信長の野望 蒼天録

【のぶながのやぼう そうてんろく】

ジャンル 戦略シミュレーションゲーム

対応機種 Windows 98/2000/XP*1
プレイステーション2
プレイステーション・ポータブル
発売・開発元 コーエー
発売日 2002年6月28日
価格 11,800円
その他 ソースネクスト「超ホーダイ」
2014年6月10日/1年間4,980円(税抜)*2
備考 PSP版はWith パワーアップキットのみ
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント 城主*3プレイ
PKはシリーズ最古のシナリオ収録
戦闘や内政が簡略化
忍者強すぎ
二階堂家の顔グラ酷過ぎ
信長の野望シリーズ


概要

戦国大名となって全国を統一する光栄の看板歴史SLG『信長の野望』シリーズの10作目。
シリーズでは珍しく、軍団長・城主を主人公として選択できる。全体的に渋く、抑えめの演出が特徴。
ゲームの目的は前作までと基本的には同じだが、大名はそのまま全国統一を目指すのに対し、軍団長・城主は主君の全国統一を目指すことも、他大名に鞍替えすることも、自分が主家を乗っ取ったり謀反を起こして大名に成り上がり、改めて全国統一を目指すこともできる。
いずれにせよ、全国150の城を全て支配するか、他大名がプレイヤー武将の属する大名に全て従属する(同盟統一)ことでクリアとなる。また、プレイヤー武将の大名家が他大名に従属し、その大名家が勝利条件を満たした時もクリアになり、違うエンディングとなる。


Win版についての注意

Win版蒼天録は、Windows 8.1までは動作可能。しかし、SecuROM・SafeDiscでDRM(デジタル著作権管理)を行っている。これらは更新が止まったことを理由にWindows10ではサポートから外されたため、Windows10での起動は拒否される。secdrv.sysファイルを入手することで起動可能だが、利用は自己責任で。 また、Windows Vista、7、8、8.1のアップデートでも、セキュリティ上の理由でSecuROM・SafeDiscの利用を停止させるため起動できなくなる(Windows10では、これらのOSからアップグレードすると、secdrv.sysファイル自体が削除される)。利用再開コマンドはこちらを参照→2015年9月のWindows Updateに関する不具合&トラブル情報

  • ソースネクスト「超ホーダイ」収録版は、Windows Vista、7、8、8.1、10にも正式に対応している。Steam版も同様だが、Windows Vista以前はMicrosoftのサポート終了により、正式対応からは外されている。

特徴

本作では内政は「政略フェイズ」と、行軍・交戦は「軍略フェイズ」に分かれて行う。

  • 内政は簡略化され、代わりに謀略・外交に重きを置いている。またゲームシステム上、同じ家の城主同士で足を引っ張り合うことは当たり前なので、城主同士の融和にも気を配る必要がある。
  • 行軍・交戦は、行軍は全国一枚絵で行い、敵部隊と接触するか、包囲した城を強攻すると専用の戦闘画面に切り替わる。
  • 前作『嵐世記』で初登場したNPC勢力である「諸勢力」は、前作よりやや弱体化したが、相変わらず重要な地位を占める。
    • 本作は忍者が非常に強力なので、忍者衆の制圧、懐柔はほぼ必須になる。
    • 海賊衆も家宝を安価に入手できるため重要。
    • 寺や砦は、知行が低い武将ばかりで兵士500人ずつの2500人しか1つの城から出せない場合がある序盤などは、4000人派兵というのは大きい。
  • プレイヤーが軍団長・城主である場合、家中の賛同を得ないと実行できない行動がある。また、上司の命令でも行動が制約されるため、大名には無い苦労と達成感が味わえる。反面、下剋上への反骨心を刺激される。
    • 仕様上、大名も第一軍団の軍団長という扱いになり実行コマンドや謀略面で楽といった要素もあるが絶対的な権力ではなくなっている。

政略フェイズ

プレイヤーが直接命令を下せるのは居城のみで、他城はCPUに間接的に指示を出すことしかできない。軍団長・城主はそれぞれ独自の判断で戦略を立てる。

  • 外交
    • 外交と謀略。他家・他城主・武将との交流を深めたり寝返らせたり仲を裂いたりする。諸勢力との交渉もこれ。逆に、大名以外なら忠臣として主君の良さを宣伝することもできる。また、下剋上を勧誘したり、他城主を唆すこともできる。本作のメインと言えるコマンド。
    • 外交関係の種類が多い。相互不可侵のみの「不戦協定」、互いに援軍を送れる「軍事同盟」、特定大名を標的に最大4大名が共闘する「包囲網」、そして他大名を傘下に置く「脅迫」、他大名に従う「臣従」がある。諸勢力に対しては、「不戦協定」「脅迫」が実行できる。また他大名と婚姻を結ぶと、「不戦協定」と同じ効果になる。婚姻は姫または夫の武将が死ぬまで有効だが、任意に破棄することもできる。
  • 軍団
    • 大名のみ実行可能。軍団編成や配分、軍団長指名など。
  • 提案
    • 軍団長・城主のみ実行可能。軍団長は大名に、城主は軍団長にコマンド実行提案をする。軍団長は外交、城主は居城転封などを提案できる。軍団長は提案すると大名・軍団長など有力城主による評定が開かれ、城主毎に決められた発言力の過半数の賛同を得られれば可決される。事前に軍団長と友好を深めると説得に成功しやすいが、自分一人で最初から過半数の発言力を得ればごり押しできる。
  • 内政
    • 城主への指示を出すコマンドと、居城の内政に分かれる。前者は大名は全城、軍団長は自軍団の城に実行できる。武将・物資異動や転封、城主指名など。後者は一般的な内政だが、奉行を任命したらお任せの簡略仕様。募兵、商取引、他城主を招待しての宴会もここで行う。
  • 忍者
    • 忍者衆から忍者を借り、謀略を行わせる。本作は忍者が非常に強力で、暗殺も成功しやすい。また、居城以外なら味方の城でもお構いなしに謀略を仕掛けられるので、同僚の城主を蹴落としたり、大名が気に食わない家臣を手を汚さず葬り去ることもできてしまう。
      • 前作と違い出払っていなければ一度に複数雇用可能、待機させれば忍者の迎撃や偽情報によって敵軍を退却させることができ、各城に潜伏させれば情報の閲覧と城の破壊活動(軍団長や大名の評価が上昇)や暗殺が行える。
      • 忍者は継続雇用も可能、経験を積むことで成長するのでランクが低くても任務を与え続けて強力な忍者に育てる楽しみもある。
  • 人事
    • 家臣への知行や褒美、懲罰を行う。切腹を命じることもできる。婚姻、世継ぎ指名、隠居もこのコマンド。
      • 前作と違い知行だけでなく金による褒美も最初から可能。忠誠度を上げられず出奔続出ということは起こりにくくなった。

軍略フェイズ

一枚絵の日本を行軍する。配下への出陣命令や、諸勢力・他城への出陣要請、包囲した城への力攻めや降伏勧告などが行える。城外で他勢力の部隊と接触すると、その場で野戦になる。包囲された城は収入が得られなくなり、防御度も下がるので、包囲を続ければどんな堅城もいずれ落とせる。
…もちろん、敵も黙って見ているわけではなく迎撃部隊を出して野戦で壊滅させようとしてくる*4のである程度の戦力は必要である。

  • 外交関係のある大名・諸勢力に属する城・施設は相互通過ができる。外交関係によっては、思いもよらぬ遠方の勢力に攻め込まれることがあるため、遠くの大名であっても油断は禁物。

合戦

野戦・攻城戦とも、時間経過で部隊士気が下がり、0になると勝手に退却を始める。
統率が高いほど士気は下がりにくいが、「策戦」コマンドが強力なので、統率が低くても策戦に影響する知略が高い方が有利。
部隊は足軽・鉄砲は長槍に強く、長槍は騎馬・騎鉄に強く、騎馬・騎鉄は足軽・鉄砲に強い三竦みになっている。鉄砲が騎馬に弱いのに注意。
PS2/PSP版では3Dになり迫力が増したが、ゲームシステム自体は変わらない。

  • 野戦
    • 攻防3部隊(特定の地形では1部隊のみ)ずつが激突する押しくらまんじゅう。他の部隊は後詰めの交代要員になる。敵本陣に到達すれば勝利となる。強い武将で強い策戦を使えば簡単だが、小細工はあまり使えない。
      • 前述の三竦みは統率40の修正が入るので弱い武将しかいなくても相性次第では互角に戦えることもある。逆に大軍で攻めても相性が悪い部隊に本陣に到達されて敗北という結果も起こりうる。
  • 攻城戦
    • 攻撃側は最大5部隊、守備側は3-5部隊が出撃できる。本丸の城門を落とせば攻撃側の、攻撃側を全て撃退するか時間制限が過ぎれば守備側の勝利になる。
    • 大名居城を落とし、大名を処断(処刑)すると、滅ぼした大名家の領地を総取りできる。
      • なお敵大名が出陣中だと、城を落としても本拠地が別の城になる。また、出陣中の敵大名を捕えて処断しても居城に新しい大名が据えられるのみ。
      • 大名を処断しなければ従属勢力になる。
      • 従属大名を外交で家臣化するのはかなり手間。外交コマンド「家臣化脅迫」で可能だが、大名同士の相性が悪いと一向に応じてくれない。
      • 寝返りで配下城主を切り取る、「家臣化脅迫」は失敗でも保有物資を割合で渡してくるため何度も連続で行なって物資の底を突かせるなどの必要があり、従属破棄してもう一度攻め落として大名を処断するほうが簡単なくらい。

名声システム

『烈風伝』の「威信」、『嵐世記』の「名声」に引き続き実装された、大名家のパラメータ。この数値が大きければ大きいほど各種コマンドが成功しやすくなり、有利になる。その影響は非常に大きく、城は1城でも名声が高ければ、名声で劣る大勢力を脅迫で屈服させることも可能。

  • このため、足利将軍家が見かけ以上に強い。三好や本願寺への脅迫が序盤で決まれば、一気に大勢力にのし上がることが可能。
  • 逆に、大勢力でも名声が低いと張り子の虎で、軍団長・城主の寝返り・下剋上が起こりやすくなる。
  • この名声、勢力の大きさや官位・幕府役職の有無などで算出されるが、実は家宝による加算効果が大きい。小勢力でも、海賊衆に貿易を依頼することで比較的安価に家宝を入手できるので、特別な効果の無い家宝は、できるだけ大名が持ったままにしておきたい。

パワーアップキット

シリーズで初めて、15世紀(1495年)のシナリオが実装された。これにより、北条早雲(伊勢盛時)、細川政元といった、戦国初期の人物を通常武将として活躍させられるようになった。

  • 武将は300人が追加された。しかし、最初のシナリオが1534年→1495年と40年近く遡っているため、武将の多くが入れ替わっている。
    • そのため1495年のシナリオでは最低限の武将しかおらず、武将が大名・軍団長・城主しかいない城はざら。また、今作では戦国時代後期~江戸時代の武将は全く追加されなかった。
      • 一応Win版ではGAME CITY有料会員になることで「黎明期の武将たち」という特典武将を入手できたが、全てダウンロードしても計128人しかないため焼け石に水。
    • 反面、戦国初期のシナリオでは、自勢力に新武将を追加することで難易度を大幅に下げられる。
  • ゲームシステムの細かなカスタマイズが実装され、忍者の謀略を禁じたり、大名を斬っても城総取りが起こらないようにできるようになった。これでようやく、通常版の大味な部分がある程度手直しされた。
  • あらかじめ設定されたカスタマイズを遊ぶ「特撰カスタマイズ」が登場。一種のショートシナリオだが、上級者向けの「苦労三昧」はただでさえ難しいカスタマイズなのに、全国統一に加え、全ての諸勢力を落とさなければクリアにならない。さらに、最初は軍団長・城主しか選べないため、通常シナリオより時間が掛かること請け合いである。
  • 前作『嵐世記』で好評だったイベントエディタも引き続き登場。しかし、イベントの分岐を設定できないなど自由度は低め。
    • PS2/PSP版では、さらにイベント作成の自由度が下がった代わり、新家宝エディタが追加された。

評価点

  • 下剋上を売りにした作品だけあり、毛利元就のいう「謀多きは勝ち、少なきは負ける」を地で行く内容。謀略と根回しで、合戦が始まる前に勝利を決定付ける戦略好きプレイヤーにはたまらない作品である。
    • また、大名の姫をめとり、一門になった上で大名を隠居させる乗っ取りや、評定で思い通りの結果を出す、影の支配者といった楽しみ方もできる。
    • 諸勢力も(忍者衆を除き)前作ほど強すぎず、それでいてゲームクリアへの重要性はしっかり持っている位置づけで、戦略を立てて交渉する楽しみがある。
  • 山下康介氏の重厚なBGM、陰影を基調としたグラフィックも、謀略戦の雰囲気を盛り上げるのに一役買っている。
  • 大名プレイ専用である他作品と違い、一城主に落ちぶれた元大名での再起が可能。その為、ゲームオーバーは後継城主不在にならない限りまず起こらない。
    • 今作は「いかに天下を取るか」ではなく、「いかに生き延びるか」という遊び方でのクリアを目指せる。史実でも、天下を狙っていた大名はごく一握りで、生き残りを考えその時優勢な大名に従っていた小大名は枚挙にいとまが無かった。戦国のそうした側面をシミュレートできている。
  • 前作『嵐世記』の欠点がある程度解消された。
    • 今作でも知行に応じた数の兵士を率いる。『嵐世記』では武将の要求が激しく、慢性的な知行不足に悩まされたが、本作では知行上限が2/5に減らされ、上記の通り現金でも程度忠誠を維持できるので、ある程度余裕を持った運用が可能になった。
      • また各武将の兵力も前作で諸勢力との交渉(機種によっては不可能)や各季節毎の補充でしか増やせなかったが、今作では徴兵コマンドがあるので直接雇用できるようになった。
    • 前作では従属大名領であっても通過できず、その向こうの大名を攻めるために脅迫で傘下に加えるかわざと独立させて攻め滅ぼす不条理があった。今回は解消され、従属大名など外交関係のある大名領を通過しての進攻が可能になった。
  • 武将数は1500人とこの時点でシリーズ最多。パワーアップキット版ではさらに300人が追加される*5
    • シリーズで本作にしか登場しない人物も多く、また城数が150と多いため、無名の大名家も多く選択できる。しかもPC版では、新武将も最大1000人追加できる。

賛否両論点

  • 総取りの仕様
    • 賛否が分かれる仕様であるが、敵大名に関しては居城周辺を支城が取り囲んでいて結局いくつかの城は落とす必要があったり、今作の合戦の仕様や城数を考慮すれば中だるみの除去といった面からまだ許せる範囲であるが謀反時も行えるのが問題である。どういう事かと云うと…自部隊で大名の城へ行軍→謀反して攻め落とす→大名を処断し領地と武将ゲット…という流れ。
      • 通常の謀反は朝廷から大義名分を貰ったり(名声低下を防げるので無意味ではないが*6)同僚達の賛同を得なければ彼らに足を引っ張られる等制約が多いので効率を考えるならこの方法が一番手っ取り早い。また、プレイヤーが手討ちにされると、跡継ぎが残っていれば強制的に独立する(無ければゲームオーバー)。たとえ冤罪でも独立するので、大義名分を貰っていないと不利になる。むしろ謀反の気が無ければ大義名分は貰わないはずなので、冤罪の時のほうがより展開が不利になる仕組み*7
    • 同じく総取りを採用している全国版では、謀反や一揆などにより大名が死亡した場合は大名のいた所のみが謀反や一揆を起こした勢力の領地となりそれ以外は全て一度空白地となる。
    • CPUは大名居城を経済力で決める傾向が強いため、大勢力でも最前線に居城を構えて簡単に総取りされてしまうことがままある。もう少し居城は防衛重視の思考ルーチンにすべきであった。
  • 悪ふざけとしか思えない一部の武将の顔グラ
    • 元々、コーエーの作品はマイナーな人物に対する扱いが適当であるのだが二階堂盛義の顔グラフィックはどう見ても発狂しているかのような変顔であり、いくらなんでも悪ふざけが過ぎる。
      • 一応、これまでの作品にも叫んでいたり驚愕するような表情が変顔に見えてネタにされている人物もいるが二階堂家に関しては二階堂輝行(盛義の父)も前作で変顔にされていた為に二階堂家に関してはあからさまに狙ってやっていたと思われる。
    • この変顔は『太閤立志伝V(PS2版以降)』にも流用され「のぶニャがの野望*8」でも今作準拠のキャラ付けがされている。
      • 流石に抗議が来たのか、後の作品ではまともなグラフィックに変えられ、能力も若干底上げされた。
        ただし、コーエーのマイナーな人物に対しての適当能力設定やグラフィックのお遊びは現在も続いている*9

問題点

  • 嵐世記以上に仕様を大幅変更したことで、これまでの信長の野望シリーズとは大幅に勝手が異なりそれが不満点となってしまっている部分が多い。
    • 各武将のパラメータが控えめに調整されている。合戦の仕様や謀略重視の作風もあってこれまでの最強クラスの武将も肩身が狭くなってしまった。今作では合戦が得意な上杉謙信よりも謀略が得意な毛利元就の方が使い勝手が良い。
      • また、謀略や外交などは対象が多いことが多く頭数が物を言う面もあるので、強力な武将1人よりもそこそこの武将3人いる方が有利である。
    • 忍者が強すぎる。特に、CPUは暗殺を頻繁に仕掛け、成功率も低くないため、武田信玄クラスの名将ですら暗殺されてしまうことがある。
      • またこちらが使う場合も城への破壊工作による点数稼ぎや偽伝令による敵軍の退却など効果的かつ成功率が高い。
    • 大名への讒言が成功しやすい。また、武将も頻繁に寝返ったり旗揚げしようとする。そのためゲーム中盤以降になると、CPU大名が毎季節ごとに城主を切腹させたり、追放するのが当たり前になる。なお、CPU大名がプレイヤー城主を処刑する時は、大名居城に呼んで手討ちにする*10。合戦時の戦後処理でも処断される確率はそれなりに高い。さらにパワーアップキット版では、合戦に敗れると武将が襲撃される落ち武者狩りまで起こる*11。このため、総武将数の多さの割に、気が付けば人材不足に陥っていることもしばしば。武将コレクターにはお勧めできない。
      • さらに、PS2版・PSP版では新武将枠が100人しかない*12。100人というのは決して少なくないはずだが、本作の仕様では焼け石に水に近い。
    • パワーアップキットで追加された難易度「超級」は、従属大名の独立が起こりやすい。脅迫すれば完全に屈服する(一城主になる)状況でも独立することがある。そのため、ゲーム開始直後に従属大名が一斉に独立する光景が見られる。ここもバランス調整不足。
      • 時には、同じ季節に独立-従属-独立-従属と繰り返すことも。プレイヤー大名で1季節のうちに複数回独立することは実質不可能*13なので、これも一種のチートといえる。
  • 行軍、合戦の手間
    • 信長の野望 烈風伝」と同様、1城の攻略毎に数ターンの行軍→数ターンかけて籠城で弱らせる→力攻めで攻め落とすことを強いられる。しかも今作は各城ごとに所属武将の知行を払う(前線の城が貧しいと主力部隊を送れない)武将を移動させると兵士数が6割になるペナルティ1ターンが1季節(3ヶ月に相当)街道建設などの行軍を早める方法は皆無城数の大幅増加と言った要素が折り重なりかなりダレ易く年月もかかってしまう。
      • 調略による敵城の吸収や総取りによって合戦数の削減などをしなければ<年月の経過で武将たちが次々と寿命を迎えてしまう。
      • ただし、圧倒的な大軍で包囲すれば、城主は降伏勧告に応じやすくなる。現実感のある設定と言える。
  • 新武将の死因を設定できない。『嵐世記』では病死と戦死を設定でき、自然死でない武将の寿命を没年より延ばす必要がなかった。本作ではデフォルトは「病死」で固定される。なぜ機能を削ったのか意味不明。
    • 武将は設定した生没年の期間にゲームに登場するので、自然死でない武将の寿命を延ばすと、没年より後の年代にもゲームに登場してしまう。
    • 『嵐世記』で作成した武将は、本作に読み込むと戦死設定も引き継がれるが、本作上で1度でも編集すると病死に戻ってしまう。
    • パワーアップキット版では、ゲーム中に編集機能で病死・戦死の切り替えが可能になった。しかし、既存武将はともかく、新武将は最初から設定できるようにすべきで、ゲーム開始毎に設定し直す必要があるのは二度手間である。
  • 下剋上を起こさせる為なのか(大名にもよるが)軍団長や城主時の理不尽な仕様
    • 朝令暮改な命令が頻繁に発生してプレイヤーの足を引っ張り、酷い時には身に覚えのない謀反の罪を着せられて手討ちにされる事もザラ。大名に対する理不尽さや憎しみが否応でもわく様な仕様であり謀反を起こした武将の心境が理解出来る程
      • 軍団長に関しては各城が切り取り次第(奪った城は自分の物)なのだが勢力が大きくなると大名の一存(拒否権無し)で配置転換や軍団長解任→再任命(この間1~2ターン)を繰り返し(自分より貢献度が低い)他の軍団長や大名の勢力を拡大させる一方で、プレイヤーの戦力だけは露骨に削ろうとしてくる
      • 城主の場合、軍団長が敵城攻略中に目標変更や明らかに防衛すら難しい城へ転封を繰り返して結果的に命令違反になるよう仕向けたり、物資の入れ替えで城の物資や家宝を召し上げてプレイヤーの戦力だけはry
    • 敵の謀略に関しては自分の宣伝→大名の宣伝→謀略と手順が多く、大名から領地を増やしてもらったり傀儡にする場合も根回しや評定を行わなければならず手間がかかる。
  • 暗殺や総取りは、パワーアップキットのカスタマイズで変更できる*14。CPUの謀略好きもある程度是正できるため、楽しむならパワーアップキット導入は必須である。
  • 城主の仕様
    • 本作はフラグを城単位で管理しているため、いろいろ不条理な事態が起こる。
      • 城主不在の空白地を作れない。このため、城主が1人だけの城は、他に武将を送り込まないと、城主を平の家臣として呼び寄せることができない。また、後方の城を空にできないので、人材不足が起こりやすくなっている。
      • 城主一人の城で城主が死亡すると、架空武将が城主になる。先代と同姓で、名前はランダムだが先代の血縁になる。架空武将はあくまで穴埋めの存在なので、通常武将を送り込んで城主に任命すると、「仏門に入る」と言い出して消えてしまう。
      • 架空武将の能力は先代城主が基準になるが、極端な雑魚にはならない。その辺の通常武将よりよほど使えるため、そのまま城主に任命しっぱなしになることもしばしば*15
      • 城主が下剋上や他勢力への鞍替えを決意すると、城主を更迭してもフラグが消えないため、新城主がそのまま下剋上や鞍替えを実行してしまう。物資を取り上げるか、すぐ鎮圧できる後方に転封するといった対策を取るしか無いだろう。
      • 宴会やターン開始時の忍者の報告で、怪しい城主を教えてくれることがある。しかし、他城主の流言であることも多く、また城主の更迭は前記の通り意味が無いので、焦って更迭するくらいなら無視した方がマシである。城主一人だけの城なら、優秀な架空武将に期待して追放するのも手だが…*16
      • ただし、知略の高い城主は謀略に掛かりにくくなる。CPUは知略50未満の城主を狙ってくるので、猪武者が城主であれば、前もって更迭する意味はある。しかし、城主を更迭すると他城主との友好度も下がるため、多用は難しい。
      • どうせ誰かが下剋上するのが本作である。松永久秀、藤堂高虎といった不義理でお馴染みの武将はもちろん、忠臣として知られる武将や大名一門衆であっても、殺る時はやってくる*17
  • 外交や謀略のために、担当させたい家臣を本城にぎゅうぎゅう詰めにすることになる。
  • 諸勢力武将の列伝が全て汎用になった。NPCとはいえ、実在の人物(風魔小太郎、九鬼義隆など)であっても平然と自動生成の列伝が表示されるため、雰囲気がぶちこわしである。
    • さらには能力値も他の首領と大差ない凡将と化してしまったために他のシリーズに比べ、まるで頼りにならない存在になってしまった。
  • 『嵐世記』パワーアップキットで追加された武将の多くは本作には登場しないが、顔だけ別の武将に使い回されている。シリーズ初期に観られたモンタージュ顔よりマシとはいえ、手抜きも甚だしい。
    • また『嵐世記』パワーアップキットの追加武将は戦国後期以降の武将が主だったので、「今作のパワーアップキットでは戦国後期のシナリオは追加されないのでは?」とスレで推測した者がいた。結果的に正解だった*18
  • パワーアップキットも手抜きが多い。
    • たとえば、パワーアップキットで追加された大名家は少なくないが、専用の家紋は一つも追加されていない。元から家紋が用意されている細川典厩家(細川高国)などを除き、新規追加大名の家紋はメチャクチャになっている。例えば越後上杉家(本来は竹に雀→山内上杉家、扇谷上杉家用しかないため菊水で代用*19)、吉良家(本来は二引両→古河足利家、足利将軍家用しかないため九文字で代用)など。
    • 前述の通り、追加武将は300人でも全然足りない。また、シリーズ恒例の歴史イベント追加も、本作ではシナリオ毎のオープニングイベントしか増えていない。
  • CPUは、大名間以外は他勢力と友好を深めようとせず、城主同士で足の引っ張り合いばかりしている。家臣の懐柔もあまり行わないため、大勢力になるほど大名と軍団長・城主の関係が険悪になっている。プレイヤーにとっては謀略を仕掛けやすいので救済措置とも言えるが、おかげで武将が殺されやすくなっているため痛し痒しである。また、家臣プレイの場合、プレイヤーが家中融和を一手に引き受ける羽目になるため、忠臣プレイの難易度上昇に一役買っている*20
  • 農業や商業などは簡略化されているため、内政で国土を育てる楽しみを味わうには不向き。
    • 上昇値も微妙で(軍団長や城主の場合)居城変更も起こるので効果の実感も満足に出来ない。
      • その為に経済力が貧弱な城だと最悪である。
        知行が満足に払えず兵力も増やせない上に忠誠も下がる一方→当然家臣や忍者*21の雇用も難しく謀略も満足に行えない→命令をこなせず大名や軍団長の不興を買って手討ちになることもある。
      • こういった城主が取れる手段がほかの城主(自勢力でなくても良い)から無心する事や海賊衆に貿易を依頼と言った物しかない。しかも城主(非軍団長)は常に収益の一割を献上しなければならない、更に軍団長の一存で物資を召し上げられることもあるのでさらに苦しい。
  • 石高と商業の上限値が国単位で決まっている。
    • 同じ国にある城の合計値が国ごとに設定された上限値を超えられないようになっている。
      • パワーアップキットの城編集で城のパラメータを変えられるのだがこの仕様が足枷になる。
      • 同じ国にある城の石高を下げまくれば、そのぶんだけ高い石高を持つ城を作成することは可能。
  • 開発段階で公開された仕様が、製品版でいくつか未実装になっている。
    • 製品版では野戦は3対3、あるいは1対1の押しくらまんじゅうのみだが、開発中は他に奇襲を仕掛けられた。
    • また、製品版で評定を提案するのはプレイヤー軍団長・城主のみだが、開発段階ではCPU軍団長・城主が提案することがあり、プレイヤーが対応を迫られるシチュエーションが用意されていた。
    • これらが実装されていれば、よりゲーム展開に深みが出たと思われるため残念な話である。

総評

シリーズとしては珍しく、軍団長や城主としてのプレイも可能な、渋めの作品。
主君の大名の天下統一を補佐するのも、下克上で自分が成り上がるのもプレイ次第。

下剋上を売りにしているだけあり、外交や調略に重きを置いた造りになっている。
一方、戦闘や内政は簡略化されており、従来作とは大幅に勝手が異なっていることには注意した方が良いかもしれない。


余談

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最終更新:2024年04月17日 14:58

*1 ソースネクスト「超ホーダイ」収録版以降はWindows Vista/7/8/8.1/10対応。

*2 「超ホーダイ」120本あまりのソフトをWebでレンタルできるサービス。蒼天録はダウンロードできるソフトの1つという扱いなので、蒼天録のみの利用では割高になる。

*3 大名や軍団長でも基本は同じ。 今作では自分の居城以外の行動は委任する形となる。

*4 他の城からの場合は忍者の偽伝令で追い払えるが包囲中の城からの迎撃はタイムラグが無いので無理、また全員失敗もありうる。

*5 『信長の野望 創造』のパワーアップキット版で11年ぶりに記録が更新された。

*6 PSP版では大義名分が無い時のペナルティが大きくなり、大義名分無しで独立しても他大名にまともに相手にされないようになった。

*7 理不尽ではあるが、史実と照らし合わせても間違いとは言えない。

*8 タイトル通り戦国武将をモチーフとした猫たちによるコーエーのソーシャルゲームSLG。もっともこの作品では2chが元ネタになっているグラフィックの武将が結構いるが…。

*9 例えば『信長の野望 創造』では岩城親隆(伊達政宗の父方の伯父)を変顔でファイティングポーズをとっているグラフィックにする等。

*10 たとえ大名が一条兼定で、城主が上杉謙信であっても、なすすべも無く手討ちにされる。ただし、呼び出しを断ることはできる。

*11 ただし、身分が城主以上の武将は死亡しない。

*12 Win版でも、通常版はゲームに出せるのは200人までで、1000人一度に出すにはパワーアップキットが必須。

*13 自ら臣従を申し出て独立する形なら可能だが、CPU大名は明らかに脅迫を用いている。

*14 例えば大名を斬った後の処理を、総取りの代わりに残った城の軍団長などがバラバラに独立する「小規模独立」や、残った城が全て1つの勢力として独立する「大規模独立」に変更できる。いずれも、元の大名家はいったん滅亡して、改めて独立させている点に注意。

*15 どうしても架空武将を城主以外に使いたい時は、あらかじめ家臣をその城に送り込み、ゲームをデモプレイにした後で架空武将の城で再開するとよい。そして自城の家臣と城主を交代させると、架空武将でも消えずに残る。ただし、PSP版では翌季節に架空武将が強制的に死亡するようになり、実質的に架空武将は城主専用になった。

*16 城主が1人だけの城へは、通常は追放・切腹の命令は下せないが、ターン開始時に忍者の報告があった場合は可能。すると後釜に架空武将が現れる。

*17 むしろ松永などは知略が高く、敵の謀略に惑わされにくいため義理堅い猪武者に比べれば安全とさえ言える。

*18 佐野泰綱のように『嵐世記』通常版に登場して本作通常版で外された武将が、パワーアップキットで再追加された例はある。

*19 長尾家出身の上杉謙信は山内上杉家を継いだのであって、越後上杉家ではない。

*20 PSP版では、CPU同士の関係が悪化しにくくなった。プレイヤーにとっては難易度上昇だが、忠臣プレイに限っていえば少し易しくなった。

*21 一応、ゲーム開始直後は全城主に低レベルの忍者が3人雇用されている。派遣元は伊賀衆か甲賀衆のランダム。