用ステージと序盤ステージとで大体のチュートリアルが完了するまでにはおおよそ20~30分ほどかかるため、「いいからさっさと普通に遊ばせてくれ」と思わされがち。
    • そしてその割に、属性耐性を持つ敵の存在や、倍のダメージを与えるジャンプ攻撃など、攻略に必須のテクニックは教えてくれず、ロード中にランダムで表示されるTipsをたまたま見て覚えることになる。
  • やり込み要素が少ない
    • 同社製のゲームとしては珍しいエンドコンテンツの乏しさで、3種のエンディングに到達するとやることがほぼなくなってしまう。
    • 3種といってもうち2種は途中の章で終わってしまうだけの(一般的な表現で言う)バッドエンドのため、やりこみとは言い難い。
    • ただし事前にやりこみ要素に関するアナウンスはあったため、これ目当てでの購入者はほとんどいないとは思われる。

発売当初の問題点(現在はパッチ改善済み)

  • アイテムショップでの売買が面倒
    • 操作性が悪く、高速でのスクロールが出来ない。
  • ミスティカルダッジ中に敵の当たり判定が消えない
    • これにより、せっかく発動しても逃げるしかないなんてことも。
      • 改善後は百騎兵が無敵になるようになった。
  • 難易度が全体的に高め
    • パッチにより二つの難易度から選べるようになった。
  • ビヘイビアパネルの「絶望」が鬱陶しい
    • 主に弱い敵に攻撃した際になるのだが、絶望になると経験値を落とさずに消えてしまう。ただ攻撃によるカロリー消費がもったいないだけである。
      • パッチ改善後は通常の1.5倍の経験値を落とすようになった。

総評

キャラクターと世界観が突出した一作。
肝心のゲームとして遊んでどうかという面ではかなりの粗があり、それらの欠点を補って余りあるかというと、補ってようやくそこそこの出来という印象が強い。
特にバトルでストレスを感じやすい点や、ストーリーに面白味を感じるまでに時間がかかりすぎるのは明確に欠点である。

しかしそれでも、この作品が持つ独自性を考慮して総合的に見れば、目を瞑りきれないほどダメというものではない。
キャラクターデザインに魅力を感じたり、自ら悪にすら手を染めるダークな雰囲気が好きな人は、その結末を目当てに駆け抜けてみるのもいいかもしれない。


その後の展開

  • 2015年9月25日、追加要素つき移殖作品『魔女と百騎兵 Revival』がPS4で発売。
  • 2016年6月23日、世界観を共有する『ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』がPS Vitaで発売。
    • 以後、魔女ノ旅団シリーズも含め『魔女シリーズ』として確立した。
  • 2017年2月23日、直接的な続編である『魔女と百騎兵2』がPS4で発売。
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最終更新:2024年01月20日 13:04